俺とルーデルがハンガーで分かれた翌日、ルーデルを初めとしたスツーカ中隊がストライカーユニットに乗り出撃を待っていた。
俺「・・・よし、機体には異常は見られません。これなら多少の無茶な飛行でも行けますよ」
ルーデル「ああ、ありがとう俺。助かるよ」
軽くエンジンをふかし、調子を見て以上がないとわかった俺はニコリとしながらルーデルに答える。ルーデルもその笑みに微笑みで返した。
俺「さて・・・爆弾ですが、百二十五キロ爆弾でいいでしたか?」
ルーデル「ああ、問題ない」
ガラガラと荷台に乗せた爆弾が運ばれてきて、俺はそれを再確認する。投下して、不発でしたじゃ笑えないからだ。
俺「・・・はい、大丈夫ですね。信管もしっかり付いていますので、ちゃんとぶつければ爆発しますよ」
ルーデル「んっわかった」
ルーデルは爆弾を手に持つ・・・これで後は出撃の準備を待つだけなのだが・・・
ルーデル「・・・」
俺「?」
チラチラとこちらを見るルーデル。俺はそれになんだろう?と首を傾げるも・・・すぐにああ、と気付きクスッと笑う。
俺「ご武運お祈りいたします・・・ルーデル大尉」
ルーデル「・・・ああ、わかった」
俺の言葉に少しむっとした顔になるが、しょうがないという顔でもある。俺はそんなルーデルの顔を見て苦笑いを浮べる。
俺「(まあ無理もないかなぁ・・・いつもなら『頑張ってくださいハンナ』って言うのですが・・・ここではそれはいえませんからね)」
ついでにたまにキスしたりもするが・・・その後の俺と整備師連中とも死闘が激しいため滅多に行われない・・・そうこうしているうちにルーデルたちは滑走を
はじめ、離陸した。
智子「・・・」
俺「あ・・・」
するとルーデルの後ろを付いていくように義勇独立中隊も六十キロ爆弾を抱えて離陸する。その際智子がすごい睨んでいたが・・・まあ気にしない方向で。
俺「さて・・・それではルーデル大尉が戻ってきたときのためにコーヒーやらなんやら用意しときますか」
~~ルーデルside~~
ルーデル「ほう・・・あの東洋人なかなかやるじゃないかアーデルハイド」
ルーデルは重い爆弾を抱えながら後ろで新型ネウロイを叩き落した義勇独立中隊を見てほくそ笑む。
アーデルハイド「(なんだか最近の大尉はよく笑うようになられたな・・・俺の影響か?)驚くことはありません。カールスラントの最前線でも十分活躍する
東洋人はたくさんいますからな」
ルーデル「ああ、知っている。第一私は肌の色で優劣をつける主義はない」
アーデルハイド「それではなぜ?」
昨日のようなことを言ったのだろうか?と疑問に思ったアーデルハイド。ルーデルはそれに気付いたのか、ふっと微笑を浮かべ
ルーデル「沸点をしりたかったんだ。ウィッチには冷静な判断力が何よりも必要だからな。それが備われてるいるか、確かめたかっただけだ。若干沸点が
低いので心配だったが・・・面白いことをやってのける」
アーデルハイド「ああ、なるほど・・・それで?合格ですか?」
ルーデル「とりあえずはな。だが奇策は二度は通用しない。はてさてこれからどうするか・・・見ものだな」
ふふっと笑うルーデルに、アーデルハイドはこの人は相変わらずだなァと思いながらふうと気付かれないようにため息を吐く。すると周りの雲が晴れ、スラッセンの
町々が見えてきた。
ルーデル「諸君。街が見えてきたぞ。ネウロイ共に素敵なプレゼントを渡しに行こうではないか」
了解と、若干の含み笑いをする隊員たち。ルーデルはそんな隊員たちを見てふふっとッ笑い、
ルーデル「さあ諸君・・・爆撃開始だ」
スツーカ中隊はV字編隊で飛び端の隊員から順々に急降下して爆弾を投下する。その際にビームや対空砲の砲撃がくるが、スツーカの戦乙女たちはそれを意に返さず
次々とネウロイめがけて爆弾を投下する。
ボン、ドン、ドガンッ!!
爆弾は次々とネウロイに命中。コアごと綺麗に吹き飛ばす。
ルーデル「ふっ!!」
そして最後にルーデルが最後の中型ネウロイめがけて爆弾を投下する。投下された爆弾は綺麗な機動を描きながらネウロイへと吸い込まれるように飛んでいき、
ドゴンッ!!
ど真ん中へとぶつかり、ネウロイをばらばらに吹き飛ばす。ルーデルはそれを見るも・・・
ルーデル「・・・」
辺りを見回し、若干不満げな顔になる。ルーデルの視界に広がるのはネウロイに占領されたスラッセンの街・・・そこにはまだたくさんのネウロイが我が物顔
で歩いていた。スツーカ中隊はいったん高射砲が届かなくなった場所まで高度を上げ編隊を組みなおす。
アーデルハイド「小型陸戦型ネウロイ5両。中型陸戦型ネウロイ2両破壊・・・なかなかの戦果ですな」
アーデルハイドが手早く戦果をまとめ報告する。だが、ルーデルはジッと辺りを見て
ルーデル「見ろアーデルハイド。報告では小型ネウロイ3両。中型ネウロイ1両・・・明らかに数が増えている」
そして街を占領しているネウロイの数・・・明らかに増えているのだ。
ルーデル「カールスラントと同じだアーデルハイド。奴ら・・・どんどんと増えている」
~~一週間後~~
俺「そうですか・・・やはりカールスラントと同じですか」
カチャカチャと俺はルーデルの機体を整備しながらルーデルの話を聞いていた。ルーデルはああ、と返事をして腕を組む。
ルーデル「何度か爆撃を
繰り返したが、ほとんど効果は薄くてな・・・まるでいたちごっこだ」
ふうとため息をはくルーデルに俺は苦笑いを浮べる。
俺「まあまあ、それにそれも今日までですよ・・・と。これでよし」
ガチャと整備し終えたストライカーをぽんぽんと叩く。俺はう~んと伸びをして近くに置かれた無数の木箱を見る。それはここに来る前に見つけた37ミリ砲が入っている
木箱だ。先ほどの本国からの支援物資でやっと届いたのだ。俺はその木箱を見ながら呟く。
俺「・・・こいつが使えるかどうか・・・まさに正念場ですね」
ルーデル「ああ、ある意味これから先のスツーカの未来を担うかもしれない武器だからな」
ルーデルもその木箱に近づき、スッと撫でる。果たしてネウロイに効くかどうか・・・それは試さない限りはわからない。
俺「まあ考えてもしょうがないですからね。こいつは後で整備しますよ。今はハンガーの端っこにでも防水シートかぶせて置いときましょう」
俺はそういうなり、その木箱に防水シートをかける。本当なら武器庫なりにおきたいのだが、あいにくそこは満杯になっているため使えない。そのためこのように
ハンガーの隅っこに追い梳こうということになったのだ。
俺「さてとこれでよし・・・これからどうしようかな?」
俺はコキコキと首を鳴らしながらこれからどうするか考える。ルーデルの機体の整備は終わった。この37ミリ砲は後で整備するとして・・・今の俺は手持ち無沙汰だ。
そんな俺を見て
ルーデル「(こ、これはある意味チャンスではないか?)」
とルーデルは思った。カールスラントにいるときと違って、ここでは目がかなり付いてしまうため俺と居れる時間はかなり少ない。
おまけに建前上どうしても
名前で呼べないためルーデルはある意味で飢えていたりする。
ルーデル「(さすがにキスとかは無理でも・・・一緒にいるぐらいは問題ないはずだ)」
そうだそうにちがいないとルーデルは自分に言い聞かせるように心の中で呟き、
ルーデル「お、俺。どうだ?暇なら私と一緒に歩かないか?」
俺「?」
俺は急にしどろもどろに喋るルーデルに不思議になってみてみると、そこには若干顔を赤めたルーデルの顔があった。そして同時にピーンと気付く。
俺「(ああ、そういえばここに来てから一緒に居れる時間が少なくなったからなァ・・・よし)そうですね、どうせですから散歩のお供をいたしましょうか」
ニコリと、そう答えた。ルーデルはその笑顔を見てさらに顔を紅くしてそ、そうかと呟き嬉しそうにスタスタと歩き始めた。俺は微笑を浮べながらその後に続く。
俺「おや・・・義勇独立中隊にも何か支援物資が来たらしいですね」
スタスタと歩きながら、俺はハンガー近くで荷卸をしているのを見る。そこには義勇独立中隊の面々が自分に渡された装備を点検する。
俺「なかなかいい装備ですねみなさん」
ルーデル「まあ我々を守るための盾だからな。ちゃんとした装備を持って欲しいものだ」
はははと笑いながら俺は辺りをキョロキョロと見回し・・・ふと見覚えのある顔を見つけた。
?「・・・」
義勇独立中隊の中で一人機関砲をカチャカチャといじっている少女。俺はその少女に見覚えがあった。
俺「(あれ?なんでハルトマン少尉がここに?)」
はて?と首をかしげる。俺はちょっとした理由でカールスラント空軍に所属するエーリカ・ハルトマン少尉とちょっとした友人で、懇意にしているのだ。ちなみにその
ハルトマンの自称ライバルとも友人であるが・・・それはまた今度に話そう。
俺はう~むと首を傾げながら、スタスタとそのエーリカ?らしい少女に近づき、
俺「ハルトマン少尉?なんであなたがここにいるのですか?」
?「?」
エーリカ?らしき少女は俺の言葉にくるっと振り返る。その顔は間違いなくエーリカ・ハルトマン・・・だが、なんだか違和感を感じる。
?「・・・私は曹長。たぶんあなたが言っているのは姉のほう」
俺「姉?」
俺は疑問を含む言い方をすると、少女はコクリと頷く。そして俺は改めてう~むと考え込むと・・・
俺「・・・ああ!!そうかそうか。そういえば前にハルトマン少尉が双子の妹がいるといっていましたが・・・もしかしてあなたがウルスラ・ハルトマン曹長
ですか?」
ウルスラ「・・・そう」
俺の言葉に、ウルスラはコクリと頷く。それに俺は申し訳なさそうな顔になり、
俺「それは申し訳ないことをしました・・・しかしなるほど、確かに双子というだけあってそっくりですね」
ウルスラ「・・・いい、言いなれてる」
俺は一度ぺこりと頭を下げる。だがウルスラはそれに気にしていないようにまた目の前の機関砲をいじり始める。
俺「へえ、MG151ですか・・・これはまたなかなかいい銃ですね」
ルーデル「ああ、まったくだな・・・俺ぇ」
ゾクリッと俺は耳から聞こえた声に背筋に冷たいものが走るのを感じた。それは自分が愛してやまない恋人である・・・ハンナ・ルーデルの冷静に怒っているときの
声であった。
俺「あ、あはは・・・そのルーデル大尉?ど、どうしたんですか・・・?」
ルーデル「私がちょっと目を話しているときに別のウィッチのところにいくとは・・・ん?なんだ、私と一緒にいるのは不満か?」
俺「い、いえ、そんなわけないじゃないですか!!」
不満げに、けど寂しそうな顔をしながらそう告げるルーデルに、俺は慌てて返す。その姿はまさにいつもカールスラントにいたときに見る俺とルーデルの姿なのだが・・・
ウルスラ「・・・」
目の前に、一人の少女がいるのをすっかり忘れていた。ルーデルはその少女を見て一瞬ん?といった顔になる。
ルーデル「貴官は・・・エーリカ・ハルトマン少尉か?」
ルーデルの言葉に、ウルスラは首を振り、
ウルスラ「・・・それは姉」
俺「こちらはウルスラ・ハルトマン曹長。何でもエーリカ・ハルトマン少尉の双子の妹さんだそうです」
ルーデル「ああ、妹の・・・それは失礼をしたなウルスラ曹長」
ウルスラ「・・・別に気にしていない。もう慣れてるから」
ウルスラはそういうとまたMG151の整備をし始める。その姿を見て俺は苦笑を浮べる。
俺「いや~・・・それにしてもあのずぼらなハルトマン少尉の妹さんが真面目で立派な妹さんだったとは・・・正直感動ですね」
ウルスラ「・・・そう」
ウルスラはカチャカチャと整備の手を止めずに俺の話を聞いていた。
俺「それにしてもハルトマン少尉が自慢するのもわかりますね。こんな立派な妹さんをもってあの人は幸せだ」
ウルスラ「・・・姉が、私のことを?」
すると、ウルスラはカチャッと銃の手入れを止めて俺のほうへと向いた。俺はその反応を見てええ、とニコリと微笑みながら返した。
俺「『私と違って真面目でマニュアル主義なのが心配だけれど、それでも妹のおかげで助かることもあった』・・・妹さんの話をするときは必ずそういってましたよ」
ウルスラ「・・・そう」
ウルスラはそう呟くと、またカチャカチャとまたMG151の整備に入った。だが、その手つきは先ほどとは違い嬉しそうに軽やかな動きになっていた。さらに
無表情だと思われたその顔だが、改めて見ると少し頬が緩んでいる。俺はそれを見てクスリと笑う。
ルーデル「・・・むぅ」
もちろんそこで楽しくないのはルーデルである。確かに人前ではあまりくっつくことができないというのはわかっているのだが、それでもやはり少しぐらいの散歩
だ。もっと一緒にいたいのだろう。俺はそんなルーデルを見てタハハと苦笑いを浮べる。
俺「それではすみませんハルトマン曹長。私は少し用事がありますので、これで失礼します」
ウルスラ「・・・ん、わかった」
ウルスラはコクリと頷きながら返す。その顔はやはり嬉しそうに頬が緩んでいた。俺はそれを見て微笑を浮べながら、その後ろで不機嫌顔になっているルーデルの元へと
急いで戻った。ペコペコと頭を下げながら、俺は無言のルーデルの後をついていった・・・その姿がまるでデートに遅れた男と拗ねてしまった女のような格好で
若干微笑ましく見えたのは言うまでも無い。
スラッセン奪還作戦まで・・・あと少し。
最終更新:2013年02月15日 13:01