1939年2月末、雪でカイザーベルクの町が白く染まる中
俺は正式にカールスラント空軍第52戦闘航空団第2飛行隊に軍曹扱いとして配属された

俺「それではお世話になりました、この恩は必ずお返しします」

ゲルト母「寂しくなるわねぇ…娘だけじゃなく息子まで出て行っちゃう気がして…」

クリス「うぅ~…」

バルクホルン宅の前で軍服に着替えた俺は少しの荷物を持って玄関の先でバルクホルンと並び、ゲルト母とクリスに向き合っていた
第52戦闘航空団第2飛行隊はカイザーベルクより離れた土地にいるらしく、この世話になった家から離れなければならない

バルクホルン「そんな顔をしないでくれクリス…私も俺も休暇が取れたらまた帰ってくる」

クリス「本当?」

俺「ああ、本当だ それまで良い子にしてるんだぞ?」ナデナデ

クリス「うん…」

元気が無く俺とバルクホルンを見上げるクリスの頭を撫でているとゲルト母が俺へと近寄り俺の手に外部が木製で出来た少し小さな筒のような物を持たせる

ゲルト母「ゲルト父から渡して欲しいと頼まれましたので、受け取ってやってください」

俺「これは…?」

俺が木製で出来た少し小さな筒を少しだけ揺すると液体らしきものが入ってる感覚がする

ゲルト母「父が良く飲んでいるブランデーが入っています、この時期は寒いですからね もし眠れなかったら飲んで欲しいって言ってました」

俺「俺17ですよ?」

ゲルト母「私もそう言ったんですけど細かい事を気にしたら駄目だって言われちゃいましてね、カイザーベルクの人じゃなかったらここの近辺は
 寒いだろうって 父の優しさなんです 受け取ってやってください」

俺「分かりました、ありがとう御座います っと伝えてもらって良いですか?」

ゲルト母「ええ、もちろんですよ。 あの人も何時も泣いてばかりでしたが娘が嫁ぐのにまだ抵抗があるだけで、貴方の事を嫌ってた訳じゃないの」

その言葉を聞いて俺は照れるような、そんな気持ちが心をくすぐる

ゲルト母「休暇が取れたらここに帰っていらっしゃい私達皆で歓迎しますよ 帰ってきたらアイスバインをご馳走してあげる」

ゲルト母が笑いながら言うその言葉にこの寒空の下、俺は心が温まる

俺「…楽しみにしています!」

バルクホルン「母上、あまり俺を甘やかさないで下さい…」

ゲルト母「帰ってくる楽しみがあれば頑張れるわよ、トゥルーデも体に気をつけてね また帰っていらっしゃい」

バルクホルン「はい母上、それではそろそろ汽車の時間だ行くぞ俺軍曹」

俺「了解、バルクホルン中尉殿」

白に近い灰色に染まった空の中、俺は世話になりっぱなしだったバルクホルン宅に別れを告げ
二つ後ろ髪をしばった小さな軍人の後ろに着き、第52戦闘航空団第2飛行中隊の在る基地の近辺へと向かう汽車が来る駅へと向かった


      ◆


1939年 2月末 カールスラント領内 汽車内

バルクホルン「しかし驚いたものだ…」

俺「何がですか中尉?」

俺とバルクホルンは汽車に乗り、配属された部隊の居る基地へと向かっている所だ

バルクホルン「これから向かう先の事だ」

俺「たしか第52戦闘航空団第2中隊ですよね?」

バルクホルン「部隊は覚えているようだな、だが私達はこれから向かう先はこの間行ったカールスラントの本部のある基地だ」

俺「うぇ…」

俺は先日行われた面倒を通り越すような調査を思い出して少し嫌な顔をする

バルクホルン「本来私達の居る部隊、第2中隊は前線に居た部隊なのだ だがお前の配属と共に本部基地防衛の任の為に
 52戦闘航空団第2中隊自体が前線から異動したのだ」

俺「どうしてまた…」

バルクホルン「おおかた、異例だった男性ウィッチの戦力になるまでの保護だろう…本部防衛とは言えあまり攻撃の晒されない場所だ
 私の昇進も先延ばしだな」

俺「あら…迷惑かけちゃいましたね」

俺の言葉にバルクホルンは対面式の椅子で両腕を組んで少しだけ息を吐きながら俺を見据える

バルクホルン「なに、お前が戦力にさえなれば良い そうすればまた前線に行けるだろう
 本部はそれを見越してお前を手近においているはずだ、多分な…」

彼女には珍しく言葉尻を濁す

俺「国籍不明の俺の監視もあったりして」

その言葉にバルクホルンはまだ幼さの残る顔を少しだけ暗くする

俺「…冗談ですって!俺が戦力外なのは承知の上ですし、これから戦力になれるように頑張らないとね
 一人でネウロイでしたっけ?それを倒せればバルクホルン中尉がお嫁さんになってくれるんだろう?」

少しだけ茶化したように俺は気分の落ちたバルクホルンに語るとバルクホルンは暗い顔から少しだけ朱を帯びた顔で俺のほうを向く

バルクホルン「なっ!?た、確かに一人で倒せればと言ったがすぐ嫁になるとは言ってない!考えると言ったんだ!」

俺「了解中尉、それだけで満足ですよ俺軍曹、全力を持って頑張らせて頂きます。 なんてね」

少しだけ騒がしい二人は汽車に揺られ、カールスラント本部基地へ向かっていった


      ◆


 汽車に揺られ、たどり着いた帝国カールスラント本部防衛基地は俺を歓迎するというよりも警戒するような扱いを受けた
 カールスラントでは国籍に誇りを持っている軍人が多く、国籍不明な上異例の男性ウィッチとなれば周りの反応も薄く、警戒しているような態度を取られ
 俺とって比較的寒い北方の土地カイザーベルクの暖かさとは裏腹にこの本部防衛基地はとても寒い場所だった
 例外が約2名居たが…

本部防衛基地内 第52戦闘航空団第2中隊専用ガレージ

俺「…」カチャカチャ…

エーリカ「あー…めんどくさいよー…」カチャカチャ…

新人だった俺はバルクホルンの命令にて自分のストライカー『メッシャーウルフ BF109G』の理解を深める為という名目で整備をさせられていた

俺「これ位かなぁ…」

エーリカ「俺ーこっちもお願いー」

俺「ハルトマン少尉、そのお願いは聞きかねます…」

エーリカ「えー…だって同じ機体じゃん…」

俺「いえ、同じ機体ですが…それを俺がやったら俺がバルクホルン中尉に怒られますよきっと…」

エーリカ「ぅー…」

バルクホルンから俺と同じ命令を受けた専任のエーリカ・ハルトマン准尉は小さな姿とその言動も相まってとっても幼く見える

俺「う~ん…」

エーリカ「わわっ!?どーしたの?」

少しうなりながら俺はエーリカの顔を見つめる

俺「ハルトマン少尉と俺って何処かで会いましたっけ?」

エーリカ「会ってないねぇ…口説く台詞なら10点以下だよ?」

俺「そうですか…気のせいでしたね、あ、ここ緩んでますよハルトマン准尉」

エーリカ「あ、本当だ やってくれる?」

俺「しょうがないですねぇ…バルクホルン中尉には秘密ですからね」

エーリカ「りょーかい、にしし!」

微笑むエーリカと立ち居地を入れ替わって俺と同じ彼女のストライカー『メッシャーウルフ』を整備し始める

エーリカ「ねぇ俺」

俺「なんですかハルトマン少尉?」

エーリカ「エーリカで良いよ?」

俺「上官ですよ…」

エーリカ「ぶーぶー」

俺「…エーリカ少尉」

エーリカ「う~ん…ま、いっか」

エーリカの要望を最低限の限度を着けた俺の答えに若干不満そうだが彼女は納得したかのように続ける

エーリカ「俺って何で戦ってるの?」

俺「何でって言われても…食べるために?」

エーリカ「俺ってカールスラントの人じゃないでしょ?」

彼女の言葉に整備の手が止まる

俺「…そうですね」

エーリカ「それなのにカールスラントの為に戦うんだよ?」

俺「カールスラントの為…」

エーリカ「俺が国籍不明なのは知ってるけど、命を賭けて戦う事になるよ ここは最前線から遠いけどそのうちね」

俺(クリスが言っていたネウロイというのは本当で、国を破壊し尽くす怪物で、命を賭けて戦う事になる…このストライカーを履いて空を飛んで…
 最初は実際にこれで空を飛んでみた時はビックリしたが、実際は戦わなければいけないんだよな…)

エーリカ「複雑そうな顔してるね」

俺「まあ…な、けど俺の居た国は無いんだ」

エーリカ「え…あ、ごめん…」

少しだけ淡々と話していたエーリカが急に謝って少しだけ俺は驚いた

俺「いや、国は無いというか帰れないっていうか…俺はここで過ごす以外無いんだ」

エーリカ「そっか~…ねぇ」

完全に整備の手が止まった俺の肩にエーリカは手を当てて質問をする

エーリカ「自分の国に帰りたい?」

俺「…帰れれば、な」

エーリカ「そっか、ネウロイを倒したら帰れると良いね 俺の国に」

俺「そうだな…っと整備の続きしないと」

エーリカ「よろしくね~」

俺「りょーかい、少尉殿」

ゆったりとした口調に戻ったエーリカは機材の箱を椅子にして整備している俺を眺め
少しした後、結局バルクホルンに見つかりこっぴどく二人とも叱られた


      ◆


帝国カールスラント本部基地内 俺の部屋

俺「ただいまっと…」ボスッ

俺が第52戦闘航空団第2中隊に配属されてから宛がわれた元機材室の手狭な部屋に置かれたベットに飛び込み仰向けになる

俺「帰りたい…か」

 俺はただ普通に生活していたら突然60年以上前の日本でも無い土地に居て、路頭に迷いそうになったらバルクホルン中尉に
 (殴り飛ばされたけど)保護してもらって…
 今を生きるので精一杯だったからエーリカ准尉に言われるまで忘れかけていた、帰りたいという気持ち

 彼女の言う通りこれから俺も命を賭けて戦うだろう、軍人になったからには
 しかし軍人にならなければ他に生きることは出来なかっただろう…この基地に来て身に染みている
 例外のバルクホルン中尉やハルトマン准尉を除けばほとんどの人間は俺の事を警戒している、多分国籍不明だから
 そんな俺は何処でも雇ってくれなかっただろうな…バルクホルン中尉の紹介が無ければ…

俺「けど帰る方法も分からないよなぁ…」

 バルクホルン中尉に殴り飛ばされてから回復した後、1度だけ俺がこの世界で始めて目覚めた場所に訪れた事がある
 けど帰る方法なんて見つかるわけも無くその後軍に入る手続きやら身体検査やらで忘れて行ったんだっけか

俺「どーしたいんだろうな、俺は」

 帰れる方法が無い以上ここで戦うしか無い…けどそれで良いのか分からない
 突然こんな所に来て突然ウィッチになって、多くの突然があって何を信じて行けば良いのか、ただ流されるべきなのか…

俺「わかんね…」

不貞寝するように仰向けから体を横に向けると小さな机の上に手紙が二つあった
その手紙を俺は手を伸ばして取り、中身を空ける

俺「一枚目は…バルクホルン中尉から? あー休暇の連絡か…律儀な」

そう思いながら今度は2枚目を取り出す

俺「これはゲルト母さんから…3月後半初め頃に休暇が取れたら帰っておいで? 確かにこの日は休みだし明日にでもオッケーの返信の手紙書くか」

それだけ呟いて俺は2枚の手紙を小さな机に戻してバルクホルンによりエーリカを手伝った連帯責任としてデカイ基地周辺を5週もさせられ
悲鳴を上げている体を労わる様にゆっくりと仰向けに戻り、眠りに着いた


      ◆


1939年3月後半初め頃 カイザーベルク

俺「う~…さみぃ…雪だらけだな…」ザッザッザッ…

 3月に休暇の取れた俺はゲルト母の手紙の招待によりカイザーベルクへと戻り、バルクホルン宅に向かう前に俺が始めて気がついたカイザーベルクの町を見渡せる白くなった山道へと来ていた
 カイザーベルクは未だに冬の最中で雪も降り積もり若干歩きにくかったが、自分の始まりの地で自分がどうしたいのか確認する為にこの場所に来たのだ

俺「着いた、っていっても雪が積もっていて良く分からん…」

俺が寝ていた場所らしき所で足を止め、その周辺とこの高い場所から見えるカイザーベルクの町を見渡していた

俺「気温は-0度以上って所か…クリスを助けてなかったら今頃俺どうなってたんだろ…」

 考えたくも無い、一文無しで…ってこれは今も変わらないか
 食事も仕事も無く、1月の寒空の下で過ごせるわけも無く…
 そんな事を考えて俺は身震いを起こした

バルクホルン「こんな所で何をやっているんだ?」

俺「…ちょっと探し物をな」

 雪が少しだけ積もった山道の、俺の背後からバルクホルンは厚手のコートを身にまとって現れる

俺「その格好寒くないか?」

バルクホルン「そうでもないぞ、このコートはかなり暖かい」

俺「いや下さ…」

 厚手のコートを上半身に纏っているが下半身はやはり水着なのか下着なのか分からないローレグな物を履いている
 そこに軍靴のようなロングブーツを履いているが…この白のようで灰色な寒空の中でその姿は見るだけで少し堪える

バルクホルン「ん?このズボンか?これは軍用ズボンでな魔法力で体温や衛生面を管理してくれるからな」

俺「そっか…バルクホルン中尉はどうしてここへ?」

バルクホルン「母上からいつまで経っても俺が帰ってこないと言われてな、探したんだ」

俺「もうそんな時間か…明るくて分からなかったな」

バルクホルン「このカイザーベルクは白夜になる事が多いからな、夜でも明るいのさ」

俺「明かりが要らなくて助かるな…なあバルクホルン中尉、中尉は何で軍に入ったんです?」

バルクホルン「そうだな…ネウロイが欧州に現れてから奴らは勢力の広げここカールスラントの近くまで来ているのは知っているな?」

俺「ウィッチに入隊した時に嫌でも聞かされたよ…」

ウィッチとして入隊した時にバルクホルンから耳にタコが出来るくらい聞かされた話を思い出し、少し俺はげんなりした顔をする

バルクホルン「いずれここカールスラントにも勢力を伸ばしてくるだろう、私の故郷であるこの地を…家族を守る為に、その力があるから
 私はウィッチとして入隊したんだ」

俺「故郷…か」

その言葉を聞いて俺は自分が最初にここに着たであろう地面を見る

バルクホルン「…すまなかったな」

俺「…?」

バルクホルン「お前を戦わせる事になってしまって…」

俺「どうしたんですか中尉?」

急に謝るバルクホルンに俺は顔を上げてバルクホルンを見据える

バルクホルン「整備兵としてお前を軍へ招待したはずが…戦うウィッチとしてしまったのは私だ」

俺「ウィッチとしての素質があるから…らしいですけどね 異例の男性ウィッチですから、分からなかったのも無理は…」

バルクホルン「分からなかったでは済まないんだ、その為に戦う事になるんだぞ?命だって危うくなる…
 お前は自分の国へ帰りたいのだろう?」

俺「…俺は自分の国に帰れないんだ」

バルクホルン「軍に入ったからか?私の責任だから私が直訴してお前を…」

俺「違う!」

急に上げる俺の否定の声にバルクホルンは言葉を続けられずに止まる

俺「俺の国はもう無いんだ…ここに来てはっきり分かったんだ、いや解っていたのに目を逸らしていたんだ」

突然60年以上前に飛ばされ、その地を確認するも何の変哲も無いこの土地に
帰れる手段一つも残されていないこの土地に怒りを通り越してあきらめる感情を抱きながら言葉を続ける

俺「だから…良いんだ…戦う事も、疎まれる事も…全部…」

俺はバルクホルンに背を向け、カイザーベルクの町に歩みを進めようとすると
後ろからバルクホルンに抱きとめられる

俺「うぉ!?」

バルクホルン「諦めて戦うなんて事はするな…本当に死ぬかもしれないぞ?」

俺「…」

バルクホルン「お前が周りから疎まれているのも知っている、だが私はお前を疎みはしない」

12~3歳の少女に抱きとめられ、俺はどうして良いのか分からずそのまま動かずに居る

俺「国籍も解らないんですよ?」

バルクホルン「それがどうした?カールスラント人は自国に誇りだってある、私もそうだ
 だがな、お前を信用に足る人間だと私は思っている」

俺「…どうして?」

バルクホルン「妹のクリスを必死で助けてくれた、私にとってそれだけで十分な事なのだ」

俺「あれは…迷子を助けるのは当たり前で…」

バルクホルン「その気持ちと行動力だけで信用に足るんだ」

バルクホルンは抱きとめていた腕を離し、背中を向けていた俺を向き直らせる

バルクホルン「なあ俺、お前が私を、私達家族をどう思っているかは知らないが私達はお前を大切に思っている
 それだけは覚えておいてくれ」

俺「…嬉しいですね」

バルクホルン「お前の故郷が何処にあるか、何故帰れないのかは知らない だがな、お前さえ良ければここカイザーベルクがお前の故郷だ
 今でもお前を待っている人達が居る 少なくとも私達家族はな」

俺「ここが故郷…」

白夜に包まれ、生活の日が灯り始めた家々を見渡す

バルクホルン「ああ、それとな…俺」

頬を掻いて少し気恥ずかしそうにする少女は目線を合わせずに言葉を続ける

バルクホルン「その…私達家族の前や、部下が居ない所だったら私の事をトゥルーデと呼んで構わんぞ?」

俺「その呼び方は気恥ずかしいのでは?」

バルクホルン「確かにそうだが、信用に足るお前にそう呼ばれるのも良いと思ってな、あと部下が居なかったらもう少し崩して喋っても良いぞ」

俺「…本当に?」

バルクホルン「場所を弁えれば、だけどな」

俺「りょーかい、ありがとうトゥルーデ」ナデナデ

バルクホルン「なっ!崩しても良いと言ったが気やすく触るな!子ども扱いするな!」

急に撫でられたバルクホルンは頬を赤らめて俺に抵抗する

俺「ごめんごめんw ついね」

バルクホルンは少しだけむくれてカイザーベルクの町に戻ろうとする背後に俺は声をかける

俺「トゥルーデ、俺は戦える この国を、この町を、この故郷を守る為にね」

バルクホルン「そうか…」

俺「後は一人でネウロイを倒したらトゥルーデが嫁になってくれるみたいだし頑張らないとねぇ~」

バルクホルン「あ、おい!?また話が飛躍しているぞ、私は考えると言ったんだ!」

俺「あれ?そうだっけ?」

バルクホルン「そうだ! 全く、こんな日に疲れるなんて思いもしなかった…」

俺「何かの日なの?」

バルクホルン「ああ、お前は聞かされてなかったようだが今日は私の誕生日なんだ」

俺「え゛っ!?プレゼントとか用意してないよ…ゲルト母さんも教えてくれば良いのに…」

バルクホルン「多分そうだろうと思った…よし、今日私を疲れさせた罰として買い物に付き合え それで許してやる」

俺「了解、俺軍曹 トゥルーデの為にがんばります!」

バルクホルン「よろしい、では行くぞ」

俺とバルクホルンは俺が始めてこの世界に来た場所に背を向けカイザーベルクへと帰ってゆく

俺(ありがとうトゥルーデ、この世界で生きる術をくれたのも、帰るべき場所をくれたのも君のお陰だ
 本当にこの国を守るほどの力が俺にあるかは分からないけど、いつかトゥルーデを守れるくらいにはなるから)


      ◆


 それから俺はトゥルーデに対抗するように訓練に明け暮れ、更に年下のハルトマンにもボロボロに負かされながらも何とか力を付けて行ったけど
 パ・ド・カレー戦で結局撃墜されたんだよな…かっこ悪いとは自分でも思う

 その時にウーシュに助けてもらったのに、20歳を過ぎて魔法力が減衰していく中ウーシュの反対を押し切って
 トゥルーデの噂を聞いてガリアへ応援に行ったら案の定撃墜されて…
 今度は敵だったネウロイに助けられて、ガリアが開放されてから見つかったらしくてガリアの部隊が解散してたからまたウーシュの世話になったんだっけか…

 回復してからウーシュの研究所の隅っこを借りて諦めきれない思いをぶつける様に、『にわか』だけど未来の知識を借りて
 ロータリー魔道エンジンとストライカーオペレーションシステム、そして魔力蓄積炉を搭載したロータリーストライカーを作った
 初撃墜の時にウーシュのスパルタ飯の教科書学習と彼女の手伝いが無かったら出来なかっただろうなぁ…
 ウーシュに迷惑かけっぱなしだな

 それから501に派遣されたらトゥルーデが居てビックリしたさ、本人もビックリしたのか石柱に頭なんかぶつけてたなw
 それから色々あった、シャーリーの手を怪我させそうになったり、エーリカに裸で抱きつかれたり、トゥルーデと一緒に風呂に入ったり

 『オペレーションマルス』の作戦が始まるまでは楽しかったかもしれない
 最終作戦の時は俺を助けてくれたネウロイの目的と、俺がトゥルーデを守りたい目的が一緒だったから志願したんだ
 もしかしたら死ぬかも知れない作戦だったから遺書を書けなんて言われたけど…トゥルーデに指輪渡せたから特に何も書かなかったっけ

 それからもウーシュ製の魔法力蓄積炉大量搭載の特別ストライカーを作ってもらったり、試作のフリーガーシュレックを引っ張り出してもらったり
 本当に世話になったな…ただ思っても見なかった事に、船の上で俺の初めてを奪われた。でもそれでも良かったのかも知れない
 トゥルーデには悪いけど…俺はウーシュに何も返せなかったから

 それから最終作戦を完了させて、乱入した敵機体が居て、倒したのは覚えてるけどイマイチ記憶が曖昧だ…
 その間に俺を助けてくれたネウロイが俺の体の中から消えていて、しっかり自分の言いたい事を伝えられたのか心配だけど…多分大丈夫だろう
 その後は良く分からないけど、俺の目の前にトゥルーデが居るって事は皆無事なんだろう
 この世界に来てから6年、帰りたいと思うことはやはりあったけど俺が初めて気がついたあの場所は既にネウロイに破壊されてもう帰る手立て所か原型すら残っていないだろう
 けど俺は寂しくは無い、トゥルーデが、信頼してくれる仲間がここには居るから

 過去を振り返り、1945年の月明かりの灯る501の医務室のベットの中で腕を枕代わりにして俺を向いて寝ているトゥルーデの頭を再び撫でた

最終更新:2013年01月28日 14:49