登録日:2014/04/29 Tue 15:19:39
更新日:2025/04/09 Wed 20:43:33
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●性能諸元
型式番号:MS-06K
頭頂高:17.7m
本体重量:59.1t
全備重量:83.2t
出力:976kW
推力:41,000kg
センサー有効半径:4,400m
装甲材質:超硬スチール合金
武装:
180mmキャノン砲
ビッグガン×2
2連装スモークディスチャージャー
シールド
他
パイロット:
ジオン一般兵
連邦一般兵
アルフレディーノ・ラム
キャンドル
アイリス・アリスン
他
●機体解説
もともとは対空防御用として開発されていて、仕様もJ型にオプションの対空用キャノンを装備しただけの「対空砲装備型ザク」として完成されるはずだった。
だが重量バランスなどの問題を解決できず、しかも敵である地球連邦軍が航空戦力の運用に消極的で、偵察機や輸送機程度なら普通のザクでこと足りたため「別に今すぐ造る必要なくね?」と考えられてしまい、棚上げ状態となってしまった。
このころはMSの地球環境への適応能力や機動性の向上などを模索していた時期であり、そちらを優先していたことも原因の一つだったようだ。
そんなある日、キャリフォルニア・ベースに一報が届けられる。
連邦軍が肩にキャノン砲を装備したMSを実戦投入してきたのである。
ガンキャノンと呼ばれたその機体は対空防御用ではなくMS同士の戦闘における
支援機として運用されていた。
「支援用MS」なんて考えすら思いつかなかったジオン側はそれを知り、「その発想はなかったわ」と驚愕。「ならばこっちも」と言わんばかりにこれに対抗できる機体を開発すべく対空防御用から支援用にコンセプトを変更した改装機「ザクキャノン」の開発がスタートしたのである。
なお、異説として「当初は対空防御用として完成したが、いざ使ってみたら支援用としても有効だったので、そちらとしても使われるようになった」というのがある。
前述したようにベースはザクだが、これはメンテナンスやコスト面やノウハウの蓄積などを鑑みたことによる。
口のダクトは開発中の機体の部材が使用され、頭にはサブカメラを追加。メインカメラのモノアイは全周式へと変更された。
背中のバックパックにはキャノン砲の他にビッグガンと呼ばれる武装を装備でき、コクピットから操作して任意に排除が可能。場合によってはジョイントを爆砕して外すこともできた。
排除後の性能はJ型と同程度を維持しているが、基本的にバックパックに武装が集中しているので携行武装がなければ丸腰になってしまう。武器の弾薬補充も他の機体に手伝ってもらわなければならなかった。
だが、本機は中距離や遮蔽物越しの砲撃が主な戦闘スタイルだったため、これらは特に問題視されなかったという。
砲撃機ゆえに機動性は落ちているが、脚に
グフと同様にサブスラスターを搭載することで、ある程度カバーしている。
ちなみにバックパックは換装が可能。
標準兵装状態の機体の機動性
テストを行うべくJ型の通常バックパックに換装し、脚の推進システムもグフ系のそれに変更したことがあり、結果は上々であった。…が、コスト面の問題などでただのデータ取り程度にとどまっている。
全部で9機の試作機が完成し、当初の型式番号は「MS-06J-12」だったが、のちに現在のものに変更された。
試作1号機はサンドカラーで塗られていた(西アジアでの試験運用のため)が、予定の変更でグレー系のロービジリティ迷彩に塗り替えられた。他の機体も似たようなカラーリングで塗装され、なかには
森林迷彩用のグリーンや量産検討用にJ型と同じ色にされたものもあったという。
全機がキャリフォルニア・ベースのある北米で投入された…とされていたが、東南アジアでも形状の違う機体が確認されていて、また「アフリカ大陸ではデザートタイプ並みにポピュラーだった」という資料もあったり後述の
Zガンダムや
ガンダムUCで連邦軍やジオン残党が使ってたりするので「9機以上造られていた」とか「いろんな所に配備するため大量生産された」とか「生産拠点が他にもあった」とかいう可能性も指摘されている。
●武装
右肩に装備されている火薬式のキャノン。
バックパックのほとんどはこれの砲撃や給弾、管制システムで埋まっている。
ちなみにビームキャノンも検討されていたが、ザクの基本設計が限界だったのでゲルググキャノンに引き継がれたらしい。
バックパックの下側に装着されるランチャー兼ミサイルポッド。
通常は後ろを向いている(「ガンダムUC」登場機は下向き)。
バックパックの左側に装備。
右肩に装着されている。
砲撃時に右側が死角になるのを補うための装備。
この他、通常のザクの武器も使用可能。
●作中の活躍
主なパイロットはアルフレディーノ・ラム。
北米の激戦区などで投入され、アルフレディーノ機は対地支援砲撃で活躍していた。
戦後は何機かが連邦軍に接収されている(後述)。
U.C.0096年時にもジオン残党が保有していて、
トリントン基地の襲撃作戦に投入された。
●派生機
サブカメラにブレードアンテナを二つ追加したタイプ。
兎耳っぽいのでこう呼ばれる。
ニュータイプと噂されたイアン・グレーデンが搭乗し、ザクキャノン部隊の中隊長機として多大な戦果を挙げた。
連邦軍が
一年戦争で接収した機体を改装。
バックパックにスラスターを増設し、他のスラスターも換装して宇宙でも運用できるようにしている。
キャノン砲は宇宙での反動を顧みてか、ビームキャノンに改装されていた。カラーリングはくすんだ青。
アレキサンドリア級ハリオに配備されていたが、本機を見た
パプテマス・シロッコからは「骨董品」と馬鹿にされている。
実際問題お寒い性能であったはずであり、逆に言うとこんな旧式の地上用MSを、わざわざ宇宙用に改修してまで使わなければいけなかったほど、連邦の衰退と
地球の荒廃が激しかったのだともいえる。
またキリマンジャロ基地でも配備されていて、一瞬だけ登場する。
漫画『ADVANCE OF Ζ 刻に抗いし者 審判のメイス』ではその内の1機に主要人物の一人であるアイリス・アリスンが搭乗していた。
バックパックをキャノン砲から
ガトリング砲「120mmバルカン砲」に換装。
対空防御用の装備であり、当初のコンセプトにかなり近い機体となった。
北米のジオン軍基地を空爆してきた
フライマンタの迎撃に出ており、74機中14機を撃墜している。
型式番号:MS-06JK
MS-06CK(MSD版)
頭頂高:17.5m
全備重量:81.6t
ザクⅡJ型のバックパックやシールドなどをザクキャノンのものに換装した「簡易型ザクキャノン」とも言える機体。ほぼ完全に当初のコンセプトに立ち返っている。
一部機体はカラーリングも同じように塗り替えられた。
ジオン軍の開発部が提案したもので、戦場で損耗した機体の代わりに別機体を換装させることで補おうというのが狙いらしい。
この装備はオプションとして24セット造られ、地上に送られた。
ガトリング砲装備型のザクキャノンと同じ基地で目撃されていて、3機を撃墜している。
また、北米戦線で活躍したノイジー・フェアリー隊のミア・ブリンクマン技術少尉専用のカスタム機が運用されたケースもあった。
並行世界である『THE ORIGIN』の世界線を描いた『MSD』ではC型系列をベースに開発されたものとなっており、型式番号も異なる。
『MSD』で設定されたザクキャノンの試作機。
対MS戦闘を考慮する以前の対空戦闘用として開発されていた際の機体。
外見は
量産機と殆ど変わらないが、脚部がザクⅡのままになっており、重量バランスが悪く開発が停滞してしまったとされる。
従来の宇宙世紀にも存在しているかは不明だが、MSVで言及されていた「開発を凍結された対空用MS」がこいつだったのかもしれない。
漫画『機動戦士ガンダム バニシングマシン』に登場した現地改修機。
下半身を破壊されたザクキャノンをザクタンクの如くトレーラーの荷台に固定したもので、名前も制式なものではない。
通常のザクキャノンが1/144、1/100、MGで発売。
色替えの連邦軍仕様も1/144で発売されたことがある。長らく絶版状態だったが、再販されている。
MGは一般での発売。
プレミアムバンダイ限定でイアン・グレーデン専用機や
ジオン残党軍仕様が発売されている。
後にガンダムベース限定で連邦軍仕様も発売されたが、残念ながら単なる色変えに留まり宇宙用のスラスターなどは一切無い。
まあ設定画等も無いので仕方なくはある。
そして、HGではザクハーフキャノンがMSD仕様で一般販売されることとなった。
ベースとなったのはORIGIN仕様のHGザクⅡC型/C-5型で、胸部やシールドの形状などMSV-R版に比べていろいろと差異がある。
しかし、デザイン自体はMSD版のCK型だがJ型ザクの胸部パーツも入っているのでシールドだけテストタイプかザクキャノンからいただいて塗装すればほぼMSV-R準拠のデザインになる。
通常のザクキャノン及びテストタイプはプレバン限定。MSDのいつものパターン。
テストタイプは脚部以外オーソドックスなデザインだが、ザクキャノンの方はイアン・グレーデンを思わせるオリーブドラブのラビットタイプ。
●余談
ザクキャノンといえば箱絵。
1/100ではミデアを撃破して勇み行く姿が描かれているが、1/144の箱絵は
砂漠で連邦の航空機連隊を迎撃する2機のザクキャノンが描かれている。
空には無数のフライマンタ、更に背後には不時着したと思われる
ガウ攻撃空母と、まさしく激戦を思わせる人気の一枚。
MGの箱絵はそれをリスペクトした構図でザクキャノンは1機が撃破され残った1機が奮戦するも、敵増援のジム部隊が次々に降下しているというウルトラハードモード仕様。
SDガンダム外伝シリーズでは、ザビロニア帝国の魔術士ザクキャノン、ブリザーデスのモンスタースケルトンザクキャノンとして登場している。
追記・修正はハリオのザクキャノンを使いこなせるようになってからお願いします。
- ザクタンクとセットで紹介されると、公式ではなくパロネタか何かと思えてしまうな。 -- 名無しさん (2014-04-29 20:56:58)
- 名前こそ似ているけど、キャノンもタンクも連邦のそれとは事情が何もかも違うのは面白い -- 名無しさん (2014-09-09 18:19:45)
- 騎士ガンダムではタンクともども5弾で登場。こっちは魔術士でタンクは僧侶。…なぜ戦士じゃないんだ。 -- 名無しさん (2014-09-09 20:10:40)
- プラモの取説だと航空機対策の対空MSとして開発されてたな -- 名無しさん (2016-08-16 20:52:12)
- ↑新ギレンの野望ではデプロッグが超絶強化されザクⅡJやドップでは歯がたたない為コレの導入が急務となる。 -- 名無しさん (2020-05-08 18:08:04)
- 一部のザクキャノンは頭部違うけど、開発経緯で違いがあったりするんだろうか? -- 名無しさん (2020-05-08 18:13:26)
- AOZ2の外伝だとキリマンジャロ配備機の一機が登場、割と重要な役回り -- 名無しさん (2021-10-10 10:32:54)
- ↑その機体はZ36話後半の冒頭で瞬殺された奴じゃないの(ハイザックの後ろに小さく映ってた)? -- 名無しさん (2021-11-09 01:59:59)
- 箱絵の戦況がだんだん悪くなっていくのがじわる -- 名無しさん (2025-02-09 07:58:03)
最終更新:2025年04月09日 20:43