0430に起床。洗顔をし、ランニング。緯度が高いことと夏が近いので、気持ちよく朝霧の中を
走ることが出来る。緑が多い基地だ。途中、後ろから追いかけてくる足音。私はペースを保って
待っていると、追いついてきたのは坂本君だった。
美「おはようございます!俺さん」
俺「おはよう!坂本君。朝練かね?」
美「ええ。毎朝20キロほど。その後海岸で素振りです!」
うゎ。20キロだって?
俺「ご苦労様。私は5キロだよw」
美「将官が朝練している姿は
初めて見ました。いつもですか?」
俺「ああ、私も戦闘員だからね。香代君も今頃は筋力トレーニングだな。その後走る。」
美「なるほど!飛行資格お持ちなんでしたね」
俺「飛ぶのは大好きだよ。縛りがきつくなって、いつ取り上げられるか解らんがw」
美「この基地にも戦闘機が何機かあります。よろしければどうぞ」
俺「ありがとう。昨日見せてもらったよ。そのうちお願いするかも」
美「はい。どうぞ!」
俺「キミのほうがペースが速い。どうぞ、構わずいってくれ」
美「では!朝食の席で!」
若さだな。どんどん離されてしまう。3キロ地点で折り返し。残り1キロを切ったあたりでクールダウンを
始める。走ってきた香代君と挨拶を交わし、自分のテントへ。
汗に濡れた衣服を籠に入れ(香代君が後で洗ってくれる)、水泳パンツに着替えて海岸へ。海岸に沿うよう
往復して1キロほど泳いであがる。
タオルで海水をぬぐっていると、
シャーリー君が寄ってきた。
シ「おはよう、俺さん」
俺「おはよう、シャーリー君。君もトレーニング?」
まあ、きっちり制服に身を包んでいるのだから違うだろうが。
シ「あはは。私はあんまり好きじゃないもんで。ルッキーニを探しに来たんです」
快活な子だね。
俺「ルッキーニ君とは、今朝はまだ会っていないよ?」
シ「いやぁ、あいつもサボり魔です。その辺で寝ているんですよ」
その辺で?寝ている?思わず、あたりの草むらを見てみるが・・・。
シ「違いますよ、俺さん。木の上です。アイツ、使い魔が黒豹だからか樹上生活しているんです」
樹の上で寝ていると? そりゃ器用だ!
シ「そうなんです。でも、たまに落ちるんですよ。黒豹の癖にw」
朗らかに笑う。釣られて笑いながら脚は自然と私のテント方向へ。
シ「あ!居ました。あそこに!」
指差すほうを見てみると、俺のテントの脇の樹の枝に引っかかっている毛布と白い制服が。確かに樹上
生活者だな。安眠できるのか?
シ「おーい!ルッキーニ!起きろー!!あーさーだーぞー!」
シャーリー君が声をかけると、ムクッと起き上がりこっちを見る。涎が出ているよ。
ル「おはよぉー シャーリィ・・・ん?おはよー、俺ぇ・・・ええーーーーーっ!」
なにに驚いたのか、ポンとジャンプして降りて・・いや、落ちてくる。
ル「ダメだかんねーーーーっ!これ!あたしのーーーーー!」
大声出しながらシャーリー君と私の間に割って入り・・・なぜにシャーリー君の胸に顔を埋める??
俺「えー・・・・と?」
シャーリー君の制服に涎がついた・・・。ルッキーニ君が私を睨んでいる。はて?
シ「ああ、ルッキーニは私の胸が大好物でw!心配要らないよ、ルッキーニ。大丈夫、ほら・・・」
抱き締めて押し付けている。まあ、いいか。彼女の頭をなぜる姿は・・・聖なる母、か。
ル「シャーリーに触ったりしたらだめだよ!俺!」
思わず苦笑い。
俺「大丈夫、触らないよ。安心しなさい」
ル「!ほんと!俺ってば良い人にゃーーーーー!」
じゃあ、と彼女たちと別れてテントに入る。洗面器に水を入れ、濡れタオルを作って身体を拭く私の耳に、彼女たちの会話が聞こえてくる。
ル「ネーネー、俺裸だったよ!」
シ「ああ、水泳していたんだよ」
ル「ソウナンダー。てっきりシャーリーが襲われるのかと思っちゃったぁー」
ヲ・・・ヲイ。
シ「ブァハハハハ!俺さんは紳士だぞ?心配しすぎだよ、ルッキーニ」
そうだよ、うんうん。
ル「そーそー!俺ってさぁーなんかパーパみたい!シャーリーはマンマだよね!」
あはは。お父さん、か。
身体をぬぐい、頭の毛を洗面器の水ですすいで終了。制服をきちんと着用してから洗面器の水を海に捨てに出る。
戻ってタバコを一服していると、気合の入った声が聞こえてきた。ああ、坂本君の素振りか。でも、声は複数人?
誰だろう、と灰皿持参でぶらぶら歩く。
最初に見えたのは、ペリーヌ君。こっちに御尻を向けて樹の影から先を見ている。視線の先には坂本君と
芳佳君の素振り姿がある。
悪戯心を出して、気配を消して接近。咥えタバコだから匂いで解るか。
・・・余程集中してみているらしく、難なく真後ろへ。暫く様子を見るが・・・気付かない。問題だな・・・。
俺「おはよう、ペリーヌ君」
ペ「!!!」
飛び上がるようにして後ろをキッと彼女は振り返る。
俺「やぁ 驚かせてごめん。いい朝だね」
樹の陰の奥に身体を移す。彼らに気付かれたくないのだろうし。
ペ「お・・・おッ はようございますっ!俺少将!」
俺「俺、でいいよ?」
ペ「ハイ・・・失礼しました 俺さん」
もじもじしてる。ばつが悪いかw。じゃあ、六時方向云々はやめとこうかね。
俺「参加しないんですか?」
ペ「え ええ」
興味深々だったけど・・・?
俺「見ているだけで満足?」
ペ「いいえっ!私だって!」
俺「ならば、歩いていって挨拶して。参加させてくださいって言うだけですよ」
ペ「それが出来るなら!こんなに苦労しません!ほっといてください!」
・・・距離感、誤った。
俺「・・・うむ。立ち入りすぎたかな。すまなかった。では。」
きびすを返す私の背中に呟きが聞こえた。
ペ「いえ・・・。ご忠告有難うございます。でも・・・」
少し離れたが、そこで背中を向けたままで聞く。
ペ「私は・・・坂本少佐の二番機でした。でも・・・あの宮藤軍曹が着任してから、少佐はあの子ばっかり・・・。
彼女が来るまで、私は坂本少佐と訓練でも、プライベートでも・・・」
なるほど。二番機の立場か。口にする以上に、この子の気持ちは少佐を慕っているんだな。
俺「ちょっと・・・いいかな?」
少し離れた場所に彼女を誘う。ベンチがあったから其処へ座り、離れた
場所を指差して促す。彼女が座ってくれた。両手を固く結んで俯いている。
俺「私も戦闘機乗りです。実戦部隊に配属されてから、猛烈に扱かれました。」
俺「小隊長に任ぜられて。でも、・・・扶桑では新米少尉はベテラン軍曹から扱かれるんですよ」
俺「配置は私が一番機。軍曹が二番機でした。経験・技術共に軍曹には敵いません」
俺「いろいろ、教えてもらいましたね」
俺「そのうち、軍曹は別の小隊の一番機に。私の小隊には新人が配属されました」
俺「今度は私が指導する立場になったんです。自分ではひよっこのつもりだったんですが・・・ね」
俺「一年も経たず、私は中隊長」
俺「中隊長の役目、とても重い責任でした。部下に劣るのに・・・と寂しくてね」
俺「でも、元の軍曹に励まされて気付きました。もう、あなたは親鳥ですよ、と」
俺「自分では自覚が無かった。でも、古株になれば、新人を強く鍛えなければなりません」
俺「その新人が、鍛えられ、そして更に自己研鑽しつつ新人を鍛えます」
俺「何時までも、時にしがみつくことは出来ません」考え込んでいるな・・・。
俺「少佐は、坂本君は、宮藤君が来てからですが、あなたへの態度を変えましたか?」
ペ「いいえ!・・・でも、寂しいと感じます」
あ、素直な子だな・・・昨日は別の雰囲気だったが。
俺「宮藤君の戦闘技術は高いですか?」
ペ「いえ。・・・センスはとても良いと思いますが・・・まだ未熟でしょう・・・」
憎しみにはなっていない、か。
俺「ひよっこですよ、宮藤君は。だから、親鳥である坂本君が面倒を見る必要があるんです」
ぺ「ハイ・・・・それは解ります」
俺「報告書を読んだことがあります。宮藤君は、まったくの無訓練状態でも、しっちゃかめっちゃか
になりつつも初陣を切り抜けたみたいですね。私も信じられませんでしたよw」
ペ「・・・クス」
もうちょっとサービス。
俺「あなたもそう思いましたかw。規格外ですね、彼女は。常識破りですww」
ペ「・・・・ですわねw」
少し、解れたかな。
俺「戦時編成を昨日資料として貰いました。あなたは最近、リーネ君やトゥルーデ君と組んでいますね。
リーネ君のときはあなたが一番機。トゥルーデ君のときは二番機」
ぺ「・・・・ええ」
俺「エース相手では二番機ということです」
ペ「・・・はい」
俺「経験不足なヒヨコと組むときは、あなたがリーダーです」
ペ「・・・ええ」
俺「あなたも巣立ちの時期だ、と坂本君が判断したということですよ」
俺「そして、若手を育てることも出来ると。トップエースを護ることができると。中佐たちが中堅として認め
た、ということです」
ぺ「・・・・・・・ハィ」
あ・・・泣かないでくれよ。
俺「あなたは自由
ガリア義勇空軍出身、ですね。部下に対してどう接していましたか?」
ペ「・・・・どうだったのでしょう・・・・解りません・・・」
ほら。ハンカチ。
俺「想像ですが、ペリーヌさん。多分、部下はあなたを、あなたが坂本少佐を見る目で見ていたかと」
俺「そしてあなたは、坂本少佐があなた方を見る目で、態度で接していた。そう想像します」
俺「いつもあなたから、あなたのそばから離れようとしない部下が居たでしょう?」
居ないと困るが・・・。
ペ「・・・・・・・・・あ アメリー・・・ですね」
ホッ・・・。よっし!
俺「どんな部下でしたか?」
ぺ「・・・泣き虫で・・・でも、努力家で・・・寂しがりや でした」
俺「あなたが501に配属が決まったとき、彼女はとても寂しかったでしょう・・・」
ぺ「・・・・・・ずっと泣いていました・・・・」
俺「あなたと同じですよ。アメリーさんとペリーヌさんは・・・」
ぺ「・・・そうなんですか?」
俺「ええ。同じだと感じます。彼女は泣くことが許される立場。頼るあなたという存在もあった」
俺「でも、あなたは辛くても、寂しくとも泣くことが許されない。ブループルミエと呼ばれる以上は、ね」
ペ「! ご存知でしたか・・・」それは、少しは調べておきます・・・。
俺「でも、あなたがそれを、弱さをさらけ出せる相手にここで出会えた。坂本君です」
俺「人格、指揮能力、戦闘技術・・・。あなたはそれに心酔した」
ぺ「ええ!素晴らしい方です!」
俺「ならば、あなたも坂本少佐のようにならなくては」
俺「それが坂本少佐の願いでもあるはずですよ。ぺリーヌさんにはそれが出来る、と彼女は期待しています」
ペ「そんな・・・少佐みたいになんてわたくしには・・・」
俺「・・・・・・・・」
ぺ「坂本・・・少佐のように、ですか?」
俺「能力がないと思う人には、エースの二番機など任せませんよ?ひよっこを任せませんよ?」
良く考えてご覧。じっくり・・・
ペ「・・・・・・・・・・」
俺「タバコ失礼するね」
風下に移動して火をつける。じっくり考えてください。
ぺ「・・・・頑張ります。少佐のお気持ちに応えます!」
うん。利口な、そして素直な子だ。
俺「ええ。坂本少佐もバックアップしてくれますよ」
壁を乗り越えて、大きくおなり・・・。
俺「ところで。作戦行動中と、公務時間では制限がありますが」
さて、話しを戻すよ。
ペ「はい?」
俺「朝の自発訓練と、食事のとき、そしてお風呂のときは関係ありませんね?」
ペ「え・・・ええ」
よし、食いついた。
俺「坂本君のそばにいることが、大手を振って出来ますよ?」
俺「一緒に過ごせる時間があるなら、自分でそれを遠ざける必要なんてありませんよ」
ぺ「そう・・・ですね」
俺「お風呂で背中を流してやるのもいいじゃないですか?」
ぺ「えっ!そ・・・そんな恐れ多い・・・ですわ」
俺「いやいやw 坂本君は神様じゃあありません。風呂場では階級章もないでしょう?気にしない!」
ぺ「そ・・そういわれると確かに・・・。でも、周りの人に・・・」
俺「坂本君や、ミーナさんが階級に物を言わせる人ならば、あなたは?」
ぺ「そんな上官は敬服できません!」
はは。君もか。
俺「でしょう。ならば、心酔できる上官の背中を流してもいいじゃないですか。周りの人がそれを
見ても、誰もゴマすり等とは考えません。多分、坂本君もあなたの背中を流してくれますね」
ぺ「え!ええー!////そんな!どうしましょう!」
俺「垣根というか、塹壕を掘り広げているのは。ペリーヌさん、あなた自身です」
ぺ「・・・・・・・・・・・・・・」
ぺ「や・・・やってみます・・・。でも、いいんでしょうか?その・・・不安で・・・」
俺「大丈夫!あなたが求めているのは、坂本君との人間同士の、心の付き合いです。問題視するほうが
おかしい。他人の目を気にしすぎては駄目です。気を楽にして。深呼吸して!」
丸まっていた背中を伸ばして、目を瞑って深呼吸してくれた。震えていた指も止まっている
。
俺「さ、参加していらっしゃい。勇気を出して!」
ぽん!と背中を叩く。いっておいで。
立ち上がって、歩き出した。やれやれ。
彼女が歩みを止め、振り向いて・・・
俺「!(サムアップ&ウィンク)」
敬礼とかお辞儀とかする場面じゃないよ。
ぺ「??・・・あ!(サムアップ)」
笑顔が眩しいね。よしよし。笑顔を忘れずにね。
若い乙女がな・・・ブループルミエなんて称号つけられたら、重いよな・・・。
あ・・・はんかち。 まあ、いいか。テントに戻って、昨日の下書きを書き起こそう。うろちょろして剣戟訓練
につきあうのも敵わん。剣道は苦手だ。
ああ・・・素振りの気合、人数が増えたな。
「驚いたわ・・・」
「うむー。あの気難しいペリーヌを・・・・」
ミーナは俺が起きているかどうか、そして朝食時間を確認するために出向いてきた。それを目に
とめたバルクホルンも(いい口実だと)同行。歩いている最中、俺とペリーヌの声に気付いた。
二人は、木立越しに歩み去る俺を見送る。
ブリーフィングルーム ミーナ視点
朝のブリーフィングも、一点を除いて通常通り終了。今日はネウロイの攻撃もなさそうだ、との情報部
からの(当てにならないが)予報もあり、皆の注意は訓練に向いている。
「俺さん、今日のご予定をお願いします」
「はい。午前中は隊員の訓練を、午後は基地守備隊の視察を致します。同行者は香代君一名。立ち入り
制限区域は関与しません」
(カヨさんはメモを取るでもないわね。ちゃんと事前に打ち合わせ済みか。)
「了解です。 何か質問のある方はいますか? では!解散!」
バルクホルンの号令、一同が解散する。
(一晩経ったし、二人に何か要望があるか聞いておこうかしら。扶桑は501への補給もしっかりやって
くれている恩も在るし・・・昨夜のお茶のお礼は・・・周りの目もあるわね)
歩みを止め、後ろから二人が来るのを待つ。
ミ「途中までご一緒してよろしい?」
俺「ええ、構いませんよ。ミーナさん」
ミ「如何ですか?一晩お過ごしになって」
俺「心が晴れ晴れする基地ですね。ぎすぎすしていなくて素晴らしい」
ミ「有難うございます。多国籍な部隊ですから、あまり制約を増やしても逆効果かと考えました」
俺「なるほど!整備・防衛隊の編成などもミーナさんの発案だそうですね。アレも素晴らしいです」
ミ「あら。もう顔を出されていたんですか。 ええ、そうです。最初は反対が内外にありました。
今騒いでいるのは外部だけですね」
俺「あはは。REMFなんぞは無視ですよ。戦うのは最前線の兵士ですからね。彼らのことを最優先
するのが、よい指揮官、つまりあなた方です」
あら、うれしいことを言ってくださるけど・・・
ミ「えっと・・・なんですか?REMFとは??」
聞きなれない単語。なんだろう?
香「俺さん!駄目ですよ」
ん?かよさんが顔を赤くしている?
俺「ん? あ、すまん。香代君。いや、リベリアン軍で言われる言葉です。簡単に、綺麗に言えば・・・
『後方司令部はバカばかり』ですかね。口が滑りました。忘れてください」
ミ「なるほどw 覚えておきますわ」
俺さんは前線向きなのね。多分、スラングだわ。あとでシャーリーさんに聞きましょう。
俺「いや、まいったなw。香代君はどうだった?」
ふーん?ますます知りたくなったわw。
香「あ・・・そのぉー・・・」
なにか言い難いことかしら? 幽霊??まさか・・・。
俺「香代君、はっきり言いなさい」
香「はい。・・・昨夜、入浴時なのですが」
アッ!香代さんの顔が赤い?まさかアレ・・・。
香「その・・・隊員の皆さんが私の胸を・・・その・・・・」
あああ。俺さんがいるのに・・・・。まずいわ!
香「・・・皆さんが、歓迎の儀式だとおっしゃって・・・私の胸を沢山揉んでいかれまして」
ああ・・・俺さんが苦笑いしているし・・・。私も笑ってごまかして・・とはいかないわね、困ったわ。
ミ「ごめんなさい、カヨさん。ふざけが過ぎましたね。皆にきつく言っておきます」
香「あ、いえ!驚いたのは事実です。でも、私も触りましたし/// 咎めないでください」
ホッ・・・俺さんも笑って流す様子、よかった。私も流そう。でも、私の胸は誰も揉まないのよね。
ちょっと淋しいのよ・・・。
俺「香代君、この部隊の伝統歓迎行事を経験したってことは、君も仲間になれたわけだ!」
伝統歓迎行事?!俺さん!ありがとう!フォロー有難うございます!
そうそう、伝統みたいな、ものです!
危なかったわ・・・ふう。 あ、待ってよ??んー・・・。
ミ「では、私は執務室での仕事がありますので、ここで」
俺「では、私も仕事にかかります」
あなたも忘れてください! あ、そうだった。
ミ「カヨさん、ちょっといいかしら?」
俺さんは歩き出してくれた。
香「なんでしょうか、ミーナさん」
身長は私より低いのに。胸は立派ね・・・。
ミ「胸への・・・えーと、タッチの件ですが」
言いにくわね、女同士なのに恥ずかしい・・・
香「はい?ミーナさんも、その、揉まれますか?よろしければどうぞ!」
イヤイヤイヤ!
ミ「今度お願いするかもしれないけどw。あまり部外者、特に男性には口外しないで貰えますか?」
ああ、頑張れ、私!
香「はい!かしこまりました!」
ああ、素直でいい子だわ!!ギューッてしてあげたい!
ミ「ありがとう。よろしくね。では」
香「失礼します!」
後は・・・
階段を上り、執務室のドアを閉めるまで背筋を伸ばした姿勢で。
閉めた瞬間、彼女の肩が落ちる。背中も丸まった。
そのまま、椅子を引いて力なく崩れ落ち、頭を抱える。
乳揉みなんて!なにが部隊の伝統よ!俺さんに変態部隊と思われていたらどうしよう!伝統と思ったからには、
私も皆と一緒になって揉み揉まれしていると思ったってこと・・・。私は違うわ!
それ以上に問題なのは、もしかしたら、連合軍司令部にも知られるかも知れないってことじゃない!
そうなったら・・・・あのマロニーの耳に入るってことよ!ああ、どうしよう!
俺さん!報告書は扶桑にだけ!余計なことは書かないで!お願い!お母様、私を助けて!
コン!コン!
「入るぞ」
「どうぞ・・・」
トゥルーデね。
坂「どうした?ミーナ!」
あら、美緒もいたのね。
たいしたことじゃないけど、大問題の火種かもしれないのよ・・・。かくかくしかじか・・・。
坂「あ。伝統といったのは私だ」
美緒!なにいったのよ!あっ!そうだ!
ミ「ど・・どうして伝統なの?」
なにか、扶桑にもそういう伝統行事があるとか・・・それなら・・・
坂「ウン・・・何でだろうな? ああ、時の勢いだ!わっはっは!」
・・ハァ・・・希望が潰えた・・・。
バ「まあ、大丈夫だろう。俺に揉ませたわけでなし。なあ、少佐」
なに!そのハレンチな発想!
坂「うむ。私もそう思うぞ?」
・・・・・はぁ・・・。事態が解っているのかしら?この二人には。 胃が痛いわ・・・。
坂「伝統といえば、扶桑の祭りだが。男性のシンボルを模した柱を女性が担いで廻る伝統行事があるな」
ミ・バ「「!//////////」」
な、なにいいだすの!美緒!!!想像しちゃったじゃない!
もうだめ、任せて置けない。私が収拾しなくては!
ミ「とりあえず、隊員同士の遊び、ということにしてください。伝統だの行事だのは絶対駄目!」
坂・バ「「了解した」」
バ「少佐も率先して揉んでいたな」
坂「うむ。扶桑海軍の伝統は『指揮官先頭』だからな!はっはっは!」
また、伝統かい!
ミ「伝統はもう十分!さっさと訓練始めなさい!」 バン!と机を叩くミーナ。
「もう・・・」
艶ある赤毛をかきむしるミーナが一人、執務室に残された。せめて、№2の美緒がもっと管理職に適していた
ならば・・・№3のトゥルーデがもっと細やかだったら・・・・。ああ、どっちもどっちだわ。
胸に執心するルッキーニさんと宮藤さん、それに悪乗りするエーリカにシャーリさん、エイラさん・・・。
ああ!隊員揃って問題児ばかりじゃないの!ああ、私一人で全てを処理するのはとっても無理なのに・・・・。
胃が痛い。医務室にいって、お薬貰ってこよう・・・。はぁ・・・。白髪になるの早そうだわ。
引退も悪くないかも・・・。ハァ・・・・。
坂「荒れているな・・・・」
バ「生理、かな?」
坂「ミーナは軽いはずだが・・・」
バ「激務だからだな。ストレス溜まっているんだろう。なにか考えてやろう」
坂「ああ、そうだな。飲み会でもやるか。私もちょっと自重しよう。笑いを取ろうとしたが失敗した」
バ「(苦笑)いいかもしれない。ところで、先に言っていた指揮官先頭だが。戦術的には正しいかもしれ
ないが、戦略としてはどうなんだ?」
坂「ああ、下手すりゃ指揮官が一番に戦死するな。その場合の指揮権移動についてはしっかりと・・・・」
その日一日、隊員はミーナを静かに見守り、仕事を増やさないように努力した。
1-2終
最終更新:2013年02月02日 12:00