――――――――――ある日・出撃の時にて

ブウゥウゥウゥゥン・・・

リーネ「俺さん、平気ですか?」

俺「平気だよ。それに、いつまでも出撃しないんじゃ情けないしな」

ゲルト「ネウロイに助けられることも情けないことだとは思うがな」

俺「・・・そうかもな」

シャーリー「おいおい、あんまり酷いこと言ってやるなよバルクホルン、嫌われちまうぞ?」ニヤニヤ

ゲルト「なっ・・・」

エーリカ「・・・そだ。ねえねえ俺」

俺「ん」

エーリカ「トゥルーデったらさ、君が気を失ってる間・・・」

ゲルト「!? ま、待てハルトマン!言うな!」

俺「・・・」

何があったんだ?

エーリカ「え~?どうしよっかなぁ~・・・俺、知りたい?」

俺「・・・」

一応バルクホルンの様子を見てみるか。

チラッ

ゲルト「・・・」キッ

 ・・・この場合は・・・

俺「どうでもいいや」

こう答えるのが正しい・・・かな?

ゲルト「・・・」フゥ

バルクホルンはホッとしたような溜め息を、静かに吐いた。

エーリカ「えぇ~?つまんな~い」

ハルトマンは不満足そうな顔で言う。

ゲルト「フン。そんなことより、今はネウロイを倒すのが先決だろう」

シャーリー「発生地点はまだまだ先だぞ」

ゲルト「しかしだな・・・」

そのとき、リーネが俺の側に寄ってきて、小声で話しかけてきた。

リーネ「俺さん」ヒソヒソ

俺「ん」

リーネ「・・・サーニャちゃんと同じくらい、俺さんのことを心配していた、ってだけ教えておきます」ヒソヒソ

俺「・・・バルクホルンが?」ヒソヒソ

リーネ「・・・」コクリ

俺「・・・把握した」ヒソヒソ

リーネ「・・・」スッ

それだけ言って、リーネは離れた。・・・どんな心配の仕方だったのか気になる・・・
いや、・・・やっぱりどうでもいいや。


―――――――――

キュイイィイィィィィィイィン・・・ビュインッ

リーネ「っ!」ズギュンッ バキィィン

戦うことに違和感を覚えなくなったのは、いつからだったかな。

俺「・・・」ガガガガガガガガ バキィン

キュイイィイィィン・・・ ビュインッ

シャーリー「!」ヒュン

シャーリー「てやっ!」ガガガガガ バキィィィン

不思議なものだ。本来だったら、俺は元の世界で勉強をしたりゲームをしたりしていたはずなのに、
この世界で、この世界に生きる人達のために、軍人として戦うことになるなんてな・・・

ビュインッ

俺「っ!」バシュウゥウゥン

この世界にきたばっかりの頃は、不安だらけだったな。

でも、誰だって俺みたいな状況に陥ったらああいうふうになるはずだと思う。・・・だって、
変な格好をした空飛ぶ人間が、でっかい武器を持って、黒くて赤い奇妙な生命体と戦っている、なんて、
非常識な世界にいきなり連れてこられて・・・しかも、ほぼ選択の余地無しにこの世界の戦いに巻き込まれて・・・
普通の人間なら帰りたいと思って当然のはずだ。・・・まあ、今は、そんな不安も忘れてこうして戦っているのだけれど。

ゲルト「はぁっ!」ガガガガガガガガ バキィンバキィン

エーリカ「手応えないねえ」ガガガガガガ バキィン

俺「ああ・・・」ガガガガガガガガガ バキィン

 ・・・ネウロイがあの子を召喚してからというもの、ネウロイの戦力は弱まってきている傾向にあるらしい。
召喚装置の作成には苦労したらしいし、召喚というものはやはり多大なエネルギーを消費してしまうものなのだろう。
この勝機を逃す手は無いということで、近い内に、ロマーニャ奪還のための最終作戦が行われるかもしれない、とミーナは言っていたっけ。

キュイィイイイイィィィン・・・

ま、そんなことは後でいくらでも考えるとして・・・
今は、目の前の敵を倒すだけだな。そう思い、残り一体のネウロイに銃を向けた。

 ・・・その時・・・

ド ク ン ッ

  !

不意に襲ってきた感覚に、俺は固まった。

 ・・・覚えのある感覚だ。

シャーリー「・・・俺?」

ぎこちなく首を動かして、感覚のした方向に振り向いた。
 ・・・本来ならばネウロイとの戦いの最中に、こんなことしてはいけないはずなのだが・・・
どうしても、逆らえなかった。無意識の行動だった。

キュイイイイイィィン・・・

ゲルト「おい俺、どこを見ている!ネウロイがそちらへ行ったぞ!」

 ・・・感覚が伝わってきたのは、ロマーニャの方角からだ。それはつまり・・・
ネウロイではなく、

この世界の人間がやったということだ。・・・
え?

なぜ?

なぜ、この世界の人間が・・・そんなことをする必要がある?

リーネ「俺さん!?」

 ・・・なぜ、だって?・・・思い当たる理由は、一つしかない。

 ・・・自分達の戦力にするため、だ。

エーリカ「何してんの俺!」ヒュンッ

 ・・・なんだよ・・・

これじゃあ・・・

俺「・・・」

人も、ネウロイと・・・変わらないじゃないか・・・

エーリカ「はっ!」ガガガガガガ・・・

バキィイィィィン

エーリカ「・・・ふぅ」チャキッ

俺「・・・」

人も、ネウロイも・・・

俺の力を勝手に利用して・・・

リーネ「俺さん?どうしたんですか?」

俺の世界の人を勝手に利用して・・・

俺「・・・」

 ・・・俺の守ろうとした『この世界の人間』ってのは、こんなものだったのか?

シャーリー「・・・?」

 ・・・こんなことになるなら、
いっそあの時・・・

ゲルト「俺ッ!!」

怒鳴り声がする。・・・それでも、俺はその方向を向かない。
どうしても、動くことができなかった。

ガバッ

俺の服が誰かに掴まれる感覚がした。・・・ついに、俺はその方向を向く。

俺「・・・バルクホルン・・・」

ゲルト「・・・貴様、何をしている」

 ・・・

エーリカ「・・・俺」

俺「・・・」

エーリカ「戦いの最中に余所見してボーっとするなんて、自殺行為みたいなもんだよ」

 ・・・それはわかってる。

俺「・・・」

ゲルト「・・・なんとか言ったらどうだ?」

 ・・・

俺「・・・なあ、みんな」

『?』

俺「・・・俺がここにいることは、間違いだったのかな」

エーリカ「・・・は?」

リーネ「・・・いきなり、何を言い出すんですか?」

俺「・・・俺がいるから、こんなことになっちまったんじゃないのかな・・・?」

シャーリー「・・・あのさ、俺?話が見えないんだけど」

俺「・た・・が、・・され・」

ゲルト「ん?」


     「・・・また誰かが、召喚された」


    『・・・!?』



最終更新:2013年01月28日 16:10