バルクホルン「コラー!ハルトマン!どこだー!?」

ハルトマン「わひゃひゃ!?」

俺「ん……あれ?」
ハルトマン「あ!ぐ、軍曹?起こしちゃった?」
俺「ここは……あ!俺眠って……!」

バルクホルン「む!そこかハルトマン!探したぞ!」

ハルトマン「あややや……!軍曹!話は後!とりあえず逃げるよ!」
俺「え?なぜですか?」

ハルトマン「トゥルーデがお説教から抜け出してきたから追っかけてきたんだ!」
俺「え、ええ!?」

ハルトマン「いいからホラ!逃げるよ!」ぎゅっ
俺「うわわっ!そ、そんなに強く引っ張らないで……!」

バルクホルン「コラー!逃げるなハルトマン!軍曹!お前もだー!」

俺「ええ!?なんで俺まで!?」
ハルトマン「はしれー!」
俺「は、はい!中尉どの!」

バルクホルン「コラー!!」

バルクホルン「もー逃げられないぞ」
ハルトマン「行き止まり……」
バルクホルン「観念するんだなハルトマン」じりじり
ハルトマン「ど、どうしよう軍曹」
俺「……」
バルクホルン「無駄無駄無駄だ!この状況で逃げられるわけが無いだろう!大人しく一緒に来い!」
俺「すみません、ちょっと失礼します中尉」
ハルトマン「へ?うひゃあ!」

ひょい

バルクホルン「んな!何をするつもりだ!?」
俺「えーと……すみません大尉。俺軍曹、エーリカ・ハルトマン中尉両名、撤退します」

バッ!

バルクホルン「なっ!」

ガッ!ガッ!ガッ!

ハルトマン「うあー!うあー!」
バルクホルン「か、壁を蹴って……!」

ダン!

俺「そ、それでは、失礼します!」ダッ
ハルトマン「さらばだー!」
バルクホルン「あ、ま、待て!」

バルクホルン「……この高さをハルトマンの奴を抱えたまま……。どういう身体能力をしてるんだ全く……」

ハルトマン「軍曹、軍曹」ぺちぺち
俺「な、なんですか?ハルトマン中尉?」タッタッタ
ハルトマン「もう大丈夫っぽいよ。そろそろ下ろしてー」
俺「あ、はい。すみません」ぱっ
ハルトマン「よっと」したっ
俺「撒けましたかね……」
ハルトマン「大丈夫だいじょーぶ。しかし軍曹すごいなー。ちょっとトキメいちゃったよ」
俺「いやその……あれぐらいでしたら……」
ハルトマン「あはは!照れるな照れるな。……さて!私はそろそろまた身を隠さないと」
俺「あ、はい」
ハルトマン「それじゃまた!楽しかったよ軍曹」くるっ
俺「あ、あのハルトマン中尉!」
ハルトマン「んー?」くるっ
俺「その……俺さっき寝てる時変なこと口走りませんでしたか?」
ハルトマン「……なんで?」
俺「その……実はさっきあまりいい夢ではなかったんですが……その、最後にハルトマン中尉が出てきて……」
ハルトマン「……」
俺「……すみません。なにを言ってるんでしょうね俺は……。忘れてください」
ハルトマン「大丈夫だよ」そっ
俺「あ……」
ハルトマン「大丈夫大丈夫」なでなで
俺「中尉……」
ハルトマン「……また一緒にお昼寝しようね。軍曹」
俺「……喜んで」
ハルトマン「ん!それじゃーねー!」たっ

俺「ハルトマン中尉か……」
俺「不思議な、人だな……」

俺「えーっと……たしか友から頼まれたパーツは……」キョロキョロ
俺「こっちかな……」
俺「あった、これだな。……む、結構大きいな。よっ」
俺「さて、戻るか。……ん?あれは……



ペリーヌ『え?学校が!?』

校長『ええ……申し訳ありません……先日の事故のせいで校舎か半壊してしまい授業もままならず……。校舎の修繕にはまだ暫くかかりそうです』

ペリーヌ『そんな……』

校長『もちろん外でも授業はできますが、だんだんと厳しい季節になってまいりましたし……子供達の中には体の弱い子などもおりまして……』

ペリーヌ『……』

校長『申し訳ありません……私が至らないばかりに……』



ペリーヌ「……ふぅ」
俺「どうしたんですか?クロステルマン中尉」

ペリーヌ「きゃわわっ!」
俺「おわっ!」

ペリーヌ「お、驚かさないでくださいまし!」
俺「も、申し訳ありません!中尉どの!」
508 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/09/29(水) 09:58:56.54 ID:k+C65l090
ペリーヌ「まったくもう……」
俺「す、すみません……それでその、中尉どのは一体ここで何を?あまり顔色が優れないようですが……」

ペリーヌ「え?い、いえ、なんでもありませんわ。少々考え事をしていただけです」
俺「そうですか……なにやら溜息をついておいでのようでしたので何かお困りかと思いまして」

ペリーヌ「そんなこと……って貴方、そんな大きい荷物よく持っていられますわね……」
俺「え?ああ、こういうのにはコツがあるんですよ。慣れれば少ない力で持ち上げられるようになります」

ペリーヌ「それにしても大きいんじゃ……」
俺「鍛えてますから」

ペリーヌ「はぁ……あ……」
俺「?」

ペリーヌ(これだけ力持ちなら、学校の修理も……)
ペリーヌ(……いえダメよ。これはガリアの問題。それに軍曹を巻き込むなんて……)

俺「あの、失礼ながら中尉」
ペリーヌ「へ?あ、はいはい。どうしました?」

俺「やはり何かお困りなのでは?」
ペリーヌ「え……」

俺「もし自分になにかできることがあれば、仰ってください。自分にできることなら、協力しますよ」
ペリーヌ「……」

俺「……」

ペリーヌ「……実は」
509 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/09/29(水) 10:00:12.26 ID:k+C65l090
俺「え!?学校が!?」

ペリーヌ「……はい」

俺「分かりました。行きましょう中尉」

ペリーヌ「え?」

俺「どうしました?」

ペリーヌ「え、でも、……いいんですの?そんなにあっさり……」

俺「何を言っているんですか。学校が壊れたんですよ?一大事じゃないですか」

ペリーヌ「は、はぁ……」

俺「ほら、早く行きましょう。作業できる時間が減ってしまう」

ペリーヌ「あ、ま、待ってください!」

ペリーヌ(詳しい話も聞かないで手伝ってくれるなんて……)

ペリーヌ(変なひと……)タタタ
510 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/09/29(水) 10:02:20.34 ID:k+C65l090
ペリーヌ「こちらですわ」
俺「……」
ペリーヌ「どうしましたの?」
俺「……こ、子供がいるなんて、聞いてないです」
ペリーヌ「学校なんですから子供がいるのは当然じゃないですか」
俺「しかし……」
ペリーヌ「子供が苦手でしたの?」
俺「いや俺が子供を苦手なんじゃなく……」
ペリーヌ「もう、どうしたんですの急に。ホラホラ行きますわよ」
俺「あ、ちょ、押さないで!」

ドン!

俺「あ……」
子供A「……」
子供B「……」
子供C「……」
俺「こ、こんにちは……」
子供A「ギャーーー!!」
子供B「カイブツだーーー!!」
子供C「いやーーー!!」
俺「あの……俺は子供が苦手なわけではないんですが……」
俺「子供が、俺を苦手なんです……」
ペリーヌ「……」
ペリーヌ(そ、そういえば最近は慣れましたけど、この方、顔が恐かったんですわね……)

511 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/09/29(水) 10:12:09.80 ID:k+C65l090
ペリーヌ「こら!貴方達!」

子供A「あ、ねーちゃん大変だ!カイブツだ!カイブツがでたんだよ!」
子供B「早く逃げなきゃ食われちゃうよ!」
子供C「ふぇえ~~~……」

ペリーヌ「お黙りなさい!この方はわざわざ学校を直すためにここまで来てくれたんですよ!」

子供A「え?」
子供B「コイツが?」
子供「……ほんとう?」

ペリーヌ「本当です。ほら、失礼なことを言ったこと、ちゃんと謝りなさい?」
子供達「「「……」」」

俺「あ、あの中尉。別に構いませんよ。慣れていますし……」
ペリーヌ「いけません。悪いことをしたら謝る。これは当然のことです。ほら、貴方達」

子供達「「「失礼なこといってごめんなさい!」」」

俺「あ……はい……」

ペリーヌ「よし!いい子いい子!」なでなで

子供A「子供扱いすんなよー」
子供B「……うー」
子供C「えへへ……」

俺「……」

512 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/09/29(水) 10:13:14.39 ID:k+C65l090
ペリーヌ「どうしました?」

俺「いえ、クロステルマン中尉は子供達と仲良しなのですね」

ペリーヌ「ま、まぁそこそこですわね」

俺「素晴らしいことだと思います」

ペリーヌ「う……」

俺「?」

ペリーヌ「ざ、雑談はこの辺にしてさっさと作業を始めましょう!」

俺「そうですね」ザッザッザッ

ペリーヌ(まったく……ああもストレートに言われると調子が狂いますわ……)

俺「クロステルマン中尉?」ひょい

ペリーヌ「うひゃ!?」

俺「うわっ!」

ペリーヌ「さ、さっさと作業を始めなさい!」

俺「は、はい!失礼しました!」

ペリーヌ「まったく、もう……」

トンテンカン……
男「軍人さん手際いいねー」
俺「慣れておりますので」

子供達「「「……」」」ジーッ

俺(み、見られてる、よな。これは……)
俺「あ、あの……どうしたのかな?」
子供C「ひっ!」
子供B「うわわわっ!」
子供A「ば、ばか!慌てるな!」

ペリーヌ(ん?あ、あの子達……)

俺「……」
子供B「あの……カイブツさんはねーちゃんとどういう関係なの?」
俺「え?」
子供C「こ、恋人だったり?」

ペリーヌ(んなっ!!)

子供A「ばーか、そんなわけねーだろ」

子供C「えーだって……」

子供A「ちがうったらちがうの!だろ!?」

俺「あ、ああ、うん。違うよ」


ペリーヌ(あ、当たり前じゃありませんの!)


子供C「恋人じゃないの?」

子供B「じゃなんでわざわざここまで来てくれたの?」

俺「んーそれは……」

子供B「それは?」


ペリーヌ「……」


俺「中尉が尊敬できる人だから、かな」


ペリーヌ(……え?)
521 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/09/29(水) 12:00:05.47 ID:k+C65l090
子供C「そんけいできるひと?」

俺「ああ。だから、中尉が困ってるのを見て、力になりたいって思ったんだ」

子供C「へー」

子供B「おまえわかんのかよー」

子供C「わかるもん!」

俺「ははは」

子供A「……」


男「おーい兵隊さん!悪いがちょっと来てくんねーかー!」


俺「はーい!……すまんね。ちょっと行ってくるよ」

子供B「いってらっしゃーい」

子供C「らっしゃーい」

子供A「……」



ペリーヌ「……おばか」
522 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/09/29(水) 12:01:33.21 ID:k+C65l090
男「これなんだがね……」

俺「これは、大きいですね……」

男「無理そうかい?」

俺「うーん、ちょっとやってみます。離れていてください」

男「あいよ」


俺「……ふー。ハッ!」グワッ!


男「うおー!」


俺「よいしょ!」ズズー……ン


男「すげーなアンタ!まさか持ち上げるとは思わなかったぜ!」

俺「鍛えてますので」

子供B「すげー!」

子供C「すごーい!」

俺「あれ、ついてきちゃってたのか……」
523 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/09/29(水) 12:03:02.14 ID:k+C65l090
子供B「すげー!すげーよにーちゃん!あんなの持ち上げちゃうなんて!」
子供C「すごいすごーい!」
俺「あ、いやね……ここは危ないから……」

ペリーヌ「こらっ!貴方達!」

子供B「うひゃ!」
子供C「きゃっ!」
ペリーヌ「ここは危ないから入っちゃダメだと言ったでしょう!」
子供B「ごめんなさーい……」
子供C「なさーい……」
ペリーヌ「まったくもう……行きますわよ」
子供B「はーい。また後でなーにーちゃん」
子供C「ばいばーい」
俺「あ……うん」
ペリーヌ「……」
俺「中尉?」

ペリーヌ「……が、頑張ってくださいまし」

俺「あ……はい!」
ペリーヌ「ほ、ほら!ついてらっしゃい!」
子供C「あれー?おねーちゃん顔まっかだよ?」
ペリーヌ「お、おだまりなさい!」
子供B「ぽっぽー!」
ペリーヌ「こ、こら!待ちなさい!こらー!」
俺「ははは……」

子供A「……」
ペリーヌ「まったく……あら?もう一人はどこに行きましたの?」
子供B「あれ?お前知ってる?」
子供C「しらなーい」
ペリーヌ「一体どこに……あれは!」

子供A「なんだいあれぐらいで……オレだってあれぐらい……」
子供A「ふんっ!ふんっ!」
子供A「ぜー……はー……」
子供A「ふ、ふん!オレだってアイツぐらいおっきくなれば……」

グラッ

ペリーヌ「危ない!」ガバッ
子供A「え?」

グオォォォッ!

ペリーヌ「くっ……!」
ペリーヌ(ダメ……!逃げ切れない!)ギュッ

ドズーン……!
529 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/09/29(水) 13:43:09.32 ID:k+C65l090
ペリーヌ「……あら?」
子供A「あわ、あわわわわ……」
ペリーヌ「痛くない……なんで……」

ポタッ

ペリーヌ「……え?」
俺「……大丈夫ですか?クロステルマン中尉」ググッ

ドズーン……

ペリーヌ「なっ……」
俺「君も、怪我はない?」
子供A「あ、う、うん……」
俺「よかった……」

ペリーヌ「よくない!」

俺「え?」
ペリーヌ「全然よくなんてない!だって、だって貴方、怪我してるじゃありませんの!」
俺「自分は慣れておりますので」
ペリーヌ「ばかっ!」
俺「え、ええ!?」
ペリーヌ「慣れていようがいまいが痛いのに変わりはないでしょう!?なのに……なのに……」
俺「あ、あの……中尉……」
ペリーヌ「ばか……ばか……しらない……もう……ばか……」ぽすっ、ぽすっ、
俺「……申し訳ありません。クロステルマン中尉……」

ペリーヌ「……ばか」ぽすっ
ぎゅっ……
男「今日はありがとうな、兵隊さん。おかげで助かったよ。あんたのおかげで、後は俺達でもなんとかなりそうだ」
子供B「ありがとー!」
子供C「ありがとー!」
俺「いえそんな……」

子供A「……」

俺(すっかり落ち込んでしまって……仕方ないか……あんな事があったんだ)
ペリーヌ「軍曹、そろそろ……」
俺「あ、はい。……では自分達はこれで……」
男「おう!また来てくれよ!今度は立派になった校舎を拝ませてやるよ!」
子供B「またなー!にいちゃん!」
子供C「ばいばーい!」
俺「ありがとうございます。きっとまた……」

子供A「……また」

俺「!」

子供A「また、ね……」
俺「……うん。また」

子供A「今度会うときまでに、オレも強くなってるから……だから……!」
俺「ああ。楽しみにしてるよ」

子供A「うん!ばいばい!」

俺「……さようなら!また会いましょう!」

大魔神11へ続く
最終更新:2013年01月28日 13:15