フルール・ド・バロネス(遊戯王OCG)

登録日:2022/04/24 Sun 00:01:00
更新日:2025/04/05 Sat 21:59:31
所要時間:約 6 分で読めます





革命の時は来たれり!! 高貴なる白百合よ咲き誇れ!!


《フルール・ド・バロネス》(以下、バロネス)とは遊戯王OCGに存在するモンスターカードである。
デュエリストパック-疾風のデュエリスト編-」にて収録。

シンクロ・効果モンスター
星10/風属性/戦士族/攻3000/守2400
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):1ターンに1度、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。
そのカードを破壊する。
(2):このカードがフィールドに表側表示で存在する限り1度だけ、魔法・罠・モンスターの効果が発動した時に発動できる。
その発動を無効にし破壊する。
(3):お互いのスタンバイフェイズに、自分の墓地のレベル9以下のモンスター1体を対象として発動できる。
このカードを持ち主のEXデッキに戻し、そのモンスターを特殊召喚する。


概要

S素材に縛りが無く、効果もテーマや属性が絡まない「汎用モンスター」の枠になっている。

(1)は破壊効果。
ノーコストな上に破壊するカードには何の縛りもなく汎用性が高い。
ただし、「スペルスピード1、対象をとる、破壊」という、除去としては最低水準のものであり、状況を打破する切り札とはなりにくい。
その汎用性で破壊できるカードを破壊して着実にアドバンテージを稼ぐというのが主な運用であろう。
自分のカードも対象に取れるので、《ベビケラサウルス》などの破壊をトリガーにしたカードとコンボするのもよい。
なお、こちらの効果には同名ターン1制限がないので複数体並べればその分だけ効果が使える。

(2)はカウンター効果。
あらゆる効果を阻止、かつしっかり破壊できるのは素晴らしく、相手に一手の浪費を確実に迫れる。
この効果は「フィールドにいる限り1度だけ」なので、ターンをまたいでも使えない点には注意。
無論、強力な効果が気安く飛び交う昨今ではこれ一つだけで相手の攻勢を防ぐ事などできないため、制圧するなら他のカードとの併用は必須である。

(3)は自身のバウンス蘇生効果。
蘇生範囲が「レベル9以下」とべらぼうに広いため、レベルを持つ大凡のモンスターに対応してると考えてよい。
少なくともバロネスのS素材(必然的にレベル9以下)が墓地に残っているはずなので、蘇生対象自体がいない事はないだろう。
とはいえ、バロネス自身がフィールドで強いモンスターであるため、わざわざ進んで退去したい状況は稀。
しかし(2)が使い切りなので、(2)を使ったうえで生き残った場合、以降のバロネスは高攻撃力と(1)の除去だけのモンスターになる。
そのため、そういった時にもっと強力な効果を使えるモンスターが墓地にいればそれと入れ替えたり、
自分ターンなら素材に適したモンスターを蘇生し、戻したバロネスを出し直して(2)の使用制限を回復させるといった用法が主になる。


評価

十分なステータス、除去効果、無効化効果と均整のとれたエースモンスターだが、一方で1体のモンスターとして際立って強力とは言えない。
(1)も(2)も汎用的でおおよその局面で活躍できる事は間違いないが、良くも悪くも標準的なパワーの効果である。
耐性は全くないため、現代の水準ではバロネス1体程度にいいようにやられてしまう方が問題であろう。
(3)がよほど上手くはまるデッキでもない限り、生き残らせて稼げるアドバンテージも大きなものではない。

このカードの最大の特徴は、S素材に縛りがないレベル10モンスターである点。
一切の縛りが無いため、展開力が高まった現代ではS召喚の難度と負担が驚く程に低い。
それはつまり先にバロネスを出す事で、本命の展開ルートを相手の妨害から守る事にも繋がる。
また、S召喚の組み合わせが豊富に存在するため、様々な展開/妨害の「ついで」にバロネスを呼び、本命の勝ち筋の添え物にする事も可能にしてみせる。
これらの特徴から、バロネスは単独よりも他の様々なカードや効果と組み合わせる事で最大限に効果を発揮するタイプのカードだといえる。

召喚難度が低いという事は、早い段階でバロネスをS召喚するのも容易であるという事。
例として、【相剣】では《相剣軍師-龍淵》と手札コスト1枚だけこのカードをS召喚する事も可能。


以下に、アドバンテージ確保とバロネス召喚を両立させるルートの例を抜粋。

  • 獣王アルファ》の効果で自分の《ホップ・イヤー飛行隊》と相手のモンスターをバウンス
    次の相手ターンで手札の《ホップ・イヤー飛行隊》とフィールドの《獣王アルファ》でS召喚
  • 同じく《獣王アルファ》の効果で自分の獣族と相手モンスターをバウンスし、それをトリガーに《メルフィー・ラッシィ》を特殊召喚
    これにより、バウンスしつつ《獣王アルファ》と《メルフィー・ラッシィ》でバロネスをS召喚
    「わくわくアーゼウス」に次ぐおまじない「うきうきバロネス」の誕生
  • 相手モンスターを《雷撃壊獣サンダー・ザ・キング》で始末し、その《雷撃壊獣サンダー・ザ・キング》と自分の《SRアクマグネ》でS召喚
  • 自分のターンに《死霊王 ドーハスーラ》と《フォーミュラ・シンクロン》でバロネスをS召喚
    次の相手ターンで自身の効果で《死霊王 ドーハスーラ》を、バロネスの効果で《フォーミュラ・シンクロン》を蘇生
    そしてEXデッキに戻したバロネスを、《フォーミュラ・シンクロン》の効果で再びS召喚

S召喚が登場してからおよそ13年の間、レベル10汎用シンクロは非常に層が薄かった。
2021年に入るまで、デッキを選ばない素材と効果を併せ持つのは限定的な効果耐性しか持たない《神樹の守護獣-牙王》が精々であった。
その中で《ブラッド・ローズ・ドラゴン》共々、低い召喚難度と高い能力を併せ持って登場したバロネス。
レベル10・シンクロの枠を超えて様々なデッキで活躍するのに、時間はかからなかった。
今後もレベル10シンクロの第一人者として永く活躍する事だろう。


余談

前述の通り、このカードは「疾風のデュエリスト編」に収録されている。
風属性モンスターを操るデュエリスト3名のデッキを強化できる新カードを収録」というパックで、バロネスはシェリー・ルブランのカードとして抜擢。
このカードは、彼女のエースカードである《フルール・ド・シュヴァリエ》を元にしたカードとなる。
しかし、そもそもこのチョイスには疑問点が存在する。
このあたりについては「風属性(遊戯王OCG)」の項目でも触れられているのでそちらを参照。

同じ「疾風のデュエリスト編」には《フルール・ド・シュヴァリエ》のS素材に指定されている《フルール・シンクロン》と相性の良いカードや《フルール・シンクロン》として扱う効果を持ったカードも収録されて、【フルール】デッキが成立することとなった。
しかし、《フルール・ド・シュヴァリエ》の強化版であり、手厚い《フルール・シンクロン》サポートと同期なはずのこのカードは、何故か一切の素材指定がない汎用カードになっている。

持っている効果にあの《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》との共通項があることがたまに話題にされる。
あちらとの差としては、効果の条件やコストなどが無くなるor緩くなる代わりに、耐性や爆発力などを失ったという比較になる。
カードパワーはあちらの方が上だが、一時期禁止カードに指定されたあちらが強すぎるだけでこのカードが弱いという訳では決して無い。

「フルール(Fleur)」とは「花」を意味するフランス語。
《教導の騎士フルルドリス》の由来にも使われた有名な意匠「フルール・ド・リス(Fleur-de-lis)」の影響から「白百合」と意訳される事もある。
OCGストラクチャーズ」で披露された項目冒頭の召喚口上でも「白百合」と形容されているが、このカードの花の装飾は鮮やかなピンク色である。

「OCGストラクチャーズ」ではこのカードの攻撃名と効果名も披露されており、それぞれ攻撃名は「フルール・ドラプソディ」で(1)の効果は「フルール・ド・セレナード」、(2)の効果は「フルール・ド・ノクテリュヌ」。
後にデュエルリンクスにシェリーのスキルで追加される形でこのカードが実装された際に召喚口上ともども引用されたが、召喚口上のみ「高貴なる白百合よ!革命の時は来たれり!勝利を我が手に!シンクロ召喚!咲き誇れ!《フルール・ド・バロネス》!」と、《フルール・ド・シュヴァリエ》の物を意識した改変が為されている。


追記修正お願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 風属性
  • 戦士族
  • 遊戯王
  • 遊戯王OCG
  • シンクロモンスター
  • 星10
  • シェリー・ルブラン
  • 汎用カード
  • 女騎士
  • 蘇生
  • DP新規収録カード
  • レアコレ再録
  • 元高額カード
  • 遊佐尚磨
  • デッキバウンス
  • 発動無効
最終更新:2025年04月05日 21:59