風属性(遊戯王OCG)

登録日:2021/11/22 Mon 20:37:26
更新日:2025/03/12 Wed 23:58:48
所要時間:約 26 分で読めます





俺の道はとともにある。

そのバカでかい斧じゃとらえることはできないぞ。


風属性とは、遊戯王OCGにおけるモンスターの属性の1つ。
地属性とは対の扱いを受けている。



概要

といえば「空」、延いては「翼」や「羽(翅)」を連想させるからか、鳥獣族ドラゴン族昆虫族などの飛行能力を有する姿形をしたものが多い。
それらに加えて「魔法や超能力で風を起こす」様をイメージしやすいからか魔法使い族サイキック族のモンスターもやや多めか。
特に《風魔神-ヒューガ》や《風の精霊》といったOCG最初期に登場した「風」を象徴するモンスターは魔法使い族になる事も多かった。
これは「炎属性炎族」「水属性水族」「地属性=岩石族」のような風の生命体を担当する種族が存在しなかったのが大きな理由だと考えられている。

かつての風属性は他属性と比較すると不遇な属性とされてきた。
所属モンスターの総数や強力なサポートカードが少なく「デッキを風属性で固める意味が薄かった」ためである。
これはどういう事かというと、例えば「風属性モンスターは鳥獣族が多い事から、鳥獣族主体の風属性デッキを組んだ」とする。
その場合、「なら微妙な風属性サポートの枠を有用なゴドバやビースト系サポートにして鳥獣族に特化させた方が強いだろ」と帰結してしまうのだ。
闇属性ウイルスカード光属性の《オネスト》などのような「風属性デッキを組む上での絶対的な強みや理由」となるカードが当時は無かったのである。

また、《女忍者ヤエ》や《風帝ライザー》、《風霊術-「雅」》などから窺えるように、長らく「風属性」といえば「バウンス」の属性であった。
しかし当時から《アビス・ソルジャー》や《ペンギン・ナイトメア》などを擁する水属性と比較され、「風属性の特色・個性」として主張するには弱かった。
何故か同時期に両者に似たような効果のカード*1が出る事もあり、その場合大抵水属性側の方が扱いやすかったり有名だったのも逆風となったか。
そんな中、OCG第9期頃からEXモンスターに有効な除去としてバウンスが注目されはじめる。
ここで風属性を推してくれれば良かったのだが、KONAMIの出した答えは「様々な召喚法・種族・属性のテーマへのバウンス効果の大量配布」であった。
結果、《星輝士 トライヴェール》、《クリフォート・エイリアス》、《ジェット・ウォリアー》などバウンス効果を持ったカードが他属性でも続々と登場。
《風帝ライザー》や《風霊術-「雅」》の特色だった強力な「デッキバウンス」も《爆竜剣士イグニスターP》や《冥帝エレボス》などが揚々と行うように。
もちろん《烈風帝ライザー》などバウンス効果持ちの風属性モンスターも増えたが、「バウンス=風属性」という個性はさらに薄れてしまった。

そして風属性モンスターが少ないという事は、同時にアニメシリーズや漫画作品における風属性デッキ使いも少ないという事も意味している。
使い手が少ないだけでなく、「作中のキーカード群に6属性で風属性のみ該当カードが極端に少ない、最悪1枚も存在しない」という事態も頻発していた。
例えばZEXALシリーズNo.は、CNo.やSNo.など派生形を含め合計150枚近くのカードが属する中で風属性は「偽2」と「偽3」と「42」と「75」の4枚しか存在しない。

まとめると、当時の風属性は所属カードも、強みも個性も、アニメや漫画での出番すらも少ないと、まさに不遇としか言えない状態であった。


しかし、そんな第9期において、ついに追い風が吹く事となる。
当時放送中だったアニメARC-Vにおいて、風属性のテーマデッキを使うキャラクターが続々と登場。
中でも主要キャラであるユーゴ(とリン)の使用カードは有用な効果を持ってOCGされ、瞬く間に風属性デッキの新たなスタンダードとして受け入れられた。
両者の使用デッキがS召喚に特化したデザインだった結果、風属性といえば(シンクロ)召喚という、新たな個性を得る事ができたのである。
その影響もあってか、現在では「複数の召喚法を操るテーマのS召喚担当として風属性モンスターが登場する」機会も増えてきている。
例として、DDDの《DDD疾風王アレクサンダー》、@イグニスターの《ウィンドペガサス@イグニスター》、旧神・古神・外神の《古神ハストール》が挙げられる。

もちろん、シンクロモンスター以外の風属性モンスターだって負けてはいない。
《オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン》や《鳥銃士カステル》、《マジェスペクター・ユニコーン》など同時期に登場し環境で活躍したモンスターも存在する。
加えてこの第9期では「霊魂」の切り札として《霊魂鳥神-姫孔雀》と《霊魂鳥神-彦孔雀》という風属性初の儀式モンスターも登場している。
ちなみに今カード名を挙げた5枚全員がバウンス効果を持っており、薄れはしたがやはりバウンスの特色は残されているようだ。

テーマと共に所属カードも増え、新たな個性を得つつ強力な新規カードも登場し、アニメでもプッシュされた。
OCG第9期を経て、風属性はまさに追い風に乗ったが如く全速前進する事となったのだ。
……だが第10期以降は目立ったプッシュもほぼ無く、第12期終盤の現在では再び不遇な立場へと戻りつつあるのが現状である。
同じく不遇属性として有名だった炎属性は第12期で猛プッシュされ見違えるような優遇属性へと返り咲いたため、風属性もその後に続けるのを祈るばかりである。



代表的な風属性関連カード

個別項目のあるものは下線付きで表記。これ以外は タグ:風属性 も参照。

メインデッキの風属性モンスター

通常モンスター

原作主人公のが使用したモンスターの1体で、原作漫画において初めて登場した風属性モンスター。とりでをまもるよ
原作では飛行能力により35%の確率で攻撃を回避できる特殊能力を持ち、その際のやり取りや何ともいえない数値を度々ネタにされる。

効果モンスター

  • 《女忍者ヤエ》(☆3)
手札の風属性モンスターをコストとして捨てると相手の魔法・罠を全てバウンスする効果を持つ忍者モンスター。
ちなみに元ネタは自社キャラの「ヤエちゃん」。
当時では貴重な風属性に関する効果を持ったカードであり、《神鳥シムルグ》とのシナジーからストラクチャーデッキ「烈風の覇者」にも収録された。

召喚・特殊召喚時に墓地の風属性チューナーを効果無効の状態で蘇生できるモンスター。
ガスタ】や【SR】といったシンクロ主体の風属性デッキで活躍するスーパー幼女。

  • SR(スピードロイド)タケトンボーグ》(☆3)
  • SR(スピードロイド)ベイゴマックス》(〃)
どちらもSRの一員で、前者は自分フィールドに風属性モンスターが存在する場合、後者は自分フィールドにモンスターが存在しない場合に手札から特殊召喚できる。
更に前者はデメリットと引き換えにSRのチューナーをリクルートでき、後者は同名カード以外のSR1体をサーチ可能。
風属性デッキの展開をサポートしてくれるこの2体はランク3を出す出張セットとしても有名で、後者は現在準制限カード指定となっている。

  • 《風征竜-ライトニング》(☆3)
  • 《嵐征竜-テンペスト》(☆7)
OCG第8期に登場し当時の環境を征した征竜の風属性担当。
《嵐征竜-テンペスト》の持つ固有効果は属性を問わないドラゴン族1体のサーチであり、【征竜】の潤滑油ポジションとして活躍。
だが、固有効果が他の3体のような汎用効果でもなければ風属性サポートでもなかったため割を食った【風属性】使いは枕を濡らした。
ドラグニティ】や【アームド・ドラゴン】といったドラゴン族主体の風属性デッキではその性能を十二分に発揮できるのだが……。

風属性の最上級通常モンスターアドバンス召喚する際に、このカード1体で2体分のリリースコストに使えるダブルコストモンスター
詳しくは項目参照。どうしてこうなった。

漫画版GXに登場したE・HERO。詳しくは項目にて。
ガジェットに通じる汎用性の高い効果から当時は【HERO】系列以外のデッキでも採用され、名前を皮肉り「空気の読めない男」呼ばわりされる程に大流行した。

  • 《ドラゴンフライ》(☆4)
属性リクルーターの風属性担当。
かつては【アームド・ドラゴン】デッキなどで採用され、アニメGXでも万丈目準が同デッキに投入していたのが確認できる。
トンボのモンスターなのに英語名をカマキリにされたり初期のゲーム作品で炎を吐くドラゴン扱いされたりと、珍妙なキャラ付けに定評がある。

EXTRA PACK 2012」で来日した海外新規カードの1枚。
フィールドから離れるという非常に緩い条件で同名カードをリクルートできる効果を持ち、海外の環境で大暴れ。
その結果、なんと来日前に準制限カードに指定されるという前代未聞の事態に。
しかし風属性・獣戦士族というどちらも冷遇気味の組み合わせだった事も手伝ってか、現在は制限解除されている。

  • 《風帝ライザー》(☆6)
  • 《烈風帝ライザー》(☆8)
アドバンス召喚した場合に固有効果を発動できる帝モンスターの風属性担当で、ドローロックにもなるデッキバウンス効果を持つ。
特に《風帝ライザー》は当時デッキトップバウンスが強力だったために制限カードにまで指定された経歴を持つ。
その実績から歴代の強力カードを収録した再録パックGOLD SERIES」でも第一弾の再録枠に抜擢されるという名誉ある帝モンスター。
家臣の《風帝家臣ガルーム》も抱えている。

  • 《怪粉壊獣ガダーラ》(☆8)
相手モンスター1体をリリースして相手フィールドに特殊召喚できる壊獣の風属性担当。
《烈風の結界像》を突破できる属性とサーチの容易な種族、ガスタの自爆特攻1キルや《風霊媒師ウィン》の効果の射程範囲にギリギリ届かない攻守を持つ。

  • 八汰烏》(スピリット・☆2)
「ヤタロック」の通称で知られる恐怖のドローロック効果を持つ、元祖禁止カード
ちなみに鳥獣族ではなく悪魔族。その所業はまさに悪魔さながらであった。

  • WW(ウィンド・ウィッチ)-スノウ・ベル》(チューナー・☆1)
WWのチューナーモンスターで、自分フィールドに風属性が2体以上並んでいると特殊召喚できる。
このカードを使って出した風属性シンクロモンスターに効果破壊耐性を付与する効果もあるため、攻撃力の高い大型モンスターへ積極的に繋げたい。

妖怪少女の風属性担当。相手が特殊召喚したモンスターの効果を無効にでき、さらにそのモンスターが場を離れるとそのモンスターの攻撃力分ダメージを与える。
手札誘発の無効カードとして有名な《エフェクト・ヴェーラー》と《無限泡影》が競合相手となるが、あちらとは属性やバーン効果で差別化したいところ。

  • SR(スピードロイド)カールターボ》(チューナー・☆3)
SRの一員で、風属性が場に存在すると自身を手札から特殊召喚できるが、こちらはターン終了時まで風属性以外の効果発動を封じるデメリットがある。
その代わりに墓地から他のSRと共に除外すると場の風属性全員の攻撃力を800アップする効果を持つため、攻勢をかける際に重宝する。

  • SR(スピードロイド)吹持童子(ふきもどうじ)》(チューナー・☆4)
SRの一員で、場の風属性を参照する手札補充効果と墓地から自身を除外する事で場の風属性モンスターのレベルを下げる効果を持つ。
単純にレベル4チューナーとしても扱いやすく、《SRタケトンボーグ》や《HSRカイドレイク》あたりと共に他所の風属性デッキに出張させる事も可能。

霊使いの風属性担当。かわいい。

後に新たな力を得てレベルアップした《風霊媒師ウィン》も登場。
こちらは風属性に関する2つの効果を持っており、特に守備力1500以下の風属性をサーチできる効果が強力。

  • 《風の精霊 ガルーダ》(特殊召喚・☆4)
  • 《シルフィード》(〃)
墓地の風属性1体を除外することで手札から特殊召喚できるレベル4の特殊召喚モンスター。
召喚条件はどちらも同じなので、ステータスや効果の差でどちらを採用するか決めたい。
鳥獣族を活かせる【ドラグニティ】などでは前者が優先され、後者は貴重な種族から【風属性】デッキで《スモール・ワールド》を使う際の中継役に適する。

  • 《風霊神ウィンドローズ》(特殊召喚・☆8)
「自分の墓地の○属性モンスターが5体の場合」に手札から特殊召喚できる霊神の風属性担当。
特殊召喚成功時に発動する《ハーピィの羽根帚》を内蔵している。見た目がちょっとキャベツや葉牡丹っぽい。
除去効果自体は弱くはないがこのカードを活用できるデッキや環境に恵まれず、同弾同レアリティの征竜目当てのプレイヤーからハズレア扱いされた悲しきカード。

  • 《烈風の結界像》(☆4・禁止カード)
属性単位で特殊召喚を封じる石像群・結界像シリーズの風属性担当。
結界像の共通効果の通り風属性以外の特殊召喚を封じるが、風属性は属性としてはマイナー気味なため結界像の中でも拘束力は強い。
加えて《RR-アーセナル・ファルコン》ランク7や《王神鳥シムルグ》で出せる点が災いし、2023年1月に結界像唯一の禁止カード入りという事態に。

儀式モンスター

  • 《ネフティスの繋ぎ手》(☆2)
ネフティスの鳳凰神》をルーツに「デッキビルドパック」でテーマ化を果たした【ネフティス】に属する儀式モンスター。
儀式召喚成功時に所属テーマの儀式モンスター1体をデッキから儀式召喚する*2という前代未聞の効果を持った同デッキのキーカード。

  • 霊魂鳥神(エスプリット・ロード)彦孔雀(ひこくじゃく)》(スピリット・☆8)
  • 霊魂鳥神(エスプリット・ロード)姫孔雀(ひめくじゃく)》(〃)
《霊魂の降神》で降臨する儀式モンスターたち。
上記でも触れた通りOCG第9期になってようやく登場した風属性初の儀式モンスター。
さらにはスピリットモンスター初の儀式モンスターでもあり、登場時はその全く前例のない組み合わせが話題となった。



エクストラデッキの風属性モンスター

融合モンスター

アニメGX主人公・遊城十代のフェイバリットヒーロー。
右腕から炎を飛ばす攻撃方法も攻撃名「フレイム・シュート」も完全に炎属性の様相だが、実は風属性のモンスターである。

シンクロモンスター

  • 魔救の奇跡(アダマシア・ライズ)-ラプタイト》(☆6)
アダマシアシンクロモンスターの風属性担当。
自分の墓地に風属性モンスターが存在していると相手の墓地のカードを除外できる。
デッキの岩石族を掘り起こして特殊召喚するアダマシアらしい効果も持っているが、こちらの効果を風属性デッキで活用するのは難しいだろう。

ユーゴの切り札。
青眼の白龍》に並ぶ攻撃力3000に加え、モンスター効果へのカウンターや攻撃力上昇の効果を持つためモンスター戦には滅法強い。
その強力な効果からS召喚主体のデッキや《アルティマヤ・ツィオルキン》を使うデッキにおける主力モンスターとしても人気のカード。

アニメ5D's主人公・不動遊星のエースモンスター。今のところ歴代主人公のエースモンスターで唯一の風属性でもあるふつくしいシンクロモンスター。
汎用的なシンクロモンスターではあるが、主人公のエースというだけあってサポートカードや派生・進化形態も多く、専用デッキの構築も楽しめる。

  • 《ハーピィ・レディ・SC(スクラッチ・クラッシュ)》(☆8)
《ハーピィ・レディ》のリメイクモンスターにして必殺技カード
貴重な「特定のカードをチューナー扱いでS素材にできる」シンクロモンスター*3であり、【ハーピィ】であればチューナーを投入しなくても採用可能。
このカードの収録パックには城之内に縁のある人物の所有カードをEXモンスターにリメイクしたカードが収録されており、S召喚担当は風属性である彼女。

まさかのOCG化で話題を呼んだデルタアクセルシンクロモンスター。レベル・攻守共に風属性最高のステータスを持つ
《神の通告》・《神の宣告》・《攻撃の無力化》を思わせる相手の行動を抑え込む強力な効果を持った、S召喚デッキにおける1つの到達点及び切り札である1枚。

エクシーズモンスター

見た目が某オエー鳥みたいなガスタのエクシーズモンスター。
効果を使うと自身を含む風属性モンスターが2回攻撃できるようになり、かつての環境デッキ【代行天使】で使用された実績も。

対象の表側モンスターを裏側守備表示にしたり、表側カードをなんでも1枚デッキバウンスできる汎用ランク4エクシーズ。
特に2つ目のバウンス効果は激戦区であるランク4の中でも特に扱いやすい除去効果として高く評価され、当時は高い採用率を誇った。
だが同時に《交響魔人マエストローク》など多くのランク4の先輩たちから居場所を奪ってしまった罪作りな1枚でもある。

  • 《電光千鳥》(★4)
「風属性レベル4モンスター×2」をX素材に指定するエクシーズモンスター。
X召喚時にはデッキの一番下に、起動効果でデッキの一番上に、それぞれカードをバウンスできる。
《風帝ライザー》と《風霊術-「雅」》の両方を思わせる効果を併せ持つ、実に風属性モンスターらしい1枚。

「特定のモンスターの上に重ねてX召喚できる」エクシーズモンスターの1体で、ランクが5or6のエクシーズモンスターに重ねてX召喚が可能。
聖刻】や《No.61 ヴォルカザウルス》とのシナジーで大暴れしたせいか、以降の「重ねてエクシーズ」モンスターは条件や制約が厳しめなものが増えた。

リンクモンスター

  • 《グレートフライ》(L2)
属性強化リンクモンスターの風属性担当。「風属性モンスター2体」でL召喚できる。
相反する地属性モンスターを弱体化しつつ、強化と回収という2つの効果で風属性をサポートする。
当時は対となる《ミセス・レディエント》が早々に出た癖にマーカーが下向きの汎用風リンクモンスターは皆無だったため、風属性使いたちから大歓迎された。

  • 蒼翠(そうすい)の風霊使いウィン》(L2)
リンクモンスター化を果たした《風霊使いウィン》。「風属性モンスターを含むモンスター2体」をL素材に指定する。
相手墓地の風属性を奪う効果に加え、被破壊時に守備力1500以下の風属性をサーチできる効果を持つ。
6人いるリンク霊使いの中でも特に高額な事で知られ、最も貴重な20thシークレットレア仕様は2025年3月時点で1枚20万前後の値が付く超レアカードとなっている

  • 《王神鳥シムルグ》(L3)
「鳥獣族モンスターを含むモンスター2体以上」をL素材に指定するシムルグのリンクモンスター。
3つの効果を持ち、特にエンドフェイズに鳥獣族を特殊召喚する効果が強力。
《霞の谷の巨神鳥》や《烈風の結界像》を自身のリンク先に出して相手の動きを強く阻害する動きを危険視され、TCGでは禁止カードに指定されている。



魔法・罠カード

  • 《ガルドスの羽根ペン》(通常魔法)
墓地の風属性2枚をデッキに戻しつつ、フィールドのカード1枚をバウンスする魔法カード。
ガスタや《スターダスト・ドラゴン/バスター》など、デッキに戻す事に意味のある風属性を回収できるとより良い。
ちなみに「ガルドス」とはガスタモンスターの1体《ダイガスタ・ガルドス》の事。あちらも墓地のカードをデッキに戻して単体除去を行う効果を持っている。

  • 《サモン・ストーム》(通常魔法)
手札の風属性モンスターを特殊召喚できる2つの効果を持つ魔法カード。
基本的には《二重召喚》で充分だが、レベル5・6の上級モンスターも出せる点で差別化したい。

  • 《猛毒の風》(永続魔法)
風属性モンスター渾身の必殺技カード……ではなく、風属性全般に対するメタカード
お互いに風属性モンスターが特殊召喚できなくなる効果・フィールド全ての風属性モンスターの攻撃力を500ダウンさせる効果を持つ。
刺さる対象がピンポイントなので、風属性が環境で台頭している環境でない限り見かける事は稀だろう。
逆に台頭している場合は相手がサイドデッキから投入してくる可能性もあるので、発動されたら最優先で割るべし。

  • 《デザートストーム》(フィールド魔法)
風属性モンスターの攻撃力を500ポイントアップ、守備力を400ポイントダウンさせるフィールド魔法。
登場当時の第2期はともかく現在はマイナーなカードだが、全体強化は馬鹿にならない。
他属性と比べると風属性がマイナー故に逆利用される頻度も低め。

  • 霞の谷(ミスト・バレー)神風(しんぷう)》(フィールド魔法)
自分フィールドの風属性モンスターが手札に戻るとデッキから風属性モンスターを特殊召喚できるフィールド魔法。
宣言時は「神風」を「かみかぜ」と読まないように注意。
当時では貴重な風属性サポートであったが、《重爆撃禽 ボム・フェネクス》などを使った1キルデッキを生み出してしまい、制限カードに指定された事がある。

  • SR(スピードロイド)デュプリゲート》(通常罠/チューナー・☆1)
墓地の風属性を除外して相手のカードをバウンスする効果と、場のSRのレベルを1つ下げてレベル1チューナーとして特殊召喚される効果を持つ罠カード。
OCG第11期にてようやく登場した、風属性初にして2025年3月の現時点で唯一の罠モンスター

  • 《風霊術-「雅」》(通常罠)
風の霊術。風属性モンスター1体をリリースし、相手の場のカード1枚をデッキの下にバウンスする罠カード。
罠カードなのでサクリファイス・エスケープで使いたいところ。

  • 《ハーピィの羽根吹雪》(通常罠)
ハーピィカードの1枚。正確には「風属性」ではなく「風属性・鳥獣族」のサポートカード。
相手の発動したモンスター効果をそのターン中無効にできる。
【ハーピィ】や【LL】など採用できるデッキは限定されるが、効果自体は非常に強力。
相手に破壊された場合は制限カードの《ハーピィの羽根帚》をサーチorサルベージできるというのも見逃せないポイント。
灰流うらら》?何それ美味しいの?



主な風属性テーマ

(※:風属性以外の属性との混合テーマ)

原作・アニメ登場の風属性デッキ

+ ←クリックして展開
ご存じ孔雀舞の十八番。セクシーな女性型の鳥獣族と彼女らのペットであるドラゴン族で構成されている。
お馴染みの魔法・罠除去や華麗なる分身に加え、現在はS・X・L召喚と多彩な戦術を披露できる。
原作遊戯王出身カード故か、わりと高頻度で強化・関連カードをもらえている優良テーマ。

ドラゴン族のLVモンスター及びその関連カードが属するテーマ。
使用者である万丈目をイメージしたリメイクモンスター「アームド・ドラゴン・サンダー」の登場時は大反響を呼んだ。
ほぼ全員が風属性だが、ダークモンスターの《ダーク・アームド・ドラゴン》が闇属性である他、光属性の派生・リメイクカードが数枚存在する。

伝説を生む男、ネオ・ニュー・沢渡が使用したテーマ。
デザインモチーフは妖怪であり、一斉にフィールドに現れて相手の場やライフを荒らしターン終了と共に姿を消す様はまさに変幻自在の妖怪の如し。
堅実なメタビート型とロマンあるペンデュラム召喚型、2つの戦術が楽しめる。

風属性・機械族統一テーマ。地味に「ロイド」であり、あちらのサポートを享受できたり新規カードの効果に影響を与えたりしている。
高い展開力からのユーゴー……ではなくシンクロ召喚を主体としている。ランク3エクシーズ?なんのことやら。
関連カードのドラゴンたちも含め、テーマ名を問わずに使える風属性サポートや汎用風属性を多数輩出した風属性デッキの救世主。

  • WW(ウィンド・ウィッチ)
    • 使用者:リン
バーン戦術を主体とした風属性・魔法使い族統一テーマ。
《WW-アイス・ベル》を使った連続S召喚で耐性付きの大型シンクロモンスターを呼び出す戦術が強力。
SRと共に、OCG第9期以降の風属性の方向性を決定付けた開拓者にして風属性デッキ隆盛の立役者といえる存在。

同じ鳥娘でもセクシー路線なハーピィと異なり、可愛さを重視したようなデザインの風属性・鳥獣族統一テーマ。
RUMを使う事でより高いランクを目指す【RR】とは対照的に、レベル・ランク1のモンスターを主体としたテーマとなっている。
しかし小鳥と侮る事なかれ。鉄獣戦線や2021年に追加された新規カードを組み込んだ構築は当時の環境で結果を残す程の高いデッキパワーを持つ。

  • B・F(ビー・フォース)
    • 使用者:シンジ・ウェーバー
格差社会の打破を目指す革命家が使用した風属性・昆虫族統一テーマ。「・」を抜くと違うテーマになってしまうので注意。
連続攻撃やバーンで相手を襲撃し、ライフ・アドバンテージを奪いにかかる攻撃的なモンスターが多いのが特徴。
長年関連カードに中々恵まれなかったコモンズの昆虫族使いたちにとって、彼女らの登場はまさに革命の嵐となった。



OCGオリジナルの風属性デッキ

+ ←クリックして展開
DT産の風属性テーマの1つ。デッキから特定のモンスターを特殊召喚する「リクルート」が主体のテーマ。
ガスタの巫女 ウィンダ》や《ガスタの静寂 カーム》などの美少女カード、いわゆる「アイドルカード」の存在が有名。
エースの《ダイガスタ・スフィアード》を使い、同胞に自爆特攻を強いる少々残酷でトリッキーな戦術も有名。

テーマ名を冠した「幻獣機トークン」などのトークンを駆使して戦う、戦闘機をモチーフとしたミリタリーな風属性・機械族統一テーマ。
他所のカードとの組み合わせ方次第で様々な戦術を用意できるが、その分扱いが容易ではない玄人向けなテーマ。
水晶機巧-ハリファイバー》現役時は《幻獣機アウローラドン》と《幻獣機オライオン》のセットが多種多様なデッキに出張し活躍していた。

楽器をモチーフとした風属性・機械族統一テーマ。
シンクロ召喚などの様々な召喚法をアシストするのが得意であり、デッキ構築次第では多種多様なモンスターを呼び出せる。
追加カードが来るまではチューナーモンスターしか存在しなかった時期もあり、後の召喚獣のような「出張前提のテーマ」の開祖といえる存在かもしれない。

鳥獣族の最上級モンスターを主体としたテーマで、魔法・罠カードに関する効果を持つものが多い。
風属性初のストラクチャーデッキ「烈風の覇者」のパッケージを飾った《神鳥シムルグ》を開祖とし、13年の時を超えテーマ化を果たした。
ほぼ全員が風属性だが、《ダーク・シムルグ》の関連カードは「効果によって風属性としても扱う闇属性」となっている。

DT産の風属性テーマの1つ。ドラゴン族と鳥獣族で構成され、「装備」をキーワードとする。
装備カード化した《ドラグニティ-ファランクス》などのモンスターを過労死させて更なるモンスターの特殊召喚に繋ぐ戦術が特徴。
DT産テーマで初めてストラクチャーデッキが作られたテーマでもあるが、その内容は当時かなりの物議を醸した*4

渡り鳥の冒険物語を描いた、一風変わったデザインのテーマ。水属性と風属性の鳥獣族で構成されている。
特殊召喚のメタを張りながら自分らは効果によって追加された通常召喚を連打して展開という、戦い方まで一風変わったものとなっている。
ファンシーでかわいらしい絵柄ながら高いデッキパワーを持った強力テーマであり、環境でも度々結果を残している。

東洋の幻獣をモチーフとした風属性・魔法使い族のペンデュラムテーマ。どう見ても獣族なのに種族設定おかしいって? 遊戯王ではよくあることである。
所属モンスターの多くが「相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない」耐性を持っているのが特徴。
新マスタールール施行前はデッキとしても強かったが、中でも禁止カード指定を経験した《マジェスペクター・ユニコーン》の鬼畜っぷりで知られる。

DT産の風属性テーマの1つ。自分・相手問わず場のカードを手札に戻す当時の風属性らしい効果を持ったカードが多い。
早い段階でDTから姿を消したため所属カードはあまり多くなく、後続の風属性テーマと比べるとややマイナーか。
しかし《霞の谷の巨神鳥》や《霞の谷のファルコン》などの侮れないカードも存在する。

「霊獣使い」と「精霊獣」が合体し「聖霊獣騎」となるテーマ。初出は「ブースターSP」だがDT世界と繋がっており、ガスタの末裔たちが主役のテーマである。
合体と分離、除外と墓地送りを繰り返し戦う動きはまさに複雑怪奇で、使いこなすには慣れやデッキに対する理解、さらに言うならが必須となるだろう。
「ブースターSP」が初出のカードは風属性で統一されているが、現在は《精霊獣使い レラ》など光属性のカードが存在している。




原作・アニメでの主な使用者

孔雀舞(ハーピィ)

バードマン


蝉丸、蚊忍者(軍蚊)

ユーゴ(SR)、リン(WW)、黒咲瑠璃(LL)、沢渡シンゴ(妖仙獣)、シンジ・ウェーバー(B・F)

ウィンディ(嵐闘機)、道順健碁


上記の他、GXの三沢大地は作中で使用する機会は無かったものの風属性デッキを所有している事が本人の口から語られている。
そのため『TAG FORCE』シリーズや『WCS2008』などのゲーム作品で「空気」ネタ要素を拾いつつ風属性デッキや本編未使用の風属性モンスターを使用する事がある。

また、「疾走」のイメージからか5D'sのD・ホイーラーは他属性を多用しつつもエース・切り札ポジションとして風属性の高レベルモンスターを使用する事がある。
上記の《スターダスト・ドラゴン》の他、炎城ムクロの《スピード・キング☆スカル・フレイム》やボマーの《ジャイアント・ボマー・エアレイド》などが該当する。


余談

OCG第11期では風属性使いをテーマにしたデュエリストパック「疾風のデュエリスト編」が発売されたのだが、その人選が話題となった。


前者2人はともかくシェリーは意外なチョイスであり、デュエリストたちを驚かせた。
彼女はエースの《フルール・ド・シュヴァリエ》こそ風属性であるが、風属性を主体としたデッキを使用していたわけではないからである。

この人選は、アニメ作中の風属性使いがARC-Vに大幅に偏っていたために3人目を他作品から選びつつ、舞などの過去に推された人物を選外にした結果なのだろう。
一応シェリーはライディングデュエルなどの風に関連付けた物事や言い回しを好むキャラクターではあるので、意外ではあるがミスマッチでは無い。

ちなみに、彼女の新たな切り札枠として登場した《フルール・ド・バロネス》は高い汎用性を持つ強力なシンクロモンスターである。
属性も当然風属性であり、風属性Sデッキの新たな主力モンスターとして歓迎される事となった。


これまで語ってきた通り、属性としてはややマイナー気味な風属性だが、実はレギュラーパックの表紙を飾る頻度は意外と低くないという特徴がある。
圧倒的に機会の多い光・闇属性には到底敵わないものの、他の3属性と比較するとその機会は目に見えて多い。というより光・闇に偏りすぎて他が少なすぎ……。
特に目立つのはOCG第6期第7期と第11期で、やはりというべきか半数近くが《スターダスト・ドラゴン》関連のカードである。
また、第11期で表紙を飾った3枚の風属性モンスターは全て過去作品に登場したカードの派生・進化形であるが、同時に全てドラゴン族モンスターでもある。
近年のレギュラーパックは高頻度でドラゴン型のモンスターが表紙を飾る傾向にあるため、他の3属性よりドラゴン族の多い風属性が得をした形になっている。
しかし中にはドラゴン族ではない《ジャンク・バーサーカー》や《エクスコード・トーカー》といった変わり種も存在しているのが面白いところ。

ちなみにデッキビルドパックなどの番外パックや構築済みデッキではこの通りとはならず、他の3属性に立場逆転されている場合が多い。
リンク3コード・トーカーが唯一パックの表紙を飾った属性だが、裏を返せば唯一ストラクやスターターデッキの表紙を飾れなかった属性でもあるのだ。




駆け抜ける疾風!
輝く追記を翻し、勝利の修正をその手に!!

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最終更新:2025年03月12日 23:58

*1 例:《氷結界の龍 ブリューナク》と《ミスト・ウォーム》、《氷結界の虎王ドゥローレン》と《霞の谷の雷神鬼》

*2 正確には「儀式召喚扱いで特殊召喚」で、手札からの特殊召喚も可能。

*3 このカードの場合は「ハーピィ」モンスター。

*4 リメイクの「ストラクチャーデッキR」では改善。