トーチ・ゴーレム(遊戯王OCG)

登録日:2018/07/07 Sat 19:51:00
更新日:2025/05/10 Sat 23:49:03
所要時間:約 12 分で読めます




《トーチ・ゴーレム》とは遊戯王OCGに存在するモンスターである。
アニメ遊戯王GXにてユベルが使用した。


概要


星8/闇属性/悪魔族/攻3000/守300
このカードは通常召喚できない。
自分フィールドに「トーチトークン」(悪魔族・闇・星1・攻/守0)2体を攻撃表示で特殊召喚する事によって相手フィールドに特殊召喚できる。
このカードを特殊召喚するターン、自分は通常召喚できない。

丸鋸に鎖、左右で異なるロボットアーム、多数のネジと、不気味な外見が特徴のモンスター。
どう見ても機械族の外見だが、悪魔族である。
名前の由来は拷問を意味する「トーチャー(torture)」と、似たような効果を持つ《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》からと思われる。
いかにも残虐そうな外見や種族、そして何よりもアニメでの使用者のキャラクターなども合わせ、「拷問人形」といったイメージのネーミングだろう。


相手の場に大型モンスターを献上する代わりに、自分の場に二体のトークンを特殊召喚するモンスターである。
しかし互いのステータス差が大きく、闇雲に使っただけでは利敵行為にしかならない。
しかも相手のモンスターを消すわけでもなく、通常召喚を封じられてしまうので、このカードを使うなら相応の見返りあるコンボが要求される。

幸いなことにトークンに使用上の制限が掛けられていない*1ので、色々なコンボが可能。


トークンを作るだけ、大型を相手の場に置くだけ、ならば他にも代用は利くので
どうせコンボを仕掛けるならば、《トーチ・ゴーレム》も「トーチトークン」も両方利用するといいだろう。


例えば《D-HERO Bloo-D》《Theアトモスフィア》とのコンボが有名か。

D-HERO Bloo-D
星8/闇属性/戦士族/攻1900/守600
このカードは通常召喚できない。
自分フィールドのモンスター3体をリリースした場合のみ特殊召喚できる。
(1)このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手フィールドの表側表示モンスターの効果は無効化される。
(2)1ターンに1度、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。その相手モンスターを装備カード扱いとしてこのカードに装備する(1体のみ装備可能)。
(3)このカードの攻撃力は、このカードの効果で装備したモンスターの元々の攻撃力の半分だけアップする。

Theアトモスフィア
星8/風属性/鳥獣族/攻1000/守800
このカードは通常召喚できない。
自分フィールド上に存在するモンスター2体と自分の墓地に存在するモンスター1体をゲームから除外した場合に特殊召喚する事ができる。
1ターンに1度、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスターを装備カード扱いとしてこのカードに1体のみ装備する事ができる。
このカードの攻撃力・守備力は、このカードの効果で装備したモンスターのそれぞれの数値分アップする。

自分の場に残ったトーチトークンをこれらのカードの特殊召喚のコストに捧げ、
相手の場の《トーチ・ゴーレム》を奪い取るスムーズな流れ。
これ以外にも《サクリファイス》で吸収してもいい。


もう一つの鉄板コンボは、《ヘル・テンペスト》とのコンボ。
ヘル・テンペスト
速攻魔法
3000ポイント以上の戦闘ダメージを受けた時に発動する事ができる。
お互いのデッキと墓地のモンスターを全てゲームから除外する。

《トーチ・ゴーレム》一枚で「3000以上の戦闘ダメージ」という条件を成立させることが可能なので
本来は発動が難しい《ヘル・テンペスト》を決めることができる。
勿論リスクは馬鹿にならないが、それ以上のデッキ破壊効果と墓地アド抹消効果を得られる。

《ヘル・テンペスト》に限らず「多量の戦闘ダメージを能動的に発生できる」ことを生かして
《ダメージ・コンデンサー》等と自爆特攻のコンボを成立させるのもよい。


また難しいこと抜きにしても、《トーチ・ゴーレム》の守備力の低さを突いて貫通攻撃を仕掛けるのも立派な戦略である。
守備表示であれば戦闘破壊を容易にできるので、戦闘破壊をトリガーとするモンスターの的にするのも有効。
勿論《トーチ・ゴーレム》のコントロールを奪い取り、こちらの戦力にカウントする手もある。


と、非常に多くのコンボにつなげられるステータスを持っていることから
珍コンボ製造機としても人気が高く、今日も新たなコンボを熱心に考えるデュエリストも多い。

余談

実は世にも珍しい、すべてのテキストが効果外テキストのカードである。
特殊召喚の文章は、他の特殊召喚モンスターと同様の「手順説明」であり、他の二つの制約も「効果」ではなく「効果外テキスト」である。
10年ぶりに再録された(詳細は後記)際も、こんな特殊なテキストだったためにテキストに変化が無かったことも地味ながら驚かれている。
同じ効果を持たない効果モンスターなのに泥団子男とはえらい扱いの差である。

この仕様故に《トーチ・ゴーレム》の特殊召喚は「効果を発動」して行われるものではない。そもそも発動するテキストすら存在しない。
そのためエラッタ後の《黒き森のウィッチ》でサーチした直後に《トーチ・ゴーレム》のギミックを披露できる。
ただし制約の都合上、《黒き森のウィッチ》を通常召喚したターンに《トーチ・ゴーレム》を特殊召喚できないため簡単にはサーチできない。

うっかり忘れがちなことだが、《トーチ・ゴーレム》の「通常召喚を禁止する制約」は
「《トーチ・ゴーレム》自身の方法で特殊召喚した」場合に限らず「《死者蘇生》等で特殊召喚した」場合も適用されるため注意。


アニメの活躍


前記の通り、遊戯王GXにてユベルが使用。

アモンとの戦いでは、ユベルのラストターンにて特殊召喚され、残ったトークン二体で《ユベル》を召喚。
そしてそのまま《トーチ・ゴーレム》を攻撃することで決着をつけることとなった。
ちなみにこの時、なぜかユベルは《トーチ・ゴーレム》の特殊召喚を「召喚(通常召喚)」と言っている。

アニメ版《トーチ・ゴーレム》には通常召喚を阻害する制約はなく、《ユベル》も能動的に攻撃ができたので驚異的なコンボである。


十代との戦いでは《マジック・クロニクル》にて一旦除外された後に、ユベルが言葉巧みに《トーチ・ゴーレム》を手札に加えさせるように十代に促す。
しかし十代は最後まで《トーチ・ゴーレム》を選ぶことはなく、ユベルの魂と超融合を果たしたので、ここでの出番はなかった。


追記修正お願いします。
















































時は流れ2017年。
マニアックなコンボを好んで使うユーザーからの支持が一定数あったのだが、さらなる注目を集めることになる。

それがL召喚

トークンに用途指定が無いためトーチトークンもLモンスターの素材に使うことができる。
そしてLモンスターの大量展開に貢献……してはいなかった。


「トークンがL素材に使える」ことで一時期注目を集めたのは確かだが
  • 強制的に通常召喚が禁止されるので、展開ルートが大幅に制限されてしまう
  • 相手の場に攻撃力の高いモンスターを特殊召喚するデメリットが大きい、除去するにも手間がかかる
  • ダンディライオン》や《BF-朧影のゴウフウ》や《幻銃士》の方が制約も少ないし都合が良いだろう

と、色々不都合な点が目立つようになり、トークンを作るカードでありながらあまり活躍はしなかった…



アカシック・マジシャン
◀   ▶
リンク2/闇属性/魔法使い族/攻1700
トークン以外の同じ種族のモンスター2体
自分は「アカシック・マジシャン」を1ターンに1度しかリンク召喚できない。
(1)このカードがリンク召喚に成功した場合に発動する。このカードのリンク先のモンスターを全て持ち主の手札に戻す。
(2)1ターンに1度、カード名を1つ宣言して発動できる。
このカードの相互リンク先のモンスターのリンクマーカーの合計分だけ自分のデッキの上からカードをめくり、
その中に宣言したカードがあった場合、そのカードを手札に加える。それ以外のめくったカードは全て墓地へ送る。

セキュリティ・ドラゴン
◀   ▶
リンク2/光属性/サイバース族/攻1100
モンスター2体
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1)このカードがフィールドに表側表示で存在する限り1度だけ、このカードが相互リンク状態の場合に相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを持ち主の手札に戻す。


し な か っ た (過去形)

これら、《アカシック・マジシャン》《セキュリティ・ドラゴン》といった超が付くほどのお手軽バウンスLモンスターが登場したことで状況は一変、
《トーチ・ゴーレム》は《BF-朧影のゴウフウ》や《ダンディライオン》《スケープ・ゴート》を鼻で笑うレベルの凶悪なアド乱造機に成り果ててしまった


アド乱造の一例
  1. 《トーチ・ゴーレム》を、EXモンスターゾーンに隣接する相手のメインモンスターゾーンに特殊召喚
  2. 自分の場のトーチトークンを《リンク・スパイダー》《リンクリボー》に変換し、それら二体で《アカシック・マジシャン》をL召喚
  3. 《アカシック・マジシャン》のリンク先にいる《トーチ・ゴーレム》を、自分の手札に戻す
  4. 再び《トーチ・ゴーレム》を特殊召喚
  5. トーチトークン二体で《セキュリティ・ドラゴン》を、《アカシック・マジシャン》のリンク先にL召喚
  6. 《セキュリティ・ドラゴン》の効果で、《トーチ・ゴーレム》を自分の手札に戻す
  7. 再び《トーチ・ゴーレム》を特殊召喚
  8. トーチトークン二体と《セキュリティ・ドラゴン》で、《ファイアウオール・ドラゴン》をL召喚
  9. 《ファイアウォール・ドラゴン》の効果で、また《トーチ・ゴーレム》を手札に戻す
  10. 再び《トーチ・ゴーレム》を特殊召喚
  11. 自分の場のトーチトークンを《リンク・スパイダー》《リンクリボー》に変換し、それら二体と《アカシック・マジシャン》で《ヴァレルロード・ドラゴン》をL召喚

そこそこEXデッキを圧迫するのが欠点だが、よく見ると使用した手札は《トーチ・ゴーレム》一枚だけ。
要は《トーチ・ゴーレム》一枚だけでリンク4モンスターが2体並ぶ状況が出来上がる。
「『実質』手札消費一枚」のコンボ*2とは異なり、正真正銘《トーチ・ゴーレム》だけしか手札のカードを使っていない。
勿論最後のリンク4モンスターはトポロジックでも《トロイメア・グリフォン》でも完全体《鎖龍蛇-スカルデット》でも何でもよい。

さらに《トーチ・ゴーレム》の特殊召喚は
トークン2体の特殊召喚
→ゴーレムの特殊召喚
と言う一連の手順になっている為、トーチトークンの特殊召喚には《神の宣告》等を打てず、《トーチ・ゴーレム》の特殊召喚が無効にされてもトークンは残ると言う裁定をもらっており、
召喚反応を打たれてもトークン2体を出すと言う最低限の仕事はこなせる。

展開のついでに《トーチ・ゴーレム》回収、再び《トーチ・ゴーレム》の展開…と、《D-HERO Bloo-D》《Theアトモスフィア》の比ではない噛みあい方が最悪のシナジーを産んでいる。
通常召喚ができないだとか相手の場に《トーチ・ゴーレム》が残るだとか当初散々言われていた懸念事項も
この最悪のシナジー効果、打ち出の小槌やゴキ〇リの如く増えるアドバンテージの前には塵芥も同然の存在。
残りの手札を使ってEXリンクもパーミッション特化も思いのまま。
《トーチ・ゴーレム》の反復横跳びを見せられた相手のやる気はバターの如く溶けていく。
ついたあだ名はそのまんま「チート・ゴーレム」である。



「GXのカードで」「初登場以来永いこと再録されておらず」「元々狭くニッチな使い方で好まれてて」「尋常でないパワーを」「カードプール並びにルールの変化で手に入れる」
……と、数多の共通点からちょっと前にあった悲劇を連想し、二の舞に遭うのではと危惧する決闘者が後を絶たなかった。


そして《The tyrant NEPTUNE》と同じ道を…すぐには進まなかった。

需要が大幅に伸びたことを認めてか、10年ほど絶版だったが2017年12月にストラクチャーデッキで再録された。
その後に2018年1月に準制限、同年4月に制限と段階を踏んで規制されることとなった。
なぜ海王星さんのときにこの措置を取らなかった


リンクコンボ判明後に《トーチ・ゴーレム》を買ったデュエリストも、元々ニッチなギミックを愛用していたデュエリストも安堵したことだろう。



その一方でリンクコンボの暴れっぷりを目の当たりにしたデュエリストからは「処遇が軽すぎやしないか」と不安の声を漏らしている。
前記のようにサーチ手段も存在し、手札一枚から膨大なアドバンテージを稼げること自体には変化はない。
その為この措置に対しても全く安心せずに「じきに《トーチ・ゴーレム》は投獄されるのでは?」と考えるデュエリストも多いがこのコンボにはEXデッキの枠を滅茶苦茶圧迫するという致命的な欠陥が存在し、サーチ手段はあるものの受動的な手段ばかり、通常召喚不可の誓約は重い、と結構弱点も目立つため制限指定を受けた現環境ではそういったデメリットを嫌って投入されない事がザラである。
そのため「現状のままだと禁止はない」と考えるデュエリストもまた多い。

尤も、《トーチ・ゴーレム》自身の非と言うよりは、《BF-朧影のゴウフウ》や《レスキューキャット》《エンシェント・フェアリー・ドラゴン》《フェニキシアン・クラスター・アマリリス》等と同様に
環境の大幅な変化によって価値が勝手に爆発的に上昇した存在というほうが正しい。
同じアドバンテージの宝石箱と言ってもこれとかとは話が違ってくる。


ちなみに制限になってしまったものの《魔犬オクトロス》《魔導契約の扉》《ダーク・オカルティズム》によるサーチは可能なので使おうと思えば案外気軽に使える。
また《ファイアウォール・ドラゴン》の禁止により展開力がかなり落ちたため現状ではさほど悪さはしていないが…


そんな矢先、2021年1月にて《ファイアウォール・ドラゴン》がエラッタされ制限復帰が決定。
それと同時に《トーチ・ゴーレム》が入れ替わる形で遂に禁止カードとなった。
サーチ手段が増加した現在、弱体化したとは言え気軽に使い回せるリンク4との組み合わせはまずいと判断されたと思われる。
昔から愛用していたデュエリストたちが涙を吞んだのは言うまでもないが、Lモンスターと相性が良すぎたのも事実である。
よって現在の環境ではエラッタ無しの緩和は困難。
エラッタをするにしても例え同名カードの特殊召喚にターン1制限をつけるにしても《無限泡影》のケアをしながら好きに使えるトークン2体を生成するのはオーバーパワーであることには変わりないので、生成するトークンをL素材に出来ないようにするなどの制約をつけないと厳しいだろう。


そして2023年、『PHANTOM NIGHTMARE』にてユベルが強化される中、このカードもリメイクされる事に。

ガイストーチ・ゴーレム
効果モンスター
星8/闇属性/悪魔族/攻3000/守 300
自分は「ガイストーチ・ゴーレム」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。
(1):手札の「ユベル」モンスター1体を相手に見せて発動できる。このカードを手札から相手フィールドに特殊召喚する。その後、見せたモンスターを自分フィールドに特殊召喚できる。
(2):1ターンに1度、このカードが「ユベル」モンスターと戦闘を行うダメージ計算時に発動する。相手は3000LP回復する。
(3):このカードが墓地に存在する状態で、自分が「ユベル」を特殊召喚した場合に発動できる。このカードを相手フィールドに特殊召喚する。

最大の特徴にして問題点だったトークン生成効果は、手札の「ユベル」モンスターを公開することで相手の場に特殊召喚しつつ見せた「ユベル」モンスターを自分のフィールドに特殊召喚する効果となった。
特殊召喚に同名ターン1が付いたためバウンスで使い回す事も不可能に、と事実上の調整版に近いものとなっている。
その代わりに「ユベル」モンスターと戦闘する場合に相手のライフを回復する効果と《ユベル》が出てくると墓地から相手の場に現れる蘇生効果を持つ。
相手の場に押し付けた後に「ユベル」モンスターで攻撃する事でこのカードから見て相手…すなわち自分のライフが回復するため、第3形態や融合体、《ナイトメア・ペイン》と組み合わせる事でこちらはライフを3000回復しつつ相手は3000ダメージを受けると言う動きが可能、とトコトン「《ユベル》で殴る的」として設計されている。



追記修正はトーチトークンを2体生成しながらお願いします。


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最終更新:2025年05月10日 23:49

*1 自身の制約のせいでアドバンス召喚には使えないが

*2 コンボの過程でサーチやサルベージを行い、最終的な手札枚数は一枚減った型