マリオン・ラドム

登録日:2018/06/07 (木) 02:40:11
更新日:2023/12/25 Mon 18:18:00
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やるならば徹底的に、でしてよ


『スーパーロボット大戦OGシリーズ』の登場人物。

CV:仲村かおり(アニメ版より)



【概要】

地球連邦軍の機動兵機開発プランである『ATX計画』を担当している科学者。30歳。
OGシリーズにおいてはep1から最新作であるep4までの全シナリオに出演している。

名前の由来「ラドム」はポーランドの銃器メーカーから。

かつてはマオ・インダストリー社に務めており、パーソナルトルーパー開発において駆動系を担当。
人型機動兵器の基盤とも言える、人間に限りなく近い動作が行える構造を完成させた。

その後、突撃・近接専用に特化した機動兵器のプランを提出するも社内で「時代遅れ」と評され、取り合って貰えない事から退社。地球連邦軍内で「ATX計画」を立ち上げた。


計画は主にラングレー基地で進められていたがDC戦争にて基地が敵に占拠された事から活動の場をテスラ・ライヒ研究所に移動。
L5戦役の頃には研究所を拠点に各地を転々としながら機体の改修・開発を行っている。


【人物像】
ウェーブのかかった赤毛と白衣年齢の割に多い小皺が外見的特徴の女性。

ですわ口調で喋るものの、かなり神経質かつ負けず嫌いで情緒の変化が激しい人柄をしている。
気に要らない物に対するとすぐ不機嫌になる上、相手が誰であっても不満をストレートに漏らす一方、自分の思い通りに動いた人間に対しては機嫌がよくなり頻繁に褒めるなどかなり調子の良い性格をしている。

マオ・インダストリー社の開発主任であるカーク・ハミルとは夫婦の関係であったが紆余曲折があったらしく現在は離婚している。2人とも家庭人ってタイプじゃないしね

これらの事情からか社が推進しているSRX計画やカークが開発した機体に対して非情に強いライバル意識を持っており、自身が開発した機体が次期主力機トライアルでマオ社の新型に敗北した事には強い不満を抱いていた。
しかしL5戦役以降はこの確執は薄れていったらしくインスペクター事件時にはマオ社にてカークと共に新型機を共同開発している。



【技術傾向】
前述の通り、パーソナルトルーパーの動作構造の礎を作った人物であるため関節駆動系に関しては他の研究者を圧倒している。

L5戦役では自身の性能に関節が耐えきれないSRXの問題を彼女が提供した新型サーボモーターを搭載するだけで解決している事からもその事実は明らか。

機体開発においては1から作り上げるよりも既存の機体の能力を伸ばす改造を得意としており、彼女が手掛けた機体の大半は性能特化型のカスタム機である。

機体に搭載する技術は運用実績の多い古い技術を盛り込む事を好み、新しい珍しい技術であるEOTに否定的で「うさんくさい」「信用できない」と評して毛嫌いしている。
OGシリーズでは作品を経る毎に地球では解析できない技術が出てきているがその度に嫌悪の表情を浮かべるのが常となっている。

ただ、いつまでも信用しないほど頭が固いという訳ではなく、DC戦争時には搭載に猛反対したテスラ・ドライブやEOTの産物である念動フィールドをインスペクター事件時には開発機体に搭載している事から
扱っても問題ないと判断できるだけの実績を積めば許容できる模様。


以上の傾向を纏めるとこうなる。

  • 既存機体の改修が得意
  • 高い駆動性の保証
  • 信頼性の高い技術のみの使用

完全な新規機体の開発こそほとんど無いものの既存機体の改修は軍内装備のグレードアップの方法としてはハードルが低く、それを危険性の低い技術のみで行えるというのは非常に魅力的である。
彼女は関節駆動系のプロフェッショナルであるためどんなパイロットの傾向にも合わせる事ができるだろう……。

大多数の人間が扱う機体を開発する人材としては非情に優秀である。期待通りに動いてくれれば


マリオン・ラドムという人間の成果を知った時、誰もが思うであろう……


加 減 し ろ 莫 迦



マ改造

前述のように既存の機体の一部の機能を特化させる事を得意としているが正真正銘限界ギリギリまで伸ばそうとするのが難点。

基本的に攻撃力を伸ばす方向の強化が多いがブースターの過剰な積載やギリギリまでの装甲の軽量化など機体の信頼性、安全性に関わる部分を損なうような設計を行ってもその機体が持てる最大の火力を追及する傾向にある。

とにかく機体構造のバランスが悪いため、動作に問題が出てきそうな物だが駆動系に長けているためかこれまで大きなマシントラブルが発生した事は非常に少ない。神様も余計な才能を与えやがる


武装に関しては確実にダメージを与える事を念頭に置いてか、戦場の状態で効果が左右されやすいビーム系ではなく安定した威力を維持できる質量攻撃系の武装を好む。
このためか開発機体は近接格闘機に傾倒している…とよく勘違いされているが、そんな設定はない
彼女は「近接格闘機と遠距離狙撃機による連携戦闘」を理想としているので近接格闘機を作ったら必ずヴァイスリッターやビルトファルケンのようなこれまた極端な対となる遠距離狙撃機も作っている。
また武装についても、ヴァイスリッターやビルトファルケンはメインウェポンが(質量弾へのモード切替が可能な)高出力のビーム兵装となっており、ビーム兵器を軽視しているわけでもない。
正式に設定されてなかった事になったが、あのアルトアイゼンですら、一時はメインウェポンがビーム*1と解釈されていた時期もあった
また、ビルトビルガーにビーム兵器がないのはアラドのせい*2なので、マリオンの趣味ではない。

以上のような極端な仕様である事から鋼龍戦隊の面々からは畏怖され、カチーナ・タラスクは劇中にて彼女の行う改造を『マリオン・ラドムが行う改造』、略して『マ改造』と称した。

一応、開発機体の中にはシナリオ中で余り腕が立つとは言えない者がシミュレーションで多用していた物もあるため、使い手を選びすぎると言えるほど極端なバランスにはしていない模様。
…まぁ、アルトのシミュレーターを使った結果、吐いたヤツがいる(しかも正パイロット曰く「Gが実際より軽くて参考にならない」)ので多分、パイロットのフィジカルがモノをいう。

しかし、通常の正規軍に勤めているような兵士にはどれもこれも扱いきれる類の物ではなく機体のスペックを完全に引き出せるにはやはり能力が必要となる。
それもただ能力の高い人間ではなく歪なバランスをしている機体に噛み合うように同じく歪な感性の人物がである。
……なんだかんだで彼女がキワモノ作るとそれに噛み合うパイロットが必ず現れるのがまたとんでもない事だが。
そして、一旦噛み合うパイロットを乗せるとPTという枠をも超えうる凄まじい戦果を上げる。
事実、アルトアイゼンはグルンガスト零式と真正面から殴り合い、ヴァイスリッターはパイロットがL5戦役のトップエースとなる活躍を見せた。

とは言え、このような機体群が大多数の人間が扱う軍用機としては不適切なのは明白で、彼女の代表作であるアルトアイゼンは量産機のトライアルに提出されるも不合格となっている。
対空能力を求められてるのに陸戦特化出しても受け入れられるはずも無いが

以降、シリーズ開始から現在までの間に一回も彼女が手掛けた機体の量産機仕様が開発された事は無い。

……あちらの世界ではアルトアイゼンが「ゲシュペンストMk-III」としてトライアルに通っちゃったらしいけど。
一体何考えてるんだあちら側の連邦軍


【開発機体】

基本的に過去に他者が手掛けた機体のカスタム機が大半で1からの新造機体が少ない。

ゲシュペンストMk-IのタイプTをカスタマイズした機体。

彼女の代表作にして代名詞。馬鹿げた加速に密着しないと使えない武器の数々。
事実上の特攻兵器であり、漫画版ではゲテモノ扱いされている。
当初は本気で量産化を目指していたらしく、博士の前で「アルトアイゼン(ドイツ語で古い鉄の意、転じて屑鉄と揶揄された)」と呼ぼうものならおかんむりだったものだが、それももはや今は昔。

アルトアイゼンを激化する戦場に合わせて改修したマ改造という言葉を生んだ機体
パーツが巨大化し機体バランスがさらに悪化。本来機体の飛行や機動力の確保を目的として取り付けられるテスラ・ドライブがバランサー程度にしかならない。
素人でも鼻で笑ってしまうほどの単純極まりない改造プランを全力で実現したキワモノ中のキワモノ。まさしく「馬鹿と冗談が総動員」という言葉がピッタリ。
正直ここでは書ききれないので項目を参照されたし。
ちなみに名付け親もマリオン本人。かつては「アルトアイゼン」という名称すら気に入っていなかったのに丸くなったものである。
或いは「屑鉄」が「古の鉄巨人」になったという意趣返しなのかもしれないが、元々の追加パーツがお蔵入りしていた「リーゼタイプ」なんだから偶然の可能性も高い。

  • ゲシュペンストMk-III
あちら側のマリオンが作ったのであろうアルトアイゼンの正当強化機。

基本はリーゼと大体同じなのだが、緊急的な改修機であるあちらとは微妙に異なる部位があり、
とうとうクレイモアのハッチの裏にもクレイモアを仕込み、さらにはクレイモアを搭載したシールドまで付いた。
いくらパイロットがバケモノだからってやっていい事と悪い事がある気がする。
さすがにシールド・クレイモアはMk-IIIが使用する場面はなく、ダウンサイジングした無人機のアルトアイゼン・ナハトが使っただけだけど

なお、実際に運用されたこいつはSRXとグルンガストを倒すわ巨大化するわボルテッカ撃つわドタドタ足で走って加速負けするわこちら側にきてさらに変な進化遂げるわしたが、
マリオンが巨大化以降の経緯を知ったらブチギレそうである。

ゲシュペンストMk-IIのタイプTをカスタマイズした機体。

アルトの相方を務める射撃特化。あの、この機体装甲ついてないんですが…。
「当たらなければどうということはありません。避けなさい」

マリオン的にはヴァイスリッターの強化改造プランもあったようなのだが、アルトのサポートに追われたのとヴァイスがあんなことになってしまったので自然消滅してしまった模様。

  • ゲシュペンストMk-IV
あちら側のマリオンが設計したと思われるヴァイスリッターの改造機…なんだろうか、これ。

何分、多分パイロットが見つからなかったのでプランだけで終わったそうなのでどんな機体かはよくわからないのだが、
エンドレス・フロンティアにこれのデータを元にダウンサイジングした「ヴァイスリッター・アーベント」が存在する。

それを見る限り、一言で言うとナマモノっぽいところを全部機械に置き換えたライン・ヴァイスリッター。もうやだこの人。

カーク博士と共同で開発した機体。

珍しく完全な新造機種。アルトの弟分として意識しており、戦闘中に外せる装甲をつけてまでコンセプトを維持。
キョウスケの「獲物はアルトのステークより大きめの方がいい」という意見を採用した結果、ステークの代わりはまさかのカニバサミ。
また、タイプLにはスパロボ史上最大の問題兵装の一つ「スタンショック」を装備している。

  • ビルトファルケン
同じくカーク博士と共同で開発した機体。

こちらも新造機種。ビルガーの相方を務める射撃特化だが、カークが関わったためか大分真っ当な機体になっており、キワモノ感は薄い。
タイプRはいつものように理想的なパイロットに強奪されたを得たが、タイプLはよりにもよってインファイト大好きな突撃バカに強奪されてしまい、そのまま破壊された。
でもおかげで理想的なビルガーのパイロットを発見できたので博士もニッコリ

  • ジガンスクード・ドゥロ
ジガンスクードを近代改修した機体。略称は「ガンドロ」
ドゥロはイタリア語で「硬い」で、機体名は「巨大な硬い盾」という意味。

両腕のシーズシールド・ユニットをシーズアンカー・ユニットに換装したことで格闘戦能力が向上。
さらに改良型のグラビコン・システムの搭載により、重力障壁「グラビティ・テリトリー」の展開も可能になった。

攻撃能力は強化されたのだが、両腕のユニットが変わったためか使いやすいP属性のシーズサンダーが削除されてしまい、使いづらくなってしまった。
だからシーズサンダー返して。

  • ズィーガーリオン
ガーリオンをカスタマイズした機体。念動フィールドを防御に使わず攻撃全振りしている。故にバリアとしての念動フィールドは持たない。
後にも先にも念動フィールドをこんな用法にする機体はコイツだけである。

  • ゲシュペンスト・ハーケン
ガイアセイバーズの本拠、グランド・クリスマスことアイドネウス島から引き揚げたデータを再現した機体。
あくまで元々あった設計データがマリオンの好みに合ってたのをそのまま作っただけなので、マリオン製というよりはマリオンによって再現されたコピー機。
なお、本来はキョウスケをテストパイロットに想定していたのだが、ロールアウト直後に本機の主となることを宿命づけられていた男がこっちの世界に飛ばされてきた。なんでさ。

ゲシュペンストMk-IのタイプSを素体に使用している。

【関連機体】

アインストにとっ捕まって触手まみれになってしまったヴァイスリッター。
長年この機体に対してどう思っているのかは語られていなかったが「ジ・インスペクター」にてやっぱり良く思っていないことが判明した。
まぁ気持ちはよくわかるし、これについてはマリオンじゃなくても同じ反応をするだろう。
その一方でRecord of ATXでは「自分がヴァイスリッターに求めた方向性を純粋に高めている以上、ヴァイスリッターであると言わざるを得ない」とも認めている。
…逆に言えば、マリオンの考えるヴァイスリッターのスペックの完成形はラインだったわけで、
やはりマリオンによるヴァイスリッターの強化改造プランはアーベントのような機体になるはずだったものと思われる。

本当はバラして解析してやりたいところだったが、エクセレンの「運用して問題ない」という言葉に「あなたがそう言うのであれば」と彼女を信じて運用に踏み切った。

L5戦役の時点では合体こそ可能ではあったものの機体強度の問題で長時間の合体維持は不可能だった。
リュウセイ編ではそこでマリオン博士がアルト用のサーボモーターを提供し全問題をクリアした。*3どういうモーターだよ。
恐るべきはこのサーボモーター、規格をRシリーズと合わせられている(『Record of ATX』に至ってはPT共通規格)。
つまり曲がりなりにもアルトアイゼンはちゃんと他のPTと共通の規格でパーツが使えるのである。*4

  • フリッケライ・ガイスト
インスペクター事件でアクセルがアルトからもぎ取った手足を取りつけた、事実上の姉妹機。
動力部こそ博士が嫌うブラックボックスそのものだが、似た特性の二機による合体攻撃をプランニングした。博士も随分軟化したものである。

  • ブーストハンマー / ブーストハンマー改
機体ではなく武器。読んで字の如く、ブースターのついたハンマー(トゲ付き鉄球)。ちなみに隠し武器。
いくら非常事態とはいえこんな頭の悪い武器をアラドに持たせて吶喊させる博士はイカれている。
しかし、そんな経緯と裏腹に正式入手に条件があるだけあって無茶苦茶使い勝手がいい
設定的に考えれば、ユニバーサル・コネクターさえ対応していればどんな機体でも装備できるので、
見た目のキワモノっぷりに反して汎用性という点においてはラドム博士の最高傑作と言っても過言ではない。
よくよく考えると、「ブースターで加速してぶつける質量兵器」というのはまんまアルトアイゼンであり、
アルトアイゼンを極限までダウンサイジングして誰でも使えるようにしたのがブーストハンマーと言えなくもない。博士もその気になればこういう事ができるのである。PTじゃなくなってるけど
バルマーのハンマーに命懸けてる人も間違いなく大満足の一品である。もっと作ってくれませんかね、博士。


追記・修正はマ改造機を乗りこなせる方が行って下さい。


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最終更新:2023年12月25日 18:18

*1 生みの親である森住惣一郎氏が「リボリビングステークは敵にステークを刺した後、右腕に装弾したカートリッジに込められたビームによる衝撃波をブチ込む兵器」と発言したため。

*2 マリオンがキョウスケ、リュウセイ、カチーナにアラド機に合う兵装について相談したところ、「アラドの操縦だとビーム兵器は向いてない」と言われた。

*3 一応設定上は「合体可能回数が増える」事になっている

*4 さすがにフレームまで曲げられると不味いらしく、OG2では事あるごとにボコボコにされたアルトがパーツ枯渇の危機に陥ったが