【私立フミカネ高校 昼休み 普通科教室棟3階 1-B教室】
昼休み、それは授業と授業の間の至福の時間
各々が気のおけない仲間と集い、談笑をかわしながら持参したお弁当を食べたり
寝たふりをして机に突っ伏したり
便所の個室でスタイリッシュに自由な空間を演出して昼飯を食べたり
その過ごし方は自由である
その中で俺はなんとか便所という名の個室に逃れる事もなく「友人と談笑しながら弁当を食べる」というAAAクラスの昼休みの過ごし方をしていた
エイラ「おい!!私の分の弁当無いってどういう意味ダヨ!!」
ヘイヘ「そのままの意味だ、今日はアウロラ姉が寝坊したから自分で作ったんだよ」
エイラ「私の分は!?」
ヘイヘ「あるとでも思ったのか?ならそれは大きなミステイクだな」
相変わらずのギャルゲっぷりを見せつける2人にリア充死ねといつも通り心の中で呟き、俺は我がオンボロ寮『大和』の管理人のおっさんである杉田さんお手製のお弁当をほおばる
アギトさんやもさなじみ先輩、卿先輩も俺と一緒の弁当食べてるんだよな・・・
俺も3年間これを食べ続ければあんなにキャラ濃くなれるのかな?
芳佳「まぁまぁエイラさん落ちついて、私の半分あげるから」
そう言って宮藤が自らのお弁当をエイラへと差し出す
宮藤は料理が得意らしく、いつも自分で作って持ってくる、はっきり言って超美味そう
エイラ「うぅ・・・宮藤ィ・・・ありがとナ・・・」
エイラが宮藤へ感謝しながらお弁当を受け取る、その姿を見つめ宮藤の笑顔はとても素敵だった
うん、めっちゃイイ子だよな
レジ「でさぁ、また出たらしいんだよ!例の七不思議の虫男!!」
ヘイヘ「・・・」
エイラ「・・・」
芳佳「・・・」
俺「・・・」
アギトさん・・・リアル七不思議になってますよ、あなた・・・
唐突にレジがそんな俺達にとってコメントしにくい話を振ってくる
しかし七不思議・・・か、やっぱ学園都市だもんあるよね
俺「へー、七不思議とかあるんだ!他のも教えてよ!」
コメントしにくい虫男から話題を変えようと試みる
芳佳「わ、私も他の話知りたいなー」
エイラ「う、うん!虫男とかキモいだけだしな!あはは・・・」
ヘイヘ「・・・」
レジ「いや、俺も全部知ってるわけじゃないけどさ・・・えーと他には確か『真夜中に人間を氷漬けにする悪魔』とか・・・『謎の
魔法少女ブロッサムちゃん』・・・そうだ!後は『学園都市を駆ける忍者』なんてのもあったな・・・」
芳佳「に、忍者!?この平成の世に!?」
ヘイヘ「まぁ所詮噂だ、眉唾ものだろう」
ヘイヘが一言で斬って捨てる
微妙に話題が無くなり、ふと窓からグランドの方へと目を向ければそこには見覚えがある先輩達の姿があった
俺「あ、試作先輩とバルクホルン先輩だ」
俺のそんな呟きに反応したのは意外な事に宮藤だった
芳佳「ふ、2人だけ?他に誰かいないの?」
いつになく真剣な顔で訊ねてきた・・・
これはもしかするともしかするのか?
芳佳「あぁ!凄い楽しそうに話してる・・・」
グラウンドを見下ろして宮藤が呟く
あー・・・やっぱりね
芳佳「ちょっと私行ってくるね、試作さんに用事あったんだった!」
そう言って宮藤は教室を駆けだしていく
その後、誰もその件については触れなかった
人には人の事情があるから・・・
【私立フミカネ高校 0時前 部室棟3階 501特別課外活動部室】
時間は23時50分、もうじき零時間だ、俺が入部してからもうじき一週間になるが、出現するのは小型のネウロイばかり
俺の出番はまったくなく、後ろについてまわるだけだった
部室の奥のデスクには今日もお美しいミーナさんがデスクワーク、その隣にはこれまたいつも通りアギトさんが腕を組んで寡黙に佇んでいる
窓側では、眼帯侍女として七不思議に追加されてもおかしくない容貌の坂本先輩と、もさなじみ先輩が仲良くお喋りしている聞く所によるとこの2人も幼馴染だとか・・・
前にも言った通り、俺の幼馴染はサモハン・キンポーに似ている・・・
世の中とは不平等な物である
ヘイヘとエイラのギャルゲカップルにサーニャを加えた3人はエイラのタロットカードで遊んでいるようだ、あんまり当たらないらしいよ、あれ
んで、宮藤はと言えば、少し目つきが悪いのに定評のある試作先輩とおしゃべり中だ
芳佳「お昼休みに何してたんですか?」
試作「んー、昼休み?・・・あぁバルクホルンと懸垂の訓練してたんだよ」
芳佳「懸垂・・・ですか・・・?」
エーリカ「そうそう、試作ってモヤシじゃん?だから懸垂10回できたらトゥルーデがご褒美のキ・スしてあげるって・・・・」
バルクホルン「ブッ!!!・・・・・それはハルトマン!貴様が勝手に!!!」
話を聞いていたバルクホルンさんが紅茶を噴き出した
へー・・・もっとこうノリ悪い系の石頭さんかと思ってたわ
芳佳「キ、キスって!!そんなのダメです!!」
エーリカ「ん~?なんで宮藤がそんなに必死なのかな~?」
試作「つーか、ホントにハルトマンの冗談なのか?」
バルクホルン「いや!その・・・なんだ・・・」
かなりバルクホルン先輩の顔が赤くなって口ごもっている・・・
あー、まんざらでも無いってのはきっとこういう時に使うんだろうな
芳佳「うー・・・」
宮藤が唸っている、少し応援してやりたいが、この恋はきっと叶わないんだろうなと思う
なぜかって?
試作先輩のバルクホルン先輩を見る目と、バルクホルン先輩の乙女な恥じらい見れば誰だってそう思うよきっと
ふと、後ろを振り向けば
シャーリー先輩が機械いじりをしている
隣には卿先輩
ドライバーを回す度に、弾む胸を卿先輩はためらいも無く凝視している
ブレない人だな、本当に
もうじき、零時間に差し掛かると言う時に、部室のドアが開く
無職「よかった!間に合った!!」
エーリカ「あー!!遅いぞ~!!で、面接どうだった?」
ハルトマン先輩が満面の笑みで出迎えたその人は、俺も最近出会った人で
この501特別課外活動の一員である
といっても、フミ高の学生では無く学外協力者と言う立ち位置らしいけど
無職「う、うん・・・なんか俺みたいな人材はもっと活躍できる場所があるって言われたよ!!」
芳佳「つまり落ちたんですね」
この人とはなんか親近感を感じる、と言うか安心したと言うか
だってこの部活って人外地味た人ばっかじゃん
エーリカ「よしよし、頑張ったね、また頑張ろうね~」
頭を撫でられる無職さん
親近感感じたのは嘘です、まったく感じません
無職「あ、俺君!!どう?戦闘慣れた?」
しかしこの人は絡みやすいと言うか、なんと言うか“人を引き付ける魅力”みたいな物を持っている気がする
初対面でも全く緊張せずにすぐに打ち解けられた程だから
俺「いや、全然です、銃を持つ事自体が怖くって」
無職「俺もさ、でもいつかここの人達と並べるように毎日努力はしてる、ちょっとずつでもね」
こうやって前向きな所も素敵だと思う
人徳って言うのかな?こう言うの
そんな無職ベタ褒めタイムが終わる、深夜零時を告げる鐘が鳴る
時計が止まる、物音が消える、そして世界は異形のモノの世界へと変わる
ミーナ「さて、みんな集まっているわね?」
さっきまでヘラヘラしていた部員達の顔が引き締まる
ピンと張った糸のような空気がさっきまでの騒がしかった空間に緊張感をもたらす
ミーナ「揃っているわね、では本日の予報を伝えます」
予報と言うのは、「ネウロイ出現予報」である、特別課外活動部の支援団体(どんな物なのかは教えてもらえなかった)が、毎日ミーナさんに伝える物で、いつ・どこで・どんなネウロイが出現するか大まかに纏められた物らしい
ミーナ「中央大通りに大型装甲戦車型が出現予定・・・コードネームは『ライノサウルス』です、進行予定は大通りを直進し、学生寮街をそのまま踏み潰して行くようね」
ミーナ「武装は実弾兵器がメインのようね、主砲を前面に一門、あとは細かい機銃がいくつか・・・完璧に力押しのタイプ。あまり私の趣味では無いわ」
そう言ってミーナさんがアギトさんの方を悪戯っぽく見る
うろたえるアギトさん、ミーナさんといつも視線を合わせないのはなんでなのだろうか?
坂本「サイズも全高30mか・・・今までで1番の大物だな、うちは接近戦メインのが多いしな・・・生徒会長殿は?彼ならこのサイズでも問題は無いだろう?」
もさなじみ「あー・・・あいつならHR終わった瞬間帰ったよ『興が乗らん』って言って、最近どっかのカフェに通いつめてるらしいぜ?ウェイトレスに恋でもしたか?」
アギト「このサイズに高火力か・・・たしかに厄介だ・・・ライノサウルスの主砲の射程外から高威力の一撃を叩きこむのが理想か・・・」
アギト「それが可能なのは、槍の『天槍』か魔人の『リジェクション』生徒会長の『勅視』・・・火力と言う点で見れば
アフリカの『魔導カートリッジ弾』・・・・そして」
全員の視線がある男に集まる
試作「ようやく!俺の出番ってワケだぁ!!!」
バルクホルン「確かにバスターライフルなら!」
ミーナ「えぇ、可能でしょうね・・・しかし問題点もあるの、戦場は繁華街、大きなビルも多くて障害物ばかり・・・確実にバスターライフルを当てるのも難しいわ」
アギト「だが、策があるのだろう?」
不敵に微笑むアギトさんへ、これまた不敵な笑みで答えるミーナさん
ミーナ「もちろんよ!敵をこの地点まで誘い出すの!」
バン!と、テーブルの上の大きな学園都市の地図に手を叩きつけて、ミーナさんが言う
エーリカ「ここって、スクランブル交差点だね」
サーニャ「あの四方を大きなショッピングビルで囲まれた場所ですよね?」
卿「で、誘い出してどうするの?ゔぃるるん?」
ミーナ「では、作戦を説明するわ」
先程見せた不敵な表情そのままに、ミーナさんの作戦説明が始まった
【学園都市 零時間 繁華街大通り】
ギシギシと不快な音をたてながら、その異形は街を往く
その目的など知るものはいない
本能なのだろうか?その巨体を、破壊と殺戮に使うために人間のより多くいる方向へと進んでいく
街灯はすべて消え、道を遮るモノなど何もない
信号機はなぜか全て赤のまま点滅を
繰り返している
そんな月明かりに照らされた都市に、依然として進軍を続ける異形の戦車の前に、1人の妖精が踊り出る
エイラ「鬼さんこっちら~♪手の鳴る方へ~♪」
白い髪に透き通るように白い肌が、暗闇の中に浮いて見える
そんな彼女は手を叩きながら、歌を唄い、ライノサウルスの気を引く
歌に乗せられたのか?それともネウロイとしての本能なのかは解からないが、ライノサウルスはエイラに向けて機銃を掃射しながら彼女を追いかけ始めた
最初の進行方向である、学生寮街を放棄して
エイラ「ホイ!ホイ!っと、そんなんじゃ当たんないヨ~♪」
まるで踊るように機銃の掃射をかわすエイラ、彼女の未来予知があって
初めて可能な事だろう
エイラ《こちらエイラ、第1フェーズ完了!もうすぐ所定のポイントダ!》
ミーナ《ザザッ・・了解、主砲はまだ撃ってないようね?そのままポイントへお願いします》
エイラ《ザザッ・・了解》
その後も見るも不思議な鬼ごっこは続き、エイラが先程ミーナが示したスクランブル交差点へと到達する
そこで彼女は立ち止まり、ライノサウルスの到着を待つ
再びギシギシと不快な音を上げながらもライノサウルスがスクランブル交差点へと侵入する
機銃が当たらないと理解したのか、立ち止まるエイラを踏みつぶそうとそのまま接近するライノサウルス
しかし、エイラは微動だにしない
『魔力造形!!鎖!!』<モデリング!!チェーン!!>
突如、繁華街に響く声
その声と同時に、ライノサウルスの巨体に極太の魔力で形成された鎖が巻きつく
その鎖はスクランブル交差点の四方にある大きなショッピングセンターにも巻きついている
どうやら動きを縛ったようだ
卿「ダメだよ、ネウロイちゃん・・・」
卿「女の子のお尻はね、追いかけるモノじゃなくて、愛でるモノなんだよ」
暗闇から現れたのは顔の整った、菩薩顔の少年
卿《ゔぃるるん?作戦通り捕獲したよ、もって10分って所かな?》
ミーナ《ザザッ・・了解、フェーズ3に移行!!全機!アタック!!》
《《《《《《《《了解!!!!》》》》》》》》
ミーナの声と同時に、四方のショッピングビルの屋上から機銃の掃射が雨アラレとライノサウルスへと降り注ぐ
シャーリー「いやっほーぃ!!」
エーリカ「それそれそれそれ~!!」
俺「う、うわわぁ~」
無職「あ、当たれぇ~!!」
バルクホルン「2人とも!目を瞑るな!!敵を見ろ!!」
もさなじみ「あー!やっぱ銃苦手だわ!!」
アギト「く、こんな物に頼らねばならぬとは、修行が足りんか・・・」
【学園都市 フミカネタワー 展望台】
繁華街の外れ、学園都市を一望できるこのタワーの展望台は、休日はもとより平日の夜にもカップルや子連れのファミリーで賑わっている
しかし今は営業時間も過ぎ、人の姿など影すら見当たらない
そんな展望台の一角に、瞬時にして転移してきた影が4個
テレポ「4人はしんどいな、さすがに・・・」
坂本「すまないな、感謝する」
試作「へ!バッチリ見えてやがらぁ!」
先程も述べた通りフミカネタワーは繁華街の外れにある電波塔である
只今仲間達がライノサウルスを捕獲している交差点が、この展望台からは丸見えだった
ミーナがあのポイントを選択した理由の一つがこれだろう
試作「さぁ!!運び屋!寄こしなァ!!バスターライフルを!!」
袖「ほいほい、了解です」
運び屋と呼ばれた、異様に袖の大きな珍妙な服を着た男が、袖の中に腕を突っ込み、銃口が2つ横に並んだ大型のライフルを取り出す
袖「どうぞ」
試作「久しぶりだなァ!相棒!!」
バスターライフルを受け取った試作は、この地点から遥か遠くに見えるライノサウルスに向け、銃を構える
そして、懐から液体の入ったプラスチックの容器を取り出し、一気に飲み干す
袖「これで自分達の仕事はおしまいですね、輸送代はいつも通りでお願いします」
テレポ「今回は人間2人にバスターライフル・・・お!結構いい値段じゃん!袖!明日旨いもん食いに行こう!!可愛いウェイトレスいる店見つけたんだ!!」
袖「いいですね」
そんな事を話ながらテレポが袖の服を掴み、またもテレポートで転移してしまう
坂本「まったく、食えぬ奴らだ・・・」
そんな2人を見送りながら、坂本が呟いた
試作「よし!魔道変換開始!!」
試作「テメェの命もあとわずかだぜェ、念仏でも唱えてなァ!!」
【学園都市 繁華街 作戦ポイントの交差点】
各々が四方のビルに分散し、ネウロイに一斉掃射をかけている
ライノサウルスの真下、交差点のど真ん中では、エイラと卿が下から機銃を撃っている
エイラ「これ効いてるのか?」
卿「ごめんねネウロイちゃん、緊縛の上に集団レイプだなんてごめんね・・・俺の趣味じゃないんだよ、ゔぃるるんの趣味なんだ」
少しずつだが、着々とライノサウルスの装甲がはがれていく、全く効果が無いというわけでもなさそうだ
それに危機感を覚えたのか、ライノサウルスは主砲を回転させ、己を縛っているショッピングビルの一本に照準を合わせる
発射準備が整い、直に弾が放たれると思った瞬間、機銃の物とは違う一発の銃弾が闇を切り裂いて主砲の砲口へと飲み込まれていった
発射寸前に異物を放りこまれた主砲は内部から爆発、崩壊してしまった
エイラ「ナイス、ヘイヘ!」
姿が見えない幼馴染へと労いの声をかけるエイラ
卿《ヴぃるるん!試作ちゃんのほうはまだかい!!??そろそろきっついかなぁ~》
彼の言葉通り、縛った鎖をどうにかしようと暴れるライノサウルスのせいで、今にも鎖は千切れそうでボロボロだ、これでは後3分も持たないだろう
ミーナ《ザザッ・・どうやら、間に合ったようね、最終フェーズへ移行します》
【学園都市 フミカネタワー 展望台】
未だ、バスターライフルを構えた試作は魔道変換を続ける
坂本「そろそろ、向こうが限界のようだ!いけるか!?試作!?」
試作「・・・変換率90%・・・行けるぜェ!!もっさん!!」
坂本「もっさん言うな」
縛られたライノサウルスは、どこからか自分を狙う危険な気配を察知した
それは、さっきから装甲をチマチマ削っている機銃の掃射でも、さきほど主砲に異物を放りこんだ忌々しい狙撃手の物でも無い
もっと、もっと危険な何かの殺気を感じ取ったのだ
その気配の感じる方向、フミカネタワーのある方向へ、ライノサウルスはとっておきの秘密兵器を撃つ準備を始める
前面の装甲を観音開きに広げ、そこに赤い閃光、すべてを一瞬にして焼き払う破滅の光を収束させ始めた
卿「まぁ・・・みんなの前で御開帳だなんて、そういう淫乱なのも嫌いじゃないよ」
ミーナ《まずい!!ライノサウルスは美緒達の存在に気付いてる!!美緒!!試作君!!危ないわ!!》
バルクホルン《ザザッ・・落ちつけミーナ、あの男ならこの程度問題無い》
ミーナ《ザザッ・・でも!!》
アギト《ザザッ・・案ずるなミーナ、仲間を信じろ》
【学園都市 フミカネタワー 展望台】
坂本「敵のコアはちょうど中心部だ、外すなよ」
右目の魔眼を煌めかせながら、坂本が試作に告げる
試作「誰にモノ言ってんだよ!もっさん!!」
両手でライフルを構え、前方に悪意に満ちた赤い閃光をこちらに向けているライノサウルスを照準に合わせる
しかし、彼が引き金を引くより早く、ライノサウルスはその破滅の赤光をフミカネタワーへと放つ
坂本「もっさん言うな」
坂本はまったく意に介さず、無礼な口を聞く後輩を諌める
試作「ターゲットロック・・・」
試作『フルブラストッ!!!!!』
バスターライフルの銃口から青い光
ネウロイの赤い光とは対照的な輝きを放つ光が発射される
しかし、対象的なのは色のみ、その破壊の本質は同じ
いや、バスターライフルの方が遥かに禍々しい威力を持っていた
迫るネウロイのビームを押し返し、飲み込み、青い光は都市を駆ける
夜空を切り裂いて、ライノサウルスを灰燼に帰して閃光は駆ける
坂本「ライノサウルスの消滅を確認」
試作「さよぉ~ならぁ~♪」
【戦闘後 学園都市 スクランブル交差点】
エーリカ「相変わらずの威力だね~」
シャーリー「一撃、だもんな」
試作「はッ!手ごたえ無さ過ぎだッつーのォ!!もうちょい骨のある野郎はいねェのかァ!!」
宮藤(やっぱり、戦闘の後の試作さん・・・いつもと違う・・・)
俺「な、なんすか?今の青い光・・・・すっげえ!!!」
一撃の元にライノサウルスを葬り去ったバスターライフルの駆け抜けた地に、作戦を終了した特別課外活動部の面々が集っていた
ゲルト「そうか、俺は初めてだったな。あれは・・・
ダルシム「強化型魔導変換ライフル!そしてあの輝きこそが人類を導く希望の光なのだ!!」
ミーナ「ダルシム委員・・・」
ダルシムと呼ばれたのは白衣を着た初老の男、どことなく冷徹な印象を他人に与える目をしていた
試作「なんだよ、定期健診は昨日行ったばかりだろうが。あんまり俺にそのツラ見せるんじゃねぇよ」
ダルシム「ふん、減らず口は相変わらずだな01。まぁいい先程の戦闘のデータ採取だ、いくぞ!貴様も『時間切れ』の無様な姿を大事な“お仲間”に晒したくはあるまい」
試作「ケッ」
なにやら不穏な会話をする2人を、訝しみながら見つめるのはバルクホルンとミーナの2人
ゲルト「・・・」
ミーナ「・・・」
試作「って訳で部長、先に帰らせてもらうわ」
ミーナ「ええ、また明日部室で」
彼等を見送る部員達は、やはりどこか腑に落ちない部分を感じていた
もさなじみ「なんっかよー、あのオッサン気に食わないんだよなー」
エイラ「私もあんまり好きじゃないナ」
俺「あの人は一体・・・」
ミーナ「あの人はダム・ダ・ダルシム理事員、研究者という立場で学園都市の設立に関与した方らしいわ・・・・そして、試作君の義父でもあるの」
ゲルト「とても、そのようには見えんがな。どちらにせよあいつには謎が多い試作の事も含めて、必ず私がその謎を暴いてみせる」
そう語るバルクホルンの瞳は決意の色に満ちていた
アギト「奴の事が気になるのも確かだが、今は零時間への対処が先だ。ミーナ、他にネウロイの反応は?」
そう言ってアギトがたしなめる、確かに今は零時間であり、いつネウロイが出現してもおかしくはないのだ
ミーナ「特に反応は無いわね、一応一通り市内を巡回して学校に戻りましょう」
各員「了解!!」
【零時間 学園都市 港湾地区】
アギト「やはり、今日はもう出現しないようだな」
ミーナ「そうみたいね」
俺「・・・」
部員達は各自コンビを組み、学園都市内の巡回へと回っている
俺は、アギトさんとミーナさんのコンビと共に学園都市の最東部にある港湾地区に来ている
港湾地区は物資の搬入口であるのと同時に、季節ごとの輝くイルミネーションに彩られており、カップル達のデートコースとしても人気スポットなのだ
今は零時間なので、イルミネーションも点いていたり、点いていなかったり様々だが
夜の海に並んで歩くアギトさんとミーナさんは、なかなか絵になっていた
だから俺は少し気をきかして5歩ほど後ろを歩く
アギト「・・・」
ミーナ「・・・」
潮風に髪を靡かせて、ミーナさんは歩く、アギトさんは彼女の顔を見ようともしない
そんな2人が、俺にはどこか憂いをはらんでいるように見えていた
アギト「この間、槍に会った」
ミーナ「そう・・・」
アギト「『俺の事を恨んでいるのか』と聞いて欲しいと言われた」
ミーナ「そう・・・」
アギト「あいつは俺が連れ戻す、お前のために・・・必ず」
ミーナ「・・・」
ミーナさんは、何も答えなかった
ただただ、悲しそうな顔で海を見つめながら
俺「あ!!!!!」
空気を読まず、思わず悲鳴をあげてしまった
ミーナ「どうしたの!?俺君?」
アギト「敵か!?」
ミーナさんが銃を構える、アギトさんは腰にベルトを出現させ、両手を前に掲げ変身の構えを取る
俺「ふ、埠頭の先!!水柱が!!」
ミーナ「な!?」
アギト「なんだ、あれは?」
俺の述べた通り、埠頭の先に大きな水柱があがる
その大きさは灯台を軽く飛び越え、まさしく超常の現象であった
そして、水柱の先には人影
水流に乗り楽しそうに笑う無邪気な少年は、まるで空を駆ける自由な魚
トビウオのようであった
最終更新:2013年03月30日 23:31