チリ車の俺 第三話「オールイン」
ドォンドォンドォンドォン!!・・・パラパラパラ
稜線に伏せた俺の目の前の地面が爆ぜて頭上から砂が降り注ぐ。
ピピ―――ッ!!
マイルズ「フォーワード!!」
ホイッスルの音と同時に匍匐していたウィッチ達が立ち上がり駆け出す。
ガキン!キュラキュラキュラキュラキュラキュラ
陸戦ストライカーの履帯を展開して砂丘を走行して下る。
ドォンドォンドォン!!
さらに俺の周囲に着弾。
俺「うわっ!っぶねー!!」
驚いて速度を落とす。
マイルズ「コラー!!怯むな、俺中尉!止まったら当たるわよ!」
俺「ええい、こんちくしょう!」
ザザ―――ッ
パトリシア「ムーブムーブムーブ!!」
アビゲイル「イェーハァ!!」
パットンガールズ達が砂塵を残して斜面を先行する。
北野「待ってください~、俺中尉~!」
俺「こっちだ!急げ!」
北野「は、はい~」
(チハ車のSA一二二〇〇VD魔道エンジンじゃ150呪力が限界だ。
こんな地形じゃ厳しいな・・・
これも後で報告書にまとめておくか)
マリリン「インカミーン!!」
俺「伏せろ!」
ガバッ
咄嗟に古子に覆いかぶさって地面に伏せさせる。
ドォンドォンドォン!!
またも至近弾で砂が舞い上がる。
またもまき上げられた砂が落ちてくる上に砂塵となって視界を奪った。
俺「近っ!
何考えてんだ、あいつらー!
当たっちまうぞ・・・
ほら行くぞ、北野軍そ―――」
なんとか古子を掴んで立ち上がらせようとしたとき、
ふにっ
俺「えっ?」
ふにふに
なにか柔らかい物に指が触れた。
砂塵が濛々と舞っていて良く見えない。
(なんだこれ?)
ふにふにふに
北野「んあっ・・・お、俺中尉さん・・・・そこはっ、んっ・・・///」
砂煙が晴れると、俺の手がしっかりと古子の控えめながら形のよい胸を捉えているのが見てとれた。
つまり、視界が晴れるまでの数十秒間おもいっきり乳を揉んでいたということになる。
慌てて手をどけて弁解する俺。
北野「お、俺中尉さん何するんですかっ・・・」
俺「あっ、いやこ、ここここれはその間違いでっ」
北野「あ、あはははは、そうですよね。びっくりしちゃいましたよー」
古子も顔を真赤にして乾いた笑いで応じた。
明らかにドン引きしている。
スパーン!
マイルズ「真面目にやりなさい!」
強烈な張り手が後頭部にヒットした。
俺「はいスミマセン、マイルズ少佐殿」
現在第31統合戦闘飛行隊『アフリカ』陸戦隊は空地直接協同作戦、エアランドバトルの為に訓練中である。
カールスラントの「韋駄天ハインツ」ことグデーリアン将軍が推し進めた電撃戦を基にした戦闘教義だ。
的確な航空支援の元、地上部隊がその機動力を最大限に発揮し敵戦線を食い破る。
特に広大な戦場で戦うことになる砂漠戦では機動力が肝だ。
そのため、現在アフリカ戦線では空陸両ウィッチによる連携作戦が推し進められていた。
最終的な目標、スフィンクス作戦―――つまりスエズ運河の解放―――を達成するためには不可欠だろう。
マイルズ「もう一度やり直しよ。
今度は躍進800m、一気に砂丘を駆け上がるわ。
全員砂地でフットボール出来るまで訓練よ!」
マイルズ《上空の航空隊、聞こえる?》
加東《良好よ》
マイルズ《もっと近くにお願い。
出来るわね?》
加東《了解》
マイルズ「さぁもう一度行くわよ。
全員駆け足で麓まで下りなさい」
全員「イェス、メイジャー!」
―――――――――
――――――
―――
モンティ「まだまだ、だな・・・」
モントゴメリーが双眼鏡を下ろしつつそう呟く。
訓練が行われている砂丘地帯から程遠くないまた一つの砂丘に砂漠の三将軍が佇んでいた。
もちろん目的は訓練の視察である。
パットン「まだ始めたばかりだ、仕方ないだろうが」
ロンメル「我がカールスラントの魔女達は既に戦闘教義段階から講習済みだ。
いつ実戦でも問題はない」
パットン「抜かせ。あの馬鹿でかいタイガーが付いてこれる訳ねぇだろ」
ロンメル「・・・
ティーガーについては本国で新型歩行脚が試作中だ。
直にこっちにも回ってくる」
モンティ「・・・仕方あるまい。
それでは我らが新司令官殿をお出迎えに向かうとするかね、諸君?」
パットン「ああ、行くか」
丁度本日が件の「タスクフォース」指揮官に就任するシェパードの着任日である。
そして三人は駐車してあったキューベルワーゲンに乗り込んで走り去った。
―――滑走路
パットン「それで、奴さんはまだか」
モンティ「すでにレーダーが補足した、じきに着くだろう」
パットン「ふん、何がタスクフォースだ。
急にやってきて指揮権を持ってくなんてアイクは何を考えてやがる」
ロンメル「なに、君の同国人だろう。せいぜい仲良くし給え」
パットン「ヤなこった」
モンティ「全く君らしいな」
パットン「結構!ズカズカと儂らのテリトリーに踏み込んできて勝手に全部持っていく輩など信用できるか!」
ロンメル「まあ、その点については我輩も同感と言わざるをえないな」
モンティ「私だって出来れば避けたい話ではあるが・・・連合軍総司令部からの意向では仕方が無いだろう?」
パットン「むぅ・・・」
そう押し黙ると懐から葉巻を取り出して愛用のジッポーで火をつけた。
モンティ「相変わらずシガーにオイルライター等と・・・これだからリベリアンは・・・」
パットン「黙っとれ」
―――同時刻、アフリカ基地上空C-47スカイトレイン機内
輸送機内のベンチシートに一人の初老の男が腰掛けている。
厳しく締まった口元に蓄えられた髭も、陸軍のシンボルである黒いベレーからわずかに覗く髪も白い。
肩の特殊戦スクールインシグニアと帽子の三ツ星が彼の地位を物語る。
ガッチリとした長身に野戦服を纏い、脇に吊り下げたショルダーホルスターには愛用の.44口径リボルバーが収まっている。
シェパード「4年前、私は瞬きの間に三万もの兵を失った。
だが世界はそれをただ傍観するだけだった―――」
誰にともなく、低く太い声でシェパードがつぶやいた。
「SHEPHERD」のネームタグが付いた胸ポケットから葉巻を取り出し、吸口をナイフで切り落としてマッチで着火して咥えた。
シェパード「そして、世界最強の軍事国家たる我々リベリオンは戦う意志を失った―――」
マッチの火を消すと、それを機内の床に放り投げた。
シェパード「しかし・・・この計画が成功すれば我々は再び立ち上がる」
ゆっくりと硬い座席の背もたれに体を委ね、つぶやいた。
シェパード「歴史は勝者によって記される―――」
操縦士「閣下、まもなく到着です」
シェパード「分かった」
確認するとシェパードは目を閉じた。
そして『ゴールドイーグル』はアフリカの地に舞い降りた。
―――第31統合戦闘航空団作戦司令部
シェパード「・・・諸君、私がシェパード大将―――いや、今は元帥だ。
現点を以て在アフリカ全兵力を私が総括指揮することになる。
第31統合戦闘飛行隊も私直轄のタスクフォース141として再編成されることになる。
その過程で諸君らも私の指揮下に編属してもらうことになった。
何か質問はあるかね?」
司令部、と言ってもただの天幕だが―――の前方にシェパードが立っている。
毅然と背筋を伸ばし、強くしかしゆっくりと三将軍に尋ねた。
そしてそれに答えた手が上げられる。
モンティ「理由は?
何故貴官がこのタスクフォースの指揮官に?」
シェパード「良い質問だ。
私が創設した特殊戦センターでは日夜新しい戦術の研究が行われている。
私が此処に来たのは、それをこの戦場にフィードバックするためだ。
そしてなにより、私は諸君らの誰よりも長く戦っている、それだけだ。
他には?
ロンメル「当面の作戦方針はどうなるのかね?」
シェパード「現在のスフィンクス作戦発動までの下準備を継続する。
以降はタスクフォース単位による特殊作戦を展開する」
パットン「なんだ、その特殊作戦ってぇのは?」
シェパード「現時点では機密事項だ。
諸君らが知る必要はない」
パットン「そりゃどういう風の吹き回しだ?!」
シェパード「落ち着きたまえ、中将。
ニード・トゥ・ノウの原則だ。
『今』、『ここで』、『君が』知る必要のない情報だ」
パットン「ふん・・・」
モンティ「具体的に我々はどうなるのかね?」
シェパード「今まで通り通常部隊の指揮を担当してもらう。
主に戦線の維持と防衛だ。
だがタスクフォースに編入する一部戦力と全ウィッチ隊は私の直接指揮下に置く。」
パットン「美味しいところは自分が持って行くってことか?」
シェパード「好きなように捉えてもらって構わん。
私はこの戦争に勝つために来た。
その為には『いかなる』犠牲も厭わん。
覚えておけ」
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――――――
―――
アフリカに来てから訓練漬けで嫌になりそうな日々。
そんな時に久々の非番日が回ってくる。
マイルズ「ちょっと付き合いなさいよ」
お決まりの台詞でマイルズの買い物に付き合わされる俺。
ということは俺SSシリーズお約束のお買い物回だ!
あんなトラブルやこんなハプニング、そしてもちろんチンピラに絡まれるのもお約束。
そしてマイルズにライバル出現?
なんと俺が市場で運命の出会いを果たしてしまう!
まさかの√変更か?!
乞うご期待
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最終更新:2013年03月31日 01:06