・・・扶桑刀の手入れをしながら、俺は考え事をしていた。
あの戦闘の後、『また誰かが召喚された』件についてミーナに報告したら、
『軍の上層部が関わっているかも』ということで、上層部に呼び出された際についでに尋ねてきてもらったが・・・
偉いおっさん達は驚いた様子で、『こちらも調べてみよう』と答えたそうだ。
・・・上層部は関係ないのか・・・
ちなみになぜミーナが上層部を疑ったのか、理由を尋ねてみたのだが・・・
なんでも、以前こいつらがブリタニア(・・・リーネの故郷だっけ?)で戦っていたときに、
そこでの上官だった、マロニーとかいう鍋に入れて食えそうな名前のおっさんが、
ネウロイの力を利用した兵器・・・ウォーロックだかを作成したことがあるから、
今回も秘密裏に何かやったのでは?・・・と思ったとのことらしい。
そのウォーロックはどうなったんだ?と訊いてみたら、・・・逆にネウロイの力に乗っ取られて暴走したらしい。
まあ、それはともかく・・・
俺「・・・」
つまり、軍とは関係のないところで召喚が行われた、ということか。
・・・まあ、俺にとっては、軍が関わっていようと国が関わっていようと、
どうしても見逃せない問題であるということは確かだ。・・・この世界において、人為的な召喚の
『鍵』は俺の力以外にありえない。
・・・何から俺の力を得たのかはわからないし、俺の知らないところで召喚が行われたのだが、
なんにしても・・・俺の力を利用されたのだから、俺にも召喚の責任がある。
俺「・・・」グッ
この世界の人間は、自分の欲望のためなら、別の世界まで利用するっていうのか・・・
・・・俺は、そんなことをしてもらうために、戦っていたわけじゃないのに・・・
・・・
・・・ネウロイも、同じことをしたな・・・
・・・
・・・人も、ネウロイも・・・同じようなもの、なのか・・・
・・・
俺「・・・何考えてんだ」ポツリ
浮かんできた考えを振り払う。
俺はこの世界の人間を守るために戦ってるはずなんだ。
・・・でも・・・
俺「・・・」
・・・そんな奴ら、守る価値はあるんだろうか・・・
・・・
・・・守るべき、なのだろうか・・・?
・・・召喚だなんて、人の運命を弄ぶことを、自分達の欲望のために行う奴らを・・・
俺「・・・」
・・・召喚された人は、今何を思っているのだろうか・・・?
初めの頃の俺のように、帰りたいと思っているだろうか・・・?
・・・もしそう思っているのならば・・・俺は、その人を帰さなければならない。何を犠牲にしてでも。
俺「・・・クソッ」
・・・俺があのときに帰っていれば・・・ネウロイの誘いに乗っていれば・・・
こんなことにはならなかったんだ・・・
俺が・・・
コンコン
部屋のドアがノックされた。・・・この時間帯に俺に用ってことは・・・
俺は刀を鞘に納めて、腰に携えてから、言った。
俺「何だ?」
「俺さん、坂本さんが『訓練するから外に来い』って言ってました」
宮藤の声だ。
俺「・・・」
・・・気を紛らわすことができるかもな。
俺「りょーかい・・・」
・・・
・・
・
―――――――――
基地周りを10周せよ、か。・・・初めの頃は、体育の授業の持久走を思い出して物凄くイヤだったのだが、
俺「ふぅー・・・」
今の俺にとっては「いつものこと」として済ませられるレベルのことになってしまった。・・・慣れとは恐ろしいものだ。
坂本「ふーむ・・・流石だな。宮藤達をここまで遅れさせて終了とは」
膝に手を置いてうなだれる俺に坂本が言う。
俺「・・・このくらい、できなきゃ、情けないからさ・・・」ハァハァ
坂本「・・・ふっ、はっはっはっはっは!言うようになったな、俺!」
俺「うっせぇ・・・」ハァハァ
坂本「・・・よし!」
俺「・・・」ハァハァ
またなんか思いついたのか・・・?
坂本「俺、刀は持ってきているな?宮藤達が走り終えたら、射撃訓練に移る前に一試合しないか?」
え・・・
俺「えぇ~・・・」
坂本「なんだその反応は?」
俺「俺があんたに勝ったことないってこと、わかってるくせに・・・」
坂本とは、お互い剣の道を歩んだ者同士として、稽古の他にもしょっちゅう試合をしていたのだが、
俺は坂本に一度も勝ったことはなかった。・・・大体にしろ、真剣でやろうってのが間違いなんだよ。怖すぎだろ。
坂本「む?今日こそお前が勝つかもしれないではないか」
俺「いつもいつもそう言われて試合して、そんで俺は負けてきたんだよ」
坂本「・・・はっはっはっはっは!」
俺「・・・ったく、あんたは・・・」
坂本「私は、お前が成長した部分が口だけではないというところを見たかったのだが」
・・・
俺「・・・」
坂本「・・・」
俺「・・・」
坂本「・・・」
俺「・・・今日こそ勝つ」スッ
膝から手を離して俺は言う。
坂本「・・・はっはっはっ!それでこそ扶桑男児だ!」
俺「・・・俺は日本男児だ」
坂本「ん?同じようなものだろう?」
俺「・・・」
・・・そうかもしれない。
俺「・・・そうかもな」
坂本「・・・ふっ」
・・・
・・・
・・・
宮藤「はっ、はぁ・・・」ハァハァ
リーネ「おっ、俺さん・・・速い、です・・・」ハァハァ
あ、ようやく宮藤とリーネとペリーヌが走り終わったのか。
・・・ペリーヌが俺のところに寄ってくる。
ペリーヌ「お、俺さん・・・?」ハァハァ
俺「ん」
ペリーヌ「少佐と、何を・・・お、お話に、なられていたの、ですか・・・?」ハァハァ
俺「・・・また久しぶりに一試合するぞって」
「「「!」」」
宮藤「またお二人の試合が見られるんですか!?」パァッ
俺「宮藤、お前なんで楽しそうな顔してんだよ?俺いっつも負けてるっつーのに」
宮藤「でも、試合をしてる時の俺さんはかっこいいってみんな言ってますよ?」
俺「聞いたことねえよ」
リーネ「・・・確かに、俺さんのいるところでは言っていませんでしたからね」
俺「・・・」
宮藤「サーニャちゃんが夢中になっちゃうのもわかる、って」
・・・
俺「・・・なんでそこでサーニャの名前が出てくるんだよ?///」
ペリーヌ「あら?何を言っていますの?」
俺「わざわざ名前出す意味がわかんねえよ///」
リーネ「俺さんが相手だからこそ名前を出す意味があると思いますが・・・」
宮藤「その理由は俺さん自身がよくわかってると思いますよ~?」
こいつら・・・
俺「わかんねえy・・・」
わかんねえよ死ね、と言おうとしたその時・・・
ドクンッ
!
俺「・・・!?」
坂本「・・・む?」
・・・またこの感覚・・・
ペリーヌ「・・・俺さん?どうなさいました?」
・・・近い・・・
だけど、・・・これは、なんだ?
リーネ「・・・あ!」
宮藤「俺さん、もしかして・・・」
・・・何か、違和感がある・・・異世界の魔力とは、どこか違う感じが・・・
俺「・・・っ」チャキッ
・・・違和感があろうと、俺が感知できるということは異世界の魔力であることに変わりない。行かなければ。
俺「くっ!」ダッ
壁に立てかけておいた刀を持って、俺は感覚のするほうへ走った。
宮藤「俺さん!?異世界の人が、ここに来たんですか!?」
背後の声を、俺は気にも留めなかった。
―――――――――――
ミーナ「・・・どちらさまでしょうか?」
「女と申します。・・・」
ミーナ「・・・なにか、御用でしょうか?」
女「・・・」
ミーナ「・・・?」
タッタッタッタッ・・・
俺「・・・っ!」
・・・この人、か・・・
女「・・・」ジッ
俺「ハァ・・・ハァ・・・」
ミーナ「・・・俺さん?・・・」
ミーナが不思議そうな顔で俺を見る。・・・タイミングよく来すぎだ、とでも思っているだろうか?
まあ、それはともかく・・・
俺「・・・あんたは・・・」ハァハァ
俺は、目の前の女性を見る。
ミーナ「・・・まさか」
ミーナが、俺の様子から目の前の女性の事情を察したようだ。
女「所詮、この世界の人間に私達の苦しみはわかりませんよ。そうですよね、俺さん?」
・・・苦しみ。
俺「・・・俺は・・・」
タッタッタッタッタ・・・
坂本「俺!」
宮藤「はぁ、はぁ・・・」
リーネ「お、俺さん・・・」
ペリーヌ「まさか、その女性が・・・」
女「・・・」
俺「・・・」
お仲間ですか?
・・・ああ
そうですか・・・
コツコツコツコツ・・・
エーリカ「何してんの?」
ゲルト「ミーナ、その女性は?」
ルッキ(おっぱいはふつーだ・・・)
エイラ「サーニャ、どうしたンダ?眠くないか?」
サーニャ「・・・俺さんみたいな気配がするの・・・」
エイラ「エ?」
・・・みんな・・・
女「皆さん、おそろいですか。さて、どこから話したものでしょうか・・・」
最終更新:2013年01月28日 16:11