雑魚だったろ、相手(遊戯王5D's)

登録日:2022/04/18 Mon 01:41:29
更新日:2025/04/20 Sun 19:22:47
所要時間:約 7 分で読めます











「雑魚だったろ、相手」とは『遊戯王5D's』の主人公、不動遊星の台詞である。






本編での発言




発言があったのは本作の記念すべき第1話。「ライディングデュエル・アクセラレーション!」

ネオ童実野シティで繰り広げられる第143回デュエルキング争奪戦。
そこでは現キングのジャック・アトラスと挑戦者炎城ムクロのライディングデュエルが繰り広げられていた。
この時点で「どうしてバイクに乗ってデュエルするんだ……?」と思う視聴者も多数いた事は別の話。



そんな中、瓦礫の山と廃墟の並ぶスラム街・サテライトの一角で遊星は自身のD-ホイール・「遊星号」の走行テストを実施していた。
時速220キロメートル越えの速度を維持しつつ安定して走っていたと思われたが、徐々にマシンがふら付き始め、最終的に停止してしまう。


シティでのデュエルは紆余曲折の後、ジャックが勝利。
勝利後のヒーローインタビューでも自信に満ちたセリフを堂々と言い放っていた。
その中継映像をサテライトで観戦していたナーヴ・タカ・ブリッツ。

そこへ遊星号を押しながらやってきた遊星が合流。
それに気付いた3人はテレビを消して遊星に話しかける。




よう。遊星。

悪ぃな。やっぱジャックのこと気になってさ。

ここでしかテレビ映んねーしさ。

スゴかったぜアイツ?また強くなってやがる。



雑魚だったろ、相手。


あぁ。完全にジャックに遊ばれてた。



アイツ、つまんねぇだろうな。


勝敗にもジャックのコメントにも特段強い関心を示すことなく、遊星は淡々とD-ホイールのメンテナンスを進めるのだった。
ある「目的」の為に……。




概要




……と言う発言とその流れになっているのだが、カードゲームアニメの主人公のそれとは思えないほど冷淡かつ治安の悪いセリフである。


もっともこれだけならば、「主人公っぽく無いセリフ」程度のネタだが、
遊戯王シリーズ1作目主人公の遊戯(正確には別人格の闇遊戯)の「腐ってるぜ貴様」や
2作目主人公の十代の「ぶっ倒しても! ぶっ倒しても! ぶっ倒しても!」など、歴代主人公も物騒な台詞は少なからずあった。
この二例は敵の非道への憤りや精神的に追い詰められての逆上であるが、主人公が荒っぽい台詞を放つ事そのものは正しい意味で遊戯王ではよくあることと言っていいのである。


遊星のこの台詞が注目される理由。
それは、これが主人公の記念すべき第一声だったからである。
本編を見た事がある人や上記の流れを見て何となく察した人もいるかもしれないが、このセリフ以前のシーンで遊星は登場こそしているが一言も喋っていない。


物語が始まって5分以上経った後にようやく主人公から発せられた言葉の内容に衝撃を受けた視聴者も少なくないだろう。
本作の第1話と言えば「おい、デュエルしろよ」や「カードは拾った」などの名言が有名だが、それらとは違った意味で
初期の遊星は中盤以降の熱い一面が殆ど感じられない寡黙な性格かつクールを通り越してドライで冷たい第一印象を抱かせるキャラで、こういったセリフをサラッと言い放つ事がよくあった。*1


なお余談だが、遊星は拠点に帰ってから無言のままDホイールいじりを開始しており、
他の面々はテレビ画面を見ていたのもあって遊星が帰っている事には全く気付いていなかった。
仲間達が遊星の帰宅に気付いたのは遊星がDホイールのエンジンを噴かしたためで、また遊星は仲間達の方をちらっと見てからスロットルを回していたため、
「ただいま」の代わりにエンジン音で自分の存在を気付かせている様にしか見えないとネタにされている。おい、普通に声かけろよ。


発言に対する補足事項


鬼畜な印象を受ける上記の「雑魚」発言だけを見ると単に相手を貶めているように聞こえるが、実際の所は少し違う。

遊星はジャックの中継をインタビューの一部しか聞いていない上に画面の方に顔を向けてすらいない。
つまり対戦相手のムクロの戦法はおろか、名前すらも把握していない状態で上記の発言をしている。
つまり発言するまでに対戦相手の実力を測る情報が「ジャックに負けた」と言う事実やインタビュー内での断片的な発言内容しかなく、雑魚かどうかは判別できない様な状態なのだ。


また、上記の発言経緯内でも触れているが、上記発言の後に「アイツ(ジャック)、つまんねえだろうな」と続けており、相手のことではなくジャックの方に関心が向けられている事が分かる。


これらから分かる様に遊星本人の発言意図としては「ジャックは強い。相手が誰でも雑魚同然だろう」という意味合いだったものだと考えるのが自然である。

実際この時負けた炎城ムクロとは後にライディングデュエルで勝負し、ギリギリまで追いつめられながら勝利した後、素直に彼の実力を認めている。*2*3




他の主人公たちの最初のセリフ


治安の悪さ全開の初セリフだが、歴代の主人公とその相棒たちの最初のセリフとその状況は以下の通りである。


武藤遊戯
「んーと…あっ……」

童実野高校内での昼休み、一人でトランプタワーを積み上げていた時のセリフ。良い所まで積みあがっていたが、些細なミスで崩れてしまう。
このトランプはBパートの伏線にもなっている。


闇遊戯
「―――さぁ、ゲームの時間だ」

遊戯と城之内本田をボコボコにした牛尾さんが聞いた、東映版を代表する闇遊戯の決めゼリフ。
この時、千年パズルが完成した影響で周囲には風が吹き荒れ、牛尾さんも異変を察した。



武藤遊戯
「さぁ、城之内君のターンだよ!」

童実野高校内で城之内とデュエルに興じている時のセリフ。
高校生の昼休みらしいワンシーンである。棒読みなどと言ってはいけない。


闇遊戯
「海馬、じいちゃんの魂のデッキに賭けて、お前に勝つ!」

デュエルに敗れた双六に代わる形で海馬海馬スペシャルルールによるデュエルをすることになった遊戯と人格を入れ替えて出た際に言ったセリフ。
主人公らしいカッコいいセリフ&シーンなのだが、何の説明もなくいきなり現れるため、原作or東映版を知らない人からすると困惑以外の何物でもないシーンでもある。



遊城十代
「うわ~!遅れる遅れる遅れる~!!」

電車の遅延でデュエルアカデミア入学試験に遅刻しかけ、会場へ必死に走るときのセリフ。
上記の電車遅延も「俺に与えられた試練」と前向きにとらえていくという何ともポジティブで初々しさを感じるシーンである。



九十九遊馬
「オレの一番大事なもの……?」

「扉を開くと新たな力を得るが、代償として自分の最も大事なものを失う」という謎の扉からの問いかけに対するセリフ。
夢の中で何者かが語りかけてきたというシーンで、上記のセリフとは毛色が異なるが、「これから何が起きるんだ……?」と視聴者に思わせるには十分なつかみである。
結局『大事なものを失う』件は、ラストで一応回収されるとはいえ割と思わせぶりなだけだった感も否めないのは秘密だ。
なお、夢の中のシーンであるこれをセリフと捉えないのであれば、夢から覚めた直後の「またあの夢……」が初セリフになる。


アストラル
「立て。勝つぞ」

遊馬が上述の扉の鍵を開けたことで現れ、シャークとのデュエルで劣勢に追い込まれた彼を叱咤した。
その直後に第1話は幕引きとなるので、登場直後に遊馬が発した「誰だお前……!?」と全く同様の状態になった人も多いだろう。



榊遊矢
「レディース・エーン・ジェントルメーン!!」

権現坂とのアクションデュエル中、彼の啖呵に対する返しとして発言。
このセリフと共に「EMディスカバー・ヒッポ」に乗りながらいきなり登場して「カバーカーニバル」を使い、カバが並んでカーニバルを躍る様はかなり印象に残った人も多いだろう。



藤木遊作/Playmaker
「リンクスレイヤーの攻撃!流星暫破!」

ハノイの騎士への攻撃を仕掛ける時のセリフ。
遊矢同様に第1話の初セリフ時がいきなりデュエルの状態になっているが、この直後に敵からの問いかけに遊作がLINK VRAINSでの名前を名乗る所が続くため、どことなくヒーロー然とした印象を抱かせるシーンになっている。


Ai
「お待たせ~。救世主登場!」

サイバース世界への攻撃で他のイグニスたちが捕まったところに登場して放ったセリフ。
物騒極まりない状況で軽口をたたきながら登場、そのままサイバース世界の強制隔離を行うという一連の言動から、彼の腹の読めなさがうかがえる。




おまけ:漫画版「5D’s」の遊星の初セリフ



「5D’s」ではアニメとは異なる設定で展開される漫画版もあり、そうなれば遊星の初セリフも変わってくるわけだがその内容は……





この決闘疾走(ライディングデュエル)、受けて立つぜ セクト!


今日こそ俺の勝利は大アリだぜ 遊星のアニキ!




第1話でいきなり弟分、伊集院セクトとのライディングデュエルからスタートし、上記のセリフを発している。
見て分かるだろうが、アニメでの冷淡さとは大きくかけ離れたカードゲームらしい始まりのセリフとなっている。


漫画版での遊星は仲間意識やデュエルへの入れ込み度合いがアニメ版より強く、同話内で「 決闘疾走(ライディングデュエル)が好きでたまらない」と言う旨の心情を吐露しており、上記のデュエルのシーンでも、セクトを冷やかす周囲の声に対して「気にするなセクト! お前らしい決闘疾走(ライディングデュエル)をすればいいんだ」と彼を励ましているなど、アニメ版とはまた違った遊星の人物像が第1話から感じられるだろう。



余談


  • 「クズ」と言う言葉に対して不快感をあらわにすることの多い遊星だが、第1話の第一声として「雑魚」と言う言葉を使っているので、「『雑魚』は良いのに、なぜ『クズ』はダメなのか?」という事がネタにされることがある。





雑魚だったろ?記事内容。

ああ、wiki篭りにダメ出しを受けまくって追記・修正されてた。

作成者、つまんねえだろうな。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 主人公の初セリフ
  • ※主人公のセリフです。
  • 不動遊星
  • 遊戯王
  • 遊戯王5D's
  • 遊戯王ファイブディーズ
  • 雑魚だったろ、相手
  • ジャック・アトラス
  • 炎城ムクロ
  • 雑魚
  • セリフ
  • 遊戯王デュエルモンスターズ
  • 遊戯王迷言集
最終更新:2025年04月20日 19:22

*1 前作で序盤は明るく年頃の男の子らしい性格だったが、終盤に行くにつれて徐々に冷やかな印象のキャラに変わっていった十代とはある意味正反対の経路をたどっていると言える。

*2 尤も、この時はムクロ本人もトレーニングを重ね、スキルを大きく上げた上での勝負だったため、第1話時点では本当に雑魚だった可能性も否定できないが。

*3 なお5D’s世界の本来の歴史ではここで意気投合したのか、遊星とムクロはアキも加えた三人でチームを組み大規模大会に出場している。