前回のあらすじ
巨大ネウロイを倒せず、撤退する時間を稼ぐために宮藤が戦闘空域に残る
俺、坂本ら宮藤を覗く全員の魔力を貰い、宮藤を助けに行く
宮藤は死を覚悟し、自身の全ての魔力と引き換えに烈風斬を撃つことを決意する
以下、本編――…
坂本「しかし、なかなか異様な姿だな」
空母の甲板から魔眼で戦況を見る坂本。
その声には、先ほどまでの焦りは感じられなくなっていた。
シャーリー「遠くて私にはよく見えないけど、どんなふうなんですか少佐?」
坂本「頭には魔導針、瞳は私と同じような魔眼。時折風と雷と光熱をまとい、コートの裾は青白い炎がゆらりゆらり、といった具合だ」
リーネ「な、なんかすごいですね……」
バルクホルン「おそらく、ミーナの空間把握やエイラの未来予知も発動させていることだろう。これで被弾するほうが難しい」
シャーリー「さっきから時々急加速するのも私の固有魔法を使ってるから、って事か。あはは、やりたい放題だな」
坂本「はっはっは!整備俺は3分しか飛べない、などと言ってたが、十分ではないか!」
バルクホルン「しかし、そろそろ2分を過ぎるが大丈夫なのか?」
シャーリー「今は俺を信じるしかないさ。私たちの力は、全部あいつに託したんだから」
リーネ「お願い、俺君。きっと、芳佳ちゃんを助けてね……」
17 自分:主人公っぽい俺 >>16遅れてすまんかった!待っててくれてありがとう![sage] 投稿日:2011/07/25(月) 00:47:12.97 ID:BBz4+XtP0 [4/27]
宮藤「私の魔法力を全部あげる。だから、お願い、烈風丸。私に烈風斬を撃たせて!」
私の願いが届いたのか、烈風丸から光が吹き出す。体から、力が抜けていくのを感じる。
最後の力を振り絞り、刀を上段に構える。
これを振り下ろせば、全て終わるんだ。
目を瞑り、勢い良く振り下ろす。
さようなら、みんな。俺君。
俺「まったく、宮藤の魔力を独り占めなんて欲張りすぎだろ烈風丸」
烈風丸は、振り下ろされなかった。
振り下ろそうとした私の手を、暖かい誰かの手が握っていた。
私は、この手の感触を知ってる。
宮藤「おれ……くん?」
振り返ると、あんなに会いたかった人が目の前にいた。
俺君だ、俺君が目の前にいる。
一生懸命塞き止めていた物が少しずつ溢れてくる。
18 自分:主人公っぽい俺[sage] 投稿日:2011/07/25(月) 00:50:54.10 ID:BBz4+XtP0 [5/27]
宮藤「ふぁ……、ふえ……」
涙が、だめ、止められない。
俺「遅れてごめん。助けにきたぞ」
その言葉と同時に俺君が私を抱き寄せた。
その瞬間、押し止めていた感情が、止められなくなった。
涙が止まらない。俺君だ。俺君がいる。
助けに来てくれた。怖かった。
すっごく怖かったんだよ。
涙が次から次に溢れた。
俺君にギュッと抱きつく。暖かい。
火薬と油の匂いに混じって俺君の匂いがする。
ああ、すごく安心する匂いだ。
俺「宮藤、時間が無い。聞いてくれ」
耳元で俺君が囁く。少し焦ったような声だ。
宮藤「う、うん。ぐすん、わかった」
俺「俺が飛べる時間はあと1分有るかわからないんだ。だから、30秒であのデカイのを落とす。手伝って欲しい」
え?何言ってるの、俺君。
みんなで戦って、それでも倒せなかったんだよ?
俺「俺を信じてくれ。宮藤が力を貸してくれたら、絶対に倒せる」
宮藤「俺君……」
20 自分:主人公っぽい俺[sage] 投稿日:2011/07/25(月) 00:54:36.55 ID:BBz4+XtP0 [6/27]
そういえば、周りがやけに静かになっている。ネウロイがうじゃうじゃ飛んでるはずなのに。
って、え?
宮藤「あ、あれ?ネウロイがいない!」
あんなにいたネウロイがいなくなってる!小型だけじゃなくて、中型のネウロイまで!
もしかして、これって……。
俺「あっ、えっと!小型と中型は、なんかどっか飛んでったみたい!」
俺君が急に早口になった。あはは、なんて笑ってるけど、口元がうねうねしてる。
私には分かる、これは照れ隠しだ。
たぶん、ネウロイは俺君が倒したんだ。
……凄いな、俺君。
胸に埋めてた顔を、更に深く。
俺「み、宮藤?」
心臓の鼓動がすごく早い。きっと、とっても頑張ってくれたんだ。
宮藤「俺君、本当に強くなったんだね……」
俺「い、いや、その……」
私も、頑張らなくっちゃ。私だって、ウィッチなんだ。
私だって、みんなを守りたい。
宮藤「わかった。私、俺君を信じる」
俺「ほ、ホントか?」
22 自分:主人公っぽい俺[sage] 投稿日:2011/07/25(月) 00:57:52.72 ID:BBz4+XtP0 [7/27]
宮藤「うん。教えて?私はどうすればいいの?」
俺「簡単なことだよ」
俺君は笑った。それは、灰色の空を晴らす太陽みたいだった。
俺「宮藤と俺で、烈風斬をぶちかますんだ!」
23 自分:主人公っぽい俺[sage] 投稿日:2011/07/25(月) 01:01:56.58 ID:BBz4+XtP0 [8/27]
シャーリー「でもさ、なんかずるくないか?」
バルクホルン「何がだ?」
シャーリー「いやあ、俺のことさ。アイツが今ああやって活躍してるのって、装備のお陰なんじゃないか、ってさ。あのコートだって整備俺が作った物だし」
バルクホルン「なるほど、否定はできんな」
リーネ「でも、俺君は訓練も頑張ってましたし……」
バルクホルン「だが、それによって誰もがあのような力を手に入れ、奮えるわけではない。こう言ったら我々にも当てはまる事だが、俺は特別なんだ」
坂本「いや、天賦の才だけで飛べるほど、この空は優しくない。それにな、バルクホルン」
バルクホルン「なんですか?」
坂本「アイツは、最初はウィッチではなかったんだ。ただの、どこにでもいる少年だったんだ」
バルクホルン「そういえば、そうだったな」
シャーリー「だったら、尚更装備のおかげじゃないですか?ユニットだって……」
坂本「では、そのユニットを履いたのは?」
シャーリー「履いたのは?って、そんなの俺に……あ!」
バルクホルン「なるほど。アイツは自分であの得体の知れない金属の筒に足を突っ込んだ。そして、ウィッチとしての力を得た」
24 自分:主人公っぽい俺 [sage] 投稿日:2011/07/25(月) 01:08:17.81 ID:BBz4+XtP0 [9/27]
リーネ「そっか!オーバーブーストだって、危険だって言われてたのに自分で使ってました。初めは墜落してしまいましたけど、あれが無かったら今もまだ使われなかったと思います!」
坂本「そうさ、アイツは、人から与えられるのをただ待ってた訳じゃない。いつだって、自分から掴みにいってたんだ。そのせいで失敗もしてきたがな」
シャーリー「そっか、俺はちゃんと自分の力で戦ってたんだな……」
坂本「もっとも、そうなったのは最近らしい。それもどうやら基地に来てからのようだがな」
バルクホルン「軍に入る事で、責任感に目覚めた、という事か?」
整備俺『いやいや、そんなんじゃないですって』
シャーリー「整備俺?」
整備俺『男がいつもより頑張れる理由なんて、一つだけですよ』
坂本「ほう、それは?」
整備俺は俺が閉じこもってた部屋から一歩も動けずにベッドに仰向けに倒れていた。
脚に巻かれた包帯からは血が滲みシーツを赤く染める。
激痛を発するその脚を見ながら、整備俺は精一杯に芝居じみて言い放った。
整備俺『そんなの、好きな女の子のために決まってるじゃないですか』
26 自分:主人公っぽい俺[sage] 投稿日:2011/07/25(月) 01:17:21.33 ID:BBz4+XtP0 [10/27]
宮藤が烈風丸を構える。
それを、後ろから抱きつくような姿勢で宮藤の手を握る。
うわー、さっきも思ったけど宮藤いい匂いする。
って、ダメだダメだ。集中しないと。
宮藤「俺君?これでいいの?」
俺「うん。宮藤はさっきみたいに烈風丸に魔力を流して。流れすぎないように俺がそれを制御する」
宮藤「わかった、いくよ!」
俺「おう!」
烈風丸の刀身が青く激しく輝く。くっそ、烈風丸の魔力を吸い上げる力が強すぎる。
気を抜いたら一瞬で全ての魔力を吸い取られるぞ。
少佐はこんな物を使ってたのか!
俺「この、大人しく、しろっ」
制御なんてもんじゃない、まるでアクセル全開の車を押し止めてるみたいだ!
俺「くおおお、押し切られるっ」
やば、力が抜けはじめた。そろそろタイムリミットに……。
宮藤「俺君、頑張って!!」
27 自分:主人公っぽい俺[sage] 投稿日:2011/07/25(月) 01:21:04.02 ID:BBz4+XtP0 [11/27]
その一言で、俺の中の何かが弾けた。
体のどこに残ってたのか分からない力が、急に沸き上がった。
歯を食い縛り、必死に耐える。
もう少し、あとほんの少しだ。
俺「ふぎぐぐぐぬ!!」
輝きが安定する烈風丸。これならいける!
魔眼で敵のコアの位置を確認する。
幸運にも、俺達はちょうどコアが一列に並ぶ位置にいた。
俺「今だ宮藤!」
宮藤「うん!」
烈風丸を振りかざす。
お前、よくもみんなを傷つけたな。
宮藤を、苦しめたな。
絶対に逃がさない。
「「烈風斬!!」」
29 自分:主人公っぽい俺[sage] 投稿日:2011/07/25(月) 01:27:17.58 ID:BBz4+XtP0 [12/27]
振り下ろされる刀から、青い光の束が一気に噴き出す。
まるでギリシャの遺跡にあるようなバカでかい石柱だ。
それが戦艦のように巨大なネウロイを押しつぶし、真っ二つにした。
宮藤「あっ、コアが!」
砕けたコアは二つ。もう一つのコアは、ネウロイを基地まで射ちだしたという巨大な砲へと移動し、分離した。
それは単体でも中型ネウロイと同じサイズはあった。
俺「逃がすか!」
光を貯えはじめた砲身へ向けて、体を一気に加速させる。
みんなから貰った魔力は、あと僅か。それを全て右腕に集める。
すると、右腕がさっきの烈風丸のように光を放ち始めた。
今この腕は、ストライクウィッチーズそのものだ。
皆の思いが、希望が詰まってるんだ。
ネウロイはもう目と鼻の先。
右手で拳を握り、前へ突き出す。
それと同時に、ネウロイが雄叫びを上げ、砲の巨大さに見合うビームを照射した。
避ける暇も、シールドを張る暇も無い。
なら、このまま突き進むまでだ!
エンジンを限界出力でブンまわす。オイルが飛び散り、振動の激しさが機体の限界を超えていることを訴えていた。
もうちょっとだけ頑張ってくれ、整備俺さんに直してもらうから。頼むよ翼、溶けないでくれ。
俺「はああああああああ!」
魔力を纏った右拳がビームを切り裂く。
激しい光に目が眩みながら、砲筒の中を突き抜ける。
――コアまで、残り5m。4、3、2、1。
30 自分:主人公っぽい俺[sage] 投稿日:2011/07/25(月) 01:36:53.88 ID:BBz4+XtP0 [13/27]
バキン、という音と手に伝わった衝撃で思わず目を開ける。
暗く、少し広い場所に出た。どうやら砲筒の先に空間があったらしい。
目の前にはきらりと輝く赤い結晶が。
魔眼で確認するまでもない。大きいけど、これがコアだ。
――どうする?今君は丸腰だ。
俺「そんなの決まってるだろ?俺はいつもどうやってネウロイを倒してきたんだよ?」
――なるほど、了解したよ。
俺「準備は任せた。ド派手に頼むぞ!」
――Ya。残った魔力を贅沢に使わせてもらうよ。
脚を開き、腰をひねり、左手を前へ出し、右手を後ろに引き絞る。
――右手にシールド展開。光熱、雷撃、疾風、付与。怪力、超高速、発動準備完了。さあ、フィナーレだ。
俺「これがストライクウィッチーズの一撃だあああああああああああああ!!!!」
――撃墜1、確認。Mission erfüllt。
32 自分:主人公っぽい俺[sage] 投稿日:2011/07/25(月) 01:42:20.86 ID:BBz4+XtP0 [14/27]
海に崩れ落ちていくネウロイ。こうなっちゃえば綺麗なもんだな。
俺「はあ、はあ。ざまあみろこのやろー」
――周囲のネウロイ反応、無し。お疲れ様、ご主人。
俺「うん、お前もありがとうな」
――あ、そうそう。一つ大事なお知らせがあるんだ。
俺「お知らせ?」
――あと5秒で魔力が底を突くから。生きてたらまたおしゃべりでもしよう。それじゃ、おやすみ。
俺「へ?」
ユニットから音が消える。
頭の翼と尾羽も消え、景色が上へ流れはじめる。
俺「うわわわああ!結局最後は落ちるのかよおおお!」
結局俺は、着水ギリギリのところで宮藤に助けられた。
艦に戻ると、ふらふらな俺を坂本少佐や
シャーリーさんが抱き抱えてくれた。
宮藤も限界だったようで、倒れた宮藤をバルクホルンさんが猛スピードで担いでいった。その後を胸を揺らしながらリーネが追っ駆けていった。
それをなんだかほっとした気持ちで見送った。よかった、いつもの俺の好きなストライクウィッチーズだ。
安心したら一気に意識が遠くなり、俺はシャーリーさんの背中で眠りについた。
33 自分:主人公っぽい俺 このシーン考えたの一月くらいだったなあ(遠い目)[sage] 投稿日:2011/07/25(月) 01:47:56.29 ID:BBz4+XtP0 [15/27]
ルッキーニ「ねえねえ、よしか笑いながら寝てるー」
シャーリー「しー、二人が起きちゃうだろ。よし、宮藤を俺のベッドに運ぶぞ」
ルッキーニ「むふふー、起きたら驚くよ?」
シャーリー「よいしょっと。まあ、ご褒美ってやつさ」
ルッキーニ「それじゃーあたしも二人にごほうびー。んー、ちゅっ、ちゅっ」
シャーリー「はは、ほっぺたにキスか」
ルッキーニ「にひひー。守ってくれてありがとー、よしか、おれー」
シャーリー「……そうだな。ありがとな、二人とも。さて、行くか」
ルッキーニ「はーい!ねえねえシャーリー、あたしお腹すいたー」
シャーリー「魔力切れでぶっ倒れりゃ腹も減るさ。食堂に行こっか」
ルッキーニ「うん!」
36 自分:主人公っぽい俺[sage] 投稿日:2011/07/25(月) 01:53:12.70 ID:BBz4+XtP0 [16/27]
宮藤「ふあ、俺くん……。すう……」
俺「んん、ぐう。宮藤……、むにゃ」
「「大好き……」」
エイラ「……くっそーこんな状況で同じ部屋で寝られるわけないじゃナイカー」
エーリカ「くかー。むにゃ、トゥルーデおかしー……、ぐう」
最終更新:2013年01月28日 15:47