登録日:2025/04/26 Sat 22:30:00
更新日:2025/05/19 Mon 17:10:11NEW!
所要時間:約 30 分で読めます
思い出しちまったぜ……
眠っていた記憶が、目を覚ます――
果たせなかった約束と、隻眼に宿った残像。
氷雪吹き荒れる山岳で、白き闇の因縁の幕が切って落とされる―!
『
名探偵コナン 隻眼の残像』とは、劇場版『
名探偵コナン』第28作。
2025年4月18日公開。上映時間は109分。
監 督:重原克也
脚 本:櫻井武晴
主題歌:
King Gnu『TWILIGHT!!!』
※以下、ネタバレが多く含まれます。
未鑑賞の方はブラウザバックするか、ネタバレを承知の上でお読みください。
概要
本作のキーキャラクターは、長野県警所属の
大和敢助、諸伏高明、上原由衣、そして
毛利小五郎。
原作では度々顔を合わせている彼らだが、劇場版で高明も交えて事件解決に当たるのは初。
特に大和、上原は後述の通り既に『
漆黒の追跡者』にも登場して一緒に捜査に取り組んでいたものの目立った活躍はできなかったこともあり、今作では最もスポットライトが当たっている。
今作のテーマは「
記憶」「
あだ名」そして「
償い」。
小五郎の刑事時代や、大和が隻眼になった経緯が掘り下げられるのと並行して、やがて
司法取引制度に絡んだ国家規模の巨大な陰謀の影がコナンたちに忍び寄り、公安警察も動きを見せ始め……作中の地方警察きっての切れ者揃いでコナンも信頼を置く長野県警トリオは、果たしてその闇にいかに立ち向かうのか。亡き友のため奔走する小五郎の姿や、大和と上原のすれ違う切ない恋心の行方も見逃せない。あだ名にまつわる綿密な
伏線も見事。
また、
罪に向き合い償う姿勢を問いかける描写も印象に残ることだろう。
脚本家が脚本家なので刑事、推理パート、扱っているテーマだけを見てみると『相棒』に見えないこともないという声も聞かれる。
劇場版への登場は、小五郎は当然皆勤賞だが、主役を務めるのは『
水平線上の陰謀』以来19作ぶり2度目で、担当声優が小山力也氏に交代してからは初めて。
大和、上原は『漆黒の追跡者』以来15作ぶり2度目、榎本梓は『
ゼロの執行人』以来6作ぶり3度目、京極真は『
紺青の拳』以来5作ぶり3度目で、彼らが令和時代及び2020年代公開の作品に登場するのは初めて。高明は長らく劇場版に出演する機会に恵まれずにいたが本作で初登場を果たした。
その他、服部平次は『100万ドルの五稜星』から連続で、黒田兵衛、安室透(降谷零)、風見裕也、目暮十三、佐藤美和子、白鳥任三郎、ジョディ・スターリングは『
黒鉄の魚影』以来2作ぶり、諸伏景光、高木渉、千葉和伸、沖野ヨーコ、仮面ヤイバーは『
ハロウィンの花嫁』以来3作ぶりの登場となった。
時系列では、原作エピソードだと『お尻のマークを探せ』『風林火山』『危険な2人連れ』『死亡の館、赤い壁』『毒と幻のデザイン』『赤い女の惨劇』『県警の黒い闇』『裏切りのステージ』『キッド vs 高明 狙われた唇』、劇場版だと『漆黒の追跡者』『ゼロの執行人』『ハロウィンの花嫁』よりも後。『36マスの完全犯罪』『群馬と長野 県境の遺体』は時系列不明。
最低限『風林火山』『死亡の館~』だけでも踏まえておけば、本作で長野県警トリオが取る行動の背景が解ってより楽しめると思われる。
今回の舞台は
長野県で、同県が劇場版においてフィーチャーされるのは初めて。また
山梨県も少し登場する。
主な舞台となる野辺山宇宙電波観測所、長野県警察本部(長野県庁)はもちろん、代表的な観光名所の善光寺に駅舎や雪景色、そしてそれらだけではなく
雪崩の恐ろしさまでもが克明に描写されている。
作中の季節は冬。12月のカレンダーが貼られているシーンや、野辺山宇宙電波観測所を訪ねようとしている日が冬休み中に当たることが言及されていて年越しライブについての宣伝も見られることから、同月中旬〜下旬ごろと思われる。
監督は初登板となる重原克也氏。『ゼロの執行人』『紺青の拳』『黒鉄の魚影』では演出を務めてきた。
脚本はもはやお馴染みの感さえある櫻井武晴氏。『黒鉄の魚影』以来2作ぶり通算7度目で、本作の時点では劇場版のちょうど4分の1を手掛け、これまで14本を担当している古内一成氏に次ぐ本数となった。
音楽は引き続き菅野祐悟氏が担当。主題歌を歌唱するKing Gnuは初の『コナン』とのタイアップ。同グループの常田大希氏と井口理氏は長野県伊那市の出身なので、ご当地繋がりで本作の主題歌を担当するのではないかという予想は少なくなかった。
プロモーションと動員人数・興行収入成績
正式発表以前
前作終了後の予告は、暗い猛吹雪の吹く山の中を疾走する景色を背景に「疾きこと、風のごとし。私が風を吹かせてご覧に入れましょう」「ふぇーっくしょい!」「風邪ひいてんじゃねえよ……」という高明、小五郎、大和のやり取りが流れるものだった。
また、青山先生はかねてから
任天堂のゲーム『
あつまれ どうぶつの森』の交流機能をちょっとした告知などに活用しているが、ここではタイトルの正式発表前にも(ほとんど伏せ字だったが)『
セ〇〇゛ンの〇゛ン〇゛〇』とし、更に、本作にどのレギュラーキャラクターが登場するのかをその顔を描いたイラストをゲーム内の部屋に順次飾る形で先駆けて明かしてもいた。
ちなみにその中には、2名の「
シークレット枠」もいて……!?
正式発表後
2024年12月4日にタイトル・ティザービジュアル・公開日が正式に解禁。翌5日には特報映像・あらすじ、及びコナン、小五郎、大和の片目を強調した『DETECTビジュアル』が公開された。
……しかし、宣伝大使に任命された小五郎が早速主題歌をネタバレしようとしたので、コナンの
腕時計型麻酔銃で眠らされるが、
使用した麻酔針が阿笠が開発途中の超強力型だったので2025年の2月下旬まで小五郎が眠ってしまい、何の情報が発表されない状態が長らく続いたのだった。
2025年に入ってからは、2月26日にようやく小五郎が目覚めてキービジュアルが発表された。
3月4日にはゲスト声優として山田孝之氏・山下美月氏が出演すること、同月13日には主題歌がKing Gnuの『TWILIGHT!!!』となることが発表された。
連動して、アニメ放送枠では本作の前日譚に当たる『風林火山』がオンエアされ、YouTube公式チャンネルやNetFlixでも長野県警トリオが登場するエピソードが配信された。また、小五郎をフィーチャーした「SLEEPING PROMOTION」も展開された。
公開直前には、昨年同様公開前の試写会を行わない代わりにキャスト陣が登壇してのファンミーティングが代々木第一体育館にて開催された。
更に、長野県でも駅から野辺山宇宙電波観測所への直通ラッピングバスの運行、県内の映画館限定のポスター掲出を始め、様々なイベントやキャンペーンを実施している。
ラージフォーマットでの上映面では、シリーズ初となるScreenX及びULTRA 4DXでの上映が5月30日から開始される。
他作品とは『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』とコラボし、小五郎とトム・クルーズが並び立つビジュアルがお披露目された。
ちなみに『ミッション〜』シリーズとアニメの『コナン』は、1996年にスタートしたという共通点を持つ。
その他、ここ数作はアニメ枠でその年の劇場版の前日譚、あるいはその裏で並行して起こっていたことを描くエピソードがオンエアされるのが恒例になっていたが、今作については初めて後日譚として櫻井氏による脚本の『秘密の残像』が放送された。
劇場版とは連動しているが映画本編にはほとんど触れないので致命的なネタバレ要素は無く、1話内で事件そのものは完結しているため、映画の視聴済み勢はもちろん未視聴の方でも差し支えない仕上がりとなっている。
なお、本作公開以前の直近4年間では、その年の作品でメインを張るキャラクターが関わるエピソードのアニメ総集編が1月初頭に劇場公開されたり、次回予告が2種製作されてとある時期を境に一新されたりしたが、本作ではそのようなプロモーションは実施されなかった。
動員人数と興行収入成績について
公開初日に69万人・10.9億円(前年比109%増!)、3日後で231万人・34.5億円、10日間で430万人・69億円を記録していることが発表された。
そして5月7日、公開から19日間という史上最速の日数で726万人・104億円に到達し、この時点で既に劇場版歴代3位のセールスを記録したとともに、わが国の映画史上初となる同一シリーズ3年連続の興収100億円突破を達成する快挙を成し遂げた。公開1カ月では843万人、122億円を突破した。
これを記念して、小五郎が鮫谷に献杯しながら彼を偲ぶ場面を描いた青山先生直筆のイラストも発表されている。
ストーリー
長野県・八ヶ岳連峰未宝岳。長野県警の大和敢助が雪山で“ある男”を追っていた時、不意に何者かの影が敢助の視界に。
気をとられた瞬間、“ある男”が放ったライフル弾が敢助の左眼をかすめ、大きな地響きとともに雪崩が発生。そのまま敢助を飲み込んでしまい―。
10ヶ月後。国立天文台野辺山の施設研究員が何者かに襲われたという通報を受け、雪崩から奇跡的に生還した敢助と、上原由衣が現場へ駆けつけた。
事情聴取のさなか天文台の巨大パラボラアンテナが動き出すと、負傷し隻眼となった敢助の左眼がなぜか突如激しく疼きだす……。
その夜、毛利探偵事務所に、小五郎の警視庁時代に仲の良い同僚だった“ワニ”と呼ばれる刑事から電話が入った。
未宝岳で敢助が巻き込まれた雪崩事故を調査しており、事件ファイルに小五郎の名前があったという。
後日会う約束を交わした小五郎にコナンもついて行くが、待ち合わせ場所に向かっていた途中、突然響き渡った銃声―。
コナン、小五郎、長野県警の面々は、隻眼に封じられたあの日の残像に近付いていく。
ゲストキャラクター
警察・検察関係者
小五郎の刑事時代の同僚だった男性。
現在の階級は警部で、所属は刑事総務課改革準備室。
太眉に糸目と無精ひげが特徴。
かなりのヘビースモーカーで、自身のデスクでも公園でも電子タバコをスパスパやっている。ちなみにガラケー派の模様。
現在は独身で、小五郎には結婚の件について「お前は理想が高すぎるんだよ」と言われている……が、鮫谷のデスクをよく見ると、近々プロポーズをするつもりだと推測できる文言が書かれた付箋が貼られている。
ウマが合ったのか小五郎とはよく一緒に捜査に当たり、彼からは「ワニ」のあだ名で呼ばれ、鮫谷の方も小五郎を下の名前で呼び捨てする親しい仲。現役時代は先に事件を解決した方に酒をおごるなどしていたものの、小五郎が警視庁を辞職して以来没交渉だった。
あだ名の由来は、鮫谷の故郷ではサメをワニと呼ぶためだそうだが、小五郎は肝心のその出身地を忘れてしまっている。
大和が巻き込まれた未宝岳の事件について何やら調査をしているらしく、小五郎が事情を知っていると見るや会う約束を取り付け、その電話をかけた翌日山梨県と長野県に行った。
なお御厨には山梨刑務所で面会したが、一番話を聞きたい相手であるはずの大和には何故か接触せずに帰京したことが判っている。
だがその次の日、警視庁にほど近い日比谷公園で小五郎と落ち合おうとしていたところ、その直前に銃撃され即死した。今作屈指のゴア表現につき非常に心臓に悪い。
同エピソードにおいて、目暮は部下が不倫をしているのではないかという疑念を抱き、小五郎に調査を依頼する。
結果、件の部下は浮気をしていたのではなく、かつて世話になっていた鮫谷とその婚約者のため、規定違反として処分を受けるかもしれないことを覚悟してまで奔走していたことが発覚。紆余曲折を経て、鮫谷の交際相手は彼からの最後のプレゼントとなってしまった婚約指輪を指に嵌め、夫となるはずだった人を想いながら涙を流すのだった……。
CV:
羽多野渉
山梨県警察本部総務課所属の丸顔が特徴的な男性警部補。
大和が雪崩から救出されたあとに搬送された入院先で彼の世話係を務めていた。
この恩もあり、大和からは親しみを込めて「やっさん」と呼ばれ、怪我から回復できたのも林のおかげだとして信頼を置かれている。
ひょうきんな性格で「(雪崩のせいで大和が意識不明になり聴取をしようにもできず、警察官としての身分を示すものもその際失われてしまった上に彼の人相が悪いのでまさか警察官とは思わなかったため)身分照会にあたっては指名手配犯や前科者の指紋とも照合した」と話し、大和は照れ混じりに「顔顔うるせえよ」とツッコんでいた。
山梨刑務所では小五郎たちを案内し、発砲事件後の山狩りにも加わる。
他方、コナンに佐久平駅前でぶつかった際に盗聴器を風見の指示のもと仕掛けているなど、総務課所属のはずが公安との繋がりも匂わせている。その正体と真意は一体……?
なお、担当声優の羽多野氏も長野県の出身である。
また、アニメオリジナルエピソード『不思議な予知仏像』でも「林」という名前の山梨県警刑事が登場しているが、あちらは捜査一課所属で全くの別人。
CV:石川ひろあき
鮫谷の上司で改革準備室室長の男性。下の名前は不明。
物静かというより覇気の無い口調と表情で話し、部下の訃報に接してもどこか他人事のように振る舞う。
CV:
関智一
東京地検から警視庁捜査一課に出向中の検察官。
ネイビーのストライプのダブルスーツに身を包み、芝居がかった嫌味な言動を取る長身の優男。
何やら自信ありげな笑みを浮かべていることが多いが、その実は慇懃無礼。
警察と検察は本来対等な立場であるにもかかわらず、鮫谷殺害事件の捜査責任者である黒田にさえ「あなたがた警察は我々検察の指揮下にあることを忘れないでください。わかりましたか?」と高圧的に釘を刺し、捜査会議に出ている刑事たちの顰蹙を買う。
その後、自身も長野に乗り込んで山狩りの陣頭指揮を執り、終盤では天文台での現場検証にも立ち会うが、そこでは驚きの正体が明らかに!
野辺山宇宙電波観測所関係者
観測研究や来訪者らの案内業務に従事している。
CV:山下美月
本作のゲスト声優枠キャラクターその1。
眼鏡をかけた茶色いセミロングヘアの女性。
アバンで観測棟にいたところに侵入してきた犯人に気が付き、後を追うも突き飛ばされ負傷する。
その後、越智の通報で駆け付けた大和に「犯人の顔は見たのか」と詰問され、その強面ぶりや気迫に気圧されたか顔を逸らしつつ「フードを被っていたので(見ていません)」と答えた。
幸い重症ではなかったようでエンディングでは元気な姿を見せており、越智とともにパラボラアンテナの動きを見守っていた。
演者は元乃木坂46。坂道グループ出身者の劇場版『コナン』出演は、『ハロウィンの花嫁』でゲスト声優を務めた同じく乃木坂OGの白石麻衣氏以来3作ぶり2人目となる。
CV:
松本保典
眼鏡をかけた男性准教授。温厚で子供の扱いが上手い。
阿笠の大学時代の後輩に当たり、彼らを越智が招待したことが本作の発端となる。阿笠からは「越智くん」、コナンたちからは「越智先生」と呼ばれる。
阿笠一行のアテンドを担うほか、クライマックスでは灰原とともにある装置を操作して事態の解決に協力する。
銃砲店強盗傷害事件関係者
本作の8年前に発生した事件の2人組の犯人と、被害に遭った店を営む父娘。
CV:武内駿輔
強盗犯の一人で粗暴な男。
8年前の事件で収監されるも、2年後に仮釈放され長野に戻る。
そして本作の10カ月前、大和に追跡されていた折、彼が巻き込まれた雪崩から自身は逃げおおせてそれ以降も山中に潜伏し続けた。
しかしそうしていたところを高明に逮捕され、現在は山梨刑務所にて再び服役中の身。なお、鮫谷とは彼が殺害される前日に面会している。
鷲頭に売られ自分だけ実刑判決を受けたので彼を今でも強く憎んでいて、刑務官や聴取に訪れた刑事らの前でも「出所したら絶対に鷲頭を殺してやるよ」と言い放つ。
このため、その直前の「俺はこうして償ってるんだ」という発言は正直なところそうなのか疑わしいと言わざるを得ない。
御厨の共犯だった男。
回想シーンにのみ登場し、顔貌の描写とセリフは無い。
事件の翌日に逮捕されており、御厨が銃と実弾を所持して逃走中だったことから事件の早期解決を望んだ検察に司法取引を持ち掛けられて応じ、検挙に繋がる情報を吐いた。
そしてその見返りに3年の執行猶予を勝ち取り、満了して間もなく所在不明となって今に至る。
CV:仲野裕
御厨らに襲われた銃砲店店主で真希の父親。地元猟友会に所属しており、猟銃をいつも携行している。
愛娘を思う気持ちは今でも変わらず強く、真希の命日には必ずその墓前に花を手向ける。
娘が自ら命を絶ったことは頭では理解しつつも、あの事件のせいで殺されたも同然だと考え、それ以来犯人たちへの怒りをずっと抱き続けてきた。
特に、鷲頭については執行猶予満了後に償いもせずに姿を消したために卑怯者と唾棄していて、「同じ目に遭わせてやる」べく、これまで何度も大和のもとを訪ね鷲頭の行方を教えろと迫ってはそのたびに断られている。
真希が生前に誰かと交際していたらしいことには勘付いており、事件が発生する直前、彼女が「(店で在庫を確認して帰って来たら)話がある」と言っていたのを、もしかしたら結婚の話だったのかもしれないと振り返っている。
しかし、その続きを永遠に聞けなくなってしまったが、あの夜の真希の照れたような恥ずかしそうな声が、耳に焼き付いて離れないという……。
CV:
福圓美里
英三の一人娘だが既に故人。
父想いで家業をよく手伝い、また
バイアスロンの強化指定選手でもあった。
恋人もおり交際は順調だったようだ。
しかし事件の夜、全てが一変する。父に弾薬の在庫を訊かれ店に確認に行ったところで強盗犯に出くわし、しかもその混乱のさなか彼らがぶちまけた刃物が足の甲に突き刺さって負傷してしまったのだ。
そのせいで競技の成績が落ち、懸命のリハビリもむなしく強化指定選手から外される苦しみを味わうことに。
とどめに鷲頭があまりにも軽い判決を受けたと知り絶望し、父に話そうとしていたその続きをしないまま、遺書を遺して崖から身を投げてしまった。
なお、墓は最期を遂げた地点の付近にあり、誰かが命日よりも早く白い座禅草を供えている。また周囲の土は何故か暖かく、雪も溶けている。
その他
CV:
山田孝之
本作のゲスト声優枠キャラクターその2。
炭焼き小屋「ブッパ」の主人である髭面の寡黙な男。
ボソボソとした口調で話し、「
すんません」が口癖のようだ。
犯人に襲われ避難してきた大和と上原や、発砲事件の関係で下山しないよう県警から指示されて訪ねてきたコナンたちをかくまう。
ちなみに上半身の二ヵ所には「炭にする木を伐採するときに付くもの」としている痣があるが、コナンはライフルを使用する者特有のそれだと一目で見抜いている。
だが、県内の銃猟免許所持者リストを調べた風見によれば、大友の姓はそこには無いらしく……?
読んで字のごとく本作の犯人。
ジャケットのフードとフルフェイスヘルメットで顔全体を覆い隠し、また
犯人とはいえお約束の黒タイツではなく鹿革の手袋を着用している。
渋滞した車道をたやすくすり抜けてコナンの追跡を振り切るほど高いバイクの運転技術を持ち、相手の急所を一発で撃ち抜くくらいに銃の扱いに長けているばかりか、居合わせた子供にも容赦なく銃口を向ける危険人物。
冒頭では円井を襲ったほか、鮫谷を射殺した際は彼の死亡を確認するなり即座にその場から逃走。
バイクを
警視庁や警察庁の庁舎に近い地下鉄の入口付近で乗り捨てて行方をくらまし、そのまま地下鉄に乗車したかと思われたが、コナンはその姿を駅構内には見付けられなかった。
なお、高木の話では件のバイクは盗難車だったとのこと。
その後、長野県でも大和たちの前に出没するようになり、その周囲を巻き込むことも厭わない冷酷さと執念深さと様々な手段をもって、彼を亡き者にせんと付け狙う……!
レギュラー陣
主人公たち
我らが本編主人公。
メインビジュアルでは本編で着ていたのと同じ冬服を着ているが、これは『沈黙の15分』以来。
今作ではクライマックスに来そうなほどの
スケボーを使った必見の激しい追跡アクションをアバンの時点で繰り広げる。
なお、日比谷公園に向かう時は事件が発生すると予想したかのように最初からスケボーを持ってきていた。
また
蝶ネクタイ型変声機は使わず持ち歩いてもいないが、蘭に赤いマフラーをリボン結びにしてもらったのであたかもいつも通り付けているかのような装いになっている。
途中で緩衝材代わりに靴に巻いたのは内緒。
当初は蘭とサッカーの試合を観戦する先約が既にあったため阿笠からの誘いをパスするが、その後鮫谷殺害事件をきっかけに長野へ行くことに。
雪山に行くと判っていたためか、
キック力増強シューズをトレッキングシューズタイプに換装した。
小五郎と別行動を取り始める直前に抜かりなく彼に盗聴器を仕掛け大人組の会話を傍受してタイミングを伺い、そしてお得意の「僕ちょっとトイレ!」の演技で大和らと合流。
林に仕掛けられた盗聴器をあえて外さず、逆に公安を顎で使う豪胆さと人遣いの荒さも見せる。
このように劇場版では珍しく捜査に加わるまでかなり時間がかかったが、合流後は以前からの顔見知りな上にコナンの能力を高く買っている長野県警トリオへの説明も要らないのでテンポ良く推理を始められた。
犯人像については灰原に「司法取引に反対する人って線は無いかな?」と話すが、真相はいかに?
クライマックスでは、あるものをスケボー代わりに疾走して犯人を追跡する。
ちなみに今回の新一の登場シーンはオープニングだけで、本編では名前が言及されるのみ。
その他、本作ではお馴染み「蘭!」「新一!」のやり取りと、「江戸川コナン……探偵さ」の決め台詞は登場しない。
今作の主人公その1。
「小五郎は身内や知人が絡むと覚醒する」というのはもはやファンの常識だが、その通り今回はやや感情的な部分が見られる中、序盤から足を使って捜査に当たる。
おふざけシーンは冒頭のごくわずか。上記のセリフでコナンと蘭をたじろがせるほど真剣そのものな、シリアスでカッコいい眠らずの小五郎が活躍する。
実際問題雪山で寝たら死んじゃうからね……。
親しかったかつての同僚が非業の死を遂げた事に強い衝撃を受けこらえられずに
涙を流しつつも、その無念を晴らすべく警視庁捜査一課に無理矢理協力を申し出て長野へ急行。
終盤では『ゼロの執行人』で自分に手錠を掛けた風見と組んで動く珍しい場面もある。
また、見どころとしてはコナンを庇い続けること。
今回の映画はひたすらにコナン一行が殺されかけるが、
- コナンを優先して避難場所に放り込んでから、自身もその盾になる
- 一仕事終え「仕事道具」を放り投げ、吹き飛ばされたコナンを両腕で受け止める
と、コナンをしっかりと守ってくれている。視聴者はコナン=工藤新一だと知っているし、殆どの者たちもコナンの頭脳に一目を置く中、小五郎は普段こそ生意気な小僧扱いしながらも、コナンが小学生で守られる立場であることを崩さずにいてくれているのだ。
何より、クライマックスで発揮される「あの特技」もお見逃し無きよう!
長野県警及び警視庁捜査一課
ご存知長野県警の敏腕隻眼警部。今作の主人公その2。
原作では詳しく語られなかった「10ヵ月前の雪崩事故」についても明かされており、(当たり前だが)事故前は両目が健在だった。
度々古傷の疼きに苦しみながらも犯人の魔の手から逃れつつ、自身の喪われた記憶の中に真実があるとみて思い出そうとする。
隻眼で
杖を手放せないが、ライフルと思われる銃を手にした犯人を相手に
拳銃で応戦しつつ同僚との連携で逆に追い込むなど、身体面のハンデを背負ってなお高い戦闘能力もうかがえる。
しかし中盤では、犯人によって引き起こされた雪崩に巻き込まれて死亡してしまう……!
ご存知所轄の、改め長野県警のコウメイ警部。今作の主人公その3。
コナン=新一には至ってはないが、薄々ながらただの子供ではないと勘付いているような描写もある。
劇場版でもやはり中国の名言を口にするのは相変わらず。ちなみに予告や本作での初登場シーンで言っている上記の言葉は「何年経とうと恨みは消えない」という意味。
このほかにも作中の状況に応じて様々な故事成語を引き合いに出すが、公開前のインタビューで青山先生は「高明がとんでもない場所で『三国志』の名言を言います。ここで!?っていうような(笑)」としている。どのような場面なのかは、あなたの目でお確かめあれ。
また頭脳面は言うまでもないが、銃撃戦などのアクションシーンでも活躍する。
特に、犯人から大和を庇った弾みで滝壺に転落したときには、その直前に左大腿部に犯人の銃撃を受けているにもかかわらず、
・PⅢ端末を素早く捜査して救難信号を発した状態にする優れた反射神経、加えて端末を最低数メートルの高さがある崖の上へ投げ見事に着地させてのける強肩ぶり(※なお、これらの動作は全部真っ逆さまに転落している最中にしていることです)
・人が何人も歩けるほどの分厚い氷の張った水面に顔面から激突したのに気絶も骨折も流血もせずほぼ無傷という強靭さ
も見せる。多分今作でコナンの次に劇場版補正が掛かっているのではないか。どうしてその怪我で生還できるんですか……!?
そして弟の死を悟ったときに呟いた「人生死あり、修短は命なり」を吟じながら凍てつく水底へと沈みゆく中幻視したのは、職務に殉じたはずのその姿で――!?
他に探る手立ても無かったら、私である敢ちゃんはどうしてた!?
ご存知長野県警の由衣刑事。本作のヒロイン。
本作公開の4年前に刊行された『SDB+JUSTICE』のQ&Aにおいて作者は上原の階級を「警部補かな」としていたが、本作で示した警察手帳では巡査部長となっている。
大和の傍らで彼にもどかしい想いを寄せつつ支えるが、中盤ではまたも雪崩に巻き込まれてしまった大和の最悪の報せに、人目もはばからずその名を呼びながら慟哭する……。
警視庁捜査一課強行犯三係のアベック(小五郎にそう紹介された佐藤は「古いですよ……」と苦笑いしていた)。
今作は大和、上原と捜査を共にした『漆黒の追跡者』や高明と初対面を果たした『キッドvs高明』より後の話なので、長野県警の面々とは既に面識がある。それでも前者の二人とは初対面かのように接していたが。
小五郎と長野に向かい、長野県警トリオと組んで鮫谷殺害事件の捜査を行う。
一件落着後、ある人物に二人でかけた言葉は必聴。
前長野県警捜査一課長にして、現警視庁捜査一課管理官。
序盤のみの登場で目立った場面は無し。
メインビジュアルにもいる上に長野県が舞台なので『36マスの完全犯罪』で言及していた「大事」について本作で先行して明かされるかと思いきや、そんなことは無かった。
鮫谷殺害事件の捜査責任者と捜査会議の司会進行を務める。
その途中で長谷部が現地に行くと言い出した際には「あなたはここにいるべきです」と諫めるも聞き入れられなかった。
ご存知警部殿。
やはり序盤のみの登場。長野に出張しなかったため、かつて凶刃から庇った上原と再会することは無かった。
鮫谷殺害事件の捜査のため、手がかりを求めて彼のデスクを白鳥と探ったり、須賀から話を聞いたりした。
警視庁捜査一課強行犯三係。
彼らも都内に留まるので出番は序盤のみ。
白鳥は目暮とともに鮫谷のデスクに遺されていた情報を探ったり、小五郎への聴取内容をもとにしたりして事件発生直前の鮫谷の足取りを調べたほか、長野へ発とうとする佐藤・高木に現地の情報を都度上げるようにと指示した。
千葉は捜査会議で凶器が三十口径のライフルだったことを報告した。
ご存知「トリプルフェイスの男」である公安警察官。
声優の交代後初の劇場版出演となる。
本作では『黒鉄の魚影』同様、コナンとは終始直接顔を合わせず
スマホで連絡を取り合い、彼に訊かれたことにはおおむね包み隠さず答える。
ただ、刑事訴訟法の改正案の審議がストップしていることに絡んで「今、日本で何が起きているの?」と問われた際にだけは「
そこまで君が知る必要は無い」と突き放していた。
風見が自らに隠れて何やら動いていることも察知しており、またエピローグでは『ハロウィンの花嫁』にて自らが籠っていたシェルターの外から中にいるとある人物と対話したが、その際に取った言動は声優の変更も相まって「怖い」と評判。
一方、コナンに仕掛けてある盗聴器を介して高明が「景光」と呟くのを聞いていた風見から「降谷さんの同期に諸伏景光って人がいましたよね」と話しかけられるも……?
担当声優の草尾氏は『沈黙の15分』に出演しており、劇場版出演は同作以来13作ぶり。
ご存知降谷の右腕。
上司が以前『ゼロの執行人』でそうしたように、今回は自身もコナンの力を借りるべく、林を動かして盗聴器を仕掛ける。
だがそれが運の尽きで、コナンには逆に利用されて調べ物などに扱き使われまくる羽目になり、目の下にクマを作りながらこれまた上司と同じく(しかし全く違うトーンで)「なんて子だ……」と呟くのだった。
かわいそかわいい。あと、ブラックコーヒーを飲みまくっているのでカフェインの摂り過ぎを心配するファンもいる。
でも、務まってるぞ。あと一瞬見える待ち受けに注目
民間人
ご存知『三国志』大好き武闘派JK蘭ねーちゃん。
自分も鮫谷に会ってみたいと小五郎に付いて行き、そのあとでコナンとサッカー観戦に向かう予定だったが、鮫谷の一件もあり父を案じて行き先を長野に変える。
ちなみにいつもの「ラヴの予感♡」を今作では園子に感じているようだ。
アクションシーンが復活し、銃を持っている犯人にも果敢に挑むが、その際あることに気が付く。
また高明の言う諺をすぐに理解できる強みももちろん発揮されていて、クライマックスでは彼の言葉をコナンに「通訳」することで状況を打開するためのヒントを与えた。
ご存知少年探偵団とその保護者にして皆勤賞要員ズ。
阿笠は越智の招待を受け、辞退したコナン以外を現地に引率する。
なお、お馴染みダジャレクイズは前々作以前のように4択に戻った。
灰原は、人工の星をレーザーで描く装置を操作する役を決めるためのクイズに、そのつもりは無かったがうっかり正解してしまい「しまった……」と内心思う。
それでもいざ動かすときには非線形光学の理論を用いることに気が付いて、越智によれば専門家でも一度では成功しないという操作を成し遂げ、彼に「君は優秀な科学者になれるかもしれないね」ととても感心され、蘭からも褒められてまんざらでもなさそうにするのだった(ちなみにこの様子を見たコナンは内心で「もう科学者だけどな」と思っていた)。
そして終盤では件の装置を操作した経験を活かし、コナンたちを支えることに。
元太と光彦は、中盤で犯人が大和と上原を襲撃した際の銃声を聞き「誰かが決まりを破って夜に動物を撃っている」と思い、文句を言おうと二人が乗っていた車が炎上しているところへ駆け付けるが、光彦が捕まってしまう。
しかし元太は光彦を助けるため危険も顧みず犯人の手に噛み付き、重要な証拠品になるとあるものを思いがけず手に入れる。また、光彦も解放された直後、元太の腕時計型ライトで照らし出された犯人の顔を写真撮影しながら110番通報し撤退に追い込むことに成功した。
だが実は携帯は圏外……つまり、元太と光彦が連携して犯人に取った行動は、蘭の言う通り全て「お芝居」だったのだ。この道30年凶悪犯と対峙し続けてきたのでそこらの小学生とは踏んだ場数が違うとはいえ、さすがに怖かったのか光彦の手は震えていたし、元太と一緒に泣きそうな表情を浮かべながら蘭にしがみついていた。
後から見返せば、決死の覚悟で撮影したにもかかわらず画像は不鮮明で人物の特定に貢献するものではなかったが、心配と迷惑をかけたにせよアニオリのような向こう見ず1本ではない判断力に基づく勇気ある行動で、特に元太は本作のMVPと言って良いだろう。
ちなみに「元太が劇場版で『すっげー!!』『でっけー!!』と感嘆の声を上げた施設などは大抵ろくな目に遭わない」というジンクスあるいはフラグは今作でも健在。
歩美は特にこれといって活躍はしていないが、星を描く装置に興味津々で自分も動かしたがるなど諸々の動作が可愛い本作の癒し枠と言える。
その他
イメージシーンなどにのみ登場するか、今作の事件には関わらないキャラクターたち。
元警視庁公安部。故人。高明の弟。
黒の組織では「スコッチ」のコードネームを持ち、そして降谷にとっては
幼なじみの親友にして同僚でもあったが、『裏切りのステージ』の回想シーンで自決を遂げている。
本作のサプライズ(シークレット)枠その1だが、オープニングのキャラクター紹介でもフィーチャーされ担当声優の
緑川光氏の名前も表記されているので、前作の
中森青子や
鬼丸猛のような完全なサプライズ枠とは言えない。
滝壺に落ちた兄の前に現れて水中から引っ張り上げ、またその際「潜入先に頭の切れる仲間がいて、俺が死んだかのように偽装してくれたんだ」と話すが……。
ご存知元英語教師にして
FBI捜査官。サプライズ(シークレット)枠その2。
灰原が司法取引の話に関連して証人保護プログラムのことを言及した際の『お尻のマークを探せ』の回想シーンにのみ一瞬だけ登場しセリフは無い。
元長野県警巡査。故人。
写真や回想シーンにのみ登場しセリフは無い。
8年前の事件で鷲頭と御厨を逮捕した張本人。御厨の撃った銃弾が顔のすぐ横に直撃しても一切動じず確保に動く凄まじい胆力の持ち主。
生前はとある村の駐在所に勤務しており、幼少期の大和や上原だけでなく村の人々皆に慕われていたが、6年前に『風林火山』の事件の発端となる一件で転落死してしまった。
ご存知鈴木財閥令嬢。
皆勤賞要員にして今作ではギャグシーン要員その1でもある。
大倉脚本のみならず、櫻井脚本でもチョイ役になった。また櫻井脚本では園子の家のコネクションが使われるのが事件の発端となるのが定番だったが本作はそのセオリーに当てはまっていない。
京極との映画デートのために自室でメイクアップ中だったところに、蘭から電話でサッカーのチケットを譲る話を持ち掛けられる。
当初はサッカー観戦に興味は無さそうだったが、蘭に「スピリッツのヒデに黄色い声を送るところを京極さんに見せれば、嫉妬して恋の炎が燃え上がっちゃうかもよ!」とも提案されたことでその情景を思い描くなり俄然乗り気に。デレデレな表情を浮かべて「蘭、あんたは策士!恋の策士よ~!!」と親友を褒めちぎりながら、まるでバレリーナかフィギュアスケーターのごとく喜びの舞を踊ったあとその話を喜んで受けるのだった(笑)。
(なお今回は全体を通して思い合っている二人が描かれるが、その理由は終盤まで見るとなんとなく察せられるだろう。)
ご存知園子の恋人で人呼んで「蹴撃の貴公子」にしてギャグシーン要員その2。
またある意味でサプライズ(シークレット)枠ともいえる。
園子のイメージシーンにのみ(サッカー観戦の最中なのに何故か空手の道着姿で)登場し、ヒデに声援を送る彼女に「自分だったら、あなたというゴールにシュートなんて撃たせませんよ!一本たりとも!」と言い大喜びさせる。
毛利探偵事務所の階下にある
喫茶店「ポアロ」の看板娘。序盤に1シーンのみ登場。
いつも通り朗らかにウエイトレスの仕事をしている。
ご存知
作中作の人気ヒーロー。
アバンでは探偵団が衛星放送されている劇場版を視聴しており、雪山で敵に囲まれるも必殺技「ヤイバー雷神拳」を繰り出そうとした……が、そんな良いところでアンテナの調子が悪くなったために続きは見られずじまいになってしまったのだった。
ご存知西の名探偵で
前作の主役の1人。
『風林火山』の回想シーンにのみ一瞬だけ登場しセリフは無し。
ご存知人気アイドル。
直接登場しないが、アバンでは年越しライブの開催とその生中継が行われることが告知されているほか、小五郎と風見のスマホの待ち受け画像に設定されているのが見える。
ご存知サッカーチーム・東京スピリッツ所属のエースストライカー。名前(あだ名)のみ登場。
コナンたちが観戦予定だった試合に出場する模様。
用語
同名の実在する天文台で、本作の主な舞台。
大小様々なパラボラアンテナを用いて観測や衛星との電波の受発信を行う。敷地内では観測の妨げになるのでスマホなど電波を発する機器の使用が禁じられている区域もある。
『ゼロの執行人』でもここをモデルにしたと思しき場所が一瞬だけテレビ中継に登場する場面があるが、ただしその際レポーターは実際の名称とは微妙に異なる「長野県国立天文台」と紹介していた。
こちらも同名の実在する公園で、警視庁など官庁街とは目と鼻の先に位置している。噴水や音楽堂や図書館、カレーが美味しいレストランなどもある都会のオアシス。
小五郎と鮫谷はここで落ち合う予定だったが、その直前彼が射殺され、その後コナンと犯人の激しい追跡劇が繰り広げられることとなった。
やはり『ゼロの執行人』でも登場して風見がこれ公されている。
現実の
日本国では2016年に改正され2018年から施行された改正刑事訴訟法に基づく制度。確保された被疑者が事件の解決に資する情報を提供すれば、いわば「見返り」として不起訴処分などが図られるというもの。
作中では法改正に向け既に国会で審議入りしており、成立すれば適用範囲が広がる上に証人保護プログラムも開始されるが、
某衆議院議員のスキャンダル追及のために審議が停まってしまっている。
大友が未宝岳五合目付近の雪崩交差地帯に
5年前から構えている炭焼き小屋。
作中ではその意味についての言及は無いが、
ノベライズではコナンに小屋の名前の意味を訊かれた大友ははぐらかすも、その後大和が説明するシーンがある。
警視庁刑事部刑事総務課の1セクション。
執務室は薄暗い書庫の一角にありお世辞にも良い環境とは言えず、須賀には(仮にも自身が率いる部署ながら)「ダメ警官の飼い殺し部屋ですよ」と自嘲気味に評されているし、小五郎には「窓際」と揶揄されているが、描写の限り窓は見当たらない。
しかし、小五郎や目暮から優秀とされている鮫谷がどうしてこのようなところへ須賀いわく「飛ばされてきた」のかは判らない。
その存在は庁内でも秘匿されているのか、目暮は鮫谷の件をきっかけに把握するも「同じ刑事部にいても知らん部署だな」と呟いている上、須賀とも今回が初対面だった。
業務内容については、鮫谷は小五郎に「警察改革のために過去の事件ファイルを調べちゃ採用されない報告書を書いてるよ」と話すが、降谷はコナンに「刑事訴訟法の改正に備えて色々準備しておく部屋」と説明している。
なお、実際の警視庁の喫煙所は庁舎裏手の屋外に設けられていて、デスクでは喫煙できないことになっている。
「ポリストリプルアイ」の略。
現実の警察官も用いる端末で、通信や救難信号の発信など様々な機能を持ち、警察活動の遂行を補助する。
表向きは公安以外の部署の所属だが、実際には公安警察業務に従事する捜査官らのこと。
本作の数年前に長野県と山梨県の県境の国道であった一件。
大和いわく「やたらと連射スピードの速いオートマや、ライフルのマガジンが使えるピストル」などが発見されたらしいが、上原によれば既に保管期限切れとなり処分されているはずだという。
パラボラアンテナを搭載した車両で、移動しながら観測や電波の傍受ができる。
雪崩(アバランチ)の被害を最小限に留めるために小規模な雪崩を人為的に引き起こすこと。
大友は山肌に設置したスピーカーに音響装置を向けて行っているが、件の装置が銃形なのは「遊び心のようなもの」としている。
赤や白の花をつけるサトイモ科ザゼンソウ属の植物。僧侶が座禅を組む姿に似ているためそのように呼ばれる。
ちなみに
花言葉は「
ひっそりと待つ」。
誰かが真希の墓前に白い座禅草を供えていることについて、英三は「雪山で白い座禅草を見付けるのは至難の業だから(墓に供えているのは)よほど山に慣れた人だろう」と推測している。
ライフル射撃とクロスカントリースキーを組み合わせたスポーツで、冬季オリンピック種目の一つ。近代冬季二種とも。
余談
- 準備をしていても雪山への立ち入りは大変危険です。まして装備等を整えずに進入するなど論外ですので無謀な登山は絶対に止めてください。また、聖地巡礼に行く方は必ずマナーを守り、地元の方々にご迷惑をかけることの無いようご配慮ください。
- パンフレットのキャスト一覧ではとある人物の正体に繋がる点が触れられているので、ネタバレを回避したい方は鑑賞後に買い求めることを推奨する。
- 冬の雪山が舞台となる作品は『沈黙の15分』以来13作ぶりとなる。
- 本作のオープニングは、雪の結晶にキャラクターたちが投影されるものとなっており、新一とコナンの紹介シーンのラストでは『社長令嬢誘拐事件』でのタクシーで帰宅する小五郎のシーンが追加されている。また最後の観測棟内にあるプラネタリウムで「真実はいつもひとつ」を述べるシーンでは『キック力増強シューズ』だけが本編で使用するトレッキングシューズ式になっている。
- タイトルロゴには弾痕があしらわれている。また、ムービーマークには長野県警トリオも登場する『36マスの完全犯罪』が収録されたコミックス第96巻の表紙のコナンの姿をシルエットにしたものがそのまま使われている。
- スタッフクレジットにおいては、初代ジョディ役だった一城みゆ希氏(2023年没)、ならびにアニメ版の美術監督を務めていた渋谷幸弘氏(2024年没)への追悼の辞が寄せられている。
- 主題歌の中盤にはアニメのCM入りアイキャッチに使われる扉の締まる音が用いられ反響を呼んだ。
- 警察組織が関わり失われた記憶が鍵を握ることや、降谷の「そこまで君が知る必要は無い」のセリフなどから、過去作のうち特に『瞳の中の暗殺者』のオマージュ要素が強いと言える。
- 世界最速上映の終映後には、コナンの声で「未見の人のためにネタバレの拡散には配慮して(深夜なので)気を付けて帰ってね」との録り下ろしアナウンスが流れた。
- 『紺青の拳』以降の作品では新一と蘭は恋仲になっているが、本作でもオープニングの「幼なじみで同級生の……」の部分が「恋人の……」には変わっていない。
- 『SDB+JUSTICE』のQ&Aでは、「大和が雪崩に巻き込まれたきっかけになった事件を漫画で読みたい」との声に作者は「えー…見たいの…(震え声)」と回答していた。
- ゲスト声優の苗字には両名とも「山」の字が含まれている。
- アバンとエピローグにおけるリモコンが意味するものは劇中では特に語られず視聴者に解釈が委ねられる分、それが暗喩するものを考察するファンもいる。
- 本作は、女性ゲストキャラが2人登場しているが、円井の出番は序盤とエンディングのみでコナンと対面せず、真希はすでに死亡しているので、コナンが女性ゲストキャラと会話するシーンが一度も無かった。
- 『コナン』劇場版でお馴染みの「当て字」が用いられたのは前作と連続で通算19作目となり、本作の時点で歴代作品の3分の2を超えた。
- なお、前作の「当て字」は初めてルビに日本語が用いられひらがなで表記されたが、本作では前々作以前と同じく「ルビの振られる語、あるいはそれから連想される語を英訳してその読みをカタカナで表記したもの」に戻った。
- 『ゼロの執行人』以降、SNSにおいてはその年の劇場版『コナン』を鑑賞することを、作品のテーマやタイトルに関連する語を用いて「△△」、鑑賞したら「△△済み」と表現するムーブメントが自然発生的に起きるようになっているが、本作についてはコナン役の高山みなみ氏のファンミーティングにおける発言の影響か、八ヶ岳に連なる山が舞台ということで「八」の字を本作を鑑賞した回数に変えて表現するファンも少なくない模様。
- または山岳地帯が舞台なので「登頂済み」との表現も使われているようだ(同じ発音で本作にも関わりの深い「盗聴(器)」もかかっている?)。
- 外国人ゲストキャラが登場しなかったのは、同じく櫻井脚本の『ゼロの執行人』以来6作ぶりとなった。
- また、降谷・風見・黒田がメインビジュアルに揃ったのも同作以来。
- 公開日が4月18日となったのは『業火の向日葵』以来9作ぶり4度目。
- 御厨役の武内駿輔氏は1997年9月生まれで、第1作である『時計じかけの摩天楼』公開時はまだ生まれていなかった。
- 公開前年の5月には、青山先生が長野県警本部や関連施設に取材に訪れたことが報道されたほか、コナンと長野県警トリオを描いた直筆の色紙が贈呈された。
- 本作公開年のコナンカフェのコンセプトは「執事喫茶」で、イメージビジュアルでのキャラクターたちはそれらしい格好に扮しているが、前半のメニューは長野県の特産品である蕎麦がほとんどを占めていることから「これはカフェというよりオシャレな蕎麦屋」とネタにされている。
- 長野県民や県内所在の各企業・機関からの本作への注目度は総じて高いと言える。例として三菱電機はティザービジュアルが発表された直後、そこに実際に野辺山宇宙電波観測所に設置されている同社製のパラボラアンテナが描かれていたことから、公式Xアカウントに「これってまさか」などとの文言とともに(劇場版『コナン』の名物と言われることもある)爆発の様子を連想させる絵文字を添えて投稿していた。
- 更に、公開直前に開かれたゲスト声優とのトークショーには当時の県知事と県警本部長も登壇する、公開を迎えてからは県内の映画館が公開初日にほぼ全てのスクリーンを割き幕間に長野県警察官募集CMを打つ、県警本部(県庁)ロビーに本作のポスターや前述の色紙を展示するなど、全県を挙げて本作、ひいては地元を盛り上げようとしている様子がうかがえる。
ただし舞台となっている佐久地域には現在映画館が無い。
- 正式なコラボではないが、『週刊少年ジャンプ』にて連載中のギャグ漫画『僕とロボコ』とも接点がある
(というかあちらが一方的に寄せてきていると言った方が正確なような)。- 『隻眼の残像』公開と同時期に発売された『ロボコ』のコミックス第21巻の表紙が許諾を得た上で『コナン』のコミックス第1巻のそれのパロディとなっているのを始め、これまた『ロボコ』初の劇場版CMでも「大変です御主人様、『ロボコ』の(映画の)公開日があの名探偵の映画と同じ日です!」というセリフを流してその締めには『隻眼の残像』の予告編とフォントまで同じ公開日を表示し、挙句には本作のメインビジュアルを『ロボコ』のキャラクターに置き換えた作者の宮崎周平先生直筆イラストを発表しており、『ロボコ』の公式Xでは『隻眼の残像』の世界最速上映に行った事を報告した。
- なお、『ロボコ』には本作では御厨役の武内駿輔氏も金尾モツオ役を演じており、ロボコ役であるチョコレートプラネットの松尾駿氏もアニメ版『コナン』にゲスト出演の経験があるし、監督の大地丙太郎氏はスピンオフ作品『犯人の犯沢さん』で監督を務め、更には2025年4月からは新浜レオン氏が歌うエンディング曲『Fun!Fun!Fun!』で演出を担当するなど
こう見えてものすごく縁がある。
追記・修正は、何かを思い出したらお願いします。
最終更新:2025年05月19日 17:10