登録日:2010/08/12 Thu 00:10:31
更新日:2025/03/20 Thu 17:49:26
所要時間:約 5 分で読めます
名字はイタリアのファッションハウスから。
CV:松原大典(ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル) 、川島得愛(テレビアニメ版)
演:Alfredo Chiarenza(実写ドラマ版『岸辺露伴は動かない』)
【概要】
杜王町の霊園近くに一風変わったイタリア料理店
『トラサルディー』を構えるイタリア人で、その正体は
スタンド使い。
至高の料理を求めて世界中を旅してきた料理人で、旅の途中スタンドを発現した。
トニオ曰く、故郷のイタリアでは自分のような若造では店を持つことなど許されないらしく、
競争が激しい分自由もあり、異国の料理に寛容な日本に可能性を見出し、遠路はるばる来日し、杜王町で店を構えたとのこと。
そして、その店に
東方仗助と
虹村億泰が客として来店したことがきっかけで、彼ら以外のスタンド使いとも関わりを持つことになった。
彼の作る料理は作者の画力やグルメ漫画も裸足で逃げ出す億泰の解説も相まって実に美味しそうである。
ちなみに料理の味についてはスタンド能力とは関係なく、純粋に彼の腕前によるもの。
彼の出す料理は億泰たちはもちろん、
スピンオフ『
岸辺露伴は動かない』で
あの岸辺露伴が絶賛するほどに美味らしいが、
スタンド能力の効果が発揮されると、料理を食べた者の体に、一時的とはいえ明らかに自然現象では有り得ない異常をきたすため、
初めてその様を見た仗助はトニオが『
レッド・ホット・チリ・ペッパー』が放った刺客の一人で、スタンド攻撃で億泰を殺そうとしていると誤解していた。
また、トニオはスタンドとは別に、他人の両手を見るだけでその人の抱える肉体の不調・異常を全て把握する特技を持っており、
来店した客の手を確認し、そこから得た情報を元に、客が健康になるような料理を調理・提供する。
そのため、彼の店に献立表は無い。「客を見て料理を作る」という、字面だけだと若干語弊があるスタイルが基本である。
さらにその際、客の身体の不調や異常を確認はするが、味の好き嫌いは聞かないため、
本編では辛いモノが苦手な億泰に、
唐辛子が入った辛めのパスタを出してしまっているが、
億泰は「無理」と言いつつもパスタに手を付け、「食べられないはずなのに」と言いつつほぼ完食しており、
多少の好き嫌いならば問題なく夢中になって食べてしまえるほどに彼の料理は美味しい様子。
一応「辛いのはダメ」という億泰の言を聞いて謝罪し、「パスタの代金はいただきません」と答えていることから、
客が苦手、あるいは嫌いなものを出してしまった時には、その料理の代金は貰わないという対応を取るようだ。
また、完全に健康体の客が来店した場合は、その客のリクエスト料理や、いわゆる「本日のおすすめ料理」みたいなのを振る舞ってくれる模様。
ちなみに、コースの値段は内容に関係なく一律で決まっているようであるが、仗助は彼の店で「一番高いメニュー」を食べるのが夢との事なので、
代金に応じて質なり量なりを調節しているのかもしれない。
恐らく従業員を雇う余裕がまだ無いのに加えて、特殊な注文システムのせいか、トニオが一人でコックとウエイターを兼ねているため、
自身のキャパシティーを考慮してか、彼の店は小さく、テーブルも二つしかない。
また、日本語に慣れていないのか「いらっしゃいマセ」といったように台詞の端々が片仮名になることがあるが、
日本語でのコミュニケーション自体は問題なく、日本語での「メニュー」の意味を訊き返していたくらいである。
そんなトニオだが、いつも柔和な笑顔を絶やさない穏和な人柄の持ち主で、
客に自分が作った良い料理を食べさせ、快適になって貰うことが最高の喜びで最大の幸せと語る料理人の鑑。
その一方で自分なりの料理道を究めるという意志は凄まじく固く、そこには一切の妥協が無い。
若くして世界各国を冒険して、自身の料理の「味」のみならず「健康面」も追及しており、
東洋の漢方医学やアマゾンのメディシィンマンの薬学を修めている等、美味と健康、幸福の調和を目指して日夜研鑽を重ねている。
また、「故国では自分のような若造が店を持つことは許されない(=だから若造でも店が持てる日本に来た)」「自分は一部の気取った食通が食べるような料理は出さない」など、
言葉の端々から『ジョジョ』の登場人物の例に漏れない特有の「ロックなトゲ」を感じさせることがたまにあり、
表面には決して出さないが、その内面には料理人としての強いプライドを秘めているのがわかる。
パラレル時空の可能性もあるが、『岸辺露伴は動かない』では大切な人の病気を癒すために決然と密漁という違法行為に踏み切る
「覚悟」も見せており、
出番こそ少ないが、単に「良い人」なだけで片づけられない深みのある人物である。
こちらもパラレル時空の可能性があるが、
元貴族かつ弟がギャングの麻薬チームにいるのも納得するものがある。
己のプロフェッショナリズムの結晶としてスタンド能力が発現した第4部ならではの背景を持ったキャラクターであり、
これまで殺し合いの道具か呪いのようなネガティブな形でしか描写されなかったスタンドに「プロ根性の象徴」というポジティブな側面を持たせた草分け的な存在。
また、『ジョジョ』シリーズでも割と珍しく、第四部では始まって以来となる、
「怪しい雰囲気ではあったが結局敵意は一切なく、むしろこちらにとって良いことづくめでしかなかった」という形で終息する彼の登場エピソードは、
シリーズを通しても個性とクオリティが両立したマスターピースとして読者から大いに評価されている。
なお、同エピソードの「料理を食べると体調が劇的に回復する」というくだりの元ネタは筒井康孝の短編小説「薬菜飯店」と言われている。
当然ながら衛生には人一倍気を遣っており、仗助が手も洗わずに無断で厨房に入り込んできた時は、
彼に悪鬼の如き形相で振り返り問答無用で包丁を投げつけるという過激なリアクションを取ったことがある。
その際投げた包丁が柱に半分ほど突き刺さっていた。料理人の体力は超人的である。
しかし一方で、厨房の脇にある殺風景な小部屋(倉庫?)に自身の料理の実験台を兼ねて子犬を一匹飼っており、
「厨房のすぐ隣の部屋で雑菌だらけの犬を飼うのは良いのか」という点は読者によくつっこまれる。
ちなみに、彼の登場エピソード『イタリア料理を食べに行こう』は、4話に渡って億泰はトニオの料理を食べて舌鼓を打ち続け、
仗助は勝手にトニオを疑って料理の材料を調べたりと空回りし続けるだけで、スタンドバトルは一切無いという異色のエピソード。
その上、自分も注文したモッツァレラチーズとトマトのサラダは最後まで持ってきてもらえず(カプチーノはよく見ると億泰の1品目の際に確認できる)、
挙げ句(自業自得とはいえ)台所掃除までさせられるというなんとも仗助にとってトホホな結末になるという、実に『ジョジョ』らしい奇妙な展開。
なお、仗助の方を擁護しておくと、この時の仗助は敵スタンド使いとの戦いの連続で、
「自分達以外のスタンド使いはみんな敵」とかつての『ジョースター・エジプトツアー御一行様』の時の
空条承太郎のような疑心暗鬼に陥っていた。
包丁を投げつけられた際には応戦体勢に入っており、トニオが石鹸を出すのが遅かったら大惨事になっていたかもしれない。
そんな仗助にとって「トニオさん」との出会いは、その誤解を解く上でも重要なエピソードであると言えるだろう。
ちなみに、アニメ版では億泰のリアクションに釣られて仗助も注文した「モッツァレラチーズとトマトのサラダ」を作る場面がちゃんと写っており、
仗助はキッチンの掃除後、バイト代代わりに夕食をごちそうしてもらったようである。
それからは仗助もトニオさんの料理にハマったようで、いつか
彼の店で一番高い料理を食べるのが夢な様子。
その後もちょい役で何度か登場しており、仗助たちも彼の店の常連になっているようだ。
更にアニメ版での最終回では、億泰が父親(と猫草)と一緒に食べに来たり、
噴上裕也も取り巻きの3人娘と一緒に来るようになったりと、お店は以前にも増して賑やかになったようだ。
ちなみに某ボスが主役のとある二次創作ゲームでの役回りからファンからは
『恐怖の店長』の通り名で知られている。
本wikiでは二次創作作品については語れないので詳しくは他サイトで。
◆とある日のメニュー
客は億泰。
仗助は単に彼に付き合っただけで、お腹が空いていなかったのでカプチーノのみを注文した。
億泰は
兄・形兆を殺された心労や、父親の特殊な状態やその世話などで苦労しているためか、
睡眠不足・肩こり・虫歯・下痢・水虫と、全身あちこちに体調不良を来していた。
そのうち、睡眠不足を解消させた後述のミネラルウォーターは仗助にも提供され、口にしているが、
仗助は昨夜バッチリ睡眠を取っていたらしく、身体に異常は起こらず、水の美味さに驚くだけで終わっている。
なんつーか 気品に満ちた水っつーか
たとえるとアルプスのハープを弾くお姫様が飲むような味っつーか
スゲーさわやかなんだよ…
3日間砂漠をうろついて、初めて飲む水っつーかよぉーっ
〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜
プハァ-ッ ン ま あ ~ ~ ~ い ! !
アフリカ・キリマンジャロの5万年前の雪どけ水。
とても美味しいらしく、仗助も億泰ほど大袈裟ではないが「こりゃ確かにウマいぜ」と感心していた。
飲むと感動のあまり眼球が萎むほどの涙が出る。
効能:睡眠不足の解消
ゥ ン ま あ あ あ ~ ~ ~ い ! !
こっこれはああ~っこの味わあぁ~っ
サッパリとしたチーズにトマトのジューシー部分がからみつくうまさだ!!
チーズがトマトを!トマトがチーズをひき立てるッ!
イタリアで最も代表的な前菜の一つ。
「カプレーゼ」という名前でも知られる。
単体ではごく普通の味わいのモッツアレラチーズと
トマトを一緒に食べることで素晴らしいハーモニーが生まれる。
あまりにも億泰が舌鼓を打つせいで仗助も食べたくなったらしく、様子を見ていたトニオに自分の分を注文している。
食べるとチーズのカルシウムとトマトのビタミンの効果で喉にある甲状腺が活発化、新陳代謝がよくなり、
ソフトボール大の垢が出る。
ファミリーレストラン「
サイゼリヤ」では、「モッツァレラトマト」という名前で供されており、気軽に食べることができる。
このエピソードのおかげで、同メニューが人気メニューになってるとかいないとか……
2019年に同メニューのトマトが刻まれたものになった際には、多数のジョジョファンが悲しみの声を上げた。
さらに今度はチーズだけとなってしまったが、2025年時点では少々見てくれは変わったものの、「バッファローモッツァレラのカプレーゼ」として復活を果たしている。
効能:肩凝りの解消
そ…そうなんだよな… 食えるはずがねえーんだよなこんなカライの! でも思わず食っちまった…
クセになるっつーかいったん味わうとひきずり込まれるカラさっつーか…
たとえると『豆まきの節分』の時に年齢の数だけ豆を食おうとして大して好きでもねぇ豆をフト気づいてみたら一袋食ってたっつーカンジかよぉ~っ!
うわああああはっ腹が空いていくよお~っ!食えば食うほどもっと食いたくなるぞッ!
こりゃあよおーッ!!!
ン ま あ ~ ~ ~ い ! !
イタリア料理史上最も古くからあるパスタの一つ。「プッタネスカ」とも。
「娼婦風」の由来については、劇中で紹介された「食事もロクにできない程の忙しい娼婦が在り合わせの食材で作った」の他にも、
「娼婦が客に振舞ったもの」「娼婦の様に刺激的な味わい」「娼婦と同じでたまになら美味しく頂けるが毎日だと飽きる」など諸説ある。
唐辛子が入っているが、辛いものが駄目な人でも大丈夫。にんにくを使ったパスタには通常チーズをかけないが、これは例外でかけて食べる。
億泰はすごい勢いで食べていたが、後述の歯の異常を怪しんだ仗助の『クレイジー・ダイヤモンド』により調理前に巻き戻されたため完食できず。
食べると虫歯が勢いよく抜け飛び、その跡に正常な歯が新たに猛スピードで生えてくる。
効能:虫歯の治療
ガマンできねぇッ ハラがイテーけど食わずにはいられねーっ
リンゴソースの甘ズッパさと子羊の肉汁がのどを通るタビに幸せを感じるッ!
こんな味がこの世にあったとはァーーーッ 幸せだァーーーッ
幸せの繰り返しだよぉぉぉーーー!
ン ま あ ~ ~ ~ い ! !
トニオ秘密の味つけが際立つ一品。
果実をソースにするという技法はイタリアンではなくフレンチのものであり、彼の国境を問わない料理修行や研究の成果を感じられる逸品。
付け合せにはアスパラガス。
食べると
腹が裂けてハラワタをぶちまけた後、噴水の如く血ヘドを噴き上げて下痢気味の腹が治る。
試食として同じくお腹の調子が優れなかったペットの子犬に食べさせていたがこちらも問題なく、
億泰同様に
内臓が飛び出し吐血した後、元気いっぱいに回復していた。かわいい。
効能:胃腸の調子を調える
デザートはプリン~?
ケッ! オレは不良だよ…!
『プリン』なんて女子供の食うものなんてチャンチャラおかしくて…
ン ま あ ~ ~ ~ い ! !
正式名称はイタリアンプリン。
女子供の食う物だと笑うなかれ。トニオさんこだわりの厳選素材の逸品。
ちなみにここでは喰わず嫌いしていた(もしくはヤンキーっぽくカッコつけてただけか?)が、
元来億泰は甘党で乳製品やアイスクリームが好きなためか、食べた瞬間即落ち2コマの如く熱烈な掌返ししていた。
そして常連客宣言してのけた
効能:水虫が治る
チックショー 億泰のヤツゥ…
アイツ結局いい目にしか遭わなかったのかぁ…
料理食った訳でもねーのに付き合わされてこんな事(掃除)してるオレの立場は?
ん? あなた、手が止まってマスよ?
クッ、クゥ〜… 情けねぇ…
【スタンド】
スタンド名:『パール・ジャム』
破壊力-E
スピード-C
射程距離-B
持続力-A
精密動作性-E
成長性-C
体長数ミリ〜1cm程の、顔のついた果実のような本体から腕が生えたデザインの群体型スタンド。
一応自我があるようで、「メッシャァーッ!」と鳴く。
数は無数にあり、空中に浮かんで移動するほか、トニオの作った料理の中にもこっそり紛れ込んでいる。
スタンドなので一般人には見えないし、食材ごと食べられても特にダメージや本体へのフィードバックは存在しない。
スタンド名はアメリカの同名バンドから。名前は単行本で明かされた。
◆能力
「医食同源」という言葉の通り、料理に混入して食べた生物を健康にするという、
仗助の『クレイジー・ダイヤモンド』とは異なるベクトルで『なおす』能力を持つスタンド。
健康な人には同じ料理を食べても治癒効果は現れない。ただのンまぁ~い料理である。
ちなみに、食べて少しすれば体調が劇的に改善されるとはいえ、食べた直後は味に感動する当人同様、治癒する部位も凄まじいオーバーリアクションを取るのだが、
- 肩からソフトボール大の垢が出る
- 凄まじい勢いで歯が生え変わる
- 胃腸が腹を突き破って飛び出る
等など、明らかに激痛に襲われる、あるいは死んでもおかしくないような反応を引き起こしながらも、
実際にこれらの反応が起こった億泰は(リアクション後は)特に気にせず、体調の改善に感動するだけに終わっており、
体内に取り込んだスタンドが、これらのリアクションの痛みなどを緩和させるか、異常を気にさせない効果を発揮している可能性はある。
ただ、流石に「胃腸が腹を突き破って飛び出る」反応が起こった際には一時的に気絶していた。
料理の美味しさに感激しすぎて気にならなかった可能性もあるが、垢については家族旅行で行った温泉で同じような経験があったらしいので、
仮にスタンド自体に異常を気にさせない効果が無かったとしても、億泰は素で気にしていなかった可能性は高い。
また、「肩を執拗に引っ掻く」「腹が内部から突き破られる」という、どう考えても流血・重症が避けられない反応を起こしても、
スタンドを料理と一緒に体内に取り込んだ者の体調が改善される頃には何故かそれらの傷まで完治している。
特に後者は血反吐を吐いたりもしていたが、どうやって治ったのだろうか……
難点はあくまで治癒できる症状は食材の本来持つ薬効に大きく左右される事。
『パール・ジャム』をただ適当に料理の中に入れてればいい訳ではなく、本体の薬膳の知識・腕前はもちろん、客の症状毎にその人物に合った料理を作る必要がある。
余談だが、「料理を食べた生物を健康にする」という能力から、虹村父を人間に戻せそうなスタンド候補としてファンの話題に時折上っており、
それを受けてかアニメ版の最終話ではトニオの店に億泰が父を連れて来店し、料理を食べさせるシーンがあったのだが、
食後に虹村父は猛烈な痒さに襲われて身体を掻き毟り始め、億泰が期待の目で見つめる中、化け物の姿のまま肌ツヤが良くなるという結果に終わった。
『パール・ジャム』はあくまでも対象を健康にする能力なので、「健康な化け物にする」効果しかなかったものと思われる。
そんなこんなで当初の目論見は外れたものの、健康になって嬉しそうな父の様子に「まあいっか」とこぼす億泰の姿はなんとも微笑ましい。
なお、作中での彼の発言から、第四部に登場するスタンド使いの中では珍しく、
矢がスタンド発現に関わっていないことが分かっている。
仗助に治せない対象・状態があるように、トニオの料理にも健康にさせられない症状があるのかについては作中では語られていないが、
後述の『岸辺露伴は動かない』にて、大病を患っているトニオの彼女は、症状が重篤過ぎてトニオのスタンド能力だけでは治せず、
「通常では手に入らない最高級の食材を用いれば治せるのではないか」と考え、藁にも縋る思いでその食材がある杜王町を訪れたと語られており、
スタンド能力だけで治せる症状には限界があるが、料理の食材如何では通常治せない症状も治せる可能性があると思われる。
長々と書いたが、つまるところは前述した「治癒できる症状は食材の本来持つ薬効に大きく左右される」という話に帰結する訳である。
【本編以外での活躍】
蓮見琢馬と双葉千帆が来訪。
サラダを食べると大量の鼻水が出て鼻づまりがスッキリし、パスタを食べると咳き込んだ末に肩こりが治るという、本編に比べると幾分マイルドなリアクションだった。
恐らく文章だけの小説では本編のようなリアクションを表現するのが難しかったのだろう。
また、琢馬が耳にした噂話では、治る見込みのなかったガン患者がここの料理を食べたことで快癒したという。
本人の登場はないが、元貴族出身という事実が判明。
本名は「アントニーオ・ヴォルペ」で、トニオという名前は愛称(トニーとかアントンとかそんな感じ)。
ヴォルペ家の跡継ぎだったが、元々ヴォルペ家は破産寸前で父親の性格も最悪だった為、家に愛想を尽かし料理人になることを決意。
父にその意思を理解されず勘当され、母方のトラサルディー姓を名乗っている。
世界中を旅している最中に『パール・ジャム』をいつの間にか身に付けたとは本人の弁だが、
実際は弟マッシモ・ヴォルペがスタンド『マニック・デプレッション』を発現した際に、兄弟故か発現した能力。
ただし、トニオ本人がこの事実に気付いているかは不明(マッシモは兄がスタンド使いになったことを確信している)。
ちなみにマッシモの『マニック・デプレッション』は『パール・ジャム』と同質にして対極のスタンドで、過剰に使えば対象が死ぬ。
あちらは「物質を麻薬に変える」スタンドであり、「主に食材(あちらは塩)に対して使用することで」「摂取した者の身体能力を活性化させる」点が共通。
マッシモは「(同じ身体能力の活性化でも)あの兄のことだから、"健康的な料理を作る"といった、夢のある能力になったんだろう」と、別れてから一度も再会していないにもかかわらず的確に推測していた。
トニオも別れ際にマッシモに対して忠告をしていることも含め、兄弟仲は良かった模様。
本編では訪れるシーンがなかったが、露伴も常連である事が判明。
彼にしては珍しく「美味すぎる」「感動させていただいた」とトニオの腕前やその料理を絶賛しているが、「故郷ではなく杜王町で店を開いている」ことは気に入らないらしい。
前から言っているのか、割と失礼な発言だがトニオはさらっと流していた
そのトニオから、『パール・ジャム』でも治せないほど重い脳腫瘍を患い、車椅子から立つこともできないという彼の恋人・ヴェルジーナのことを話され、
そんな彼女を治せるかもしれない、世間一般には流通していない、杜王町で採れる最高級クロアワビの「密漁」の手伝いを頼まれた露伴は、
二回ほど渋る態度を取った自分に臆さず「密漁をする」と言い切ったトニオの姿勢に「だから気に入った」と告げて手伝いを承諾。
文献を調べてそのクロアワビが採れるという「ヒョウガラ列岩」に向かい、死にかけながらもクロアワビを手に入れた。
ちなみにトニオはとある事情で密漁開始後すぐに昏倒させられていた
その後、そのアワビで作った料理で、ヴェルジーナは立って歩けるほどに回復した模様(恐らく完治したか、医療で解決できるレベルに病状が良くなったと考えられる)。
なお、協力した露伴はそのアワビで作った料理を自分も食べる事ができると期待していたようだが、出てきたのは後述のタコ料理だったため、思わず文句を言おうとしたが、
回復したヴェルジーナと共にいるトニオの姿を見てそれ以上の追求を止め、タコ料理に舌鼓を打つのであった。
◆登場したメニュー
薄く切られた半生のアワビと細かく刻まれた冬瓜と摩り下ろしたとろろいもが具材のリゾット。
和の食材を伊の調理技術で調理するという、二つの文化の調和が光る逸品。
前述のミネラルウォーターと同じく、目が溶けるほどの涙を流す。
クールな露伴がキャラを忘れて派手にリアクションを取るほどにおいしい。
効能:疲れ目がスッキリする
実は殺人生物だったクロアワビを撃退するために利用したタコ君の成れの果て。命の恩人でも食材は食材
露伴や仗助、億泰、康一に振舞われた。
効能:食べたところで漫画が終わったため不明。
ヴェルジーナの脳腫瘍を治療するためにトニオは何かしらの料理を作ったはずだが、詳細は不明。
【実写ドラマ版『密漁海岸』での設定】
実写ドラマ版では『ジョジョ』本編未視聴の視聴者も問題なく見られるように、露伴とトニオはこの回で初対面という設定になっている他、
前半部分は原作の『イタリア料理を食べに行こう』をベースとした、トニオのキャラ紹介パートとなっている。
また、ドラマシリーズでは「スタンド」が登場せず、本編におけるそれらの能力が「ギフト」や「怪異」に変更されているが、
トニオの『パール・ジャム』もその例に漏れず、彼が瀕死状態から奇跡的に回復した時に得た「天から授かった能力」とされている。
トニオ自身も、原作で彼が語った「医食同源」の話に基づく、有毒の食材を用いた薬膳料理を作りだすスペシャリストという設定になった。
さらに、彼の得た「能力」も「相手の手を見て体調を読み取る能力」に変更され、体調改善効果はあくまで彼の作る料理の効能となっている。
能力の目覚めに伴い体調改善効果も増したと言及されてはいるが、あくまで能力の副産物のようである。
能力発言の経緯も、メキシコで料理研究の際に服用したサソリの毒で生死を彷徨った後に能力を得た、となった。
そのサソリ、尻尾が矢じりみたいな形になっていなかっただろうか。あるいは、『悪魔の手のひら』で飲んだのか。
それ以外は概ね原作準拠となっており、彼の料理を食べると身体の不調が劇的に改善されるが、
涙が滝のようにあふれて寝不足が改善したり、虫歯が吹き飛んだあと生えてきたりと、改善の際にどう見てもヤバい現象が起こる。
……つまり、ドラマ版の彼の料理は露伴の人間離れした作画能力と同枠であり、
純粋な調理技量だけでどこぞの五行道士染みた怪奇現象を起こしている事になる。
また、彼の周辺の設定も多少変更され、恋人は来日時に出会ったパティシエの日本人女性「森嶋初音」(演:蓮佛美沙子)となり、
飼っている子犬にはかわいらしい外見に似合う
イタリア語で天使を意味する名がついた。
ちなみに、原作におけるトニオの料理を食べた億泰のリアクションや料理批評はドラマ版でも再現されており、
本作では登場しない億泰に代わって、それらを店を訪れた露伴と
泉京香が交互に行っているが、原作以上にシュールさとホラー度が増しており、
「サイモンとガーファンクルのデュエット!」などを口走る高橋一生&飯豊まりえ……もとい露伴たちのリアクションに視聴者たちは笑いつつ、
「欲しいスタンドの一つだったけど、食べているテーブルであのリアクションが実際に起きる絵面を想像してなかった」
「(上述の毒食材も併せて)こんな料理作ってたらそりゃイタリアや街中で料理店開けないわ……」
といった感想を漏らし、相対的にパール・ジャムの評価が下がる珍事が起きたとか。
確かに原作だと漫画だったこともありマイルドになっていたが、涙が滝の様に出たり、体を掻きむしって垢がボロボロ出たり、歯が抜けて飛んでいったりとかする中で落ち着いて食事ができるかと言われるとまず難しい。
ただ、毒食材に関しては原作でそのような言及はなく、ドラマ版オリジナルの設定(だと思われる)ので、
原作にない設定で、原作にしか登場しないパール・ジャムの評価が下がるのは理不尽と言えなくもない。
余談だが、前半パートで出た料理は『イタリア料理を食べに行こう』のそれと同じなのだが、原作とは違って「カプレーゼ」や「プッタネスカ」と正式な料理名で紹介されている。
連載当時から放送時点までで、どれだけイタリア料理が日本人に浸透したかが地味に分かる演出……と言えるかもしれない。
プッタネスカに関しては単にNHKで「娼婦風」という言葉を流せなかっただけかもしれないが。
◆ドラマ版の献立表
漫画版との差異のみ記載する。
なお、登場する有毒食材は真似すると危ないので全て架空のものである。
ふっかふかのベッドで10時間熟睡して目覚めたような爽快な気分ですッ!
上述のように、ドラマ版では料理に使われた有毒の食材と、その毒を「薬」レベルまで中和する食材によってこれらの怪奇現象……もとい薬効が発生するのだが、
この水を飲むまでは特に露伴たちは警戒していなかったこともあり、どういった「毒」が入っていたかの言及はない。
飲んだだけでボウルがいっぱいになるほどの涙を垂れ流す(睡眠不足の場合限定)なんて、どう考えてもヤバいものが入ってるとしか思えないのだが……
あるいはアワビと同様、毒という括りでは語れない特別な何かがあるのだろうか?
有毒食材はシチリアバジルモドキ。
ミネラルウォーターの一件を見て訝しんだ露伴がトニオに毒見を頼むが、トニオは躊躇い無く食べ、何も起こらず。
そんな一幕を挟んでいよいよ食べた露伴は、その味にかつてなく興奮してキャラに見合わない饒舌な語りで感動を表現するが、
直後に肩に異常が起こり、新陳代謝の促進によって出た大量の垢を転げまわりながら搔きむしることになるのであった。
効能:肩こりの改善
有毒食材はシビレエゾバイという巻貝。
アホの億泰と違って泉はこれまでの料理が引き起こした超常現象にドン引きしていたのだが、
それでも山の神にお叱り食らいそうな勢いで口を付けずにはいられなかった一品。
突然虫歯だった奥歯が飛び出た後、急激な勢いで新しい歯が生えてくるという異常に泉と露伴は改めて戦慄することになるが、
それはそれとして、緊急事態とはいえ異性(泉)の口内を真剣に覗き込む露伴という絵面のシュールさに笑ってしまった視聴者も。
料理の異常性の正体を知るきっかけとなる料理という点は原作と同じだが、スタンドのないドラマ版では露伴が貝殻から有毒の貝だと気づく描写になっている。
ハアーッ!
ハア…最高の気分だよ。
空腹感が満たされているのに軽くて爽快だッ!
有毒食材はデビルポルチーニで、毒素の内容については露伴曰く「毒の見本市」とのこと。
口にした直後に露伴は苦しみ出し、目を開けたまま昏倒するという、どう見ても毒殺されたようなリアクションを見せたが、
唐突に意識を取り戻すと、とても満足した様子で(おそらく)腹の具合が良くなったことを告げた。
効能:(恐らく)胃もたれの改善
漫画同様、クロアワビを撃退するために利用したタコ君の成れの果て。命の恩人でも食材は食材
ドラマ版ではアワビを密漁する代わりにこの蛸のみを確保して調理し、密漁にならない様にしている。
露伴曰く「このタコもクロアワビをたらふく食ったのだから、生物濃縮によりクロアワビと同じ効果が期待できる」とのこと。
効能:脳腫瘍の治療
ドラマ版のみに登場するイタリアの伝統的なお菓子。
初音の快気祝いにトニオ……ではなく、初音自身がパティシエとしての技量を発揮して作った一品。
そのレシピは、修行も兼ねて世界各地で美味しいものをたくさん食べてきたと語るトニオが、「これを超えるものは見つからなかった」と言って憚らない、彼の故郷のママの味を再現したもの。
母の味も、それを作ろうと努力してくれた思い人も、彼にとっては間違いなく「誇り」なのだろう。
◆余談
東京・府中に居を構える、その名も「イタリア料理を食べに行こう」というレストランがある。
言わずもがな店主は本作の大ファンであり、億泰が食べていた「あのコース」を再現したメニューも取り扱っている。
実写版でトニオを演じたAlfredo Chiarenza<アルフレッド・キアレンザ>氏はイタリアのシチリア出身の俳優で、イタリア語の他に英語と日本語も話せる(本人曰く「勉強中」)。
ファンからも容姿が原作のトニオにそっくりと話題になった他、俳優業の傍らパーソナルトレーナーとしても働いており、栄養学に関する知識も豊富と、色々な意味でうってつけ。
ネット上では、億泰本人が演じているとまで言われたアニメ版の億泰と並び、
もはや原作の世界からトニオさんを連れてきたとまで言わしめた。
制作陣のキャスティングの見事さと制作に掛ける情熱には感心するほかない。
- 実写版ではスタンドが存在しない世界なので毒を薬に転化させるという別ベクトルですごい人になっちゃったよ -- 名無しさん (2024-05-06 15:59:40)
- 『トリコ』の世界とめちゃくちゃ相性よさそうな能力。ただでさえやばい食材が大量にあるのに、この人の力合わせたらどうなってしまうのか。 -- 名無しさん (2024-05-10 20:51:38)
- この人の料理食べてみたい -- 名無しさん (2024-05-10 20:53:41)
- 密漁海岸、楽しみだ -- 名無しさん (2024-05-10 21:10:58)
- ある意味では破魔八陣の使い手となった実写版トニオ -- 名無しさん (2024-05-11 07:58:02)
- 手の具合から体調を見るのが能力で、料理の効能はブーストかかってるだけで本人の技量ってそれはそれでとんでもないぞ… -- 名無しさん (2024-05-11 11:47:36)
- 実写ではサソリに刺されて能力が開花したって言ってたけど…トニオさん、もしかして刺された場所って『悪魔の手のひら』って地名じゃありませんでした? -- 名無しさん (2024-05-11 12:12:45)
- 矢尻のようなトゲを持ったサソリだったのかもしれない -- 名無しさん (2024-05-11 12:37:42)
- ドラマ版は結局アワビは採らなかったんだろうか -- 名無しさん (2024-05-12 03:55:43)
- ↑ どうも「動機はまともでも、密漁を正当化するのはコンプラ的によろしくない」という配慮っぽい -- 名無しさん (2024-05-12 13:12:50)
- タコは冒頭に出てきた禁漁区の立て札で禁止されてなかったから、実は採っても密漁にはならないんだよな -- 名無しさん (2024-05-12 23:57:38)
- やむにやまれぬ事情があるとはいえ人の健康と幸せを願う料理人から「密漁」というワードが飛び出すとは(露伴先生もノリノリだし) -- 名無しさん (2024-05-13 02:30:02)
- 飯を食べるたびにあんなふうな大騒ぎになるなら、一組ずつになるのもやむなし -- 名無しさん (2024-05-14 06:54:59)
- 実写ドラマ放映から1週間経ってないから本文に内容書くのはNGでは? -- 名無しさん (2024-05-14 10:33:47)
- ↑初回放送は5/5なので問題ないと思いますよ -- 名無しさん (2024-05-14 10:53:22)
- しかし、実写にすると本当にヤバいな 漫画やアニメだとギャグっぽく見えたけど -- 名無しさん (2024-05-16 08:51:10)
- 実写版の演者さんは管理栄養士の資格を持っているとか… -- 名無しさん (2024-05-16 11:26:55)
- タコは漁業権設定されてない海域だからセーフだったのか…… -- 名無しさん (2024-05-16 22:34:32)
- 命の恩タコでも食材は食材なのが実にJOJO。「命をいただきます。」 -- 名無しさん (2024-05-17 19:36:25)
- パール・ジャムの評価が下がった云々は関係ないと思うが…(毒食材に関してはオリジナルで能力とは違うし、実写化すると垢がボロボロのインパクトが…みたいな話なだけであって) -- 名無しさん (2024-05-17 21:41:57)
- 「ジャンプ」は出せないのに「あしたのジョー」はいいのか -- 名無しさん (2024-05-17 21:50:14)
- 府中のレストランの再現メニューもめちゃくちゃ美味かった -- 名無しさん (2024-05-18 01:06:54)
- 昨日やっとアマプラで見たけど、ミネラルウォーターのとこ泣くっつーか吹き出てる勢いだったし、おかげであれじゃ泉くんの化粧崩れまくるんじゃ、って余計な心配をしてしまったw -- 名無しさん (2024-05-21 13:23:11)
- アワビ密漁はあかんから、アワビ大量に食ったタコ持ってくわ← -- 名無しさん (2024-05-23 11:43:37)
- コメントのログ化を提案します。 -- 名無しさん (2024-06-05 11:14:47)
- トニオさんのレストランでジョセフが舌鼓をうってたスパゲティーネーロが食べたい。 -- 名無しさん (2024-06-05 23:02:31)
- コメントをログ化しました。 -- (名無しさん) 2024-06-17 09:21:14
- タコ君のトマトソース煮 せめて美味しく食べて供養してあげたい。 -- (名無しさん) 2024-12-09 19:25:24
- 昔トニオさんが五部のイタリアの舞台でパール・ジャムを武器にしてギャングを倒していく真珠の蜜というSSあったけどどこにも見つからない… -- (名無しさん) 2024-12-11 17:07:58
- ドラマの子羊ときのこの煮込み美味しそう。 -- (名無しさん) 2025-03-20 18:33:04
最終更新:2025年03月20日 17:49