85 自分:主人公っぽい俺[sage] 投稿日:2011/10/24(月) 21:51:03.25 ID:e47xjPUU0 [9/23]
前回のあらすじ
ペリーヌ「いいこと、純粋な愛が不幸をもたらす事など絶対にありえなくってよ?」
最初で最後のSPTだった
以下から本編――――――…
ベッドに横になってからどれだけ経っただろう。寝付けないまま夜が更けていく。
荷物を運び終え、今俺の部屋にあるものは明日着ていく制服と、このベッドだけだ。
俺は明日の朝、この基地を飛び立つ。
一週間前に決めた事で、そしてこの一週間は慌ただしく一瞬だった。
ミーナ隊長から俺の技術支援の話を聞いたときは、凄く嬉しかったし興奮した。
まさか俺にこんなに凄い出来事が起きるなんて、一体いつ予想できただろう。いや、いつもベッドの上で空想はしてたんだ。
日常がぐるりと変わってしまうような出来事を待っていた。
紙面を飾る華々しいエース達の活躍や、ウィッチを必死に救った兵士の話をよんで、それらに憧れていた。
そしてあの日、妄想が現実となった。
炎と閃光の中で無我夢中に空を駆けた。
肌に冷たくヒリヒリとまとわり付く死の予感。
ネウロイを墜とし、生まれて
初めて味わった強烈な快感。
それらを教えてくれたのはイカロスだった。
そのイカロスを作った人が俺を手伝いたいと言ってくれてる。
戦艦一隻が俺の為に使われるなんて話が大きすぎて怖いけど、それでも思いきってその話を受けた。
受けた後からミーナ隊長に
ミーナ「あなたが断っても上から辞令が出ていたと思うわ。自分で決めてくれて良かった」
とか言われて今更ながら自分がどういう組織にいるのかを認識する、なんてこともあったけど。
坂本少佐が言ってたけど、なんでも上官の無茶な支持のせいで部隊が全滅した事もあるらしい。
俺はこの部隊に入れてもらえて本当に良かった。
86 自分:主人公っぽい俺[sage] 投稿日:2011/10/24(月) 21:54:30.57 ID:e47xjPUU0 [10/23]
そう、この基地に来なければ会うこともなかったんだ。
俺「宮藤……」
ミーナ隊長と話した次の日、みんなに集まってもらってこの基地を離れる事を伝えた。
淋しがってくれる人や応援してくれる人がいて、俺もちゃんとこの隊の一員だったんだなって実感して、嬉しくなった。
そんな中、俺は宮藤の反応が気になった。
淋しがってる?応援してくれてる?その答えを確かめようと宮藤の席のほうを見た。
でもそこにいたのは驚いた様子で部屋の出口を見つめるリーネと、倒れた椅子だけだった。
それ以来、宮藤は俺と顔を合わせるのを避けるかのようだった。
訓練や出撃、異動の準備がある中で俺を避ける宮藤と正面から話をするには、一週間は短すぎた。
明日の見送りには来てくれるのかな。このまま別れるのだけは絶対に嫌だ。
色々な思いが頭の中を駆け巡ってますます眠れなくなってきた。
そんな時、不意にドアがコツコツと叩かれた。
「……俺君?」
そして、聞き覚えのある声が。
俺「……宮藤?」
転がるようにベッドから降り、急いでドアを開ける。
そこに立っていたのは、紛れもなく宮藤だった。
胸がポウっと熱くなる。自分で信じられないくらいに、凄く嬉しい。
88 自分:主人公っぽい俺[sage] 投稿日:2011/10/24(月) 21:57:59.89 ID:e47xjPUU0 [11/23]
宮藤「ごめんね。こんな遅くに来ちゃって。寝てた?」
俺「いや、なんか眠れなくって。ずっと起きてたんだ」
宮藤「そうなの?へへ、よかった」
宮藤は扶桑式の寝間着じゃなくて、いつもの制服を着ている。こんな時間まで訓練だったのかな。
宮藤「えっとね、その……」
俺「なに?あ、座って話さないか?俺、宮藤と話がしたいんだ!」
宮藤「私とお話を?」
俺「ああ!どうせ眠れなかったしさ。それに、これでしばらく宮藤と会えなくなっちゃうしな。ほら!」
宮藤の手を掴んで招き入れようとしたら、宮藤はビクっと震えた。驚いて手を離し、宮藤の顔を見る。その顔は、まるで扶桑のリンゴのように真っ赤だった。
宮藤「あっ……。あの……」
俺「あ、う……」
俺まで顔が熱くなってきた。二人で顔を真っ赤にしながら、しばらくしてどちらともなく笑いだした。
宮藤「えへへ、あのね、俺君」
俺「うん、なに?」
89 自分:主人公っぽい俺[sage] 投稿日:2011/10/24(月) 22:00:29.16 ID:e47xjPUU0 [12/23]
宮藤「空、飛ばない?」
俺「へ?」
92 自分:主人公っぽい俺[sage] 投稿日:2011/10/24(月) 22:02:41.81 ID:e47xjPUU0 [13/23]
俺「ほ、本当に大丈夫かな?」
宮藤「大丈夫、ついてきて!」
宮藤に手を引かれ、夜の廊下をなるべく静かに走る。誰かに見つからないか
ヒヤヒヤするけど、それもなんだか二人だけの秘密の冒険みたいでワクワクする。
月明かりが窓から射し込んで廊下を照らす。夜の基地は昼間の騒がしさが嘘のように静かだ。
俺「ところで宮藤、今俺たちってどこに向かってるんだ?」
宮藤「大丈夫、こっちで合ってるから」
俺「こっちで合ってる、って言っても……。ハンガーは反対方向だぞ?」
宮藤「えっとね、普通に滑走路から飛んだらバレちゃうから」
俺「えっ。あ、まあそうだけどさ」
てっきりハンガーの機体をこっそり借りる計画だと思ってたんだけど、違った。
宮藤の事だからなにも考えないで勢い任せにやっちゃうものだと思ってたし、俺もそれにのるつもりだったから驚いた。
これ、宮藤に言ったら怒るかな。
宮藤「ちょっと、俺くん?」
俺「へ?もしかして誰かに見つかった?」
宮藤「そうじゃないよー。今、ちょっと驚いてたでしょ?」
宮藤が頬っぺたを膨らませて怒ってる。何でだ、俺が驚いたから?
93 自分:主人公っぽい俺[sage] 投稿日:2011/10/24(月) 22:06:54.08 ID:e47xjPUU0 [14/23]
俺「はっ……」
宮藤「むー、どうせ私のこと、いつも何も考えてないとか思ってたんでしょ」
俺「そ、そんなこと思ったことなんてないよ!ないない!」
宮藤「むー?」
俺「うぐっ……。ごめん、だってこの間だって自分一人で敵のど真ん中に突っ込むなんて無茶してたし、
坂本少佐に聞いたら、扶桑の基地からストライカーユニットを勝手に使ってついてきたって言ってたし……」
宮藤「はうっ」
俺「宮藤、いっつも無茶ばっかりしってるじゃないか。だからついまたいつもみたいな感じかなって思っちゃって」
宮藤「でっ、でも!俺くんだって、ウィッチじゃないのにストライカーユニット履こうとしたりしたし、
使うなって言われてたなんとかブースト使って海に落ちたりしたもん!
それに、この間は俺くんだってネウロイが一杯いる中に飛んできたでしょ!」
俺「そっ!それは宮藤が危なかったからだろ!それにオーバーブーストを使ったときだって後ろに基地があって、
アレ使わなかったら宮藤が丸焦げになってたかもしれないんだぞ!」
くそ、俺も結構無茶ばかりしてたな……。宮藤に何か言えたものじゃなかった。
95 自分:主人公っぽい俺 おっと支援多謝[sage] 投稿日:2011/10/24(月) 22:12:49.69 ID:e47xjPUU0 [15/23]
宮藤「俺くんの言い方、なんだか私のために無茶してるみたい」
俺「う……。その、仲間だから、助けるのは当たり前だろ?」
宮藤が突然立ち止まった。月が雲に隠れたのか、廊下は真っ暗になる。
宮藤「仲間だから?」
俺「ああ。仲間だから、ピンチの時は助ける。あたりまえだろ?」
宮藤「じゃあ、俺くんは」
再び廊下が月明かりで照らされる。宮藤が、俺の右手を両手で握った。
宮藤「俺くんは、この基地から離れたら、501の仲間じゃ無くなったら、もう私を助けてくれないの?」
顔を赤くした宮藤が、俺の手をきつく握る。泣きそうな、苦しそうな、そんな顔だった。
そんなことない、俺が宮藤を助けた理由は仲間だから、ただそれだけなんかじゃないんだ。
そのことをどう伝えればいいかわからず、それでも何か言わなきゃと俺が口を開こうとしたとき、遠くで誰かの足音が聞こえた。
見回り!?と思い緊張しつつゆっくり振り返る。だけど、そこにいたのはよく知った顔の人だった。
整備俺「お、いたいた。なかなか来ないから心配しちゃったじゃない」
97 自分:主人公っぽい俺 [sage] 投稿日:2011/10/24(月) 22:19:29.92 ID:e47xjPUU0 [16/23]
整備俺さんに連れられて着いた場所は、海岸のさらに奥、林の中にある石畳の広場だった。
大きな円のような形で、石畳の間から所々に雑草が伸びている。この基地にこんなところがあったなんて。
広場の真ん中には、見慣れない大きなレールのようなものがあった。
その上にはいつも俺たちが使ってるストライカーの発進装置が乗っかっている。
整備俺「ここは緊急時に様々な用途に使えるように設けられた場所なんだよ。
まあ、この広場自体はもともとこの城にあったものなんだけどね」
俺「緊急時に?」
整備俺「そうだよー?例えば基地が崩壊した時はここにテントを建てて臨時の指令室にしたりするのさ。
他にも避難場所としてや、離着陸場所としても使える。色々便利な広場なんだよー?」
俺「へー、驚きっす。じゃあ、もしかしてあのでっかいのは?」
気になってた大きな機械を指差す。整備俺さんは頷いた。
整備俺「そう。ストライカーの発射台。いつもは分厚いシートを被せて時々メンテしにきてるんだけどね、
今日は俺の当番だったって訳さ。このラッキーボーイ&ガールめ」
整備俺さんのジョークが広場に空しく轟いた。きょとんとして整備俺さんを見上げる宮藤と目が合い、俺は思わず目を背けてしまった。
宮藤とはさっきから少し気まずい雰囲気になってしまっている。くそ、どうしよう……。このままじゃ何も話せないまま終わってしまうんじゃ……。
98 自分:主人公っぽい俺 [sage] 投稿日:2011/10/24(月) 22:22:50.13 ID:e47xjPUU0 [17/23]
整備俺「うりゃ」
俺「あだっ。へ?」
整備俺さんが急に俺の頭を平手で叩いた。そのまま俺の頭をクシャクシャと撫でると、耳元で小さな声で言った。
整備俺「二人して何悩んでんだか考えてんだかしらないけどねえ、君たち二人にそんなもの似合わないよ。
いつも通り感じるままに思うままにやりたいことをやりなさい。それが一番君たちらしいんだから」
俺「はあ、えっと」
整備俺「ほらほら急いだ急いだ!明日は待っちゃくれないよ?」
俺「うわっ!」
宮藤「きゃっ!」
俺と宮藤は整備俺さんに引っ張られて走りだした。カタパルトの上で発進を待つストライカーが、月の光でキラキラ輝いていた。
102 自分:主人公っぽい俺 [sage] 投稿日:2011/10/24(月) 22:29:37.09 ID:e47xjPUU0 [18/23]
今日はここまでです
支援ありがとうございました!
宮藤「月、綺麗だね……」
俺「そうだな……」
だいたいこんな感じ
最終更新:2013年01月28日 15:48