ハーメルンのバイオリン弾き(TVアニメ)

登録日:2011/04/18 Mon 21:57:30
更新日:2024/11/23 Sat 23:44:03
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100%シリアス←ギャグはない 1996年 90年代テレビアニメ 96年秋アニメ ※水曜夕方17時です。 おとぎ話の裏側は アニメ クラシック音楽 スクウェア スクウェア・エニックス スタジオディーン ダークファンタジー テレビ東京 トラウマの嵐 ハーメルンのバイオリン弾き バッドエンド ヤンデレ 不完全燃焼 人間賛歌←のアンチテーゼ 今川泰宏 原作レイプ 大きな悲劇の物語(監督談) 大人になったら意味がわかる項目 少年ガンガン 悲劇 打ち切り 救いがない 昼ドラばりの愛憎劇 田中公平 画ニメ←演出です 紙芝居 考えさせられる話 西村純二 親の因果が子に報う 誰だお前←原作ファンにとっては 賛否両論 超問題作 鬱展開 鬱展開の嵐 黒歴史



――――太古より、人と魔族の戦いは、その姿と形を変えつつ
幾度となく繰り返されてきた。
だが後に、第二次スフォルツェンド大戦と呼ばれる
聖戦の幕を、あの美しくも哀しい一曲の
バイオリン演奏が開くとは、誰が想像したであろう―――


ハーメルンのバイオリン弾きとは、渡辺道明の同名の漫画を原作としたスタジオディーンのTVアニメである。
1996年10月から1997年3月にかけてテレビ東京系列にて放送された。全25話。
監督は西村純二、シリーズ構成・全話の脚本は今川泰宏、音楽は田中公平が担当。
当初は1年かけて放送する予定だったが、大人の事情により2クールに短縮され、事実上の打ち切りとなった。
原作ファンにとって賛否両論の問題作であるため、別項目とした。


【あらすじ】

とある山間部に位置するのどかな村、スタカット村。
そこに、大きなバイオリンを抱えた青年・ハーメルと幼馴染の少女・フルートは平和に暮らしていた。
だがそれは一人の傷ついた旅人と魔物の襲来により終わりを告げる。
フルートは人類と魔族の戦いの鍵たるスフォルツェンド公国の王女であり、二つの世界を隔てた結界は崩壊したのだ。
人類のために、燃え盛る村を後にしてスフォルツェンドへの旅をすることになったふたり。
ハーメルもまた、己の正体と記憶を取り戻し、過酷な運命に立ち向かうことになる…。

【登場人物】

◆ハーメル
CV:上田祐司(現:うえだゆうじ
主人公。幼い頃の記憶がなく、気が付いたらバイオリンとオーボウと共にスタカット村に流れ着いた。
無口で無愛想だが(主にフルートに対して)穏やかで優しい性格。
旅を続けるうちに自分が大魔王ケストラーと箱を開けた聖女・パンドラの息子と知り、「人」と「魔」の間で悩み苦しむことに。
原作の卑屈っぷりが強調されており、周囲からの過酷な仕打ちや自分の魔族化体質に苦悩し、心身共に衰弱させていく。
それでも、フルートのために人として生きる決意をするが、その果てには悲劇的な結末が待ち構えていた。

◆フルート
CV:飯塚雅弓
ヒロイン。スタカット村の村娘…実はスフォルツェンドの王女。
ハーメルにもヒロインらしく大事に扱われるがその反面、原作の彼女の持ち味だったタフさをそぎ落とされ、世界を救う王女という運命に狼狽する良くも悪くもどこにでもいそうな「ただの女の子」として描かれる。
ストーリー中でも悪化する状況に狼狽し、ハーメルへの依存心を悪化させていく。
そして最終回では「女」としてある選択をする。

◆オーボウ
CV:千葉繁
ハーメルのお供の喋るカラス。
原作同様、全ての因縁と真相に気付いており、ハーメルとサイザーを救おうとするが、最終的には情よりも妖鳳族としての使命を優先させてしまう。
人間体は大柄な武人の原作とは違い、片眼鏡の紳士然としたナイスミドル。

ライエル
CV:辻谷耕司
黄金のピアノ弾き。妄想ネタなし、鼻血は一回だけ。
もともと旅芸人一座の一人だったが道中で幼馴染のハーメルと再会し彼と旅をすることに。
が、ハーメルの正体を知って以来、友情と憎悪の板挟みとなり、情緒不安定気味な態度を取る。
ある意味、復讐者として登場し、その後愛と友情に殉じた原作版とは真逆のルートを辿った人物。

◆トロン・ボーン
CV:小島朋子
剣技の国、ダル・セーニョの第56代王子。原作から泣き虫、ワガママ成分を取り払い、王子としての自覚をより付けさせた。
父王をハーメルに殺されたが原作ほどネチネチすることなくハーメルを認める。
戦闘ではコルネットとコンビを組むことが多く、カップリングは原作エピローグに逆輸入された。
作品のテーマの真逆を行く行動指針の持ち主なためか、全体的に影が薄い。

サイザー
CV:緒方恵美
魔界軍王No.3の我らが人気No.1サブヒロイン。基本設定、性格は原作と同じだがパンドラの箱を探す目標が変更。
母と兄への復讐に進んで身を焦がす業深き堕天使となり、悪役としての側面が強い。
その精神性故か、最も救われない末路を辿ってしまった。

◆ホルン
CV:島本須美
スフォルツェンド公国の女王。
一応「慈母」という設定だが、再会したフルートに過酷な仕打ちをするなど、常に冷徹な女傑にしか見えず、慈愛性は感じられない。
原作では「癒しの力」を持ちそれを分け隔てなく行使することで有名だったが、アニメ版では「強大な法力」となっており、凄まじい火力と破壊力を見せる。
フルートを失って笑わなくなったことからわかるように娘への愛情は確かだが、どこか不器用。

◆クラーリィ・ネッド
CV:真殿光昭
大神官にしてスフォルツェンド魔法兵団の団長。
原作からシスコン成分と王子コン成分(と、ホモ疑惑ネタ)を取り去った存在。
つまり女王命で毒舌も抑え目。
途中から空気気味。

◆コル・ネッド
CV:西村ちなみ
原作のネタキャラとは名前と設定が同じだけで全く別人の、真面目な魔闘家の少女。
シリアスに戦闘しトロンと正当なお付き合いをするツンデレ込みのバトルヒロイン。
レシクの本当の孫娘。フルートのあまりの「普通の女の子」っぷりに当初は失望し、ハーメルへの恋愛感情もなかった。
と言うか、どちらともまともに直接会話すらしていない。

◆リュート
CV:宮田始典(現:宮田幸季)
ホルンの息子で、フルートの兄。原作とは違い殺されておらず、ベースに捕えられ操られただけ。
ラストも無事に生還するが、温厚な原作とは異なり厳格な性格をしている。

◆パーカス
CV:植村達雄
スフォルツェンド王族の執事。
初期の嫌味ったらしさは原作通りだが、ホルンの原作以上の冷徹っぷりに若干影が薄れている。
原作ではクラーリィの師匠的存在だったが、アニメでは部下として彼を仰いでいる。
転移魔法の達人で結構有能な人。

◆レシク
CV:麦人(ナレーションと兼役)
スタカット村の村長で、フルートの育て親。
だが実はクラーリィとコルネットの祖父で、元近衛騎士団長。
彼を始めとしたスタカット村の村人たちは、フルートを外界と隔絶して育てるための公国関係者だった。
フルートの出立を見届けて魔族に特攻した。

◆ベース
CV:石塚運昇
魔界軍王No.1の冥府王。首(本体)とリュートが同時に喋る。

ドラム
CV:梁田清之
No.2の幻竜王。原作通り大暴れした挙句ハーメルとギータに倒されるが、最終決戦で…。

ギータ
CV:松山鷹志
No.4の超獣王。原作より小物臭全開で、乱暴な口調の数が多い。下半身ネタはない。

◆オカリナ
CV:柊美冬(現:石村知子)
サイザーの副官の白いカラス(?)。
原作と違い魔族側に忠実であり、妖鳳王としてのサイザーに妄信気味になっている。
変身シーンがエロく動かないアニメの中でやたら気合が入っている。

◆シターン
CV:西村知道
スラー共和国国王。原作ではチョイ役だったが中ボスに。
妻のアルト(ホルンの妹)をサイザーに殺され、スラーの存在を隠してまでサイザー、ひいてはパンドラへの復讐のために我が子を改造する。

◆スラー聖鬼軍
CV:有馬克明(現・織田優成)(コキュウ)、三木眞一郎(ガイタ)、梁田清之(ゴーン)、麻丘夏未(リラ)、みうらうらら(ショウ)
パンドラの箱の守護神の五兄妹。原作では一話限りの出番(とギャグ交じりの回想シーン)しかなかったが準レギュラーに昇格。
サイザーへの復讐のために日々邁進していたが、それが果たせなかった上に、最期に自分達がシターンにとって復讐のための駒でしかないことを知り絶望。
だが、生き残った長男のコキュウはそれでもなお父の愛を信じ、サイザーに特攻を仕掛ける。

◆バーディ
CV:山門久美
オリジナルキャラクター
ライエルの一座のメンバーの、巨漢の歌姫。
彼女の歌う歌が終盤の展開に大きな意味を持つ。

◆パンドラ
CV:みうらうらら
ハーメル、サイザーの母。
原作ではギャグとして狂気的な行動を取っていたが、アニメでは夫への狂気的な愛に溺れ、女性としての側面が強い。
例え大魔王であってもケストラーを愛し続けていた。

ケストラー
CV:上田祐司
大魔王。だが実際は天使と魔族に魔力を与えるだけの形だけの存在。
妻を愛する心優しい青年だったが、箱を掘り起こしたために大魔王化してしまう悲劇に見舞われる。
パンドラの手で封印されるのを望む。そして最終話。開かれた箱から出てきたのは……



【賛否両論な点】

このアニメでは以上の登場人物の性格の別人っぷりだけでなく、様々な点で議論を醸している。

  • 動かない(紙芝居アニメ)
今作品の何よりの特徴。戦闘シーンだというのに一枚絵で済ましてしまう。口パクすら省く。
アニメとしては戦闘シーンは華であり、滑らかでダイナミックな動きを期待する人には致命的。演出だとしても、万人に受け入れられないのも無理はない。
監督は「エヴァの影響であえてこういう演出にした」とする一方で、「音楽に予算を使いすぎて作画が疎かになった」と言及しており、不満に思っている処もあったようだ。

  • ギャグがない
原作の持ち味であったギャグシーンを一切なくしている。
漫画も設定上ではドシリアスだったのだが、さらにシリアスになり、徹頭徹尾悲劇と崩壊の物語となってしまった。鑑賞後の爽快感も薄い。
だが、原作は原作で『深刻なシーンでさえギャグを挟む』という、KYと受け取られかねない演出が多い為、これを嫌う人にとっては好評。

【音楽】

田中公平氏の本気。
今作品内で使われる戦闘曲「魔曲」は全て新たに録り直され、さらに魔曲用にアレンジされている。
音楽に予算が行き過ぎて紙芝居になってしまうのも納得だろう。

【主題歌】

前期OP「MAGICAL:LABYRINTH//」ジャケ:フルート
  ED「傷だらけのツバサ」ジャケ:ハーメル
後期OP「未完成協奏曲」ジャケ:ライエル
  ED「太陽と月に背いて」ジャケ:サイザー
主題歌の歌詞はそれぞれのジャケットに描かれたキャラの心情を歌っているとされる。
特に「未完成協奏曲」はアニソンのレベルを超えた完成度を誇る。


原作が大団円で終わっている(原作が終わったのはアニメから4年くらい後だが)のに対しこちらは今川氏の意向でひたすら鬱展開が続き、バッドエンドで終了したため、
原作の知名度を上げるのにも今一つな成果で終わってしまった。
その一方で単体の作品としては高く評価する声も少なくないものの、今もなお原作に忠実な再アニメ化が望まれている。


見てごらん…今夜はWikiの項目数が多い。Wiki籠りの追記・編集を祝福しているかのようじゃ…
本当にきれい、まるで…

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