恐獣(遊戯王OCG)

登録日:2020/01/15 (水曜日) 00:15:22
更新日:2020/01/18 Sat 13:34:01
所要時間:約 5 分で読めます






遥かなる太古の鼓動、恐竜達の真の力を解放せよ…!



恐獣(ティラノ)は、遊戯王OCGに登場するカード群。




【概要】

厳密にはカテゴリーではないのだが、「恐獣」モンスターは所属する全員が最上級の恐竜族モンスターである。
レベル7以上の最上級モンスターであるため、召喚するまでの手間は大きいのだが「究極進化薬」の登場で大幅に改善される。

恐竜らしく、高い攻撃力や戦闘に関する効果を有したパワフルなモンスター群である。


【一覧】

暗黒恐獣(ブラック・ティラノ)

効果モンスター
星7/地属性/恐竜族/攻2600/守1800
相手フィールド上に守備表示モンスターしか存在しない場合、
このカードは相手プレイヤーに直接攻撃できる。

初収録は2003年7月の「暗黒の侵略者」
最初に登場した恐獣である。

最上級モンスター故の重さがあり、攻撃力も最上級にしては低いものの、直接攻撃効果によりより高攻撃力のモンスターとの戦闘を回避して、相手のLPを根こそぎ消し去るアタッカー。

……だったらよかったのだが、実際は轅下の駒である。

このテキストだと、一見「相手フィールドに攻撃表示モンスターが一体もいない、そして守備表示モンスターがいる」ことが効果適用条件だと読める。
しかしその場合、「相手のモンスターゾーンに守備表示モンスターしか存在しない場合」と表記するのが正しい。
そしてこのカードのテキストは「相手フィールド上に守備表示モンスターしか存在しない場合」である。
「フィールド」なので、モンスターゾーンだけでなく魔法・罠ゾーンとフィールド魔法を置くフィールドゾーンも見る。
つまり条件は「相手の魔法・罠ゾーン、フィールドゾーンにカードが無く、相手のモンスターゾーンに守備表示モンスターしか存在しない場合」が正しい。

わざわざ書くことでもないかもしれないが、効果適用条件がとても厳しく、効果を活かせる場面がかなり少ない。
このカードが初めて世に出たのは2003年の7月だが
  • 2002年5月から大嵐が制限、後の2010年9月からは禁止
  • 2000年5月からハーピィの羽根帚が制限、後の2004年3月からは禁止
  • 2004年9月からサイクロンが制限。当時は緩和されることはないと思われていた。下位互換も続々と出ていたし。
この様子から、当時の環境で相手の魔法罠カードを殲滅させることがいかに難しかったかがわかるだろう。
ハリケーンや砂塵の大竜巻など、規制を受けていない魔法罠除去カードもあったものの、ただでさえ暗黒恐獣共々サーチ方法が無い中で、
魔法罠カードだけでなく攻撃表示モンスターを処理する手立てに加え、暗黒恐獣の召喚手立てまで用意する負担を合わせると、戦術として組み込むには不安定な部分があまりにも大きい。

それでいて恐竜族が誇る究極恐獣との噛み合いの悪さ*1、わざわざ守備モンスターを避ける理由の弱さを踏まえると大きなリターンとは呼べなかった。
攻撃力の高いモンスターは、戦闘で相手モンスターの数を減らすのも大きな役目である。

今となっては魔法罠の除去方法は色々あるものの、守備表示にならないリンクモンスターの登場、
そして暗黒恐獣の効果がインフレに追い付いていないことから居場所はなくなっている。
暗黒恐獣と同じレベル7・恐竜族・攻撃力2600というステータスのダイナレスラー・パンクラトプスを差し置いて抜擢されることは今後ないだろう。

追い打ちをかけるように、元々強くないくせにデュエルリンクスで更なる弱体化を被るのだった
(デュエルリンクスのテキストでは「魔法・罠カードが存在せず」の一文が追加されたことで効果の誤解は発生しなくなったものの
そのせいで守備表示の罠モンスターが相手フィールド上に存在する場合は条件を満たせなくなった)。
とことんカードテキストに振り回されたカードである。

ちなみにこの体たらくだが、「暗黒の侵略者」ではウルトラレアで収録されており、暗黒恐獣こそが恐竜族初の最上級モンスターである。
効果が貧弱な上、そもそも恐竜族デッキ自体がファンデッキ以外の何物でもなかったものの、超進化薬などで特殊召喚する切り札としての存在価値はあった。

なおこのカードは恐竜プッシュの激しかったGXにおいてティラノ剣山に使われて…いない。
公式サイトの予告では剣山がこのカードを使っている旨の文があり使用される予定だったはずが、本放送時に実際にアニメに登場したのはダークティラノというオリジナルカード。このカードは影も形もなかった。
漫画版GXでも先行掲載されたラフ画では龍牙なるデュエリストに使用されていた…のだが実際に登場したのは「サイバー・ダイナソー」なる別モンスターだった。
ダークティラノやサイバー・ダイナソーらに共通する点として「守備表示モンスターだけなら魔法・罠があっても直接攻撃可」という効果に改変されているという点があり、このカードの効果の欠陥からこのような事態となったことは疑う余地がないサイバー・ダイナソーは本家のテキスト欠陥が直ってないのだが気にしたらいけない。OCG化時に効果が別物になった理由とは多分関係ない

代わりに初代DMでは登場の早さを生かして竜崎が使用している。羽蛾インセクト女王共々、ジークのかませ犬だったが。

究極恐獣(アルティメットティラノ)

効果モンスター
星8/地属性/恐竜族/攻3000/守2200
(1):自分バトルフェイズに攻撃可能な「究極恐獣」が存在する場合、
「究極恐獣」以外のモンスターは攻撃できない。
(2):このカードは相手モンスター全てに1回ずつ攻撃できる。

初収録は2006年5月の「POWER OF THE DUELIST」
「ストラクチャーデッキ-恐竜の鼓動-」にも再録されている。

攻撃力3000でありながら、相手モンスター全てを攻撃するという豪快な効果を持つ、究極の名に恥じぬ恐竜である。

この究極恐獣の実装は話題となった。
というのも、当時攻撃力3000を素で持つカードそのものがとてもとても貴重であり、仮に3000以上の攻撃力を持っていても、「絶対服従魔人」のように重い制約がついていたり、
ゲート・ガーディアン」のように非現実的な召喚条件があったりなど、何らかのデメリットが付属されることが当たり前であった。
通常モンスターということでその例外にあった数少ないカードが、かの青眼の白龍であった。

そんな中で究極恐獣が、デメリットや制約はおろか全体攻撃という高い攻撃力を存分に生かせるメリット効果を引っさげて登場したことが当時は話題となった。
やれスケープ・ゴートで現れた大量の壁トークンを一気に殲滅できるだの、下級アタッカーを軸にしたローレベルデッキが鬼一口だの。
当時はブルーアイズのカテゴリーサポートや実戦級の通常モンスターのサポートカードが無かったこともあり
「青眼の白龍は実戦では使えない、単なる観賞用のカードだね」と煽ることもあったそうな。

とは言えトークンを一掃したければ《阿修羅》という圧倒的に取り回しのしやすいモンスターがいた。
更に今のような最上級サポートが豊富にあるわけではなく、このカード自身には召喚サポート能力や特殊召喚能力があるわけでもない。
当時はガジェットなど下級モンスター中心の除去デッキが猛威を振るう環境。
さらに同じパックで【未来オーバー】が登場しており、その圧倒的な攻撃力の前ではもはや紙ゴミ同然。
そのため、これほど強力な効果を持っていても特に除去耐性のない最上級モンスターということで、環境での評価は概ね低かった。


ちなみに「攻撃可能な究極恐獣」という意味は、そのままの意味で「攻撃宣言ができる究極恐獣」という意味。
既に攻撃を終えた場合や攻撃を無効にされた場合、そして「守備表示の究極恐獣」はこれに該当しない。

そして現在出回っている上記のテキストの究極恐獣はエラッタされた後のものであった。
エラッタ前の効果の違いを簡単にまとめると
  • 究極恐獣が必ず最初に攻撃をおこなう
  • 究極恐獣が攻撃可能だった場合は必ず攻撃しなければならない(現行と異なり相手の場に究極恐獣を上回る攻撃力のモンスターがいても攻撃を強制された)
    ただし「バトルフェイズを放棄する」という選択は出来た
  • バトルフェイズ開始時にいなかった究極恐獣(バトルフェイズ中に特殊召喚されるなど)は攻撃ができない
  • フィールドに究極恐獣が二体以上いる場合、お互いが「最初に攻撃」という条件を満たせないのでお互いに攻撃ができない
どちらかというと効果の細部を単純化させ、テキストを分かりやすくしたエラッタだが上方修正と見ることもできる。
逆に言うと登場当初の究極恐獣はこれらの「デメリット」を有していたわけだが、全体攻撃と言う大きな効果の前には取るに足らない話であった。

そして現在は、攻撃力3000を超えメリット効果を持つモンスターというのも珍しくなくなった。
特にこのカードに関しては超伝導恐獣との合体版とも言うべき究極伝導恐獣にほぼ立場を奪われている。
一応、忍法・超変化の術や死皇帝の陵墓といった差別化の手段もなくはないが、そちらでももっといい選択肢が存在する。


超伝導恐獣(スーパーコンダクターティラノ)

効果モンスター
星8/光属性/恐竜族/攻3300/守1400
(1):1ターンに1度、自分フィールドのモンスター1体をリリースして発動できる。
相手に1000ダメージを与える。
この効果を発動するターン、このカードは攻撃宣言できない。

初収録は2006年6月の「ストラクチャーデッキ-恐竜の鼓動-」
究極恐獣から程なくして登場した新たな恐獣。

あれだけ究極恐獣が攻撃性能の高さで話題となっていた中で、さらに攻撃力が上回るモンスターである。
しかしその効果は自身の攻撃を放棄することで発動する射出効果。
なぜ自らの長所を自ら潰す。長所を最大限生かした究極恐獣とは大違いである。
大抵の場合は自分のモンスターをリリースして1000ダメージを与えるより、相手モンスターを戦闘で減らして戦闘ダメージを与える方が有利に働くので
効果を活かせる場面はまるでないとさえ言われている。

とはいえ効果はともかくとして、召喚制限のない3300打点というのは、当時では他にないメリットであったのも事実である。
そのため効果はオマケとしてステータスを活かした運用をされることとなった。
この手の運用法は、ともすれば「バニラサポートを受けられないバニラカード」という効果モンスターに対する中々の侮辱評価を下されるのが常だが
こちらは高すきる攻撃力を持っていたおかげで、そのような評価はあまりされていなかった。
そして月の書と下級アタッカーで倒されるまでが一連の流れ。

超古代恐獣(エンシェントダイノ)

効果モンスター
星8/地属性/恐竜族/攻2700/守1400
このカードは恐竜族モンスター1体をリリースして
表側攻撃表示でアドバンス召喚できる。
(1):このカードがモンスターゾーンに存在し、
自分の墓地から恐竜族モンスターが特殊召喚された時に発動できる。
自分はデッキから1枚ドローする。

初収録は2009年9月の「EXTRA PACK Volume 2」

戦闘に関する効果も持たず、「恐獣」のルビがダイノであるなど、少々特徴が異なる。

最上級モンスターだが、アドバンス召喚に使用するモンスターは一体でよい。ここに来てようやく召喚サポート能力持ちである。
上記のモンスターたちが使われなかった理由がようやくわかってきたのだろう。
大進化薬も使わずにリリース素材がギラザウルス一枚で済むのは大きい。
もちろん特殊召喚は可能なので、墓地から蘇生させる手もある。

その効果は、恐竜族版の生還の宝札
遊戯王をかじったことがあるプレイヤーならば、生還の宝札がオーバーパワーなことは説明するまでもないことであろうが
同時によくよく考えると恐竜族ではあまり有効活用できない効果であることもお分かりであろう。
アンデット族ドラゴン族と異なり、蘇生や墓地利用には長けていない。まあそもそも恐竜族の数がそいつらと比べて圧倒的に少ないのだが。

そうは言ってもドローの見返りは大きく、アウロやオヴィラプター等と無理なく効果を活かす方法はある。
特にオヴィラプターは蘇生効果のみならず、超古代恐獣をサーチして(召喚権があれば)そのままアドバンス召喚まで行けるなど相性が良い。
相性がいいだけで実戦級のコンボかと言われるとまた別の話だし、現行では他のアド稼ぎ方法と比較してどうしようもない扱いされているが。




天地に轟く、恐獣の鼓動! 究極の暴君、覚醒!!

究極伝導恐獣(アルティメットコンダクターティラノ)


特殊召喚・効果モンスター
星10/光属性/恐竜族/攻3500/守3200
このカードは通常召喚できない。
自分の墓地の恐竜族モンスター2体を除外した場合に特殊召喚できる。
(1):1ターンに1度、自分・相手のメインフェイズに発動できる。
自分の手札・フィールドのモンスター1体を選んで破壊し、
相手フィールドの表側表示モンスターを全て裏側守備表示にする。
(2):このカードは相手モンスター全てに1回ずつ攻撃できる。
(3):このカードが守備表示モンスターを攻撃したダメージステップ開始時に発動できる。
相手に1000ダメージを与え、その守備表示モンスターを墓地へ送る。

初収録は2017年2月の「ストラクチャーデッキR-恐獣の鼓動-」

同ストラクが「長い長い氷河期だった恐竜族を大胆に強化する」コンセプトであり、究極伝導恐獣はその恐竜族デッキの切り札役を務める。
そして究極恐獣と超伝導恐獣のリメイクモンスターでもあり、効果や外見にその名残が見える。
少々こじつけにはなるが、「相手の守備表示モンスター・自分の戦闘」に関する効果ということで暗黒恐獣の要素も含まれている。
恐獣(ティラノ)モンスターの集大成と言ったところか。

他の恐獣モンスターと異なり、特殊召喚モンスターなので通常召喚ができない。
しかしその条件は「墓地の恐竜族2体を除外」とかなり緩い。
そして自身の効果だけでなく究極進化薬で特殊召喚する方法もあるので、他の恐獣と比較するまでもなくかなり召喚は容易である。

(1)は自分のモンスターカード1枚と引き換えに、フリーチェーンで相手モンスターを一斉に裏側守備表示にするもの。
直接ボード・アドバンテージを稼ぐ効果ではないのだが、現在では「素材モンスターを並べた後にエースを召喚」する流れが一般的であり
素材モンスターを並べた後に(1)の効果を発動すれば素材モンスターは伏せてしまう。
そしてカード名もステータスも不明の状態になってしまうので、シンクロ・エクシーズ・リンクといった各種召喚行為が封じられてしまう
勿論永続効果をシャットアウトしたり攻撃を未然に止めたりと、様々な活用法がある。
リンクモンスターは裏側守備表示にならないが、リンク召喚される前に素材を裏側守備表示にすればいい話。
ただし素材を伏せて召喚行為を妨害する場合、モンスタートークンは裏側守備表示にできない事には留意したい。
また、融合召喚は裏側守備表示でも融合素材に出来るので止められない点にも注意したい。

他のカードと異なり、コストとする自分のモンスターカードは破壊するため、破壊を条件とするカードとのコンボが可能。
特にベビケラサウルスやプチラノドンがその筆頭で、相手を邪魔しつつ更にモンスターを展開させることができる。
そしてこれを発端に「自ら手札破壊」が恐竜族の当流となる

(2)は究極恐獣と同様の全体攻撃。
究極恐獣から更に攻撃力が上がっただけでなく、(3)の効果と合わせて敵のモンスターを全滅させる。

(3)は敵の守備モンスターを墓地へ送り、1000のダメージを与える効果。
攻撃力の高さを考えると、戦闘ダメージを与えられない事が少々勿体なく感じるかもしれないが
(1)の効果で相手の場にゴロゴロと転がる守備表示モンスターを、ステータスに関係なくバッサリと始末できる。
ダメージステップ開始時に効果が発動するため、リバース効果は発動できないのも取り所。
高い攻撃力を活かして相手に大きな戦闘ダメージを与えたくなったら、隣にディノインフィニティを置けば満足できるぞ!

(1)(3)の効果は対象をとる効果ではないので、対抗できるモンスターはかなり少ない。その分魔法罠の餌食になりやすいともいう。しかしこのカードが登場したのはモンスター効果が圧倒的に強化された9~10期。そこまで問題にならなかった。

このカードの単体性能はもとより、かなりの制圧力を期待できるこのカードがEXデッキのモンスターではないというのも大きい。
制圧力を維持しつつ、枠が一杯になりやすいEXデッキの負担を軽減することができる。
「恐竜族はEXデッキにあまり頼らない」と言われていたのもこの部分が大きく、
【恐竜竜星真竜皇】や【恐竜シャドール】など、EXデッキの枠を他のカードに譲る編成を可能にし、環境レベルで戦うに至った。
同時に登場した「エアーマンの上位互換」こと《魂喰いオヴィラプター》や手札で破壊することに意味がある下級恐竜や真竜などとともに、
恐竜族という種族の価値を引き上げそして今までのほぼ全ての最上級恐竜族に止めを刺し、恐竜族の大躍進を実現させた立役者となった。



追記修正は究極伝導恐獣を正規の方法で召喚してから(1)の効果でベビケラを破壊しディノインフィニティを特殊召喚して直接攻撃で勝利してからお願いします

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