異世界のウィッチその4
―――――――ある日
ミーナ「みなさん、ネウロイが発生しました。小型ネウロイが十七機です」
坂本「俺とバルクホルンが出撃する。他の隊員は待機だ」
ゲルト「了解」
俺「・・・了解」
俺はこの堅物が苦手だ。嫌いなんじゃない。厳しいし近寄りがたいしとにかく苦手なんだ。
その癖向こうから絡んでくるから厄介なんだ。
――――――
ブウゥゥゥゥン
ゲルト「いいか俺。無茶な真似はするんじゃないぞ」
俺「・・・了解。・・・あれか?」
遠くに、黒い小さな点が見えた。・・・
初めて見たときは、人類の敵だなんて思わなかったな・・・。
キュイイィィィィン・・・
ゲルト「この程度なら私一人でも充分だな」
俺「わざわざそんなこと言わなくていい。やるんだろ?」チャキッ
俺達は銃を構えた。小型機に刀は相性が悪い。
ゲルト「ああ」チャキッ
―――――――
ガガガガガガガガ バキィィィィン パラパラ・・・
ゲルト「全く・・・いつまでもこんなのばっかりでは、腕が鈍ってしまいそうだ」
俺「・・・」ボーゼン
いつみてもこの戦いっぷりには感心してしまう。本当に俺の出番が無かったぞ。
いったい何回出撃すりゃあこんなことが可能になるんだか。
ゲルト「・・・何を呆然としている」
俺「・・・いや」
ゲルト「・・・」
ザザ・・・『バルクホルン大尉!俺軍曹!』
俺「ん?」
通信が入った。この声は・・・
ゲルト「こちらバルクホルン。どうした?ミーナ」
ミーナ『二人とも、気をつけて!その辺りに、超大型ネウロイと中型ネウロイ二十九機の反応が先程確認されました!』
ゲルト「何?」
俺「援軍ってやつか・・・?」
ゲルト「むしろこちらが本命だろう」
俺とバルクホルンは辺りを見渡した。
・・・西の方角に、筒のような形のネウロイ達が見えた。
でかい。少し離れたここからでもわかる。凄く、でかいのが、一ついる。
キュイイィィィィィィィィィィィィィン・・・
ゲルト「・・・ミーナ!こちらも確認した!」
俺「これは・・・」
ミーナ『これから、私達は増援に向かいます。それまで、敵を足止めしていて!』
ゲルト「了解。・・・俺、どうした?」
俺「・・・」ブルブル
怖かった。今まで俺は、実際には小型のしか見たことが無かったが、大型と言われるネウロイはここまで大きいものだとは・・・
ゲルト「・・・震えている暇などないぞ!中佐の命令どおり、持ちこたえろ!」
俺「・・・」
確かに、怖がったってどうにもならないな。やるしかないか。
仕方ねえよな、この際、なんのかんのと思ってる場合じゃない。・・・気楽に考えた。
震えが止まった。・・・ありがとう、ハルトマン。
俺「了解!」
ゲルト「うむ。いい返事だ・・・行くぞ俺!刀を抜いておけ!」
俺「わかった!」
・・・実戦だと初めてだな、刀を使うのは。
―――――
キュイィィィィィィン・・・ビュインッビュインッ
筒のような超大型の一機の周りを、戦艦のような中型のネウロイが援護するような形でこちらにビームを放ってくる。
俺達はビームをかわしながら接近し、十分な距離に達したところで攻撃を開始した。
俺「ネウロイの浮遊艦隊か・・・」ガガガガガガガガ
刀は使わず、様子を見つつ片手に持った銃を撃つ。
ゲルト「名を冠すとしたらそういったところか」ガガガガガガガガガ
ビュインッ ヒュンッ
俺「中型の奴らは大した攻撃はしてこないな」
ゲルト「ああ。・・・だから、警戒すべきは、この超大型の奴だ。どのような攻撃をするのか見物だな」
キュイイィィィィィィィン・・・
ゲルト「来るぞ!避けろ!」
俺「了解」
言われなくてもそのつもりだ。
・・・結果を先に言うと、俺はビームを避けることはできた。できたのだが・・・
ギュオオォォォォォォォォォン・・・
ゲルト「・・・!?」ヒュンッ
ズギュオオオオオオオオオオオオオオオオン!
それは、あまりにも強烈すぎた。
俺「うおっ!?」ドヒュンッ
ゲルト「なんだ・・・これは・・・」
その姿に似合う、超強力なビームだった。
『きゃあ!?』
二人「!?」
ゲルト「どうした!?」
『バ、バルクホルンさん・・・!?俺さんも無事ですか!?』
宮藤の声だ。
俺「無事だ」
『よ、よかったぁ・・・それであの、今のビームって・・・』
ゲルト「・・・敵の、超大型ネウロイの攻撃だ」
『なんだと!?』
『あんな強力なの、初めて見たぞ!』
ゲルト「私もだ。・・・早くきてくれ!これは強敵だ!」
――――――――
坂本「超大型ネウロイのコアは、奴の中心からやや後部だ。中型機も同じく」
ミーナ「幸い、超大型ネウロイの攻撃の間隔は長いようなので、中型機から削っていきます。
ビームの準備をされたらすぐに回避行動に移りなさい。・・・攻撃開始!」
『了解!』
エーリカ「しっかし、小型ばっかりだと思ってたら・・・」ガガガガガガガガ
ゲルト「ここに来てようやく、骨のありそうなやつがやってきたな」ガガガガガガガ バキィィィン
キュイイィィィィィン・・・
ルッキ「中ぐらいの奴、かったぁ~い・・・」ガガガガガガガ
シャーリー「攻撃が激しくない分、数と主砲のあれでカバーしてるってのか?」ガガガガガガガ バキィィィン
エイラ「やりがいがあるナ」ガガガガガ
サーニャ「エイラ、油断しないでね・・・」ドシュンッバキイィィィィン
ガガガガガガガガ ビキンッ
宮藤「コアが見えた!リーネちゃん!」
リーネ「うん!」ズギュンッ バキィィィィィィン
俺「・・・一体を倒すのに時間がかかるな」
坂本「埒が開かない!・・・烈っ・・・風っ・・・斬!!」ドヒュンッ
キュイイィィィィン・・・ビシュンッバキイィィィィィン
ビキッ
坂本「くっ!」
ペリーヌ「烈風斬で二体倒せないなんて・・・」
エーリカ「堅すぎだろっ、このぉ・・・!シュトゥルムーー!!」ズギュイイィィィン
バキィィィン
エーリカ「ううっ・・・」
キュイイィイィィン・・・
ガガガガガガガガガ バキィィィィン
・・・今こそ、刀の出番だな。
俺「・・・ふんっ!」ヒュンッ
剣道がネウロイとの戦いに役立つとは思ってもみなかったな。
ザシュッ ビキィッ
俺「くらえっ」ガガガガガガガ バキィィィン
宮藤「俺さん、初めて刀使いましたね!」
俺「・・・そうだな。今まで使いどころがなかったしな・・・!?」
キュイイィィィィィン ビュインッ
リーネ「!」バシュンッ
俺「うおっ」バシュン
ゲルト「くっ・・・中型が数で押してくるとは」
ルッキ「下手に近づいたら囲まれちゃうよ・・・」
シャーリー「敵の連携が上手いな」
エーリカ「絶対に、でっかいのには近づけないって感じだね・・・」
キュイイイィィィィィン
ギュオオオオオオン・・・
ミーナ「みんな!来ます!」
ズギュオオオオオオオオオオオオオオオオオン
宮藤「・・・シールドしても、これじゃ無駄だね・・・絶対」
ルッキ「うじゅ~・・・ちょ~きょ~れつぅ・・・」
――――――――
サーニャ「・・・残り敵数、11」ハァハァ
エイラ「ま、まだいるのカヨ・・・」ハアハァ
ミーナ「くっ・・・」
宮藤「ひ、引きましょう!弾も魔力も限界です!」ハァハァ
ペリーヌ「駄目ですわ!ここでなんとかしなければ、ネウロイは・・・」
坂本「あの主砲を撃ちながら、ロマーニャを進んでいくだけだ・・・」
ルッキ「そんなの、ダメだよ・・・絶対、そんなことさせない!」
シャーリー「そうだ・・・それだけは、ダメだ」
ゲルト「・・・ネウロイ共・・・このために、小型のばかりをこちらへ寄越していたのか!?」
エーリカ「・・・前回までとのギャップがヤバイね・・・」ハァハァ
リーネ「うぅ・・・」ハァハァ
キュイイイイィィィィィィィィン・・・
ギュオオオォォォォォォン・・・
ズギュオオオオオオオオオオオオオオオオオン
敵は堅い守りと別次元な火力。こちらは虫の息。まさに絶望的な状況。
・・・だが、この状況の中で、何故か俺は、今までに無い、妙な力が湧いてくるのを感じた。
俺「・・・」
宮藤「・・・俺さん?」
坂本「どうしたんだ?」
ルッキ「俺?聞こえてる?」
俺「・・・ああ、聞こえてるよ」
シャーリー「・・・お前、何を考えてるんだ?」
サーニャ「・・・?」(俺さんの横顔・・・何か、怖い・・・)ブルッ
エイラ「サーニャ?」
エーリカ「・・・」(何かやらかしてくれそうな雰囲気!)
ミーナ「・・・!」(そういえば彼って一応扶桑人よね・・・まさか!)
ヒュンッ
『!!』
俺は、中型機なんかに目もくれず、全速力で超大型ネウロイに突撃していった。
ミーナ「俺さん、待ちなさい!」(世界が違っても、やっぱりこれ扶桑人の習性なんだわ!なんで、みんな一人で突っ走っちゃうのよ!)
ゲルト「何をするつもりだ!?」
ギュオオォォォォォォォン・・・
サーニャ「俺さん、危ない!」
主砲発射。
ズギュオオオオオオオオオォォォォォォォォォン
ヒュンッ
俺のすぐ横を巨大な赤い柱が通り過ぎていった。
不思議だ。こんなに力がみなぎるのは今までになかった。
こんな絶望的な状況なのに、今ならどんな敵でも倒せる気がする。
・・・中型機が俺の方に向いている。俺を目標にしたみたいだ。
ビシュンッビュンッ
背後からビームが放たれる音が聞こえる。構わず、俺は刀を握り締めて、でっかいアイツに迫っていった。
ギュオオオォオォォォォォンン・・・
例の主砲の発射準備の音だ。だが、もう遅い。・・・俺が、こいつを・・・
俺「うおおおぉぉぉ!!」
このネウロイを、倒す!
俺は奴の正面から、持っていた刀を構えて、この沸いてきた不思議な力を全力で込めて、奴のビームの射出口を思い切り突いた。
ビキィィィィィィンッ!
装甲が砕ける音がした。
ルッキ「おお!」
シャーリー「ビームを封じた!?」
坂本「だが、コアは奴の後部だぞ!?」
宮藤「もう再生が始まってます!」
リーネ「俺さん、早くコアを!」
ペリーヌ「刀を抜いて動いてくださいまし!」
いや、ここを動く必要なんてない。
俺は、このまま一気に力を奴の中に流し込み、一旦刀を抜き、もう一度斬りつけた。
俺「ぶっ飛べぇぇぇぇぇーーーーーー!!!!」
斬りつけたその瞬間、主砲のネウロイの全体が巨大な紫の光に包まれ、その光は周囲を巻き込み、
ドゴオオオォォォオォォォォォォォォン!!!!!
遥か下の海に穴が開き、少し上の雲が離れていき、桁外れの轟音が辺りに響き渡り、
宮藤「きゃあ!?」ビリビリ
リーネ「うっ!?」クラッ
物凄い衝撃がウィッチ達を襲った。
ペリーヌ「い、一体なんですの!?」
エイラ「わ、ワカンネー・・・」
サーニャ「・・・」ポカーン
ゲルト「・・・どういうことだ」
ルッキ「すごい!」
シャーリー「うおおおおおおお・・・」ゾクッ
エーリカ「・・・まさに、別世界って感じの威力だね・・・」
坂本「・・・あれが、俺の固有魔法か?」
ミーナ「・・・あれだけの魔法力が、隠されていたなんて・・・」
―――――――――
・・・なんだ、この状況は。
俺「・・・ハァ、ハァ」
あいつらを、俺がやったのか?
サーニャ「・・・ネウロイの反応、完全に消滅しました」
エイラ「エ・・・マジ?」
宮藤「・・・あの中型機まで、まとめてやっつけたの?」
リーネ「・・・こ、言葉が見つからないよ・・・」
エーリカ「俺!生きてる~?」
当然だ。ここで死んだら、世話になったみんなに別れを告げられなくなるからな。
それだけは御免だ。こっちの世界にまでやりのこしたことができてしまう。だから、今は生きなくちゃな。
俺「・・・帰るまで死ぬわけにはいかないからな」ハァハァ
サーニャ「俺さん・・・」ホッ
エイラ「・・・」
坂本「・・・よくやった!」
ミーナ「と、とにかく、皆さんお疲れ様でした。帰還します」
『了解』
「・・・」
※作者より解説
俺の固有魔法は『異世界の魔力』
時空と次元を超えた影響で、俺は『ストパン世界の魔力』(以下『魔力』)とは違った、別の強大な力を得ることができた。
今までは封印されていたが、窮地に陥った今回の戦いで、これが覚醒した。
この『異世界の魔力』(以下『この力』)は魔力と同じように武器に込めることやストライカーの出力にできるが、
この力を発現させていると何故かシールドを作れない。だから防御シールドを張る場合は魔力のほうを使わなければいけないのだが、
片方を使うと、その間は片方を使えない。つまり、魔力は攻撃にも防御にも出力にも使えるのだが、
この力だと攻撃と出力にしか使うことができないということ。
しかし、このノ-ガードというデメリットを補うほどの異常な攻撃能力と機動力を示せるようになる。
時空を歪めることで高速移動し、
また刀にこの力を載せて一撃を放つと超大型ネウロイも塵すら残らず消滅させる破壊力が生まれる。
ただしこの力は何故か銃弾には載らないので使う場合は刀でないといけない。
また、坂本の烈風丸の烈風斬のように吸収された魔力を飛び道具として放つことはできず、
当てるには接近して刀で直接切りつけたり、ぶっ刺してこの力を送り込まないといけない。
本来この世(ストパン世界)には存在しない力なので、乱発すると
(本人の精神状態にもよるが)予測できない色々な現象が起こっちゃってヤバイかも。
―――――――俺の自室
・・・俺は、ベッドに寝転がって考え事をしていた。
帰投したあと、俺はみんなからの賞賛を浴びた。凄いだの、よくやっただの、
あれだけできるなら初めからやれだのと。・・・いや、できるなら初めからやってるよと反論したが。
坂本は「剣道をやっていて良かったな!はっはっは」とのことだ。いや、あそこまで行くと剣道関係ないだろ。
ちなみに、今まではあんな力は発揮できなかったのに、試しにやってみたら例の紫色の魔力が身体に表れた。
制限みたいなものが解除されたのだろうか。
・・・こんなに他人から褒められるなんて、初めてだ。
他人から必要とされることが、こんなに心地よいことだなんて、向こうの世界では知らなかった。
この世界は、本当にいい体験をさせてくれる。向こうではできない体験をさせてくれる。
向こうの世界は、安心できる世界だったけど、退屈だった。学校では孤立していたし、居場所なんて見つからなかった。
・・・ふと、思った。これでも俺は、本当に元の世界へ帰りたいのだろうか、と。
・・・ここで、戦うという選択も、いいのではないだろうか、と。
・・・ここにこそ、俺の居場所があるのではないだろうか、と。
最終更新:2013年01月28日 15:51