――――――――――――数分後
エーリカ「これでっ!」ゴオオォォォォォォオ
俺「最後ォッ!」ザシュッ
ドゴオォォォォオォォン
・・・これで取り巻きは全機始末した。あとは彼女だけだ。
キュイイイィィィィィイィン ・・・チラッ
彼女はそれに気付いたようだが、やはり俺たちが追い続ける限り彼女も距離をとり続けるようで、
一人きりになったことを気にする様子は無い。
エーリカ「・・・」スッ
『・・・』ピタッ
ハルトマンの合図で、俺たちは追うことを止めてそこに留まる。
そして、やはり彼女は後退するのを止める。
キュイイィィィイィイィン
そして、俺たちと対峙する。
キュイィィィィイイィンン・・・
俺「・・・」スッ
エーリカ「・・・」チャキッ
ルッキ「・・・」チャキッ
エイラ「・・・」チャキッ
サーニャ「・・・」ガチャッ
俺たちがそれぞれの武器を構えるのと同時に、
キュイィィィイイィィンン・・・ スッ
彼女も両腕をこちらに向ける。
お互い準備は整った。さて・・・
エーリカ「行こっか!」
『了解!』
ハルトマンの声に答えるのと同時に、俺達は散開する。
ビュインッビュインッ
彼女は俺に照準を合わせてビームを放つ。
ヒュッ
それを避けながら、俺は紫色に光る刀を持って様子を窺う。接近する瞬間を見極めるために。
ビュインッビュインッ ヒュンッ
エーリカ「さーにゃん!フリーガーハマーはあと何発!?」ガガガガ
サーニャ「四発です・・・」
エーリカ「ありゃ、随分使っちゃったね」ガガガガガ
エイラ「仕方無いダロ、さっきの奴ら手強かったんだカラ」ガガガガガ
そういえばエイラも結構な量撃ちこんでたな・・・もう切れる寸前じゃないのか?
キュイイィイイィィィン・・・ビュインッ
エーリカ「!」ガガガガガガ
エイラ「・・・っ!」ガガガガガガ
ルッキ「うりゃー!」ガガガガガガ
キュイィィイイィン・・・ ビュインッ フッ
この三人の編隊攻撃は、彼女の素早い動きによる回避行動を徐々に封じていくように撃ち込まれていき、
彼女を確実に追い詰めていく。
ヒュッ
次第に彼女はビームを放つ余裕を無くし回避一辺倒になっていく。
エーリカ「いーい、俺!?ネウロイがシールド張ったら早速近づくんだよ!」ガガガガガ
俺「ああ・・・」
エーリカ「さーにゃんはエイラと一緒に動いてね!」ガガガガガ
サーニャ「はい」
エイラ「任せロ!・・・おい、俺!」
俺「ん」
エイラ「心配スンナよ、サーニャは私が全力で守るカラナ!」
俺「心配なんてしてないさ・・・」ニヤッ
エイラ「・・・!」ニヤッ
俺とエイラが笑みを浮かべたその直後、
キュイィイイィン グラッ
彼女が体勢を崩した。
サーニャ「!」
ルッキ「よぉ~し今だー俺!とっつげきぃ~♪」
俺「言われなくても!」ドヒュンッ
俺とエイラとサーニャが接近を開始する。そして、ハルトマンの指示が飛ぶ。
エーリカ「さーにゃんはフリーガーハマーが届く位置まで!」ガガガガガ
サーニャ「はい」
エーリカ「私とルッキーニはネウロイにシールドを張らせ続ける!」ガガガガガガ
ルッキ「りょーかい!」ガガガガガガ
エイラ「オイ、弾足りるのか?」ガガガガガ
エーリカ「それは俺次第!」ガガガガガ
・・・プレッシャーかけるなよ・・・
ネウロイは体勢を崩しながらも、少しだけ後退しつつなんとか腕を動かして、
ビュインッ
ビームを放つが、あさっての方向へ撃ってしまった。これは好機とばかりに、俺は接近の速度を上げる。
そんな俺を見て、ハルトマンが再び口を開く。
エーリカ「俺!」ガガガガガガ
俺「ん」チラッ
ハルトマンは、片手を銃から一瞬離して、親指を立てた。
エーリカ「君なら行ける!」グッ
俺「・・・」
その言葉に、俺はハルトマンから目を離して前を向き、
俺「・・・」グッ
右手だけでハルトマンの方に向けて親指を立てた。
エーリカ「・・・にひっ」ガガガガガ
キュイィイイィィィン・・・ ブオン
放たれた弾丸が着弾する直前に、彼女はついにシールドを展開した。
スゥウゥゥ・・・
弾丸が透過される。そして、・・・返ってくる。ここでエイラの予知の出番だ。
エイラ「俺!正面からダ!」
エイラの言葉通り、正面から高速で向かってくる弾丸が見えた。
さて、前までならここで俺はどこかの方向へ回避していたのだが・・・
俺「・・・」スッ
ルッキ「あれ?」ガガガガガガ
サーニャ「お、俺さん!?」
何故この二人が驚愕しているのかと言うと・・・
俺がとった行動が、回避ではなく刀を正面に向けて構えるということだったからだ。
エイラ「わわ、馬鹿!避けろ!避けろよ!バカァーッ!!」
エイラが焦ったように叫ぶが、俺はそれを無視して、・・・向かってくる弾丸を見極めて、
俺「はあぁっ!!」カキィィイィンン
小気味良い音と共に、弾丸を真っ二つに斬り裂いた。
ルッキ「・・・え」ガガガガガガ
エイラ「エエエエエェェェェェエエエエエエ!!!
????」
向かってくる弾丸は一発ではなかったが、その俺に当たりそうな一発さえなんとかなれば他は避けれるくらいの隙間ができていると俺の目には見えていた。
そして、予想通り、その弾丸を除けば他の弾丸は俺には当たらなかった。彼女に向かって進み続けるための道ができている。
・・・避けてはいられない。恐らく、彼女はシールドを破壊できる俺にだけ狙いを定めている。
正面からの弾を避けても、また俺の正面に来るように返してきて、絶対に接近を許さないつもりだろう。
・・・だから、突っ切るしかない!
エイラ「お、俺!同じ位置からダ!」
再び俺の正面に返ってくる弾丸を、また見極め、
俺「ふんっ!」ガキイィイィィン
着弾コースの弾丸だけを斬り、弾幕を切り開いて隙間を抜けていく。
それからも次々と弾丸が返ってくるが、
ガキィンカキィンガキャアァァン
それらも、確実に、進むのを遮る最低限の弾丸のみを斬っていく。
ルッキ「おおぉ!!?」ガガガガガガガ
サーニャ「わぁ・・・」
エイラ「・・・ス、スゲェ・・・」
エーリカ「いーぞー俺!カッコイイよぉー!」ガガガガガ
俺「うるせえ黙ってろっ!」ガキィィィン
サーニャ「・・・」ポー
エーリカ「さーにゃんも惚れ直したってさー!」ガガガガガ
俺・サーニャ「「!?」」
・・・さっきよりも俄然やる気が湧いてきた。・・・気がする。
俺「・・・はぁっ!」ガキィイイィィン
サーニャ「は、ハルトマンさん・・・こんな時に///」
エーリカ「にしし・・・」ガガガガガガガ
エイラ「ムゥ~・・・」
――――――――
ルッキ「俺~!もうすぐ弾切れちゃうぅ~!」ガガガガガ
エーリカ「こっちもだよぉ~」ガガガガガ
俺「っ!」ガキィィン
もう少しだけ・・・!
弾幕の中に道を切り開いていくことをさらに数回
繰り返し、
ヒュンヒュンヒュン
高速で飛んでくる弾丸が目の前から飛び出してくるのを、
俺「はっ!」ガキイィィン
刀を縦に構えることで防ぎ、ついに刀の射程内に彼女を捉えた。
それを予見したエイラが、サーニャの肩を離して言う。
エイラ「今ダ!行けェサーニャァァァ!!!」パッ
サーニャ「っ!」ドシュドシュドシュドシュッ
エイラの言葉を聞いたサーニャがフリーガーハマーの残り四発を全弾発射し、
ロケットは俺の背後を回りこむようにして彼女に迫る。
発射されたのに合わせて、俺は、シールドに向けて刀を構え、
俺「行くぞッ!!」グッ
ヒュンッッ
全力で振り下ろした。
バシュゥウウゥゥゥン
重い手応えと共に、異世界の魔力が消失する感覚があった。
パキィン
俺「・・・」
刀が折れた・・・そういえば、坂本からもらったこの刀は、ずっと俺と一緒に戦っていたんだな・・・
・・・今更だけど、感謝するよ・・・
キュイイィイイィイイン・・・
鳴き声と一緒に、彼女はシールドを破壊された衝撃に身体を仰け反らせて少し後ろに弾き飛ばされ、
やはり脚部の射出口を、俺に向ける・・・かと思ったが、
俺「・・・!?」
向ける方向が違った。その方向は・・・
エイラ「なんでこっちに向けるんダヨ!?」
サーニャとエイラの方向・・・いや、
サーニャ「もしかして・・・」
正しくは『サーニャの放ったロケットの方向』だ。つまり・・・
エーリカ「まずい!ロケットを撃墜する気だ!」
ここでそれはまずい。非常にまずい。普通の弾丸では的が小さすぎるからフリーガーハマーに頼ったのに。
ルッキ「さ、サーニャ!もっかい撃って!」
サーニャ「もう無いの!」
ルッキ「えぇ~!!??」
・・・ここで俺はとるべき行動は・・・
エイラ「オイ俺!何シテル!?」
エイラの言葉に、視線が俺の背中に集まったのを感じる。
エーリカ「!?」
今、俺は彼女の脚部の正面に位置どっていた。
サーニャ「俺さん、危ない!」
ビュインッビュインッ
そんなのお構い無しに、彼女は脚部から二本のビームを放ち、
ドゴンドゴォン
ロケットを正確に破壊する。
ドシュッ
俺「くあっ!」
当然、ビームは俺にも当たる。顔面を守るように構えていたおかげで、右のこめかみと右腕を掠めただけで済んだが。
彼女はそのまま空中で一回転し、こちらを向いて両腕を俺に・・・いや、もう二つのロケットに向けた。
俺は、魔力を切り替えもせずに守りの構えを解いただけで、避けようとはしなかった。
エイラ「馬鹿!何考えてんダァーーーッ!!!」
エイラが叫ぶ。
何って?当然・・・
キュイイィイイィイィィイィィン・・・
・・・ネウロイを倒すことに決まってる!
彼女がビームを撃つために両腕を前に突き出して構えるのと同時に、俺は左手で、
ガシッ
キュイイィイィィン・・・!?
『!?』
彼女の右手を掴んで、
グイッ
左へ引っ張った。その瞬間、
ビュインビュインッ
彼女はビームを発射した。
ヒュッ ドゴォン
二本のビームの内、片方はロケットを破壊したが、もう一本は、
ブシュッ
俺「くっ・・・」
俺の右肩を貫いた。・・・しかしもう一つの爆発音は聞こえてこない。ならば良い。
ルッキ「俺!?」
痛い・・・が、勝つためならこの程度の傷は問題じゃない。
ここで俺がこうしなければ、こちらは弾切れ、さらに俺は右腕と右肩を撃たれているのでまともに銃も持てなければ刀も振れないし、
そもそもその肝心の刀は折れたのだから、彼女は悠々と三回目の撤退をするだろう。それだけは阻止しなければならない。
彼女とは・・・
サーニャ「俺さん、ロケットが近づいています、避けてください!」
俺「そんな必要は無い・・・」
エイラ「!?」
ここで決着をつける!
ルッキ「俺ぇー!そこから離れろぉー!どかーーーんってなっちゃうよぉーーー!!??」
・・・離れろだと・・・?・・・離れていくのは、
俺「こっちだァァァ!!!」ブンッ
キュイィイィイィン・・・
エーリカ「うぇっ!?」
俺は身体を回転させ、彼女を、迫ってくるロケットのほうへ思い切り投げ飛ばした。
読み通り、ロケットの着弾コースへ彼女は飛んでいった。
そして俺は、着弾の瞬間を見た。
ドッゴオォォンッ
見事にフリーガーハマーのロケットは彼女の腰に命中し、腹部のコアを破壊した。
彼女の身体は爆散し、白い欠片を撒き散らして徐々に崩壊しながら、彼女の上半身は爆発の衝撃で俺に向かって飛んでくる。
エーリカ「・・・よ、よぉっし!」グッ
ルッキ「ぃやったあぁぁーーー!!!」クルンッ
エイラ「よくやったゾサーニャ!」ブゥウン
エイラはサーニャに接近してその頭を撫でようと近づくが、
サーニャ「・・・」
エイラ「・・・サーニャ?」
様子がおかしかった。
エイラ「おい、サーニャどうした!?」
サーニャ「俺さん、そこから離れて!」
俺「!?」
サーニャが叫ぶ。そして、
キュイイィイィィィイィィン・・・・ フッ
「・・・!?」
・・・崩れていく彼女の上半身が俺の身体に触れた。今はもう胸と頭と右腕しか残っていない。
そんな彼女は、
ガシッ
俺の左腕を掴み、
グイッ
左に引っ張った。
『!?』
その場に居た誰もが驚愕した。そして、次の瞬間、
ブシュウゥンッ ビキッ
俺「ぐっ」
一本のビームが、俺の右胸と彼女の左胸を貫いていた。
俺「ぐはぁ・・・っ」
無意識に開いた自分の口から血が吐き出されるのを感じた。
・・・俺は、もう来ないはずのビームが何故放たれたのかを理解した。
コアの部分・・・腹部の爆発の衝撃によって、あの時、上半身は俺のほうに飛んできたが、
脚部は俺の下方に吹っ飛んでいき、そして消滅の間際に俺の背後からビームを放ったのだ。
・・・随分と執念深い敵だな・・・つーか、また脚部かよ・・・俺、やられっぱなしじゃねえか・・・
ビームに貫かれたのは彼女も同じだが、俺が右胸なのに対して彼女は左側。つまり、心臓の位置。
・・・彼女が引っ張らなかったら、心臓をぶち抜かれていたのは俺だったのだろう・・・
彼女の身体は左胸のに空いた風穴によりさらに崩壊を加速させ、
キュイィイィン・・・
最後の鳴き声を発して、
パキィン・・・
・・・儚く散っていった。
あんなに苦戦した敵なのに、消えるときはあっけないな・・・
・・・薄れていく意識の中で、俺は異世界の魔力を発動して、・・・彼女の意識を探した。
――――――――
・
・・
・・・
あら?俺さん・・・どうして?
どうしてってのはこっちの台詞だよ・・・なんで最後の最後にあんなことを?
・・・言わなくちゃ、ダメですか?
嫌なら別に言わなくてもいいけど。・・・最後に、俺を納得させてくれよ
・・・私は、これから死んでいきます
・・・
死んだら、居場所がどうとか言ってはいられないでしょう?
・・・
だから、あなたと
戦う理由は、私が負けた瞬間に無くなったんです
・・・
敵同士だったとはいえ、戦う理由が無くなったあの時から、私達は同じ『異世界の人間』に戻ったんです
・・・
・・・同じ世界の人間が目の前で死んでいく光景が、私が最後に見た光景になるのは嫌でしたから
・・・そうか
・・・
・・・悪いことをしたな
前にも言ったでしょう、私はあなたのことを恨んでなんていない、むしろ感謝しているって
・・・
俺さん。ありがとうございました
・・・
私は、この世界に来れて、居場所を見つけられて、幸せでした
・・・そうか
・・・俺さん。最後に、二つお願いがあります
なんだ・・・?
私のこと、忘れないでください。それと・・・
・・・
ありがちな台詞ですが・・・
・・・
私の分まで、生きてください
・・・ああ
約束ですよ
ああ。約束するよ
・・・では
・・・
・・・さようなら
・・・ああ
・・・
・・
・
――――――――三日後・医務室
次に俺が目を覚ましたのは医務室のベッドの上だった。・・・同じ展開が最近あった気がするぞ。
いや、少し違うか。あの時は負けた結果だったが、今回は。
俺「・・・はぁ」
勝ったんだ。俺は安堵の溜め息をついた。そして、
ピクッ
ベッドの横で何かが震えた。・・・エイラじゃないけど、この次の展開も読めた。
左側に目を向ける。やはり、美しい銀色の髪と白い肌の、儚げな少女がいた。
俺「・・・」
サーニャ「俺・・・さん・・・?」ムクッ
顔を上げて、俺の名を呟く。・・・さて、次の展開も読めるぞ。
先手を打ってやるか、と思って、瞳を潤ませるサーニャの右手を俺の左手で掴んで、
・・・無事だった左胸に持っていき、
ドクン
命の証を感じてもらった。
俺「・・・」
サーニャ「・・・」ポロッ
サーニャの瞳から宝石のような雫がこぼれた。俺は左手を離して、顔を伝うその涙を人差し指で優しく拭う。
・・・サーニャが、口を開いた。
サーニャ「俺さん・・・」
俺「・・・なんだ」
サーニャ「・・・最近、傷だらけになってばっかりです」
俺「・・・そうだな」
確かにそうだ。・・・『彼女』が召喚されてからというもの、俺の身体は傷ついてばっかりだ。
サーニャ「・・・平気なんですか?」
俺「・・・え?」
・・・言っていることの意味が、よくわからない。
サーニャ「この世界にいて、平気なんですか」
俺「・・・」
・・・
俺「平気だよ」
サーニャ「本当に?」
俺「ああ」
それから少しの間・・・といっても数秒ほどだけだが・・・俺たちは黙ったままでいた。
不意にサーニャが尋ねてくる。
サーニャ「後悔、していないんですか?」
俺「え?」
サーニャ「この世界に来なければ・・・いえ、あの時元の世界に戻っていれば・・・
こんなに傷つくことはなかったのに・・・」
サーニャ「この世界を知らなければ・・・傷つかなくても・・・戦わなくても済んだのに・・・」
俺「・・・」
サーニャ「そうは、思わないんですか?」
俺「今は知っている」
サーニャ「・・・」
俺「それに、この世界には仲間がいる。それだけで、俺には、
この世界で生きて、この世界で戦うには充分な理由になる」
サーニャ「・・・だから、傷つくことも仕方ないって、割り切るんですか?」
俺「・・・」
サーニャ「・・・傷つくのは、辛いはずです・・・辛くない人なんて、いません」
俺「・・・」
サーニャ「・・・こんな目に会うなら帰っておけば良かったって、・・・本当に、後悔しないんですか?」
俺「後悔してなんになる?」
サーニャ「・・・」
俺「後悔したって、過去を振り返ったって、後戻りはできない。過ぎた時間は戻せないさ。
戻れないなら、先に進むしか、・・・この世界で生きるしかないんだ。そうだろ?」
サーニャ「・・・」
俺「だから俺は前に進むって決めたんだ。進みさえすればきっと道が見えてくる。そう思うから」
俺「俺は、今はもう、この世界に連れてこられたことを恨んじゃいないし、
元の世界に帰らなかったこともこれっぽっちも後悔してない。俺は俺の意思でこの世界を選んだんだ」
俺「この世界にどんなに残酷なことが待っていようと、俺はこの世界で生きている。・・・生きていく世界は違っても、生きることに変わりはない」
俺「これから、どんなに理不尽なこと、傷つくことが待っているとしても、きっと、それが運命なんだって、俺は全て受け入れられる。割り切るんじゃなくな」
サーニャ「・・・」
俺「それに、」
サーニャ「?」
俺「サーニャが一緒にいるなら、それだけで、どんな運命でも悪くないなって思える」ニコ
サーニャ「・・・///」
俺「・・・ずっと、側にいてくれるんだよな?」
サーニャ「・・・はい。そう心に決めましたから」
俺「そうか・・・」
サーニャ「・・・」
俺「・・・なら、安心だ」
サーニャ「・・・そう、ですか」
俺「・・・ああ」
サーニャ「・・・」
俺「だから、」
サーニャ「・・・」
俺「お前も心配するな」ニコッ
サーニャ「・・・はい」ニコッ
―――――――――
サーニャ「俺さん」
俺「ん」
サーニャ「お願いがあります」
俺「なんだ?」
サーニャ「戦争が終わったら、一緒に私の両親を探して欲しいんです」
俺「・・・」
サーニャ「そして、見つかったら、俺さんのこと、こう紹介するんです」
サーニャ「『私の将来のお婿さんです』・・・って」ニコ
・・・断る理由は、ない。
グイッ
俺は、この奇妙な異世界で出会った、目の前の愛しい少女を左手で抱き寄せて、
チュッ
・・・返事の代わりに、唇を合わせた。
ーおしまいー
最終更新:2013年01月28日 16:07