「蒼穹の絆1-10」

―仲間・家族・恋人― 

 その日は、朝から夕方まで俺は基地防衛隊に射撃訓練を実施して忙しく過ごした。基地防衛隊の主力は
対空砲兵。なので、クレー射撃がもっぱらとなる。散々な結果を残した防衛隊は奮い立ったとか。


 夕食は13人で。久々に華やかな会話が飛び交う夕餉となった。仲間が揃った、と皆が感じる。
夕食後は談話室で更に語らう。話題は、『どうやってこの基地に再度もぐりこめたのか』である。

坂「射撃教官とは、また変わった建前でいらっしゃいましたね、俺さん」

俺「私もまさか、こういう命令が出るとは思わなかったんですよ」

バ「寝耳に水?だったんですか?」

俺「まさにそれ。周りに聞いても、皆首を傾げるばかりで」

ミ「本当に知らないんですかw?」

ミーナ、お前じゃなかったのか?という目で廻りに見られて

ミ「違うわよ!私・・・其処まで頭廻らないもの・・・・」

赤面して否定する。本当らしい。
ふむ??だれが?と幹部連は首をかしげる。隊員たちはそんなことはどうでもいい、とニコニコして俺と
カヨを見ている。

坂「命令は誰が署名を?」

ミ「例のガランド少将。でも、俺さんも知らないというからには、別のルート、かしら?」

バ「おい。リベリアン。何か知っている顔だな?」

シャーリーに目を留めたバルクホルン。そういえば、さっきからニヤニヤしている。

ル「あれ?シャーリーが何か工作したの?」

シ「えーと。たぶん、実はそう」

エエーッ!皆驚く。おまえ、そんなに影響力あるのか!陰の実力者だったのか!

シ「いやさあ、クレー習ったときに、ふと思ったんだ。射撃教官なら、大手を振って何度かこれるだろう
 ってね。」

皆、話しを聞く。

シ「でも、お偉いさんの知り合いなんていないし。思い当たったのがアフリカのゴッドフリー大尉でさ」

ミーナ、坂本、バルクホルン、そして俺と香代子には旧知の名前だ。香代が懐かしそうな顔をする。

香「ああ!ジェーンさん!きれ可愛いあの人ですね!」

シ「そそ。香代と仲いいんだってな」

幹部は苦笑い。掛け金どうし、仲がよくなったかw。

シ「彼女とバカッ話しながら、俺さんの話題に振って。当然食いつく。ああ、俺さん?伝言頼まれました」

ん?なんだい?という顔の俺。
にやりと笑うシャーリー。

シ「ジェーンとドミニカ、二人からで」

シ「『俺さん!大好き!二人いっぺんにお嫁に貰って!』だそーです、よっ♪」

俺が固まる。何人かはお茶を噴出す。わなわなしているのは某。

香「きゃー!お二人からってすっっごい!とっても綺麗なウィッチですよ!あの二人!」

火に爆薬を投げ込んで喜ぶ香代子。

ミ「・・・・おれさん、後でお話が! それで?シャーリーさんw?」

火の粉の発生源、笑顔におびえる。責任はある。

シ「ごめ。えと、それで・・・俺さんの特技である射撃で、何とか501に縁をつけたいと、二人に説明した」

シ「ほれ、ドミニカ達は、アフリカの3連星が猫かわいがりしているウィッチ隊所属だから、自動的に
 3連星が動くかな、と期待したのさ」

3連星の話題で笑い出す隊員。伝説の3連星。

シ「向うからの話で知ったんだけど、俺さん?」

今度はどんな爆弾だ?という疑惑の目で俺が見ている。

シ「ごめん。えとね、3連星、俺さんのことを気に入ってるんだって!」

男からも人気なのね!と周りが囃す。俺の顔は『関知したくない』という表情。

シ「で、3連星が動いてくれて、推薦状を連署でだして。最後はガランド少将が許可を出した、って
 ことかな? 最後はよくわかんないんだけどさ。まあ、うまくいってよかったよ。でも、時間が
 かかってごめん。もっと早ければよかったよ」

俺「シャーリーさん、有難う。なんとお礼を言ったらいいのか・・・。有難う」

俺が頭を下げる。ミーナも。怒りは恩人には向けられない。

シ「い、いいんだよ。うまくいってよかったさ!はい!これでお仕舞い!」

さっぱり気質のリベリオン人である。



―夜の径― ミーナ視点


 楽しい食後の会話の後、皆は風呂場に繰り出していった。私は彼と散歩。三ヶ月ぶり・・・。

俺「逢えなくて辛かったよ・・・すまなかった」

 私も・・・。でも、いいの。ゆっくりお話できるし。

俺「手紙、気付きました?」

 えと・・・なんでしょう?
 彼の手紙は、いつも当たり障りのない内容だった。私には、ちょっと物足りなかったわ・・。本人には
 いえないけれど・・・。もっと囁いてほしいこともあるの。恋する女心よ。

俺「えっと・・・。手紙の頭文字を縦に並べると、ある意味に・・・なるようにしたんだ」

 ちょっとまってね?
 内ポケットから、貰った手紙を全部出す。そう。いつも持ち歩いていた・・・。
 彼の顔、嬉しそう。そうよ、あなたといつも一緒にいました。

 どれでもいいの?直近の手紙を開く。

俺「最初の一文字を、真下に続けて読んでみて?」

 イッヒ・リーベ・ディヒ・・・あらっ!

俺「検閲に備えすぎた。ごめん」

 思わず、彼の胸に飛び込む。有難う。気付かなくてごめんなさい。
 しっかり囁いてくださったのね♪

 あ。そうだったわ。ねえ、「月が綺麗ですね」って?あなたの手紙、最初の頃に扶桑の文字で書かれて
 いたあれ。美緒に翻訳してもらったんだけど・・・意味があるのか、なって。

俺「坂本君は、何か言いましたw?」

 ええ。暫く考え込んで笑っていたわ。でも、意味は本人から聞けよ、って。

俺「扶桑では『愛』は歴史の浅い言葉で、それまでは『情』でした」

 ジョウ?

俺「情けとか奥深い意味がある言葉。それで男女間の気持ちも表していたんだ。でも、もっとはっきりした
 直接的な表現が必要になって『愛』が普通になった」

 ええ・・・ どうつながるのかしら。

俺「愛が使われる前に、アイ・ラブ・ユーを翻訳した扶桑の文豪が「月が綺麗ですね」とね」

 そういうこと!有難う。確かに検閲には・・・w

俺「うん。無粋な担当をからかってやろうかとw。坂本君が翻訳してくれるだろうし」

 抱きあったまま、二人で笑う。美緒ってば・・・教えてくれればいいのにw。でも、これなら誰にも
 解らないわ。気遣ってくださって有難う・・・。

 あ。あなた・・・前にテラスで・・・?

俺「私から最初に言いたかった。でも、怖くもあって・・・」

 オブラートにくるんでくださったのね。

 キスして・・・・。あなた・・・・。


*********** 了 ***************


1-11終 蒼穹の絆1完
ttp://raicho.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1293296180/
635 名前:ヘタレ ◆aoV/Y6e0aY 投稿日:2010/12/27(月) 20:17:43.77 ID:ekH8pssW0
最終更新:2013年02月02日 12:04