ある日の昼の出来事だったな。

訓練の合間の休憩の時。その時、みんな思い思いの行動をとるのだが、
俺はある一本の木の下で足を伸ばして座って、何か考え事をしている。
私は、そんな俺の元へ歩いていく。
 ・・・理由?それは・・・放っておけないから、かな?それとも、気まぐれかな?
まあ、どっちでもいい。とにかく私は俺に近づいていく。

近づきながら声をかける。

シャーリー「おい、俺」テクテク

俺「・・・」クルッ

私の言葉に、俺はこちらを向いた。

シャーリー「よっ」スッ

私は軽く手を上げて俺の反応を見てみたが、

俺「・・・」

何の反応も示さないまま、再び前に視線を向けた。

シャーリー「相変わらずだな」

苦笑をもらしながら私は言う。

俺「悪かったな」

そして、相変わらずの反応。でも私は気にしない。

シャーリー「隣いいか?」

俺「・・・」ズッ

俺は少しだけ横に移動した。

シャーリー「ありがとう」

俺「・・・フン」

スッ

空いている俺の隣に私は座る。

俺「・・・」

俺は私のことを特に気にする様子も無く、ただ目の前の海を見つめている。

シャーリー「海、好きなのか?」

私は尋ねてみる。

俺「別に」

シャーリー「だったらなんでこうしてるんだ?」

俺「・・・さあな」

シャーリー「そうか」

 ・・・

シャーリー「固有魔法、はっきりしないらしいな」

俺「俺にとってはどうだっていいことだ。それに、あるほうが珍しいんだから気にするなって坂本が言ってたぞ」

シャーリー「何言ってんだよ、お前は異世界の人間なんだぞ」

俺「・・・それとこれは関係ないんじゃないのか」

シャーリー「ある」

俺「・・・」

シャーリー「世界を跨いでやってきたウィッチが、単に魔力を持っただけの人間だなんて考えにくい」

俺「・・・」

シャーリー「正直、凄く興味があるんだ」

俺「持たれても困る」

シャーリー「そう言うなよ」

俺「・・・」

シャーリー「・・・」

そのまま、私と俺は二人で海を見つめていた。

少し経って、私は俺の横顔を見た。

シャーリー「・・・」

その顔を見て、私は、つい

シャーリー「不安か?」

こう尋ねてしまった。・・・尋ねずにはいられなかった。

俺「・・・」

俺は横目で私を見て、また視線を海に戻し、言った。

俺「不安だ」

シャーリー「やっぱりか」

俺「ああ。・・・これ以上無いほど不安だ」

シャーリー「だろうな。顔に出てるもんな」

俺「元からこんな顔なんだよ」

シャーリー「嘘付け」

俺「・・・」

シャーリー「・・・」

俺「・・・不安に決まってるだろ」

シャーリー「・・・」

俺「・・・この世界にいるうちは、俺はいつ死ぬかわからないんだ。不安に思わないわけないだろ」

シャーリー「いつ死ぬかわからないのは、私達も同じだ」

俺「・・・」

シャーリー「そう悲観するなって、意外となんとかなるものだぞ」

俺「・・・だと良いがな」

 ・・・やっぱり、相変わらずいつもの調子か。

 ・・・正直、私は驚いた。あんなにも良い笑顔をする人間が、こんな憂鬱そうな顔をできるものなのか、と。

 ・・・よし、決めた。
ウィッチは人々の心から不安を取り除くためにいる。だから、私は目の前のこの青年を、
不安から解放してやろう。俺の進むべき道を、照らしてやろう。
 ・・・それが、これからの私の目的だ。

シャーリー「・・・そろそろ時間だな」

俺「・・・?」

シャーリー「休憩時間、終わりそうだぞ」

俺「・・・了解」

シャーリー「よしっ!」スクッ

私は立ち上がり、

スッ

俺に手を差し伸べる。

シャーリー「行くぞ、俺」ニコッ

俺「・・・」スクッ

俺は、私の手を無視して立ち上がった。


最終更新:2013年01月28日 15:55