『歪み行く想い』 その2



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465 :試作な俺-16話[sage]:2011/02/03(木) 20:20:25.86 ID:jagwEgoh0

バルクホルン「待ってろ!今、抜いてやるからな!」 ガシッ、ズルズル・・・

ズ ボ ッ 

バルクホルン「俺!大丈夫か!?」

俺「アンジェ~待ってくれよ~♪俺もそっちに逝くよ~」 アハハハハー

バルクホルン「お、俺!そっちはダメだ!戻って来い!」 ユサユサ

俺「うぁ~あうぅ~~(ガクガク)・・・・・・・あ、あれ?トゥルーデ?」

バルクホルン「大丈夫か、俺」

俺「……あ、ああ。もう平気だ」 スタッ!



俺「ったく、ヘルメットが無ければ即死だったぜ」 

バルクホルン(全然大丈夫じゃなかった)

俺「っとと、まだフラフラする……。ちょっくら医務室行って来るわ」

バルクホルン「ま、待てっ!行くなら私が連れて行く!」

俺「あー、いいよいいよ。ルッキーニ!ちょっと付き合ってくんない?」

ルッキーニ「うじゅ?いいよーっ♪」 スタッ!

466 :試作な俺-16話[sage]:2011/02/03(木) 20:25:10.71 ID:jagwEgoh0

バルクホルン「ま、待て!連れて行くなら私の方が───」

俺「いいよ。大した怪我じゃないし、あんたは今風呂に来たばっかだろ。だからあんたはゆっくりしていってね!」

バルクホルン「お、俺っ・・・」

俺「んじゃ、行くぞールッキーニ~」

ルッキーニ「うんっ」


テクテクテクテク・・・・・


バルクホルン「行ってしまった…………」

シャーリー「まぁまぁ、本人がいいって言ってるんだ。気にするなよ」

バルクホルン「し、しかし・・・」

シャーリー「あいつの頑丈さも、あんたが一番よく知ってるだろ?それよりこっちに来いよ。話があるんだ」

バルクホルン「話・・・?」

チャプン・・・

シャーリーとバルクホルンは、2人並んで湯船に浸かる

バルクホルン「話とは何だ?」

シャーリー「俺の事」

バルクホルン「俺の?」

467 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/02/03(木) 20:28:41.92 ID:9eLMtYjYO
支援

468 :試作な俺-16話[sage]:2011/02/03(木) 20:28:55.89 ID:jagwEgoh0

シャーリー「単刀直入に聞くぞ。俺の事好きか?」

バルクホルン「え、ええっ!?」

シャーリー「家族とかの”好き”じゃないぞ、わかるだろ。……どうなんだ?」

バルクホルン「・・・・・・・」

しばしの沈黙。
やがて、バルクホルンがゆっくりと口を開く


バルクホルン「・・・・・難しいな」

シャーリー(またそれかっ!) ガクン

シャーリー(変な所で似てるんだなー、この2人も・・・)

バルクホルン「・・・でも」

シャーリー「ん?」

バルクホルン「多分……、好き・・・・・なんだと思う」

シャーリー(おおっ!こっちは自分から明言した!・・・でも)

シャーリー「何だよー、随分自信無さ気な言い方するんだな」

バルクホルン「・・・難しいと言っただろ」

どこか恥ずかしそうな口調で、バルクホルンが話す

469 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/02/03(木) 20:29:22.29 ID:4F+62QLP0
支援弾

470 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/02/03(木) 20:29:24.51 ID:ICu46+2UI
支援支援

471 :試作な俺-16話 支援ありがとう[sage]:2011/02/03(木) 20:32:56.47 ID:jagwEgoh0

バルクホルン「私は・・・ずるいんだ」

シャーリー「ずるい?」

バルクホルン「私が毎日、あいつと一緒に訓練しているのは知っているだろう?」

シャーリー「ああ。いつもしているよな。「俺を鍛え直す!」・・・だっけ?」

バルクホルン「・・・本当は、あいつはもう私より強い。とっくに一人前なんだ」

シャーリー「この前の模擬戦の事か?あれは本人だって”反則だ”って言ってただろ」 (※15話)

シャーリー「それにその前の模擬戦でも、俺はあんたに敗れてたじゃないか」(※14話)

バルクホルン「・・・いや、あれは私が俺の飛び方に精通していたからこそ勝てた、それだけの事なんだ」

バルクホルン「その分のハンデを抜けば、俺は私より……いや、恐らく俺はこの部隊では既に最強だろう。テウルギストなど無くともな」

シャーリー「随分と俺を買ってるんだな」

バルクホルン「元からあいつの戦闘センスは本物だった。そこに私が空戦技術や戦法を教え込んだんだ。間違いないだろう」

シャーリー「ふーん・・・」

バルクホルン「本当はあいつは、独り立ちして自由に訓練してもっと自分なりの戦闘スタイルを確立するべきなのかもしれない」

バルクホルン「でも私は、あいつにそう言わない。それを勧めない。・・・何故だと思う?」

シャーリー「何故…………」


バルクホルン「あいつと─────俺と一緒に居たいからだ」

472 :試作な俺-16話 支援ありがとう[sage]:2011/02/03(木) 20:36:10.68 ID:jagwEgoh0

シャーリー「へぇー・・・・・」

バルクホルン「私は私の独り善がりで、あいつの伸びしろを奪ってしまっているんだ」

バルクホルン「私と俺はよく一緒に居るが、その大半は訓練だ。それ以外の接点は、宮藤達に比べるとだいぶ少ない」

バルクホルン「なのにあいつが私より強くなったと悟ったら、あいつが私の元から離れて行ってしまうような気がしてならな───」

シャーリー「ストップストップ!」

バルクホルン「・・・?」

シャーリー(こいつら・・・、裏では2人共こんな事考えてたのか・・・)

シャーリー(何だよ・・・もう両想いみたいな物じゃないか)

バルクホルン「シャーリー?」

シャーリー「あー……その、今の話だけど、気にする事無いんじゃないか?」

バルクホルン「へ・・・?」

シャーリー「そんな”かもしれない”で悩むなって。もし俺が必要だと思ったら、あんたから独り立ちして勝手に自分なりの訓練するだろ」

シャーリー「なのにそれをしないのは、あんたに言われないからじゃない。やらないだけだ。あんたと飛ぶ事に意味があるって思っているからなんだよ。きっと」

バルクホルン「そうだといいのだが・・・」

シャーリー「そうだよ、そう」
     (やけに気にかけているんだな……)

473 :試作な俺-16話 [sage]:2011/02/03(木) 20:38:40.54 ID:jagwEgoh0

バルクホルン「こんな気持ちは初めてなんだ。もっと一緒にいたい。離れたくないって思う・・・」

バルクホルン「この・・・この感覚を、この気持ちを、”恋”と言うのだろうか・・・?」

シャーリー「うーん・・・・・」

シャーリー「あたしには恋の定義なんてわからないし、あんたが好きなら好き。恋だと思ったら恋。それでいいんじゃないか?」

バルクホルン「私が、思ったら・・・?」

シャーリー「ああ。大事なのは恋なのかどうかよりも、あんたが好きだって想っているかどうかだ」

バルクホルン「・・・・・・・・・」



私の事を大切な人だと言ってくれた俺。守りたいと言ってくれた俺


共に戦って来た俺。私の笑顔が好きで、笑っていて欲しいと微笑んでいた俺。


子供に戻ったみたいに、無邪気に笑う俺。私達の為に、本気で怒ってくれた俺


気がついたら、あいつはいつも私のそばに居た


あいつは私の笑顔を好きだと言ってくれたが、そう言って笑うあいつの笑顔を、私はいつか好きになっていた


私の中であいつの存在は、いつの間にかとても大きくなっていた


バルクホルン「私は・・・好きだ。俺の事が好きだ」


静かに、けれどとてもはっきりとした口調で、彼女は言った

474 :試作な俺-16話 またもしもしから[]:2011/02/03(木) 20:42:53.63 ID:Yos2iZTFO

バルクホルン「この気持ちが恋かどうかなんて知らない・・・。だが今は───」

バルクホルン「この気持ちを、大切にしたい」

シャーリー「なら、それでいいじゃないかっ」 ニカッ

バルクホルン「・・・・・だが」

シャーリー「ん?」

バルクホルン「私は今まで生粋の軍人として生きてきた。自分でもわかっているが・・・その、私はあまり女らしい方ではない」

バルクホルン「俺が私を、女として見てくれているかどうか・・・。さっきも殴り飛ばしてしまったし……」

シャーリー「本人は”大した怪我じゃないから気にするな”って言ってたじゃないか」

バルクホルン「それは気を使っているだけで、怒らせてしまった───いや、ひょっとしたら嫌われてしまったかもしれない。私の一方的な勘違いだったんだ」

シャーリー「とりあえずそれは無いから安心しろって」

バルクホルン「どう安心しろと言うんだ。……ああ、しまった。そう言えば先程謝ってすらいない。やっぱり嫌われたかも───」

シャーリー「ないない!それだけは無い!」

バルクホルン「そ、そうか・・・。良かった」

シャーリー(想いに自覚が出た途端、こんなに可愛らしくなっちゃって・・・)

シャーリー(あいつ(俺)の言う通り、まさに「トゥルーデっていう一人の女の子」、だな) ハハッ

475 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/02/03(木) 20:44:58.00 ID:ICu46+2UI
やべぇ2828が止まらん
支援

476 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/02/03(木) 20:48:23.77 ID:k5AtHqL10
お姉ちゃん可愛すぎだろ
支援

477 :-Prototype-試作品-16話-歪み行く想い[sage]:2011/02/03(木) 20:51:18.67 ID:Yos2iZTFO

バルクホルン「だが嫌われて無かったとしても、結局女性として見てもらえているかどうか……」

シャーリー「変に気を使う必要なんか無いんじゃないか。ありのままの自分でいればいいさ」

バルクホルン「・・・・・・・」

バルクホルンは何やら考え込む

バルクホルン「相談があるんだが・・・」


――――――――――――――――――――


シャーリー「なるほど、明日俺とローマにか」

バルクホルン「ああ」 コクリ

シャーリー「・・・よし!」

バルクホルン「シャーリー?」

シャーリー「ここはあたしに任せておけっ!」 グッ



――――――――――その日の夜――――――――――

<基地港・ラオホウ内部・調整室>

俺「”精神干渉実験”ねぇ・・・。それで『再覚醒』を起こして、失った力を呼び覚ますって?今更?」 (明日はトゥルーデとローマだってのに・・・) ヘッ

ダルシム「この実験は以前から実行を検討していた。(※12話)貴様が全盛期の力を取り戻せば、研究全体が大きく進捗する」

ダルシム「多少のリスクはあるが、やる価値は十二分にある。通常データ採取以外にも貴様がやるべき事の一つだ」

俺「・・・そうかよ」


ダルシム「よし、では準備にかか───」

俺「なぁ」

ダルシム「……何だ?」

俺「この実験が・・・・・あんたの研究が完成したらさ、世界は……救われるんだよな?」

ダルシム「当然だ。世界は私の研究によって救われる。貴様が気にかける必要は無い」

俺「・・・そっか」

ダルシム「……………………」

ダルシム「よし。では準備にかかれ」

――――――――――数分後――――――――――

部屋の中央に置かれた大きめな椅子に、俺が固定されて座っている。身体の様々な場所に、実験用のコードが多数装着された状態だ

椅子の周りには実験用の大型の装置が複数置かれ、頭上には装置から延びたアームがあり、
その先には俺の頭をすっぽり包めそうな半円形のドーム状の器具が接続されていた

現在部屋には俺1人で、ダルシムや研究達はガラス窓で区切られた隣の部屋から装置の調整を行っている

助手(今回の実験がうまく行ってこの子が力を取り戻せば、研究が大きく完成に近づく上に、戦う必要が無くなるかもしれない・・・!)

研究者A「”サイコアウェイカー”、以上ありません。全システムオールグリーン」

ダルシム「”精神干渉実験”を開始する・・・!」

ウイィーーン・・・

俺(いよいよか・・・)

頭上のドーム型装置がゆっくりと降下し、俺の鼻から上にすっぽりと被さった。前が見えなくなる

研究者B「精神干渉、開始しました」

ダルシム「二番と四番の出力を15上げろ」

助手「了解」 ギュィーン・・・

俺(あれ・・・?何か急に・・・・・)

俺(眠く・・・な……って…………来………………)

突如襲ってきた強烈な眠気に俺は、まるで抗う事が出来ず直ぐに意識を手放した



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


(ここ、は………………)


前にもあった、まるで意識だけが宙に浮いている感覚。まったく体を動かせず、映画でも見ているかのように映像が目に焼き付く。俺はどこかの空の上に居た


(この感覚、前にも……────────あれは!?)


空に浮かぶ巨大な黒い異形の物体が俺の目に入った。周囲には雷鳴と暗雲が立ち込め、禍々しい情景を作り出している。
人気はまったく無く、下方にはかつて人が住んでたと思われる、壊滅した市街が広がっていた


─────ネウロイの巣だ─────


ガリアやヴェネツィア上空の巣と比べるとだいぶ小さくて見劣りするが、内部には人類にあだなす無数の”未知の脅威達”が犇めく、恐るべき魔窟であることには変わりがない


(そうかよ・・・)


(この前の続きって訳かよ・・・くそっ!) (※11話)


ネウロイ「――――――――――――――――――――!」
ネウロイ「 ――――――――― ―――― ――――」
ネウロイ「――――― ―――― ――――― ―――!!」


ビシュゥン!ビシュゥーン!ビシュビシュゥン!!ビシュゥーーンッ!


突如巣から無数のネウロイが出撃し始めたと思いきや、一点目掛けての集中ビーム攻撃を開始した
無数の赤い火線が降り注ぐその先に居るのは─────


俺『はーっは!はははははは!!』


645 :試作な俺-16話 名前のない()が現在で、『』が過去[sage]:2011/02/07(月) 13:01:16.60 ID:QbgV/R5V0

推奨BGM的なもの


(過去の俺・・・…………)

過去の俺が、無数のネウロイ相手に交戦していた。
その体には、ネウロイの放つビームよりもずっと赤黒く禍々しい輝きを纏い、さながら赤い悪魔のようだ。輝きに遮られ姿をほとんど見る事が出来ない。

無数のネウロイ達が過去の俺目掛けて激しくビームを放っているが、まったく効かない。
全ての火線は過去の俺の数メートル手前で、霧のようにかき消されてしまって届かない


過去の俺は前方の2機の大型ネウロイ目掛けて、両手を翳す。

それぞれの手先に、自身を超える巨大な魔法陣が出現した


俺『死ね!』 ズゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオォーーッ!!


翳した両手の魔法陣から、バスターライフルクラスのビームが放たれる。
だがその色は、バスターライフルの青白い光とはまるで対照的。

体に纏う光同様に赤黒い輝きを放つそれは、接近していた前方の大型ネウロイ2機を同時に貫いた。
光の粒子と化し落ちていくネウロイには目もくれず、過去の俺は一直線に巣へと突っ込んで行く


ネウロイ「―――――――――!―――――――――――!」 ビシュゥン!ビシュゥン!


無数の小型ネウロイ達が、過去の俺を囲むように飛びつつビームで攻撃して来る。
だが、やはり届かずに数メートル手前でかき消される


俺『ウゼェんだよ蠅共がぁ!!』


過去の俺の叫びと共に、体全体の周りに無数の赤黒い光弾が出現する


俺『まとめて落ちろォーーーー!!』  フッ─────ズガガガガガガガガガガガガギャギャギャ!!!


狂気の叫びと共に無数の光弾は矢へとその形を変え、360°全方位目掛けて発射される。
この一撃により周囲を飛行していた小型ネウロイ達は、1機残らず叩き落とされた

(くっ・・・、こんなの・・・・・!)

両腕からのビームと光矢を使って大中小多数の護衛ネウロイを撃滅しつつ、徐々に巣の中心へと肉迫する過去の俺

その時前方から、平べったい形の大型ネウロイ2機が飛んできた

俺『あ"ぁ!?』

ビームが効かない事を学習したのか。2体のネウロイは素早く過去の俺の上下につくと、その巨体を使って押しつぶそうとして来た

ネウロイ「――――――――――――――――――――!!」 グオオオオオオオオオオォーー!!!

だが過去の俺は逃げない。まるでそこには何も無いかのように、中心部へと向かって行く


ガ コ ン ッ !


2機のネウロイがあっという間に間の距離を詰め、完全に重なった。間にある物は全てペシャンコに潰されてしまっただろう


だが─────


ズガァッ!!


何にも阻まれる事も無く、過去の俺はネウロイの体を突き破って脱出する。ぐしゃぐしゃに潰される事も無く、まったくの無傷だ
俺が通った事により、寄生虫が動物の内蔵を食い破ったかのように、合体した大型ネウロイに穴が空いた


俺『邪魔すんじゃねぇよ・・・・!!』


前進を止めた俺は振り返り、天へと向けて右腕を翳す

翳された手先から、禍々しい赤黒い輝きを放つ光刃が出現した。それは見る間に合体ネウロイよりも長く伸びて行く

647 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/02/07(月) 13:06:03.48 ID:WemCcbu80
いつの間にか試作来てるじゃないかー!支援

649 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/02/07(月) 13:08:03.43 ID:AhMHX+PAO
試作ー!新しい支援よー!

650 :試作な俺-16話 切るところミスったorz[sage]:2011/02/07(月) 13:12:28.93 ID:QbgV/R5V0


俺『死ねええええぇオラアアアアアアアアアアァァァッ!!』 ブンッ


振り下ろされた光刃は合体したネウロイの装甲を物ともせず、真っ二つにする。合体ネウロイはその体を光に変えて消えて行く

俺は光刃を消し、再び前進を開始する。

前方の大型5機を両腕からのビームで葬り去り、とうとう過去の俺は巣の中心部へと辿り着いた。

手前でゆっくりと静止しすると、魔法力を集中し始めた



俺『・・・”ディストーション”』


フ ッ ! 


過去の俺の頭上に赤黒い魔力の塊が出現する。

それは今までで、最も禍々しい輝きを放って居た


巣の危険を察知したのか、大中小無数のネウロイが過去の俺にビームの雨を降らせる。

───だがやはり効かない。全てのビームは手前でかき消され、それに呼応するかのように頭上のそれがグングンと肥大して行く


俺『く・・・っ、ふくくっははっ、あはハはははハハハははは・・・』


(やめろ・・・!)


俺『あははっ、あはははははハハハハ・・・ッ』


(こんなものっ・・・見せるな・・・!)


俺は目の前の光景から目を逸らそうとするが、体が動かない。目を閉じようとしても、瞼が動かせない
不本意ながら、目の前の戦闘を─────憎しみに捕らわれた、かつての自分を見続ける事しか出来ない。

その間にも過去の俺の頭上の”それ”は、忽ち大きくなって行く


俺『そうだよ・・・・・』


過去の俺の頭上の魔力の塊が肥大を止める。バレーボール程の大きさだったそれは、優に300メートル以上に巨大化していた


俺『お前が悪いんだ…………。お前達のせいだ』


過去の俺の中で、様々な負の感情が蠢く



俺『アンジェが死んだのも・・・!あいつらが死んだのも・・・ッ!父さんと、母さんが助けに来てくれ無いのも!!俺がこんな事をやらされているのもッ!!』


次々と同類が死んで行く”恐怖”


顔も名前も覚えていない両親。───だが実は2人ともどこかで生きていて、いつか自分を闇から連れ出してくれると信じていた。
…………だが、いつまで経っても誰も来てはくれなかった。その”嘆き”、”絶望”


逃げる事すら叶わずに、幾度も戦わされて徐々に命をすり減らされて行く。その”憤り”


誰も自分の傍に居ない。理解してくれない。笑いかけてくれない。微笑んでくれない。ずっと独りぼっち。その圧倒的な”孤独”


唯一居てくれた少女は───自分に笑いかけてくれた初めての親友は、ネウロイに殺された。その”悲しみ”


俺『全部・・・!全部ぜんぶっ!ぜんぶゼンブ全部全部ぜんぶゼンブぜんぶ全部ゼンブぜんぶ全部ぜんぶゼンブ全部ぜんぶ全部ゥッ!!』



俺『おまえ達さえ居なければ・・・っ、こんな事にはならなかったんだ!!!』


あらゆる感情を怒りと憎しみに変え、頭上の”それ”と共に、目の前に聳える全ての元凶───ネウロイ。
その巨大な魔窟目掛けて放った

中心部の内壁にぶち当たったそれは、堅牢な筈の装甲を容赦なく削りとって行く


俺『消えろ・・・っ!キエロッ!!』


装甲を抜けたそれは、赤く輝く巣の巨大なコアへと突き刺さる


そして―――――――



俺『消えて・・・・・ッ!!なくなってしまええええええええエエエエエエエエぇぇぇぇぇぇェェェェッ!!!!』




光がはじけた



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



俺『ふはっ、あはははっ?あははははは・・・っ』


ネウロイの巣窟があった場所には、”何も”残っていなかった


巨大な魔窟は光の粒子と化して完全に散り、上空で渦巻いていた瘴気や暗雲も全て吹き飛び、その下にあった廃墟の街も消し飛んでしまった。


残ったのは、上空で狂ったように笑い続ける過去の俺と、ただ・・・・・地上に空いたデカい穴が一つだけだった


俺『ふふ、ははははは・・・・・。やったぜアンジェ……。父さん、母さん……!』


俺『仇をとった!ネウロイを倒したよォ!!』


俺『あはっ、あはははは。アッハッハッハッハ………』


過去の俺は無邪気な子供のようにはしゃぎ、嬉々として笑う。毒の無い、純真な笑顔でひたすら笑い続ける


俺『あは、あははははははははは……。父さん、母さん?どこ?アンジェ?02、03……、みんな・・・・・?』


俺『俺やったぞ、やったんだから……。みんなの仇を、とったんだから・・・』


その声に応える者は、誰もいない。
何も残っていない。デカい穴が一つ。ただそれだけ


笑いが徐々に渇いたものへと変わっていき、声がかすれて涙声へとなって行く



俺『だからさぁ……誉めてよォォ…………』



俺『笑いながら『頑張った』ってさ…………言ってくれよ……!』



だが、彼を誉める者も、彼に笑いかける者も誰もいない



”孤独”が、彼の心を粉々に砕いた



俺『あ、あ、あ・・・・・。うわああああああああア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ァァァァァァァッッッ!!!!!』




悲痛の叫びが空に響き渡った。いつまでも、どこまでも・・・・・


654 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/02/07(月) 13:33:45.89 ID:sQOfsX4T0
00のルイスみたいだな

655 :試作な俺-16話 この辺からグロ注意かな >>654あのシーンは印象的だよね[sage]:2011/02/07(月) 13:35:43.70 ID:QbgV/R5V0


(やめろ・・・!こんなもの・・・っ、こんなもの見せるなぁッ!!)


目の前でかつての自分の心が崩壊する様を客観的に見せつけられ、今の俺自身の心も大きく揺れ動いていた


(やめろ!やめろぉっ!!)


悲痛に叫ぶ俺の想いとは裏腹に、映画のような幻影は続く。

記憶の奔流は止まらず、様々な過去の光景が見え始めた



黒髪の少女『いやああああああああアアアアアあ"あ"あ"あ"あ"っ!!!』




黒髪の少女がネウロイの放ったビームを防ぎきれず、下半身を吹き飛ばされて血反吐を吐きながら海へ墜ちていった




栗色の髪の少女『い、いやだ!!死にたくない!死にたくないぃっ!助けてっ、ねぇ01・・・!助け(ボンっ!)グヴェッ!!』 トサッ、ゴロゴロ・・・




俺にすり寄って助けを求めた栗色の髪の少女。目の前でいきなり彼女の首が飛んだ。千切れた首の断面から鮮血が迸り、俺の体が大量の血潮に染まる。

力を失った胴体はドチャリと床に倒れ、飛んだ首の碧い両の瞳はこっちをじっと見ているように見えた。部屋の床に赤い花が咲いた




黒髪の少年『俺の為に死ねゼロワァンンーーーーッ!!』




必死に生に縋る少年が、ナイフを構えて俺に躍り掛かる。

数分後、その少年は血の海に沈み、俺の体は返り血で真っ赤に染まってその右手にはナイフが握られていた



茶髪の少女『あぐぁっ!痛い!!!あ、いやッ、あっ、痛っ、あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"っ!!』




茶髪の少女がネウロイのビームにより四肢を飛ばされ、ストライカー諸共バラバラになって海へ消えた

656 :試作な俺-16話 引き続きグロ注意[sage]:2011/02/07(月) 13:39:54.34 ID:QbgV/R5V0


(やめろ・・・!やめてくれぇっ!!)


緑髪の少女『あっ、01ッ・・・助け────(メキメキ・・・グシャグチャグチャァッ!!)』



緑髪の少女が恐怖に震えながら俺に助けを求める。

しかし間に合わず、少女はネウロイにグシャグシャに潰されて死んだ



赤髪の少年『俺は死なない!絶対に死なない!!あいつらに復讐するまではっ!!この世界をぶっ壊すまではあああああああああああ!!!』



高空におけるネウロイとの交戦中に赤髪の少年は両方のストライカーを破壊され、海へと堕ちて消えた。

常人では絶対に助からない高さだった




俺「やめろ・・・っ!やめろ!!やめろぉっ!!!」


俺「くそ!ふざけんな!ふざけんじゃねぇぞ!!」


俺「誰だよっ!俺にこんなもの見せるのはぁ!!」







?「私だよ?」 クスクス




俺「!?」



突如後ろから、どこか懐かしい声が聴こえて俺は振り返る

そこに居たのは───
最終更新:2013年01月29日 15:21