超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ

登録日:2020/01/16 Thu 21:16:11
更新日:2025/04/16 Wed 11:06:07
所要時間:約 10 分で読めます




《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》とは、遊戯王OCGに存在するカードの1つである。

●目次

テキスト

《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》
融合・効果モンスター
レベル8/闇属性/魔法使い族/攻3000/守2500
「ブラック・マジシャン」+「真紅眼の黒竜」またはドラゴン族の効果モンスター
(1):このカードは効果では破壊されず、お互いはこのカードを効果の対象にできない。
(2):自分メインフェイズに発動できる(この効果は1ターン中に、このカードの融合素材とした通常モンスターの数まで使用できる)。
相手フィールドのモンスター1体を破壊し、その元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。
(3):1ターンに1度、カードの効果が発動した時、手札を1枚捨てて発動できる。
その発動を無効にして破壊し、このカードの攻撃力を1000アップする。

解説

LEGENDARY GOLD BOX(レジェンダリー・ゴールド・ボックス)で登場したカード。
このボックスは原作やアニメのキャラクターの使用カテゴリーを意識したカードが収録されており、このカードは遊戯のエース《ブラック・マジシャン》と城之内のエース《真紅眼の黒竜》の融合モンスターとなっている。
そんな友情のモンスターなのだがそのスペックは凄まじく、最強のカードではないかという声も多い。
攻撃力は3000と十分で自身の効果によりさらに打点を上げてくる。守備力も2500あり、攻守共に隙のないバランスの良いステータスを持つ。
ちなみにレベル・攻守の値は《青眼の白龍》と完全に一致しており、恐らく意識して設定されたものと思われる。

また、《真紅眼の黒竜》の代わりにドラゴン族の効果モンスターも素材にできるため「友情のカード」という肩書きの割に素材指定はガバガバ。
そのうえ「ブラック・マジシャン」と「真紅眼の黒竜」を素材に指定したテキストが記されているため、素材は緩いのに融合素材代用モンスターにもしっかり対応していたりする

更に言えばオマージュ元であろう《超魔導剣士-ブラック・パラディン》にはあった「このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない」召喚制限は撤廃されており後述の通り融合召喚以外の方法での特殊召喚も行える。


効果説明

(1)の効果

カード効果に対する耐性で、「マジェスペクター」の共通効果や《ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン》と似ている。
自身の攻撃力も高いため強力な効果だが後述する2つの効果も合わさることで凶悪さが増している。
なお、自分のカード効果の対象にもならず効果では破壊されないため、《永遠の魂》のデメリットでも破壊されず、このカードを先に出してから《異星の最終戦士》を出すことで自身は生き残りえげつないロックを仕掛けることもできる。


(2)の効果

相手のモンスターを破壊しつつその攻撃力分のダメージを与えるというとても攻撃的な効果。
「レッドアイズ」はバーン効果を持つものが多くそれを意識した効果だと思われる。
いわゆる「マグマックス」だが《No.61 ヴォルカザウルス》と違い対象を取らない上に裏側表示のモンスターも破壊でき自身の攻撃に制限もないため非常に強力。
対象に取らない効果は「狙った相手を破壊できないため場合によっては破壊したくないカードを破壊しなければならなくなる」という弱点があり、自分の場のカードを敢えて場から離して*1相手の自爆を狙う、という攻略法がある。
だがこのカードは「相手フィールドのモンスター1体を破壊し」と書いてあるためサクリファイス・エスケープをしたところで自爆するような事は無く、確実に相手に損害を与える事ができる

単純に高い攻撃力のモンスターを出していればそれが逆にアダとなりそのままゲームエンドにもなりかねない。
前述の耐性により《エフェクト・ヴェーラー》や《無限泡影》などが効かないため防ぐのも難しい。

融合素材にした通常モンスターの数まで1ターンで使用できるため《ブラック・マジシャン》と《真紅眼の黒竜》で融合召喚した場合2回も使用できる。
逆に融合素材代用効果を持つモンスターとドラゴン族効果モンスターを使用して融合召喚した場合や蘇生など融合召喚以外で特殊召喚した場合は使用できない。


(3)の効果

手札を1枚捨てることでカードの発動を何でも無効にして破壊した上に自身の攻撃力を1000上げるというとんでもないカウンター効果。
《ブラック・マジシャン》を融合素材にする融合モンスターである《超魔導剣士-ブラック・パラディン》を意識した効果だと思われる。
サイバー・ドラゴン・インフィニティ》と同じように効果の発動を無効にして破壊するため、魔法罠の墓地効果、永続魔法や永続罠の効果発動にも対応できてしまう。そして耐性によりヴェーラーや泡影を弾くのは上述の通り。

大抵のカウンター効果持ちモンスターは除去などのマストカウンターを撃って効果を使わせてから本命を通すことで対処できるが、このカードの場合は前述の耐性によりそもそも除去が効かないことが多く対処が非常に難しい。
効果を発動せずに戦闘破壊を狙うという手もあるが攻撃力が3000もあるためそれも厳しい。
また、どうにか使わせたとしても『カード効果耐性が高い攻撃力4000のモンスター』になるため突破は困難である。
因みにテキストを良く読めばわかるがこの効果による攻撃力の上昇は永続である。

変わったところでは攻撃力が上がることを活かし、相手の攻撃に合わせて自分のカードに対して発動することで、自身の攻撃力を上げて迎撃するといった使い方もできる。
最近のカードにしては珍しく名前で1ターンに1度の制限がないため2体並べると2回使えてしまう。

ただし、「無効にして破壊してから攻撃力を上げる」という効果なため、無効にしたが破壊できなかった場合には攻撃力を上げることはできないため注意。
具体的には墓地発動の効果を無効化したときなどである。
効果破壊耐性を持っているカードに対しては無効にすることはできるが破壊できず攻撃力も上がらない。

自己強化を抜きにしても、手札コスト1枚で最強サイクロンが撃てる効果は脅威だろう。

総評

このように圧倒的な出し易さに反比例した3つの強力な効果を持つ恐ろしいモンスターであり、
  • 先に出される:強固な耐性とカウンター+パンプアップ効果による凶悪な妨害で動きを縛られる
  • 後出しで出される:バーン効果により状況をひっくり返される上にカウンター効果で蓋をされる
という状態となる。意味が分からない。
対抗手段が少ないデッキだとこいつが出てくるだけで頭を抱えることになってしまう……というか大抵のデッキはこいつの登場を許すと頭を抱えることになる。
そしてレッドアイズモンスターなので《真紅眼融合》に対応している
融合素材に《ブラック・マジシャン》を指定しているため【ブラック・マジシャン】や【レッドアイズ】以外では出しにくいというわけでもなく、『LINK VRAINS PACK(リンク・ヴレインズ・パック)3』で登場した《捕食植物ヴェルテ・アナコンダ》と組ませて何にでも《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》を入れる決闘者が続出した。


というよりこのモンスターの本当に恐ろしいところはこれだけ凄まじい性能を持つにもかかわらず、特殊召喚に関する制限が一切無い点
通常モンスターを素材にした融合召喚でないと(2)の効果は使えないが、(1)と(3)の効果だけでも十分強いため、代用素材+ドラゴン族効果モンスターみたいな融合素材でも運用可能。
むしろデッキ内にバニラを入れなくて済むため、全体的なデッキパワーで見たらそちらのほうが強いという意見もある。
後述する様にEXデッキから色々な手段で融合召喚されるのはまだ序の口で、必死になって除去しても対応する蘇生手段があればまるで何事も無かったかの様に蘇ってくる。何ならそもそもとして融合召喚すらする必要がない
流石に融合召喚以外で出した場合は蘇生制限に引っかかるものの、元々出張カードだけで簡単に正規召喚出来る上にサポートに恵まれた要素をいくつも持っているので、場合によっては特化したデッキでなくとも何度も墓地から舞い戻る様を見る羽目になる。


纏めると簡単に出てくる割に異常なまでに強力
これ単独ならばまだどうにかできると言われることもあるが、《捕食植物ヴェルテ・アナコンダ》と《真紅眼融合》の併用等によりメインギミックのおまけに《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》がついてくることが大半。
カウンター効果と実質4000打点以上の《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》を対処しつつ、手札誘発や他の制圧モンスターにも対応することは困難を極める。


あまりの性能の高さで環境で暴れ回ったせいか、一部プレイヤーからは「公式オリカ」「パンドラとダイナソー竜崎の友情のカード」といったあだ名が付けられることに。

そして登場から僅か3ヶ月後の2020/4/1には制限カード指定を受けた。


相性の良いカード

普通に融合素材を用意して融合で出しても強いカードだが、お手軽に出せてしまう手段がいくつも存在している。

  • 真紅眼融合
レッドアイズ専用のデッキ融合魔法。ただでさえ強力な《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》がたった1枚で出せてしまう。
発動するターンに他の召喚・特殊召喚を一切行えないという重すぎる制約があるが、
《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》の性能をもってすれば許容できてしまう。
《捕食植物ヴェルテ・アナコンダ》で使うために出張採用されることも多いが、手札に来てしまってもそこまで致命的ではない。
なお、このカードを使って《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》を出す場合、《真紅眼の黒竜》を素材にする必要があり《真紅眼の飛竜》は使用できない。
また、このカードで出した《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》は《真紅眼の黒竜》扱いになるが《黒炎弾》の対象にはできない。
このカードも一時制限カードとなった。

ライフを2000払うことでデッキの融合魔法の効果をコピーできる捕食植物のリンクモンスター。
捕食植物サポートのように見えるが実際は効果モンスター2体で出せる汎用性が高すぎるモンスター。

お手軽ドラグーンの元凶とも言えるカードで普通のデッキに
《真紅眼融合》と《ブラック・マジシャン》と《真紅眼の黒竜》を出張させることで《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》が出せてしまう。
挙げ句に効果だけをコピーするため《真紅眼融合》の制約を無視できるのである。
デメリットとしてコピー効果の発動後はターン終了時まで特殊召喚できなくなる。

《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》が出せてしまえば些細なデメリットに見えるが自分フィールドに攻撃力が低い《捕食植物ヴェルテ・アナコンダ》が残ってしまい
攻撃でライフを削りきられてしまうこともあるため注意。
ライフコストを2000払っていることもあり、《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》を突破された途端にライフを削り切られゲームエンドに持っていかれてしまう可能性もある。
対策として《捕食植物ヴェルテ・アナコンダ》を出す前に《I:Pマスカレーナ》を出せば
相手ターンにL召喚で《捕食植物ヴェルテ・アナコンダ》をリンク素材として処理することができる。
このカードもドラグーンと一緒に制限カードへ。

海外先行で登場したSモンスター。融合素材代用効果と
自身を含めて自分フィールドのモンスターで融合召喚する起動効果を持つ。
自身を《ブラック・マジシャン》扱いにすることでドラゴン族効果モンスターと融合し《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》を出す事ができる。
《捕食植物ヴェルテ・アナコンダ》で出す場合と違いバーン効果こそ使えないがデメリットがないため展開の途中で出せるというメリットがある。
《ドロドロゴン》とドラゴン族効果モンスターを並べる方法としては
《星杯の神子イヴ》とレベル1で《ドロドロゴン》をS召喚することで
《星杯の神子イヴ》の効果で《星杯の守護竜》をリクルートするのが手っ取り早い。
もちろん、《ドロドロゴン》の横に《ブラック・マジシャン》か《真紅眼の黒竜》を出して融合召喚すればバーン効果も使用できる。

  • 円融魔術
魔法使い族版の《ミラクル・フュージョン》と言えるカード。
《真紅眼融合》や《捕食植物ヴェルテ・アナコンダ》で墓地に落とした融合素材を利用して出せる。
フュージョン魔法でもあるため《捕食植物ヴェルテ・アナコンダ》でコピーすることも可能。
付属のVEが再版されておらず、手前の《ブラック・マジシャン》強化で高騰していたこともあり現在非常にお高いカードだったが、RARITY COLLECTION -QUARTER CENTURY EDITION-で再録されたため価格は落ち着いた。

  • ティマイオスの眼
《ブラック・マジシャン》モンスターを融合素材とする融合モンスター専用の融合召喚魔法カード。
《ブラック・マジシャン》を素材に《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》が出せるので【ブラック・マジシャン】専用手段として有効。

上述の通り特殊召喚に何の制限もないのでライフポイント5000払ってこれ経由で出すこともできてしまう。除去効果は使えず蘇生もできないが、重いコストに見合った強さは保証されている。
サイキック族に種族変更し《念動増幅装置》を装備させることでコストを踏み倒し、
《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》《ナチュル・エクストリオ》《異星の最終戦士》《宵星の機神ディンギルス》
を並べるという、どうあがいても突破不能な布陣を1ターンで完成させるという極悪な先攻制圧コンボも存在する。

  • 融合呪印生物-闇-
デッキのスロットに余裕がない。《ブラック・マジシャン》を入れて事故率が上がることを忌避する場合の選択肢。
普通の【ドラゴン族】またはドラゴン族がそこそこ入っているデッキにこれを入れるだけで出すことができる。
《デビル・フランケン》同様に除去効果なしで、正規召喚ではないため蘇生も不可能だが、ドラゴン族は展開力に優れているため、条件を整えるのは非常に容易。効果使用済みの《青眼の亜白龍》を素材にすれば効率もいい。

  • やぶ蛇
デッキのスロットを割く必要もない地雷カード。
相手の《ハーピィの羽根帚》の後にこれを出せば相当悩ませることができるだろう。

  • 表裏一体
漫画版万丈目が使用した魔法カード。
主に【烙印】や【シャドール】、【ティアラメンツ】といった融合召喚を主軸とした【60枚GS】や、魔法使い族を主軸とした【ウィッチクラフト】で使用される。
《赫焉竜グランギニョル》や《ウィッチクラフトマスター・ヴェール》等光属性・魔法使い族・レベル8のモンスターを《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》へと変換することができる。
速攻魔法なのでサクリファイス・エスケープも可能。

対策になるカード

出てくると厄介極まりない《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》だが対策になるカードは少なからず存在する。
逆に言えば《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》を使う側もこれらのカードを意識する必要がある。

自分・相手フィールドのモンスターで融合召喚を行う融合速攻魔法。
《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》は闇属性であり先攻制圧だと隣にいることが多い《ヴァレルロード・S・ドラゴン》など
他にも闇属性がいることが多いためまとめて《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》にすることができる。
チェーン不可で対象を取らないため確実に《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》を処理できる。

  • 壊獣、サタンクロースなど
相手のモンスターを勝手にリリースして特殊召喚するモンスター。
厄介な制圧モンスターにとっては天敵とも言えるカード。
こちらも確実に《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》を処理できる。
逆に《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》側とも相性が良く融合召喚に邪魔になるモンスターを処理しつつ、バーン効果の的にできる。
被っても高打点を自分の場に出せるため、《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》の効果と合わせてゲームエンドに持って行くことも可能。

  • 捕食植物ヴェルテ・アナコンダ
《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》を出すために使われている《捕食植物ヴェルテ・アナコンダ》だが
《超融合》をコピーすることで逆に《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》対策としても使える。
《超融合》をコピーしてもチェーン不可にはならないが
リンク2を出す労力で《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》を処理またはカウンター効果を使わせることができる。
カウンター効果を使われた場合、ターン終了時まで特殊召喚できなくなるというデメリットも
無効になるためさらに展開することが可能。
指定したモンスターを闇属性に変更する効果を駆使すれば、ついでに《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》の横にいたモンスターを巻き込んで《捕食植物トリフィオヴェルトゥム》になることもできる。

  • 冥王結界波
そのターンの相手へのダメージは0になるがターン終了時まで相手フィールドのモンスターの効果を全て無効する魔法。
モンスター効果がチェーン不可で対象を取らないので《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》のカウンター効果と耐性を無力化することができる。
先攻制圧対策として海外先行で登場したカードだがわずか2週間という異例の早さで来日している。

自分のEXのカード1枚と同じ名前のモンスターを相手のEXから全て除外できる手札誘発。
自分から見せることで相手の《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》を出てくる前に処理できるため非常に強力な対策になる。
しかし、発動条件が自分より相手のフィールドのモンスターの方が多い場合なので
お互いにモンスターがいない状態で発動した《真紅眼融合》などには対処することができない。
また、必然的に自分も《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》を手に入れなければならないのも一つの課題である。

戦闘時に効果発動を封じつつ攻撃力5000になるエクシーズモンスター。
実質ランク4として出せるエクシーズで比較的出しやすく《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》を戦闘破壊できる。

  • ナイト・ドラゴリッチ
永続効果で幻竜族以外のデッキかEXから特殊召喚されたモンスターを守備表示にして守備力を0にする幻竜族。
流石の《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》も永続効果は効くため後出しで戦闘破壊できるようになる。

宣言した種類のモンスター(融合・儀式・シンクロ・エクシーズ・ペンデュラム)を発動したターン中は特殊召喚できず効果も無効にするカード。
ノーコストのフリーチェーン。
《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》を特殊召喚する行為に対してチェーンすれば場に降臨するのを阻止できる。
更に特殊召喚を許してしまっても、通したいカードを発動した後に《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》の無効化効果を誘ってチェーンすれば手札を1枚捨てさせつつ効果を無力化させることが可能。
先引きでも後引きでも活躍できるカード。

問答無用でフィールドの効果モンスターを根こそぎ無力化する。
というより《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》1枚止めた程度で現環境の強テーマが止まってくれるわけがないし、それどころか《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》を囮にして本命のソリティアコンボを通してくるので、確実に息の根を止めるためにはやっぱり組み込まれているデッキごと潰すしかなかったりする。

カード発動を伴わずに打点4000が現れるサンダイオンや効果発動に対してチェーンできないカミオンにはなにもできない。
この二種に限らず、時械神には戦闘効果破壊耐性があるため《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》では突破できない。
また、時械神デッキには戦闘サポートに壊獣が積まれていることが多いためにデッキ相性としても天敵と言える。

《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》を使う上である意味もっとも怖いカードがこれ。
蘇生に対する制限がないということは、なんらかの方法で倒された後で採用率の極めて高いこのカードで簡単に奪われてしまうということである。
破壊効果こそ無くなるが、圧倒的な制圧力が自分に牙をむいてくることになる。これを出すためにリソースを割いているとそのまま勝負がついてしまうこともざら。
強力すぎるカードゆえのもろ刃の剣の一面と言うべきか。

登場時期が近いこともあり、「ドラグーン対策用に作られた」などとまことしやかに語られる速攻魔法。
《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》の(2)(3)効果発動にチェーンしながら(1)耐性をすり抜けつつ動きを止めて弱体化させることができる。
《冥王結界波》や壊獣は相手ターンの間だと何もできないので先攻時に使いづらく、《次元障壁》などの罠は後攻時に遅くて使いづらいが、これは速攻魔法なので先攻でも後攻でも利用でき、柔軟性が高い。
状況によっては《捕食植物ヴェルテ・アナコンダ》の効果発動を直接止めにいくこともできる。
最大の欠点はリソース消費が非常に激しい点。これ以外にコストで最低1枚を消費するのに、これだけでは除去にまで至らない。

ここまで見れば察しの良い人は気がつくと思われるが、これらの対策カードは《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》に限らず大抵の制圧持ち大型モンスターにも通じる。
要するにこのカード特有の弱点というものが皆無なのである。
また、これらの対策カードの多くはメインデッキに投入される以上「引く」必要があり、上述した《捕食植物ヴェルテ・アナコンダ》によって非常に高い確率で登場し得る《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》に対して、引く必要性のあるカードは確実さの面で劣っている。
そしてこれらがサブギミックとして出張で用いられているということは、サブギミックを倒しても本命のメインギミックが襲ってくるということでもある。
他の制圧持ちモンスターが並んでいた場合、これらでも対応は難しくなる(後述する【リリーサードラグーン】はその筆頭と言える)他、オルターガイストサブテラーなど、メタの方向性が正反対のテーマに出張された場合、メタ張りが困難になる。


【リリーサードラグーン】

大会環境にて暴れ回るも次第に対策されてしまい、一時は環境からも追い出されてしまった【ドラグーンビート】が10期最終パックのETERNITY CODEで登場した《リンクロス》と共に辿り着いた最終形態。
その盤面は至極単純。《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》の横に《儀式魔人リリーサー》を素材にして出した《クラウソラスの影霊衣》を並べるだけ。
これにより相手プレイヤーはあらゆる特殊召喚を封じられる為、《超融合》や壊獣による除去が出来ず、ライトニングなどで上から殴る事はおろか碌に展開すら出来なくなってしまうと言う非常に凶悪な布陣。
数あるルートの内、一番手軽なルートが《水晶機巧-ハリファイバー》を利用するルートであり、

  1. 《水晶機巧-ハリファイバー》をL召喚、《幻獣機オライオン》をリクルート。
  2. 《水晶機巧-ハリファイバー》を素材に《リンクロス》をL召喚、リンクトークンを2体生成。
  3. 《幻獣機オライオン》とリンクトークンで《武力の軍奏》をS召喚、《幻獣機オライオン》の効果で幻獣機トークン生成。
  4. 《武力の軍奏》とリンクトークンで《虹光の宣告者》をチューナー扱いでS召喚。
  5. チューナーとなった《虹光の宣告者》と幻獣機トークンで《シューティング・ライザー・ドラゴン》をS召喚
  6. 《虹光の宣告者》の効果で《クラウソラスの影霊衣》をサーチ、《シューティング・ライザー・ドラゴン》の効果で《儀式魔人リリーサー》を墓地へ送る。
  7. 《クラウソラスの影霊衣》を手札から捨てて《影霊衣の反魂術》をサーチ。
  8. 《影霊衣の反魂術》で墓地の《儀式魔人リリーサー》を素材に墓地の《クラウソラスの影霊衣》を儀式召喚。
この時点で「《儀式魔人リリーサー》を素材にした《クラウソラスの影霊衣》」《リンクロス》《シューティング・ライザー・ドラゴン》が揃うので、
後は《リンクロス》と《シューティング・ライザー・ドラゴン》で《捕食植物ヴェルテ・アナコンダ》をL召喚して《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》を呼べば布陣が完成する。
また、《水晶機巧-ハリファイバー》を出す前に《彼岸の黒天使 ケルビーニ》で《儀式魔人リリーサー》を落としておけば、《シューティング・ライザー・ドラゴン》で《妖精伝姫ーシラユキ》を落とす事で時械神や《ナイト・ドラゴリッチ》《紅蓮魔獣 ダ・イーザ》の様に通常召喚で布陣を壊滅させてくるモンスターへの対策も可能となり、
《捕食植物ヴェルテ・アナコンダ》の闇属性化効果を使い、《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》で無効にして破壊する事で頭数を2に減らせばアドバンス召喚でこちらのモンスターをリリースしてくる《ラーの翼神竜ー球体形》への対策も可能となる。

《冥王結界波》の様に対策カードがない訳ではないが、一度この布陣が完成してしまえば後攻からひっくり返すには1枚では足りず、2枚以上使わないと突破出来ない。
《浮幽さくら》や《原始生命態ニビル》などの手札誘発を使って展開途中で妨害して阻止するしか確実な対策はない。
しかし、手札1枚から成立するルートすらある為に、運が悪ければ余った手札で別ルートからの展開や《墓穴の指名者》《抹殺の指名者》と言ったカードで妨害への対処をされる可能性すらあるので確実な対処とも言えない。

あまりにも簡単かつ凶悪な布陣が敷けてしまう為、2020/4/1の改訂にて《儀式魔人リリーサー》が禁止カードとなった為にこのデッキは消滅した。

……のだが、中核となる《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》《真紅眼融合》《捕食植物ヴェルテ・アナコンダ》《リンクロス》が制限で踏み止まった為に【ドラグーンビート】は消えておらず、
ルール改訂によるEXからの特殊召喚制限緩和にも後押しされて【ミドラーシュドラグーン】や【クリスティアドラグーン】、【V.F.D.ドラグーン】として転生を果たしている。

そして禁止へ……

その後2020/04/01の改定による規制、及び《禁じられた一滴》・《獣王アルファ》など《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》の存在を意識したかのような対象を取らない破壊以外の除去や無効化効果を持つカードが次々と登場。
これらにより、かつてほど《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》は暴れなくなったものの、容易すぎる召喚難易度と、それに反比例する強固な体制と凶悪な制圧能力によって依然として環境内で出張は多く見られた。
半端な切り札モンスターや名称2体融合などは「すまん、それドラグーンでよくね?」となっていた面もあり、こうした現状にはさすがに公式も看過できず、2020/10/01の改定でついに禁止入りとなった。
同時に《真紅眼融合》も冤罪を認められ釈放されたが、レッドアイズ使いはその重すぎる制約に再び悩まされることに。
どちらにせよ《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》本体はあまり惜しまれなかった。

ただし、2022/4/1にはお手軽アクセス手段だった悪友たる《捕食植物ヴェルテ・アナコンダ》も禁止入りとなったのでどんなデッキでも採用できるわけではなくなり、インフレが進んだ今では……否、当時からして《真紅眼融合》のデメリットが非常に重すぎて現状使い物にならないため《真紅眼融合》から出す分には割と適正な強さになりつつあるが、
《ドロドロゴン》と適当なドラゴン族モンスターの組み合わせで出す分には何の影響もなかったり、融合効果を持つドラゴン族融合モンスターの《神炎竜ルベリオン》とそれをデッキ融合出来る烙印融合から《アルバスの落胤》+《ブラック・マジシャン》の組み合わせで擬似的にデッキ融合が可能だったり、そもそも元から融合召喚以外でも特殊召喚可能だったりと《真紅眼融合》以外でも出す方法はまだ多く残っており、展開への制約をすり抜けて出す分には未だに相応のパワーである。

影響と今後

このカードはレッドアイズに対して致命的な風評被害をもたらしている。
先の通りレッドアイズとは名ばかりの《ブラック・マジシャン》カードなのにもかかわらず、レッドアイズに対するヘイトが一部から向いていた。
同時に「レッドアイズテーマは強い」という実態とは一切噛み合わないイメージすら付いている。
そもそもこういった一足飛びに強いカードが出た背景には、レッドアイズが抱える問題の一つである
「《真紅眼融合》の制約に対し出せるモンスターの強さが見合っていない」という点を補おうとした形跡がある。
じゃあなんでレッドアイズ以外も素材として使用可能にしたんだよというツッコミは大いに認める
同じレッドアイズでエラッタもされたカードと言えばレダメの存在もあるが、レッドアイズは時折こういったぶっ飛んだカードが出てくる。

しかし、レッドアイズテーマのカードとして見ると
  • 《ブラック・マジシャン》に素引きした際の役割が無い
  • 自分のカードの効果を受けないため《黒炎弾》を始めとしたレッドアイズサポートの対象になれない
  • 魔法使い族のため他のゾーンでもドラゴン族サポートが受けられない
といった点が足を引っ張り「単体のカードとしては確かに強力だが、レッドアイズが特段上手く使えるわけではない」という微妙な立ち位置。
そのためエラッタでの釈放よりも《真紅眼融合》以外の路線への舵切りや、よりレッドアイズと相性のいい別の融合体の登場の方が望まれていた。

今でも最大のやらかしカードとしてよく話題にあがるが、実を言うと現在はそうでもない。
というのも出張採用の主犯であった《捕食植物ヴェルテ・アナコンダ》が禁止カードに指定され、展開の途中にポン出しすることが不可能になったことや遊戯王OCG全体のカードパワーの上昇もあってもはやその評価が過去になっているためである。
「出せれば強いが出せるデッキは限られるし、《ブラック・マジシャン》素引きなどの事故リスクを高めてまで取るカードかと問われれば微妙」
「そもそも現役当時ですら展開のついでにこれ出てくるから強いんであってこれを出すことを目的にしたデッキは強くなかった」
くらいの評価に落ち着きつつあり、もういいだろうということで釈放を求める声も多かった。

禁止解除

その後、2024年10月1日に禁止解除され、制限カードとして復帰することに
理由としては上でも述べられてるように、単体のカードとしては確かにカードパワーは高いものの、現代の環境ではこのカードのみで戦えるかと言えばそうでもなく、展開のついでに出そうにも出張採用の主犯であった《捕食植物ヴェルテ・アナコンダ》が禁止となってしまい難しいし、もっと簡単に制圧できる方法が溢れているので、禁止を解除しても問題ないと判断されたのだろう。
それでも《ブラック・マジシャン》デッキ等出しやすいテーマや展開のついでに出す手段はあり、やはり出ることができれば強いカードであることは変わらないため、今後の活躍が期待されている。
再録されていない影響もあり、禁止解除後は高値で取引されており、2025年1月現在入手には若干骨が折れる。

ただ融合軸のレッドアイズにおける各種カードは、現実問題《真紅眼融合》くらいでしか場に出すことも難しく、そうなると1枚展開しか出来なくなるため
ドラグーン以外は全ていらない子になってしまったのは悲運としかいいようがない。それ以前からレッドアイズのエースカードは使えないカードだらけだろというツッコミは認める

さらにマスターデュエルでは2024年12月6日より一気に無制限まで解除。加えてこちらでは《捕食植物ヴェルテ・アナコンダ》が制限カードとして留まっており、往時の出張セットが再現可能になっている。
アナコンダを維持した上での解禁には驚きの声が多かったが、出張を前提としたテーマが増加していることや、その中でも手札に来るリスクが重い最上級通常モンスターを投入する必要がある点、《真紅眼融合》を素引きしてしまったらデッキに戻す手段がない限りは「本来の展開と「ドラグーンの融合召喚」の両立が出来ず手札事故になってしまう点から相対的に問題は無いと判断された形か。


余談

ちなみに、
  • 「容易な召喚難易度」
  • 「強固な耐性」
  • 「高い制圧能力」
の3拍子そろったモンスターが禁止カードとなるのはいくつか前例があり、《マジェスペクター・ユニコーン》と《真竜剣皇マスターP》がある。
要するにこの3つを両立させちゃダメという経験的な教訓があるのだが、なぜまたこうも同じ過ちを……

ちなみに《マジェスペクター・ユニコーン》は一足早く禁止解除、同タイミングで制限解除されており、《真竜剣皇マスターP》も同タイミングで禁止から制限に復帰している。
現在の遊戯王がどれだけの魔境かを象徴しているようである。


追記・修正は、LEGENDARY GOLD BOXを複数個買ったものの一枚もこのカードを手に入れられなかった*2人がお願いします。

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  • 元禁止カード
  • 制限カード
  • 効果破壊耐性
  • 元高額カード
  • 発動無効
最終更新:2025年04月16日 11:06

*1 通称「サクリファイス・エスケープ」と呼ばれるテクニックである

*2 以前までのセット商品には、新規カードは商品を買えば確実に手に入れたのだが、この商品は新規カードが12種類でありながら最大6種類までしか手に入らず、それの影響もあってこのカードの値段が高騰していた。