異世界のウィッチその3
―――――――――
ドタドタ
ルッキ「シャーリー!」バーン!

シャーリー「お、やっぱり来たか」

俺「・・・あんたの差し金かよ」

シャーリー「まあな。良かったな、ルッキーニ」

ルッキ「うん!あ、シャーリーもしよー」

シャーリー「ああ、いいぞ」

ルッキ「うん!・・・じゃ、探しにいこー!」

シャーリー「おおー!」

 ・・・いや、ちょっと待て。

俺「おい」

ルッキ「ん?なにー?」

俺「三人で鬼やるのか?」

ルッキ「うん!」

 ・・・マジかよ。


―――――――――基地内
ルッキーニは先行してどっかに行っちまったので、
俺とシャーリーの二人で隠れている奴ら(宮藤・リネット・ペリーヌ・ハルトマン)を探すことにした。

俺「・・・あいつら、隠れるの上手いな」

5分は隠れそうなところを探しているのに、影すら見えない。

シャーリー「ま、普段からルッキーニに絡まれてつき合わされてるからな。自然に上手くなったんだろうな」クスッ

俺「・・・ったく・・・」クスッ

シャーリー「・・・お、今笑ったな」

俺「・・・」

あんたにつられて出た苦笑みたいなもんだけどな。

シャーリー「二ヶ月ぶりじゃないか」

俺「・・・笑うような出来事がなかったからな」

シャーリー「中に入れば笑えるような出来事があっても、それに入り込もうとしなかったんだろ」

俺「・・・」

 ・・・そう、なのだろうか。

シャーリー「ハルトマンも言ってたろ、お前は笑ってるほうがいいってさ」

俺「・・・」

シャーリー「・・・なあ、俺」

俺「なんだよ」

シャーリー「悩みがあるなら相談しろよ。私たちは仲間だろ?」

俺「・・・俺の場合は相談したって解決するような悩みじゃないんだよ。それに、俺は」

シャーリー「俺はお前らのことを仲間だなんて思ってない、とでも言うつもりだろ?」

俺「・・・」

やっぱり、魔女って人の心を読めるのか?

シャーリー「残念だけどな、私たちの中でお前のことを仲間じゃないなんて思ってる奴はいないぞ」

俺「・・・そうなのか?」

シャーリー「ああ。それに、ぶつくさ言いながらでも一緒に戦ってくれるお前のこと、私は嫌いじゃないぞ」

 ・・・

シャーリー「あとな、初めから解決しないって決め付けるのはどうかと思うぞ」

俺「・・・なにか、方法を知ってるのかよ?」

シャーリー「いや、知らないけど」

俺「・・・ハッ、なんだよそれ・・・馬鹿じゃねーのか」

シャーリー「・・・やっぱり、お前は笑ってるほうがいいぞ」ニコッ

俺「・・・余計なお世話だ」クスッ

シャーリー「・・・なあ、俺?」

俺「なんだよ」

シャーリー「答えたくないならいいけど、お前、元の世界でやり残したこととか、あるのか?」

俺「・・・」

考えてみた。やりのこしたこと・・・。

俺「・・・両親」

シャーリー「え?」

俺「・・・両親に、別れの言葉を言えなかった」

シャーリー「・・・」

俺「それだけが、心残りだ」

 ・・・言われて思った。俺は、本当に元の世界に帰りたいのだろうか。
それだけのことを、切実に思っていたのだろうか。
両親にたった一言言いたいがために、周りをギスギスさせてしまっていたのだろうか・・・


――――――――――――
外で大声が聞こえた。
ルッキ「あー!中尉みっけー!」

シャーリー「おっ、行ってみるか」

俺「ああ」


―――――――――
声の方向へ駆けつけてみた。

エーリカ「ありゃ~、見つかっちゃったか~・・・ふぁーぁ・・・ん?やあ、俺」

俺「・・・どこに隠れてたんだよ」

エーリカ「木の上」

俺「は?」

ルッキ「中尉、寝てたよね」

シャーリー「あー・・・」

エーリカ「うん、かくれんぼのついでに昼寝しようと思ってさ」

 ・・・どんだけ自由人なんだよ。

俺「・・・そこで寝て大丈夫なのか?身体痛くなるだろ」

エーリカ「大丈夫大丈夫。さて、他の人も探さないとねー・・・俺、一緒に探そ」

俺「わかった」

ルッキ「じゃあシャーリー、一緒に探そ」

シャーリー「ああ」


――――
またもや探すこと3分。

エーリカ「いや~、見つかんないねぇ」

俺「・・・どこに隠れたのか見当はつかないのか」

エーリカ「みんなバラバラに隠れないと意味が無いからねぇ。まったく見当つかない」

俺「・・・はぁ」

俺は溜め息をついた。

エーリカ「溜め息は幸せが逃げるよ」

その迷信ってこの時代からあったのか?

俺「溜め息程度で逃げる幸せなんかいらねーよ。それに、あんただって溜め息くらいつくだろ?」

エーリカ「まあ、そうだけどね。・・・君の場合、その溜め息程度が積み重なって、
こんな異世界に飛んじゃうなんて不幸が起こっちゃったのかもしれないよ?」

俺「・・・」

エーリカ「・・・でも、君みたいな良い人が不幸になるなんて、納得いかないねぇ」

はぁ?

俺「・・・お前、俺の何を見てきたんだよ。俺が良い奴になんて見えるか?」

エーリカ「見える見える。・・・この基地の中じゃ、誰も君の事を悪い奴だなんて思ってないよ」

俺「・・・」

エーリカ「悪い奴だとは思ってないけど・・・」

俺「・・・なんだよ」

エーリカ「このままだと、嫌な奴に格下げされちゃうかもしれないよ」

俺「・・・それでいいのに。そのほうが楽だよ。元の世界に帰るとき、なんの後悔も無く帰れるのに」

エーリカ「ダメだよ。君が良くても、私達がよくない」

俺「・・・」

エーリカ「そんな別れ方じゃなくてさ、どうせなら、もっと、惜しむような別れかたをしようよ。
私は、そんな、お前が居なくなってせいせいするぜ、みたいな別れ方はしたくないんだ。
だからさ、俺。お互い、爽やかな別れかたをするために、君には私達を受け入れて欲しい」

俺「・・・受け入れてるさ」

嘘を付いた。・・・二ヶ月経った今でも、俺はこの世界の何も受け入れてなんていない。

エーリカ「嘘付け」

 ・・・やっぱり・・・魔女って、心読めるんだな。

俺「・・・バレたか。俺って、そんなにわかりやすいか?」

エーリカ「うん。凄く。・・・で、どう?」

俺「・・・考えておく」

エーリカ「うん。それでいいんだよ。・・・まあ、ようするにさ、
無理して突き放そうとしないで、今を楽しく、気楽に生きようよってことだよ」

俺「あんたみたいにか?」

エーリカ「あ、それはやめといたほうがいい。口うるさい軍人にしょっちゅう説教を食らうことになるから」

俺「ハハッ」

エーリカ「・・・あ」(ようやく笑ってくれた・・・)

俺「どうした?」

エーリカ「なんでもないよ。・・・あっ」

エーリカ「リーネ見っけ!」


―――――――――
リーネ「見つかっちゃいましたか・・・ってあれ?」

俺「なんだよ?」

リーネ「俺さんもやってるんですか?」

俺「・・・まあな」

タッタッタッ

ルッキ「あ!リーネ見つかったの!?」

エーリカ「うん」

ルッキ「そっかー・・・じゃあ、次は、俺!一緒に芳佳を探そ!」

俺「わかったわかった、わかったから引っ張るな!」

シャーリー「じゃ、私たちも三人で探すか」

リーネ・エーリカ「了解!」

――――――――
ルッキ「うじゅ~・・・芳佳見つかんない・・・」

さっきからそればっかりだな。お前ペリーヌのこと忘れてるだろ。

俺「・・・こういう場合、意外な場所にいたりするんだよな」

ルッキ「そうなの~?」

俺「・・・例えば、・・・どこだろ」

ルッキ「じゃあ、談話室行ってみる?」

 ・・・意外とあるかもしれないな。

俺「行ってみるか」

ルッキ「うん!」

 ・・・

ふと、疑問に思った。

俺「おい、ルッキーニ」

ルッキ「なぁに?」

俺「なんでお前、俺をかくれんぼに誘ったんだ?」

ルッキ「ん~?えとねー、一緒に遊びたいから!」

 ・・・

俺「・・・なんで、俺と一緒に遊びたいんだ?」

ルッキ「もっと、俺と仲良くなりたいから!」

俺「なんで、俺と仲良くなりたいんだ?」

ルッキ「仲が悪いよりは良い方がいいでしょ?
それに、えと、仲良くなって、もっともっと、俺のことを知りたいの!それに・・・」

俺「それに?」

ルッキ「俺、ずっと怖い顔してばっかりだったから・・・
一緒にかくれんぼして、笑ってくれたらいいなって、思ったの」

俺「・・・そうか」クスッ

ルッキ「あ、笑った!」


――――――――
本当に宮藤は談話室にいた。ルッキーニ達がいなくなったのを見計らって談話室に戻ったらしい。

宮藤「よくわかりましたね!見つからない自信あったのに」

灯台下暗しってやつだな。

ルッキ「俺が言ったんだよ!意外なところに隠れてるかもって」

宮藤「俺さんが?」

俺「・・・まあな」

俺はそっぽを向いた。

宮藤「・・・良かった。俺さん、元気になったみたいで」

俺「は?」

再び宮藤のほうを向いた。

宮藤「みんな、俺さんが元気ないって心配してたんですよ」

俺「・・・」

宮藤「・・・俺さん。辛いことがあるなら、私達が支えてあげますよ。遠慮なく頼ってください。
 ・・・だから、私達が辛いときは、私達を支えてくださいね、俺さん。私達、俺さんのこと、信頼してますから」

 ・・・この世界の奴らは、わけがわからない。

俺「・・・俺はそんなに大したことはできないけどな。ま、考えとくよ」

宮・ル「!」

これでルッキーニは満足したようで、シャーリー達を探した後、かくれんぼの終了を宣言した。
おい待てルッキーニ。だから誰か忘れてるだろ。

ペリーヌ「・・・」


―――――――
ミーナ「ルッキーニさんと遊んであげたんですって?」

夕食の後、ミーナから尋ねられた。

俺「まあな」

ミーナ「・・・ふふっ、良かった」

俺「良かった?」

ミーナ「ええ。少しは打ち解けてくれたみたいで嬉しいわ」

 ・・・本当に、この世界の奴らは、わけがわからない。

俺「なあ、教えてくれないか」

ミーナ「なにかしら?」

俺「なんで、みんな、俺なんかに、こんなに良くしてくれるんだ?」

ミーナ「・・・どうしてかしらね。私にもよくわからないけど、放っておけないっていうか・・・
とにかく、みんなあなたのことは単なる戦力とだけ考えてるわけじゃないのは確かよ。私も含めてね」ニコッ


――――――――俺の部屋
俺「・・・」

一体、この世界のウィッチってのはなんなんだ。
俺はそのうちいなくなる存在なのに、どうしてそこまで俺に関わろうとするんだ。
分かれるときに辛いだろ。
 ・・・待てよ、よく考えたら、俺は本当に元の世界に帰れるなんて保障はないのか。
帰れるとしても、いつになるのかわからないのか。
だったら、あいつらの言うとおり、あいつらの気持ちを受け入れてもいいのかもしれないな。帰る、そのときまで。
仲が悪いよりは良い方が、良いんだよな。・・・辛かったら、相談してみていいんだよな。
 ・・・気楽に、前向きに考えてみた。
 ・・・不思議と、嫌な感じが俺の胸から消えていた。

コンコン
またドアがノックされた。

俺「誰だ?」

サーニャ「私です」

またあいつか。


――――
ガチャ

俺「・・・」

サーニャ「・・・俺さん」ニコニコ

サーニャは、何故か微笑んでいる。嬉しいことでもあったのか?

俺「なんだ?」

サーニャ「・・・俺さん、表情が少し柔らかくなってます」

俺「あ゛?」

 ・・・

俺「そんなに、硬い表情してたか、俺」

サーニャ「はい。・・・みんな、心配してました。エイラも」

あいつが?・・・サーニャ以外には興味なさそうなあいつが?

俺「・・・そうか」

 ・・・心配かけるのは、よくないな。心配かけてちゃ、お互い楽しく過ごせないよな。

俺「気をつけるよ」ニコッ

サーニャ「あ・・・」

俺「どうした?」

サーニャ「い、いえ!なんでもありません!///」タッ

そう言って、どっかに行っちまった。
 ・・・今日は、久しぶりに熟睡できそうな気がした。

最終更新:2013年01月28日 15:51