主人公っぽい俺 一覧へ戻る



283 自分:主人公っぽい俺はサッカー日本代表を応援しています[sage] 投稿日:2011/06/19(日) 19:05:14.73 ID:d7bVxxla0 [5/16]
前回のあらすじ
出撃
ネウロイ撃墜するも被害発生
俺落下
以下本編




イラストリアス級二番艦、空母ヴィクトリアス。その甲板に揃い立つのは11人のウィッチ。視線の向こうには、空に浮かぶ黒い要塞。
巨大なネウロイは赤い瞳をギラつかせ悠然と構えていた。




坂本「ふむ、でかいな」

言葉のわりには、その表情からは余裕すら伺える。




坂本「所詮は図体ばかり大きいだけですわ、少佐」

風になびく髪を掻き上げ、上官の感想に同意する。




シャーリー「取り巻きのネウロイは3機か。こりゃ早い者勝ちだな」

腕を組み、大迫力の胸を揺らす。まるでゲームを楽しむ子供のようだ。




ルッキーニ「あたしとシャーリーで一気にドッカーン!ってやっちゃおーよ!」

尻尾と耳が慌しく動き、今にも飛び出してしまいそうだ。



284 自分:主人公っぽい俺[sage] 投稿日:2011/06/19(日) 19:11:17.82 ID:d7bVxxla0 [6/16]




バルクホルン「こら、ちゃんと作戦は聞いていただろ。エイラとサーニャで大物を攻撃、他は担当の敵が落ち次第に二人を援護だ」

ルッキーニをたしなめながら、まったくお前たちはといつもの嘆きが漏れる。




エーリカ「もー船は飽きちゃったー。はやく終わらせて基地に帰って寝たーい」

退屈そうにあくびをして、可愛らしい尻尾をぱったぱったと揺らしていた。




エイラ「私が絶対守るからな、サーニャ」

きつく手を繋ぎ、隣に立つ相方に言う。任務の内容のためか、いつもよりも顔が強ばっていた。




サーニャ「エイラ、力が入りすぎ。もっとリラックスしなきゃ」

守るはずの相手に心配され赤くなる相方を見て、思わず笑みがこぼれた。




リーネ「頑張ろうね、芳佳ちゃん」

緊張しているのか、声が震えていた。しかしその眼差しは鋭く、すでに彼方の敵に狙いをつけているようだ。




宮藤「うん、頑張ろうねリーネちゃん!」

ぐっと拳を握り、意気を込める。ふと、隣を見るがそこにいてほしい人物はいない。その事が、彼女をどうしようもなく不安にさせた。



286 自分:主人公っぽい俺[sage] 投稿日:2011/06/19(日) 19:17:24.82 ID:d7bVxxla0 [7/16]




いつの間にか、自分の中で彼がどんなに大きな存在になっていたのかを今、思い知らされる。

食事の時は、どちらともなく正面に座るようになった。

暇な時間に、互いの故郷の話で盛り上がった。

長い滑走路を何回も往復させられてる時も、並んで走りながら励ましてくれた。

ふと故郷が恋しくなって、夜にこっそりハンガーで泣いてた時、いつの間にか横にいて、ずっと手をつないでいてくれた。

気が付けば、眠る前にはいつも彼の事を考えるようになっていた。

それらを思い返して、彼女は自分の中の初めての感情に気がついた。

そっか。これが好きってことなんだ。


私、俺君のことが好きになっちゃってたんだ。


数ヶ月前まで当たり前だったはずの光景なのに寂しさを感じるのは、本当にそばにいたい人、今までそばにいてくれた人がいないからだった。





そんな彼女の心情を戦友達は察していた。

バルクホルン「まったく、俺のやつは何をやってるんだ……」

奥歯をギリッと噛みしめながら呟く。

坂本「今のあいつを飛ばせても落ちるか落とされるだけだ。死ぬと分かってて飛ばせるわけにはいかん」

そう言う自身も、不満そうな顔をしていた。


287 自分:支援あざっす![sage] 投稿日:2011/06/19(日) 19:24:13.97 ID:d7bVxxla0 [8/16]




ルッキーニ「シャーリー、へいき?」

シャーリーの服の裾をクイッとつまみ訪ねる。

シャーリー「あったりまえだろ?心配してくれてありがとな、ルッキーニ」

ルッキーニの頭をわしゃわしゃと撫でる。

シャーリー「カッコ悪いとこは見せられないからな」


準備前に、眠る整備俺の枕元にインカムを1つ置いてきた。戦況がわかるように、私の活躍が聞こえるように。中佐にバレたら芋の皮剥きかな。
首にかけていたゴーグルを装着する。



シャーリー「来なよネウロイ。最速の女、グラマラス・シャーリーを見せてやるよ」






ミーナ「みんな、準備はいい?」

全員の顔を見渡す。緊張した顔、集中した顔。様々な表情が並ぶ。
この子達を全員無事に帰すのが、私の使命ね。


ミーナ「ストライクウィッチーズ、出撃よ!」


その合図と共に、11人の少女達は戦場へと飛び立った。







暗くて狭い室内。時折聞こえる轟音や艦内に響く警報から、未だに戦闘が続いている事がわかる。
俺は、ベットから動きだせずにいた。


288 自分:主人公っぽい俺[sage] 投稿日:2011/06/19(日) 19:30:25.33 ID:d7bVxxla0 [9/16]




――本当にこれでいいのかい?

頭に響く声。使い魔のツバメだ。
俺は何も答えない。

――君の気持ちは分かってる。けど僕には、君を悩みから救う事などできないんだ。僕達使い魔にできる事は、あくまでサポート。力を貸すことだけ。

俺を心配してくれてるのは口調から伝わってきた。それでも、俺は……。
俺が動けない理由は、たった一つのシンプルな理由だった。


俺「怖いんだ……。誰かが傷つくのが、それを見るのが……」


血が吹き出すのを、痛みで苦しみ悶える人を見るのが……。

――僕が伝えたかったことは伝えたよ。君がまた飛びたいと願うなら、僕は全力で君を手助けするから。

そう言って、使い魔は静かになった。

俺「俺は……」

呟こうとした時、激しい音と共に体が揺れた。部屋の外から被弾を知らせる兵士の怒鳴り声が聞こえた。


289 自分:主人公っぽい俺[sage] 投稿日:2011/06/19(日) 19:36:25.21 ID:d7bVxxla0 [10/16]


おかしい、作戦は確かネウロイから充分離れた所で空母は待機するはずなのに。
何か嫌な予感がする。何か大事なものが失われていくような。
突然ドアをノックされる。こんな時に誰だろう。
返事をする前にドアが開かれた。そこに立っていたのは――





整備俺「よう、寝坊常習犯くん。起こしに来たよ」





紙袋を片手に、整備俺さんが笑っていた。

俺「うあ、あ……」

一番会いたくなかった人が、一番会うのが怖かった人が立っていた。

俺「お、俺……」

何を言えばいいのか解らない。俺のせいで脚が切れた人に対して……?

俺「あ、脚が……?あれ?」

整備俺「脚がどうかしたかい?」

整備俺さんは二本の脚でしっかりと立っていた。確かに、俺の目の前で左足が跳ね飛んだはずなのに……。


291 自分:主人公っぽい俺[sage] 投稿日:2011/06/19(日) 19:43:16.90 ID:d7bVxxla0 [11/16]


整備俺「君の惚れた子はまさに天使だよ」

整備俺さんが左足をパンと叩く。

整備俺「是非ともお礼を言いたいところなんだけど、困ったことにこのままじゃそれが叶いそうにないんだ」

俺「え……?」

何の話かわからない。
けど、その真剣な表情から良くない事が起きてることは直感的にわかった。

整備俺「時間が無い、手短に説明するぞ。これを耳に着けるんだ」

渡されたのはインカムだった。
あれ、これってウィッチしか使っちゃいけないんじゃ。
耳に着けると、よく知る人の叫び声が聞こえた。


坂本『やめろ宮藤!!!死ぬ気か!!!?』


俺「なっ!?」

整備俺「作戦は失敗。母艦ネウロイを撃破出来ず撤退することになったが、敵の追撃を防ぐために宮藤軍曹が単機で後詰めにあたろうとしている」

淡々と、本を読みあげるように状況を話す。


292 自分:支援多謝![sage] 投稿日:2011/06/19(日) 19:49:47.32 ID:d7bVxxla0 [12/16]


俺「そんな!?どうして!」

整備俺「それを説明してる暇は無いよ。いいかい、現状で宮藤軍曹を助ける手段は無い」

あまりに冷たいその言葉に、体が勝手に反応した。
襟元を掴み、叫ぶ。

俺「ふざけんな!!宮藤に犠牲になれってのか!?」

整備俺「人の話は最後まで聞くべきだよ俺軍曹。宮藤軍曹以外のウィッチは魔力を使い果たし、現在飛行可能なウィッチはいない」

整備俺さんは変わらずに話し続ける。
再び激しい音と揺れを感じた。また被弾したのか?

整備俺「今ので解ったかい?俺達には余裕はない。撤退するので精一杯だ」

俺「だからって、女の子一人残して逃げるのかよ!」

それが軍人のやることなのかよ。
大の男が揃いも揃って女の子に守られるだけなのかよ!




整備俺「その女の子の生死は、君次第だ」

俺「え?」


どういうことだ?



294 自分:主人公っぽい俺[sage] 投稿日:2011/06/19(日) 19:57:22.61 ID:d7bVxxla0 [13/16]
推奨BGM



整備俺「ウィッチ達は全員魔力を使い果たしている。だが全員の残った魔力を集めれば君を飛ばすのに充分な量になる。ミーナ中佐達には既に準備をして貰っている」

整備俺「そして戦力外として作戦から外されていたウィッチがこの空母に1人だけいる。ここまで言えばもう分かるよね?」

整備俺さんがニヤっと笑う。



整備俺「お姫様が悪い魔物に捕まった。さあ君の出番だ、主人公」



ようやく判った。今俺がすべき事が。俺にしか出来ない事が。
ドアを蹴り開け、廊下に飛び出す。

整備俺「忘れ物だよ少年。これを持っていきな」

紙袋から服のような物を取り出し、こちらに投げた。
赤いコートで、背中には複雑な丸い模様が刺繍してある。

俺「これは?」

整備俺「舞台衣裳だ。詳しくは後だ、さあ急げ!」


俺は廊下を走りだした。宮藤を助けるために。
絡み付いて離れなかった恐怖はもう消え去っていた。



295 自分:主人公っぽい俺 支援ありがとうございます[sage] 投稿日:2011/06/19(日) 20:04:47.49 ID:d7bVxxla0 [14/16]




整備俺「ふう、やれやれ。骨がくっついてないのに歩くもんじゃないねえ」

格好つけも限界だった。崩れるようにベットに倒れこむ。
宮藤軍曹の治癒魔法により、肉はくっついた。しかし骨は回復するのに時間がかかるらしい。数日間は絶対安静を言い渡されていた。
文字通り千切れるような脚の痛みをこらえながら、インカムに告げる。

整備俺「こちら整備俺整備兵長。ウィッチ達、応答求む」

ミーナ『こちらミーナ中佐。兵長、こっちの準備は完了したわ』

シャーリー『言われた通り、全員の魔力を魔力槽に詰め込んだぞ、整備俺!』

坂本『俺は、俺は飛べるのか!?』

リーネ『早くしないと、芳佳ちゃんが!!』


296 自分:主人公っぽい俺[sage] 投稿日:2011/06/19(日) 20:07:45.59 ID:d7bVxxla0 [15/16]


整備俺「ご心配なく。昔から言うじゃありませんか。主役は遅れて現れるって。つまり――」




甲板から艦内へと通じるドアが乱暴に開かれた。その音に振り返るウィッチ達。その視線の先には――









俺「俺軍曹、遅れました!!すいません!」


息を切らせ、真っ赤なコートに身を包んだ少年が立っていた。






整備俺「主役が現れない事など、有り得ないんですよ」





今、少年が英雄になる物語の幕が上がった。






  • 次回予告―――――――‥

俺「宮藤は俺が!俺が助けるんだ!」

整備俺「三分限りのショータイムだ」

坂本「なんだ、この光は……!」

宮藤「魔法力を全部あげるから、お願い、烈風丸。私に烈風斬を撃たせて!」

シャーリー「これが俺の固有魔法の、本当の力……」



俺「オオオオオオオオオバアアアアアアアアアアアッ!ドラアアアアアアアアアアアアアアアアアアイブ!!!」



297 自分:主人公っぽい俺[sage] 投稿日:2011/06/19(日) 20:12:18.32 ID:d7bVxxla0 [16/16]
ここまでです。支援と読んでくれた人ありがとうございましたー
あと二回くらいの投下で終わりそうです。もう少しお付き合いくださると嬉しいです。


そして投下してたらゴールの瞬間見逃したorz



※wikiに掲載するに当たって二、三割の加筆修正を加えました。投下時に次回予告とかBGMとかなかったとですよ。



最終更新:2013年01月28日 15:46