血のバレンタイン(ガンダムSEED)

登録日:2020/02/27 Thu 14:50:00
更新日:2025/01/26 Sun 03:22:07
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我らは忘れない。あの血のバレンタイン、ユニウスセブンの悲劇を!



血のバレンタインとは『機動戦士ガンダムSEEDシリーズ』の舞台となるコズミック・イラ(C.E.)の世界で起きた事件。
事件が2月14日に起きたためこの名で呼ばれる事となった。


目次





概要


『SEED』本編開始時期であるC.E.71の1月から約11か月前、C.E.70の2月に起きた地球連合軍によるプラントの農業コロニー「ユニウスセブン」に対する攻撃事件を指す。


『SEED』本編では第1次連合・プラント大戦勃発の直接の原因のようにも語られているが、後の年表では事件直前のC.E.70年2月11日に地球連合が宣戦布告したとされている。
そのため正確には開戦の原因ではないが、戦争が泥沼化、延いては絶滅戦争化した原因であることは間違いない。

いずれにしろプラントと地球の対立をより決定的にした一件であったことは確かであり、作中でもこの出来事は衝撃的な大事件として扱われている。



事件までの流れ


C.E.44に完成したL5宙域のコロニー群「プラント」はコーディネイターの居住地兼大規模生産基地として発展を遂げていた。
しかし、当初からコロニー建設に出資した地球の一部国家からなる理事国(大西洋連邦、ユーラシア連邦、東アジア共和国)は、事実上の宗主国としてプラントから継続して利益を得るため、その運営をコントロールしようと画策。
そのために宇宙空間での生存に直結する食料生産を規制し、大部分を理事国からの輸入に頼らざるを得ないよう取り決めていた。

このことはプラント内から大きな不満を呼び、「黄道同盟」……後の「Z.A.F.T(ザフト)」結成の一因にもなる。


やがて、C.E.68にシーゲル・クラインが最高評議会議長に選出されるとザフトが本格的にプラント内での指導力を発揮し、食料供給路を拡充すべく南アメリカ合衆国・大洋州連合との間で独自に食料輸入の取引を行った。
しかし、これを察知した理事国は自国からの食料輸出を制限したうえで、駐留軍を用いてプラントの輸送船団を撃沈するという事件(マンデルブロー号事件)が起こった。
そして、食料供給が滞る中C.E.69にシーゲルの指示でユニウス市7~10区のコロニーが農業生産用に改装され、プラント内での食料生産が開始される。
この動きに再び理事国側は反発し駐留宇宙軍による威嚇行動に出るが、初めて実戦投入されたザフトのモビルスーツ(MS)部隊に翻弄され、結局宙域から追い立てられてしまった。

その後、プラントはかねてからの悲願だった自治権と貿易自主権の獲得を訴えたが、理事国は頑として譲らず、プラントも地球への輸出停止のカードを切るも結局互いに歩み寄りも果たせず時間が過ぎていった。


そしてC.E.70、度重なる交渉の末に国連からの呼びかけで月面都市コペルニクスでの会議が開かれることになるが、これを狙った爆弾テロにより国連首脳陣が全滅(コペルニクスの悲劇)、会議自体が水泡に帰す。
しかも、理事国代表だった大西洋連邦はすぐさま国連に代わる国際組織として「地球連合」設立を主導すると同時にテロをプラントの仕業と主張し、ナチュラルへの宣戦布告であると宣言。
そのまま再編されたばかりの地球連合軍がプラントへ向けて侵攻を開始する。

……そしてこの時出撃したアガメムノン級宇宙戦艦の一隻「ルーズベルト」には、ブルーコスモス派将校の独断で持ち出された一発のMk5 核弾頭ミサイルが密かに積み込まれていた……



事件発生


2月14日、プラント付近に到達した地球連合軍艦隊とザフト軍部隊の間で戦闘が勃発。
戦闘自体はMS隊の活躍もあってザフト優勢のまま進んでいた。

しかし戦闘中、先述のルーズベルトからmk5 戦術核ミサイルを搭載したMAメビウス勝手に発艦。
戦線を抜けたメビウスはプラント群へと接近後、核ミサイルを発射する。
そしてこのミサイルが改装されていた農業用コロニーの一基・ユニウスセブンの中央部に着弾。
核爆発の激しい衝撃を中枢に受けたユニウスセブンはその天秤型構造体を維持出来なくなり、各部に巨大な亀裂が生じるなどして一気にコロニー全体が崩壊。
これに伴い内部の空気は流出し重力バランス、建造物も崩れるなど、内部空間の環境は生身の人間では生存不可能な状態となった。

結果、当時コロニー内にいた24万3721名もの住人が死亡する大惨事となった。
この時亡くなった人々の殆どは子供を含む民間の非戦闘員であり、その中にはアスラン・ザラの母であるレノア・ザラも含まれていた。

連合軍がこのような凶行に及んだのは「食料供給源を断つことでプラントに即時降伏を迫るため」とされるが、核ミサイルを使っての民間人の大量虐殺というあまりに非人道的で直接的な行動に出た根本原因が軍内部のブルーコスモスによる暴走があったことは間違いない。


そしてこの大惨事はその衝撃と共に瞬く間に世界中へ伝えられることになった。

事件は当然プラントに大きな衝撃と怒りを呼んだ。
パトリック・ザラ国防委員長を中心とした強硬派の激しい敵意と憎悪は頂点に達し、元々交渉による解決を目指していたシーゲルもまた死者の国葬と共に独立宣言と徹底抗戦の意思を表明し、地球連合との対立姿勢を明確にした*1
一方、地球連合軍は核攻撃の事実そのものを否定し、それどころか「ユニウスセブンの崩壊はプラント側の自爆作戦である」と主張し非難を浴びせた。
しかし、世間ではこの主張を信じる者は殆どおらず、当の連合軍内部からもブルーコスモスによる凶行には非難の声が上がった。



その後


C.E.世界には、ニュートロンジャマー(NJ)と呼ばれる装置がある。
この装置は起動すると、誘導兵器や遠距離電波通信などを無力化する効果があるが、同時に効果範囲内の自由中性子の運動を阻害する効果も有している。
簡単な話、核によるエネルギー生成や攻撃を無力化する事ができ、しかも元々開発済みだったのだが、この血のバレンタイン事件の発生時点ではまだ投入されていなかった。
しかしこの惨劇によりザフト首脳部は「コロニーという構造物の脆弱さ」への再認識を強いられ、「再度の核攻撃」という事態を恐れ、
プラント付近にばら撒くと同時に地球への実戦投入も加速化(最高評議会承認)させてしまう。

そして、L1で発生した「世界樹」攻防戦での試験投入を経て、地球封じ込めを主目的に4月1日から行われたオペレーション・ウロボロスではこの事件の報復も兼ねて地球全土にニュートロンジャマーを埋設するに至る。
その成果は凄まじく、以後ニュートロンジャマー・キャンセラーを手にするまで地球連合軍は核兵器を用いる事が出来なくなった。

しかも、NJの影響はそれだけに留まらなかった。というのも、C.E.の地球では既に化石燃料がほぼ枯渇しており、多くの国が原子力発電に頼っていたが、NJによって発電所の多くが使い物にならなくなってしまったのである。また、通信網の遮断は軍事のみならず地球の民間社会へも甚大なダメージを与えた。

一方で、オーブは地熱発電が主体だったため影響は小さく、ウズミによる中立宣言で戦争そのものの影響も当初は少なかった。プラントは元が「連合からの出資で研究用から大規模生産用へ改装をされたコロニー群」という建造経緯から太陽光発電で必要なエネルギーを賄えており、戦争前にはブルーコスモスのテロで一時エネルギー危機に陥っていたりはするものの、NJによる悪影響はほぼ無かった。

このように被害が小さかった国や地域もあったがそれもごく一部であり、NJによって地球全土が深刻なエネルギー不足に陥った結果、億単位の飢餓による死者(一説には当時の地球圏全人口の10%にあたる約10億人)を発生させている。

報復の意味もあってプラントも被害予測はしていたのだが、ここまでの被害を出す意図はなく、むしろ厭戦機運を高め戦争の早期終結を目指す意味合いが強かったという。

しかし、連合の継戦意欲は強く、戦争継続により上記以上の甚大な被害となる形となっていく。
なお、連合も戦争準備と共にNJに対応したインフラ整備を行っていたという話も後に出ているため*2、いずれにせよプラントの見込みも色々と甘かったものと思われる。
後に明かされたロゴス(の中の非ブルーコスモス)もあくまでも利益のために戦争主導していたのだから、インフラ整備の重要性が分かっていない方が不思議である。それほどブルーコスモスの勢いが強かったということかもしれないが。

このNジャマー投下による一連のエネルギー不足による被害は「エイプリル・フール・クライシス」と呼ばれ、地球連合加盟国の人々の反プラント・反コーディネイター感情は最高潮に達した。
こうして血のバレンタイン事件にはじまった惨劇はプラント・地球連合双方に憎悪の種を撒き、戦争をより激化させる要因となった。


余談だが地球へのNJ投下決定前に核攻撃での報復提案もあったのだが、これによって地球がプラントにさらなる核攻撃を仕掛けてくれば、そのまま核戦争に突入して双方の滅亡に繋がりかねなかったため却下されている。
これらのことから、連合所属だったアークエンジェルクルーですらも、NJが地球に投下されたことについて「戦争で核が飛び交うよりはマシだったんじゃないか」と評している。*3

確かに、NJ投下のよる人的被害は大きかった。血のバレンタインでの犠牲者20万人程度に対し、こちらは10億人が犠牲になった。
しかし、核攻撃の報復を行なった際の被害がNJ投下より小さかったとしても、その後被害が拡大していたことは、上記の経緯から容易に想像ができる。そのため、「被害規模を考えると、NJより核攻撃のほうが良かったのではないか」という意見は概ね否定されている。


本編中の描写


C.E.71(『SEED』)

本編開始と同時にこの事件概要が断片的に映された他、実際に母を亡くしているアスランなどから幾度と無く地球連合軍の非人道的行為の代名詞として語られ、非難されている。

崩壊したユニウスセブンの残骸はL5から漂流し、そのまま地球の引力圏に引かれ他の大量の宇宙ゴミと共にデブリ帯の一部となっていた。
なお、デブリとしては超巨大ではあるが、百年単位で安定軌道にあると分析が示され、直近での危険は無いと判断されていた。


PHASE-07「宇宙(そら)の傷跡」では、ヘリオポリスから無補給で航行し水などの物資が不足していたアークエンジェルが、ムウの発案で航行不能になっている艦艇などからの物資補給を行おうとデブリ帯を訪れた際、偶然この残骸を発見。
崩壊しつつも全長数キロ以上の残骸はコロニーとしての面影を残しており、ほとんど手つかずのまま放棄された内部には、生活の痕跡と共に事件の犠牲者たちの遺体が多く取り残されていた。
アークエンジェルクルーたちはその悲惨な光景に大きな衝撃を受け*4、犠牲者たちに弔意を示したうえで内部に残された水(氷)を艦に搬入していくことなった。

また、この少し前に事件から一年となることを受けプラントからラクス・クラインを代表とする追悼慰霊団が慰霊式典準備のため民間シャトル「シルバーウィンド」でこのユニウスセブンの残骸を訪れていたが、遭遇した地球連合軍のドレイク級護衛艦にザフト艦と誤認され撃沈されてしまっていた。
そして、消息不明となったシルバーウィンド捜索のため同宙域を訪れていたザフト軍の強行偵察型ジンキラ・ヤマトストライクによって撃墜され*5、直後キラが発見・回収した脱出ポッドからラクスが救助されることになった。



そして、物語終盤にはザフトから流出したNジャマーキャンセラーがブルーコスモス盟主ムルタ・アズラエル主導で増産され核の脅威が再来。*6*7
大量生産された核ミサイルを搭載したプラントへの核攻撃の為の特務部隊「ピースメーカー隊は宇宙要塞ボアズ攻略に用いられ、続く第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦でもプラントに対して放たれ血のバレンタインの惨劇が再現されそうになった。

第一次地球連合・プラント大戦の終結後、停戦条約の締結場所にユニウスセブン残骸が選ばれ、同条約は「ユニウス条約」と呼ばれるようになった。
プラントは開戦目的の一つであった自治権を得た一方、不利な条件を呑まされた部分も多い条約だったが、締結の場所としてユニウスセブンが選ばれた事が承認に至る一因となっている。
このことが如何にこの事件が戦争に与えた影響が大きかったかを物語っているだろう。


C.E.73(『SEED DESTINY』)

ユニウスセブン残骸の軌道が急激に変化しているのが本編序盤で描写される。
その後、その動きがナチュラル殲滅を志す強硬・過激派の旧ザラ派によるユニウスセブンの地球落下工作であったことが判明。
意図的に周回軌道を変更し地球への落下が免れない状況に陥ったため、プラントは部隊を派遣し残骸の破砕作業にあたらせるが、待ち構えていたテログループや乱入してきたファントムペイン部隊の妨害に遭い、目標を達成し切れぬまま地球落下を許してしまった。

結果、砕け散った大小の無数の破片が地球各地へ落下し、膨大な規模の被害を齎し、後にこれはブレイク・ザ・ワールド事件と呼ばれた。


そして、この当時にも戦火の要因は複数あるものの、この事件がナチュラルとコーディネイターの憎悪を煽る最大の要因となり、再び世界規模の戦乱が巻き起こることに繋がった*8
なお、テロの実行犯たちは強硬派や過激派に属するのは勿論、血のバレンタイン事件によって家族を失った者たちで構成されていた。



余談


血のバレンタインを引き起こした核ミサイルを持ち込んだブルーコスモス派将校の素性はTV本編では明かされていない。
一方、漫画『機動戦士ガンダムSEED Re』では、血のバレンタイン当時「ルーズベルト」艦長はブルーコスモスシンパのウィリアム・サザーランド大佐であり、核攻撃は彼の主導したものだったとされている。
サザーランド自身は『SEED』本編にも連合軍最高司令部統合作戦室所属として登場。
反コーディネイター思想からコーディネイターが乗り組んだアークエンジェル及びそのクルーを快く思わず、
孤立無援の状態に置いた責任を棚に上げ、ストライク喪失の責任を糾弾。
更にはブルーコスモスの盟主であるムルタ・アズラエルに軍本来の在り方を逸脱した指揮権を与えるなど、地球連合軍ブルーコスモス派の代名詞的な存在として描かれた。

終盤ではアガムメノン級ドゥーリットルの艦長としてプラント本国攻撃を目的としたエルビス作戦に参加。
核攻撃部隊「ピースメーカー」を指揮してザフトの防衛衛星ボアズを壊滅させ、続いてプラント本国も核攻撃しようとするが、
発射した核ミサイルをフリーダムジャスティスに全弾迎撃されてしまい、最後はイザーク・ジュール駆るデュエルの接近を許し、グレネードでドゥーリットルを撃沈され戦死、ピースメーカー隊も壊滅した。



外部作品での扱い


ゲームスーパーロボット大戦シリーズ』では、無印SEEDが参戦した『第3次α』『J』『W』で再現。
いずれの作品でも事件そのものが『SEED』の物語の根底に関わる事もあってか、基本的には「自軍部隊などが防ごうとするも他勢力の妨害に遭い、結局事件発生に至ってしまう」という扱いになる事が多いが、
『J』では『機動戦艦ナデシコ』の再現で自部隊がボソンジャンプでタイムスリップしていた間に発生するという関わる余地すらない展開になっている。
あと、『W』ではこともあろうに、血のバレンタインが起こるシナリオタイトルが「そして、終わらない明日へ」だったりする。

また、事件後にザフトが行ったニュートロンジャマーによる報復については、
『第3次α』では核融合技術の普及などといった原作とは異なるエネルギー事情の都合でニュートロンジャマーも「核兵器を停止させるための装置」という設定になった事で撃ち込む意味がなくなっており、
『W』では日本国内に限り光子力エネルギーゲッター線が民生に開放されるという形で事なきを得ている。
ちなみに『W』に参戦したゲッターロボは東映版なので、もし原作の設定のままの場合、核ミサイルを撃墜しようとしたら超高濃度の殺人放射線が周囲にばらまかれまくって大惨事になっていた可能性がある*9

なお、事もあろうにバレンタインに起きた事件という事で、『CC』ではアスランは「バレンタインデーに騒ぐ気になれない」と未だトラウマから抜け出せていない事を明かしている。

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最終更新:2025年01月26日 03:22

*1 ただし、徹底抗戦は地球連合加盟国に限り、その他の国には優先的な物資提供を行うと共に中立を呼びかけ、南アメリカ合衆国・大洋州連合などがこれを受諾。すると地球連合は南アメリカ合衆国に侵攻し武力併合を行い、これに反発した大洋州連合は地球連合との対立姿勢を見せ親プラント国となっていった。

*2 この場合、効率の良い太陽光発電なども開発されていたのだがNJ投下前はそこまで普及しておらず、更に投下からの被害は一瞬で全地球規模に広がるものだったのに対して、整備は一瞬で出来る訳がないのであまり間に合わなかったものと思われる。

*3 詳細はこちらの項目に譲るが、そもそもコーディネイターは、かつての地球で起きた核戦争によって遺伝子が傷つき、健康な子孫を残せなくなった人々を助けるための技術を応用して誕生したという経緯を持っている。そのため、核兵器がどれほど恐ろしいものかを、この世界で地球に住む人々はよく知っていた。

*4 ヘリオポリス崩壊という事件を目の当たりにしてから間もないクルーたちにとっては余計に衝撃が大きかった。

*5 偵察型ジンに運悪く発見されてしまったカズイとダリダとミストラル、ひいてはアークエンジェルを守るための仕方ない行為であったものの、「悲劇の地で死者への哀悼を示していながら直後に人を殺めてしまった」という事実は、キラにどうしようもない葛藤と涙をもたらすことになった。

*6 連合上層部としてもNJCを地球に供給しエイプリル・フール・クライシスから続くエネルギー問題解決を優先したい部分はあったが、プラント攻撃に逸るアズラエルらブルーコスモス派の意向が最優先され、結局増産されたNJCは核ミサイルへの使用が強行された。

*7 『SEED』本編終盤に描かれた連合上層部の会議中では、地球のエネルギー問題解決を二の次にするNJCの利用方針や再度の核攻撃自体を渋る出席者らに対しアズラエルが「核なんて前にも撃ったんだから今更使用を躊躇することない」といった発言をしている。しかし、これには一部出席者から「あれ(血のバレンタイン)は君たち(ブルーコスモス)が勝手に…」と戦乱の泥沼化を招いた一連のブルーコスモスの行動に不満を示す声も出ていた。

*8 元々ブルーコスモスやザフトの秘密部隊等も暗躍してはいたのだが、それらは基本秘密作戦・(実質)軍事施設への攻撃などが主な範疇であり、ここまでのことをされたら大っぴらに戦争する大義名分を得たも当然である。

*9 東映版のゲッター線はウランを通過するとあらゆる生物を殺す超高濃度の殺人放射線に変化し、最悪核爆発を起こすという設定。原作漫画版(『W』における真ゲッターロボは本作が出典でゲッターGは影も形も出てこない)であれば、核ミサイルを丸ごと真ゲッターが吸収して無力化しているので何ら問題ない