概要
戦闘に至るまでの背景
エイクレア攻略戦に勝利した
六界連合軍だが、
フェルトビーン帝国としては、遠征軍を
バスティアーナ要塞まで引きずり込みたかった為、これは予定の行動であった。また、
シャクティアナ帝国からも、
イルザ、
ルーインという援軍が到着した為、決戦前の前哨戦へと突入していく。
まずは、
イルザと
ベスアが出陣、イルザはかつてこの土地にいた時に懇意となった山賊を操り、神出鬼没に姿を現しては連合軍の食料、補給路を襲撃した。いずれ連合軍は食糧確保の為後退、場合によっては占領した土地で食料を強奪する、そうして民衆の怨嗟を蓄積させることがイルザの目的であった。
これに対して
エリシアは、リスターンを包囲したまま、いくつかの部隊を後退させた。食料部隊の護衛と思わせて、そのまま一気に南下し、ゲルトエルトを攻め込むという作戦であった。エイクレア、ゲルトエルト、リスターンは元々二箇所を落とせば、最後の一箇所は孤立して自然と落ちる為。リスターンとゲルトエルトの順番を入れ替えても問題はないとの判断だった。
両軍の戦力
前哨戦 ゲルトエルトの戦い
不意打ちの筈だったゲルトエルトに、既に
ウィッカー、
アイリが待ち伏せしていた。彼らは地面の下に仕込んでおいた火薬を目掛けて炎の
法術を放ち爆発させると、怯んだ連合軍に向かって後方に伏せていた
イルザ、
ベスア、
ルーインが襲い掛かる。
ベレル国攻略においても、自らの策の失敗を悔やみ、自信喪失していた
エリシアは、完全に読まれていたこの作戦で一瞬茫然自失となる。
ラギの説得ですぐに陣形を立て直すと、失敗を取り戻す為、もはや命を投げ捨てる覚悟で部隊を鼓舞した。智将らしからぬこの気迫の戦いに、完全に連合軍の裏をかいた
イルザであったが、突破できずに焦りはじめていた。戦局を決定付ける最終局面まで温存したかった
ルーイン部隊を投入するも、ついに
エリシア、
ラギの防壁によって、勝利を得る為の挟撃は成し遂げることができず、城壁の戦いにおいても、当初の混乱から立ち直った連合軍の猛攻撃により、
ルカ、
アイリ、
ウィッカーが後退、ゲルトエルトは陥落した。
ラギは戦死、
エリシアは行方不明となり、第2部隊は壊滅するという多大な犠牲を払ったが、ゲルトエルトは占拠。一方、リスターンの方は、
ストライアの策略により少数だった防衛軍は壊滅した。
カルダザルスへの道
ゲルトエルトを占拠しながらも、連合軍はその町に足を踏み込むことはなくすぐに出陣した。
フェルトビーン帝国軍は、
バスティアーナ要塞で軍の再編を行っていたが、要塞はあくまでも防御の為に存在する拠点であり、六界連合軍が攻めてくれれば無敵を誇るが、進軍ルートを変えられてしまえば無力化されてしまう。その為、
チカはかねてより、決戦そのものは要塞ではなく、野戦で行われると覚悟していた。
戦闘経緯
決戦ということもあり、両軍共奮戦したが、戦いの前から既に寝返りの機会を伺っていた
ダスト、そして戦いの遥か前に密かに
エリシアに内通を約束させられていた第9部隊は、
イルザの要請にも動くことがなく、敵軍を挟撃する最大の好機を見逃した。
先に本陣を動かしたのは
チカであり、兵士を鼓舞するべく、自ら戦場に立った。戦いはいよいよ激化し、
イルザは
サウラとの激しい戦いに突入、
ベスアの援護を得た
カルザイアは、
レンゲ、
スレイマンを押し込みはじめる。
エリシアと内通していた第9部隊だったが、
エリシアがこの時戦線離脱していたことを知らず、一向にそれらしき合図が来ないことに焦りだしていた、その結果、内通のことが部下達に露見、指揮官は部下によって討たれ、第9部隊は突如戦線に参戦する。
しかし、既に挟撃のタイミングは脱していた為、アルビオス部隊がこれに対応して食い止める。
また、寝返りのタイミングがつかめないまま決戦に巻き込まれていた
ダストは、
ルカ部隊の到着をもって後退すると、戦局を見守るだけで全く行動を起こさなかった。
カルザイア、
ベスアの猛攻によって瓦解寸前まで追い詰められた
レンゲだったが、本陣
サルファーの絶妙なタイミングでの戦力投入によって
グラーバル達が到着、戦線崩壊は免れた。
この戦いは両軍が鏡合わせの様に翼を広げた陣形となり、どこか一箇所が崩れればそこから敵の侵入を許し、決壊した堤防の様に戦線が崩壊するという薄い陣形であった。
共に絶妙のタイミングで援軍が到着したが、
ダストが援軍にきた
ルカを置き去りにして自分だけが後退したのに対して、
レンゲは踏みとどまって崩れそうになる戦線を厚くした、この将の質の違いも勝敗の鍵となる。
特に、
ダストは、第9部隊と違って明確に内通していたのではなく、彼個人が「勝利なら手柄を、敗北しそうなら裏切る」と考えていただけであり、その中途半端な姿勢が、意図せず
フェルトビーン軍を内部から乱すこととなる。
内通の将を排除した
フェルトビーン第9部隊は、参戦のタイミングを脱したが、汚名返上のために奮闘、アルビオス部隊を撃退するという思わぬ戦果をあげるものの、すぐさまその穴を埋めたシルティア部隊によって壊滅させれられる。
激しい激突が続いた決戦だが、ついに均衡が破れ始める。
猛将
グラーバルは、一騎討ちでは
ベスアを追い詰めるが、部隊が半壊した為撤退、
アルビス国軍がその穴を埋めるものの、このタイミングを逃さず、
リナの号令により
フェルトビーン帝国軍は全軍突撃を仕掛ける。
だが、この命令でも
ダストは動かず、目先のことに気をとられた結果、押し戻せる筈だった中央戦線の足並みは大きく乱れた。
フェルトビーン帝国軍北部戦線は崩壊をはじめ、南部戦線も次々と部隊が撤退していった。
チカは、この現実を受け入れられずにいたが、副官に強引に撤退させられる。
そこを狙って突如反乱を起こして襲い掛かる
ダスト、既に裏切りのタイミングを脱していた為、
ゴルゴダですらこのときは
ダストに続かず撤退していったが、彼はそれに気付かず、
チカを馬から引き摺り下ろし、それまで受けた侮辱の仕返しとばかりに殴打するが、そこに撤退途中の
ルーインが駆けつけ、
ダストを討ち取る。
戦いの結末
絶対の勝利を信じていた
チカだったが、戦場での足並みの乱れから、自滅する形でこの決戦に敗北した。
フェルトビーン帝国は、自国の民衆には優しいが、周辺国には厳しく、それが故に国境での紛争が耐えなかった。この敗北に呼応して、周辺の小国は一気に連合軍を支援、
フェルトビーン帝国軍は、
バスティアーナ要塞に立てこもる事となった。
最終更新:2024年07月24日 01:56