概要

カルダザルスの戦いとは、ルーイガルド17328年8月、六界連合軍フェルトビーン帝国の間で行われたルーイガルド侵攻作戦中に起きた両軍の最大決戦となった野戦である。
ここでは、その戦いに至るまでに行われた局地戦もあわせて表記する。


戦闘に至るまでの背景


エイクレア攻略戦に勝利した六界連合軍だが、フェルトビーン帝国としては、遠征軍をバスティアーナ要塞まで引きずり込みたかった為、これは予定の行動であった。また、シャクティアナ帝国からも、イルザルーインという援軍が到着した為、決戦前の前哨戦へと突入していく。
まずは、イルザベスアが出陣、イルザはかつてこの土地にいた時に懇意となった山賊を操り、神出鬼没に姿を現しては連合軍の食料、補給路を襲撃した。いずれ連合軍は食糧確保の為後退、場合によっては占領した土地で食料を強奪する、そうして民衆の怨嗟を蓄積させることがイルザの目的であった。
これに対してエリシアは、リスターンを包囲したまま、いくつかの部隊を後退させた。食料部隊の護衛と思わせて、そのまま一気に南下し、ゲルトエルトを攻め込むという作戦であった。エイクレア、ゲルトエルト、リスターンは元々二箇所を落とせば、最後の一箇所は孤立して自然と落ちる為。リスターンとゲルトエルトの順番を入れ替えても問題はないとの判断だった。



両軍の戦力

攻撃側 守備側

六界連合軍
軍勢
フェルトビーン帝国軍

参戦国
総兵力130000 兵力 総兵力80000
サルファー 総指揮 チカ
エリシア 軍師 リナ
主要参戦者
第1部隊【六界連合軍本陣部隊】兵力8000   フェルトビーン帝国第1部隊 兵力6000

サルファー

ジャル

ガル

ロディ


チカ




第2部隊【アルビス国部隊】兵力6100   フェルトビーン帝国第2部隊 兵力4000

エリシア

ラギ

ルカ
第3部隊【ヴァン・フレイ国部隊】兵力5000   フェルトビーン帝国第3部隊 兵力2700

アゼル

ティアナ

リナ
第4部隊【アーズ国部隊】兵力7000   フェルトビーン帝国第4部隊 兵力3100

アリン

トウマ

サウラ

バッチ
第5部隊【サルディーシャ国部隊】兵力2900   フェルトビーン帝国第5部隊 兵力5200

カルス

ガディア

クルス

カルザイア
第6部隊【サザン・アイ部隊】兵力5700   フェルトビーン帝国第6部隊 兵力4100

ルティエ

レイス

サンド

ベスア
第7部隊【フレイミスト・モルコア部隊】兵力4000   フェルトビーン帝国第7部隊 兵力3500

レンゲ

スレイマン

ウィッカー

アイリ
第8部隊【クロスロード部隊】兵力3500   フェルトビーン帝国第8部隊 兵力3200

グラーバル

ミッドガルツ

マルラ
第9部隊【シルティア部隊】兵力5000   フェルトビーン帝国第9部隊 兵力2800

ジュディス

クリスアーノ
第11部隊【竜騎兵団】兵力4500   フェルトビーン帝国第10部隊 兵力2700

ロリスザード

シーナ

バルザック

エミリィ
第12部隊【獣王部隊】兵力6000   フェルトビーン帝国第11部隊 兵力2000

霊虎

ガイラス

黒狼

龍牙

ダスト
第13部隊【ケイニー・モズト部隊】兵力3500   フェルトビーン帝国第12部隊 兵力3300

マルキィ

ヴィル

サヌア

リーザス

レイア

ゴルゴダ
第14部隊【ヴァルキリア部隊】兵力3200   シャクティアナ帝国援軍第1部隊 兵力3400

ベチカ

ストライア

イルザ

パール
第19部隊【アルビオス部隊】兵力3000   シャクティアナ帝国援軍第2部隊 兵力2700


ルーイン


前哨戦 ゲルトエルトの戦い

不意打ちの筈だったゲルトエルトに、既にウィッカーアイリが待ち伏せしていた。彼らは地面の下に仕込んでおいた火薬を目掛けて炎の法術を放ち爆発させると、怯んだ連合軍に向かって後方に伏せていたイルザベスアルーインが襲い掛かる。
ベレル国攻略においても、自らの策の失敗を悔やみ、自信喪失していたエリシアは、完全に読まれていたこの作戦で一瞬茫然自失となる。ラギの説得ですぐに陣形を立て直すと、失敗を取り戻す為、もはや命を投げ捨てる覚悟で部隊を鼓舞した。智将らしからぬこの気迫の戦いに、完全に連合軍の裏をかいたイルザであったが、突破できずに焦りはじめていた。戦局を決定付ける最終局面まで温存したかったルーイン部隊を投入するも、ついにエリシアラギの防壁によって、勝利を得る為の挟撃は成し遂げることができず、城壁の戦いにおいても、当初の混乱から立ち直った連合軍の猛攻撃により、ルカアイリウィッカーが後退、ゲルトエルトは陥落した。

ラギは戦死、エリシアは行方不明となり、第2部隊は壊滅するという多大な犠牲を払ったが、ゲルトエルトは占拠。一方、リスターンの方は、ストライアの策略により少数だった防衛軍は壊滅した。


カルダザルスへの道

ゲルトエルトを占拠しながらも、連合軍はその町に足を踏み込むことはなくすぐに出陣した。フェルトビーン帝国軍は、バスティアーナ要塞で軍の再編を行っていたが、要塞はあくまでも防御の為に存在する拠点であり、六界連合軍が攻めてくれれば無敵を誇るが、進軍ルートを変えられてしまえば無力化されてしまう。その為、チカはかねてより、決戦そのものは要塞ではなく、野戦で行われると覚悟していた。

両軍は、カルダザルス平原にて対峙、六界連合軍フェルトビーン帝国軍における最大の決戦が行われようとしていた。


戦闘経緯


この戦いが決戦になることは明白であった。それ故に、戦史上の決戦がどれもそうだったように、最初は両軍はにらみ合いを続け、相手の出方を伺うと思っていた。
しかし、フェルトビーン帝国軍は、果断速攻のチカの采配によって布陣と同時に出陣、決戦はあまりにも唐突に開戦された。
四牙将カルザイアは、レンゲスレイマンと激突、レンゲはわざと後退してカルザイアを引き込み、ゲルトエルトの戦いで受けた地中火薬の策をそのままカルザイアに仕掛けた。しかし、カルザイアは炎をものともせず突撃を仕掛ける。
霊虎ガイラスビーストバリア国軍は、イルザダストと交戦、ウィッカーバッチもこれに呼応して攻撃を開始、カルダザルスの戦いは幕を開けた。


決戦ということもあり、両軍共奮戦したが、戦いの前から既に寝返りの機会を伺っていたダスト、そして戦いの遥か前に密かにエリシアに内通を約束させられていた第9部隊は、イルザの要請にも動くことがなく、敵軍を挟撃する最大の好機を見逃した。
先に本陣を動かしたのはチカであり、兵士を鼓舞するべく、自ら戦場に立った。戦いはいよいよ激化し、イルザサウラとの激しい戦いに突入、ベスアの援護を得たカルザイアは、レンゲスレイマンを押し込みはじめる。


エリシアと内通していた第9部隊だったが、エリシアがこの時戦線離脱していたことを知らず、一向にそれらしき合図が来ないことに焦りだしていた、その結果、内通のことが部下達に露見、指揮官は部下によって討たれ、第9部隊は突如戦線に参戦する。
しかし、既に挟撃のタイミングは脱していた為、アルビオス部隊がこれに対応して食い止める。
また、寝返りのタイミングがつかめないまま決戦に巻き込まれていたダストは、ルカ部隊の到着をもって後退すると、戦局を見守るだけで全く行動を起こさなかった。
カルザイアベスアの猛攻によって瓦解寸前まで追い詰められたレンゲだったが、本陣サルファーの絶妙なタイミングでの戦力投入によってグラーバル達が到着、戦線崩壊は免れた。


この戦いは両軍が鏡合わせの様に翼を広げた陣形となり、どこか一箇所が崩れればそこから敵の侵入を許し、決壊した堤防の様に戦線が崩壊するという薄い陣形であった。
共に絶妙のタイミングで援軍が到着したが、ダストが援軍にきたルカを置き去りにして自分だけが後退したのに対して、レンゲは踏みとどまって崩れそうになる戦線を厚くした、この将の質の違いも勝敗の鍵となる。
特に、ダストは、第9部隊と違って明確に内通していたのではなく、彼個人が「勝利なら手柄を、敗北しそうなら裏切る」と考えていただけであり、その中途半端な姿勢が、意図せずフェルトビーン軍を内部から乱すこととなる。


内通の将を排除したフェルトビーン第9部隊は、参戦のタイミングを脱したが、汚名返上のために奮闘、アルビオス部隊を撃退するという思わぬ戦果をあげるものの、すぐさまその穴を埋めたシルティア部隊によって壊滅させれられる。

南部戦線においては、部隊の指揮をエミリィに譲渡したロリスザードシーナサヌア傭兵団に合流、マルキィの的確な指揮により敵軍の主力を次々と撃破し、ついにはサヌアが指揮官ウィッカーを討ち取るが、これまでダストとは違う意味でこの決戦を静観していたルーインが突如突入、サヌア達に襲い掛かる。
また、ゴルゴダは、混乱に乗じて指揮官を暗殺し、部隊の主導権を握るものの、サルディーシャ部隊の前にこれといった戦果もあげられずにいた。


激しい激突が続いた決戦だが、ついに均衡が破れ始める。
猛将グラーバルは、一騎討ちではベスアを追い詰めるが、部隊が半壊した為撤退、アルビス国軍がその穴を埋めるものの、このタイミングを逃さず、リナの号令によりフェルトビーン帝国軍は全軍突撃を仕掛ける。
だが、この命令でもダストは動かず、目先のことに気をとられた結果、押し戻せる筈だった中央戦線の足並みは大きく乱れた。


敵の総攻撃が散漫なことに気付いた六界連合軍は、ジュディスクリスアーノ霊虎が防御ではなく攻勢に出て、この総攻撃に真正面から牙を剥く。
ルカは、龍牙によって討ち取られて戦死、イルザも限界に達して後退した。


フェルトビーン帝国軍北部戦線は崩壊をはじめ、南部戦線も次々と部隊が撤退していった。
チカは、この現実を受け入れられずにいたが、副官に強引に撤退させられる。
そこを狙って突如反乱を起こして襲い掛かるダスト、既に裏切りのタイミングを脱していた為、ゴルゴダですらこのときはダストに続かず撤退していったが、彼はそれに気付かず、チカを馬から引き摺り下ろし、それまで受けた侮辱の仕返しとばかりに殴打するが、そこに撤退途中のルーインが駆けつけ、ダストを討ち取る。


戦いの結末

絶対の勝利を信じていたチカだったが、戦場での足並みの乱れから、自滅する形でこの決戦に敗北した。
フェルトビーン帝国は、自国の民衆には優しいが、周辺国には厳しく、それが故に国境での紛争が耐えなかった。この敗北に呼応して、周辺の小国は一気に連合軍を支援、フェルトビーン帝国軍は、バスティアーナ要塞に立てこもる事となった。


最終更新:2024年07月24日 01:56