ネバーランドシリーズ(IF)

登録日:2017/03/30 Thu 14:04:44
更新日:2025/06/30 Mon 00:27:28
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買うな。俺は買うが。





ネバーランドシリーズとは、異世界「ネバーランド」を舞台とする、アイディアファクトリーより発売されたTVゲーム作品のシリーズである。
SLGからアーケード格闘ゲームまで広いジャンル幅を持つ。

クソゲーの一歩手前、とか片足突っ込んでる、と評価される作品が多いわりに
本当に「クソゲー」まで行くのは少ないことで有名。
だいたい凡ゲー。たまに佳作。

かつては「IFネバーランド」として社のブランドの一つに数えられていたが、いつの間にか消えてた。っていうかオトメイトしか残ってない。


パッケージなどのイラスト、キャラクターのビジュアルはとても魅力的で、当時じわじわ波が来ていた「看板ヒロインが闇属性」「崇拝されるはロクデナシで魔王の方がまとも」などを軸にしたインパクトでも成功。
シリーズを乱発重ねたことによりその世界観は多くの設定を持ち、暗く重く広く深い、歴史大河シリーズになっていった。
そんな世界観なので各作主人公級もろくな目に遭わない率が高い。特に王道な少年勇者系だと、人格崩壊した挙句大災害を招く結果になったり、よかれと魔王を討ったらそれを引き金に戦国乱世になったり、悪の皇帝を倒したら暗殺犯として指名手配されたり…バッドルートじゃなく、全部続編に繋がる正史展開なのでどうしようもない。
それに魅せられ、期待せずに新作を買っては落胆することを繰り返すファンのゾンビめいた姿は
いつしか作中用語から「冥界住人」と呼ばれるようになった。

冥界に落とされた罪人は、死してなお冥界王ムゲンの手先としてその身を弄ばれる。
アイエフちゃんがネバーランドの歴史に新しい設定を書き加えたなら、それを読まずにはいられないのだ。





■シリーズ一覧


・『スペクトラルタワー』シリーズ

10000階の塔をひたすら登るという、ある意味IFの代表作とも言える有名なクソゲー
実はシリーズ第一作はフォースでなくタワーだった。まあシャイニングシリーズの第一作がフォースじゃなくて&ザ・ダクネスと似たようなもんである。

1は厄 友情談疑に近いセンスの奇っ怪な独特なグラフィック、運ゲーのダイスバトルなど凄まじい異次元空間。
それに比べれば2は幾分まともにプレイできる…が、アイテムや技に変なものが多数あり(例:う○こ)
実質的な最強技が相手を食べ尽くす「大食尽」だったり、そこまで苦労して辿り着いたエンディングが崩壊系…と、やっぱりぶっ飛んだ作品。
しかし後の『フォース』シリーズの重要な前史にもなっており、世界観的にはスルー出来ない困った代物。




・『スペクトラルフォース』シリーズ

ネバーランド大陸の40ヶ国から1つを選び、天下統一を目指す国取りSLG。
『信長の野望』のファンタジー世界版とも言えるが、システムは単純化されていて取っつきやすい(反面、底は浅い)。
基本的な資源は4種類しかなく、地域ごとにどれかを通貨にしているイメージ。劣鬼・家畜・金・宝玉なのだが、当初は劣鬼でなくモロに奴隷だったらしい。スタッフの1人が声をあげるまで、他の人はヤバさに気付かなかったそうな…。『大航海時代Ⅲ』プレイヤーばかりだったのかもしれない。
1000対1000という小さな虫がうごめくようなダイナミックな戦闘システムが売り。
他社のセガサターンのSLG『ドラゴンフォース』路線と言えば分かる人もいるだろうか。
あのエロゲの金字塔『鬼畜王ランス』も同時代。複雑化する戦略SLGとは別の路線を突き進む、キャラクター・シナリオを楽しめるSLGが模索されていた頃だった。

競合SLGと比べるとスパロボチックな戦闘会話演出が多く、
時勢を先取ったキャラ立て重視の目の付け所は悪くなかった。
後期作品では190人超のネームド武将に最低でも1つ2つは戦闘会話(発生武将の組み合わせ)が存在し、多いキャラには10個以上。親子兄弟姉妹、友人・恋人、元上司と部下etc、多彩な人間関係を背景に会話する。
キン肉マンのようなキャラクター募集もしていたものの、基本メーカーオリジナルキャラのみでそんな数は、今日日長寿メーカーのお祭りゲームでもやりたがらない。そこは割と感心されていい。
少数バトルならまだしも、大兵力率いた戦場で喋ることか!てのも多いが。

大戦がひと区切りする『愛しき邪悪』にギャルゲー要素を入れた(無理矢理入れられて冥界住人でさえ絶望した)『純情で可憐メイマイ騎士団 スペクトラルフォース聖少女外伝』や、
SRPGの『クロニクル』、フォース時代の400年前を舞台にした『ラジカルエレメンツ』など、
形式や扱う時代の違う作品もある。

最後っ屁は遥か未来が舞台のNDS『ジェネシス』。
しかし頼みの綱のキャラ面も黒歴史感が強く、その前のXbox『フォース3』が最後でいい、という派閥もいたりいなかったり。

初代『スペクトラルフォース』からして、『アイラ降臨』『フォース2』『フォース2 永遠なる奇蹟』とほぼ同じ作中年代をフルプライスで出し続けた、いわゆる曲芸商法の類。
その分(低空飛行で)安定した出来ではあるため、ネバーランド作品に触れたいのであればこのシリーズを買うのが…
いや、やっぱ買うな。




・『モンスターコンプリワールド』シリーズ

スペクトラルポケモン
モンスターを捕まえて育てるRPG。
CDを読み込んでダンジョンを自動生成する、モンスターファームの要素もある。
シリーズで長く活躍した勇者シフォンの幼少期を描いた作品。かわいい。





・『スペクトラルブレイド』

前述モンコンのシステムを流用して作られたRPG。
モンコンと共に「特別良くはないが、遊べなくもない」作品。
良燃費のHP吸収技「霊奉斬」が強すぎて攻略本の内容がほとんど「霊奉斬を連打しよう」になってしまっている。
実際、欲を出して高コスト技を使うとチャージ中に殺されることがしばしば。





・『砂のエンブレイス ~エディンの里のネーブル~』

そのジャンル「穴掘りRPG」
スコップ娘がどこでも掘る。掘り尽くす。
ほんのり乙女ゲーの要素も含んでいて、イケメン5人にオカマ1人との恋ができる。
敵キャラのキモさは歴代一。





・『キングダムオブカオス』

PCブラウザゲーム。
ネバーランド大陸40ヶ国いずれかの民になり、働いたり生活したりする。
もちろん「当時の」ブラウザゲーなので現代のようなゲーム性はなく、掲示板にちょっとした「国」「戦争」「築城」などがついただけのものだった。
また時代としても会社としてもオンラインゲームのノウハウが無かったために
当初はログインもままならず、結果としてユーザーが外部にサテライトホームページを作成し集う、独特のコミュニティが作られた。
ゲームとしての骨格は今のソシャゲRPGより単調なぐらいだが、ネット越しに繋がってちゃんと会議したり喧嘩に発展してシャレにならない荒れ方したり、君主が代わってもいつの間にかなんとなく受け継がれる国風が出来ていたり戦争・内訌でそれが壊れたり…。
そんな争いを半ば無視して義務分量の労働だけ勤めたら好きな事に励んでいてもよく、いわば「ソーシャルゲーム」の本分に沿って十分盛り上がった時期はあった。

後述するGOCシリーズのパラレルワールドとして存在する作品で、
そちらに武将として採用された有名ユーザー(のキャラクター)もいる。





・『ジェネレーションオブカオス』シリーズ

略称GOC。フォースと並び立つシリーズの中核。
3のオールド大陸、4のロストグランドなど、ネバーランド大陸以外を舞台にした作品もある。

兵隊同士のぶつかり合いで武将は直接戦わなかったフォースに対し、
GOCは武将を操作し兵士と共に戦うシステムになっている。
また、1~3には武将達でパーティを組みダンジョン等を探索するRPGパートがある。
不評だったから消えたわけだが

なお、RPGパートの戦闘システムは(IFにしては珍しく良い意味の)独特でなかなか面白い。
本筋のSLGと噛み合ってなかっただけなのだ…

1の主題歌、2の主題歌とヒロインCVはなんとあの水樹奈々





・『フィールドオブカオス』

GOCの外伝(パラレル)であるKOCの更に派生…という妙な立ち位置の作品。
戦いに勝つ、ではなくお金を貯めるのが目的のRTSというこれまた珍しいシステム。
販売方法までメールで直接注文orKOC内から購入する特殊なものだったため
冥界住人の中でも本作をプレイした人は少ないと思われる。





・『グローバルフォークテイル』

それまでのシリーズで名前が出ていた、デュークランドのゾディア王国が舞台の外伝的な作品。
SLGにアクションを組み合わせたシステムで、グラフィックは3D。
ある意味超次元ゲイム ネプテューヌmk2の先祖なのかもしれない…。
PS2初期の作品ということもありIFの技術の低さもあり、質は悪く動きも違和感の否めないものだったが。





・『学園都市ヴァラノワール』シリーズ

アニメの話はやめるんだ!!

GOCより後の時代、勇者育成学園を舞台とする女の子多めの学園モノ。
後に『ソウルズ』シリーズの原型となる基本システムやグラフィックは悪くないが、
ゲームバランスが色々とIFクオリティ

一目惚れした相手がいても、ダンジョンで会えなきゃ仲良くなれない。
仲良くなった友達がいても、落第して去ってしまったり…
妙なリアル仕様がプレイヤーに頭を抱えさせる。





・『エクスチェイサー』

Xboxで出た稀な作品。
しかも洋ゲー風味の探索アクション。4人プレイ可能。
クライスやアンクロワイヤーなど、シリーズの人気キャラクターが登場するが
色々な意味で空気。





・『カルディナルアーク ~混沌の封札~』

ヴァラノワールの生徒の一人、ガラハドを主人公としたスピンオフ作品。
今度はカードゲーム。いったいどこまで幅広いジャンルに手を出すんだ…
シリーズの中でもマイナーであるものの、なかなかの良作。





・『スペクトラルソウルズ』シリーズ

シリーズ始まって以来の良作。
無難なSRPGだが、それでいいんだよ!!
ゲームバランスが少し(?)尖っているのはご愛敬。
普通に楽しくプレイできるだけで御の字である。

ヴァラノワールより少し後の時代を舞台としており、1と2には同作のキャラが多数参戦する。
特に2はスペクトラルフォースから続く世界観にひとまずの区切りを付けており
ネバーランド史の上でも非常に重要度が高い作品。





・『爆炎覚醒 ネバーランド戦記ZERO』

通称(蔑称)バカネラ
大丈夫?IFのアクションだよ? → やっぱりダメだったよ…

無双シリーズが流行っていた当時、数多くの後追い作品が作られたが
その中でも群を抜いたドン底の出来を披露した。
ただでさえもっさりしている上、一度捕まると延々殴られ続けるため全く無双できない。

主人公が看板娘のヒロ、流行の無双ゲーということもあり
不安視しながらも踏んでしまった人は多く、冥界住人のトラウマの一つ。






ついにはアーケード格ゲーにまで手を出した。
「あのスペクトラルフォースとジェネレーションオブカオスのキャラが夢の対決!」
そんな知名度のある作品でもないのに大丈夫か? → ダメでした。
しかし某所に入荷されたことでカルトな人気を博す。

登場するのはシリーズの主人公、またはそれに並ぶ主要キャラ
…の中に特筆することもない一君主だった龍健が混じっている。





・『ミストオブカオス』

IF(コンパイルハート含)初のPS3参入作品。
カオス名義ではあるがシステムはフォース寄りのSLG。

なんとファミ通クロスレビューで4/3/4/5の16点を取ってしまう。
伝説のクソゲーデスクリムゾン」が13点なので、これは相当低い値だと言えるが
実際のところ出来はそんなに悪くない。
普通に「いつものIFゲー」であり、そのレベルが低いだけなのだ。





・『スペクトラルジーン』

3年後に復活する魔神に備え自軍を育てる育成型SRPG。
およそGOCとソウルズを足して割ったようなゲーム
システムはネバーランド作品の主流に近いものがあるものの
世界観的にほぼ接点がないため影が薄い。




・『ブレイジングソウルズ』シリーズ

『スペクトラルソウルズ2』の続編世界。出来も違わず、真っ当なSRPG。
後にXbox360移植調整版『アブソリュート ブレイジング インフィニティ』、更に追加調整したPSP移植版『アクセレイト』を発売。
客観的に見ればそこまで来ても「キャラはいいけどシナリオ薄めの中規模作品?」水準だが、
冥界住人の伝統的アイドル数名を真っ当なゲームで(「いるだけ」でも)使えることも含め高評価を得た。
でもやっぱり細かく問題があり、修正対応のため初期版・後期版の交換をしていた。宿命。
完成版ポジションという事でか『アクセレイト』はスマホ移植版も出したが、やっぱり小さなバグが目立つ。現在は販売終了している。





かつては(一応)アイディアファクトリーの主力作品であったが
ねぷねぷを始めとするコンパイルハートの躍進、
後期の作品の不振もありシリーズとしてほぼ消滅してしまった。
移植を除く最新作は2012年発売のGOC6。

いつか復活する日を願い、冥界住人は雌伏の時を過ごしている。




Q. アイディアファクトリーのゲームは買いですか?

A. 買うな。俺は追記・修正するが。

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最終更新:2025年06月30日 00:27