これは本編とちょっとだけ(設定のみ)しか関係ありません**
1944年12月 某日
ガリアが開放されてから数ヵ月後
ノエル・カールスラント 港隣接基地 夜
俺「ふぅ~…いつかも思ったけどやっぱり寒いなここ」
ウルスラ「そうですか?カールスラントに比べればあまり寒くは無い気もしますが…」
俺「港だから風が強いってのもあるのかもなぁ…っとそろそろ赤城の着艦が終わるな」
ウルスラ「そうですね、行きましょうか」
俺とウルスラは所属している開発省宛の物資を運んできた扶桑艦空母『赤城』の着艦を港に隣接した基地で待っており
着艦を確認した二人は赤城の積み下ろし作業をしている場所へと向かう
俺「すみませーん、カールスラントの技術省の者なんですけど」
「あ、は~い、ちょっと待ってくださいね~」
遠巻きに自分の身分を赤城に載っていたと思われる人に伝えた所、女性の返答が帰ってきて他の船員になにやら聞き出して
少し忙しそうにこちらにやってきた
「お待たせしました!技術省の人の荷物はこっちですよ」
俺「…?スオムスの軍服?」
赤城から出てきた女性は扶桑の軍服ではなく青を基調とした暖かそうなスオムスの軍服と白い重ね履きのズボンを履いており
ショートヘアの少し薄い金髪が港の風に揺られている
ウルスラ「エルマ少尉?」
「え!?う、ウルスラ中尉ですか?」
俺「知り合いなのか?」
ウルスラ「はい、スオムス義勇独立飛行中隊に居た頃の上官の方です」
俺「道理でスオムスの軍服を着ているわけだ…」
エルマ「久し振りですねウルスラ中尉!」
ウルスラ「お久し振りですエルマ少尉、お元気そうで」
エルマ「ノイエ・カールスラントに寄るとは聞いてましたけどまさか会えるなんて…嬉しいですね~こちらの方は?」
俺「カールスラント技術省所属の俺中尉です」
エルマ「技術省の方でしたか、あ、申し送れました わたしはスオムス空軍所属のエルマ・レイヴォネン少佐です
第507統合戦闘航空団の補佐官として…」
とそこまで言った所でエルマはウルスラによって口が塞がれる
ウルスラ「…それ以上は機密ですよ少佐」
ウルスラの一言にはっと気がついたエルマはウルスラの手が彼女の口から退けられると自分の手で押さえる
エルマ「す、すみません~…」
俺「お、俺に謝られても…というか少佐…上官なんだ…」
涙目になり幼い印象を持つエルマを見て俺は信じられないといった顔で彼女が震えているのを見ていた
少ししてエルマは深呼吸して落ち着きを取り戻す
エルマ「すみませんでした、この事は誰にも…」
俺「言いませんよ、というより重要な部分はウーシュが防いでくれたかもしれませんし」
エルマ「あ、ありがとうございます…」
ウルスラ「少佐はどうして赤城に?」
エルマ「それはですね、基地指令からスオムスへの補給物資を扶桑から受け取るように言われて
北欧から出る赤城に乗って扶桑まで行ってたんですよ ついでに手伝って来いって言われました」
俺「使いっぱしり…?」
エルマ「それは言わないでください…ぅぅ…往復で約1ヶ月も掛かるなんて思わなくてクリスマスに
間に合いませんでした…今頃507では楽しく過ごしてるんだろうなぁ…」
俺(統合戦闘航空団って大体前線基地じゃなかったっけ?)
ウルスラ(迫水ハルカ中尉の居る基地でクリスマス…あまり想像したくありませんね…)
エルマ「お仕事だから仕方ないのです…せっかくですから俺中尉とウルスラ中尉にコレあげちゃいます」
そう言われてエルマから紙巻タバコの箱くらいのサイズの箱を受け取る
俺「どうも…これは何ですか?」
エルマ「スオムスでよく食べられる飴ですね、クリスマスなのでプレゼントしちゃいます!」
俺「どうも、黒い飴か なんか黒糖で作った飴を思い出すなぁ…」
ウルスラ「…あ、俺さn」
ウルスラが何か言おうとしたが俺は受け取った箱から一粒の黒い飴を取り出してそれを口にすると
全身を一瞬だけビクっと大きく震わせた後、小刻みに体を震わせ始めた
そんな俺の反応をよそにエルマは眩しいくらいの笑顔を見せる
エルマ「サルミアッキって言うんですよ~美味しいんですよね~」
俺「ふぁぃ、おいひいです…」
ウルスラ「…」
口の中に広がる何ともいえない独特の苦味と甘味料、そして香りが支配する独創的な味のサルミアッキを
俺はエルマの目の前で吐き出すことも出来ずに若干涙目になりながらそれを頬張り、無理やり飲み込む
俺「はぁ…はぁ…はぁ…」
ウルスラ「俺さんサルミアッキを知らなかったんですね…」
俺「先に言ってくれ…」
ウルスラ「言おうとする前に食べちゃう俺さんが悪いんですよ」
エルマ「どうかしましたか?」
俺「い、いえ、なんでもないです!」
ウルスラ「エルマ少佐、私達の機材はどのあたりにありますか?」
エルマ「あ、そうでしたね こっちですよ~」
俺の反応に疑問が残るエルマだったが、思い出したかのように赤城から降ろされた物資の箱の間を縫って二人を案内した
俺「えーっと、研究用の資材関係と各種部品…とぬいぐるみ?」
ウルスラ「それは開発室の人がたまに取り寄せるものですね」
俺「気楽だねぇ…今日はクリスマスパーティーとか開発室でやってるみたいだけど…」
ウルスラ「私達研究員もたまには息抜きが必要ですからね」
俺「そんな日に俺達は開発室から出てお仕事してるんだけどね…っとこれで全部かな」
エルマ「わかりました~、カールスラント技術省の荷物はチェック完了ですね~」
エルマは船員から受け取ったであろうバインダーに挟まった荷物一覧票の紙にチェック完了の印をつける
エルマ「直接持って帰られるのですか?」
俺「一部急ぎで欲しかったから二箱だけ持って帰りますよ、あとは軍の補給班にお任せですねぇ」
そういって俺は目の前に10個程度並んだ自分の60cmくらいの高さほどの箱の中から2個の箱を選別する
俺「比較的小さい荷物だと思って乗用車で来たのが間違いだったなぁ…といっても軍用のでかい車は出払ってたから
使えなかったけど…乗るかな?」
ウルスラ「大きさ的には大丈夫だと思いますが…」
俺「そっか、それじゃあ俺はこの箱を積んでるからウーシュはエルマ少佐と話でもして待っててよ」
ウルスラ「あ、でも…」
俺「二つくらい平気だって、昔なじみと少し位ゆっくりしても良いだろう?エルマ少佐は大丈夫なんでしょう?」
エルマ「はい、あんまり私が動いちゃうとお邪魔になっちゃうので簡単なお仕事だけのお手伝いでしたからね
時間余っちゃうので大丈夫ですよ~」
俺「よかった、それじゃあウーシュをお願いしますね」
俺はそれだけ言って高さ60cmほどの箱を何とか持ち上げて開発省から載ってきた技術開発省が所持している
乗用車に向かって夜になり暗くなってしまった道を歩き出した
◆
エルマ「あの方がウルスラ中尉が手紙に書いていた人ですか?」
ウルスラ「はい、珍しい男性ウィッチですね」
エルマ「
初めて聞いた時は驚きましたけどね…でも変わった人じゃなくて良かったですね~
わたしの所なんて変わったどころか前より酷く…」
ウルスラ「…やっぱり」
エルマ「私もノーマルなのに…うう…ウルスラ中尉がうらやましいです」
ウルスラ「どうしてですか?」
エルマ「男女で恋人の仲になれるのはわたしにとってはとても羨ましくて…」
エルマが呟いたその言葉にウルスラは微動だにしなかったが頬を赤く染める
ウルスラ「私はまだそういう仲では…」
エルマ「そうなんですか?二人ともとっても落ち着いていて長年連れ添ったみたいに見えましたが…」
ウルスラ「…付き合いは長いですね」
エルマ「ウルスラ中尉がスオムス義勇独立飛行中隊からカールスラントに戻った時から何があったかは知りませんが
多分とっても幸せな事だと思いますよ?女の子同士じゃないし…ブツブツ」
ウルスラ(エルマ少佐があの後どうなったかが私には気になりますけど…)
エルマ「長く付き合うという事は長く生きているって事ですからね それにウルスラ中尉、クリスマスに
お仕事なのに嬉しそうな顔をしてますからねぇ」
ウルスラ「!?そ、そうでしょうか…」
エルマ「はい、幸せそうな顔してますよ?」
ウルスラ「…///」
ウルスラが寒い夜空の下でその頬を更に赤く染めていると俺が一つ目の箱を乗用車に載せることが出来たのか
二つ目の箱を取りに彼女達の所に歩み寄って来ている
エルマ「あ、俺さんが着ちゃいましたね それでは私は失礼しますね~」
ウルスラ「はい、エルマ少佐お体にお気をつけて」
エルマ「ウルスラ中尉もお気をつけて、俺中尉とケンカしちゃだめですよ~?仲良くですからね~」
ウルスラ「ふふふ…わかりました、それでは」
俺「お待たせってエルマ少佐行っちゃったか」
ウルスラ「ええ、私達も帰りましょう もうずいぶん遅くなっちゃいましたからね」
俺「あら…本当だ、こりゃあ帰る頃には技術省の連中パーティーで出来上がって寝てるかもなぁ…」
俺は腕時計を見て開発室で行われているパーティーがとっくに始まっている事、戻ったら
後片付けをさせられるかもしれない事を考えて一つため息を漏らしながら二つ目の箱を持ち上げて
ウルスラと共に車に向かって歩き始めた
◆
ノイエ・カールスラント 夜道
俺「なんとか車に荷物が入ってよかったな」
ウルスラ「そうですね、お陰で後部座席は埋まっちゃいましたけど」
黒くて全体的に丸い乗用車にウルスラは助手席に座り、俺は運転席に座り技術省に向かって帰路についている
車の中は12月のノイエ・カールスラントの寒さを遮断して暖かい空気が二人を包み込む
俺「これで明日からロータリーエンジンの仮組みが出来るな」
ウルスラ「そうですね、レシプロとあれだけ構造が違うと部品の調達にも苦労しましたけど…」
俺「まあこれからもっと大変になるんだろうけどなぁ…うお!?」ガタガタガタガタ…
調達した部品の事をウルスラと話していた俺だったが、急に車が何も無い所で揺れ始め
落ち着いてブレーキをゆっくり踏んで夜道の脇付近へと車を止める
俺「…急に車がおかしくなったな…大丈夫かウーシュ?」
ウルスラ「私は大丈夫ですが、どうかしたんですか?」
俺「分からない、エンジンをかけなおしてみてるんだけど掛からなくてな…ちょっとエンジン見てくる」
そう言って俺は全体的に丸い車から出て車前部にあるボンネットを開ける
しかし夜もあってか視界が悪く、電灯の少ない夜道ではエンジンを細部まで見るには光が足りず
俺はしばらく首を捻りながらエンジンと格闘し、
見える範囲内で応急処置を試みて再びボンネットを閉めて車に乗り込みエンジンをかけ直す
俺「ん~…だめかぁ…」
ウルスラ「エンジン掛からないのですか?」
俺「ああ、急に何かおかしくなったみたいだけど夜だから原因が見えないんだ、光が無いからなぁ…」
ウルスラ「…そうですか」
俺「押して帰るってのも考えたけどここから技術省までかなりの距離だしなぁ…それに」
俺は諦めたように腕時計を見る
その時計は22時30分を過ぎておりそろそろ深夜へと入る頃になっていた
俺「このあたりじゃ皆寝てるだろうし助けも呼べないっと…どーするか…」
ウルスラ「朝まで待ってみても良いですよ?」
俺「ん~…確かに朝になればエンジンルームも見渡せるくらいになるから修理できるかもしれないけど…良いのか?」
ウルスラ「はい、私は構いませんよ」
俺「悪いな」
ウルスラ「車が偶然調子が悪くなっただけなので仕方ありませんよ」
俺「そう言ってもらえると助かる、ちょっと待っててな」
俺は再び車から出ると車の後部にあるトランクを空け、目的の物を見つけるとそれを手に取り
車のドアを開けてウルスラに手渡す
俺「毛布とは行かないけどシーツがあったからこれをかけると良い」
ウルスラ「でもこれ一枚じゃ…」
俺「俺は厚着してるから大丈夫、それに葉巻を吸えば体が暖かくなるから大丈夫なんだよ」
ウルスラ「そういう物なのですか?」
俺「気分的にはそんな感じがするんだ、だからそれかけて寝てな 俺は一服してから寝るから」
ウルスラ「…はい」
ウルスラの肯定を確認して俺は携帯用の灰皿を持って空けていた車のドアを閉めて、車の外でポケットから
裸の葉巻を咥えマッチを取り出して気分だけでも暖かくなるように火を着け、ノイエ・カールスラントの空に紫煙をゆっくりと立ち上らせた
◆
俺は葉巻を吸い終えて携帯用の灰皿の蓋を閉めて車に乗り込む
ウルスラ「おかえりなさい俺さん」
俺「うぉ!?起きてたのか…」
車の座席を倒して白いシーツに実を包んだウルスラは俺の方向に体を向ける
ウルスラ「今日はイブですからすぐ寝たら勿体無い気がしましたからね」
俺「そうか?ウーシュにしては珍しい発言」
ウルスラ「私を何だと思ってるんですか…それにまだ貰って無かったですからね 今年もいつものを下さい」
そう言ってウルスラは倒していた体を起こして身を乗り出して俺に顔を上げて目を瞑り唇を少しだけ俺に突き出す
俺「う…そういうネダり方をするものじゃないだろ」
何か違う物を催促されているように思えてしまった俺はいち早く自分のポケットに右手を入れて
毎年の恒例になってしまったものをウルスラの唇に運ぶ
それを感じ取ったのかウルスラは少しだけ俺が魅力的に感じてしまった口をあけて俺の渡したものを頬張る
ウルスラ「ありがとうございます、俺さん」モゴモゴ…
俺「毎年の事だからな、なんでチョコなのかは知らないけど…」
ウルスラ「甘いものは頭に良いとされますからね」
俺「そういうもんだな…しかしあんなネダり方はもうダメだぞ?」
ウルスラ「どうしてですか?」
俺「なんか…違う物をネダられるようで」
ウルスラ「私はそっちでも良かったのですが…」
俺「もう少し自重しなさい…まったく」
去年からか一昨年からかは忘れたけどイブにチョコをあげる習慣がつき、ウルスラは毎年それをねだるのだが
何故か年を重ねる毎に大胆になっていくのは何故だろう…
ウルスラ「考えておきますね」
俺「そうして貰えると助かる、しかし今年もこんな夜空の下とはなぁ…」
ウルスラ「嫌でしたか?」
俺「そうじゃないんだ、俺がノイエ・カールスラントに来てからイブは空母の上とか海の上とかだったろ?
今年は陸地で暖かい布団の中で過ごせるかな~って思ったんだけど」
俺がノイエ・カールスラントの基地に配属されてから欧州へ補給へ向かう空母の護衛の任務に忙しく
イブの日は大体決まって夜空の下で過ごしていた
開発室に配属されてからは夜空の下で過ごす事はないだろうと思った矢先に夜道の下車の中で
過ごす事になったのだ
ウルスラ「…私は構いませんけどね」
俺「そうか?」
ウルスラ「だって…」
そう言ってウルスラはシーツを持ったまま身を乗り出して俺の座っていた運転席に移動して
座席を倒して眠る体制に入っていた俺の体の上に覆いかぶさりシーツを広げて二人を包み込むようにする
俺「お、おい…!?」
ウルスラ「こうしたほうが二人とも暖かいですよ?」
俺「それはそうだけど…その…葉巻臭いだろ?」
俺は覆いかぶされてうつぶせになり、俺の服に少しだけ顔を埋めるウルスラに苦し紛れだが事実の事を言う
ウルスラ「そうですね…葉巻の臭いがしますし、油の臭いもします」
俺「あんまり良いものじゃないだろ?だからそっちで…」
ウルスラ「でも俺さんの臭いもしますよ?落ち着きます」
俺「俺の臭いって…」
ウルスラ「気にしないで下さい」
俺「そう言われてもなぁ…」
俺の膝下が隠れるか隠れないか程の丈があるハーフズボンから出た足が少しだけ冷たく
柔らかいウルスラの足と触れ、彼女の甘い香りが俺の鼻をくすぐる
ウルスラ「それと俺さん、私からコレを…」
俺「ん?」
もぞもぞと俺の上でウルスラは白衣のポケットからハードケースらしき金属の箱を俺に差し出す
ウルスラ「葉巻のハードケース、私からのプレゼントです」
俺「良いのか?なんか高そうだけど…」
ウルスラ「クリスマスプレゼントのお返しです」
俺「チョコのお返しにしては高い気もするが…ありがたく頂くよ大切にする」
ウルスラ「はい」
俺は彼女から葉巻のハードケースを受け取りポケットの中に入れる
ウルスラ「さっき言いかけてた事なんですけどね」
俺「ん?」
ウルスラ「イブに夜空の下で過ごす事なんですけど、俺さんは不満かもしれませんが私は構いませんでした」
俺「どうしてだ?」
ウルスラ「こうして俺さんと一緒でしたからね」
そういって俺の体に軽すぎるのではないかと思われるほどの全体重をウルスラは俺にかけてよりかかる
俺「…そういえば毎年一緒だったもんな」
ウルスラ「ええ、毎年艦の上でも一緒でしたね 今年は車の中ですが」
ウルスラ「そうですね…もし来年もあったらこうして一緒に過ごしたいですね」
俺「来年かぁ、それまでにやる事が多すぎて想像もつかないな」
ウルスラ「それまで無事で居てくれば良いんですけどね 俺さんは無茶をしますから…」
俺「あはは…申し訳ない、まあ一緒、かもしれないな」
俺はこれから先の事を思う、現在作っている試作型のロータリーストライカーを完成させてテストを行い
そのデータをフィードバックして再び開発室で試作型のストライカーに手を付ける
そんな頃にはとっくに来年の12月になってるのかもしれないと
ウルスラ「約束はしませんけど、来年も一緒だと良いですね」
俺「来年も俺と居るつもりか…勿体無いような気もするがなぁ、クリスマスなんだし」
俺はしみじみとそんな事を言っているとウルスラは小声で呟く
ウルスラ「…だからこそですよ」
俺「ん、なんだって?」
ウルスラ「なんでもありません、そろそろ私は寝ますね おやすみなさい俺さん」
俺「お、おお…おやすみウーシュ」
ウルスラの呟きが少し気になる俺だったがすぐに寝息を立て始めたウルスラに誘われるように
俺も彼女の下ですぐに眠りに落ちていった
◆
ノイエ・カールスラント 技術省 ウルスラの研究室前廊下 翌日朝
「ああああああああ!お、俺中尉!あ、ああ…朝帰りとは何事ですか!」
俺(朝一番にこの声量は精神的に聞くなぁ…)
俺とウルスラは夜道で夜を共にし、朝方にエンジンを直し(といってもウルスラが手伝ってくれなければ出来なかったけど)
開発室に戻って着た所にちびっこい身長で俺に対して怒りをあらわにしながら長髪をなびかせている誰かさんに似たこのウィッチは
カールスラント空軍所属ヘルマ・レンナルツ曹長 開発中のジェットストライカーのテストパイロットだ
ヘルマ「クリスマスに朝帰りなんて…あなたにはカールスラント軍人としての誇りは無いのですか!」
俺「誇りも何もトラブルだから…エンジンの調子が悪くて帰れなかっただけだから」
ヘルマ「そ、そんな事を言ってウルスラ中尉と二人っきりで…」
なにやら妄想を始めたこのちびっこウィッチは顔がみるみると赤くなって良く見ると目を回している
朝一番の大音量のヘルマの声に先日クリスマスパーティーをしていたであろう研究員が数人
寝ぼけた顔を覗かせている
俺「多分想像している事はしてないから大丈夫だよ」
ウルスラ「そうですよ、ただ二人で一緒のシーツで寝てただけですから」
ヘルマ「一緒の…シーツで…体を重ねて…うわああああああぁぁぁぁああああああ!?」ドドドドドドドド…
俺「あ!?おいヘルマ!体は重ねてないから、誤解するな!」
ウルスラの言葉によってヘルマの妄想が加速し、耐え切れなくなったのかその幼いウィッチは
ウルスラの研究室から飛び出すように走って出て行った
俺「大丈夫かな…事実無根の事を言い出しそうだ」
ウルスラ「大丈夫ですよ、彼女はああ見えてもカールスラント軍人の鑑のような子ですし」
俺「それなら良いんだけどな…さーって眠気覚ましにコーヒーでも飲むかな」
ウルスラ「運転お疲れ様でした、眠気覚ましにこれをどうぞ」
俺「ありがと…んぐぁ!?」
ウルスラに渡された黒い飴を口に入れてしまった俺は先日同様再び涙目になりながら
膝が耐え切れずに地面に膝と手をつける
俺「さ、サルミアッキ…」
ウルスラ「眠気覚ましにはぴったりですよね」
俺「ひ、酷い事をするなよ…」
涙目の俺の姿がおかしかったのかウルスラは優しく笑いながら地面に手を付いている彼の肩に手をかけて
ウルスラ「ふふふ…ごめんなさい、これは口直しという事で」
そう言われ俺の頬に甘く柔らかい香りと共に彼女の薄く淡い色をした魅力的な唇で口付けをされる
俺「っ!?う、ウルスラセンセイ!?」バッ
頬に口付けをされた俺は声が上ずりながら急に立ち上がってウルスラを見る
眼鏡越しに見える彼女の視線は俺とあわせず横を向いており潤んでいるように見え頬は赤くなっている
そんな顔をされたら俺はなんて言って良いのか分からず二人の間に少しだけ沈黙が流れるが
俺は背後に気配を感じてそちらを向くと
ヘルマ「や、やっぱり…やっぱり何かあったんだあーーーー!!」ドドドドド…
俺「ちょっと待てヘルマ!?叫ぶな!?変な噂が流れるだろおおおおお!」
気になって戻って来たヘルマによって頬に口付けを見られてしまった俺は逃げだしたヘルマを反射的に
追いはじめた
ウルスラ「メリークリスマスです俺さん、二人でイブを過ごせたお返しのプレゼントですよ」
ウルスラは優しいが含み笑いをしながら呟き、研究室に置かれた椅子に座って本日の研究に取り掛かった
悪運な俺 番外編 ~黒い物体とプレゼント~ おわり
最終更新:2013年01月28日 14:53