海馬乃亜

登録日:2012/01/19 Thu 00:39:57
更新日:2025/03/14 Fri 17:01:33
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僕の名は乃亜

全てにおいて瀬人、君を超えた存在……とでも言っておこうか


海馬 乃亜(かいば のあ)遊戯王デュエルモンスターズに登場するデュエリスト。
アニメオリジナルエピソード「乃亜編」での主要キャラである。

CV:横山智佐

緑髪に白ランが特徴。東映版遊戯王海馬瀬人とよく似ている。一人称は僕。
幼い外見とは裏腹に高度な知脳を誇り、物腰も柔らかい。

バトルシップ準決勝の途中に突如現れた海底要塞の主でもあり、バトルシップのシステムを操り、海底要塞に誘導。
電脳世界を彷徨っていたBIG5の精神を助け出し、彼らの復讐に力を貸し、たちにけしかけた。

どう見ても乃亜のほうが年下なのに彼を「瀬人」と呼び捨てする。
電脳世界では海馬に過去のビジョンを見せたり、海馬の義父・海馬剛三郎と一緒に写った写真があったりと、更に謎を呼ぶ。

果たして乃亜は誰なのか?彼の目的は?


以下ネタバレ。













  • 正体
その正体は海馬剛三郎の実の息子の「海馬乃亜」。
瀬人とモクバの義兄に当たる、海馬コーポレーションの正当な後継者。

幼少期からの英才教育のたまものなのか、元から才能があったのか、あらゆる分野で非常に高いスキルを有している。
あの剛三郎も乃亜を海に連れて行ったりと大切に思っていたようだ。
そして、剛三郎は乃亜に近い年齢・似た容姿の瀬人を海馬家に迎え入れ、
2人を競わせることでより高い成長を考えていたが、乃亜は不慮の事故で亡くなってしまう。

乃亜を諦めきれなかった剛三郎は乃亜の意識を電脳世界に移し、乃亜は電脳世界で第2の人生を過ごすようになる。*1
瀬人と同い年ぐらいなのに、そうは見えないのは、現実世界で死亡したままの年齢児の姿だったため。
電脳世界で生活しながらも剛三郎の愛情を受けて育った…と思いきや、
その世界での店員は乃亜から何を言われても「いらっしゃいませ。乃亜様、何にいたしましょう?」としか答えない、
ペットの犬は石を投げつけても乃亜に懐いてくる……と、会話や行動パターンの作り込みが甘かった。

現実世界のような人間や生物のいない世界で孤独感を募らせ、生命に関する感覚が次第に薄くなっていった乃亜は
海馬コーポレーションが有する兵器と軍事力で、いかに早く現実世界を支配できるかのシミュレーションを行ってしまう。*2

人間味を失い機械的思考をするに至った乃亜を見て、剛三郎は彼を見限るが、その剛三郎も瀬人に海馬コーポレーションを奪われた末に病死。
1人になってしまった乃亜は瀬人の身体を乗っ取って現世に復活し、海馬コーポレーションに君臨することを決意するのだった。


  • 作中での動向

遊戯たちとBIG5の戦いを静観しながら、海馬兄弟には彼らの過去を再現した映像を見せていく。
卑怯な手は一切許さず、BIG3がギャンブルカードの確率を操作したり、実力行使で身体を奪い取ろうとしたことには腹を立てていた。
そもそもBIG5のことは人間的にも実力的にもまったく信用しておらず、肉体を与えるというのも「バーチャル空間に本物は存在しないため、身体を手に入れることは実際は不可能」という真っ赤なウソであり、乃亜にとっては退屈しのぎにすぎなかった。


瀬人…君は誤解している。僕は人としての感情を失ったのではない。超えたんだ。創造主という道を歩むために……


BIG5の面々を存在もろとも消去した後、「自分は瀬人を越えている」という事を証明するために瀬人と対決。
乃亜は「天地創造のデュエル」を展開し、海馬のパワーデッキを圧倒していく。
デッキマスターの《奇跡の箱舟》が強過ぎる。てか卑怯だ。
海馬は一度勝てるチャンスがあったが、乃亜は洗脳したモクバを人質にとって心理フェイズ込みでデュエルを続けていく(大岡の不正行為を咎めたのは何だったのか…)。
というかこの状況、《双頭の雷龍》で守備表示の《岩石の巨兵》を攻撃すれば《竜の逆鱗》の貫通効果で勝利とされていたが、《双頭の雷龍》はOCGだと雷族なので不可能。*3

終盤、海馬は《ラストバトル!》を発動。
海馬は《青眼の白龍》を、乃亜は《奇跡の箱舟》を選択するが、《奇跡の箱舟》が《天界王 シナト》に変化したことで海馬は敗北。

洗脳の解けたモクバと海馬を石化させ、悦に浸る。


触れ合えそうで永遠に触れ合うことのない二人。題名は、そう、『すばらしき兄弟愛』とでも付けてあげよう


しかし、直後遊戯に海馬の敗北の本当の意味を突きつけられる。
実際、《異次元竜 トワイライトゾーンドラゴン》を選択すれば引き分けに持ち込むことはできたが、彼はモクバの洗脳を解くためにあえて青眼を選択したのだった。

海馬の無念を晴らすために遊戯は場の状況を引き継ぎ、自分のデッキに海馬のカードを加えてデュエル続行。
手札は0枚、場のカードも0枚、LP400で相手の場には攻撃力3300の《天界王 シナト》がいるなど、最初からクライマックスなデュエルに。
乃亜もデッキを作り変え、【スピリット】モンスターで遊戯を圧倒していく。
「黒魔術の三銃士」が並んでも突破していき、さらに遊戯の心を支える仲間たちを次々と石化させていく。

ゲスいと言えばそれまでだが、思い通りにならない相手に苛立つ子供っぽさに乃亜の根っこが見え隠れしている。

LP10000 VS LP100という大差をつけ、さらに手札0にまで追い詰める。
もはや勝敗は決したと思われたが、遊戯は仲間との友情で《天からの宝札》(アニメ効果)をデックトップから引き当てる。
《青眼の白龍》2枚と《死者蘇生》《融合》《融合解除》《速攻》をドロー。

これにより青眼の究極竜》を融合召喚、《速攻》によってバトルシティのルールでの融合モンスターは融合召喚したターンに攻撃できない制約を打ち消して攻撃。さらに《融合解除》によって《青眼の白龍》3体を蘇生し、トドメの追撃をかける。この怒涛の連続攻撃にはLP10000でもさすがに耐えきれず乃亜は敗北を喫した。遊戯王のアニメの歴史に残る劇的なワンショットキルであった。


敗北後、乃亜はやけを起こして遊戯の体を直接乗っ取ろうとするが、千年パズルのオカルトパワーと3000年前の記憶に阻まれ失敗。
その直後、バーチャル空間に突如現れた剛三郎と接触。剛三郎が実体化した!
そう…剛三郎も乃亜にやっていたのと同じく、死の間際に自身の意識を電脳空間へと移し、生きていたのだ。

久方ぶりに父と再会できた事を喜ぶ乃亜だったが、剛三郎は乃亜のことを一瞥するや「手駒に過ぎない」と告げる。
乃亜達がいるバーチャル空間の内部権限を掌握した上で現実世界への出口を消去。そして自身は海底要塞から現実世界を支配しようと動き出す。
彼は過去に乃亜がシミュレーションしていた支配計画を基とし、衛星ミサイルを遠隔操作して主要都市を破壊する形で実行するつもりであった。

剛三郎から告げられた事実に絶望した乃亜は、剛三郎すら知らなかった隠し出口を使って脱出を試みる…と思われたが、
モクバを除く遊戯たちメンバーを記憶の吹き溜まりに追いやった上でモクバと二人きりになる。
乃亜はモクバを帰還させるフリをしながらモクバの体を乗っとって、隠し出口から一人で現実世界に帰還を果たした*4

「もうどうにでもなれ」と言わんばかりに海底要塞をターゲットとして衛星ミサイルを作動。
要塞ごと吹っ飛ばす形で全員を始末し、自身はヘリコプターに乗って逃走しようとするが、
現実世界への帰還直前にモクバに言われた言葉を思い出して、ようやく改心。戻って中断しようとする。

しかし、本シリーズで空気になっていた闇マリクが暴れて制御装置を破壊してしまったことにより、中断は不可能な状態に。

それでも現実世界からバーチャル空間の内部権限を再度掌握。剛三郎に内部システムを関与できないようにさせた上で
バーチャル空間に残っていた遊戯たちや、剛三郎とデュエルしていた瀬人を脱出させるために手を尽くし、
最後は乗っ取っていたモクバに体を返して自身はバーチャル空間へと戻っていった。


すまなかったね、モクバ。君の肉体、返すよ

僕は…父上のところに戻るよ

少しの間だけでも…また生身の肉体でいられて嬉しかった…

僕は人の心を取り戻す事ができた。君のおかげだよ、モクバ。ありがとう


バーチャル空間に戻った乃亜は悪霊のような姿と化した剛三郎と相対する。
尚も現実世界と瀬人への執着を見せ続ける剛三郎に対し、「現実世界への出口は全て消去した。もう二度とここからは出られない」と告げる。
それを聞いて激昂する剛三郎だったが乃亜は続けて語る。


瀬人にはモクバが、遊戯にはたくさんの仲間達がいる

僕はずっと一人だと思ってた。けど違った。僕には父上がいたんだ


束の間ではあるもののモクバや遊戯達との触れ合いで、家族や仲間を想う心を取り戻した彼の姿がそこにあった。

聞く耳を持たず暴れる剛三郎を父として、たった一人の家族として想いながらも要塞に衛星ミサイルが着弾。
乃亜達の存在は要塞の爆破と共にバーチャル空間ごと消滅した。


僕は人間だ、機械なんかじゃない……


乃亜は最後の最後で人間の心を取り戻し、家族を救い、今度こそ魂の還るべき場所に帰っていったのだ……。

ちなみに、モクバは帰還直前に「今後、兄さまに妙な事をしないなら乃亜のためにアンドロイドの身体を用意する」と口にしていた。
乃亜の事を兄弟として見つつあったモクバならではの言葉だが、それが実行されたとしても乃亜のためにはならなかったであろう。

乃亜編終了後も、モクバは乃亜のことを時折思い出し、バトルシティ終了後の杏子と静香も乃亜のことを振り返る形で思い出していた。
瀬人も口には出さなかったものの乃亜のことは忘れていなかったらしく、アメリカの海馬ランドに乃亜と対戦したマグマステージを再現している。


  • デュエリストとして
海馬戦では天地創造をテーマにしたデッキを使用。
モンスターは《賢者ケイローン》や《戦神アレス》など神系→白亜紀の《ジャイアント・レックス》→氷河期の《ラスオブタスク・マンモス》→現代の《超時空戦闘機ビッグ・バイパー
……と、目まぐるしく使用するモンスターや戦法が変わっていく。
デュエル中の背景も、《地殻変動》《大洪水》《アイスエイジ・パニック》など天災系カードで変化させていた。
さらに《奇跡の箱舟》のデッキマスター能力を使用し、海馬相手にひけをとらずに戦っていた。


遊戯戦では【スピリット】デッキを使用。
《天界王 シナト》のデッキマスター能力や、《セベクの祝福》《エレメントの泉》などでライフ差を一気に広げていく。
《竜宮之姫》《因幡之白兎》《阿修羅》などの下級モンスターで相手をじわじわ追い詰めながら、
火之迦具土》や《八俣大蛇》など上級モンスターでガンガン攻めていくデッキだった。
既に死んでいる乃亜が「フィールドに長く留まれないスピリットモンスター」を使用し、「自身のライフを上げていった」ことには、
彼の仮初の命と生への執着が窺える。


遊戯王ゲーム作品における乃亜


アニメオリジナルキャラなので登場するゲームは少ない。

エンディング後に行けるようになる永遠の間のデュエリストとして登場。
デュエルでは乃亜編で使われたカードを中心としたデッキを使う。

しかし彼は本作のストーリーには一切絡まず。作中の登場人物には乃亜について言及する者すらいない。
なので全く知らない人が彼を見た場合、誰だお前状態になることうけあいである。

永遠の間自体が海底要塞内部と作りが似ているため、何か関係があるように思えるが
この場所がどういう場所なのか、彼自身が何者なのかは語られない。

  • NIGHTMARE TROUBADOUR
乃亜編がモチーフのシナリオが組み込まれており、そこで登場。BIG5のおっさん達や剛三郎も出演している模様。


追記・修正はバーチャルの身体で、人間としての心を取り戻した方がお願いします。

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最終更新:2025年03月14日 17:01

*1 端から見れば子を愛するが故の行為だが、実際は跡取りにするべく「簡単に死なれては困る」為、更にはそうまでして「生き永らえさせた」息子との価値観の相違から見放し、養子になる瀬人を新たな「器」にしようと企む等、本心から「息子」として愛していたとは言い難い。杏子曰く「まともな人間のする事じゃない」

*2 この時の乃亜本人はシミュレーションしただけであって計画を実行したわけではないが、これが後の剛三郎に悪用されかけそうになる

*3 スタッフがドラゴン族と勘違いしていたのか、作中だとドラゴン族だったのかは不明

*4 前述のBIG5に「他人の身体を手に入れて、現実世界に戻る手段などない」と告げていたのと矛盾するが、それすらもウソだったらしく剛三郎も同じ手段で瀬人の肉体を奪おうとしていた