血のバレンタイン(ガンダムSEED)

登録日:2020/02/27 Thu 14:50:00
更新日:2020/03/05 Thu 10:58:08
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アニメ『機動戦士ガンダムSEED』本編前に起きた事件。


概要

C.E.70年、度重なる交渉も決裂とテロによる中断で水泡に帰し、L4の工業コロニー群「プラント」は理事国――事実上の宗主国が構築した「地球連合」と交戦状態に至る。
2月14日にプラント付近で勃発したザフト・地球連合軍間の戦闘は、ザフト優勢で戦局が進んでいた。
その最中、地球連合軍のアガメムノン級宇宙戦艦「ルーズベルト」にブルーコスモス派将校によって独断で持ち込まれていた一発のmk5 戦術核ミサイルメビウスに搭載され発艦、
戦線を抜けた当機はプラントを核ミサイルで攻撃し、この攻撃が多くの市民が住まう農業用コロニーのユニウスセブン*1へ命中してしまった。
これによりユニウスセブンは崩壊、24万3721名もの死者をだす大惨事となった。この被害者の中には、アスラン・ザラの母であるレノア・ザラも含まれている。
この事件により、パトリック・ザラプラント国防委員長を中心とした強硬派の激しい敵意と憎悪は頂点に達し、その感情は何年にも渡ってコーディネイターの間で語り継がれていくこととなる。
なお、地球連合軍は核攻撃を否定し、プラント側の自爆作戦と非難している。


その後

C.E.世界には、ニュートロンジャマーと呼ばれる装置がある。
この装置は起動すると、誘導兵器や遠距離電波通信などを無力化する効果があるが、同時に効果範囲内の自由中性子の運動を阻害する効果も有している。
簡単な話、核によるエネルギー生成や攻撃を無力化する事ができ、しかも元々開発済みだったのだが、この血のバレンタイン事件の発生時点ではまだ投入されていなかった。
しかしこの惨劇によりザフト首脳部は「コロニーという構造物の脆弱さ」への再認識を強いられ、「再度の核攻撃」という事態を恐れ、
プラント付近にばら撒くと同時に地球への実戦投入も加速化(最高評議会承認)させてしまう。

そしてL1で発生した「世界樹」攻防戦での試験投入を経て、地球封じ込めを主目的に4月1日から行われたオペレーション・ウロボロスではこの事件の報復も兼ねて地球全土にニュートロンジャマーを埋設するに至る。
その成果は著しく高く、以後ニュートロンジャマー・キャンセラーを手にするまで地球連合軍は核兵器を用いる事が出来なくなった。
しかし副次的に生じた地球全土のエネルギー危機*2*3*4や通信網の遮断は軍事のみならず地球の民間社会へも甚大なダメージを与え、億単位の飢餓による死者(一説には当時の地球圏全人口の10%にあたる約10億人)を発生させている。

報復の意味もあってプラントも被害予測はしていたのだがここまでの被害を出す意図はなく、むしろ厭戦機運を高め戦争の早期終結を目指す意味合いが強かったという。
しかし、連合の継戦意欲は強く、更に被害が増加する形となった。
なお、連合も戦争準備と共にNJに対応したインフラ整備を行っていたという話も後に出ているため*5、いずれにせよプラントの見込みも色々と甘かったものと思われる。

この「エイプリル・フール・クライシス」により、地球連合加盟国の人々の反プラント・反コーディネイター感情は最高に達し、
血のバレンタイン事件と共に地球連合・プラント間の戦争をより激化させる要因となった。


本編における描写他

本編開始と同時に真っ先にこの事件概要が映された他、アスラン・ザラなどから幾度と無く地球連合軍の非人道的行為を非難する代名詞として語られている。
ユニウスセブンの残骸はL4から漂流して地球付近を漂っているようで、ガンダムSEED序盤には無補給で活動を続けていたアークエンジェルが水の補給を行うべく立ち寄っている。
しかし全く手つかずのまま放棄された残骸の中には、遺体が多く取り残されていた。
また、視察のため訪れていたラクス・クラインが偶発的戦闘によって脱出ポットに乗り避難していたのを、キラ・ヤマトによって回収されたのもこの付近だった。

第一次地球連合・プラント大戦の終結後、停戦条約(ユニウス条約)の締結場所にユニウスセブンが選ばれている。
プラントは開戦目的の一つであった自治権を得た一方、不利な条件を呑まされた部分も多い条約だったが、締結の場所としてユニウスセブンが選ばれた事が承認に至る一因となっている。
このことが如何にこの事件が戦争に与えた影響が大きかったかを物語っているだろう。

続編『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』では、ユニウスセブンの軌道が急激に変化しているのが本編序盤で描写されている。
その後、ナチュラル殲滅を志す強硬・過激派の旧ザラ派によるユニウスセブン落下事件が発生。
意図的に周回軌道を変更し地球への落下が免れない状況に陥ったため、プラントは部隊を派遣してこれを阻止しようとするも失敗。
破片が多数地球へ落下し、膨大な規模の被害を齎した。
そしてこの当時にも戦火の要因は複数あるものの、この事件がナチュラルとコーディネイターの憎悪を煽る最大の要因となり、再び世界規模の戦乱が巻き起こることに繋がった*6
なお、テロの実行犯たちは強硬派や過激派に属するのは勿論、血のバレンタイン事件によって家族を失った者たちで構成されていた。


外部作品での扱い

ゲーム『スーパーロボット大戦シリーズ』では、無印SEEDが参戦した『第3次α』『J』『W』で再現。
いずれの作品でも事件そのものがSEEDの物語の根底に関わる事もあってか、
「自軍部隊などが防ごうとするも他勢力の妨害に遭い、結局事件発生に至ってしまう」という扱いに留まっている。

また、事件後にザフトが行ったニュートロンジャマーによる報復については、
『第3次α』では核融合技術の普及などといった原作とは異なるエネルギー事情の都合で実行に移されず、
『W』では日本国内に限り光子力エネルギーゲッター線が民生に開放されるという形で事なきを得ている。


余談

核ミサイルを持ち込んだブルーコスモス派将校の名は本編で明かされることはなかったが、漫画版『機動戦士ガンダムSEED Re』では、
ムルタ・アズラエルと親密な関係にあった地球連合軍上級将校のウィリアム・サザーランド大佐が持ち込んだとされている。
サザーランドは当時「ルーズベルト」の艦長を務めており、核ミサイルの持ち込みも容易だった事が推測される。
サザーランド自身はSEED本編にも登場しており、反コーディネイター思想からコーディネイターが乗り組んだアークエンジェル及びそのクルーを快く思わず、
孤立無援の状態に置いた責任を棚に上げストライクガンダム喪失の責任を糾弾するなど、地球連合軍ブルーコスモス派の代名詞的な存在として描かれている。



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