――――――――
ある日の夜の出来事だったね。
女性陣(・・・と言っても、11/12が女なんだけど)がお風呂から上って、
俺にこのこと・・・お風呂に入れるということを言いにいく時だったかな。

テクテク

俺にお風呂の報告をする役目は、日替わりで当番制にしよう、と私達の中で決まっていた。
そしてその時の俺の対応を報告するんだ。・・・俺の態度は、相変わらずらしい。
――――――――
私はドアの前で言う。

エーリカ「俺、お風呂いいよ」

返事は無かったけれど、足音は聞こえてきた。

スタスタスタ・・・

ガチャ

目の前の扉が開いて、入浴に必要なものを抱えた俺が姿を現した。

エーリカ「あ、私が来る前に準備しといたんだ?」

俺「・・・」

 ・・・確かに、相変わらずだ。

エーリカ「んもう、どうしてそんな顔するかなぁ?」

表情は、相変わらず寂しそうに硬まったままだ。・・・笑顔が似合うのに、もったいないと思う。

俺「うるせえな、こんな状況で笑ってなんかいられるかよ」

エーリカ「なんだよ、お風呂上りの美少女に対してその言い草は・・・嫌われちゃうよ?」

俺「別にそれでも構わないさ」

エーリカ「・・・ふぅ~ん」ニヤ

俺「・・・なんだよ」

エーリカ「『美少女』は否定しないんだ?」

俺「はぁ?」

俺が困惑した顔で私を見る。

エーリカ「いやぁ~嬉しいな、君みたいないい男に美少女認定されちゃうなんて」

俺「・・・勝手に舞い上がってろよ、俺はただ単にそんな言葉はどうでもよかっただけだ」

エーリカ「あ、そーお?」

俺「・・・」

エーリカ「じゃあ、本当のところはどう思う?」

俺「は?」

エーリカ「私が美少女なのか否か」ニヤ

俺「・・・」

俺は口を閉ざす。・・・

エーリカ「あ、言えないようなこと思ってるんだ~?」

俺「なんでそうなるんだよ?考えたこともなかっただけだ」

ありゃ。

エーリカ「何それ、ちょっと傷つくよ?」

俺「・・・悪かったな」

ふーむ・・・変なところで素直なんだねぇ。

エーリカ「よーし、だったら」

俺「なんだ」

エーリカ「考えてもらえるように、頑張っちゃおっかな!」

俺「・・・勝手にすればいいさ」

エーリカ「うん!」ニコッ

俺「・・・」

 ・・・相変わらず、俺はムスッとした顔のままだ。
 ・・・なんで、そんな顔するんだよ。テンション上げてる私が馬鹿みたいじゃないか。

エーリカ「・・・ねえ、俺」

私は尋ねてみる。

俺「・・・なんだ」

エーリカ「私達に構われるの、嫌?」

俺「・・・ああ、嫌だね」

エーリカ「それで、いいの?周りを拒んで、独りでいて、寂しくないの?」

寂しくなんてない、なんて言わないよね?

俺「・・・寂しくなんてない」

エーリカ「え?」

 ・・・そんな。

俺「今の状況は、前とそんなに変わらない。・・・独りだってことはな」

エーリカ「・・・元の世界でも同じなのに」

俺「・・・」

エーリカ「元の世界に戻りたいっていうのは、どうして?」

俺「・・・この世界は」

エーリカ「・・・」

俺「安心できない。俺は安心できるほうを選びたい。・・・それだけさ」

エーリカ「・・・」

そう言って、俺は風呂場の方に向かっていった。


最終更新:2013年01月28日 15:56