「蒼穹の絆2-8」
――
サーニャとエイラが夜間哨戒中。新月の晩。サーニャの能力が最も求められる時。
星明りの中、二人は緩やかな編隊で飛行していた。静かな夜。
管制「こちら管制。緊急事態発生。至急、基地に帰投してください。受領確認をお願いします」
顔を見合わせる二人。余程のことかしら?
サーニャ「こちらサーニャ。緊急事態により直ちに帰投します。到着予定15分後。以上」
管制「受領を確認。通信終」
基地への最短コースを計算し、直行する。全力飛行。
基地に戻り、ブリーフィングルームに駆け込む。基地もあわただしい雰囲気だったが、ここ
は更なる混乱状態。大尉以上がミーナ隊長を中心にして、資料を検討している。
ミーナ「あ、戻ったわね。では、説明を開始します。全員注目」
皆着席して前方の隊長に注目する。
ミ「先ほど、ロンドンの本部より緊急連絡が入りました。地図を見てください」
黒板にペイントされているブリタニア地図を指し示す。
ミ「当基地から見て、北方40キロの地点にあるシッチング・ホーン近郊にネウロイが強襲上陸
を敢行しました」
地図にマークをする。隊員たちがざわめく。ロンドンのすぐ近くじゃないか!40キロも無い!
ミ「静粛に!現時よりマイナス80分、0020時にここから北180キロのロースト・フトレーダー
基地が、洋上を低空飛行する巨大物体を一瞬探知しましたが、すぐにロスト。憶測ですが
この探知が上陸部隊だったと思われます。レーダーを低空で回避しつつ、ロンドンに向かった、
と思われます」
ミ「現時マイナス40分、0100時、ロンドン東方60キロのバーナム防空隊が超大型ネウロイ2を
発見。防空戦闘機隊及び防空隊ウィッチの奮戦により、ロンドンから逸らすことに成功
しましたが、南下してここ、シッチング・ホーン近郊に上陸してしまった、と。上陸勢力
は超大型2機」
皆、状況がとんでもなく悪いことを理解する。不味すぎる。リーネの顔色が青ざめている。
ミ「現在、上陸した2機とも陸戦型を主に、そして若干の飛行型を展開中」
ミ「なぜ、当基地への通報が遅れたか。これは現在調査中。大混乱しています。現在、ロンドン
防衛隊の陸・空の総力を挙げて応戦中。我々も参加します。では、具体的作戦を。バルクホルン
大尉、お願いします」
バルクホルン「状況は飲み込めたな?さて、目下の急は、超大型ネウロイを破壊すること。巣作り
を始められたら、終わりを意味する。解るな?」
皆頷く。超大型は、そのうち分解して『ネウロイの巣』に姿を変える。そうなったらお仕舞いだ。
バ「よって、我々の任務は、現在他の隊が近づけないでいる大型母機に接近し、これを撃破する。
詳細な地図はこれだ。しっかり覚えろ。ロドマーシャム。ここは森林を伴う丘陵地。平坦地
ではない!地上目標が視認し難いことを意味する。具体的作戦だが、可能な限り低空ギリギリ
で敵に接近、間近で急上昇。例の新型バズーカを斉射して破壊する。飛行型との交戦は、この
目的を果たすまで禁止する。我々の目標はただ!大型母機である。よって、バズーカ及びその
弾薬を運搬することを最優先とする。重量超過になるものもいるだろう。頑張ってほしい。ここ
まで、何か質問は?」
エイラ「交戦をさけろといっても、邪魔しに来るダロ?それは?」
バ「上空援護を防空隊のウィッチがやってくれる。彼女達に任す。通常戦闘機も支援する」
エ「了解」
バ「それが終わったら、地上の敵を殲滅することになる。なので、ある程度の通常装備も持って
いく。私を例にとれば、機銃は1つ、予備弾倉を多くする。意味は解るな?」
皆頷く。その分、バズーカの弾薬だ。
バ「バズーカは8門。敵1に4の割合だ。呼ばれたものが射手!サーニャ!
シャーリー!リネット!
それと私。ここまでが主な射手として撃つ!装填手は、わかるな?」
エイラ、ルッキーニ、ペリーヌ、そしてハルトマンが頷く。
バ「よし。第一斉射だけは、装填手も撃つ!その後、装填手の持つバズーカは放棄する。装填に
専念する。なので、第一斉射用に基地での発進前にロケット弾を装填する。気をつけろ!」
バ「ミーナとラスカルが先導。ミーナ班!サーニャ、リネット。ラスカル班!シャーリー、私!
よいな!先導を信じて行け!決して離れるな!先導役はストライカーの翼端灯をつける。それを
見落とすな!もし、万が一見失ったら、その場で静止。動くな。決して上昇するな!」
バ「よし。では、敵の情報をラスカルが説明する!」
俺「シシリーで見た奴と同じらしい。これを見てくれ」
上下式黒板をずらす。ラフなスケッチがある。
俺「敵の上面図、上からの俯瞰図だな、それがこちら。側面図、横から見たのがこっち。背中に
盛り上がりがある平べったい団子虫みたいな奴だ。盛り上がりは結構目立つ。コアはここだ」
赤いチョークで、上面図と側面図其々に丸印を書く。
俺「ボディのほぼ中央だ。ここを上からちょん切ったとして断面図を書くと・・・こうだ。コアが
こことなる」
俺「真上からコアを掘り出すのは苦労が多い。それに上下の垂直発射だとロケット弾がずれる。
だろう?サーニャ?」
ええ、と頷くサーニャにみなの視線が集中する。貴重な情報。
俺「なので、先導はコアの位置から見て上方30度となるあたりで静止する。そこで皆止まれ。
そして、左右に間隔を取る。取らないと迎撃砲火で纏めてやられる。忘れるなよ?そこで
先導が 1!吊光弾を撃つ!これでバズーカの照準が出来る。次!2!機銃で曳光弾を放つ。
君たちはその着弾地点を狙って撃て!」
みなの反応を確認。理解してくれたようだ。
俺「敵二機は、相互距離が約1キロ。なので、ミーナ隊と俺隊との共同歩調は取らない。先導が
着弾指示をしたら構わず撃て。再生速度に撃ち負けるな!なので、一斉射といっても、若干
の時間差をおくんだ。そうすれば、装填によるブランクも分散するからな!一番最初だけは
射手/装填手のペアで同時発砲、別ペアとの時間差を作るという意味だ。解るか?解らん者は
正直に手を上げてくれ!」
みな、真剣な表情で頷き返す。よし!と俺が笑顔で答える。
俺「装填手は一発撃ったら砲本体を捨てることを忘れないこと!落ち着いて作業しろ!クリップを
コンセントにしっかり差し込むんだぞ!装填手!携帯する予備弾薬は2パックの6発!射手は
1パックの3発!忘れるなよ?大型で余ったら、地表の残敵を掃討するのに使え!撃ち終わったら砲は
放棄!かまわん!捨てるんだ!通常装備の予備弾倉も忘れないこと!」
ミーナ「では、皆さん。しっかりやりましょう。出撃予定は0230!忘れ物が無いように念入りに確認!」
全員敬礼してそれに答える。
ハンガーでは整備兵が走り回っている。怒号が飛び交う。ウィッチは次々にエンジンを始動。皆、例の
M3を身体に固定している。通常の装備ではなく、M3だけを携帯しているものもいる。
俺「お。ロケット弾つけてくれたか。有難うな。これが発射セレクタかい?」
整備兵「左右各4発。着発信管!安全はこのボタンを押し込んで解除。そのままでこのハンドルを握って発射!
握り締める程度によって左右各1発4発同時発射まで選択できます!手応えがありますから!撃ち終わった
らばこのボタンを!ラックを投棄できます!軽くなります!」
頷いて謝意を示す俺。腰にはブローニングの予備弾倉1、拳銃とその予備弾倉パック2、ロケット砲
予備弾パック3が無理やり引っ掛けられている。首からは紐で信号銃。背中にはM3とバズーカ1門。
たすき掛けでM3の予備弾倉4パック16本。
整「ラスカルさんもバズーカ使うんで?」
俺「ああ。対地攻撃で使う」
整「重かったら捨てちまってくださいよ!」
俺「バーカw。これからベッドインって時にチンポコ無くてどうすんだ!ヒィヒィ言わせるんだぜw?」
整「ギャハハ!失礼しましたw!思い切りどうぞ!」
バカ話して時間を潰す間に、他の者も用意できたようだ。敬礼を交わし、整備兵は去った。
ミ「用意はいい? いいわね。ストライクウィッチーズ!全機出撃!」
皆、整然と一斉に滑走を開始、重たげに上昇を始めた。
ミ「高度500で左旋回!目標に向かう!」
「「「「「「「了解!」」」」」」」
*
シッチング・ホーン近郊
前方で砲火がひらめく。ビームが夜空を焼く。所々で爆発。そして空には墜ちる火の流星。
陸戦ストライカーユニット『
バレンタイン』を装備した部隊が次々にキャリア・トレーラーから
降り立つ。
「(ねえ、グーデリアン。あなただったら今どう戦う?)」
隊が揃うのを待つ間、
物思いにふける隊長に伝令が駆け寄ってきた。
伝令「118のマッコーネル少佐?」
ジョゼフィン「ええ。私。何?」
伝「前線本部より!まもなく第501統合戦闘航空団が空襲により敵ネウロイを破壊する予定!なお、501の
無線周波数がこれです!攻撃開始予定は0245!本部は至急、貴部隊が前線に布陣することを命令して
います!」
ジョゼ「(くそったれ。敵の情報も全く無くて・・・馬鹿野郎!)了解した。確認書にサインはw?」
伝「(すげえ・・・笑ってる。綺麗な人だけど、肝が据わってるな)いえ!結構です!」
ジョゼ「しっかりやるから、と伝えて頂戴」
伝「はっ! あの・・・皆さん、気をつけて・・・(死んじゃ駄目ですよ・・・)」
ジョゼ「ええ。有難う(責任の無いもののほうが人間らしいわね・・・)。あなたもね!伍長」
伝「御武運を!失礼します!」
部隊が揃った。全員に携行兵器の最終チェックを命令。コンパスで方角を確認。あっちね。
ジョゼ「よし。行くぞ。縦一列戦闘行進。奇数は右!偶数は左を警戒!第一小隊!先行して。第二は
第一と200の距離を置いて追従!自由射撃!全員!装填!安全解除!」
75ミリ砲を装填しつつ思う。501!お願い!早く潰して!あの化け物を!
ジョゼ「第118装甲歩兵隊!前進!」
*
打ち合わせ通り、シッチングホーンに南西から進入。ミーナが前線本部と交信し、作戦開始を伝える。
本部『まもなく、上空に援軍が飛来する。全対空砲及び全通常戦闘機部隊に告ぐ。対空戦闘を中止せよ!
防空隊所属ウィッチへ!目標をよく確認の上交戦せよ! 第311及び第587ウィッチ隊!チャンネル2へ!
繰り返す!311及び587!無線をチャンネル2に切り替えろ!』
お膳立ては整いつつある。311と587が501の先導機と交信を開始した。
後方で、上空支援の2部隊と合流。高度差をつけて先行して貰う。我々は既に地表50.眼下の戦闘部隊が
飛び去っていく。混乱しすぎね・・・とミーナは思う。カレーの埠頭を思い出す。あの時は避難する市民
ばかりだったわ・・・。
俺「隊長。そろそろ離れよう。まもなくだ!」
ミーナ「了解。ではあとで!無線封鎖開始!」
返事も待たず、ロールして方向を変える。
背後にいる隊員の気配を「探知」しつつ、前方を「探る」。俺さんには、この能力が無い。彼、大丈夫
かしら・・・。地表と空は双方の火線が交差し、爆発が相次いでいる。たまに血迷った味方からの攻撃を
受ける。まあ、当たらないけど。
大型ネウロイを確認。私たちがやるのは、こっち! 更に高度を下げ、梢ギリギリを飛び始める。皆!
しっかり付いてきてね!翼端灯を見るのよ!
敵目標は両サイドから小型ネウロイを排出中。今までにどれだけの数が出てしまったんだろう。背筋を
悪寒が走る。なんとしても破壊しなくては!母機が『巣』に変わるのを防がなければ!
目標を全員が視認できる距離になった。幸いにも飛行型ネウロイとの接触は殆ど無し。遭遇した小型は
311が始末してくれた。母機の対空ビームが311を狙いだした。そろそろね。
ミ「311!501ミーナ!ブレイク!エスコートに感謝します」
311「ヤー!お姉さま、御武運を!」
同国人の少女の顔が脳裏を掠める。砲火で照らし出された一瞬見えた顔。ありがとう、アイネ!
目標にだけ、神経を集中する。右手で信号銃を握る。間合いを計る・・・。
周囲にも目を配らないと、距離感がなくなる大きさだわ!
俺「587!501ラスカル!ブレイク!ありがとなー」
587「はい!気をつけて!ラスカル!」
俺さん!あっちも無事ね!
速度を勘案して・・・距離500で静止したい。用意・・・
ミ「(上昇!)」
角度・・・・よし!静止と同時に吊光弾を発射! 信号銃を放り出してMG42を構えて・・・!
吊光弾が発光した一瞬後、連射!着弾が散らないように全力で銃を押さえつける。さあ!撃って!
一瞬後、左右で鋭い発射音。まだ私は撃ち続ける。ロケット弾が左右から伸びていく。
ここに当たって!
凄まじい爆発が着弾地点に生じた。一瞬目が眩む。銃を降ろして、高度を上げる。
次の発射がタイミングを取って始まった。どんどん撃つのよ!
ミ「その調子!いいところに着弾しているわ!」
着弾点が真っ白に燃えている。爆発がどんどん奥に進んでいる。今の調子なら再生速度を凌いでいる!
俺「撃て!」
あ、ラスカル隊も!そっちもしっかり!
地上の小型がこちらを確認したらしい。撃ってきた。でも、シールドを砲手達はは張れない!
地上の火点にむけてMGを掃射する。こっち!バズーカじゃない!私を撃ちなさい!
背を向けていた大型が一瞬輝いた。熱が伴わない光!射撃を忘れて振り返る。燐光を放つ薄片が舞い
散っている。
「「「「「やった!!!!!」」」」」
皆、下から撃ってくるのも忘れて肩をたたいて喜んだ。その瞬間、向うにあったもう一つのシルエット
が爆発!
「「「「「「キャホーゥ!「やった!」どんなもんだい!」」」」」」
ミ「501全機!よくやったわ!お疲れ様!」
バルクホルン「終わっていないぞ?下から盛大に撃ってくる!」
ミ「全機、一端全力上昇して!」
全力で上昇しながら、双方の損害を確認。全員無事。ここまではうまくいった。
上空で集合し、今後の地上攻撃を相談する。周りを先ほどの311と587がガードしてくれた。
バ「ビームを撃ってくる奴から?」
俺「ああ、ビームを撃つのは中型陸戦タイプだ。叩くに限る。地上部隊の助力になる」
シャーリー「んじゃ、始めようか?」
ハルトマン「ミーナ、ラスカル。握手はいいからさ、翼端灯消しなよ。目立ちすぎw」
慌てて消す二人に、311や587の隊員からも笑いが漏れる。
ミーナ「ごめんなさいw。では、501は地上の目標にバズーカの残弾を使います。その後、小型
飛行ネウロイを排除。それまで、311と587の皆さん、お願いできますか?」
311「ええ!任せておいてください!お姉さま!」
587「地上部隊を助けてあげてください!」
俺「んじゃ、上は任したよ、ビューティーファイターズ!」
2隊が笑いながら手を振って散っていく。
俺「んじゃ、俺たちは海兵隊ごっこだ。ペアはさっきの組み合わせ。ミーナさんは
俺と組んで。ロケット弾を使い切ったら、申告してから空戦に戻ること」
ミ「ええ、皆さん。気を抜かないでね。気をつけて!では、各ペアで地表目標を攻撃、
殲滅します。開始!」
シャーリー「Time to Hunt!」
ルッキーニ「イャッホーゥ!」
ミーナと俺はゆっくり降下しながら最前線へ飛行する。左右にも別ペアがいる。
俺「311のリーダーに惚れられたんで?お姉さまw?」
ミ「あら?同国人なのよ、アイネさん。彼女も隊員もいい子ばかりなの!」
311「お姉さま!アイネです。お姉さまをお慕いしておりますわ、あたしw」
インカムに笑い声が集中する。わぉ愛の告白♪なんて声もある。
俺「アイネちゃん?男も捨てたもんじゃないよ?今度愛を語ろうなw 578のニッキちゃんも
一緒にどう?三人で、いや、578・311全員とで熱く愛を育まないかwww?」
578「ニッキだけど。野獣はお断り!あっかんべーだ!!www」
さらに笑いの渦。ニッキ~あれ結構いい男じゃん、とか何とか。
ハルトマン「アイネーェ。実は501全員が~ラスカルの彼女なのーw」
「「サーニャは違うダロ!「エー マジィ「女垂らし!」獣!」キャー!」サーニャは違うゾ!」」
色々な声が飛び交う。
俺「ごめんな、俺の身体は501のものだ。でも俺の心は羽のように自由なのさw。俺って詩人
だろww?」
シャーリー「それは知りません!あほ!変態マリンコ!浮気性!多恋病!あははは!」
「「「「「「「ブプフ」」」」」」」
バルクホルン「戦闘中の私語は慎め!ラスカル!アホは帰ってからにしろw!」
ハ「はーい!ごめんなさい!トゥルーデお姉ちゃん♪」
俺「堅いこというなよ、夜は長いぜ?一緒に熱く楽しもうよ、ハニーww?」
暫く、インカムは通信不能。喘ぎながらの笑い声で満たされた。
ミーナも口を押さえて笑っている。
*
最前線が近づくと、俺さんの顔が一気に引き締まった。目が鋭くなる。完全に別人。
俺「地上部隊と連絡は付く?」
ミ「ええ。この周波数で呼んで見て。地上の担当将校が出るわ。地上攻撃はあなたが
慣れているから、指揮を取って?」
俺「こちら501ラスカル隊。空地連絡担当、聞こえるか?」
地「こちらAGコントローラー。楽しませてもらったよw、色男。位置知らせ」
俺「色男とはありがとな。現在、バレンタイン陸戦ストライカーを装着した部隊の上空付近。
向うの識別は・・・118-1 これが指揮官だろう。いかが?」
地「把握したぞ、色男。ちょっと待て。向うにコンタクトする」
俺「AGコン。501ラスカル了解。待機する」
・・・
地「おまたせ、色男。先方のコールはジュリエット1.このチャンネルで話せるぞ。以上」
俺「サンク、AGコン。 ジュリエット1.こちら501ラスカル隊。聞こえるか?」
ジョゼフィン「はい。ジュリー1.活躍したわね、501」
俺「おお、セクシーボイスw。バズーカで支援する。出来ればビームを撃つ中型が獲物にはいいんだが。
そちらで該当目標は?」
ジョゼ「ありがと。ちょっとまって」
118-1が砲撃。500ほど先で爆発。炎の中にネウロイがへたり込むのが見えた。中型だ。
俺「グッドショット。いい腕だ」
ジョゼ「おまたせ。今の方向にビームをぶっ放す奴が何匹か隠れている。反対側は少ないわ。今の
あたりを頼めるかしら?」
俺「あいよ、ジュリー1。左側面に移動、攻撃する。スタンバイ」
飛行しつつ、ミーナがバズーカに装填する。次の砲弾も取り出して準備完了。
梢から一気に上昇、ミーナが確認し指示を俺に出す。
ミ「二時。梢が出っ張っている木の真下!距離200!」
俺「見えた。用意?」
ミーナが左肩を2回叩く。
同時に発射。排気炎が一気に伸びる。撃破!二人はストンと下がり、横に移動。その間に次弾装填。
掃射が来るが、かなり反れている。それを8回繰り返す。中型8体を破壊。
俺「ジュリー1。501ラスカルだ。8匹始末した。この面にはもういない。反対側には小型が6匹震えている。
そちらは任せていいか?」
ジョゼ「ありがとう、501の色男と美人さん。こっちで片付ける。あなたたちは他の所へ火消しに行って
くださいな」
ミーナ「はい。了解しました。ジュリー1。困ったらこのチャンネルで呼んでください。仲間が他にも
飛んでいますから」
バルクホルン「501別隊。いつでもどうぞ?」
エイラ「最高のハンターがここにいるゾ」
ペリーヌ「いつでも駆けつけますわ!」
シャーリー「こちら501消防署です♪」
ジョゼ「ありがとうw。美人さん、皆さん。では!」
残弾は7発。二人の狩人は、暗い森の上を獲物を探して幽鬼のように飛び去る。
ミーナの魔力のおかげで、その7発全てを中型に叩き込んだ二人は砲を捨て、後退を始めていた。他の
ペアも全て上空に上がり、任せておいて大丈夫とミーナが判断したので、地上の状況を再確認している。
ミ「あ!危ないわね!」
俺「どこ?」
ミ「向うの斜面にバレンタインの分隊がいるの。ほら、脇にネウロイが」
成程。死角を狙って忍び寄るのが6匹。二人してバレンタイン隊に呼びかけるが、目的の部隊からだけ
反応が返ってこない。無線でも故障しているのか?
俺「ユニットのロケット弾を使う。ミーナさん、二番の位置で」
ミ「ええ」
俺は緩やかに上昇し、目標に向かう。降下開始。軸線を敵部隊の中央に定める。
ここが一番大事な時。じっくり軸線をあわせ続ける。ぶらすな。用意・・・
ミ「9時!撃たれている!」
俺「ブレイク!上昇!」
俺は動けない・・・。分隊と俺一人。どっちが大事だ?軸線をあわせて・・・周りを飛びすぎる曳光弾は無視
するんだ!やり遂げろ!
発射グリップを一気に握って8発全てを一斉発射する。完全にユニットを離れたのを確認し、急上昇に
切り替えつつラックの投下ボタンを押し込む。『バン』と38口径実包がラッチを押したのと同時に機速
が伸び、上昇速度も上がった。分離確認。下を覗くと、敵が爆発炎に包まれたのが見える。やったぞ!
それと同時に衝撃が襲ってきた。左右のユニット、そしてわき腹に一発喰らった。クソ!
出力が急激に落ちる。こりゃ、駄目だな。上昇をやめて機速を保とう。
ミ「俺さん!火が!」
俺「体は大丈夫。不時着し、先ほどのマチルダ隊と合流する。隊長は大丈夫か!」
ミ「ええ・・・でも俺さんが」
俺「高度を取って待機を。これより不時着」
インカムに他の隊員からの声が入るが、今は耳をシャットダウンする。ミーナさんが相手をしてくれるさ。
さて、冷静になれ。深呼吸だ。慌てるなよ?状況を確認しよう。
左脇が痛むが、ま、たいしたことはなかろう。高度がグングン落ちる。クソ!
ええと?ロケット弾は使い切った。発射ラックも捨てた。他にヤバイ物は・・・ないな。よし。
失速しては酷いことになる。少しでもコントロールできるうちに!銃を背中に回す。
よし。いいな? オケ!
エンジンカット。前と下にシールド全力展開。それ!
くそ!誰だ!こんなぶっとい木を植えたやつは!
頭から大樹の幹に激突。シールドがなかったらミンチだぜ。クソッタレ!
上空のミーナさんに呼びかける。すぐに返事があった。オケ!大丈夫!
ミ「怪我は?本当に大丈夫?」
俺「ああ。地面はいいねえw」
ミ「全く!心配させないで。救出します」
俺「ネガティブ!やめろ!被害が増える!」
ミ「でも・・・」
俺「あそこのバレンタイン隊と合流して脱出する。俺も海兵隊だ。任せて」
ミ「・・・バレンタイン隊と合流ですね?」
俺「イェス、マァム!海兵の本領発揮さ。ミーナさんは隊に戻ってください」
ミ「え!でも!」
俺「戻って、再装備をお願いします。まだ陸戦型がうじゃうじゃいますよ?帰って半分は基地で
警急任務に。残りで支援物資と対地攻撃装備を用意してくださいな。次の攻撃がある可能性は
高いと考えます」
ミ「了解。そうですね・・・。あなたの必要なものは?」
俺「M3の予備弾倉を。それと私のテントにあるM1ライフルとその弾。あ、後俺の靴w」
ミ「了解。行く前にフライパスします。見えたら合図して」
俺「高度に気をつけて!」
思ったより低い高度で飛んできた。目が合う。心配そうな顔しないで!夜目にもはっきり見えた
美しい顔が蒼白。笑うほうがいいよ・・・。皆に宜しく伝えてください。
ユニットは・・・全損だな。残念。
わき腹の傷は・・・クソネウロイ!大口径で人間を撃ちやがって!22口径にしやがれボケ!てめえ絶対
ぶっ壊す!ジャケットも裂けちまってるじゃねえか!お気に入りだったのに・・・。
メルティオレート振りかけて簡易包帯で固縛。腸がはみ出していないから大丈夫さ。クソ。手当て完了。
*****************************
―地上戦 1―
歩くたびに呪詛の言葉が口から出る。
文明人なんだよ、俺は。クソッタレ。足が痛ぇ!何が楽しくて冬の林の中、裸足で忍足の散歩をしなく
ちゃならん。原始人じゃねえ。冗談じゃねぞ。俺を落とした奴、絶対ぶっ壊す!
マチルダ隊がいたくぼみはあの向うか。まだまだあるな・・・。
喉が渇いた。けどなにもありゃしねぇ。一休みするか。念入りに後ろも含めて確認。
よし。
キャメルを取り出して火をつける。箱がつぶれてしわくちゃだ。ふと思いついて、ジッポの蓋を炙って、
それに雪を詰める。よし、融けた。少しだけ暖かいそれを啜る。オイル臭いが、しょうがない。補給が
届くのはあそこだ。我慢!
俺がぶっ壊した敵の残骸が見えてきた。ゴキブリロースト。ざまーみろ。
ここは、障害物がないんだよな・・・。迂回するか。苦労を惜しむと戦死公報2階級特進になっちまうわ。
途中まで来て、ギクリとした。おーおー。ゴキブリ野郎がいるじゃないか。空にテッポ向けていやがる。
中に入るマチルダが囮?まさか・・・でも、現に。偶然の会敵じゃなかった?報告の必要があるな・・・・。
更に横に廻る。こいつらの感知器官はどういうシロモノだろう。人間より鋭い聴覚・視力を持つんだ
ろうか。犬クラスだと始末に負えないぜ。
見えた範囲で10体。くそ。どうしてくれよう。
選択肢1.撃ちまくって壊すだけ壊す。でも、ストライカーがない今、本来の魔力だけでどれだけやれる?
ゴキブリ10匹だぞ?ビームなしだけど、口径がでかい奴もっていやがるし・・・。
選択肢2.とりあえずバレンタイン隊に合流する。彼女達の火力を合わせれば、10体位は圧倒できるだろう。
不安なのは、敵の今見えていない兵力がどれだけか、だ。
でも、なぜにバレンタイン隊は動かない?弾薬切れ?全滅している?だとすると、この案は意味がない。
選択肢3.バレンタイン隊?知らない、見えなかった、でトンズラする。駄目だ!却下!
選択肢4.・・・・・ふーむ。タバコを吸いたいな・・・。いい案、ねーかなー?
よし。1と2の混合で行こう。いい所だけ組み合わせる。丘上方に位置をしてから攻撃。壊せるだけ壊して、
バレンタイン隊に転げ込む。これでいくか。もしかすると彼女達に迷惑を掛けるが・・・見殺しにするより、あの
世で後悔しないで済むさ!あの世で美女に詰られるのはごめんこうむる。美女とは楽しく、な!生きて帰る
ことができりゃ、天国が待ってるぜ?だろ?俺!ほれ!元気出せ!ミーナさんやトゥルーデ達が待ってるぜ!
愛を囁かずに死ねるかよw。
どうせ、捕虜には成れねえ。殺されるだけさ。こっちも捕虜なんぞ作る気もねえし。派手に暴れて生還して
やるぜ。
そうと決まったら、何処から仕掛けてやるか!
ブローニングは110発1箱と銃に装着した分だけだ。後はM3に頼ることになる。移動しながらやるしかない。
拠点でやったら、すぐに原子レベルまで粉砕されちまう。デポを決めて、そこにM3の弾倉を置こう。そう
すりゃ少しは身軽になるし。ヨシヨシ。積極的に考えろ。
周囲の戦闘音を気にしながら、弾薬を置きに上に上る。水がほしい・・・。足と脇腹の痛みは感じなくなった
けどな。皆、無事に帰ったかな・・・。ふと思いついてM3の弾薬パウチを二つ空にし、足の裏にまきつける。
ま、無いより楽だ。
トンズラ予定路に隠し終わって、また戻ってきた。 さて?優先順位を考えよう。
って、上から相手していくしかねえな。中途半端に下がると、上下から挟撃されるわ。だろ? 休憩しつつ
もう一度考える。 あー。まだまだあっちこっちで激戦だわ。制空権は取れたみたいだな?
火口を手で覆い、深く吸う。吸い終わってもう一度考える。後気にしなくてはならないことは?敵の増援。
ポンコツ置き場は比較的視界が効く。問題はこの林の向うだな。こっちに注意3.向うは1.ゴキ10匹に
6の塩梅で注意を配ろう。そして忘れるな。今の俺にはユニットがない。シールド能力も大したことがない
んだぜ?破られるシールドを張るより、射弾に回すほうが海兵らしいってもんだよな。他に何かあったか?
ミーナさんの今日のズボンの色は?エンジ。よし、落ち着いてる。
さて、やるか。仕事の時間だよ。弾倉を入れ替えよう。使い残しのは、箱は要らないな。
匍匐と忍足で一番上にいるゴキの背後を取る。こいつは楽だ。問題は次以降。破壊したら少しでも下る!
忘れるなよ、俺。
ゴキの背後でゆっくり立ち上がる。小型?でかいぞ! 次のゴキは・・・ヨシ!気付いていねーな。口の中で
舌を動かして、唾を出す。今が平穏な時間のお仕舞いだw。
腰を落として魔力を起こす! それ行け!地獄へ!
直ぐに破壊できた。次! 駆け下りる。足の痛みも脇の痛みも感じない。戦士の時間!
おら!今頃、砲塔まわしてんじゃねえよ!くたばれ!
次! 要注意! オーオー、のこのこ6本足で登ってくるか。あさっての方角見てんじゃねーよ!
よっし!三匹退治! 弾倉外して!ベルト!早く!
少し、林の奥側に廻るか?遠回りだけどなw。なに、疲れは全く感じない。俺は海兵だ!
いたっ!動かないで索敵してやがる。ほれ、あっち向け! バーカw
四匹目!って!弾切れかよ!
くっそ!もうちょっともってくれれば!ブローニングを置く。ありがとな!余り調子に乗るのは愚だ。
この辺で一端終えよう。さて。デポに逃げるぞ! 撃たれませんように!M3構えてランニングだ!
でぇぇぇぇぇ・・・・。心臓が逝かれそうだ。アー・・・苦しい。残りの奴がやたらめったら撃ちやがって。
20ミリクラスは卑怯だ。くそ。
マガジンポーチを全部首から掛ける。パウチから取り出してあった分は懐に押し込む。さあ!持久戦だ!
お。太陽がもう直ぐ顔を出す。いいねぇw。無線には他部隊の通信ばかり。
完全に朝になった。雪が乱反射して目が痛い。その後、1匹葬った。今は膠着状態。時々移動して、位置を
悟られないようにしている。
しかし、あっちのネーチャン達、生きているのかね?音がしないぞ?
周囲は相変わらず激戦中。501の皆はどうしたかな?他のネウロイが出たのかな。俺がいなくても大丈夫
だろうか・・・。
音がした。背後。くそ!回り込まれたか? 我慢して、ゆっくり体を回す。焦るな。急に動くと一発で
ばれるぞ・・・。拳銃でいくしかない。
居た。ありゃ・・・・なんだ?ヒューマノイドと言えなくはない。が、金属光沢。手にはどこかで見たような
自動銃。 敵だ。人間ではない。俺のチンポコを賭けてもいい。絶対、バレンタイン隊のウィッチじゃ
ない。奴の体はこっちを向いている。くそ。腰がだるい。
こわいのか?俺。動かないと死ぬぞ?動かせ!そっと腰の拳銃をつかみ出す。・・・フルコック。いいぞ。
もうちょっとだ。よし!
3連射で斃せた。5ヤードかよ。アブねえな・・・。
11時を過ぎた。膠着状態のまま。向うから探りを入れてきたときは位置を変えつつ、細々と応射する。舐め
られたら押しつぶされる。はあ。我慢比べかよ。
と、インカムに受信。おや、シャーリーだ。懐かしい!
シャーリー「ラスカル?応答して。こちらシャーリー」
俺「よぉ!グラマラス・シャーリー、聞こえるぞ!今日もセクシーだなw」
シ「ラスカル!無事かあ!よかった!」
俺「あはは。あったりまえだろ?笑い声が複数いるな、何人で来たw?」
シ「うん。ルッキーニとサーニャとエイラ。他は基地で待機中なんだ」
俺「皆、有難うなw。愛してるぜw」
シ「はいはい。遅くなってごめんよ。ブリタニア全土が最大警戒でさ」
俺「だろうなあ。あ、俺の位置はわかる?」
シ「大体しかわからない。急ぎ救助が必要か?」
俺「うんにゃ。これからデートの申し込みする美女が4名ほど待っているんだ。エーとな、俺がいる位置の
東側、繰り返す、東だ。其処にデートの邪魔をする悪い奴らがいる。そいつらを吹っ飛ばしてもらいたい。
4匹くらいだ。それを叩いて貰って、俺は移動したい。どうかな?」
シ「オッケー。サーニャのフリーガーハマーだね。私たちもお土産持ってきた。いいよ、了解。位置を
正確に知りたい。何かランドマークはあるか?」
俺「スタンバイ」
えーと?何かいいものないかな。発煙筒が二つありゃあなあ。
俺「俺を基準にして。南東1200に燃えている民家かな?建物が見える。二戸建てだ」
シ「インサイト。他は?」
俺「その建物を基準にして。北西へ1000、空き地でネウロイの残骸が煙を出している。6匹分」
シ「フライパスして確認する」
じっと建物方向を見ていると、上空に小さな点が4個見えた。あれか!
俺「シャーリーたちをインサイト」
シ「北西に変針するよ」
俺「オッケー。ドンピシャリ。そのまま。俺の胸に飛び込んで来い、両手を広げて待ってるぜw」
高度もスピードも十分。AAAも心配なかろう。
真上を通った瞬間、小さく手を振る。ウィッチなら見えるはず。
シ「イェーイ。ロックしたぜ。泥まみれだなw」
俺「おう。マリンコーだからな。後で皆して風呂で洗ってくれよww」
シ「ぎゃははは。考えとこうな、ルッキーニ? あ、サーニャとエイラは駄目だってww」
俺「チェ!いじけてやるw。俺の位置から東側、下に200くらいの範囲にいるはずだ」
シ「あいよ!頭下げておいて!頭の毛洗えなくなるよ」
また、インカムに忍び笑いが多数w
俺「あいよ!んじゃ、カメは頭を皮の中に引っ込める。吹っ飛ばせw」
インカムにシャーリーだけの笑い声。ふふww。ちと難しかったかい?
とはいっても、見物だ。あのゴキブリ共が吹っ飛ぶザマぁ見ないとな!
さっきのフライパスとは違う金属質の音が接近。わくわくして見ていると、急降下で三人が。一人が
フッと西側に現れた。西側の一人がロケット弾をぶっ放しだす。サーニャか。一瞬置いてバズーカも
一発発射した。器用だな?排気煙がグングン速度を上げて林に向かう。いけいけ!それの着弾前に
三人がなにやらパラパラと投下、急上昇を掛けた。あんな爆弾有ったっけ?
次の瞬間、林の大部分が吹っ飛んだ。冗談抜きで顔をドロに埋める。伏せたままで息を我慢していると、
バラバラと土くれやらなにやら落ちてきた。もう、いいかな・・・。
プハーと息を吐きながら、林のほうを見てみると、ネウロイが7匹ひっくり返っている。お見事!!
増援がいたんだ。ヤベェヤベェ。他はいない・・・よし。
シ「おーい。頭はまだ付いているかぁー。返事しろー!」
俺「うん。あの世じゃないらしい。まだ寒いし、頭上には可愛い魔女が4人飛んでらあww」
シ「機銃掃射しようか?今ターンが終わった。再進入中」
俺「うんにゃ。ゴキブリ全滅。7匹だ。お見事!ありがとうな」
ルッキーニ「やったぁ!凄いでしょ!あたし達!」
エイラ「ふっふっふ。サーニャにかかればちょろいちょろい」
サーニャ「クスクス・・・」
俺「大したもんだよ、実際。俺はバレンタイン隊のところに行くわ。其処で会おう。他の状況がわからない。
気をつけてくれよ、マイラバーズ!」
シ「誰がだよw。了解、上空から周囲を確認する。待っててくれよ!」
バンクを振りつつパスしていった。神々しいね。
さて。行きますか。
急に足と脇が痛くなりやがった。くそ! 周囲の戦闘音は・・・変わらないな・・・。
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最終更新:2013年02月02日 12:07