進化薬(遊戯王OCG)

登録日:2018/08/30 Thu 04:05:00
更新日:2025/04/19 Sat 17:31:05
所要時間:約 11 分で読めます




進化薬とは遊戯王OCGに存在するカテゴリの1つ。

現状は全て通常魔法カードで、恐竜族の召喚・特殊召喚をサポートする効果を持つ。
次のカードが出るまでに長い年月を経るためか、進化薬の効果そのものが物凄く進化している。

カード名となっている進化薬は2色のカプセル薬。
これと合わせて、その大半にOCGのモンスターではない恐竜が描かれているのがイラストの特徴となっている。

初登場は2003年7月17日発売の「暗黒の侵略者」で収録された《超進化薬》。
しかしカテゴリ化されたのは、それから約14年後の2017年10月14日に発売された「EXTREME FORCE」。
カテゴリ化までに約14年かかっており、カテゴリ化自体がまさかのと言った感じであった。

多くのカードがアニメの恐竜族使いに使用されており、未OCG化のものもある。
ティラノ剣山はこのカテゴリのカードをよく使っていたため「進化系デッキ」と言われていた。

進化薬カード


《超進化薬》

自分フィールド上の爬虫類族モンスター1体を生け贄に捧げる。
手札から恐竜族モンスター1体を特殊召喚する。

2003年7月17日発売の暗黒の侵略者で収録された初の進化薬。

シナジーが薄い爬虫類族と混合構築をしないと使えない割には消費が激しく、手札から恐竜族モンスターを特殊召喚できるだけと見返りが薄い。
唯一の利点はレベル制限がないことだが、使いきりならもっと使いやすい他の召喚サポートを使った方が良い。
爬虫類族と恐竜族を無理なく混合構築に出来るデッキには【エヴォル】が存在するが、恐竜族であるエヴォルダーは爬虫類族であるエヴォルドの効果で出さないとバニラ同然になるため相性が悪い。
《エヴォルド・ナハシュ》はフィールドでリリースされることでエヴォルダーをリクルートできるが、それでも《強制進化》で良い場合が多い。
弱体化を回避しながら《エヴォルダー・テリアス》を出せるものの、利点として数えられるようなものでもない。

なお、リリースコストに指定されているだけだが、テキストで爬虫類族を指定している初のカードである。

アニメではKCグランプリ編でダイナソー竜崎が《暗黒恐獣》の特殊召喚に使用し、漫画版GXでは龍牙が《サイバー・ダイナソー》(漫画版では恐竜族)の特殊召喚に使用した。
漫画で唯一使われた進化薬だが、ティラノ剣山は使っていない。

《大進化薬》

自分フィールドの恐竜族モンスター1体をリリースしてこのカードを発動できる。
このカードは発動後、フィールドに残り続け、
相手ターンで数えて3ターン目の相手エンドフェイズに破壊される。
(1):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、
自分はレベル5以上の恐竜族モンスターを召喚する場合に必要なリリースをなくす事ができる。

2006年6月22日発売の「ストラクチャーデッキ-恐竜の鼓動-」で収録された進化薬。
通常魔法だが、《光の護封剣》のように一定期間場に残る、永続魔法のような性質を持ったカード。

特殊召喚ではなくリリースを踏み倒して通常召喚するため、特殊召喚が不可能な《ジュラック・タイタン》を出すことができる。
しかし、発動のために恐竜族モンスターのリリースが必要な点が重い。
恩恵を受けられるのは3ターンだけだが、リリース用のモンスターに召喚権を使ってしまうとそのターンは出せず、発動にチェーンして除去されると大損害を受けてしまう。
一回出すだけなら他の使いやすい上級モンスターの召喚サポートカードの方が良く、召喚条件を無視する為に上記のタイタンすら出せてしまう《究極進化薬》の存在が痛い。

レベル5と6にも対応している点を活かそうとしても、今度は第12期に登場した永続魔法《ジュラシック・パワー》が比較対象となる。
あちらは自壊も発動コストもなく、このカードと全く同じリリース軽減効果に加え、全体強化と限定的なサーチ効果も備えており、ほぼこちらの上位互換である。
こちらは「進化薬」サポートを受けられるものの、先述の通り《究極進化薬》の存在が大きく、利点としては弱い。

アニメではティラノ剣山が度々使用している。
またデュエルターミナルでは専用のボイスがある。

《究極進化薬》

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
(1):自分の手札・墓地から、恐竜族モンスターと恐竜族以外のモンスターを1体ずつ除外して発動できる。
手札・デッキからレベル7以上の恐竜族モンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚する。

2017年5月13日に登場した前回から10年以上の歳月を経て登場した進化薬。
かなり長い年月を経てのアニメからのOCG化となった。
海外版はカプセル薬のイラストが少し変わっている。

コストとして恐竜族の他に他の種族のモンスターを要求されるが、《一族の結束》を採用するような完全な純種族構築でもなければ、手札誘発やEXデッキで他の種族のモンスターは調達できる為に、単純に恐竜族2体を要求されるよりは軽い場合が多いと思われる。
コストでモンスターを除外できるので、除外された時に発動する効果に繋ぐことも可能。
除外されると特殊召喚できる《ジャイアント・レックス》を出したり、《ディノインフィニティ》の攻撃力を上げるための除外枚数稼ぎにも使える。

除外コストの組み合わせは「手札から2枚」「墓地から2枚」「手札と墓地から1枚ずつ」のどれでもよく、融通が利く。
基本的にはアド損にならない墓地から2枚を狙いたいが、コストを墓地に貯めるのが間に合わなかったり、除外したいモンスターが手札に来てしまったり、墓地のモンスターを除外できない状況になってしまった時のためにも、手札からも除外できることは覚えておいた方が良い。
他の進化薬と違いデッキから特殊召喚ができるため格段に使いやすく、出したいモンスターを引いてしまっても最悪手札からも出せるが、《灰流うらら》にひっかかる点には一応注意が必要。

召喚条件を無視するので、自身の指定した条件で特殊召喚しなければならない《究極伝導恐獣》や、そもそも特殊召喚できないタイタンも出すことができる。
召喚条件を無視できても登場当時は意外とロクな候補が少なく、《究極伝導恐獣》一強状態で、《炎霊神パイロレクス》がワンチャンあるかと言った状況だった。
後に《オーバーテクス・ゴアトルス》や《ダイナレスラー・パンクラトプス》などの強力なレベル7以上の恐竜族が登場し、このカードで特殊召喚する以外の役割もあるため、無理なく使い別けが可能になった。

アニメではティラノ剣山が使用。
アニメでは恐竜族と機械族の組み合わせに限定されており、特殊召喚できる恐竜族はレベル指定はないが光属性限定だった。
基本的にはOCG版はアニメ版より強化された言って差し支えない。
ちなみにこの当時光属性の恐竜族は《超伝導恐獣》しか存在せず、恐ろしく範囲が狭かった。

《超越進化薬β》

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
(1):自分の手札・フィールドから恐竜族モンスターを含むモンスター2体をリリースして発動できる。
リリースしたモンスターの攻撃力の合計以上の攻撃力を持つ、
レベル5以上の恐竜族モンスター1体をデッキ・EXデッキから特殊召喚する。
このカードの発動後、ターン終了時まで自分はドラゴン族・恐竜族・海竜族・幻竜族モンスターしかEXデッキから特殊召喚できない。

2023年4月22日発売の第12期第1弾「DUELIST NEXUS」で登場した進化薬。
形状が双円錐型となっており、イラストには《メガザウラー》が描かれている点で、従来の進化薬とは異なる。

コストは恐竜族2体でも、恐竜族+それ以外でもよく、出せるモンスターも「レべル5以上」と幅広い。手札からは出せないが、デッキだけでなくEXデッキからも展開が可能。
しかし、「攻撃力がコストとしてリリースしたモンスター2体の合計以上」という条件があるため、なるべく低攻撃力のモンスターをコストにしたい。
後述の《珠玉獣-アルゴザウルス》は、このカードをサーチできる攻撃力0の恐竜族であるため相性が抜群に良い。
大抵の手札誘発モンスターはステータスが貧弱なので、腐ってしまった場合は躊躇なくコストにできる。

《究極進化薬》と比較すると、コストは除外から手札・場のモンスターのリリースになっており、墓地のモンスターをコストにできない。
トークンもコストにできるが、発動や効果を無効にされた場合、このカードを含めて一度に3枚のカードを失うため、損失は非常に大きい。
また、召喚条件を無視することもできず、EXデッキから出した場合は蘇生制限も満たさない。

カード名や《メガザウラー》の姿、登場時期が「デッキビルドパック ワイルド・サバイバーズ」の発売から約1か月後という点から、超越竜を強く意識しているであろう1枚。
ただ、蘇生制限の問題から、墓地から蘇生された状態で本領を発揮する【超越竜】との相性はあまり良くない。

《超進化薬・改》

自分フィールド上の鳥獣族モンスター1体を生け贄に捧げる。
手札から恐竜族モンスター1体を特殊召喚する。

アニメオリジナルで唯一OCG化されていない進化薬。
性能は《超進化薬》の爬虫類族を鳥獣族に変えただけのため使い難く、仮にOCG化されるとしたら種族指定が緩くなるなど大幅な改変があると思われる。

関連カード


《オーバーテクス・ゴアトルス》

特殊召喚・効果モンスター
星7/闇属性/恐竜族/攻2700/守2100
このカードは通常召喚できない。
除外されている自分の恐竜族モンスター5体をデッキに戻した場合のみ特殊召喚できる。
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):1ターンに1度、相手が魔法・罠カードを発動した時に発動できる。
自分の手札・フィールドの恐竜族モンスター1体を選んで破壊し、その発動を無効にし破壊する。
(2):このカードが効果で墓地へ送られた場合に発動できる。
デッキから「進化薬」魔法カード1枚を手札に加える。

「EXTREME FORCE」に収録され進化薬シリーズを唐突にカテゴリ化したカード。麻薬の密輸人。
モデルはケツァルコアトルスと思われる。

効果によって墓地へ送ると進化薬カードをデッキからサーチできる。
終末の騎士》《魂喰いオヴィラプター》《おろかな埋葬》などを使用すれば、デッキから直接墓地へ送ることができる。
特に《終末の騎士》は非常に用途が広いため汎用性が高く、これにより《究極伝導恐獣》を出張させる事が可能になった。
これを利用し《影依融合》からこのカードを墓地へ送り、《エルシャドール・ミドラーシュ》と《究極伝導恐獣》を並べた布陣を作る【恐竜シャドール】が考案された。
手札に引いてしまった場合は《究極伝導恐獣》や《真竜皇リトスアジムD》などで破壊して墓地へ送ると良い。

フィールドでの効果は、相手が魔法・罠を発動したら自分の手札かフィールドの恐竜族を破壊してその発動を無効にする制圧効果。
この効果は自身も破壊できるため、切腹して進化薬サーチに繋ぐことも可能。
勿論《ベビケラサウルス》など、破壊されることで効果が発動するモンスターを破壊しても良い。

自身の特殊召喚条件は除外されている恐竜族モンスターを5体デッキに戻す事。
《究極進化薬》や《究極伝導恐獣》の除外コストで増やせるとはいえ恐竜族5体は少々骨が折れる。
特に、真竜カードや《ベビケラザウルス》が【恐竜竜星真竜】での活躍から規制されていた時代は、墓地を肥やして《幻創のミセラサウルス》で一気に除外するという方法もやりにくかった。
幸い《究極進化薬》で出すことはできるので、フィールドに特殊召喚する場合はそちらがメインになる。
勿論自身の条件で出せればデッキリソースを回復できるので強力なのだが……


《珠玉獣-アルゴザウルス》

効果モンスター
星1/光属性/恐竜族/攻 0/守 0
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが召喚・特殊召喚した場合に発動できる。
「珠玉獣-アルゴザウルス」以外の自分の手札・フィールド(表側表示)の恐竜族モンスター1体を破壊する。
その後、元々のレベルがその破壊されたモンスターと同じとなる
爬虫類族・海竜族・鳥獣族モンスター1体または
「進化薬」魔法カード1枚をデッキから手札に加える。

2020年1月11日発売の第10期第12弾「ETERNITY CODE」で登場した、2枚目の「進化薬」サポートカード
ビーズでできたワニのような姿をしたモンスター。

手札・フィールドの恐竜族を破壊することで、それと同レベルの特定の3種族のモンスター1体か、進化薬をサーチできる。
レベル1なので《幻創のミセラサウルス》で容易にリクルートでき、《ベビケラサウルス》や《プチラノドン》を破壊できればアドバンテージを大きく稼げる。
進化薬をサーチする場合、基本的には《究極進化薬》が優先されるが、先述の通り《超越進化薬β》のコストとして適しているので、場合によってはそちらをサーチするのも手。

爬虫類族・海竜族・鳥獣族をまとめてサポートしている珍しいカード。
名前の由来が、ワニや恐竜、翼竜、鳥類などが分類されている「主竜類(archosaurs)」であるためだろう。


追記修正は《超進化薬》で特殊召喚したモンスターをリリースして《大進化薬》を発動した後に、この過程で墓地へ送られた2枚を除外して《究極進化薬》を発動し《オーバーテクス・ゴアトルス》を特殊召喚してからでお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 遊戯王
  • 遊戯王OCG
  • 恐竜族
  • 魔法カード
  • ティラノ剣山
  • 進化薬
  • 遊戯王GX
  • 通常魔法
  • EXTREME FORCE
  • 遊戯王OCGカテゴリ項目
最終更新:2025年04月19日 17:31