「蒼穹の絆1-4」
―慰労会当日 昼前―バルクホルン視点
本日は、昨夜の戦闘直後なので大休止状態。敵も続けては襲撃してこないことが助かる。でも、いつかは
奴らの大攻勢がかかるだろう。カールスラント、
ガリアのように。海があっても何時までもは・・。
空中警戒には、エーリk・・・いや、ハルトマンと宮藤をペアとして上がらせた。ハァ・・・・。俺少将の影響を私
まで受けてしまいつつある。しっかりしろ!私が模範とならねば、この部隊は・・・。
午後は私とビショップ、だけで大丈夫だろう。しかし、上官が部下に鷹揚というより、甘く接しすぎる
のは問題じゃあないのか?坂本は扶桑海軍の伝統だからな、と笑っているが・・・。扶桑の海軍は組織として
ちゃんと機能しているのだろうか?扶桑も空軍として独立組織とすれば少しは・・・・ブツブツ。
基地内を点検しながら歩く。隊員の部屋もドアだけ開けて確認。ふむ。整理整頓は一名を除き
問題ない・・・。ハルトマンが帰ってきたら、昼食後に清掃させるか!二日前もやらせたのに、
もうこれだ!!弛んどる!ミーナや私を見習え! 少し乱暴にドアを閉め、棟から出る。隊の半数が
非番扱なので、余りうろつくのも、な。
整備班がピストでスピットファイアに群がっている。ああ、昨日少将と少尉が使った機体か。
普段、通常機などは連絡用のJu 52くらいしか飛ばさないので、整備員が趣味で整備しては格納庫の隅で
暇をかこっている機体。
「あ!バルクホルン大尉!」
整備班長が気付き、班員全員が敬礼する。
バ「ご苦労様!作業を続けてくれ」
整「はい!皆、続けろ」
おや、話したいことがあるらしい。
バ「どうした?」
少し機体から離れる。
バ「で?」
整「いや、たいしたことでは無いんですが」
バ「うん?」
整「はい。あ、昨夜はお疲れ様でした!」
バ「ああ。ユニットの調子がよくて助かったよ。いつも有難う」
縁の下の力持ち、彼らの努力が無ければ、我々は戦えない。いつも感謝している。
バ「スピットはどうしたんだい?」
整「ええ。ほら。昨夜は扶桑のお二人がスピットを使って警戒任務に着きましたよね」
バ「ああ。志願してくれてな。それに坂本少佐も技術的に問題なしといったので、司令が認めた」
整「でしたか。いや、昨夜はそれで振り回されました(苦笑)」
バ「なにか、迷惑をかけたのか!」なにをした・・・?
整「迷惑じゃあないですよ。言い方が悪かったです。申し訳ありません。
ええとですね、スピットの性能からすると、普通の飛行なら途中二回の燃料補給です」
バ「・・・・?それで?」
整「彼らは4回でした。あと、弾薬の再装填3回。おのおのが、です」
バ「戦闘は無かったはずだぞ?バカみたいに最高速で飛び回り、挙句に遊び撃ちか?」
整「予備タンクの搭載を最初から断ったそうです。弾薬の消費についてはよくわかりません。ただ・・・」
バ「言いかけたことは最後まで言うもんだぞ、中尉」
整「はい。私はパイロットでもありませんので、今までの経験で、ですが。
補給に戻ってくる、と管制から電話を受けて待機しているときです。洋上で曳光弾の射線を見ました。
大変弧を描いていましたから、急旋回しながら撃っていたのではないかと・・・」
バ「ふむ・・・戦闘機動中の射撃、か」
整「間違いないと思います」
ふむむ。・・・・。
整「それに、爆発が2回・・・」
なんだと!?
バ「なんだったんでしょうね」
解らん・・・。
バ「機体の損傷は?」
整「いえ!まったく無傷です」
バ「他にはなにか?」
整「腕の良いパイロットですよ、二人とも。離着陸の場所が狂いません」
ほぉ・・・?
バ「話してくれて有難う。参考になった」
整「いえ。大尉のユニットは完調です!思い切り回してやってください」
バ「本当にいつも有難う。皆にも礼を言っておいてくれるか?」
整「はい!では失礼します!」
管制室ではなく、ミーナの執務室に向かう。もう、昨夜の業務報告は上がっているはずだ。
「バルクホルンだ!入るぞ」
ミーナは、いつもと同じく机で書類と格闘している。未決が山だな。
「どうしたの?トゥルーデ」
今日はご機嫌麗しく、だな。
バ「邪魔してすまん。ちょっと、昨夜の警戒飛行の件で、な。管制室からの業務報告を見せて
貰えるかな?」
ミ「 ええ、いいわよ?これね、どうぞ。」
・・・言い淀まなかったか?
礼を言って、椅子に腰掛けてめくる。特別何も無い・・・な。燃料補給は確かに4回と記録に
ある。タイミングが3回目がほかと比べて早めだが。整備部の報告書は読む必要はなし、と。
バ「なあ、ミーナ。昨夜のパトロールの件『どこで聞いたの?』 え?」
普段は喋り終わるまで待っているミーナが遮った。なにかある。
バ「遊んでいたのか?二人は?」
ずばり聞くのが早い。さあ、喋ってもらうぞ?
ミ「え?戦闘が遊び?」
ミーナ?
バ「・・・・なにをいっているのだ?ミーナ?」
管制室の知らない戦闘?何があった!
ミ「・・・・」
しまったという表情をしているのは、付き合いが長いから解ること。
ミ「・・・・ 聞かなかったことにしてくれないかしら??」
いやいや、笑ってごまかしてもねえ・・・
バ「オフリミット、でどうだ?」
逃げ道、つかうだろ?ミーナ。私も仲間だぞ?
ミ「ハァ・・・。解った。他言無用です。いい?」
そうでなくちゃあ。ジー・カマラーデン。
ミ「昨夜、非公式の戦闘がありました。非公式、ね。」
余り聞かない表現だな・・・
ミ「ロンドン南方で、地域防衛隊が応戦した侵入があったのだけど。結果として陽動もかねていた様子なの。
こちらにも、小型が二機侵入した。低空侵入でレーダーには反応しなかった。
それを俺さん達が発見し、葬った と。公式には、南方で被弾した敵機2を確認するも、追跡中に海中に
自爆した、としました。それでお仕舞い。状況終了は0230」
バ「非公式には、俺編隊が」
ミ「そう、撃墜。あっさり、と」
バ「スピットで、か・・・」
通常機で、か。不可能ではないが・・・。
ミ「やるわねえ~」
ミーナが嬉しそうに笑っている。ほぉー。
ミ「戻ってきてから、補給の間に少し話しをしたの」
何時寝るんだろうな、ミーナは。無理をしすぎる・・・・。
ミ「俺さんから言ってきたわ。交戦・撃墜はナシとしてくれと。上が煩いし、501にも迷惑をかけるからって
ね。・・・・まったく。香代さんには気の毒だと思うんだけど、彼女も俺さんの考えが正しいことだから、
構いません、ってね」
バ「ああ。公式戦果でないとなあ」
ミ「香代さんの初撃墜なのにね・・・気の毒で」
バ「初か!・・・・仕方がないな。しかし、いい度胸だ!こうなるとわかっていたら、戦闘要員としての配属
としておけばよかったな。そうすりゃ、面倒なことも無かった」
ミ「ほんと」
バ「ここにきたのはな、昨夜の彼らの補給についてなんだ」
ミ「早耳ねえ。通常より多い燃料補給でしょう?あと、装弾も」
バ「ああ」
ミ「私が許可したのよ。感を取り戻したいから、索敵と索敵の間に戦闘機動を試させて欲しいってね。
そのときの最低高度だけ約束してもらって、後は任したわ」
バ「機銃弾は?」
ミ「最初、二人とも一度だけフルG中の弾道変化を確認したいというから。その後、例のネウロイ
との戦闘で使って、再補給でお仕舞い」
バ「はー。戦闘後、そのまま平然と任務に戻ったのか」
タフだな。
ミ「やるわね~~~w」
大絶賛、お気に入りに登録、か。
ちょうどいい。
バ「なあ、ミーナ。俺少将だけど。ありゃ一体何者なんだ?」
ミ「ふふっ。じゃあ、ここだけの話の続きをしましょうか。
非公式に本国に打診したのよ。返答はロンドン代表のクーリエが昨日の昼、届けてくれたの。
なんとね、英雄よ、あの人」
バ「・・・どんな経歴?」
ミ「扶桑海事変に実戦参加、ヒスパニア戦役で義勇軍として参戦、カールスラントでも暴れていたらしいわ。
最近ではバトルオブブリテン。累積撃墜数が78。共同撃墜は数えない。共同撃墜は僚機の手柄になるように、
最後のとどめを譲るんだって。昨夜の一機もそうかもね。彼、タバコ咥えて知らん顔していたけれど、カヨ
さんの目が、キラキラッてねw こんな人なんで、ブリアタニアにもカールスラントにも友人が沢山いる
らしいわ。なんて人なんでしょう」
笑顔でべた褒めするミーナ、か??ほーぅ。鈍くても解る。一つの釣り針で大魚が2匹釣れたか。
バ「でも、一般には余り知られていないんだろう?坂本少佐も知らなかったぞ?」
ミ「それよ!あの人の考えは、ええと・・・『ネウロイに立ち向かう人類の姿は、ウィッチ達がその偶像となる
べきだ。古臭い軍人・政治家には出る幕など無い』と。そう公言しているんで、彼の経歴が公になると、
国とか民族に固執するお偉いさんには邪魔な存在になる。なので、お国では疎んじる勢力もあるらしい。
でも、経歴と内外の人脈が彼を護る。チャーチル首相もその一員らしいわね・・・」
バ「・・・ウィッチは人殺しはしない、か・・・・」
よき理解者の一人だったのか・・・。
ミ「ええ。ここに来たときの自己紹介も、今となっては意味がわかるわ・・・・」
バ「・・・だな。了解。他言しない。坂本は?」
ミ「野生の感、でしょうね。そのときにはピストに出てきたの、まったく。どうやって嗅ぎ付けたんでしょ。
彼女もあなたと同じ事を知っているわ。管制の通信記録は原簿は私が焼いた。管制要員も理解してくれた
・・・というより、感動していたわね」
バ「感動?」
ミ「司令の私の横暴だ、と感じられないよう、俺さんも管制に出向いて説明してくれたの。全員が通信を
聞いているしね。『私たちが無理にお願いして出動し、図らずも戦闘になってしまった。下手をすると
司令の責任問題になりかねない。責任は全て私にある。司令に迷惑をかけたくない』ってね。満場一致で
無かったことになったわ。私を庇ってくれたのね・・・」
感心・安心した態度というより、ほんわかぱっぱだな、氷の女侯爵がなあ。
邪魔したな、と退却する。収獲大、と。
「幻の79機目、か・・・」通常機で79機。共同撃墜ゼロ。本当の撃墜数は??ふっ・・あのおっさん、本物だ。
いいぞ、気に入った!
さて。残りの魚一匹はどう料理したら・・・ふーむ?余り知識もないしな、私には。経験皆無。
―昼食後― ハルトマン視点
おいしかったー!と、お風呂に行こうとした私の襟首をむんずと掴まれた。こんなことをするのは・・・
バ「待て!ハルトマン中尉!」
あ、やっぱ? 恒例行事の始まりかな?やっばい!
バ「まず、部屋の清掃をしてもらうぞ!」
えー!飛行後の汗を流したいのー!
バ「(ちょっと話もあるんでな)」
ん??トゥルーデも囁けるんだ?
バ「いいから来い!!!」
ま。調子合わせてやるとしましょうか、ね。
ハ「トゥルーデ 横暴!!!お風呂お風呂おっふーろぉぉー・・・・」
十分離れてから、トゥルーデが手を離す。
バ「おまえ、医者になるより女優を目指したほうがいいんじゃないか?」
エ「えっへへー。天才だからね、何でもこなせるよ」
バ「ハァ・・・・ お前は、謙虚、謙遜という言葉は知らないのか?」
エ「おいしくないじゃんwww」
バ「ドクトル、とお前を呼ぶ患者が気の毒になるよ・・・」
バカ話をしながら、私の部屋に。
エ「で? 話って?」
バ「掃除しながら話そう。とりあえず、ベットの上を片づけて、と」
エ「パチパチパチ!すっごーい!はっやーい!お見事!」
ウマく操縦しましょw
バ「立ち話もなんだからな、って煽てるな!まあ、座ってくれ」
ばれたw
バ「ほら、この前変な菓子食ったときのこと、覚えているか?」
エ「あー。ネコのうんち?」
一言言わずにいられないの、私w
バ「やめろ。ミーナの話、だ」
エ「解ってるってば」
バ「・・・・お前はいつも。ハァ・・・ 友人をもてあそばないで欲しい。頼むから。
でだ。ミーナは俺に対して『良い印象』を持っていると思う!」
エ「やっぱり?」
そうかそうかヤッパそうなのか!ふふーん?どうよ、私のカンは!
バ「私は、その、あまりこういうことは解らんのでな。お前に相談しようと思ってな」
あら。素直だね。
エ「くっつけたいの?俺とミーナw」
私に相談するのは大正解。それで?
バ「いや!・・・ええとだな、無理やりペアリングさせるつもりは無い!」
エ「犬猫じゃないもんねー」
ペアリングってあなた・・・・頭痛くなってきた・・・。
バ「そうだ!お互いの気持ちが大事だからなっ!そのくらいは私にも解る!」
彼女に聞こえないように、溜息をつく。彼女は『理想像』に縛られているから。
本当は、繊細な心の持ち主なのに・・・。戦争が悪いんだ・・・。
エ「ミーナの気持ちって、どのくらいなんだろう?」
ほれ、情報だせや、石頭。
バ「余り詳しい話は出来ないんだ。許せ。えーと。。。
まず、俺に対して親密な・・・敬愛かな?気持ちはある、と思う。」
ほーほー。あのミーナがね。
エ「べったべた?二人のとき、だけど?」
バ「だったら、お前に相談するか?」
うーん、ちょっと言い方が難しかったか。
エ「ううん。そういう意味じゃなくてね、二人がお互いを見るときの目線、ってことー」
バ「あー、成程。そうだな。・・・・・
昨日の夕食前には、ミーナの目に警戒というか・・・拒否感、かな?なくなったと思うぞ」
ふむふむ。
バ「お前に話せないことを話しているときだが、すまんな、ミーナは笑いながら話していた。ある意味、
ちょっと厄介ごとだったんだけどな」
ふんふんふん。
エ「サーニャから聞いたんだけどさ。銃の手入れ中とか、ミーナがぼんやりしていたんだって」
バ「そういえば、夕食のときもぼんやりしていたような?」
エ「うん。溜息も多かったね」
バ「射撃訓練で何かあったか、サーニャにそれとなく聞いてくれるか?私はエイラと坂本少佐に
聞いてみよう」
エ「大丈夫かなー」
思わずジーッとトゥルーデの顔を見る。難しいよ?やり方。お姉さんぶって二人を引き受けるといって
くれるのは嬉しいけど。
バ「私が??そのくらいは!・・・・・ちょっと自信がないかも・・・」
レクチャーしようか・・・・。ハア。理解が遅いか。 石頭同士がいいかな?よし。
エ「トゥルーデはさ、坂本少佐。エイラはサーニャと一緒だから、私が済ませる」
バ「俺少将のほうは?」
エ「うーん。まだ時間はタップリあるからねえー。先にミーナの気持ち、調べよ!」
今回の掃除はここまでにしよう、とトゥルーデがいうので、喜んで中止。全部やっても、一晩経たないで
元に戻るし、二人とももっと大きな目的があるし。
エイラたちは非番だってね・・・。となると、あそこでしょ。
―サウナ― ハルトマン視点
やっぱり。エイラのサウナ好きは病気レベルだね。
排気口から湯気が出ている。更衣室には二人の衣服が綺麗に畳まれていた。ササッ!と服を脱ぎ散ら
かして、シャワーで汗を流す。軽く石鹸も使う。エイラがサウナマスターなので、ちゃんとやらねば。
タオルもきちんと巻いてドアを押し開けると、水蒸気が熱波となって襲ってきた。ウゴ。一瞬呼吸が
出来なくなる。最初はこれで逃げ帰ったんだっけね、わたし。ゆっくり鼻呼吸・・・。
エイラ「オー。珍しいな、ハルトマン」
お、目標1。声の方向を記憶。
サ「あら・・・ハルトマンさん・・・」
儚い美少女の具現もいるね。目標2.目標1の左隣と推定。
ハ「扶桑の風呂は慰労会の前でね。輝く肌で俺さん誘惑しようと思ってさー、サウナにしたー」
いいながら接近。オケ!目標の表情をはっきり視認できる距離に来た。逃がさないぞー。
エ「なんだよー。年寄り趣味だったのカ?もっと若い男のほうがいいと思うゾ?」
なぜ、エイラが胸を張るw?
ハ「ダンディーでやっさしいじゃーん!俺さんってさ!」
もうちょっと煽ろうね ニシシ。
サ「・・・エイラ、わたしも、俺さんは素敵だと思う・・・」
おお、さーにゃん!趣味があうね!と煽る。
エ「ダッ!ダメダメダメダッ!さーにゃ!目を覚ますンダ!アイツだって男ダゾ!サーニャみたいなうぶで
まじめで世間知らずで気弱な純情な娘をたぶらかすのが男ダゾ!!」
ひっでー!無茶苦茶言うねw。で、サーニャを褒めまくると。サーニャが絡むとエイラはねーww
ハ「そんな人かなぁー」
釣り針投げ込む潮時かな。
エ「・・・イヤ、悪い男じゃ無さそうなんだけど、サ。ウーン。どう言ったらいいんダロ・・・。サーニャは
どう思う?あれ」
サ「エイラ。あれなんていっちゃダメ!」
珍しい。サーニャがすばやく反応した。
エ「サーニャ!」
おたついております、若旦那w 面白ーいw。
サ「・・・わたし思うの。俺さんがわたしたちを見るときの目・・・とっても暖かいの。わたしが見てきた他の
男の人達と、違うの」
エ「どう違うんダヨ?」
サ「・・・利用しようという目・・・・いやらしい目・・・・バカにした目・・・そんな目つきの男の人ばかりだった・・。
でも、俺さんはお父様と同じ目でわたしを見てくれる・・・エイラも私を同じ目で見てる」
サーニャがこんなに長く喋るのって、
初めて聞いたかも・・・。
基本的にべた褒めかな。
エ「・・・・・・・・・・・」
エイラが黙り込んじゃった。
ハ「それ、わかるなー。ギラギラしていないよね、安心できるよ」
わたしだって、そう見えるよ。
サ「・・・ええ。ミーナ隊長や・・・坂本さん、バルクホルンさん、それに
シャーリーさんと同じ目よ・・・」
ハ「わたしもそうでしょ?さーにゃんw」
ツンツンと胸を押す。
サ「クスクスクス」
笑うとすっごく可愛い!!ありゃ。エイラが真剣に考えていてスルーだ。セーフセーフ♪
エ「今更だけど、言っていいカナ・・。わたしもそう感じるンダ。だから、最初のときにすぐに呼び名を
名乗ったんダヨ・・・。ごめん、サーニャ」
屈折するからなあ、サーニャが絡むとw でも、素直になれる点は高評価なんだよ、エイラ。私はエイラ
の味方だぞ!ってか、サーニャを泣かしたら承知しないからね!若旦那!
サ「解ってるわよ、大丈夫、エイラ・・・・」
ハ「エイラ、大丈夫!わかっているよ。でさ、背中叩いてくれる?」
エイラ救済ターイム! ほれ、叩いて。
****************************************************************************
ハ「あでぃー・・・そろそろ水いかない??ミズ・・・」
サウナではやっぱり二人には敵いません・・・。体の水気と油気が全部抜けた・・・。限界。
ふらふらしながら、二人に手を引っ張ってもらって川辺に移動。
ハァーーーーーーーーーーーーーーーーーー。イギガエルゥ。冷たい水が気持ちいい・・・。
サーニャの歌声・・・ハァーーーーーーーーー。さて。サーニャの歌を邪魔するとエイラが怒るから、エイラに聞くと
しましょうか。石に座って足を流れに浸す・・・。パチャパチャ。さて・・・
ハ「昨日、射撃場でなにかあった?」
エ「別にー。ああ、俺と香代がさあ、拳銃射撃がすっごいんダ!あんなのはじめてみた!」
ハ「そうなんだ。教えてもらおうかなぁ」
基本訓練中に三回くらいやっただけだな。最近は、重いからロンドンで買ってきたブリキの玩具で誤魔化
してるけど。
エ「俺もカヨも教え上手だよ。わたしもさー、最初は2発まぐれで当たっただけなのに、終わりには全部
6点以内に入ったんだぞ!25ヤードダゾ!サーニャは7点以内!たまたまの2発を無視したら、8点圏。
すごいダロ!サーニャは天才ダ!」
ハ「・・・すごいね・・・」
わたし、15メートルで当たらなかったんだけど・・・。
エ「こうやって、後ろから」
あ。エイラのオッパイが背中をぐいぐいと・・・ワォ イヒーヒ!
エ「両手で拳銃掴む格好してクレよ。そうそう。で、手を被せて、耳元で、こんな感じでゆっくり喋りながら」
耳に!・・・ああ・・・ゾクッとしちゃうよ・・・
ハ「俺さんがサーニャにも?さーにゃん、照れちゃうじゃん」
エ「ううん。わたしたちはカヨダヨ。オッパイが背中に当たって、ドキドキしたゾ!柔らかだけど張りがイイ!
風呂でしっかり揉みたいゾ!」
さすがに小声だw鼻息荒いです!ww 私もカヨ、今度試さなくっちゃ。イシシシ。
エ「俺はミーナ隊長と坂本少佐。ミーナ隊長、顔真っ赤にしちゃってさー!見物だったゾ」
ふふ。もうちょっと詳しく話したまへ。ホレホレ。
ハ「ミーナ、よく嫌がらなかったね」
エ「坂本少佐は平然とやっていたけどナー」
坂本少佐は、訓練が絡めば男も関係なくなるよ。あれは常識外。
エ「わたしのカンだけど、さ。ミーナ隊長は俺に惚れ始めたかも、ナ」
問題発言、きましたー!
ハ「ないない!ミーナだよ?」
サ「わたしも・・・そう、感じたの・・・」
ギョッ!さーにゃん!聞こえてたの? で?で?
サ「なんとなく・・だけど・・ミーナ隊長が、俺さんと目が合うとすごく輝くのよ・・・」
貴重な情報、どーも。感謝感謝!
エ「アー・・・そういえば、確かにそうだ!わたしもそれ感じたゾ!」
タロットで占ってみる!と騒ぎ出す。いらん。
音楽家志望だからかな、言葉が詩的だねー。今の姿は幻想的だしー。川辺に憩う天使、ダネ。
そう、エイラに言うとすっごく嬉しそうに笑い、サーニャは真っ赤になって照れていた。
―司令塔への通路― バルクホルン視点
どう切り出したらよいのか。不自然だと坂本少佐も怪しむだろう。不自然に見えないこと、これが大事だな!
考えつつ、通路で壁にもたれていると、向うから坂本少佐がやってきた。
坂「やあ、バルクホルン大尉。どうした?」
バ「どこにいるのかわからなかったんでな、一番可能性の高いところで待っていたんだ」
出足は好調、だろう?
坂「ミーナなら、すぐに感知するのにな。あの能力は便利だろうな!」
ミーナの名前が出てぎくっとした。いかん、気取られていないといいが・・・。
バ「まったくだ。ところで拳銃射撃の件だが」
坂「おお!大尉もやるか!是非そうしろ!こんなチャンスは滅多にない!」
はぁ・・ええい、真っ向から!
バ「ミーナもやったんだろう?どうだった?」
坂「上達したぞ!素直に聞いて、言われたとおりに出来るんだな。私はなかなか、な!ミーナが羨ましいよ」
お宝にすぐ手は伸ばせない、か。ならば・・・
バ「・・・教える側との相性もいいのかな?結構、そういうのは大事だと聞くぞ?」
坂「ふむ。そういうのは常々あることだな。人間同士だし。わたしも見ての通りだ。私以外のものが教えた
ほうが、上達の早い者もいたことだろう・・・。」
バ「・・・・」
話がそれてしまった。やはり、わたしはこういうことは苦手だ・・・。
坂「俺さんのように、器が大きければな・・・。未熟だよ・・・」
バ「器?なんだ?それは」
遠回りも必要か・・・・。
坂「ペリーヌが打ち明けてくれた。俺さん達が来た次の日の朝、私と宮本がやっている自主訓練に彼女から
希望があってな、参加したんだ。それまで無かったことだ。それに、ペリーヌと宮藤の仲がな、前は
ペリーヌが辛く当たっていたが、朝練移行徐々に軟化したんだよ。で、風呂で私がペリーヌの背中を
流しているとき、ペリーヌが自分からな・・・」
居心地が悪い事になってきた・・・。
坂「ペリーヌは、練習に参加したくてずっと物陰で見ていたんだそうだ。でも、私が宮藤を贔屓にしていると
勘違いして踏み込めないで悩んでいたのだと。それで、原因の宮藤にきつく当たってたんだ。ペリーヌは、
私に懐いていたからなあ・・・。そんな彼女の気持ちを理解できなかった私は未熟だ。私が悪い」
バ「・・・」
坂「俺さんがな、物陰からじっと見ているペリーヌに声をかけ、彼女の気持ちを整理し、諭しながら励まして
くれたんだ。ありがたいことだ。俺さんは人間が出来ている。私も、ああならなくてはいかんな・・・」
あの時の俺さんとペリーヌの会話は、いつか坂本少佐にも話さねばと思っていたが・・・。もう、必要も
無くなったのだろう。器、か。人間性の広さを表す言葉なのだろう。今の私には耳に痛い言葉だ。
バ「ミーナのことなんだが」
小細工は止めた。真っ向からいくぞ。
坂「?なんだ?」
バ「俺さんとミーナの・・・ええ、どう言ったらいいか・・・?」
質実剛健のカールスラント軍人には、口に出し難いこともあるのだ!読み取ってくれ!『空気を読む』
のが扶桑の伝統だろう?
坂「うん??」
私の目をまっすぐに射抜くように見ている。目は逸らさないぞ。邪な考えではないのだ。
坂「ミーナ、ね。そうさな・・・」
ふと目を逸らし、窓の外の海岸線に向けた。我々の歩みは止まっている。
坂「どう思うんだ?」
バ「ミーナは、三年ほど前に大事な人を失くしている」
坂「ああ、昔彼女から聞いたことがある」
そうか。
バ「彼女が、新たに踏み出す決意をするなら・・・私は、出来ることをしてやりたい。ハルトマンも同じだ」
坂「・・・・」
バ「ミーナを誰かが支えてやらねば、遅かれ早かれ、彼女は壊れる、と思う・・・。彼女は仲間に囲まれて
いても、今も一人だ」
坂「口添えしろと?」
いや、違うんだ!どういったらいいんだ?
バ「いや、そうじゃないんだ。・・・俺少将は、相手としてどうかな、とな・・・」
声がどんどん小さくなる。
坂「扶桑の言葉でな、『機が熟するのを待つ』というのがある。意訳すれば、タイミングを間違えると失敗
する、ということで良いかと思う」
タイミング・・・
坂「私も、俺さんの人柄、考え方には敬服している。素敵な人だ。そして、ミーナには、彼女をしっかり受け
止めてくれる男性が、彼女の気持ちの理解者が必要だと思っている」
坂「しかし、お互いの気持ちを我々がどうのこうの、弄ってはダメだろう?」
うーーむ。成程。
坂「まあ、悪い相手なら、邪魔するが!」
ウンウンと思わず頷く。ミーナには幸せになって欲しい!良い相手、立派な男でなくては!
坂「私も朴念仁だな・・・、バルクホルン大尉に言われるまで解らなかったが。昨日の射撃場でな」
バ「ああ、拳銃射撃の教官となったという」
坂「それだ。今、思い返すとだな。ミーナは彼に惚れ始めたのかも、知れないな。ちと、そう思う」
坂「まあ、(溜息)私は男女の恋愛経験がない。なので、断定はできない。でもそうならば・・・・。ふむ。
俺さん、か・・・・」
バ「つまり、俺は悪い相手ではない、そしてミーナもそうだ。だから・・・今後は・・・」
坂「ああ!見守ってやろうじゃないか。同じく扶桑の言葉だけどな、『縁は異なもの、味なもの』とな」
バ「意味はなんだ?」
坂「男女のめぐり合い、結びつきというのは、人智のおよぶものではない不思議なものだ、ということさ」
バ「人智の及ぶものではない・・・か」
そうなのか・・・。経験がないとぴんと来ないが・・・。
坂「いこうか。まあ、十分にな・・・」
何を笑っているのだ?
坂「いや、な?戦争が世界規模で起きたから、喪われたものも沢山ある」
・・・・心が疼く。
バ「そして、戦争が縁で我々もここでであった。だろう?」
ああ・・・そうだね・・・。
坂「そして、俺さんとミーナも、な? 未来には、人智の入り込む余地がないよ!」
二人で顔を見合わせ、大笑いした。私は良い仲間を持った!
バルクホルンが射撃場に行くと、既に俺少将、加藤少尉とミーナ、それに昨日参加できなかった隊員が
既に準備を始めていた。バルクホルンはミーナと俺少将が同じグループになるようにさりげなく気を使う。
上手くいくといいな・・・。ミーナが男に笑顔を見せるのは、初めて見た・・・。
―風呂場―リーネ視点
慰労会の前、多くの隊員が風呂に集まってきた。この後は時間制限(基本的に)なしの慰労会だ。
考えることは皆同じ。酒によって風呂に入るわけにもいかない。軍人なのだ。酔って事故を起こすなどは恥。
まあ、中には良い気分でそのまま寝よう、という者もいるだろうが。
芳「お料理、あれで足りるかなぁー」
心配顔の芳佳ちゃん。気遣いし過ぎ。
リ「きっと大丈夫よ。整備の方々にも、防衛隊の方々にも十分よ」
ほらほら、リラックスしてね。
芳「まあ、足りなかったら即席で何か作りましょう!」
ほんと、料理の天才ね。でも、やっぱり気配りしすぎじゃないかなあ。
リ「そのときは私も手伝うから!」
芳「ありがとう!リーネちゃん!!」
二人で交互に背中を流し合い、頭も洗う。油臭くなっちゃったから、念入りに。
横では、サーニャさんの頭をエイラさんが楽しそうに洗ってる。ほんと、仲がいい。
芳「リーネちゃん、どうかな?頭の毛、まだにおう?」
クンクン。うーん、まだ少し?
リ「芳佳ちゃん、私が洗ってあげる!」
本当はいい香りしかしないけど・・・。あの二人の真似したいの。エヘヘ。
二人で交互に洗いっこして、シャワーで流して終了。湯船に戻ると、横にカヨさんが来た。
リ「あ、カヨさん。ちょっと教えてください」
香「はい?なんでしょ?リーネさん」
リ「芳佳ちゃんに肩揉みをしてあげたいんです。やり方教えてください」
香「いいわよー。あとで胸もませてねw」
な?冗談ですよね? あれ?目は既に私の胸に・・・。すかさずブロック。
香「けちぃ! 足裏マッサージは?」
イエイエイエ!あれは結構です!謹んでご遠慮いたします!
香「じゃあ、芳佳さん。リーネさんの前に座ってね」
やり方を手取足取り教えてもらう。午後から沢山料理したから、疲れたでしょう。お疲れ様。
カヨさんと芳佳ちゃんが話しをしているのを横で聞きながらマッサージ。
芳「香代さんと俺さんって、恋人同士なんですか?」
エッ!思わず手が止まってしまう。カヨさんの 顔をまじまじと見る。・・・きれい。扶桑のお人形さん
みたい。芳佳ちゃんに手を触られて思い出す。揉みますもみます。
香「ふふ。そりゃもう!熱々よ~」
エエーッ!上司と部下で!そんな!公認なんですか? あ、でも俺さんは・・・・。
香「冗談よぉー。二人ともそんなに凝視しないでw。俺さんってね、恋愛には固い人なのよ」
なんだ。残念・・・。でも、俺さんが嘘を言っていない、ということね。よかった。嘘つきだったら
幻滅よ・・・。あ、でも芳佳ちゃんも一緒に聞いたんだった。もしかして、芳佳ちゃんも?
芳「それってどういうことですかぁー」
うん、私も知りたいです。
香「私があの人のもとに配属されて4年なの。最初はラッキー!と思ったわ。素敵なおじ様でしょ?」
ウンウン!と頷く二人。かっこいいですよ、俺さん。
香「でもねー。俺さんって仕事以外では相手にしてくれないの。アタックしたんだけど、ねw」
芳「うわぁぁぁ!ベットに全裸でもぐりこんだとか!」
・・・・芳佳ちゃん、なに言い出すの・・・・///。
ケラケラ笑いながら、両手を前で振るカヨさん。ホッとしつつ、残念・・・あれ?
香「まっさか!それ映画の話??ああ、面白かった。昔の恋人を忘れられないんだって。後悔している
みたいねー」
・・・あの時、話してくれた人のことなんだろうな・・・。
芳佳ちゃんとアイコンタクト。マッサージ?どうでもいいわ。二人でカヨさんに向き直る。
香「私にも詳しいことは話してくれなかったの。昔の恋人と添い遂げられなかった。その人の立場とか
考えて、身を引いたらしいのよ。それで、後悔・・・自分を責めているのかな?」
芳「立場?身を引いた?」
芳佳ちゃんが怒ってる。私もなんか、納得できない。
リ「そんなのって・・・!」
思わず口から出てしまった。
リ「シェークスピアのハムレット、の現実版なんでしょうか?」
芳佳ちゃんはキョトンとしているので、かいつまんでストーリーを説明する。でも、違うか。
芳「でも、愛し合っているなら!そのハムレットの二人のように努力するべきです!駆け落ちとか!」
わぁ、情熱的ね、芳佳ちゃんって。
香「それは、物語だからよ。現実は小説のように劇的じゃないわ。都合よく物事は動かない。いつか二人にも
それがわかる。辛いけどね・・・それが解るときは・・・」
言いながら、主に芳佳ちゃんの目を、私の目も見てくれる。
香「四年、俺さんの生活と仕事を見てきた。あの人は決していい加減な結論は出さないわ。じっくり考えて、
周りを考えて答を選ぶの。多分、その別れのときも、そうしたんじゃないかと思うわ」
香「でも、考え抜いて、それであとになって後悔するのは間違っていると思います!」
芳佳ちゃんもそう思う?私もそう思う。
香「自分だけの考えで答を出したんじゃないのよ。それなら、ハッピーエンドだったかもしれない。でも、
あの人は自分のことだけではなくて、周りのことを考えるっていったでしょう?周りって誰?」
香「自分が愛している人を、自分の都合で追い詰めてしまったら。それは相手にとって幸せなのか、な?」
あ・・・・!思わず芳佳ちゃんを見ると。芳佳ちゃんも同じ答をだしたみたい。そういうことなんだ。
香「二人とも、優しいのね」
カヨさん泣いているんですか?
香「あの人は、自分のことだけを考えてではなくて、きっと相手のことだけを考えたのよ・・・そして
答を出してしまった。でも、その答を正しかったとして忘れる事は出来ない。終わりの無い、苦しむ
だけの問答を自分の中で今も
繰り返しているのよ」
私も、何でだろう・・・涙が湧いてきちゃって・・・。
リ「大事に思うから・・・自分が消えることを選んだんでしょうか・・・」
いいながら、涙が落ちた。
香「きっと、そうだとおもうわ・・・・。俺さんって、ほんとうにバカなのよ」
自然と、カヨさんの胸に顔を埋めて泣いてしまった。芳佳ちゃんも一緒にカヨさんに抱かれて
三人で静かに泣いた・・・。
香「俺さんは、思い出に縛られているわ。私にはそれを突き破ることが出来なかった」
香「私ね・・・あの人が誰かに愛情を持つまで、私以外の誰か・・・に。それまで私は影で支えたい・・・」
湯煙の奥で、ハルトマンが静かに湯に漬かっていた。彼女の目が赤い。
また、その反対側ではシャーリーとルッキーニ。二人は静かに揺れるお湯を見ている。
きつく、互いの手を握り締める。無言のまま。
1-4終
最終更新:2013年02月02日 12:01