スピリット(遊戯王OCG)

登録日:2009/08/03(月) 23:13:51
更新日:2025/08/20 Wed 15:55:36
所要時間:約 7 分で読めます





遊戯王オフィシャルカードゲーム(以下OCG)の第2期パック「Mythological Age -蘇りし魂-」にて初登場したモンスター群。

元ネタは日本神話の神々や妖怪、そしてインド由来の仏教の護法神。
彼らの後ろには何か機械のような物が見える。そして彼らの体は霞んでいる。おそらく体は具象気体なのだろう。

おおよそのスピリットモンスターは共通のテキストとして以下のことが書かれている。

このカードは特殊召喚できない。
(2):このカードが召喚・リバースしたターンのエンドフェイズに発動する。

効果外テキストによって特殊召喚できず、召喚かセットでしか出せない。
さらに強制発動の誘発効果により自身をバウンスしてしまう。基本的には召喚ターンのみしか場に存在できず、役目を終えると直ぐに手札に引き籠ってしまう。
ここらへんは忠実に元ネタを再現しているといえる。

特殊召喚には対応しておらず、その神威を拝見する手段は必然的に通常召喚のみである。
の降臨に不正は許されないのだ。

そのため、「死皇帝の陵墓」や「血の代償」から出すのが割と一般的。
神の降臨にはそれなりの対価が必要なのだ。

おかげでフィールドでの展開力は最悪であり、気を抜くとダイレクトアタックを喰らいまくる。
神の降臨の代価は大きい。

一方で、これらの能力は
  • 戦闘で破壊されにくい
  • 除去やコントロール奪取もされにくい
  • 誘発効果の使い回し
  • 手札が溜まる
という独特の利点も同時に存在する。特に攻守の低い下級モンスターや強力な誘発効果持ちモンスターだと恩恵も大きい。
場持ちが悪い分出た時の能力も強力に設定されており、中には禁止カードとなったものも含まれる。

総じてプレイヤーの腕が問われるカード群である。
神々を使役する事は容易ではないのだ。

「モンスターを生け贄に捧げて通常召喚」
「モンスターが場に出るのは1ターンに1匹」
「でかいモンスターは強い」

というOCGの至極当然の鉄則を地で征く神々の御姿はまさに「ふつくしい」の一言。
その個性的かつ燻し銀的な能力から一部でカルト的な人気があるとかないとか。

この項目を見た貴方。どうか今も引き出しの中で眠っている彼の神々を見つめ直していただきたい。
それだけが私の望みです……

また、儀式モンスターかつスピリットである「霊魂鳥神(エスプリット・ロード)」なんていうのも登場している。

スピリットモンスターは「強制転移」や「死のマジックボックス」と非常に相性が良い。エンドフェイズ時に手札に戻るため、完全なコントロール奪取orモンスター破壊になる。
ちなみにスピリットモンスターの「手札に戻る効果」は召喚・リバースしたターンのエンドフェイズにしか発動しない
そのため、そのターンに「亜空間物質転送装置」や「ワーム・ホール」などで除外したり、
スキルドレイン」や「神禽王アレクトール」で効果を消せば場に留める事が可能。


【スピリットモンスターたち】

日本神話

スピリットモンスター
星2/風属性/悪魔族/攻 200/守 100
このカードは特殊召喚できない。
召喚・リバースしたターンのエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。
このカードが相手ライフに戦闘ダメージを与えた場合、次の相手ターンのドローフェイズをスキップする。
全スピリットどころか遊戯王OCG史上最悪のカードと名高かったモンスターの1つ。かつては最強にして最凶のスピリットと呼ばれていた。
戦闘ダメージを与えることに成功すると次の相手のドローフェイズをスキップする強烈な効果を持つ。

ドローを封じるということは打開する手段を得られなくなるため、このカード1枚で詰みの状態になることも多い。現役であった第2期第4期の環境は現在よりも遥かに低速だったため、このモンスターの効果を通すことは勝利に直結していた。

混沌帝龍-終焉の使者-》とのコンボ、通称【ヤタロック】がトラウマになっている人も多いはず。召喚権を残した状態でフィールドに《クリッター》か《黒き森のウィッチ》(エラッタ前)がおり、その状態で《混沌帝龍-終焉の使者-》(エラッタ前)の効果を発動させればガラ空きのフィールドで《八汰烏》の攻撃を通して詰みに持ち込めた。

その強さから禁止カードとなり、OCG初の禁止カード指定を受けた1枚ともなった。
ちなみに2019年4月1日に同期の《サンダー・ボルト》が緩和されたため、禁止カード指定期間が一番長いカードとなっている。
今ではエラッタなしで無制限カードへ緩和されているが、18年以上の時を経てインフレした環境下でようやく赦された辺り、如何に当時のこのカードがオーバースペックであったかが窺える。

ただし、あまりに高速化した2023年現在の環境では「ドローロックは脅威にはなり得るが、あえてこのカードを使用するまでもない」といった立ち位置に甘んじている。モンスターの展開力が劇的に向上したことに加え、召喚権もかつての比ではないほど重さを増している。

つまり、わざわざ召喚権を消費してわずか攻撃力200のこのカードの攻撃が通せる状況ならば、このカードでドローロックするまでもなく大方相手のLPを削り切って勝ててしまえるのである。上記の理由で「最強最悪のカード」といった評価は完全に過去の物になっているインフレこえーよ

  • 月読命(ツクヨミ)
スピリットモンスター
星4/闇属性/魔法使い族/攻1100/守1400
このカードは特殊召喚できない。
(1):このカードが召喚・リバースした場合、フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動する。そのモンスターを裏側守備表示にする。
(2):このカードが召喚・リバースしたターンのエンドフェイズに発動する。このカードを持ち主の手札に戻す。

《月の書》を内蔵した下級スピリット。
モンスターを1体を裏側守備表示にするという効果は単純ながらもゲームに与える影響が大きく、幅広い用途に活用できる。何回でも使用できる利便性の高さから、様々なデッキで用いられた。

半端に見える攻守ステータスも環境では絶妙な値で、《クリッター》《黒き森のウィッチ》(エラッタ前)双方のサーチに対応し、攻撃力の高いモンスターでも、守備力が低ければこのカードで戦闘破壊可能。
生け贄召喚されたなどがよく狙われ、アームド・ドラゴンはLV5からLV7になるとこれに殴り倒される守備力に落ちるため、逆に弱くなるとすらいわれるほどの影響力があった。

裏側にできることから《聖なる魔術師》《闇の仮面》などのリバース効果を再利用することもできる。
当時はリバースモンスターが今とは比べ物にならないほど強かったため、その再利用が手軽にできるだけでも危うかった。なんで《竜宮之姫》とステータス逆じゃないのかな。


第4期でのトップメタであった【変異カオス】にも採用された。《サウザンド・アイズ・サクリファイス》を裏側守備表示にすることで、自分のターン中だけ攻撃制限を解除し、新たに別のモンスターを吸収できるようにするなど、抜群の相性を誇った。

あまりの利便性から2006年9月1日の改定で禁止カードにまで上り詰める。ちなみに当時は《聖なるバリア −ミラーフォース−》も禁止カードと制限カードをうろうろしている頃。カード1枚1枚のアドバンテージが重視されており、スピリットゆえに何度でも効果を使えるこのカードの強さは凶悪なものであった。
もしも攻撃力1500なら除去の指標と化した《奈落の落とし穴》に引っかかったため、規制緩和が逆に早かったかもしれない。
だが、環境の高速化により2012年9月1日の改定で制限に復帰*1。そして1年後には無制限になった。

第5期終盤~第6期あたりの環境で既にこのカードに召喚権を割いてモンスター1体を戦闘破壊している余裕はなくなっていたのだが、緩和まではかなり時間を要した。
裏側守備表示というのは「モンスター1体を無力化できる」とも言えるため、慎重になるのも無理はなかったのだろうが……
ゴヨウ・ガーディアン》など環境の中心になったシンクロモンスター達と違い《奈落の落とし穴》が効かず、複数カードの構築を要しない汎用性が、テーマデッキのプッシュに乗り出した商売戦略を逆風に受けて規制を長引かせたのだろうか。

スピリットモンスター
星8/炎属性/炎族/攻2800/守2900
このカードは特殊召喚できない。
召喚・リバースしたターンのエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。
また、このカードが相手ライフに戦闘ダメージを与えた時に発動する。次のターンのドローフェイズのドロー前に相手は手札を全て捨てる。
相手に戦闘ダメージを与えると、相手の手札を全て捨てさせる豪快な効果を持つ。
ドローは許してしまうが、手札1枚で戦うことを強いらせるハイリスク・ハイリターンなカード。

うまく機能すれば最高の手札破壊となるが、特殊召喚できないスピリットにも関わらずレベル8。
事故要因になりやすく持て余しがち。専らアドバンス召喚のリリースをLPで肩代わりできる《死皇帝の陵墓》で使われる。
そして使用者の初手がよほどブン回ってない限り、だいたいこのカードの攻撃が通るころには相手の手札が1、2枚程度しか残っていないのでそういう意味でも……。
え?暗黒界?そんな時は掌をそっとデッキの上に乗せるんだ。

  • 伊弉波(イザナミ)
スピリットモンスター
星4/水属性/天使族/攻1100/守1800
このカードは特殊召喚できない。
召喚・リバースしたターンのエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。
このカードが召喚・リバースした時、手札を1枚捨てる事で自分の墓地に存在するスピリットモンスター1体を手札に加える。
召喚時に手札を一枚捨てて墓地のスピリットを回収する効果を持つ。
イザナミだ。

  • 雷帝神(スサノオ)
スピリットモンスター
星4/地属性/雷族/攻2000/守1600
このカードは特殊召喚できない。
召喚・リバースしたターンのエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。
このカードが相手ライフに与える戦闘ダメージは半分になる。
戦闘ダメージは半分になってしまうが、2000という下級モンスターとしては高い攻撃力を持つデメリットアタッカー
しかし、現在では攻撃力が同等でデメリットの無いモンスターも増えているので、
採用するならスピリットモンスターである事や種族にも意義を見いだしたい。
そもそも登場時点で「手札に勝手に戻る(場持ちが非常に悪い)」「与えるダメージが半分」「特殊召喚不可」と、いくらデメリットアタッカーとはいえ致命的な弱点を3つも抱えていたためとても使いものにならず、使う場合はスピリットデッキに、それも多くても2枚ということが多かった。
スピリットは場持ちが悪いため早いところ勝負を決めたいデッキだが、そのデッキにおいてダメージ効率が《因幡之白兎》を下回ることすらある*2=相手にとどめを刺すまでの時間が長いという明確な弱点を抱えた、割としょうもないカードである。《月読命》が禁止の頃でさえこんな評価なのでいろいろとお察しください。
裏を返せば、こういうカードに採用理由を強引に付与するための構築が「相性のいいカード」の部分で解説してある《底なし流砂》《ディメンション・ウォール》だったりするわけだ。このカードは確かに弱点が多いが、その弱点を打ち消すのではなく、逆手に取って爆発力を上げられる相方がいたのである。

その名前とを持ち、白目に厚ぼったい唇という造形は某雷の守護者を彷彿とさせるがおそらく無関係。
「雷帝」とは言うがスサノオはどちらかと言えばもしくは嵐の神で、雷神はタケミカヅチの方である。
また後述の草薙剣とよく似た剣を持っているが、スサノオは草薙剣を発見しただけで自分では使っていない。
ちなみに英語版では「Susa Soldier」というとんでもない名前だったりする。

  • 因幡之白兎(イナバノシロウサギ)
スピリットモンスター
星3/地属性/獣族/攻 700/守 500
このカードは特殊召喚できない。
召喚・リバースしたターンのエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。
相手フィールド上にモンスターが存在する場合、このカードの攻撃は相手プレイヤーへの直接攻撃としなければならない。
直接攻撃する能力を持つが、その代わり相手モンスターに攻撃はできない。戦闘は苦手なのだ。
「通常召喚権を犠牲する代わりに繰り返し使えるバーンカード」という趣のカードで、当時強力だったロックパーツ3種を抜けて攻撃することができるので使用する人もいた。
ただし《激流葬》《聖なるバリア -ミラーフォース-》のトリガーを自分で引いてしまうので使い勝手に非常に癖があることや、そもそも相手の攻撃を《悪夢の鉄檻》《拷問車輪》などで止めて《ステルスバード》《プロミネンス・ドラゴン》などで削ったほうが確実なことから、
マニアックな……というより「うまぶりたいプレイヤーが無理に使う」カードといった趣だった。テーマ化が弱かった昔はこういうカードが結構多かったんです。
今となってはあるYoutuberが「再生工場」と称してあれやこれやするネタの方が有名だろう。

  • 磨破羅魏(マハラギ)
スピリットモンスター
星4/地属性/岩石族/攻1200/守1700
このカードは特殊召喚できない。
召喚・リバースしたターンのエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。
また、このカードが召喚・リバースした時に発動する。次の自分のドローフェイズのドロー前に自分のデッキの一番上のカードを確認してデッキの一番上または一番下に戻す。
召喚・リバース時に次の自分のドローカードをデッキの一番上か下に移す効果を持つ。
なお、効果は召喚・リバース時にすでに解決しており、ドローフェイズにはチェーンブロックを作らない。
いくらドローが貴重とはいえ、通常召喚の権利を使ってまで行うようなものではないし、この時期に通常召喚を行うというのは当時制限カードになるほど強力だった《激流葬》のトリガーを引きかねない。

  • 竜宮之姫(オトヒメ)
スピリットモンスター
星3/光属性/魔法使い族/攻 0/守 100
このカードは特殊召喚できない。
召喚・リバースしたターンのエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。
このカードが召喚・リバースした時、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択し、表示形式を変更する事ができる。

絶望的なステータスだが表側モンスターの表示形式を変更する効果を持ち、減る事のないエネミーコントローラーだと思えばよい。
しかし、《月読命》の登場後は実質的な下位互換として扱われるようになってしまった。
そちらが禁止になった時期でも、あんまりにも素のステータスが低すぎてとても使い物にならなかった。いくらデフレ環境でも、せめて表示形式変更を1ターン禁止にするとかしてくれなきゃ無理。
一応《強制転移》とのコンボ(スピリット全般と相性がいい)でもっとも上振れを狙えるカードという個性はあったが、無理に採用するより《マシュマロン》でも入れた方が《砂塵の悪霊》などの召喚が安定するようになる。つまりお察しください。
一応《大和神》とかと組むと強くはあるんだけどさ……。

なかなかの美女として描かれており、結構可愛いかったりする。あとポーズが刺激的。
煽情的にも見える画風のためか、海外版ではイラストが丸ごと描き直された。

  • 荒魂(アラタマ)
スピリット・効果モンスター
星4/闇属性/悪魔族/攻 800/守1800
このカードは特殊召喚できない。
(1):このカードが召喚・リバースした時に発動できる。デッキから「荒魂」以外のスピリットモンスター1体を手札に加える。
(2):このカードが召喚・リバースしたターンのエンドフェイズに発動する。このカードを持ち主の手札に戻す。
待望(?)のスピリット専用サーチャー。召喚・リバースした際にスピリットをサーチできる。
サーチできるスピリットに制限がないので、こいつ一枚で好きなスピリットを呼び込める。しかも手札に戻るのでもう一度出せばどんどん呼べる。

  • 和魂(ニギタマ)
スピリットモンスター
星4/光属性/天使族/攻 800/守1800
このカードは特殊召喚できない。
召喚・リバースしたターンのエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。
このカードが召喚・リバースしたターン、自分は通常召喚に加えて1度だけスピリットモンスター1体を召喚できる。
また、このカードが墓地へ送られた時、自分フィールド上にスピリットモンスターが存在する場合、デッキからカードを1枚ドローする。
スピリット専用「二重召喚」。自分が墓地に送られた時に場にスピリットがいたら1枚ドローできる。
こいつをリリースして上級スピリットを出す事で1枚ドローしたり、
「伊弉波」のコストでこいつを捨てて回収&ドローしたりできる。


  • 八俣大蛇(ヤマタノドラゴン)
スピリットモンスター
星7/炎属性/ドラゴン族/攻2600/守3100
このカードは特殊召喚できない。
召喚・リバースしたターンのエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。
このカードが相手ライフに戦闘ダメージを与えた時、自分の手札が5枚になるまでデッキからカードをドローする。
相手に戦闘ダメージを与えた時、手札を5枚になるまでドローできる破格の効果を持つ。
浪漫溢れるド派手なドロー加速だが、手札を持て余しやすいスピリットではあまり採用されない。
かつてはそもそもレベル7というのが結構キツく、使うのであればレベル8の《火之迦具土》の方が何かと都合のいい時代だった。
ただしサーチからリリース確保まで容易く手札消費も激しい【征竜】との相性が良く、そちらで採用される事もあった。

  • 大和神(ヤマトノカミ)
スピリットモンスター
星6/闇属性/戦士族/攻2200/守1200
このカードは通常召喚する事ができない。
自分の墓地に存在するスピリットモンスター1体を
ゲームから除外した場合のみ特殊召喚する事ができる。
特殊召喚したターンのエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。
このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊した場合、相手フィールド上に存在する魔法または罠カード1枚を破壊する事ができる。
【スピリット】は通常召喚が軸になるため、特殊召喚をする機会は案外少ない。この特殊召喚を、「墓地のスピリット」という事実上の死に札を使って行うことができる。
その分ステータスは低いのだが、どちらかといえばこのカード自身が殴りに行くのではなく《砂塵の悪霊》などの上級モンスターのリリース要員として使う用途で用いられた。
《デビルズ・サンクチュアリ》でいい?そうだね。登場があと半年早ければマニアックな動きができただろうに。

  • 天岩戸(アマノイワト)
スピリット・効果モンスター
星4/地属性/岩石族/攻1900/守1200
このカードは特殊召喚できない。
(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
お互いにスピリットモンスター以外のモンスターの効果を発動できない。
(2):このカードが召喚・リバースしたターンのエンドフェイズに発動する。このカードを持ち主の手札に戻す。
第10期に入って登場したスピリット。
互いのスピリット以外のモンスターは効果を発動できないという強烈なロック効果を持つ。
第6期以降効果モンスター偏重の環境が続いており、スピリットの採用率は高くないため非常に刺さる。
《霊子エネルギー固定装置》《霊魂鳥神-彦孔雀》《霊魂鳥神-姫孔雀》で相手ターンでも維持すればかなりの制圧力を発揮できる。

  • 河伯(カワノカミ)
スピリット・効果モンスター
星4/水属性/水族/攻1800/守 600
このカードは特殊召喚できない。
(1):このカードが召喚・リバースした場合、フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。その表側表示モンスターはスピリットモンスター扱いとなり、エンドフェイズに持ち主の手札に戻る。
(2):このカードが召喚・リバースしたターンのエンドフェイズに発動する。このカードを持ち主の手札に戻す。
相手をスピリット化させる
バウンスで除去はもちろん《八汰烏の骸》で2ドローできる

  • 天照大神(アマテラス)
スピリット・効果モンスター
星9/光属性/天使族/攻3000/守3000
このカードは召喚・特殊召喚できない。
(1):裏側表示のこのモンスターを対象とする魔法・罠・モンスターの効果を相手が発動した時、このカードを表側守備表示にして発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。
(2):このカードがリバースした場合に発動する。このカード以外のフィールドのカードを全て除外する。
(3):このカードがリバースしたターンのエンドフェイズに発動する。このカードを持ち主の手札に戻す。

なんと「召喚・特殊召喚できない。」というとんでもないことが書かれているカード。基本的にアドバンスセットで出すことになる。初出版はシークレットレアという事で非常に神々しい。
行為自体が何かを仕込んでいるとモロバレしてしまうアドバンスセット以外でフィールドに出て来れないので、
太陽の書などで能動的に効果を発動させたいところ。

登場した頃は(1)の効果にさえ成功すればほぼ自動的に(2)の効果も発動できていたが、マスタールール(2020年4月1日改訂版)の施行により発動できない場合が生まれてしまった。効果発動についてのルールが変更されたことで、(1)のトリガーになった効果で除去された場合は(2)の発動ができなくなった。*3

  • 幸魂(サキタマ)
スピリット・効果モンスター
星4/光属性/天使族/攻400/守900
このカードは特殊召喚できない。このカード名の(1)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):手札のこのカードを相手に見せて発動できる。手札からスピリットモンスター1体を召喚する。
(2):このカードが召喚・リバースしたターンのエンドフェイズに発動する。このカードを持ち主の手札に戻す。
(3):このカードがリリースされた場合、自分の墓地のスピリットモンスター1体を対象として発動する。そのモンスターを手札に加える。
効果で手札のスピリットモンスターを召喚、続いて正規召喚権で更なるモンスター展開が可能。
(1)、(3)ともに幸魂自身でも良いため、基本的には自分を出して上級スピリットのリリース要員にしたり、
光属性レベル4天使族という優秀なステータスでシンクロ・エクシーズ素材に使用するのが良い。
《荒魂》を召喚してサーチ、(1)を発動すれば即座にランク4のエクシーズ召喚が可能。
カテゴリ以外の特殊召喚に強烈な縛りがかかるが、召喚には特に何も縛りのないエクソシスターなどとの相性も良い。

  • 刀皇(トウオウ)都牟羽沓薙(ツムハクツナギ)
スピリット・効果モンスター
星11/風属性/戦士族/攻3000/守3000
このカードは特殊召喚できない。
このカードは通常召喚したモンスター1体をリリースしてアドバンス召喚できる。
(1):このカードが召喚・リバースした場合に発動する。
相手は自身のフィールドのカードを任意の数だけ選んで墓地へ送る事ができる。
その場合、その数だけお互いにドローする。
この効果を発動したターンのエンドフェイズに、
お互いのフィールド・墓地のカード及び除外されているカードを全て持ち主のデッキに戻す。
(2):このカードが召喚・リバースしたターンのエンドフェイズに発動する。
このカードを持ち主の手札に戻す。
レベル11の最上級スピリットモンスターだが、条件を満たせば1体のリリースで召喚可能。
《幸魂》や《和魂》などとコンボしたい。
召喚に成功するとまず相手にフィールドカードを処理してのドローを選択させ、その後のエンドフェイズに手札以外の全てのカードをデッキに戻してしまう。
スピリットモンスターならば効果で手札に戻るため、被害を抑えられる。
自分ターンに使うと盤面がカラの状態で相手のターンを迎え撃つことになり危険だが、相手ターンに《魍魎跋扈》などで召喚すれば相手はこのターンでこちらを仕留めなければあらゆるアドバンテージを無に帰されてしまうことになる。
ちなみに「都牟羽」「沓薙」とは草薙剣の別名。

  • (イチ)狭依姫(サヨリヒメ)
スピリット・効果モンスター
星4/光属性/天使族/攻 800/守 800
このカードは特殊召喚できない。
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが手札に存在し、自分フィールドに攻撃力か守備力が800のモンスターが存在する場合に発動できる。
このカードの召喚を行う。
(2):このカードが召喚した場合に発動できる。
デッキから「斎キ狭依姫」以外の攻撃力か守備力が800でレベル4の光・闇属性モンスター1体を手札に加える。
(3):このカードが召喚・リバースしたターンのエンドフェイズに発動する。
このカードを手札に戻す。
攻守のどちらかが800のモンスターがいれば効果で自身を召喚でき、更に召喚時に攻守のどちらかが800かつレベル4で光属性か闇属性のモンスターをサーチできる。
《荒魂》とは相互サーチが可能であり、《荒魂》を召喚してサーチし即召喚、もしくはこのカードを効果で召喚してから《荒魂》をサーチし召喚、とシナジーを形成している。
ただし、攻守のどちらかが800のスピリットモンスターはこのカードと《荒魂》を除くと《和魂》しかおらず、シナジーは薄め。
どちらかと言えばTACTICAL-TRY DECKとなったエクソシスターとの連動を見越したカードであり、あちらの下級モンスターは全て守備力800・レベル4・光属性とこのカード召喚効果のトリガー及びサーチ効果の対象の両方を満たしている。あちらが《エクソシスター・マルファ》の制約を逃れるため、召喚効果を持つ《幸魂》を初めとしたスピリットを採用していた縁だろう。
また、スピリット以外でも該当するカードは多く存在するため、それらのデッキでも使う場面がある。
「狭依姫」はおそらく「狭依比売」の捩りで市寸島比売(イチキシマヒメ)の別名。

インド神話

  • 阿修羅(アスラ)
スピリットモンスター
星4/光属性/天使族/攻1700/守1200
このカードは特殊召喚できない。
召喚・リバースしたターンのエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。
このカードは相手フィールド上に存在する全てのモンスターに1回ずつ攻撃をする事ができる。
相手フィールド上のモンスターにそれぞれ1回ずつ攻撃できる。
「スケープ・ゴート」の羊トークンやリクルーターを完全に潰す事ができるというなかなかやりたい放題のモンスター。軸をずらした戦略が可能なため人気が高かった。
攻撃力こそ中途半端だが当時あらゆるデッキで用いられていたものを徹底的に否定できる、【スピリット】のメインアタッカーにしてメインギミックを担うモンスター。
その性質からスピリット以外のデッキに用いられる事もある。たとえ相手が大量展開していようとオネストと一掃する事もできる。
スケゴもリクルーターも完全に過去のものになった現在の評価は……どうなんだろう?

《神機王ウル》は似たような効果を持つが、相手が受ける戦闘ダメージを0にするという致命的過ぎるデメリットがあるためまったく使われない。
このカードが強すぎたことを警戒しているのは明らかだろう。

  • 軍荼利(グンダリ)
スピリットモンスター
星4/炎属性/炎族/攻1000/守 200
このカードは特殊召喚できない。
召喚・リバースしたターンのエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。
このカードがシンクロモンスターと戦闘を行う場合、ダメージ計算を行わず、そのモンスターとこのカードを持ち主の手札に戻す。
神々が生み出した対シンクロ要員。
シンクロモンスターと戦闘すると自分と相手を手札に戻す効果を持つ。
シンクロモンスターを手札に戻せるテキストに見えるが、シンクロモンスターはエクストラデッキに送られる。
似た効果を持ち範囲が広いモグラもいるので、スピリットである事に意義を見出したい。

  • 夜叉(ヤシャ)
スピリットモンスター
星4/水属性/天使族/攻1900/守1500
このカードは特殊召喚できない。
召喚・リバースしたターンのエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。
このカードが召喚・リバースした時、相手フィールド上に存在する
魔法・罠カード1枚を選択して持ち主の手札に戻す事ができる。
召喚・リバースした時、相手の魔法・罠を1枚手札に戻す効果を持つ。
くず鉄のかかし」などの攻撃反応する罠、「平和の使者」などの永続ロックカードをバウンスして攻撃する事ができる。

  • 羅刹(ラセツ)
スピリットモンスター
星4/炎属性/天使族/攻1500/守1900
このカードは特殊召喚できない。
召喚・リバースしたターンのエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。
このカードが召喚・リバースした時、「羅刹」以外の手札のスピリットモンスター1体を相手に見せて発動できる。相手フィールド上に表側攻撃表示で存在するモンスター1体を選択して持ち主の手札に戻す。この効果を発動するターン、自分はモンスターを特殊召喚できない。
召喚・リバースした時、手札のスピリットを公開する事で相手モンスター1体をバウンス。
夜叉とは効果だけでなく、属性や攻守も対になっている。

東洋の妖怪

  • 《砂塵の悪霊》
スピリットモンスター
星6/地属性/アンデット族/攻2200/守1800
このカードは特殊召喚できない。
召喚・リバースしたターンのエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。
このカードが召喚・リバースした時、このカード以外のフィールド上に表側表示で存在するモンスターを全て破壊する。
初の日本神話がほぼ無関係なスピリットモンスター。
召喚時に、自分フィールドを巻き込む「ライトニング・ボルテックス」を発動する。
星6なので生け贄が必要だが、効果自体は非常に強力。
帝とは違いリバースでも効果発動するため停戦協定と合わせれば地雷としても使える。

  • 偉大天狗(グレート・テング)
スピリットモンスター
星5/闇属性/獣戦士族/攻1900/守1700
このカードは特殊召喚できない。
召喚・リバースしたターンのエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。
このカードが相手ライフに戦闘ダメージを与えた場合、次の相手ターンのバトルフェイズをスキップする。
相手に戦闘ダメージを与えた時、相手ターンのバトルフェイズをスキップする効果を持つ。
「タイム・イーター」との専用デッキを組めば、相手のメインフェイズとバトルフェイズをスキップする凶悪なコンボを決められる。

中国の伝説より

  • 鳳凰(ホウオウ)
スピリットモンスター
星6/炎属性/鳥獣族/攻2100/守1800
このカードは特殊召喚できない。
召喚・リバースしたターンのエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。
このカードが召喚・リバースした時、相手フィールド上にセットされた魔法・罠カードを全て破壊する。
突然現れた上級スピリット。セットされた魔法・罠を相手のみ全て破壊する効果を持つ。
《魔封じの芳香》や《心鎮壷のレプリカ》との相性は抜群。

  • 金華猫(きんかびょう)
スピリット・効果モンスター
星1/闇属性/獣族/攻 400/守 200
このカードは特殊召喚できない。
(1):このカードが召喚・リバースした時、自分の墓地のレベル1モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは除外される。
(2):このカードが召喚・リバースしたターンのエンドフェイズに発動する。このカードを持ち主の手札に戻す。
ランク1デッキと相性のいい下級スピリット。
現代環境で必須級の扱いをされる手札誘発には《エフェクト・ヴェーラー》や《D.D.クロウ》、《ドロール&ロックバード》などのレベル1も多いため、役目を終えたそれらを活用できる点も強力。
今ほどテーマ化が著しくなる以前では、このカードを軸にしたデッキも存在していた。

西洋の伝説より

  • 不死之炎鳥(フシノトリ)
スピリットモンスター
星4/炎属性/鳥獣族/攻1200/守 0
このカードは特殊召喚できない。
召喚・リバースしたターンのエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。
このカードが相手ライフに戦闘ダメージを与えた時、与えた戦闘ダメージの数値分だけ自分のライフポイントを回復する。
遊戯王では比較的珍しいドレイン効果を持つモンスター。
レベル4で攻撃力が低く、戦闘で役に立つ効果を持つわけでもないので強みといえる点がほとんどなく、採用順位は限りなく低い。


霊魂(エスプリット)

まさかの儀式スピリットカップルとそれを取り巻く下級スピリット3枚。
スピリットモンスターを召喚条件を無視して特殊召喚というこれまた前代未聞の効果を持っているが実は既存スピリットとの相性がイマイチな物が多い。
詳しくは項目参照。

日本の国技

  • 《カラテ魂 KURO-OBI》
ペンデュラム・スピリット・効果モンスター
星5/風属性/戦士族/攻2400/守1000
【Pスケール:青9/赤9】
(1):フィールドにモンスターがP召喚された場合に発動する。
Pゾーンのこのカードを持ち主の手札に戻す。
【モンスター効果】
(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。自分のPゾーンのカードと同じ縦列の相手の魔法・罠カードを全て墓地へ送る。
(2):このカードが召喚・リバースしたターンのエンドフェイズに発動する。このカードを持ち主の手札に戻す。

  • 《スモウ魂 YOKO-ZUNA》
ペンデュラム・スピリット・効果モンスター
星5/風属性/戦士族/攻2400/守1000
【Pスケール:青1/赤1】
(1):フィールドにモンスターがP召喚された場合に発動する。Pゾーンのこのカードを持ち主の手札に戻す。
【モンスター効果】
(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。自分のPゾーンのカードと同じ縦列の相手のモンスターを全て墓地へ送る。
(2):このカードが召喚・リバースしたターンのエンドフェイズに発動する。このカードを持ち主の手札に戻す。

  • 《ケンドー魂 KAI-DEN》
ペンデュラム・スピリット・効果モンスター
星5/風属性/戦士族/攻2400/守1000
【Pスケール:青9/赤9】
(1):フィールドにモンスターがP召喚された場合に発動する。Pゾーンのこのカードを持ち主の手札に戻す。
【モンスター効果】
(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。自分のPゾーンのカード1枚を選び、そのカードと同じ縦列の相手のカードを全て墓地へ送る。
(2):このカードが召喚・リバースしたターンのエンドフェイズに発動する。このカードを持ち主の手札に戻す。

海外からやって来たペンデュラムスピリット三人衆。
召喚時にペンデュラムゾーンの縦列に位置する相手のカードを墓地送りにする除去効果と、スピリット共通の自己バウンス効果を持つ。カラテは魔法・罠、スモウはモンスターしか除去できないがペンデュラムゾーン両方を参照し、ケンドーはモンスターも魔法罠も外すがペンデュラムゾーンは片方しか参照しない。
スピリットではあるが他のスピリットとの相性は最悪。設計的には魔導獣とのコンボを想定されている。
ちなみに全員が帝ステータスなので「帝王」カードのサポートを受けられる。

そのほか

  • 《氷結界の神精霊》
名前の後半は「しんせいれい」ではなく「しんしょうれい」と読む。
氷結界の創設者であるおじいちゃん。元々は「氷結界の伝道師」という名前。
フィールド上に他の氷結界モンスターがいる場合、自身ではなく相手のモンスターを選択してバウンスさせる効果に変わる。

  • 《リチュア・エミリア》/《リチュア・ナタリア》
氷結界、現リチュア出身のお二人。
諸事情で幽霊になっているためスピリットモンスターになっている。



また、スピリットには専用のサポートカードも登場している。

【主なサポートカード】

  • 《スピリットの誘い》
永続罠
このカードのコントローラーは自分のスタンバイフェイズ毎に500ライフポイントを払う。または、500ライフポイント払わずにこのカードを破壊する。
フィールド上に表側表示で存在するスピリットモンスターが自分の手札に戻った時、相手フィールド上に存在するモンスター1体を相手が選択して持ち主の手札に戻す。
案外悪くないカード。《強制転移》で押し付けたスピリットが手札に戻っても相手のモンスターをバウンスできる。維持も任意だし。

  • 《八汰烏の骸》
通常罠
次の効果から1つを選択して発動する。
●自分のデッキからカードを1枚ドローする。
●相手フィールド上にスピリットモンスターが表側表示で存在する場合に発動する事ができる。自分のデッキからカードを2枚ドローする。
普通に使うと1枚ドロー、相手の場にスピリットが居ると2枚ドローできる罠カード。
スピリットデッキにおいては「強制転移」や「死のマジックボックス」で相手にスピリットを送りつけてから発動するのが定番だが、
それよりもむしろチェーンバーンでチェーンを稼ぐためのパーツとして使うことの方が多い。
相手が《阿修羅》のようなカードでも使ってくれたら儲けものだ。

  • 草薙剣(クサナギノツルギ)
装備魔法
スピリットモンスターにのみ装備可能。
装備モンスターが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
装備モンスターが自分フィールド上から手札に戻る事によってこのカードが墓地へ送られた時、このカードを手札に戻す。
三種の神器の1つ。
スピリットモンスターに守備貫通能力を与える。

  • 八汰鏡(ヤタノカガミ)
装備魔法
スピリットモンスターにのみ装備可能。
装備モンスターはエンドフェイズ時に手札に戻る効果を発動しなくてもよい。
装備モンスターが戦闘によって破壊される場合、代わりにこのカードを破壊する。
三種の神器の1つ。
スピリットモンスターを場に留まらせる効果と、戦闘破壊の身替わり効果を持つ。
スピリットは召喚(特殊召喚)・リバースしたターンのエンドフェイズに手札に戻るので、一度そのターンを過ぎればこのカードがなくなってもスピリットモンスターは場に残る。
ただし《伊弉凪》にも言えるのだが、【スピリット】を組む場合、特定の1~2種類にフィニッシャーを任せるような構築でもない限り「手札に戻ることを眼目においてデッキを組んだ方が安定する」。
このカードを安定してサーチする手段がないかぎり、デッキの軸がぶれるだけで終わってしまう。2020年以降の遊戯王なら1ターンで簡単に決着がつくかもしれないが、2007年の遊戯王はインフレを作り出したデッキ以外はゆっくりとした速度で戦っており、スピリットはこのゆっくり側のデッキだった。
つまり手札に戻ることを前提にして《ディメンション・ウォール》《底なし流砂》などで急いた相手をハメていく構築の方が安定感があったのだ。

  • 八尺勾玉(ヤサカノマガタマ)
装備魔法
スピリットモンスターにのみ装備可能。
装備モンスターが戦闘によって相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、破壊したモンスターの元々の攻撃力分だけ自分のライフポイントを回復する。
装備モンスターが自分フィールド上から手札に戻る事によってこのカードが墓地へ送られた時、このカードを手札に戻す。
三種の神器の1つ。
スピリットモンスターが戦闘破壊したモンスターの攻撃力分だけ自分のライフを回復させる効果を持つ。
阿修羅と組み合わせてモンスターを一掃すれば一気にアドバンテージが稼げる。

  • 伊弉凪(イザナギ)
効果モンスター
星6/風属性/天使族/攻2200/守1000
このカードは手札のスピリットモンスター1体をゲームから除外し、手札から特殊召喚する事ができる。
このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、自分フィールド上に存在するスピリットモンスターは
エンドフェイズ時に手札に戻る効果を発動しなくてもよい。
嫁はスピリットなのに何故か自分はスピリットじゃない夫。手札のスピリットを一体除外して特殊召喚できる。
「八汰鏡」「霊子エネルギー固定装置」を内蔵したアタッカー。状況によって先述のカードと使いわけよう。
どちらかといえば手札にあふれやすいスピリットを種にして特殊召喚できるという点が重要で、《砂塵の悪霊》の生贄要員としてデッキにすんなり入れられることが重要。
盤面次第では打点も増やせるし、今なら頑張ればシンクロやエクシーズの素材にもできるんじゃない?

  • 《霊子エネルギー固定装置》
永続魔法
このカードがフィールド上に存在する限り、スピリットモンスターはフィールド上に残り続ける。
自分のエンドフェイズ時に手札を1枚捨てる。捨てなければ、このカードを破壊する。
また、このカードがフィールド上から離れた時、フィールド上に存在する表側表示のスピリットモンスターは全て持ち主の手札に戻る。
色々制約が付く代わりに永続魔法になった八汰鏡。ちなみにこちらの方が登場は圧倒的に早い。
そもそもスピリットの大部分は「手札に戻る=戦闘破壊・除去を受けなくなり、再利用ができる」というところに強みがあるため、わざわざ維持するようなものでもない。《竜宮之姫》《月読命》なんて盤面に固定されたらむしろ困る。
ちなみに相手のスピリットモンスターも手札に戻らなくなる。
一応スピリット抜きでも手札を捨てる手段には使える。意味があるかは別として…。

【類似するカード】

  • 《邪悪なるワーム・ビースト》
効果モンスター
星3/地属性/獣族/攻1400/守700
自分ターンのエンドフェイズ時、表側表示でフィールド上に存在するこのカードは持ち主の手札に戻る。
スピリットではないが、手札に戻る効果を持つモンスター。
効果が似ている以上の関連性は無く、スピリットモンスターでもない。スピリットと違い、特殊召喚が可能であるという事を活かしていきたい。

元ネタとなるMTGの《ヴィーアシーノの砂漠の狩人》というカードは、パワーがそれなりに(あくまでもそれなり)高く、召喚酔いを起こさないという強みがあるかわりに勝手に手札に戻ってしまうため非常に燃費が悪い。
しかし3マナでパワー4というのはMTGの基準ではなかなかのやり手だったため採用するプレイヤーも多かった。デメリットのない《雷帝神》がイメージ的に近い。
ワームビーストは当時の遊戯王のスタッフが、このカードの強みをよく理解せずに範を取ってカード化してしまったものであり、そもそもルールがまったく異なるのに手札に戻るという効果をつけた結果、「何の強みもないが勝手に手札に戻る」というクソみたいなカードになってしまったというもの。
《異国の剣士》然り、どんなゲームも最初のうちは手探りなのだ。


同上、詳しくは項目参照

相性のいいカード(シンクロ以前の大昔)

《強制転移》《死のマジックボックス》
準制限時代の《強制転移》は本当に強く、たとえばリクルーターを押し付けて戦闘破壊すれば「相手のモンスターを奪取」「持ち主がさらなるモンスターを展開」の2つの役割を同時にこなせる。
《死のマジックボックス》は、当時は相手のモンスターを狙って破壊するカードが珍しかったこともあって【コントロール転移】などで使われ、それらのデッキにアクセントを加えるためにスピリットが併用された。
いずれもスピリットを押し付けた場合、何もしなくても勝手にこちらの手札に戻ってくるので事実上除去となる他、《八汰烏の骸》での2枚ドローも可能。ただしカード2枚を使って2枚ドローなので効率は全然よくない。
こんな動きが個性になる、そんな時代もあったのだ。

《エクスチェンジ》
スピリットは「持ち主の」手札に戻るため、対戦相手は「召喚したターンのエンドフェイズに勝手に手札に戻るモンスター」を選ぶ羽目になる。つまり然るべき手札で使えば、事実上の1枚ハンデスになるという理屈。
問題があるとすれば、その「然るべき手札」はたいていの場合目を覆いたくなるレベルで事故ってるということだろう。こんなもんでも許される素朴な時代があったのだ。

《ライトニング・ボルテックス》《サンダー・ブレイク》などの手札コストを求める除去
スピリットは勝手に手札に戻る上に通常召喚権を食い合うため、どうしても手札が余りやすい。手札で無駄になった《雷帝神》スピリットモンスターをコストに除去を打てば無駄がない、という理屈。
ただし《砂塵の悪霊》がいる【スピリット】では少々オーバーキル感がある。

《底なし流砂》
手札を4枚以上に維持することがたやすく、さらに自分のフィールドに高攻撃力のモンスターが残りにくいため自爆の危険性も少ない。動き自体はまったく異なるが、結果的には《スピリットの誘い》をさらに攻撃的な動きにしたカードという趣。
場持ちの悪さを「相手のモンスターも場持ちを悪くする」ことで強引に解決するというもので、これを投入する【スピリット】にとって《霊子エネルギー固定装置》はアンチシナジーレベルの敵。

《ディメンション・ウォール》
壁モンスターがいない上に永続罠や永続魔法が残っている=ゴーズの危険性がない!と調子づいて直接攻撃してきたプレイヤーを分からせる、2枚目以降の《魔法の筒》。
《魔法の筒》は制限カードだったことからも分かるように、当時としては破格のダメージ効率を誇るカードだった。これを3~4枚入れることでダメージを加速させるという、シナジーの弱い時代だからこそのテクニック。
今ならテーマ系のカードがもっと強いことをたった1枚でこなすのだろうが、この時代はそんなことができるテーマカードの方が稀。デフレの谷底では今のプレイヤーには思いもよらない、今じゃ素朴すぎてシナジーということすらはばかられるような領域のものが「コンボ」なんて呼ばれていたのである。

シンクロ以前のスピリットデッキは、そもそも組まない方がいい場持ちが非常に悪い点をむしろ逆用して、マニアックなカードを使って攻めの軸をずらすという、よくいえば「テクニカル」、悪くいえば「セコい」デッキだった。
大型モンスターを出して攻める少数精鋭型のデッキには強く*4、横に展開していく金太郎飴型のデッキや展開速度の早いデッキなどには弱いという趣のデッキであり、
この相性的に不利な相手にマニアックなカードで分からん殺しを仕掛けていくというものだ。神に定石は通用しないのである。
もちろん「レシピサイトなどで調べた結果、主流となっているものがこれとは異なる、こんな解説は江戸しぐさだ」なんて反論が出てくるだろう。どちらを信じるかはあなた次第だが、テーマ化が弱い時代は「足りない部分にプレイヤー自身が知恵や工夫を入れて紙束をデッキに仕上げる」というアプローチのデッキも存在していたことだけは頭の片隅においていただきたい。
そしてそれが不評だったからこそ、デザイナーズ・コンボの強いカードゲームになっていったのだ。歴史というのはそういうものである。


総じて非常に癖が強く、デメリットなんて素材にして解決できる令和の遊戯王においても「特殊召喚できない」「名称シナジーがない」などの理由で採用が難しいカード。
ただどんなカードゲームでも「癖が強いカードを使いこなしたときにしか摂取できない栄養」は確かに存在するので、そういうのを味わいたい人にはちょうどいいかもしれない。
今やヤタすら弱いと言われるほどに煮詰まりきった現代遊戯王だからこそ、たまには使ってあげてほしい。

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最終更新:2025年08月20日 15:55

*1 ミラフォも同時に制限→準制限に緩和され、如実な環境変化が窺える。

*2 攻撃力600以上のモンスターを攻撃した際など

*3 モンスターの誘発効果が発動条件を満たしても、発動の前にそのモンスターが別のゾーンに移動した場合は効果の発動が不発になってしまう。例えばこのカードを対象にして発動された《強制脱出装置》にチェーンし、(1)を発動して表側表示に変更させることはできる。だが、(2)の発動前に手札に戻されてしまうため、(2)を発動させることはできない。

*4 そもそもこの時代のデカブツ主体のデッキはどうしても弱みの方が大きくなる。これをルールレベルで解消したのが、メリットしか書いてないデカブツを手札事故さえ起こさずに出せるようにする「シンクロ召喚」である。