各校の自己評価書、「横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校中高一貫教育校化に関する基本計画」より引用
教育理念
中学
学問を広く深く学ぼうとする精神と態度を培いながら、豊かな社会性や人間性を育みます。生徒一人ひとりが持つ潜在的な独創性を引き出し、日本の将来を支える論理的な思考力と鋭敏な感性を養い、先端的な科学の知識を基にした智恵や技術・技能を活用して、グローバルリーダーたる「サイエンスエリート」育成します。
高校
学問を広く深く学ぼうとする精神と態度を培いながら、生徒一人ひとりが持つ潜在的な独創性を引き出し,日本の将来を支える論理的な思考力と鋭敏な感性をはぐくみ,先端的な科学の知識・技術、技能を活用して、世界で幅広く活躍する人間を育成する。
教育目標
1 広い視野、高い視点、多面的な見方を身につけさせ、ものごとに対する柔軟な思考力・解析力を培い、論理的頭脳を養う。
2 旺盛な探究力、豊かな創造力、世界に通じるコミュニケーション能力、自立力を培うことによって、よりよく生きる知恵を養う。
3 社会における己の使命を自覚し、積極的に社会に貢献しようとする志を養う。
4 人格を陶冶し、有為な社会の形成者としての品格を養う。
5 幅広い知識と教養を身につけ、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな心身を養う。
2 旺盛な探究力、豊かな創造力、世界に通じるコミュニケーション能力、自立力を培うことによって、よりよく生きる知恵を養う。
3 社会における己の使命を自覚し、積極的に社会に貢献しようとする志を養う。
4 人格を陶冶し、有為な社会の形成者としての品格を養う。
5 幅広い知識と教養を身につけ、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな心身を養う。
教育方針
「驚きと感動による知の探求」
育てる生徒像
中学
1. 「サイエンスの考え方」を身に付けた生徒を育てます。
2. 豊かな社会性や人間性を身に付けた生徒を育てます。
3. 次代を担うグローバルリーダーの素養を身に付けた生徒を育てます。
2. 豊かな社会性や人間性を身に付けた生徒を育てます。
3. 次代を担うグローバルリーダーの素養を身に付けた生徒を育てます。
注
- 【サイエンスエリート】
次世代の日本を担う使命感を持ち、科学的リテラシーを身に付け、物事をやり通す強い精神力や活動の源である体力を備えた国際社会で活躍する人材。
- 【サイエンスの考え方】
サイエンスを学ぶことによって培われる考え方。正確な観察や実験、体験、情報の整理・分析などを合理的・総合的に進める「サイエンスの考え方」は、科学のみならず、様々なものの考え方の基本につながる。
余談
- 自己評価書や横浜市HPには、高校の教育理念が「先端的な科学の知識・技術、技能を活用して」と書いてあるが、生徒手帳や新入生の栞には「先端的な科学の知識・知恵・技術、技能を活用して」とあり、どちらが正しいのかは不明。
- 中学と高校で若干教育理念の文言が異なる。
中高の教育理念の違い
学問を広く深く学ぼうとする精神と態度を培いながら、
中 | 豊かな社会性や人間性を育みます。 |
高 | (なし) |
生徒一人ひとりが持つ潜在的な独創性を引き出し、日本の将来を支える論理的な思考力と鋭敏な感性を
中 | 養い |
高 | はぐくみ |
、先端的な科学の知識
中 | を基にした智恵や技術・ |
高 | ・技術、 |
技能を活用して、
中 | グローバルリーダーたる「サイエンスエリート」 |
高 | 世界で幅広く活躍する人間 |
を育成
中 | します。 |
高 | する。 |
なんで中高で教育理念が若干違うのかと思うかもしれないが、「横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校中高一貫教育校化に関する基本計画」が策定された、平成27年1月23日 臨時会の議事録には、当時の教育委員や教育長、横浜市教育委員会事務局学校教育企画部高校教育課長の熱い思いとともに、その答えが記されている。
西村高校教育課長「・・・まず、現在の横浜サイエンスフロンティア高等学校の教育理念や教育目標、教育方針等を参考にさせていただきながら、6年間の継続した一貫校の基本理念をつくりました。1ページにも書いてありますとおり、横浜サイエンスフロンティア高等学校では、世界で幅広く活躍する人間を育成することも教育理念としておりますので、その部分を受けまして、『先端的な科学の知識を基にした智恵や技術・技能を活用して、グローバルリーダーたるサイエンスエリートを育成します。』といたしました。・・・」
坂本委員「・・・中高一貫教育校の基本理念のところです。これは、とても大切なことで、それぞれは非常に良くまとめられていると思います。ただ、このように、教育理念、教育目標、育てる生徒像と並んだ時、絶対にどこからも落ちてはいけないキーワードがあるはずなのです。それを落としてはいけないのです。単に理念を書く時、目標を書く時、生徒像について書く時は、その書き方が変わっても良いのですが、必要とされる理念やキーワードは絶対に落としてはいけません。後ろのページでは、サイエンスに特化している面と、それから6年生教育における人間性、感性という面とが両方良く含まれた文章になっています。しかしながら、1の教育理念のところには『鋭敏な感性を育み』という言葉があっても、要するに人間性や社会性といった6年生教育に期待されている理念が、ここには言葉として入っていないのです。書いている人はもう十分分かっているのでしょうが、やはり絶対に逃さないキーワード、題目は決めておいて、それをどこであっても入れることによって、その言葉は内外ともに身になり肉となっていくのです。そういう意味で、1に少し工夫があれば更に良いと思いました。また、3 教育方針に入っているキーワードのうち、2教育目標に入っていない言葉はきちんと入れたほうが良いと思います。・・・」
西村高校教育課長「・・・まず2ページの基本理念の所に、坂本委員から社会性、人間性というのが大事な言葉であるので、常に使って、教育理念にも載せるべきだというお話をいただきました。まさにその通りだと思います。そこで、教育理念の中に『豊かな社会性や人間性を育みます』の文言を追加いたしました。・・・」
「サイエンスの力」と「言葉の力」
本校はサイエンスに力を入れている学校ではあるが、言語活動も重視している。
二代目校長の栗原先生は次のように述べている。
二代目校長の栗原先生は次のように述べている。
栗原校長先生
「いまもこの学校では、はっきりと、【サイエンスの力】と【言葉の力】をつける学校だと言いきっています。これは和田先生ともよく相談しながらのことです。サイエンスの力というのは、単なる知識だけではなくて、それを活かせるだけの知恵に変えていくこと、論理的な思考、そういうものをここでしっかりと身につける。もう一つは、豊かな言葉を駆使して、仲間と協働しながら新しいものを作っていく。それがもちろん最終的には英語にバトンタッチしなきゃいけないんだけれども、ベースとなる母語たる国語の力も大事にする。そして文化を愛するということで、1年で国語総合を5単位入れる、2年になっても古典のBで3単位入れるなどは自分が準備室のときに死守したところなんです。理科の人間は、少しでも理科を当然増やしていきたいという部分があるけれど、そうではないと。これは和田先生をはじめ科学者のかたがたからも、非常に支持をいただいてきたところであって、結果、その部分でマッチできたかなと思います。」
引用元:横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校附属中学校 先生インタビュー【中学図鑑 | ラコモ】
「わが校の理念は、『サイエンス』の広い素養や論理的思考力、そしてコミュニケーション力を身に付けた子どもたちを育てることです。先端科学技術の知識を活用して世界で幅広く活躍する人材の育成を目指しています。誤解を招きやすいのですが、ここでいう『サイエンス』とは単なる「理系科目」といった意味ではありません。もちろん、理数科の高校であるので主体は理科・数学・情報といった自然科学の分野です。しかしそれだけに限定せず、社会科学・人文科学なども含めた幅広い教養を身に付けてもらいたい。そのような意味であえて私たちは『サイエンス』という言葉を使っているのです。一方で、たとえ『サイエンス』の力を身に付けたとしても、自分一人だけでは何もできません。だからこそコミュニケーション力、言葉の力も一緒に培うことが重要だと考えており、理数科目に加え国語・英語といった言語に関わる学問にも重きを置いています。」
「わが校は理系の学校ということで注目を集めていますが、最終的にはアメリカのように文系・理系の隔たりなく学べる学校になることを理想にしています。」
引用元:中萬学院."特集:「サイエンス」と「言葉の力」 二本柱でグローバル・リーダーを".CG’s EYE ~CHUMAN 教育情報コラム.2014-04
栗原校長
「どのような内容を学習するにしても、ベースになるのは国語力です。本校では『ことばの力』を 重視しています。感受性や人を思いやる気持ち、相手とコミュニケーションをとる力を養う上で、中学生は大切な時期ですから、国語力もしっかり身に付けていきます。」
編集部
「サイエンスフロンティアですから、理数系のイメージが強いのですが。」
栗原校長
「狭い意味で言えば理数科になりますが、本校ではサイエンスをもっと広く、物事を科学的に捉えることとして考えています。ですから、卒業生の中には 東京芸術大学に進学した生徒もいます。」
引用元:わかばナビ 注目の新設校インタビュー
栗原先生は開校準備室の際に国語の時間数を確保したと述べていたが、新学習指導要領に以降した現在も、その考え方は引き継がれており、本校は国語を中1,中2で年間35時間,中3で70時間,言語文化を高校1年次で1単位標準より多く学ぶカリキュラムになっている。
「文系」について
二代目校長の栗原先生は次のように述べている。
「この学校はサイエンスの学校だけれども、とにかくこの学校を単純な理系の学校としては決して見ないとしています。ですから、一番われわれが否定してきたのは、文転という言葉です。この学校で学んで文系の学部に行く生徒も当然出る。理系の学部に行くことが当然多いだろう。けれども、サイエンスを勉強した上で、文に行く生徒こそがこの国において非常に必要であるし、これも和田先生がよく言われるんですが、理だ文だ分けて考えるのは日本だけであると。本校はリベラルアーツをある部分、理想にしています。」
引用元:横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校附属中学校 先生インタビュー
また、公式HPにも次のような記載がある。
Q.文系の生徒は受け入れないのですか?
サイエンスに興味のある生徒であれば、本校はとても学習しやすい学校です。海外では理系・文系を問わず、数学や理科を重視している国が多くあります。
引用元:YSFHHP 受検に関すること
他の科学技術に特化した高校では「少しでも文系に行くかもしれないと考えている方は受検を控えたほうがいい」と言っている学校もあるが、本校では「サイエンスの考え方」を学んだうえで、文系の進路も想定されているというのが本校の特徴でもある。
中学1年の5月に文系を考え始めた人もいるとか。
高校3年次の授業は自由選択なので、文系進学に対応した授業を履修すれば、文系進学に対応できる。
中学1年の5月に文系を考え始めた人もいるとか。
高校3年次の授業は自由選択なので、文系進学に対応した授業を履修すれば、文系進学に対応できる。