SCP-2020-JP

登録日:2022/01/30 Sun 12:39:28
更新日:2025/04/11 Fri 01:52:08
所要時間:約 38 分で読めます





以下の資料は歴史的資料としてのみの掲載です。





監督評議会による指令

以下のファイルはレベル4機密対象です

==要LEVEL4クリアランス==



……と思いきや、現在は機密指定が 解除されているようだ。詳細は下部を参照、とのこと。
現在は、財団職員であればだれでも報告書を見ることができる。

SCP-2020-JPとは、怪異創作コミュニティサイト「SCP Foundation」に登場するオブジェクトの一つである。
項目名はまだ伏せておく。また、JPのコードが示す通り日本支部の管轄にある。
オブジェクトクラスは「Safe/Keter」。どうも、SCP-2020-JP自体はSafeだが、その危険度はKeterらしい。
詳しい方なら「えっ」と思っただろうが、すこし我慢していただきたい。

特別収容プロトコル

まず、SCP-2020-JPは移動できないらしく、その位置情報は一般から完全に秘匿される。で、SCP-2020-JPがある部屋のドアは完全に閉鎖され、[データ削除済]
担当研究員とLevel5職員はアクセスコードを利用できるらしく、SCP-2020-JPについての調査はO5の承認が無いとできないらしい。(危険度)Keterらしい、厳重な特別収容プロトコルである。

次、SCP-2020-JPは精神影響性があるらしく、収容室の内部に入る場合はテレキル合金製のスーツを着用しなければならず、さらに1ヶ月以内に精神検査を受けなければならない。
また、SCP-2020-JPへのエネルギー供給はO5指令によって無期限に継続される。

…テレキル合金って何?と思った方もいるだろうが、これはSCP-148のこと。この合金はなんと周囲にある精神影響効果を軽減してくれる。
ただその代わり、SCP-148の周囲に長くいればいるほど精神が汚染されていき、最終的には廃人のようになってしまうらしい。
あれ?SCP同士のクロステストって…これもしばらく我慢していただきたい。


概要

SCP-2020-JPは人の背丈ほどに見える機械で、重さは█████████.███ポンドだ。また、[データ削除済]を含む多数の金属で構成されているらしい。
で、SCP-2020-JPのメインの異常性は周囲の人間に対して異常ミームをまき散らすことにある。周囲の人間、といってもその範囲はなんと北半球のほぼすべて。しかも効果は人口密集地に集中しているというから、その効果の広さは言うまでも無いだろう。これは危険性Keterも納得である。 

で、そのミームに曝露した人物は西暦2000年以前への懐古主義を抱く。この効果は個人差があり、SCP-2020-JPに近づくほど影響が大きくなっていくという。
ギアース博士によると、具体的には曝露者は「現在の自分の生活が色あせて見える」「1999年は大昔に感じるが、2000年は最近に思える」などの感情を抱くらしい。

研究者たちは、このミームが健全な人類の発展に影響を及ぼすのではないかと危惧している。
そもそも、世界のかなりの割合の人間が異常ミームに曝露してしまっている時点で、財団的にはかなりヤバい状況だと思うのだが…報告書ではノータッチである。

補遺

報告書には補遺が2つ添付されている。それぞれ見ていこう。

一つ目の補遺は、SCP-2020-JP担当博士で、SCP-2020-JPのそばに長時間いた博士(名前は伏せられている)へのインタビューとなっている。
全てを書くと長いので、箇条書きにしてまとめることにする。

  • SCP-2020-JPに曝露していると気づいたのは、家でミッション:インポッシブル2のビデオを見ていた時で、そのとき、何とも言えない虚無感に襲われたよ。
  • 映画におかしなところは無かったのに、不思議だと思って見てみたら、M:I-2が2000年の映画だってことに気が付いたよ。
  • 今は2003年。M:I-2が3年前の映画だなんて信じられないし、つい最近までシネマでやってたような気がするよ。
  • 「全てが遠く過ぎ去っていくようで。自分だけが変われずに取り残されているような」感じがして、財団に通報したよ。

以上。ちなみにその博士には記憶処理(amnesia)を施してみたものの症状は改善しなかったとか。


ふたつ目の補遺は、SCP-2020-JPの回収経緯について。
SCP-2020-JPは、2002年にとある場所で休暇中の財団エージェントにより回収された。具体的な緯度・経度については伏せられているが、おおよそ長野県南西部周辺らしい。
で、回収当時のSCP-2020-JP周囲には、SCP-2020-JPにエネルギーを供給するための巨大なエネルギープラントがあり、SCP-2020-JPにエネルギーを送るため、その場所で収容されている。

また、そのエネルギープラント内からは「SCP財団 怪奇部門」と書かれたプレートが多数発見されているらしい。
怪奇部門についてはSCP-4182の項目ですこし触れられているが、「怪奇部門」とは財団が過去に所有したことのない内部部門。このプレートが掛かっている場所には、財団が過去に見たことのない異常存在が収容されている場合が多い。が、よく見ると我々が良く知るSCPと共通部分を持ったものが一定数ある。
SCPの起源とは何なのか?「怪奇部門」とはいったい何なのか。過去に何をしたのか。なぜ財団の記録に一切残っていないのか、、などを考察する記事となっている

…といってもこのSCP-2020-JPに異常存在が収容されているわけでは無い。ここで重要なのは「財団の怪奇部門が過去に何かを目的としてSCP-2020-JPを作った」 ということだけ。といっても現在の財団にとっては危険度Keterの超お荷物となっているのだが…

そして、その怪奇部門に関連して、このエネルギープラント内から「管理者」のものと思われる手記が発見された。
「管理者」とは、まさしく正体不明である財団の重要人物で、あの有名な「管理者の言葉*1」を残した人物でもある。この管理者、どうも1996年以来失踪しているらしく、そのあとに残された手記と思われる。

歴史が流れ続ける大河であるとするならば、我々一人一人の人生は水のひとしずくであろうか。それとも水面にたゆたう泡であろうか。どちらにせよ、大いなる変遷の中で「個」を保つことは、かように難しい。

我々は人類が恐怖するものと最前線で戦い、科学の粋を尽くして災厄を封じ込め、伝説の怪物を伝説のまま遠ざけてきた。そして今、我々はどこへ向かっているのだろうか。何に成ろうとしているのだろうか。

我々の数は多くに増えたが、不可解なるものもそれに応じて力を増している。人類が、そして財団が、私の力を必要とせず立ち上がらなければならない。この施設は、私から人類への最後の希望だ。

新たなる世紀が、条理の灯に満ちたものであることを願って。

確保、収容、保護。

ちょっと言っている意味が良く分からないが、とりあえずSCP-2020-JPは「管理者」から財団へのプレゼントらしく、「21世紀になったから、世界平和の記念としてあげるね!」ということらしい。
いやいや、SCP-2020-JPがまき散らしてるのは世界平和どころか、人類の発展を妨げるような厄介ミームなんですが……なんとまあお気楽だったことだ。

余談

さて、これを読んだ人の中には、報告書の書き方にいろいろ疑問を持った人もいるのではないだろうか。

まず、オブジェクトクラスの複数使用。そもそもオブジェクトクラスというのは収容難易度を示すものであって、「危険度はKeter」なんて概念は存在しない。
次に、特別収容プロトコルでの検閲の使用。特別収容プロトコルは、そのSCiPを封じ込めるための、財団にとって一番重要な場所である。よって検閲してはいけない。
さらに、特別収容プロトコルにほかのSCiPを使っている。SCiPとSCiPのクロステストは基本的に禁じられている。しかも、ミーム系のSCiPにSCP-148なんてご法度みたいなものだ。

その他にも、説明で用いられている重量単位がポンドであったり、まだまだ問題点は多い。なぜこんな報告書が正式なデータベースに保存されているのか。

それは、この報告書が2003年という、昔に書かれた報告書だからだ。どうも、このころは財団も不安定な組織で、こういうダメダメな報告書が量産されてしまっていたらしい。


追記・修正はSCP-2020-JPに曝露してからお願いします




















注記: 以上のファイルは歴史的資料としてのみの掲載です。

当ファイルは現行文書の過去のバージョンです。内部に含まれる情報は不正確であるか、最近の利用可能なデータを反映していない可能性があります。
あなたは現在、この文書の初版(2003/02/14)を閲覧しています。この文書の最新版を閲覧する際はセキュリティクリアランス適合確認をクリアした上で最新版のファイルにアクセスしてください。

— 記録・情報保安管理局(RAISA)管理官、マリア・ジョーンズ





一般通告2020-JP-アルファ
SCP-2020-JP文書情報取得にはHMCLおよびO5による許可が必要です。
閲覧端末のIDと以下の認証コードを照会しますか?
RAISA認証コード-ぬばたまの黝き月か吼ゆると


BY ORDER OF THE OVERSEER COUNCIL
貴方がアクセスを試みているファイルはレベル4/2020-JPクリアランスを持つ職員にのみアクセスが許可されています。

必要なクリアランス無しにこれ以上のアクセスを試みることは財団による雇用の終了、全ての教育上、医療上、退職後、あるいは死亡時の福利厚生を取り消す根拠となります。
資格認証のため、貴方はこれをもって既知の認識災害画像に暴露される事に同意することとなり、貴方が画像に対する予防措置を受けていることを確認します。




要するに、SCP-001と同様に、今から見たら死ぬ画像を張り付けるから、ちゃんと対策してないと死ぬよ、ということ。これを読んでいる諸君らは直前に4/2020-JPクリアランスを付与されて、対抗ミームを摂取してあるから大丈夫だろう。





Item#: SCP-2020-JP
CONNECTION START


COUTION
ACCESS AUTHORISED
ID: ERROR/guest(SCL-2)



ACCESS










監督評議会命令
下記のファイルはレベル4/2020-JPの機密事項に指定されています。不正なアクセスは禁じられています。

2020-JP



<ログイン資格を提示せよ: 要4/2020-JPクリアランス>


<保安用認識災害起動: 神経活動スキャン中>


生命反応検出。
ミーム接種を確認。

ようこそ、担当職員様。





前置きが長くなってしまったが、ここからが本番となる。
どうも、先ほどまで見ていたものは報告書の旧版で、2003年に書かれたものらしい。ずいぶん昔のデータだったから機密指定も外れていたのだ。
そして、これから見ていただく報告書は2020年に書かれた報告書となっている。
こちらはしっかりと機密指定がなされており、アクセスには4/2020-JPクリアランスが必要だ。しかも、不正アクセスをした場合には最悪殺されてしまうという厳重さ。一体、この先には何が待ち受けているのだろうか。



さて改めて。
SCP-2020-JPとは、怪異創作コミュニティサイト「SCP Foundation」に登場するオブジェクトの一つである。
項目名は「祝福、新たなる時代へ」。また、JPのコードが示す通り日本支部の管轄にある。

SCP-2020-JPはACSによる分類がされている。
収容クラスはEsoteric。代わりに付与される副次クラスはThaumiel。しかし取り消し線が付いている。
攪乱クラスは5/Amida
リスククラスは2/Cautionである。
また、理由は後述するがACSの下にはフランス支部発の脅威レベルが付与されており、こちらは

要するに、「影響力はメチャクソ強いが危険度は低く、昔は財団が利用していたが今はそうじゃなくて、もし利用したら世界滅亡レベルの大惨事になる。」
ということだ。OK?

概要

特別収容プロトコルの先に概要から説明していく。
SCP-2020-JPとは、SCP-2020-JP-A、-B、-Cの3つの異常存在の総称で、2000年~2002年の間に「管理者」によって作られたSCPオブジェクトだ。
前述の通り「管理者」は1996年に失踪しており、その足取りを財団が知ることは無かったためにSCP-2020-JPがどのような意図で作られたものかは不明だが、現在は財団によって維持され、利用されている。
ここからは、SCP-2020-JP-Aから-Cまでの詳細を説明していこう。

まず一つ目、SCP-2020-JP-Aとは、SCP-2020-JPの制御装置であり、2003年の報告書で「SCP-2020-JP」とされていた物品そのものである。
よって主な説明は旧報告書にお任せするが、ここで新情報がある。なんとSCP-2020-JP-Aの前面にはディスプレイがあり、常に文字が表示されているのだという。

現在: 2000/1/15

ーーーーーー
Welcome,User
ーーーーーー


世界は滞りなく停滞中です



2つ目、SCP-2020-JP-Bとは、旧報告書における「エネルギープラント」のこと。巨大な工場のような見た目をしている。
SCP-2020-JP-B全体を維持するために必要なもので、なんと地上75mから地下100mまで広がっている。
中身は「レベル2、1、0」と「サブレベル1、2、3」の合計6層構造。それぞれに役割が持たされている。

以下に、その役割の詳細が書かれた文書「文書2020-JP-SS-EX」の概要を掲載する。ちなみに、説明の中にはちらほらSCP-2020-JP-Cが出てくるため、先にあちらの説明を読んでからこれを読んでもいいだろう。



3つ目、SCP-2020-JP-Cとは、SCP-2020-JP-A、-Bから発せられるミーム的異常/ミームベクトル操作である。*3ぶっちゃけ、-Aと-Bはそんな重要ではない。これが本命といえる。
で、SCP-2020-JP-Cの内容は2003年の時点では懐古主義への回帰というものだとされていたが、最近の研究により新たな異常性が判明した。これがとても重要である。

まず、SCP-2020-JP-Cに曝露すると、懐古主義の思想を抱くことになる。で、SCP-2020-JPの効果範囲は北半球、、ではなく全世界の人口密集地に集中している。よって現在はヒト型オブジェクト含む全世界の人間の7割強がSCP-2020-JP-Cに影響されているという。
具体的な位置はこちら。光っている場所ほど、SCP-2020-JP-Cの影響を強く受けている。



このように、世界各国にSCP-2020-JP-Cの影響が広がってしまっているため、日本支部だけでなく、世界各国の財団支部にて研究が進められている。
よって、この報告書にはいろいろな支部のフォーマットがごちゃごちゃになっている場合がある。最新版報告書の冒頭、ACSでの分類と共に、フランス支部の脅威レベルが付与されていたのも、この理由による。

それで、これは「みんなが考える『正常』(SCP-4200)」に影響を及ぼしているらしい。その境界線は、共有する個人の表層によってヒューム的に安定したものだという。
そして、みんながSCP-2020-JP-Cに曝露して「2000年代ってよかったな~」とか思うと、そこで表層意識群の統合(SCP-540-JP)が発生する。詳細はSCP-540-JPを見ていただきたいが、要するにみんなが同じことを思うと現実改変力が上がるというものだ。*4

SCP-540-JPが学校の人々が同じことを思ったことで発生した現実改変なら、SCP-2020-JPに関しては全世界の人間が思っている。数百人と数億人の差である。こうなると世界規模の現実改変が発生することになる。すなわち、現実改変によって世界が2000年付近の社会情勢を繰り返されるようになる

え?全くどういうことか分からない?報告書にはいくつか現実改変の例が載っている。以下にまとめた。

2000年付近に発生した出来事 2019年に発生した出来事
2000年問題による不具合が心配されるも、思ったより影響は出なかった。 UTC4月6日23時59分41秒にGPSの内部時計がオーバーフローして0に戻ったため、一部の航空機の運航に遅延・欠航が生じた。
1994年夏からのアメリカ株式市場の高騰が、S&P500指数で1530.09の大天井をつけ、以後は減速する。 同様の経済停滞が継続中
1990年代のダイオキシン問題のクローズアップ・京都議定書の提出により環境問題への関心が高まる カリフォルニアでプラスチックストロー制限法案が成立したことにより環境問題への関心が高まる

2000年付近に起きたことが、2019年にも起きていることがおわかりだろうか。これも全てSCP-2020-JPの現実改変効果なのだ。
ではなぜ、財団はこんなに大規模な現実改変が発生しているのにもかかわらず、SCP-2020-JPを止めないどころかThaumiel認定までしていたのだろうか。報告書にはもう一つ、例が載っている。

2000年付近に発生した出来事 2019年に発生した出来事
一般社会に露見する異常現象が発生せず、ヴェールは保護されていた 予想されたK-クラスシナリオは発生せず、ヴェールは保護されている

そう、この世界には、世界を滅ぼしうるSCPオブジェクトが超多数ある。それらから世界を守っていたのは他でもないSCP-2020-JPだったのだ。ちなみに、報告書では、ここにSCP-1363-JPのリンクが貼ってある。
さて、ここでもSCP-2020-JPが施した現実改変…すなわちSCP-2020-JPによって世界が救われた記録が載っている。ここでは、それを抜粋して紹介する。
日付 予想された出来事 実際の出来事
2019/01/11 上空にSCP-370Yが突如出現し、AK-クラス”狂気”シナリオ/SK-クラス支配シフトシナリオが発生する。 示唆される存在は財団内部でしか確認されなかった。財団はSCP-370Yの攻略法を見つけ出し、収容した。
2019/02/02 複数の要注意団体がSCP-3396の所有・曝露を争った結果、世界人口の2.5%がSCP-3731に変換。これによってTPK-クラス奇蹟論的増殖シナリオが発生。ついでにLv-ZeroKクラス”捲られたヴェール”シナリオも発生。 SCP-3396は考古学的調査の際に偶然発見され、財団への通報も早めに行われたおかげで一般社会には露見しなかった。
2019/03/05 SCP-3519と呼ばれる自殺ミームが全世界に拡散し、限定的な核戦争もあってXK-クラス世界終焉シナリオが発生した SCP-3519は発見されなかった。
2019/05/01 SCP-1111-JPにおける”継承イベント”の際に、SCP-1111-JP-A-125と-126の間のヒューム値の差が原因で、日本全体に現実性の揺らぎが生じる。それが原因で財団日本支部全体に内乱が生じる 現実の揺らぎは最小限に抑えられた
2019/08/13 SCP-2003の確定事象XWにおいて、強化されたSCP-███が人口の多い中心地に現れ、人間に受け入れられる。そのあとSK-クラス支配シフトシナリオが発生して2024年内に人間が社会的に抹殺される。 確定事象はXNが選択され、XWは回避された。
2019/12/10 SCP-CN-1199が氾濫し、それを見た人々でもっと増水していく。すべての回避手段は水没し、我々は渡河する 財団は川辺に浮かぶ死体の顔に関する記録を持ちません。

ちょっと最後が不穏だったが、上にあげたもの、全てSCP-2020-JPの効果である。もはやこの世界、SCP-2020-JP無しでは成り立たないのではないか。

先ほどSCP-1363-JPの話が出てきたが、報告書中では不明となっていたこいつの正体も、こう見るとSCP-2020-JP-Cの効果だった可能性が高い。

いや、そもそもK-クラスシナリオ起きすぎだ。上にあげたのでも抜粋だから、実際に起こったものはもっとある。そんなのが毎年本当に発生していたら、一体どれだけのK-クラスシナリオが発生していたのだろうか。

また、2015年にはSCP-2003確定事象XRも回避していたらしい。XRとは、SCP-655にて発生した「Homo ignotus」が100万体にまで増加、人類との激しい紛争の結果人類が滅亡する…というもの。報告書には、市街地のすぐそばまでHomo ignotusが来ている状況での、機動部隊の会話記録が載っている。

ちょっと長いので全ての引用はしないが、Homo ignotusの数がどんどん増えていき、応援も間に合いそうにない。隊長であるアルファは「最後まで最善を尽くそう」と励ますも、K-クラスシナリオはほぼ確実…という状況になっている。ちなみに、機動部隊3人のうち隊長のアルファだけがSCP-2020-JPのことを知っている。

アルファ: くそっ……撤退だ!

チャーリー: ですがこのままでは!

アルファ: いや、我々は最善を尽くした。だからきっとアレが応えてくれる。

ブラボー: アレとは……? ああっ!

(複数の叫び声)

デルタ: なんだありゃあ……。

チャーリー: 外に出たignotusが……かき消えていく

(複数の叫び声)

アルファ: 今だ!彼らを逃すな!

エコー: りょ、了解!

チャーリー: 終わりましたね……。一体何だったんです?アレは。

デルタ: まったく財団は神様でも雇い始めたんで?

アルファ: ああ、強いて言うなら……。

機械仕掛けの神(Deus Ex Machina)か。

…この時点でピンときた方も多いだろうが、当オブジェクトは(間接的に)SCP-2000と大きな関わりを持つものだ。
もし、まだSCP-2000を知らない方は、先にSCP-2000の項目を読んでおくのをお勧めする。


話が反れてしまったが、ここでSCP-2020-JPについての補足。
現在、SCP-2020-JP-Cによるヴェール維持の現実改変は、財団におけるヴェール崩壊の危機に多く働くことが分かっている。
これは逆説的に、SCP-2020-JP-Cがある限り、ヴェールが崩壊することはないということと同じになる。ある意味最強のSCPといっても過言ではないだろう。

また、SCP-2020-JP-Cを止めたければ、SCP-2020-JP-AとSCP-2020-JP-Bの接続を分断することで容易に止められることがわかっている。


長い!3行でまとめろ!

  • 世界中の人間をミーム汚染!!
  • ミーム汚染パワーで現実改変!!
  • 現実改変パワーで世界平和!!!!

というワケ。

特別収容プロトコル


以上を踏まえたうえで特別収容プロトコルを見ていこう。

  • SCP-2020-JPの正確な情報は4/2020-JPクリアランス未満の職員から徹底的に隠ぺいされるよ
  • SCP-2020-JP-Bのサブレベル3 :SCP-2020-JP-A収容室階に入れるのは5/2020-JPクリアランス以上の職員か、O5理事会の許可を得た職員だけだよ。
  • 5/2020-JPクリアランス以上の職員か、HMCL監督官の裁量で、人手不足の時は臨時で4/2020-JPクリアランスを発行できるよ。
  • 監督者指令により、無期限にSCP-2020-JP-AとSCP-2020-JP-Bは接続されるよ。SCP-2020-JP-A収容室に入っていいのは検査の時だけだよ。
  • SCP-2020-JP-Bは非異常の工業施設に隠ぺいされるよ。また、C/KAAシステム*5によってあらゆる脅威から最大限の保護がされるよ。
  • SCP-2020-JP-Cの一般社会への影響は、なるべく軽減される必要があるけれど、優先順位的にはSCP-2020-JP-A,-Bの維持が優先だよ。
とりあえず、財団がいかにSCP-2020-JPを大事にしているか、というのが分かれば良いだろう。

補遺2020-JP.1: 収容アセスメント01


さて、上で「世界の平和はSCP-2020-JPによって守られているようなもの」と書いたが、一応SCP-2020-JPも万能ではない。
なにより、「全人類の7割強が異常ミームに曝されてしまう」のだ。それに現実改変と来た。何が起こるか全く分からないではないか。

このようなデメリットの存在を考え、財団はSCP-2020-JP-Cの利用を続けるかどうかの協議が四半期ごとに行われるようになっている。
記念すべき1回目のこの協議は、O5-12の監督のもとに、ムース管理官を分析責任者として行われた。

このときに挙げられたデメリットは2つ。この時点でのSCP-2020-JP-Cの危険度判定は「中程度脅威」となっている。

多数の一般人へのミーム的異常への曝露

ブランズウィック・グリンコ博士*6の報告。

いまは特に何も起こっていないが、このまま一般人が異常ミームに曝されてしまうと、思ってもみないような悪影響が起こってしまうことが考えられる。
特に心配されているのが懐古主義の扇動による内向的な人格の形成であり、若年層のコミュニケーション能力の減少が予想される。
この傾向は、一般社会の経済トレンド・環境要因・社会情勢の変化に影響を与えてしまう可能性がある。これは困った。

懐古主義の隆盛による文明発展への影響

ヨハネス・ソーツ博士(ACSを考案した、分類委員会の博士)の報告。

数学的分析によると、ここ最近の文明成長率は予想されていた成長率を23%下回っている。
これは文化の発展にも影響を及ぼしており、将来的に人類全体の創造的感性及び熱意の醸成に著しい影響をもたらす「MK-クラス: “熱意消失”シナリオ」を引き起こしてしまうという。


これを踏まえ、SCP-2020-JP-Cの利用を続けるかどうかの投票がO5理事会で行われた。

結果は賛成7人 反対5人 棄権1人となり、SCP-2020-JP-Cの利用は継続されることになった。

まあ、どのデメリットも世界が滅ぶよりかはマシだよね、という話だ。



補遺2020-JP.2 運用アセスメント73


ここで2019年に行われた、記念すべき73回目の協議を見ていこう。この協議で、賛成多数だったSCP-2020-JP-Cの運用に変化が生じることになる。
今回の協議は、O5-02を監督官のもとに、アクタス管理官を分析責任者として行われた。

今回挙げられたデメリットは4つ。この時点でのSCP-2020-JP-Cの脅威度は「極強脅威」となっている。

異常気象の発生と経済的損失

天文/天気予報部門の報告。

西暦2000年付近では、世界各地での大気の乱れが顕著になってきていた。
で、SCP-2020-JP-Cの現実改変影響により、この異常気象も繰り返されているとみられている。
報告書内では、中国の「台風9号」アメリカのハリケーン「ドリアン」日本の「台風19号」が挙げられている。
何が言いたいかというと、この異常現象による経済的損失…たとえば一般人への被害、SCiPの収容違反鎮静などに掛かった10000000000ドルもの費用全てをSCP-2020-JPの運用コストと捉えることができてしまう。
平和はお金で買えないとはいえ、10000000000ドルといえば、日本円でおおよそ1兆円となる。決して安いわけではないが……?

ナショナリズムの潮流

ウスマン・アズマガン博士の報告。

21世紀に入ってからというもの、世界ではナショナリズムの高揚が顕在化している。
報告によると、これは財団の「理想的融和モデル」をはるかに逸脱するものだという。すなわち、グローバルリズムに対する懐古主義的な反発が異常に強くなっているのだ。
報告書には、「クリミア併合」や「南沙諸島の埋め立て活動」といった、人口比でSCP-2020-JP-Cの影響が大きいロシア・中国の行動が載っている。

また、超常社会でもこの風潮は高まっており、国家主義的な要注意団体が再興している傾向にあるという。
例えば、第二次世界大戦時に影響を強めていた「大日本帝国異常事例調査局」の残党、「オブスクラ軍団」「第四帝国」「オカルトファシスト/暗黒結束評議会」などの要注意団体が再興しており、財団の障害となる可能性がとても高いとされている。

要注意団体の発展

アンドリュー・ウェイストーン・オフラスティ博士*7の報告。

これまで、ほとんど全ての要注意団体の間では、「正常性への紳士協定」という暗黙の了解のようなものがあった。これは、それぞれの活動において「異常なものが表社会に出ないようにする」みたいなヴェール保護プロトコルである。
ただ、SCP-2020-JP-Cによってヴェールが”可視化”されたことによって、「ちょっとくらいミスっても世界滅ぼんだろ!」「こんな暗黙の了解守らなくてもSCP-2020-JP-Cがヴェール守ってくれんだろ!」という危険な考えが要注意団体の中で広がっているという。

21世紀に入ってからというもの、新たに設立された要注意団体の数は20世紀の100年間と比べても7倍となっており、「大胆な」要注意団体の発展に繋がってしまっている。

異常思想の流行

ジャスティン・エバーウッド博士の報告。

上記と関連して、超常社会の中でいろいろな異常思想が流行っている。
報告書で言及されているのは10個。分かりやすいものを抜粋すると「第五教会の復権」「鮫科に対する異常な執着」「ショパニスト」などが挙げられている。
SCP-2020-JP-Cの懐古主義的な思想によって、未来に対する否定的思想が異常思想への傾倒を加速させている、ということらしい。



以上を加味して、こんなリスクを冒してでもSCP-2020-JP-Cを維持する必要があるのか、という投票が行われた。

結果は賛成4人 反対8人 棄権1人となり、SCP-2020-JP-Cの利用は停止されることになった。
オブジェクトクラス・収容プロトコルは改正され、SCP-2020-JP-A、-Bは即時に分断(=SCP-2020-JP-C放出停止)され、SCP-2020-JP-B自体も2020/02/15までに完全停止されることになった。

しかし…


グランドクロス・プロジェクトによってこの決定は現在再検討されています。詳細は補遺2020-JP.4を参照して下さい。


なんだか不穏な一文が出てきた。とりあえず、これは補遺2020-JP.4になるまで置いておこう。



補遺2020-JP.3 O5声明

さて、いままで世界をずっと守っていたSCP-2020-JP-Cを停止した件について、O5-8、O5-2、O5-1がメッセージを発表した。
全て引用すると超長いので、適度に要約&引用して箇条書きにする。

+ O5-8
  • SCP-2020-JPの初版報告書は見てくれたと思う。でも、いろいろ呆れかえったり、嫌悪感を覚えたりしたと思う。
  • 不適切な重量単位、オブジェクトクラスを2つ使う、検閲された収容プロトコル…挙げればキリがない。
  • これは、執筆当時の、財団の黎明期には誰も気にしなかったりしたものだ。このころは、トップのO5ですら安定していなかった組織であり、財団自体も単なる研究者の集まりみたいな感じだった。報告書には「オブジェクトが何をできるか」だけ書いておけば良かった。
  • やがて、研究者は、SCPオブジェクトを閉じ込めておくだけじゃなくて、研究するようになった。SCPを説明するだけではなく、きちんと理論づけするようになった。こういう経緯があり、現実改変だとかの理論が確立されて、現在の財団に至る。
  • SCP-2020-JPが発見された時期は、そうした一種のターニングポイントに当たる

ここからは引用する。

SCP-2020-JPの運用プロジェクトが停止されるにあたって、私が述べたいのは、これまでの君たちの努力が否定されることは決して無いということだ。


この世界はただ偶然に存続してきたわけではない。すべての報告書は、試行錯誤を重ねた収容プロトコルと科学のために殉じた人々の歴史を持つ、当時の人々が瞬間瞬間を必死に駆け抜けてきたその記録なのだ。その過去があって、我々は巨人の肩に立っていた。そして今、我々自身が巨人の一部となり、新たな礎になろうとしている。

財団は記録し続ける。君たちの戦いを忘れることはない。


+ O5-2
  • 「転石苔を生じず」ということわざがあるけれども、これは本来は「やり方を変えてばかりだと成長しない」という意味だったのが現在は「活発に活動している者は時代に取り残されない」という意味でも使われる。変化に関することわざの、それ自体の意味が変化しているのは皮肉かもしれない。
  • このことわざは、昔から一字一句変わっていない。ただ、受け取り手の環境が変わっただけだ。
  • 同じことが古代ローマでも言える。かつては栄えたローマも、結局は増えすぎた領土を管理しきれなくなってしまって帝政へと移り変わることになった。
  • 「ローマの政治システムが最初から欠陥だった」という事実を言いたいのではない。
  • おそらく、ローマも最初は上手く行っていたのだと思う。しかし、ローマの周りを取り囲む状況が変化したことで、ローマの古い政治が破綻していってしまったのだと思う。
  • SCP-2020-JPは、財団が長い間使い続けたオブジェクトだったけれども、ついに財団は、(ローマのように破綻しないように、)SCP-2020-JPの運用をアップデートする時期が来てしまった。

以下は引用する。
大勢の人間をミームで汚染し続けて、いまさら何をという人も多いかもしません。いつでも止めることができたものを、それが有用であるからという理由で放置し続けたために、現在の世界が混乱に陥ったことを考えれば、その責任はすべて私たち評議会にあります。

だからこそ、私たちは過ちを認め前に進みます。時計の針は前にのみ進み、新たな世界に適応できなければ財団は滅びていくだけでしょう。どうか、私たちの後を継ぐ人々はこの言葉を忘れないでください。

我々は、変わることを恐れない。

常に変化を続ける。それだけが私たちの進む方法なのですから。



+ O5-1
ここに限っては、雰囲気の保持やわかりやすさ、文の短さを考慮して全文引用する。決して面倒くさかったわけでは

端的に言おう。我々は20年間ずっと保護されていた。

21世紀が始まってからの20年というもの、我々は何をしてきたのか? そのほとんどをSCP-2020-JP-Cというヴェールの内において過ごしていたのだ。正常な世界を守っていたのは財団ではなくSCP-2020-JPであり、我々はその庇護下において世界を維持しているつもりの道化を演じていたに過ぎない。

管理者の言う「希望」とは、私は人類への挑戦状と理解した。

SCP-2020-JPは完全無欠の神ではなくもはや制御不能の脅威だ。今こそ剣を持ち、我々の神を殺せ。人類は自分たち自身のため立ち上がり、自らの力のみによって異常を封じ込めなければならない。

「伝統とは火を守ることであり、灰を崇拝することではない。」とはグスタフ・マーラーの言である。

我々の火とは異常な存在を解き明かし、不条理の闇に条理の灯を導くことだ。

常に財団はその理念に従い、これからも変わることなく世界中の一般市民が異常に対する恐怖や疑念を抱くことなく日常を生きることができるよう、超常的存在が及ぼす影響からの人類の独立を維持する。

恐怖から逃げ隠れていた1つの時代が終わり、ここからすべてが始まる。偽りの歴史が完全に崩壊したとき、新たな世界の夜明けへと我々は歩き出すだろう。


確保、収容、保護。(Secure, Contain, Protect.)


この使命は我々によって為され、我々のみが成すべきものだ。




長い!三行で(ry

  • 世界中の人をミーム汚染させるの良くない!
  • 金かかる!!
  • SCP-2020-JPやーめた!!責任はO5が取るから安心して!!!

だったのだが…


補遺2020-JP.4 疑惑

SCP-2020-JPにおいて大切な年であった2000年からちょうど20年経った2020年のお正月、ついにSCP-2020-JP-Aと-Bの接続が分断された。これはすなわちSCP-2020-JP-Cの利用停止を意味する。

ただ、同日にとあるインシデントが発生した。なんと、先ほどのO5声明でも出てきたO5-8が、SCP-2020-JPの報告書を無断編集したのだ。
具体的には、この2020年版の報告書のページトップに旧版のSCP-2020-JP報告書が表示されるように編集されてしまった。諸君らに最初に見てもらった報告書はそれである。
旧版といっても、ほんとうの旧版報告書に比べて、表現が”稚拙”で、”クリティカルトーンに欠ける”ものに改変されているという。

財団全体の報告書・機密情報を管理するRAISA(財団記録・情報保安管理局)がこれに気付き、報告書の削除を行おうとしたが謎パワーで失敗。なんらかの異常現象が発生していると予測した。
そこでRAISAが調査を行ったところ、O5-8を含む評議会員8名重度のSCP-2020-JP-C汚染を受けていることが判明。
無論、O5はあらゆる異常存在への関与を禁止されている。SCP-2020-JP-Cとて例外ではなく、できるだけ効果の薄い場所にいたと推測できる。
しかし、今回の調査でO5達から検出されたSCP-2020-JP-C汚染度は、薄いどころかSCP-2020-JP-B担当職員と同レベルという異常に高い数値。
なぜ、O5達がこのような影響を受けてしまったのかは、2020/01/15現在、不明である。*8

また、補遺2020-JP.2で行われた、O5達のSCP-2020-JP-C停止決定も信用できないとして、財団内でいろいろな人物を混ぜて結成された第三者機関が設立された。
この機関の名を「グランドクロス」といい、SCP-2020-JP報告書の調査やSCP-2020-JP-B立ち入り調査などを行ってSCP-2020-JPへの再評価を行う。

結果、次のようなことが判明した。

  • 収容アセスメント関係者(SCP-2020-JP-C利用を続けるかどうか意見する人)のなかにも重度のSCP-2020-JP-C曝露者がいた
  • しかし、収容アセスメントに関してはちゃんと根拠に基づいた議論をしているので信頼できる。
  • 上の方にでてきた、SCP-2003とSCP-655関連の機動部隊の音声記録について、出てきた機動部隊は関与を否定している。
  • SCP-2020-JP-Bについて、なにか重要な情報が削除された可能性がある。
  • SCP-2020-JP-Bを立ち入り検査したところ、レベル0: エントランスの最深部からヒトの死骸が発見された。死後6年は経っているというのに、いままで誰も気が付かなかった。また、直接的な死因は頭部に打ち込まれた弾丸だが、死後に複数の凶器によって傷付けられている。

また、以下の文章が死骸の周囲から見つかった。
それは存在しない。頭の内に存在する。凋落→ 現実性(Reality)の低下を?

それは保護されるべき押しつけるなであり、すでに多く破壊された。分断するのは隣り合うため。切り離せ。
切り離すな。

いつから我々は怪物になった?

be in the veil




解説

さて、ここでようやく記事の内容は終わりとなっている。ここからは解説を述べていこうと思う。
まず、このSCP-2020-JPという作品、日本支部で行われたSCP-2000-JPコンテスト参加作品である。アニヲタwikiのお友達だとワンコ異常雇用中学校が挙げられる。
コンテストのテーマは「変遷」。このSCP-2020-JPも、そんな変遷を数多く描いている。
また、これを読んでいる人の中で「シリーズって何?」という方は、まずはこちらの項目を軽く読んでから戻ってきていただきたい。


2つの「機械仕掛けの神」

SCP-2000-JPコンテスト、となれば誰しもが1度は思い浮かべるであろうSCP-2000「機械仕掛けの神」の存在。
そういえば、このSCP-2020-JPも、SCP-2020-JP-Aと-Bで成る、世界を守る「機械仕掛けの神」である。

ここで連想されるのが、SCP-2000の「変遷」である。
どういうことかって、SCP-2000というものは、サイトに投稿された際は「最強な財団の切り札」という扱いだった。現在故障中など、すこしばかりの欠点はあれど、これが財団にとっての最後の希望だとされてきた。

しかし、時が経つにつれてそれは薄れていった。SCP-3480といった設定・強さがインフレしたSCiPの増加によって、我々は「あれ、SCP-2000ってそこまで強くないんじゃね??」と思うようになった。
もちろん、SCP-2000報告書自体は今も昔も何も変わっていない。周りの人々が変わったのだ。まるで古代ローマのように。

これはSCP-2020-JPも同じだ。
SCP-2020-JPが運用され始めた最初の頃は、SCP-2020-JP-Cが、我々の世界を守ってくれる最強のSCiPだと考えられていた。
しかし、年月が経つにつれてそれはだんだんと薄れていった。SCP-2020-JPの副作用は日に日に深刻になっていき、ついには財団に停止させられることになってしまった。
こちらも、SCP-2020-JP自体は何も変わっていない。それを取り巻く社会が変遷したのだ。

ちなみに、作者はSCP-2020-JPを「私なりのSCP-2000リメイク版」と語っている。


SCP財団の「カノン」

本格的な考察をする前に、メタ的な話として、創作サイト「SCP財団」の変遷について語ろうと思う。
SCPのそもそもの始まりは、2007年にアメリカの掲示板に「SCP-173」という題名の作品が投稿されたことから始まる、というのは有名な話だろう。
SCP-2000-JPコンテストが開催された2020年においては、もうその年から13年が経っており、その間に「SCP」は大きく変化した。
一般に「三桁台」「シリーズI」と呼ばれる、番号の小さいSCiPと、最近のシリーズⅥやシリーズⅦでは作風、、記事が伝えるミームに大きな違いがあることは言うまでも無い。

さて、なぜSCP財団がこんなにも変遷を遂げたかについて、作者さんは「ヘッドカノンという名のミームが変遷を遂げたから」としている。
もちろん、SCP財団にカノンは存在しない。というか、それこそSCP財団の特徴ともいえる。
しかし、現在こそ財団にカノンは存在しないが、財団が始まってすぐの頃には、多くの人が支持していた「カノン」があった。
その答えは、作中では明言されていないものの、考察が可能だ。

すなわち、その「カノン」とは...

全てのSCPオブジェクトが同じ世界にある。

というもの。これを読んでいる諸君も、SCPを知った時には「このSCPはみんな同じ世界にあって、番号は収容された順番なのだ」と考えたことは無いだろうか。
しかし、そのカノンは薄れていった。時が経つにつれてSCPの数はどんどん増えていき、1つ1つの危険度もインフレしていく。
だから、現在は「SCP報告書は全部パラレルワールド」という、現在の形が主流になったのだ。


SCP-2020-JPの変遷

ここで、SCP-2020-JP報告書に話を戻す。
おそらく、SCP-2020-JPが存在した世界は、上記の「全てのSCiPが同じ世界にある」世界だと考えられる。なんてったって、2019年だけで見てもSCP-2003SCP-3519SCP-370YSCP-001-JP/hannyaharaの提言もあるのだから。

この記事を読んでいて違和感を感じた方もいると思う。「やたらいろんなSCP出てきてね?」と。
アニヲタwikiで全て再現すると諄くなってしまうため当項目では半分以上省略したが、本家ページには本部支部問わず、非常に沢山の他作品へのリンクが貼ってある。(クロスリンク)
これは、「全てのSCiPがこの世界にある」ことを暗示しているのだと考えられる。

しかし、そうなってくると問題が生じる。各SCP間での設定の矛盾が出てくるのだ。例を挙げるなら、財団世界を滅ぼす/滅ぼしたようなSCiPが何百個もあったりだ。
SCP-2020-JPというのは、その設定の矛盾に対応するための機械だと考えられる。

まず、SCP創作者がSCP報告書やTaleを書いたりすると、SCP-2020-JP世界に対応したSCPや出来事が追加される。ただ、そのままだとSCP同士で設定の矛盾が生じる。
それを防ぐためにあるのがSCP-2020-JP-Cの現実改変効果だ。
どういうことかというと、もしSCP創作者がSCP-370YのようなヤバいSCPを投稿したとする。それを感知したSCP-2020-JPは、世界を西暦2000年の時点に近づけるために、その物語を都合よく解釈するのだ。SCP-370Yなら「財団外では見つからなかった。」SCP-3519なら「そもそも確認されなかった。
こうして、財団が対処できたことにすることで、SCPの設定の矛盾を無くしているのだ。

この方法の何が良いかというと、創作者がどれだけSCP世界をいじめてもSCP-2020-JPによって跳ね除けられる点だ。そのくせ、 有益な技術 は跳ね除けない。同じテイストのThaumielとしてはSCP-CN-1109というものもあるが、こちらはそれを上回るほど強力なものだと言えるだろう。

しかし、SCP-2020-JPが持つ副作用は、時が経つにつれて肥大化してきた。
これは、「現代社会」と「2000年前後の社会」のが大きくなったことに原因がある。だからこそ、懐古思想が大きくなっていき、重大な問題にまで発展してしまったのだから。

では、なぜこの差は大きくなってしまったのか。答えは簡単だ。すなわち社会が変遷したからである。O5-2からも「古代ローマ」の話があったが、これと同じようなことが起きていたのだろう。
もしも、SCP財団が完全にすべてが架空の、例えば神話の世界だとかの物語だったら、このようなことは起きなかったのかもしれない。
しかし、SCP財団の主なテーマは「日常の裏に潜む異常」だ。すなわち現代社会をテーマとしているのだ。そうなってくると、現実社会が変遷すると物語の中の社会も変遷することが起きる。
こうして、SCP-2020-JPは時代に「取り残されて」しまったのだ。

さて、SCP-2020-JPによってもたらされる問題はどんどん数を増していき、財団はSCP-2020-JPを止めなくてはならなくなったが、SCP-2020-JPを止めるということは財団世界を守っていたフィルターを捨てるということを意味する。それによってもたらされるリスクは…語るまでも無いだろう。だからこそ、O5達はあのようなメッセージを公開したのだ。


新たなる時代へ

ここからは、SCP-2020-JP-Cを止めた後の世界を考えてみよう。
まずは補遺2020-JP.4について。これは作者によると「SCP-2020-JPを止めたことによって現れた世界の矛盾」とのこと。
いままでSCP-2020-JPが抑えていた世界の矛盾が、これを止めたことによってあらわになってきたのだ。

また、世界そのものについて。

上記の「矛盾」について、作者はこうも表現している。
全てのSCiPは同じ世界にある*9という概念の死によってもたらされた世界の新たな可能性

繰り返しになるが、SCP-2020-JPを止めるということは相当なリスクのある行為である。下手したら、止めた数時間後には世界が滅んでいるかもしれない。
しかし、作者はこれを「新たな可能性」と述べた。これはどういうことか。

思うに、「全てのSCiPが同じ世界にある世界」から、SCP-2020-JPを止めたことによって「SCiP同士はパラレルワールド」な世界に変遷したのではないだろうか。
言い換えれば、「SCP」というコンテンツが始まってからの、古い設定は終わりを告げ、現代の設定が始まった。といえる。
これぞ、「世界の新たな可能性」だ。

さて、作者氏は当wikiのとあるページから、ディスカッション欄にて文章を引用した。以下に記載しておこう。
生まれてから産廃と叩かれ続けたものや、時代の流れに置いていかれ過去の栄光となったものも思わぬ逆転劇を繰り広げ産廃から人権クラスまで成り上がる事があるため、カスレアを引いてもまだ希望を持てる部分は大きい。

産廃が人権クラスになることがあれば、人権クラスが時代の変遷に置いて行かれてしまうことだってある。しかし、それらを含めた全てこそ、時代の変遷なのだ。

最後に。「新たなる時代」と聞いてもう一つ、思い当たるものは無いだろうか。
そう、JPシリーズⅢだ。そもそもこの作品はSCP-2000-JPコンテスト参加作であった。

SCP財団としての原点。全てのSCiPが同じ世界にあった時代、表現も”稚拙”で、”クリティカルトーンに欠ける”時代。
そんな時代から、SCP-2020-JPという「切っ掛け」を媒介として、SCP財団は新たなる時代(JP シリーズⅢ)へと続いていく。

おそらく、これからも。ずっと、ずっと。

だから、我々は、この「SCP財団」を最後まで見守っていなくてはならないのだ。きっと、SCP財団はこれからも「変遷」していくから。




SCP-2020-JP - 祝福・新たなる時代へ









そして、世に不思議な出来事は尽きないというのがこの語り部の謙虚な意見である。

そして今も、そして今も。

そして、書物は語る「我々が過去を捨て去ろうとも、過去は我々を追ってくる。






その過去がどれだけ凸凹で醜いものであろうとも、全てが現在に至るまでの変遷である。

それを否定し都合の良いように作り替えようとした管理者気取りの魔王は、畏れを勇気に変えた人間たちに討ち滅ぼされ、本来バラバラの世界は再び分かたれたのでした。

これが我々の歴史を記した、最後の1ページです。めでたしめでたし。















閲覧終了後、貴方の臨時4/2020-JPクリアランスは失効します。

認識ニュートラル化ミームを待機して下さい。

お疲れ様でした。




πάντα χωρεῖ καὶ οὐδὲν μένει.(あらゆるものは去り、何物も留まらない。)

- Πλάτων(プラトーン) 『Κρατύλος』


さあ、目映い新たな世界を魅せてくれ。


余談

当作品は、SCP-2000-JPコンテスト出場作であり、そのコンテストのテーマは変遷であった。ちなみに、結果は6位。作者談だが、コンテスト終了してしばらくは、1位のSCP-2000-JPを連想させる「犬」と、5位のSCP-2001-JPを連想させる「Safe」という単語を聞くだけで体がクソァ!ってなった*10らしい。

ちなみに、当記事には画像が4つ張り付けられている。順に
  • 4/2020-JPクリアランス付与
  • 4/2020-JP持ってない人を殺す保安用認識災害
  • SCP-2020-JP-C影響範囲の世界地図
  • 認識ニュートラル化ミーム

の4つであるが、これは実は
「昼間→夕方→夜→朝」という時刻の変遷を表している。

また、これと同時に「雨→川→海→雲」という水の変遷も表しているという。

どこまでも「変遷」にこだわった、SCP-2000-JPコンテストとしてふさわしい記事だった、といえるだろう。


ちなみに、先ほどSCP-2020-JPはSCP-2000のアレンジだと述べたが、2つ目の画像はSCP-2000のミーム殺害エージェントに似た画像を使っているのだとか。

またメタタイトル祝福や資料に散りばめられてる
「時計の針は前にしか進まない」「過去の意思を偽りで覆い隠すことはできない。」「瞬間瞬間を必死に駆け抜けてきた」1つの世界に全てSCPが集まったことでの設定の矛盾 そして最終的には世界が再分割するところを考える限り元ネタは仮面ライダージオウだと思われる。


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最終更新:2025年04月11日 01:52

*1 人類は恐怖から逃げ隠れしていた時代に戻ってはいけない(ryってやつ

*2 ここには、中国支部のGoIフォーマット「アオダケ計画,1936」へのリンクが貼ってある

*3 ちなみに、原文ではここにSCP-3475報告書と、「烏丸教授の特別講義: 情報災害とミーム異常 ~認識を正常に保つ方法~」というTaleへのリンクが張ってある。

*4 ここらへんはSCP-ZH-258実験記録を参照、とのこと。

*5 シーカーシステムと読む。クレフ/コンドラキ敵対的異常妨害手順のこと。

*6 SCP-898の担当博士

*7 詳細は不明。「超常政治史B」という財団内での本を出版した人

*8 余談だが、この日付はSCP-2020-JP-Aモニターに書いてあった日付である2000/01/15からちょうど20年の日である。

*9 原文では「ある概念」となっている。

*10 原文ママ