炸裂弾(るろうに剣心)

登録日:2021/10/05 Tue 05:43:58
更新日:2023/12/02 Sat 15:40:49
所要時間:約 10 分で読めます





赤報隊で培った鉄砲火器の知識を元に造った

炸裂弾だ


『炸裂弾』とは、漫画・アニメ『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』に登場する武器/兵器であり、作中に登場した武器でも最強候補の破壊力を持つ。



●目次

餞別の概要だ護身用に見ていけ

東京編(旧式)

制作者は、かつて赤報隊で相楽左之助と共に活動していた絵師(後に新聞屋へ転向)の月岡津南
曰く「得意な火薬と爆弾製造技術を活かして制作した」小型手榴弾である。

最初に造られたものは砲丸ほどの大きさの球形で、自宅の押し入れに無造作に詰め込まれていた
一介の絵師が部屋に多数の凶器を溜め込んでいたという衝撃的なシーンを経て、親友の左之助に「共に明治政府への復讐をしよう」と持ちかける。
が、余りにも唐突かつ無造作過ぎてシュールに見えるのは秘密。
左之助としても、政府によって赤報隊や仲間たちを「ニセ官軍」呼ばわりされた挙げ句、リーダーであり恩師である人を処刑され、晒し首にされた姿を目撃しているわけで、
津南の気持ちは痛いほど理解しており、彼は復讐に賛同。計画に協力することになる。
とはいえこの手の革命は失敗すると具体例を上げたり等心の奥底では失敗を確信しており、ある意味では親友に現実を知らしめる為に協力している形となっている。

そして新月の夜に内務省の敷地に侵入、テロは途中までは上手くいったものの、それを良しとしない主人公緋村剣心が立ちふさがる。
圧倒的実力で剣心は二人を止め、また左之助も恨みはありながらも既に新しい時代への希望を手に入れていたので、津南を腹パンで気絶させテロは結果的に失敗に終わった。
そして津南の所持していた炸裂弾も全て回収され、どこか人目の付かない所に埋められた
た、多分説明してないだけでちゃんと水に浸しておいたんだよ!うん!

そもそも水没させないと不発弾や地雷になるし、纏めて埋めてたら開拓で爆発した途端に東京消し飛ぶしね。

津南はそれでも政府への復讐心を抱いていたが、左之助の言葉により自分が間違っていたことを自覚した。
だが赤報隊の扱いを始めとした政府も正しいとは思えない。
そこで彼は武力による報復ではなく、もう一つの特技「絵」を使い、新聞屋として政府を糾弾し改革を促す道を選んだのだった。
余談だが新アニメ版のOPではレギュラー4人の絵を彼が書いたことになっている。普通にアニメ塗りなので「先生デジタルに目覚めたんスか」等とネタにされているが。

旧アニメ版ではこのくだりの展開がだいぶ変わっており、テロ中に剣心と左之助が対決、
敗れた左之助の呟きと自分の罵声に対しても動じない剣心の姿に津南が自ら改心し炸裂弾を埋めている。

ちなみにこの時の炸裂弾は「丸い爆弾に導火線が付いた」単純なデザインであった。


京都編(新式)

一応左之助の親友であるのだが、一話限りのゲストキャラだった為か「押入れの中に爆弾押し込んでる人」「根暗」以外印象に残らなかった津南だったが京都編に入り再登場。
友情は健在であり、京都に向かい志々雄真実に立ち向かう左之助に京都までの路銀......とより小型となった新型炸裂弾をプレゼントする。
あの時捨てたはずの爆弾をまだ作ってた上に改良までされていた事に怒る左之助。
そんな彼に津南はあくまで「護身用」と苦しい主張をする。*1
このシーンはギャグテイストに書かれており、2人とも本気で口喧嘩しているわけではないのだろう。実際左之助は親友の爆弾をちゃんと受け取っている。
だが炸裂弾は徒手空拳を中心に戦う左之助との戦闘スタイルにも合わないし、そもそも「るろ剣」自体が剣による白兵戦が主体の作品。
爆弾は本当に護身用にしか使われないか、何かを破壊するか、もしくは忘れ去られるかと読者は予測しただろう。*2
ちなみにデザインも導火線が無いなんか近未来的なものとなっている。


だが見た目に反してこの炸裂弾、充分にオーパーツの類であった。
活躍したのは志々雄自慢の大型鋼鉄艦「煉獄」が登場したシーン。
煉獄の登場は、前述の通り刀で切り合いし「飛び道具は邪道」と言うスタンスだった漫画で唐突に存在した「兵器」であった。
その衝撃はかなりのもので、同時に「これにどうやって勝つんだ」と不安がらせるに十分な存在だった。

そこで活躍したのが左之助…が持っていた炸裂弾
剣心と斎藤が敵の目を引いている間、左之助は海に浮かぶ煉獄が偽装の為に纏っていた残骸を足場に煉獄に向かって水面を疾走
迎撃に放たれたガトリング砲を二重の極みの応用で防ぎ、炸裂弾合計3つを煉獄に投げつける。
それを見た敵方の軍師の方治は「たかが手投げ式の炸裂弾、外装は壊せても内部までは破損せん!」とたった一コマで高速でめっちゃフラグを立て侮るが、炸裂弾は着弾後激しく爆発し戦艦の装甲をぶち抜いた
偶然その装甲は機関部に直撃し大破、スクリューシャフトが折れる、大規模な浸水と火災が発生という多重オーバーキルを受け、手のつけようがなくそのまま煉獄は沈んだ。
僅か3発で大型軍艦を撃沈させるという大金星を挙げたのだ。


(カツ)のヤロウ
こんな危険物俺に持たせてたのかよ
どこが護身用だオイ


爆発の衝撃は使った本人もドン引きするほど激しかったが、離れた場所にいた左之助はひっくり返り海に沈んだものの無傷であった。丈夫な男である。

この煉獄に全財力の5分の3を注ぎ込んだと豪語する志々雄は寸前まで左之助の事を認識すらしておらず*3 、側近の方治ですら「剣心や斎藤に比べると遥かに劣る戦力」と軽視していた。*4
そんなよく知らない、取るに足らない筈だった男にこれを沈められた為、あの常に自信に溢れる男が「自分の隙が最大の敗因」と認め、
以降は左之助を目の敵にし彼と戦う事になった悠久山安慈「頭蓋骨を引き抜いて俺の所へ持って来い!!」と要求する程だった。
方治も自らが苦心の果てにようやく手にした煉獄をどこぞの馬の骨とも知れない男にあっさり産廃にされた事に凄まじい憤りを抱き、
旧アニメ版では志々雄との決闘時左之助に「煉獄焼失の張本人、相楽左之助! 貴様もこの闘場より生きては返さんぞ!!」と言い放っている。

余談だが剣心と斎藤は「斬鉄」可能(少なくとも剣心は海中では不可能だが)なので、逆に二人を囮と判断したとしてもすんなり煉獄を沈められていた可能性がある。


ツッコミ所

おわかりだろうか?この炸裂弾、凄過ぎである。
まず手のひら大、片手で3個掴んで放り投げられるサイズと重量にもかかわらず爆発の威力と範囲が桁外れで、しかも着火する必要も無く爆発した。(衝撃に反応するタイプだったのだろうか?)
更に前述の通り左之助は海の上を走っており、上着に入れてたとはいえ普通なら濡れる。

また無造作に投げ渡したり適当に保管していても故障せず、暴発しないという近代兵器も真っ青なシロモノでもある。

津南のテロに使用した旧式の炸裂弾も押入れに無造作に詰め込まれており、左之助に見せるために襖を開けた際いくつか床に転げ落ちるくらい雑な扱われ方をしていた。
どの程度の期間保管されていたのかは不明だが、津南の台詞から年単位で保管されているものも多くあると見て良いだろう。
危険物取扱者なんかを勉強したならよく分かると思うが、普通そんな事したら湿気でオジャンになるか、材質によっては自然発火して長屋もろともふっ飛ぶおそれすらある。
津南曰くアシがつかないよう慎重に作ったとの事なので大っぴらに保存設備やらを設けられなかったのかもしれないが、それにしてももう少し丁寧に扱っても良いと思う。

とはいえあの大戦艦を沈めてしまったせいで、後の展開でも「これがあればいいんじゃね?」と言われる事がたまにある。
例えば十本刀の爆薬で空を飛ぶあいつに持たせたらやばいことになるとか。
雪代縁が「煉獄級の艦隊10隻用意して東京を火の海にしてもいい」と脅迫したが「じゃあ炸裂弾を30個用意すればいけるな!」とか言われてしまう。
本来は絶望的な台詞である煉獄10隻もなんかギャグに聞こえてしまう弊害が生まれてしまったのである。

尤も炸裂弾だけじゃなく船員の目を引く囮も10倍は欲しいし左之助レベルのピッチャーも10人くらい必要であり、作中にそれをこなせる人数の剣心側の人間は居ない。
単体ならまだしも10隻もの艦隊相手となると易々とそんな手段をとれる余裕を与えてくれる訳がなく...
そもそも煉獄の件は出航さえせずほぼ接岸状態だった為人員を直接送り込めたのであって、
艦砲射撃をする距離から艦隊で迫られては近づくことさえ無理である(船で近づいたところで良い的になるだけ)...と、冷静に考えればやはり絶望的な宣告なのは間違いではない。

他にも左之助が津南に頼んで大量に作ってもらい、小型化技術を駆使して武田観柳のガトリングの銃弾に使えば…とか言われることもある。
だが津南自身は最初のテロ失敗以降は「武力に頼らない戦い」をする事を決意している為、そんな彼に爆弾を作らせるのは鬼畜以外の何者でもない。
左之助に渡した爆弾も、護身用、もしくは人の力では手に余る戦艦を鎮めるだけの応急的な物でしかない。
そしてこのるろうに剣心は、飛び道具等が通じない達人がごまんといるため、仮に大量に爆弾を投げ込んでも全て無効化されるのがオチだろう。
実際に剣心もアニメ版では炸裂弾の爆発を周りを真空にすることで無効化している*5
煉獄が3発で撃沈した理由は炸裂弾の威力の高さも原因であるが
「どこの馬の骨とも分からない男が十本刀の三強の破壊技とオーパーツ持って突撃してきた」という最大級の初見殺しが刺さった為という事を忘れてはならない。


ちなみに左之助本人もその爆弾は煉獄を沈めた3つより多く貰っているため、作中ではまだ残りを所持している。*6
そして特に語られてないが、志々雄からすればこんなもんまだ持ってるかもしれない左之助は下手に無限刃で炎浴びせようものなら炸裂弾が爆発して無理心中するしれないという相性最悪の相手なので、
剣心、斎藤、蒼紫に対しては全員無限刃で炎喰らわせてるのに、左之助だけはアニメ版のオリジナル場面含めて拳一つで倒している
左之助が刀使うまでもない相手というわけではないのだ*7
とはいえ原作ではその後余りにもオーバーパワー過ぎるからか使用され無くなったが、アニメオリジナルの島原編にて再登場。
三発以外に残り弾として登場し、左之助からロレンゾ庄三に手渡されロレンゾが最終決戦で使用、
島原編のラスボスである傀王と(その従者を巻き添え)にして爆死させ討ち取るというこれまた大金星を上げている。
遂に死人が出てしまった*8

因みに津南自身もその後のアニメオリジナルであり、アニメ「るろうに剣心」の最終編となる風水編にて、
東京を破壊せんとする風水師一派の陰謀をいち早く見抜いて左之助と行動を起こし、
明治政府の警察庁トップであり薩摩系志士*9でもある川路利良と共闘し、風水師一派の手から東京と市民を護るという、
原作のぽっと出ぶりからすれば大出世レベルの活躍を果たした。

他の作品でも似たような事例がある。
機動戦士ガンダム』第14話で大型ロボットが使う 口径が120mmの ザク・マシンガンを受けようが、そのザク至近距離で大爆発しようが無傷なガンダムの装甲を
歩兵が運搬可能なサイズの爆弾を取り付けて破壊しようとしたことがあり、しかも取り付けられたガンダムの側も起爆したらガンダムが破壊されるという認識で解除を試みていた。
つまりこの小型爆弾を着弾したら爆発する設定にして発射すれば 人間が携行できるサイズのランチャーでガンダムを粉砕できる のだが
決死の覚悟で接近して取り付けて逃走していたし、この話以降にこの爆弾をガンダムに使おうとしたことはない。

余談

何故、小型炸裂弾がここまでの威力を発揮したのかといえば、作者の和月と愉快なアシスタント達が煉獄の作画にうんざりした為
早々に煉獄を退場させる為に炸裂弾を使うことを思いつき、煉獄を沈められる威力にまで強化したというのが真相である。
ちなみにアシスタントの一人は後に自分の連載作品で艦を大量に描く羽目になるという因果なことになった。

とはいえ流石にそれじゃ酷すぎる為か、後に語られた本編の前日譚にて煉獄を爆破した小型爆弾にも理由がつけられた。

絵師としても活躍している津南はある日、とある組織から戦艦の絵を描くように依頼される。
戦艦を持つような組織は明治政府しか考えられない為*10、政府への報復を考える彼は、巨大戦艦を破壊するために海外の文献を参考に新型の炸裂弾を作り上げていたわけである。
「海外の文献」の詳しい内容は不明。アメリカとかイギリス由来かもしれない
すなわちは対戦艦の炸裂弾、もしくは煉獄メタ

言ってしまえば後付であるが、津南の調査能力と政府に対する執念、そして爆弾作成の腕前から考えて不自然な描写ではない。

その後も新型戦艦、後の煉獄の所在は津南も気になってた為か、再び炸裂弾を自作
津南は作中改心して新聞屋に転向してほどなく志々雄の存在を掴んでいたので、煉獄が志々雄の手に渡った事まで把握していた可能性も有り得なくはなく
それならば対抗手段として製作したとしても不思議ではない。*11
上記の通り左之助に対戦艦用新型炸裂弾を渡すシーンにつながるのである。
以上の理由で、煉獄はたった3つの爆弾で轟沈したのである。
そんな危険なものを左之助の手に落とすように渡す津南よ。

縁「煉獄級の艦隊10隻で項目を荒らしてやる(*^_^*)」
剣心「ならば拙者達は炸裂弾30個で追記修正するでござる(*´ω`*)゚」
縁「('・ω・') 」

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最終更新:2023年12月02日 15:40

*1 後に判明することだが津南はこの爆弾を対戦艦用に特化させており、ますます護身用という言い分が怪しくなってしまうが、「(戦艦と戦うための)護身用」という可能性もなくはない。

*2 作者としても津南のその後を書くついでに「何かの役に立つ」くらいの気持ちで持たせたらしい。

*3 剣心や斎藤の脇に居る左之助に対して「知らんのが1人混ざってるな」と興味なさげで、方治の説明を聞いても「要するにただの雑魚か」と流してそれっきりであった。

*4 とはいえ囮に引っかからずガトリング砲で迎撃させるなど打てる手は打っている。しかし左之助が生身でガトリング砲を防ぐような人間だとまでは想定しようもなく、単純に不運だったと言うべきであろう

*5 後半では導火線の長さを調節し剣心が抜刀する前に爆発させていたが、それでも普通に回避され切っ先を突きつけられた。

*6 煉獄爆破後に海にダイブしてしまったのでそれでオジャンになった可能性も高いが

*7 志々雄も、左之助が安慈の奥義である二重の極みを使いこなしたのを見て『ただの雑魚じゃねぇ!』と見識を改め、アジトに攻め入った精鋭である剣心と斎藤に並んで挑んでいる事からそこまで軽んじてはいない。

*8 やむを得なかったとはいえ、この事実は庄三の心に暗い影を落としてしまい、彼は生涯殺人の罪を償う道を探すと左之助に打ち明ける事になってしまった。

*9 相楽総三のバックでもあり、同時に彼の処刑命令も出した

*10 ただ実際は別の組織であった

*11 ちなみに前日談小説で津南は改心後に初めて新聞屋を始めたのではなく、新聞屋をやっていたところ片手間に描いた浮世絵が売れに売れたため、その資金を使ってテロリストに転向したとされているので長い期間かけて志々雄の事を調べていた可能性もある。