渋井丸拓男

登録日:2010/08/07 Sat 20:17:33
更新日:2025/04/26 Sat 02:32:26
所要時間:約 6 分で読めます






俺、渋井丸拓男
略してシブタク

へへ…付き合ってよおねーさん


\タクそればっか/
\まー本名だし/


渋井丸(しぶいまる)拓男(たくお)とは、大場つぐみ・小畑健による週刊少年ジャンプ連載漫画『DEATH NOTE』の登場人物。

CV:西村朋紘(アニメ版)※マットと兼役
演:顔田顔彦(実写映画版)


◆概要

通称「シブタク」。後述するテレビアニメ版のエンディングクレジットにおける表記もこれである。
取り巻きからは「タク」「タクさん」とも。
愛車はヤマハ・マジェスティ。

清潔感のない髪型に無精ひげ、加えて出ッ歯にケツアゴと、お世辞にもカッコいいとは言えない容姿のチンピラ。
登場シーンはわずか4ページ(うち8コマ)で、その後は(作中では)話題にもならない、モブキャラに毛が生えたような超脇役なのだが、
そのわずかな登場シーンに凝縮された謎の存在感とインパクトから、同作品に登場する多彩なモブキャラの中でも屈指の人気キャラクターとなった。
二次創作においてはMAD動画の素材としても非常に人気である。 


◆劇中での活躍

登場は1話。
彼の作品における役割を一言で言うなら、実験用のモルモットである。

取り巻き達とバイク(ビッグスクーター)でコンビニに現れ、上記のセリフと共に通り掛かった美人な女性を集団でナンパ。
描写から察するに常習犯であり、「困ります」と逃走する女性をバイクでしつこく追い回そうとするなど、その手口は悪質。

しかしこの時、偶然にもコンビニ内にいた、後に大量殺人犯「キラ」と呼ばれる一人の高校生にその一部始終を見られていた事が運の尽き。
自分が拾った『デスノート』の「名前を書かれた者が死ぬ」が本物か確かめるべく、その高校生にその場でノートに名前を「事故死」という死因と共に書き込まれ、
その直後、信号無視して急に飛び出してきたバイク(渋井丸)を避けきれなかったトラックに跳ね飛ばされ、まさしくノートに書かれた通りに「事故死」してしまった。
この一件が、その高校生に「デスノートは本物」という確信を持たせた一方で、「(死刑になるほどではない)人を死なせてしまった」という苦悩を彼に背負わせることとなった。

なお、傍から見ると割とどうしようもない人物に見える渋井丸だが、つるんでいた仲間たちには割と慕われていたようで、
直進してくるトラックの前に彼が飛び出した時には、「危ない」と制止する声が上がっていた他、
彼が轢かれた後には「俺知らねー!」と逃げ出す者もいたがその無惨な死体に狼狽しつつも駆け寄る仲間の姿も見られた。


【別媒体での活躍】

自業自得の形ではあるとはいえ、ナンパしただけで主人公に(実験台として)殺されるという展開が問題視されたのか、
後述するアニメ版、実写映画版といった派生作品では渋井丸は原作よりも非道な悪人として描かれている。

これについては、少年誌故に月をあくまでも「絶対悪」として描き、それにふさわしい因果応報・自業自得とも言える最期を迎えた原作に対し、
対象年齢がある程度上がった派生作品では、各媒体の月の最期のシーンの違いにも如実に表れているように、月の正義感の強さを前面に押し出すことが大半で、
原作通りのあくどいやり方も描きつつ、月を「手に余る力を不幸にも手にした末にそれに翻弄され、破滅にまで追い込まれた哀れな被害者」、
あるいは「己の正義と信念を貫いた末に、それに殉じたダークヒーロー」としても描いていることの影響が出ていると言えるかもしれない。


テレビアニメ版

テレビアニメ版では第1話「新生」(2006年10月4日放送)に登場。その登場シーンはわずか1分

登場から退場までの経緯は原作と同じだが、こちらのシブタクはOLをナンパするのみならず、
月が彼の名前をノートに書いている間に、取り囲んだOLを鉄パイプで抑え込んで服を無理やり脱がせようとする等の立派な婦女暴行を行っている*1
このため「迷惑だが殺すほどではない男」だった原作とは違い「殺されても仕方ないレベルの悪人」として描かれているといえ、
それ故か月が彼を手に掛けた直後に激しく狼狽するシーンもカットされている。

このアニメオリジナルシーンと、その後の月がノートでシブタクを殺害したことに狼狽するシーンのカットに関しては、
「死刑にする程の悪人ではないシブタクを殺してしまった事が月をキラにしたターニングポイントではないのか」として「改悪」と評するファンもいるが、
一方で、「確かに原作には無い描写だが、シブタクの言動を考えると過去に似たことをやっていてもおかしくはない範囲」という見解もあり、賛否両論となっている。
前述したように、派生作品では月の正義感の強さをよりクローズアップしている面があることに加え、
原作は性的描写に関して表現を控えめにせざるを得ない少年誌掲載である一方、アニメはそれらについてより踏み込んだ描写ができる深夜枠の放送であり、
このような媒体の違いも、シブタクに関するシーンの描写の違いに表れていると言えよう。
また過去のジャンプ連載作品でもそこまで非道な悪事を働いたようには見えない小悪党主人公によって殺されるなど苛烈な制裁を受け、
読者から「いくら敵(悪人)相手とはいえ、流石にやり過ぎではないか」等の物議を醸したという前例は複数あり、
その手のキャラクターはアニメ化の際に悪事を盛られ、制裁に見合うだけの卑劣な極悪人として描写される傾向にあったことから、
シブタクもいわばそれらの前例に倣う形で、アニメ版では原作以上に言動の悪人度合いが上げられたのではないかとも推測される。
むしろ一部の視聴者からは(アニメ放送開始は後述の実写映画版公開より後だったこともあって)実写映画版のような別人レベルの改変ではなく、
前述のアニオリシーンを除けば原作まんまの「シブタク」だったことに安堵する声もあったとか。

なお、上述の行為は人気の無い草むらとかではなく原作と同じく人通りの多い交差点で行っている。
シブタク一派のみならず、その被害に遭う女性を助けようとしない周囲の人達の態度も月を裁きに駆り立てたのかもしれない。

ちなみに原作第2部では、アニメ版のシブタクと似たような行為に及んだ暴漢が魅上照に「削除」と称して粛清されている。


実写映画版



お前ら聞いたか?
無罪判決が出た時の傍聴席。殺したガキの親の泣き叫ぶ声。

フハハハハ! ヒャーハハハハハ!!
「返して〜!」ヒャハハハハ! ハハハハハ!!


アニメの放送開始に先んじて2006年6月17日に公開された実写映画版第1作『デスノート 前編』にも「渋井丸拓男」という名前のキャラクターが登場するが、
こちらの渋井丸は、原作やアニメにおける「シブタク」とは人物像やビジュアルからして全く設定が異なるどころか、
上述のアニメ版「シブタク」どころか、原作で「キラ」やその協力者によって粛清された犯罪者達も可愛く見えるレベルの極悪人として描写されている。

前提として、この実写映画版前後編は原作第一部のストーリーをベースに、第二部の一部要素なども合わせたストーリーになっているため、
それに合わせる形で、原作と性格や容姿が異なっているキャラクターがそれなりにいる*2
主人公の月にしても、ノートを手にした時点で高校生ではなく警察官を志して法学部に通う大学生となっており、
かつデスノートを使い始めた動機も原作の「退屈しのぎ」とは大きく異なるものになっている。

とはいえ、一部設定等が異なる部分があっても、基本的には原作の同名キャラのイメージが崩れない範囲に留まっている者が大半な中、
渋井丸拓男に関しては容姿や言動どころか、根幹のキャラクター設定からして全く異なっており、名前以外はほとんど別人となっている。
原作の「シブタク」と本作の渋井丸の共通点といえば「不良仲間とつるんでいる」「月が拾ったデスノートにより、2番目に殺された犠牲者」という点くらいであり、
むしろ「原作のシブタクこと渋井丸拓男をベースに作られたキャラクター」というより、
「実写映画オリジナルキャラクターに原作のシブタクと同じ名前が割り当てられた」と言った方がいいかもしれない。
……もっとも、幼稚園で事件を起こしたという点は原作で最初に殺された犯罪者である音原田九郎(同作には未登場)*3の要素も取り入れていると思われるので、
そういう点では「事実上の実写映画版オリジナルキャラクター」とも言い切れない面もあるが*4

こちらの渋井丸は1980年(昭和55年)12月13日生まれ。
太っちょでケツアゴ、無精髭が特徴だった原作とは容姿が大きく異なり、痩せ型で金髪の青年である。
不良仲間とつるんでいる点は原作と同じだが、仲間達からは「タク」ではなく「拓男」と呼ばれている。
また「シブタク」と名乗らなければバイクにも乗っておらず、劇中で女性をナンパする描写もない。
ではどんなキャラクターなのか……というと、薬物乱用による中毒状態で練馬区立小泉北幼稚園に侵入し、持ち込んだナイフで園児ら5人を殺傷したが*5
逮捕された後は心神喪失を主張し、それによって裁判で無罪判決を受けたという凶悪犯である*6
…しかし、釈放後にはたまり場としていたバーで不良仲間達に対し、「お前を殺せ」という幻聴が聞こえるかのようにふざけてナイフを突きつけて威嚇してみせたり、
上述のように被害者遺族を侮辱し、嘲るような発言をするなど、実際には善悪の判断がついている(=心神喪失ではない)事を窺わせるような言動を取っていた。
さらに自身の事を知って店内で自身を睨みつけていた月の存在に気付くと、仲間達と共に彼に絡んだ挙句、ナイフを突きつけて以下のようなセリフで月を煽ってみせた。


思い出す〜……。刃物がスルッと体に入って、心臓に突き当たる感触……
キィイイイイーーー……

あぁーーーっ!!
何だ!? 俺なんでここにいるんだ!? 何にも覚えてねえ……!
 

……誰も俺を有罪にはできない!


司法(裁判所)が子どもを殺しておいてまるで反省していない男の演技を見抜けず、詐病に騙されて無罪判決を下したという事実に、
それまで法による正義を純粋に信じていた月は激しい怒りと絶望を覚え、退店直後に激情のままに愛読していたであろう六法全書をゴミ捨て場に投げ捨てた*7
その時、目の前に落ちてきたデスノートを拾い、自宅に持ち帰った月は、原作通りにリュークが書いた「使い方」を読むと、
半信半疑のままにテレビのニュースで報道されていた女子高生誘拐殺人犯・顔沼陽介の名前をノートに書いた翌朝の新聞で、顔沼が心臓麻痺により死亡した事を知る。

そして、未だ完全には信用していないながらも、ある程度はノートの効力を信じ始めていたらしい月は、
その日の夜に先述のバーの近くまで出向き、踏切の向かいに渋井丸の姿を見つけると、その姿に怒りを燃やしつつ、原作とは違って殺意を持って渋井丸の名前を書き込んだ*8
その40秒後、自身の眼前で渋井丸が心臓麻痺により死亡する様を見届けた月は、デスノートが本物だと確信を得ると共に、
これを境に「法で裁けない悪」を撲滅し、「正義」を実現するため、デスノートによる犯罪者の粛清を進めていくことになる。

このように、原作の「シブタク」とは全く別人といっても良いほどのキャラクターとして描写された実写映画版の渋井丸に関しては、
原作レイプではないか」「(心神喪失が認められたとはいえこのような凶悪犯が強制措置入院にもならず、薬物使用の罪にすら問われないのは)非現実的ではないか」との批判の声の他、
原作の「シブタク」やその人物像を愛するファンからの、大幅な設定変更を残念がる声も聞かれた一方、
あくまでフィクションとして観る分には月がキラになる経緯を丹念に描いたことを好意的に評価する声も多く、これまた賛否両論となっている。
また、渋井丸や前述の顔沼に限らず、この作品で月によって殺された犠牲者には幼い子供や少年少女が犠牲となった事件の犯人(いずれも原作には未登場)が複数いるが*9
この点からも同作は前述した月の「ダークヒーロー」としての側面を原作以上に深掘りしているとも言える。


テレビドラマ版

2015年に放送されたテレビドラマ版『デスノート』ではアニメ版や実写映画版とは異なり、「渋井丸拓男」という名前のキャラクターは未登場である。
渋井丸に相当するポジションは月(本作では実写映画版と同じく大学生という設定)の高校時代の同級生で、
少年刑務所上がりの不良・佐古田源武(演:出合正幸)という人物に変更されている。
こちらは原作でシブタクが登場する直前、月がデスノートの実験台として考えていた同じ塾に通ういじめっ子の「素藤」の要素も取り入れているものと思われる。
この佐古田も(前述の実写映画版の渋井丸に比べればまだ可愛い方ではあるが)月の高校時代からの友人である鴨田マサルを執拗にいじめて恐喝していたという筋金入りの悪人であり、
出所後に偶然にも月のアルバイト先である居酒屋を訪れた際、再び鴨田や月に因縁をつけ、月から携帯電話を奪ったが、
後に偶然デスノートを拾った月によって名前を書かれた結果、バイクに乗っている最中に心臓麻痺を起こして死亡した。


◆余談

原作やアニメで自称したあだ名「シブタク」の由来は言うまでもなく、
日本人なら誰もが知っているであろうレベルの有名人である「キムタク」こと木村拓哉(当時「SMAP」所属)である。
英訳版では元ネタの分かりづらい外国人読者のために注釈が入っている。
なお、本家キムタクの方も2020年に放送されたテレビドラマ『教場』でこれまでのキムタク像とは異なる冷徹な警察学校の教官・風間を演じた際、
『週刊朝日』2020年1月24日号ではそのシブい役作りの様が(「シブいキムタク」という意味で)「シブタク」と形容された。本項目の「シブタク」とは関係ない…はず

彼にとって、あるいは月にとって不運だったのは、たまたま月の前で悪事を働き、「死んだ方が(社会的に)いい奴」と見なされたばかりか、
その時に自分の名前をフルネームで名乗っただけでなく、その本名の漢字が容易に想像できるものだった事だろう。
作中では月は声で名前を聞いただけであり、思いつくままに7パターンもの「シブイマル タクオ 事故死」を書き並べたが、1つ目で正解されてしまっている。
もし彼がDQNネームだったならば、生き延びる事ができていたかもしれない。

ちなみに苗字については「渋井丸」と「渋伊丸」の二通りしか書いておらず、「渋位丸」などの他のパターンは書いていない。
どうもあの世界では「佐藤」と「左藤」ぐらいには知名度があって、音だけで容易にイメージできる苗字である様子。

また、彼は本編で唯一「当てずっぽうで(=本名を特定される前に)ノートに名前を書かれた人間」であり、
この時月が4回連続で名前の漢字を外していた場合も同様に生き延びられていたはずなので*10、つくづく運が無かったと言える。
ちなみに殺されたのが初期かつ死因が心臓麻痺ではなかった為、L日本警察、FBIにはキラ事件の被害者として認知されてすらいない

そして、そのインパクト故に「デスノートによる死亡者第1号」と覚えている読者も多いが、
正確には「名前を書いた後、6分40秒以内であれば死因を指定できる」というルールの実験台1号である。
最初の犠牲者は立てこもり犯の音原田九郎(実写映画版は前述の顔沼陽介)であり、シブタクは2人目の犠牲者なので注意。

結果的には原作において、この「悪人だが死刑になるほどではない」彼を裁いてしまった一件が月のタガが外れてしまった原因の一つとも言える。
仮にシブタクを殺せず、リュークが訪れる前に月がノートを手放しでもしていたら、後の歴史は大きく変わったかもしれない。
ただ、シブタクを殺せなかったとして、後日改めて悪事を働く人間を適当に選んで代わりのモルモットにした可能性もある。
実際、シブタクの前に、同じ塾に通う学生相手にカツアゲをした生徒をモルモットにしようとして止めているため*11
どのみちシブタクが殺されていなくとも、後に「キラ」が生まれた可能性が無くなるというわけでもない。


へへ…追記・修正してよおねーさん


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  • 性犯罪者←アニメ
  • 殺人犯・薬物中毒・外道←実写映画
  • かませ犬
最終更新:2025年04月26日 02:32
添付ファイル

*1 しかも放置していれば強姦に発展していた可能性もあるほどの乱暴ぶり。

*2 FBI捜査官であるレイ・ペンバーのファミリーネームが「イワマツ」になっていたり、日本捜査本部のメンバーである宇生田広数と模木完造のキャラクターが入れ替わっていたり、高田清美がNHNではなくさくらTV所属、かつ月と全く面識がなかったりなど。

*3 音原田自身は同作には登場しないが、幼稚園で事件を起こした点はこの渋井丸に、「月が拾ったデスノートで最初に殺された犠牲者」という点は後述の顔沼に、そして立てこもり事件を起こしていたところで生中継中に月に殺されたという点は井間泉弘道(消費者金融に立てこもっていたところを月に殺害されたオリジナルキャラクター)に、それぞれ分割される形で受け継がれている。

*4 このように原作に登場したチョイキャラをベースにした実写映画版のオリジナルキャラクターとしては、月の幼馴染にして恋人である秋野詩織(原作序盤で恐田奇一郎のバスジャック事件に月と共に居合わせた少女・ユリがモデル)がいる。

*5 死傷者5人のうち死亡者の内訳は不明だが、(完全責任能力が認定されれば)仮に2人以上なら現実世界の日本では十分死刑になることがあり得るし、死者3人以上ならばまず死刑は免れられない。死者が1人でも、判決は無期懲役止まりだとしても犯行の残忍性などから検察から死刑を求刑されることが考えられる。仮に死刑を求刑された場合、21世紀の日本では万が一死刑を免れて無期懲役になったとしても仮釈放は絶望的であるとされる。

*6 現実の日本では、このような凶悪犯は仮にこのように心神喪失で無罪になったとしても精神病院に強制措置入院となるはずだが、そのような描写は見られなく、そもそも薬物使用での罪に問われた形跡すら無い。また月が閲覧していた警察庁のデータベースでは「不起訴処分」となっている。

*7 同作で月は18歳の誕生日に父・総一郎から「人間が長い歴史を使って獲得した正義をなすためのルールブック」として六法全書を贈られているが、渋井丸との邂逅直後に投げ捨てたのはそれとは別に月自身が持っていたものと思われる。実際、総一郎から贈られた方は後編『the Last name』で月の自室の本棚にある事が確認されている。

*8 原作でも月はノートの効力に半信半疑の状況で渋井丸の名前を書いていたが、たまたま悪質なナンパをしている渋井丸を見かけて名前を書いた原作とは異なり、(前日には渋井丸に因縁をつけられて危害を加えられそうになっていたにもかかわらず)わざわざ渋井丸と遭遇する可能性が高い場所、言い換えれば「仮にノートが本物なら渋井丸の死の瞬間が見られる可能性が高い場所」にまで出向いて彼の名前を書き込んでいる時点で、本作の月は原作よりもノートの効力を信じていると推測され、「確定的な殺意」(ノートに名前を書いたら「必ず死ぬ」と理解して「死ね」「殺してやる」という気持ちで書いた)まで有していたかはともかく、少なくとも「未必の殺意」(ノートに名前を書いたら「死ぬかもしれない」と理解して「死んでも構わない」という気持ちで書いた)程度は有していたと思われる。

*9 ODA事業を隠れ蓑にした臓器売買事件に関与した政治家の背多活矢、少女誘拐殺人犯の貸間山徹、少女惨殺事件の犯人である那蚊山清彦など。このうち那蚊山は殺された少女の弟の10歳の誕生日に殺された。

*10 デスノートには「名前を4回間違えて書かれた者は、デスノートによって殺せなくなる」というルールが存在する。ただし本編にて適用例はなし。

*11 月は「こいつが死んだところで誰も何も思わないだろう」と見下していたが、「自分が通っている塾の学生を殺すのはまずい」という理由で未遂に終わった。なお、カツアゲされた生徒も、自分の塾が終わるまでに親が迎えに来ていないことに癇癪を起こして口汚く親を罵っており、カツアゲされていた時にはおそらく彼に同情していた月もそれを見て「世の中死んだ方がいい奴ばかりに見えてくる」と呆れていた。