235 名前:主人公っぽい俺[sage] 投稿日:2011/04/03(日) 19:40:40 ID:mSGe9cAM [2/7]
前回のあらすじ
236 名前:主人公っぽい俺[sage] 投稿日:2011/04/03(日) 19:46:50 ID:mSGe9cAM [3/7]
あのネウロイ襲撃からしばらくたった。俺の体調はすっかり良くなり、訓練も再開し始めている。
明日からはユニットを使っての飛行訓練に入る予定だ。今から格納庫で整備俺さんとその打ち合わせをする。
昼食に出てきた謎のどろりとした液体の味が舌に残っている。隊長は何杯も飲んでたけど一流ウィッチともなると味覚も変わるのかな、などと考えながら格納庫へ向かった。
整備俺「なんとか間に合ったよ。いやあ、内部機関に破損が少なくて助かった」
整備俺さんは作業台の前で椅子に座ってコーヒーを飲んでいる。飲むかと聞かれたが断った。苦いのが嫌いとかじゃ断じてない。口に合わないだけなんだ。
整備俺さんがカップを置き、台の上にかけてあった布を取り払う。
俺「これ、俺の機体……ですか?」
そこには、元通りの形をしたストライカーユニットが横たわっていた。
しかし塗装をしてなく、ギラギラと光を反射している。まるで自分の機体じゃないように感じた。
整備俺「正真正銘ね。塗装は今日中に仕上げるよ。だからそんな顔しないでくれよ」
俺「えっ?あ、嫌っていう事じゃ無いですよ?」
翼を撫でてみる。まるで見知らぬ機体のような、いつもより冷たいような感じがした。
しかし大きなダイヤルや、魔力槽が搭載されている部分がぽこっと膨れてるところを見ると確かに自分の機体なんだとわかる。
237 名前:集中読書週間開催中!詳しくはWikiトップページにて![sage] 投稿日:2011/04/03(日) 19:49:04 ID:kVcHSpt6 [1/7]
20時予約があるが大丈夫か?
238 名前:>>237大丈夫じゃない、問題だ。また明日にでも投下しようかな[sage] 投稿日:2011/04/03(日) 19:52:04 ID:mSGe9cAM [4/7]
整備俺「やっぱり前と同じ色がいいかい?それとも迷彩とかにしちゃう?」
俺「あー、そうっすね。迷彩、いや元の色が……あえて真っ白に塗って赤青黄色のワンポイントを……」
頭を捻ってると、いつの間にか立ちあがっていた整備俺さんがもう一つカップを持ってきた。
整備俺「ミルク。飲むかい?」
俺「あ、すいません。いただきまーす」
それを受け取って一口。口の中で良い具合に肝油の味を中和してくれた。
整備俺「ははは、まあなるべく早く決めてほしいんだけどね。下手すりゃペンキ塗りたての紙を張り付けて飛ばなきゃいけなくなるぞ?」
俺「それはちょっとやだなー。それじゃ、前と同じ色にしてください」
整備俺さんが少し驚いたように俺を見る。
整備俺「おいおい、まあ早く決めろとは言ったけど別にそんなに早く決めなくてもいいんだぞ?」
239 名前:今日はここまでにします。中途半端ですいません[sage] 投稿日:2011/04/03(日) 19:56:05 ID:mSGe9cAM [5/7]
俺「大丈夫です。やっぱりこいつはオレンジ色が似合うと思うんすよ」
機体をポンと叩く。さっきは驚いたけど、やっぱりこれは俺が良く知る機体なんだ。
俺の命を救ってくれて、俺を違う世界につれてきてくれた。そして、宮藤や、みんなに出会えた。
空になったカップを台に置く。
整備俺「なるほど、了解しましたよ。実は俺もあのオレンジ色が好きだしねえ」
俺「え、そうなんすか?」
整備俺「ああ。あれは空でもよく目立つ。お前さんが飛んでいてもどこにいるかすぐにわかるんだ」
整備俺さんが空を見上げた。今日は朝から天気が良く、青い空が広がっている。
俺が飛んでいるのをよく見ていたのか。なんだか少し照れくさい。
整備俺「それに何か起きた時に見つけやすい。あの色はそういうために塗られた色なんだろうな」
あれは実験機だしね、と付け加えた。
413 名前:主人公っぽい俺[sage] 投稿日:2011/04/05(火) 03:32:38 ID:IAR0s9iY [1/27]
誰もいない……投下するなら今のうち……
239 続きから
俺「そうだったんすか。へー、なるほど」
整備俺「おっと」
整備俺さんが台の片隅に置かれていたノートを手に取る。
整備俺「悪かったね、本題のほうを忘れていたよ。エンピツは……あったあった」
椅子に座りなおし、ノートに何か書き始めた。
俺も適当に近くにあった椅子に座る。
整備俺「あ、すまない。立たせっぱなしにしてしまった」
俺「大丈夫ですよ。それで今から具体的に何やるんです?」
整備俺「まあ打ち合わせと言っても特に話し合う事は無いんだ。あるとすりゃ、まあ……」
整備俺さんが機体を見る。エンピツでダイヤル部分を指した。
整備俺「アレ、についてだろうな」
エンピツで頭をぽりぽり掻く。
414 名前:主人公っぽい俺[sage] 投稿日:2011/04/05(火) 03:36:14 ID:IAR0s9iY [2/27]
整備俺「俺としちゃあてっきり隊長からアレの物理的な凍結を指示されると思ってたんだが、それが無かったんだよ。元に戻せとは言われたけど」
どうにもよくわからないと首を傾げている。
整備俺「なあ、お前隊長から何か指示されたのか?それとも隊長に何か言ったのかい?」
俺「えっと、それたぶん俺が原因というか、俺の希望というか」
整備俺「希望?お前がオーバーブーストを使いたいって頼んだのか?」
驚きの表情を浮かべた。やっぱりおかしい事なのかな。それでも、自分の中で思いは固まっている。
俺「もしかしたらまた同じように周りに迷惑をかけてしまうかもしれない、でもあれを制御できたら俺はもっとたくさんの物を守れるようになれると思うんです」
本気なんだと伝わるように、整備俺さんの目を真っすぐ見据える。
整備俺「あれは単なる増強装置じゃないってのは分かっているんだな?それこそお前のウィッチとしての能力も失いかねない物ってことも」
整備俺さんの目つきも険しくなる。はたから見たら睨み合ってるように見えると思う。
俺も視線はそらさない。
俺「わかってるつもりです」
415 名前:主人公っぽい俺[sage] 投稿日:2011/04/05(火) 03:40:33 ID:IAR0s9iY [3/27]
整備俺「……くふふ」
整備俺さんの口角が上がっていく。それにつれて顔全体に笑みが広がる。
整備俺「ふははは!上等だ!上等な少年だよお前!」
そう言うと、立ちあがって俺の頭をわしわし撫でた。突然すぎて面食らってしまった。
整備俺「俺が望んだ台詞だそれは。俺の願った展開だよこれは」
なんだか目がキラキラ輝いている。いや、ギラギラだろうか。
整備俺「オーバーブーストにはいくつか欠点があるし今すぐには無理だ。だけど俺が必ずなんとかする」
俺に任せろ、というような顔をしている。その表情がいつも以上に頼もしく感じさせた。もし兄がいるのなら、こんな感じなんだろうか。
シャーリー「おーい俺ー、少佐が呼んでるぞー」
シャーリーさんが入口から顔を出した。
俺「あ、はーい!えっと、でも」
返事をしつつ整備俺さんを見る。まだ打ち合わせが終わってない。
416 名前:主人公っぽい俺[sage] 投稿日:2011/04/05(火) 03:41:39 ID:IAR0s9iY [4/27]
整備俺「行っても大丈夫だよ。もう体は治ってるんなら明日は今まで通りに飛べるはずさ。恐らく軽い飛行だけだろうしねえ」
俺「えっと、それなら失礼します。ユニット直してくれてありがとうございました。今行きますシャーリーさん!」
整備俺さんに礼を言い、入口へ向けて走った。
シャーリー「場所は広間だ。そんなに急がなくてもいーぞー」
俺「了解っすー」
答えながら横を抜けて広間へ向かった。走りながら考えるのはこれからのことだ。
今度こそオーバーブーストを成功させる。そのためには何をすればいいのか、正直よく分からない。
とにかく今は出来ることをやるしかないだろう。少しずつでも力をつけていかなければいけないんだ。。
整備俺さんも協力してくれる。それが凄く嬉しくて頼もしかった。
廊下を蹴る脚にもいつもより力が入っていた。
417 名前:主人公っぽい俺[sage] 投稿日:2011/04/05(火) 03:42:19 ID:IAR0s9iY [5/27]
シャーリー「よう、なんか機嫌いいみたいだな」
シャーリーが手をひらひらさせながら歩いてきた。表情に出ているんだろうか。
整備俺「あ、わかった?いやあ、久しぶりにワクワクしてきたよ」
エンピツをくるくる回す。失敗して彼方へ飛んでいった。
シャーリー「ヘッタクソー。ほら」
わざわざ拾ってくれた。少しかがんだから胸が強調される。
相変わらず凄まじい破壊力だ。
整備俺「あ、ああ。ありがとね」
シャーリー「どこ見てたんだよー?そんなに気になるのかー?」
ふふん、と胸を張る。そんなに大きいモノが気にならない男なんかいるはずないだろうと思う。
整備俺「女の子がそんなにはしたない事しちゃいけません」
軽く頭をチョップする。なにすんだよーと抗議されたが聞き流す。
418 名前:主人公っぽい俺[sage] 投稿日:2011/04/05(火) 03:47:17 ID:IAR0s9iY [6/27]
シャーリー「んで?一体どうしたんだ?」
整備俺「ああ、今アイツと話してたんだけどね。アイツはまたオーバードライブを使いたいと言ったんだよ」
シャーリー「え……」
シャーリーの表情が固まる。
整備俺「俺は、それを全力でサポートすると約束した」
固まった表情が驚愕を表すものへと変わっていく。
シャーリー「そんな、何言ってんだお前……!」
俺の胸倉に掴み掛かりまくし立てる。その勢いで作業台の上の工具が激しい音を立てて地面にぶつかった。
419 名前:主人公っぽい俺[sage] 投稿日:2011/04/05(火) 03:51:08 ID:IAR0s9iY [7/27]
シャーリー「ふざけるな!何考えてんだ!」
シャーリー「あれのせいでアイツは墜落したようなもんじゃないか!」
シャーリー「それともお前はもう一度アイツを、『俺』を海に叩き込みたいのか!?」
怒鳴り終えても手に込めた力を緩めず、俺を睨み付けている。
彼女の腕を掴み、目を見返す。
整備俺「大丈夫、俺がアイツを二度と墜とさせない」
整備俺「そのためのアイディアがこいつさ」
彼女の腕を離し、足元に置いていた木箱に手を突っ込む。布の感触を確かめ、それを引っ張り出す。
整備俺「ズボンだ!」
その瞬間、音速の張り手が飛んできた。室内にパーンと快音が響き渡る。
脳を揺さぶられ飛びかけた意識を、なんとか繋ぎ止めた。
420 名前:集中読書週間開催中!詳しくはWikiトップページにて![sage] 投稿日:2011/04/05(火) 03:53:21 ID:V7DOKEvU
うむ、これはしかたがないwww
421 名前:主人公っぽい俺[sage] 投稿日:2011/04/05(火) 03:55:13 ID:IAR0s9iY [8/27]
整備俺「ちょ、ちょっと待ってシャーリーさん……」
シャーリー「うるさい!ふざけるのもいい加減にしろー!」
整備俺「うわわ、スパナは駄目だってストップストップ!」
シャーリー「まてー!!」
あまり嬉しくない追いかけっこは三十分続いた。
整備俺「あー、死ぬかと思った……」
シャーリー「で、一体なんのつもりなんだよお前は……」
怒り半分呆れ半分といった顔のシャーリー。
それを説明しようと思ってズボンを取り出したのに……。
整備俺「だから、このズボンにも使われている魔法糸を使うのさ」
シャーリー「へ?」
整備俺「おそらく、オーバーブーストを制御できなくなる原因は体に収まりきらなくなった魔力によるものだ」
422 名前:主人公っぽい俺[sage] 投稿日:2011/04/05(火) 03:56:04 ID:IAR0s9iY [9/27]
オーバーブーストの仕組みや過去の研究データなどからそう結論つけた。
自分のキャパシティを超えたエネルギーが体に無理やり流し込まれるんだ。
気絶するのも無理は無い。
整備俺「そこで、処理できない魔力を魔法糸から吸収してなんらかの魔法にして消化しちゃえばいいって考えたわけ」
シャーリー「あー、なるほどなー」
整備俺「まあ具体的にどうやって布に魔法を施すかはこれから調べるんだけどね」
正直、そこらへんは全くの専門外。部隊内にそのへんの技術に精通した人物がいれば早いんだけども。
シャーリー「ふーん……。なあ、坂本少佐の刀を見たことあるか?」
整備俺「ん?そりゃここから飛んでくんだからしょっちゅう見るけど」
シャーリー「あれは、防御魔法を仕込んであるんだ。なんでも少佐が自分で鍛えたらしいぞ」
坂本少佐の戦闘は何度か目にしたが、何故ただの鉄で作られた刀でビームを弾けるのか不思議だった。
まさかそんなカラクリがあったとは。
423 名前:主人公っぽい俺[sage] 投稿日:2011/04/05(火) 04:01:50 ID:IAR0s9iY [10/27]
整備俺「そんなことが出来るのか……。よし、ちょっと少佐の所に行ってくるよ」
ノートとペンを持って立ち上がる。そんな俺の様子を見てシャーリーが慌てた。
シャーリー「お、おい!私はまだ納得してないぞ!」
整備俺「分かってるさ。勝手だけど、これから徐々に納得していって欲しい」
シャーリー「待てって!」
俺の作業服の裾を掴んだ。出口へ向けていた足を止め、彼女のほうへ向き直る。
整備俺「ごめん、シャーリー。でも、俺にはこんなことしか出来ないんだ」
整備俺「俺に出来ることは限られてるんだ。なら、せめてその限られた範囲の限界いっぱいまではやらせてくれないかな?」
424 名前:主人公っぽい俺[sage] 投稿日:2011/04/05(火) 04:04:49 ID:IAR0s9iY [11/27]
シャーリー「……わかった」
整備俺「……ありがとね。それじゃ行ってくるよ」
シャーリー「待って」
呼び止められて、振り向きざまにキスをされた。その魅力的な感触をしばらく味わっていたかったが、すぐに離れられてしまった。
彼女を見ると、目こそ睨んでいるが顔は真っ赤になっている。
整備俺「なんかあれだね、いってらっしゃいのキスみたいだ」
シャーリー「うるさい、はやく行けバカ!」
図星だったようだ。レンチを振りかぶったので、慌てて格納室を飛びだした。
425 名前:主人公っぽい俺[sage] 投稿日:2011/04/05(火) 04:08:37 ID:IAR0s9iY [12/27]
シャーリー「いってらっしゃいのキスって……まるで夫婦じゃないか」
部屋に残ったシャーリーが、自身の唇を指でなぞる。
怒ったような口調だが、頬が上がりきった表情から間逆の感情が読み取れる。
シャーリー「いってらっしゃいダーリン、なんてな。今度試しに言ってみよっかな」
笑みを浮かべながら彼女は工具を片手に愛機のほうへ歩いていった。
最終更新:2013年01月28日 15:44