異世界のウィッチ2
―――――あれから後の出来事
この世界で生きていく決心をした俺は、基地に戻った後、
満面の笑顔のストライクウィッチーズに迎え入れられた。
ミーナいわく「俺さん、ようこそこの世界へ。そして、これからもよろしくね」とのことだ。
・・・上空でのサーニャとのやりとりはばっちり聞かれていたようで、
ハルトマンにニヤニヤされながら肘で横っ腹をつつかれたがそんなことはどうでもいい。
この出来事のあと、ミーナが、上層部に俺の真実を話したらしい。
すぐに何か偉そうな人がロマーニャ基地に飛んできて、色々質問された。
それに関連して、『喋るネウロイ』と、ネウロイの『異世界への扉を開くらしい技術』の存在についても話した。
・・・まあ、これも大したことではないな。別に何か言われたわけじゃなかったし。
それよりも。
この世界で生きる意味と戦う意味を見つけた俺は、
ネウロイとの戦いに身を投じていくことに恐怖を抱くことはなかった。
宮藤。リーネ。ペリーヌ。
シャーリー。ルッキーニ。ハルトマン。バルクホルン。
坂本。ミーナ。エイラ。・・・サーニャ。
・・・俺の周りには、こんなにもたくさん、頼れる、いい仲間がいるんだから。
自分と、仲間を信じて、この空を駆け抜けていこう。
そう思った。
―――――休暇日・午前
コンコン
シャーリー「おーい俺ー」
俺「ん?」
ある日の休暇にて、部屋で本を読んでいた俺にシャーリーの声が届いた。
ドアを開いて、声の主に尋ねる。
俺「なんだ?」
シャーリー「あたしと宮藤で、街まで買い物に行こうと思ってたんだが・・・」
シャーリーの言葉が終わるのに合わせたように、宮藤がシャーリーの背後から飛び出てきた。
宮藤「俺さんも行きませんか?」
・・・買い物か。
俺「行く」
買いたいものがあるしな。
シャーリー「即答だな」
宮藤「良かった!じゃあ、サーニャちゃんも呼びますね!」ダッ
え?
俺が次の言葉を出そうとする暇すらなしに、宮藤が駆けていった。
タッタッタッタッ・・・
俺「お、おいちょっと・・・」
焦る俺を見つつ、
シャーリー「くっくっく・・・」ニヤッ
シャーリーがほくそ笑んだ。
俺「・・・」
いや、もちろん悪い気はしないんだけど。
―――――――街・午前11時
到着・・・。
・・・車に乗るってだけでこんなに疲れるなんて
初めての経験かもしれない。
俺「シャーリー・・・」
シャーリー「ん?」
俺「お前いつか事故起こすぞ」
シャーリー「ハハハ、気をつけるさ」
気をつけてどうにかなるレベルじゃねえ。荒っぽすぎるだろ。
宮藤はなんかニッコニコしてやがる。『私慣れてますんで~』ってか?腹立つ。
・・・まあ、シャーリーの荒っぽい運転、疲れはしたけど、
俺はどっかのアトラクションにでも乗ってる気分で嫌いではなかった。だが・・・
サーニャ「・・・」グッタリ
俺「お、おいサーニャ、平気か?」
サーニャ「・・・なんとか」
サーニャには少しばかり辛かったようだ。
運転中、俺にしがみつき、肩に寄りかかってきていた。
・・・そのときの俺は、いい香りのするサーニャの髪を撫でていた。
でもガタガタうるさくて全然癒されなかった。
宮藤「じゃあ、お二人とも4時にはここまで戻ってきてくださいね」
シャーリー「私は宮藤と適当に買い物してくるから、お前たちも街をまわってこい」
俺「ぅい・・・」
サーニャ「了解です」
歩いていく二人の後姿を見届けてから、俺は車の中の時計を確認した。
今は午前11時。5時間か。充分すぎるな。
俺「んじゃ、サーニャ、行くか」
サーニャ「はい」
――――――――
サーニャ「俺さん、なにか買いたいものあるんですか?」
俺「ああ」
サーニャ「何です?」
俺「本」
サーニャ「本?」
サーニャが意外そうな顔をする。
俺「ああ」
サーニャ「・・・なんでそんなものを?」
俺「サーニャと話しててわかるんだけど、俺はまだこの世界のことはよく知らないんだ」
サーニャ「・・・だから、本を?」
俺「ああ」
サーニャ「・・・あの、俺さん」
俺「ん?」
サーニャ「俺さんが知りたいことは、出来る限り私が教えてあげますよ?」
俺「・・・それはありがたいんだが、」
サーニャ「・・・ひょっとして、私との話、つまらないですか?」
あ゛?
俺「違う」
サーニャ「・・・そうですか?」
俺「つまんねーわけないだろ。そんな理由じゃない。
・・・俺達は一緒に生活してるとはいえ、常に一緒にいるわけじゃない。特にサーニャは夜間哨戒があるからな」
サーニャ「・・・はい」
俺「他の奴らに聞く気にもなれないから、サーニャと話せないときは本でも読んで暇潰そうと思って買おうとしてるだけさ」
サーニャ「・・・そうですか」ニコッ
――――――
サーニャ「随分買いましたね」
俺「良さそうなの結構あったからな」
サーニャ「・・・読書、好きなんですか?」
俺「別に好きってわけじゃないけど」
サーニャ「・・・大丈夫なんですか?」
俺「何がだ」
サーニャ「結構文章量多そうですし・・・私だったら全部読む前に飽きちゃいそうです」
俺「興味あることだったらいくらでも読める」
サーニャ「・・・なるほど」
俺「興味なかったらこんなもん絶対買わねえ」
サーニャ「・・・ふふふっ」
俺「・・・」
サーニャ「・・・俺さん」
俺「ん?」
サーニャ「俺さん・・・この世界、好きですか?」
・・・突然何言ってんだ。
俺「・・・ああ。・・・好きじゃなかったら興味なんて持たない」
サーニャ「俺さんは・・・本当に、この世界で生きていくんですか?」
俺「・・・わかりきったこと聞くな。もう決めたんだからな」
俺のその答えに、サーニャは嬉しそうに
サーニャ「・・・はい!」
と言った。
――――――――12時30分
二人で色々な店を見てまわっているうちに、いつのまにか正午を過ぎていた。
俺「昼飯にするか」
サーニャ「はい」
ロマーニャ・・・世界地図だとイタリア辺りだったよな。イタリアって言ったら・・・
俺「スパゲッティかピザってところか?」
サーニャ「ですね」
俺「どっちがいい?」
サーニャ「俺さんが食べたいほうで」ニコッ
俺「あー・・・」
――――――13時
スパゲッティ美味かった。トマトとチーズってホント合うな。
イタリア人・・・じゃなくてロマーニャ人は天才だな。
サーニャも食べ終えたみたいだ。さて・・・
俺「サーニャ」
サーニャ「はい」
俺「お前は欲しいものないのか?」
サーニャ「私は・・・パジャマを買いたいなって思ったんですが・・・」
俺「んじゃ服屋か」
サーニャ「いえ、その・・・服屋さんはさっき見つけたんですが・・・」
・・・が?
俺「どうしたんだ?」
サーニャ「・・・」スッ
ある方向を指差すサーニャ。それに釣られてその方向を見ると・・・
ガヤガヤ
サーニャ「人ごみ」
俺「だな・・・」
サーニャ「やめておきましょうか」
俺「なんでだよ?欲しいんだろ、パジャマ」
サーニャ「・・・はい」
俺「だったら、行こう。人ごみくらいどうってことないだろ」
何を心配してるんだろうか。
サーニャ「じゃあ・・・はぐれないように・・・」
なんだ、そんなことか。
俺「もしはぐれたらこのパスタ屋で・・・」
サーニャは待っててくれ、と言おうとしたのだが、
ギュッ
俺「!?///」
サーニャが、俺の手を握ってきた。
サーニャ「・・・はぐれないように、こうしておきましょう///」ポッ
俺「あ、ああ・・・///」カァ
――――――――街・15時50分
一通り街を周って買い物を済ませた俺達は、言われたとおりの時間までに車まで戻ってきた。
俺「ふぅ、結構歩いたな・・・」
サーニャ「疲れた・・・」
・・・あ!
俺「・・・よく考えたらさ」
サーニャ「はい?」
俺「帰りもシャーリーの運転だよな・・・」
サーニャ「・・・あ」
・・・
シャーリー「よおお前ら、楽しんできたか?」
噂をすれば、か。
俺「まあ、な」
シャーリー「おーそうか、良かった良かった。・・・お?」
俺「なんだよ?」
シャーリー「・・・気付いてないのか?」ニヤニヤ
俺「は?」
宮藤「・・・ねえ、サーニャちゃん」
サーニャ「なあに、芳佳ちゃん?」
宮藤「ずっと俺さんと手繋いでたの?」
言われて気付いた。そういえばそうだった。
俺・サーニャ「「あ・・・」」
気付いた瞬間、俺達は手を離した。
シャーリー「ほぉ~・・・」ニヤニヤ
俺「・・・んだよ!?///」
宮藤「・・・本当、仲良いですよねー」ニヤニヤ
俺「あぁっうるせえ黙れ、斬り殺すぞ!///」チャキッ
腰の刀を抜こうとした。
サーニャ「きゃっ」
宮藤「わわっ!?お、俺さん落ち着いて!」
シャーリー「お前今まで刀持ち歩いてたのか!?」
俺「持ってないとサーニャに何かあったとき守れないだろうが!」
サーニャ「お、俺さん・・・///」ポッ
シャーリー「お、おお・・・」
宮藤「・・・ふ、ふふっ、あははははははははは!」
・・・なんかとんでもないこと言っちまった気がするけど気にしない。
そのまま俺達は車に乗って基地に戻った。・・・シャーリーの運転はやっぱり荒っぽかった。
―――――――――夜・俺の部屋
買ったばかりの本をめくりながら、俺は今日の出来事を振り返った。
シャーリーと宮藤についていって正解だった。目当てのものを買えたし、なにより、
・・・サーニャと手を繋ぐことができた。
小さく、細く、柔らかく、暖かい感触だった。
あの時、俺はどんな顔をしていたっけ。照れくさくて顔を逸らしてしまったが・・・
頬がゆるんでいた気がする。
サーニャは少し顔を赤くして微笑んでいたと思う。
とにかく、俺は幸せな気分だった。
・・・サーニャも幸せに感じたならいいな、と思いながら、本を閉じた。
明日からはいつもどおりの毎日だ。ちょっと早いけど電気消してもう寝よう。
そう思った。
――――――
エーリカ「にゃっほ~さ~にゃん」
サーニャ「ハルトマンさん・・・こんばんは」
エーリカ「うん、こんばんは。ところで、最近俺とはどうなの?」
サーニャ「え?///」
エーリカ「だ・か・らぁ、俺との関係だよ!進んだ?」
サーニャ「えーっと・・・今日、俺さんと買い物に行って・・・」
エーリカ「ほぉ」
サーニャ「そのときに・・・その、手を繋ぎました///」
エーリカ「おぉ~・・・で?」
サーニャ「で・・・って?」
エーリカ「それからは?」
サーニャ「え・・・特にありませんよ?」
エーリカ「えぇ~?つまんな~い」
サーニャ「・・・私は・・・」
エーリカ「ん?」
サーニャ「俺さんと手を繋ぐだけでも・・・幸せなんですが・・・」
エーリカ「ふ~ん・・・」
サーニャ「・・・」
エーリカ「さーにゃんさ、俺のこと、好きなんでしょ?」
サーニャ「・・・はい」
エーリカ「いつも一緒にいたいでしょ?」
サーニャ「はい。・・・でも、私は夜間哨戒がありますし、そんなに都合よく一緒になれるわけじゃ・・・」
エーリカ「そんなさーにゃんに、いい方法があるんだけどなぁ~・・・」
サーニャ「!・・・なんですか?」
エーリカ「簡単だよ。あのね、さーにゃん、・・・」
・・・
・・
・
最終更新:2013年01月28日 16:03