――――――――数日後
ネウロイが出現した。小型機らしい。・・・ここだけ聞けば大したことのないように聞こえるかもしれないが、
問題はその数だった。大量に接近してきているらしい。・・・その中に例の人型ネウロイも混じっているかもしれない。
俺たちは全機出撃した。

―――――――
西の空が黒く染まっていた。・・・うっすらとだが赤い点も見える。

ルッキ「あれ全部ネウロイ!?」

ミーナ「ええ・・・」

宮藤「な、なんですかあの数・・・おかしいとしか・・・」

エーリカ「文句言ったって仕方ないよ」

サーニャ「・・・周囲に他の機体は見当たりません・・・あの子機の群れの中にコアがあるものと思われます」

エイラ「あの中ァ?」

坂本「・・・心配するな。すぐに探し当ててみせる・・・」

俺「・・・」

またこの感覚だ・・・

シャーリー「俺?どうした?」

俺「またあの子だ・・・」

俺と同じ魔力が何事かに行使されているのを感じる。

エイラ「またカヨ!」

サーニャ「・・・やっぱり、ですか」

ゲルト「来るならば他も引き連れて来るだろうというのは予測できてはいたが・・・」

エーリカ「こんなのを連れてくるとはねぇ」

坂本「・・・お前達、モタモタするな!行くぞ!」

『了解!』


―――――――
キュイイイィィィン・・・

大量のネウロイによって作り出された赤い斑点のついた黒い壁は、
俺たちに迫りながら赤い線を放ってくる。それらのネウロイは、コアの無い子機のようだが、そこそこの戦闘力はあるようだ。

ヒュンッ ヒュンッ
ビュインッビュインッビュインッ

攻撃頻度も多く、また機動力もある。
だが、その程度で俺たちは怯んだりしない。

ゲルト「はっ!」ガガガガガガガガ  バキィンバキィンバキィンバキィン

ビームを避けつつ銃撃したり、

ペリーヌ「行きますわよっ、トネール!!」バヂバヂバヂバヂバヂィッ バキィンバキィンバキィンバキィン

固有魔法を発動したりで、着実に敵の数を削っていく。

キュイイイイイィィィンン・・・ ビュインッ

坂本「くっ・・・」ヒュンッ

坂本の魔眼があちこちに動いているが、中々コアが見つからないようだ。この数から探し当てるのは難しいのだろう。

 ・・・不気味なのは、確かにいるという感覚はするのに、全く姿の見えない人型ネウロイだ。
異世界の魔力を使っている感覚もあるのに・・・どこにいるのだろうか・・・

フッ

俺「・・・?」ガガガガガガガガ

ふと、ネウロイとネウロイの間から人の姿が見えた。動いていった方向を見てみる。

ヒュンッ

俺「・・・!」

 ・・・いた。ようやく見つけた。・・・しかし、距離が遠い上に他のネウロイに遮られて何をしているのかがよく見えない。

キュイイイィイィン・・・

俺「・・・」ガガガガガガガガ バキィンバキィン

視界の邪魔をするネウロイを排除しようと銃撃するが、・・・数が減るとすぐに穴の空いた部分が他のネウロイに補われる。
その隙に、先程倒された子機が再生し、また俺たちに攻撃しようとこちらを向いてくる。

ブオン

彼女がシールドの能力を使うのを感じる。・・・その位置じゃこっちの攻撃は届かないのに、シールドを張ってどうする気だろうか?

キュイイィィィィン

俺「!?」

 ・・・かすかに見えた。
連携している小型のネウロイ数体が、連携からこっそり抜け出していき、

ビュイン ビュイン

『彼女』が居た辺りにビームを放った。

エイラ「!?俺、後ろからビームが来るゾ!」

インカムからエイラの声が聞こえてくる。

俺「!」クルッ ブオン

すぐに俺は後ろを向いてシールドを張る。

バシュゥンバシュン

赤いビームは青いシールドに阻まれて霧散した。

エイラ「・・・オイ俺・・・今のって」

俺「・・・」コクリ

俺は頷いた。

俺「ミーナさん!」

ミーナ「どうしましたか!?」

俺「人型ネウロイのシールドは、ネウロイのビームも転移させられるみたいだ!」

ミーナ「・・・なんですって?」

エイラ「今、俺の後ろからビームが放たれてきたンダ」

シャーリー「おいおい・・・それってヤバくないか?」

エーリカ「勘弁してよぉ、前だけに集中したいのに・・・」

ゲルト「挟み撃ちか、ネウロイも考えたな」

みんな動揺している。・・・うん、まあ、当然の反応だとは思う。
けど俺は動揺させるためにこんなことを伝えたわけじゃない。

俺「確かにこのままじゃまずい。だからミーナさん」

ミーナ「なんでしょう?」

俺「策がある」

―――――――
ガガガガガガガガ
俺とハルトマンとサーニャとエイラとルッキーニとバルクホルンとシャーリーは、
援護する他のみんなの射撃を背にしてネウロイの群れの目の前まで接近した。

ビュインビュインビュインッ ヒュッ ヒュッ

ビームを避けつつ、サーニャが口を開いた。

サーニャ「確かに、ネウロイの群れの向こうに、人型のネウロイの反応があります。
 ・・・それに加え、人型の周囲に、他の小機の反応もあります」

フオオォォォン ドヒュン

俺は紫色の魔力に切り替え、ビームを避けながらネウロイの群れに向かって突進した。
あとにはバルクホルンが続く。

サーニャ「あ・・・人型ネウロイが距離をとっています」

こちらが近づけば、やはり彼女は離れる。こんな状況でも、「習性」というか「戦法」は変わらないみたいだ。
ならば都合はいい。倒すための方法を改める必要はないということだ。・・・今からそっちへ行ってやる・・・

俺「はぁっ!」シャキンッ

刀を抜き、

ドシュッ ギュゥゥゥゥゥン・・・

まずは1体を突く。魔力を叩き込まれて紫色に輝くネウロイを放置し、次の1体に

ザシュッ ギュウゥゥゥゥンン・・・

縦斬りを食らわせる。またネウロイが紫に光る。その直後、バルクホルンは、先程突きを食らわせたネウロイを

ゲルト「そぉりゃあああぁっ!」ガキィィン

手に持っている機関銃を思い切り振り回して、まるでテニスボールのようにネウロイを群れの中に弾き飛ばす。

最後に、俺は下段に構えた刀を思い切り振り上げて、

ザシュッ ギュゥゥゥゥゥン・・・

3体目に斬りつけて、少し後退した。すぐ後ろにはハルトマンが待機している。
バルクホルンは、

ゲルト「飛べええぇぇぇぇぇ!!!」ガキィィィン

もう1体、ネウロイを群れの中へ弾き飛ばす。

俺「いい位置に飛ばしてくれたな、バルクホルン。感謝するよ」

ゲルト「フン」

そして、

ドゴドゴドゴオオォッォォオン

三つの紫色の球体が群れの中で爆発を起こし、多量のネウロイが消滅したことで『向こう側』への抜け穴ができた。
これで小型機のコアもまとめて撃破できれば最高だったのだが、そう上手くはいかないか。
計画通りに進んだことを確認し、計画は次の段階へ。

俺「っ!!」ブウゥゥン

俺は全速力で抜け穴の中を突き抜けていく。

キュイイイィィィィン・・・

ネウロイ達は俺を取り囲んでビームを放とうと俺の居る方向を向くが、

エーリカ「させないよっシュトゥルムゥゥゥゥゥッ!!!」ズギャアアァァァァァァン

ハルトマンが風を身に纏ってネウロイの攻撃方向を狂わせながら、俺に続いて抜け穴を通る。その隙に、

エイラ「行くゾサーニャ!」

サーニャ「うん!」

この二人も、ハルトマンに続いて抜け穴を通っていく。が・・・

キュイイィィィン・・・

再び大量のネウロイに行く手を阻まれる。だが、これも想定内だ。既に、

シャーリー「うおおぉおぉ!!」グンッ

グオォ

ルッキ「うきゃあああぁぁぁぁ!!」

シャーリー「いっけええええぇぇぇ!!!!」ブオオォン

ドヒュウゥウゥウゥンン

シャーリーはルッキーニを、加速をつけて抜け穴を通るように投げ飛ばしていた。いつものようにルッキーニはシールドで突撃する。

キュイイィィイィィンン・・・バキバキバキィィィィィン

サーニャ「ルッキーニちゃん、ありがとう」

ルッキ「お礼なんていらないよ!ほら、早く早く!」

再び穴の空いた群れの中を、エイラとサーニャは飛んでいく。

 ・・・こうして、俺たち五人は、揃って

キュイイイイィィィィンン・・・

人型ネウロイの前にたどり着いた。

俺「・・・ふぅ」

宮藤「成功ですか!?」

俺「ああ」

俺が咄嗟に考えた作戦。・・・群れと人型を分断させ、また人型を撃破するための人数も確保するための作戦。

リーネ「よかったぁ・・・」

2人は安堵の表情を浮かべるが・・・

坂本「宮藤、リーネ。気を抜くな。後は5人を除いた私達だけでこいつらを殲滅せねばならんのだぞ」

坂本の言葉に、二人はハッとしたような表情に変わった。

リーネ「あ」

宮藤「・・・そういえばそうでした」

ペリーヌ「・・・全く」

ペリーヌが、やれやれといったように首を振る。

その時、坂本が再び声を上げた。

坂本「・・・コアが見えた!」

シャーリー「お!」

リーネ「どこですか!?」

坂本「・・・子機に囲まれて守られている・・・あの部分だ」

坂本が、特に黒色の濃い部分を指差す。

宮藤「あの塊みたいな部分ですか?」

坂本「ああ。・・・烈風斬を放ちたいところだが・・・遠いな」

坂本の言葉に続けて、ミーナが言った。

ミーナ「・・・ペリーヌさん!トゥルーデ!」

ペリーヌ「はい!」

ゲルト「何だ!」

ミーナ「なんとしてでも、少佐を烈風斬の届く位置まで近づかせてください!」

二人「了解!」

坂本「頼むぞ、二人とも」

ゲルト「・・・」チャキッ

ペリーヌ「任せてくださいまし!」

ペリーヌは凄く嬉しそうな顔をしている。

エーリカ「じゃあみんな、そっちは任せたよ!」

ミーナ「ええ」

シャーリー「ルッキーニ!気をつけろよぉ!」

ルッキ「うん!」

エイラ「サーニャ、平気ダヨナ?」

サーニャ「うん。平気」

背後でそんな会話がされていたが、俺はそれらを聞き流して、

俺「・・・」

キュイイイィィィィィイン・・・

人型ネウロイを見つめた。

サーニャ「・・・俺さん?」

エイラ「おい、俺・・・ドウシタ?」

俺「・・・」

キュイイイィィィィン・・・

 ・・・

 ・・

 ・


―――――――――
 ・・・

 ・・・また来たんですか

 ・・・ああ

怖くはないんですか?

何がだ

お腹を撃たれて・・・痛かったでしょう

 ・・・ああ。確かに、すっげえ痛かった。気絶までしたからな

なのに、また私に向かってくるんですか?

俺は終わったことは気にしない人間なんだよ・・・終わったことをいつまでも引きずってたら、前に進めなくなる

前?

ああ

 ・・・

俺は、この世界が好きだ

 ・・・

だから、俺は、この好きな世界のため、・・・いや、この世界を好きにさせてくれた人達のために戦うって決めたんだ

 ・・・

この世界で生きていくって、この世界を、ネウロイの手には渡さないって決心したんだ

 ・・・

俺は、戦って、この世界の人達と前に進んでいくんだ。そして、この世界がどんな未来へ進んでいくのかを見届けたい

 ・・・

そのために、俺は命を賭けてネウロイと戦う

 ・・・

それより、あんたこそ怖くないのか

何がです?

あんたのそのシールドを壊せる唯一のウィッチを目の前にして、怖くないのか

全く怖くありませんよ

 ・・・そうか・・・

勇気を貰ったからです

え?

ネウロイ達から、私は勇気を貰ったんです

 ・・・

あなた達と戦って、勝って、巣に戻ると

 ・・・

みんな、凄く褒めてくれるんです

 ・・・

みんな、私を必要な存在だって言ってくれるんです

 ・・・

だから、やっぱり、私の居場所はここにしかないんです

 ・・・

ネウロイ達は、私の生きる希望になったんです

 ・・・

こんな取るに足らないこの私に、勇気と、希望と、居場所と、安心と、生きる意味を

 ・・・

私の欲しかったものを、ネウロイ達は全てくれたんです

 ・・・

この居場所を失いたくない。だから、私も、命を賭けて・・・あなた達と戦います

 ・・・そうか

 ・・・

 ・・

 ・


―――――――
 ・・・『彼女』とは違う声がする。

「俺さん」

 ・・・ああ。この声を聞くと、凄く落ち着く。

「俺さん?」

 ・・・そうだ。俺は、この声の持ち主のおかげで、この世界を好きになれたんだ。

サーニャ「俺さん!」

俺「ん」

俺は、振り向かずに声に答えた。

エイラ「『ん』ジャネーヨ!さっきからサーニャが話しかけてるってノニ・・・」

俺「すまん。・・・で、どうした?」

サーニャ「・・・いえ・・・」

エイラ「?」

サーニャ「・・・なんでも、ないです」

エイラ「エッ」

 ・・・変なサーニャだ。

さてと、いつまでもここでグダグダしているわけにもいかない。
この目の前の人型ネウロイと、・・・決着をつける。

俺「・・・準備はいいな?」

ルッキ「うん!」

エーリカ「勿論!」

エイラ「出来てるゾ」

サーニャ「はい」

 ・・・だったら。

俺「行くぞ!」

ブウゥゥゥゥゥン

俺たちは彼女に接近する。

キュイイイィィィィィィィィイン・・・

やはり彼女はそれに合わせて距離をとる。また、取り巻きの小型機達も彼女についていく。
そして彼女を守るように彼女の真後ろに位置取る。

ルッキ「あの周りのはどうするの?」

エーリカ「今のうちに倒しちゃうか!」

サーニャ「どうやってですか?・・・撃ったところで、再生しちゃうんじゃ・・・」

ルッキ「あ・・・」

エーリカ「いやいや、大丈夫大丈夫」

エイラ「どうするんダヨ?」

エーリカ「忘れたの?こっちには、ネウロイを再生させない手段があるんだよ」ニシシ

サーニャ「・・・」チラッ

俺「・・・」チャキッ

サーニャの視線を合図に、俺は刀を構える。

キュイイィィィイイィィン

エーリカ「にひひ、わかってるみたいだね?・・・行くよお!!」

ビュインッビュインッビュインッビュインッビュインッ

ネウロイは後退しながらビームを放ってくる。

それを避けながら、俺とハルトマンは全速力で小型機に接近していく。
そして、

エーリカ「シュトゥルム!」ゴオォォォォォォォオ

ハルトマンがネウロイを引き寄せるように風を起こす。

キュイイイィイイイインン・・・ グラッ

それによって飛行体勢を崩した二体のネウロイは、失速してこちらに向かってくる。

俺「はあぁっ!」ドシュッ ザシュッ

俺は、その二体を斬って、

ドゴオオォォォォオォォンン

消滅させる。

ルッキ「おおぉ~~・・・」

サーニャ「凄い・・・」

エイラ「あ、アァ・・・」

エーリカ「さ~て、次行くよお~~~!」ゴオォォォォォォォォ

キュイイイィィィィィンン・・・

俺「・・・っ!」スッ

 ・・・ネウロイ共・・・お前達が何を考えていようと関係ない。
 ・・・お前達は、俺の好きな世界に、俺の好きな人達に害を為す存在だ。
 ・・・だから、迷いはない。

俺「はぁっ!」ザシュッ

ドゴオオオオォォォン

 ・・・お前達は・・・この俺が、次元の彼方まで葬り去ってやる!

こちらに寄ってくるネウロイを斬り捨て、塵も残さず消滅させながら、俺は、そう決意した。


最終更新:2013年01月28日 16:07