ケロニア(ウルトラ怪獣)

登録日:2022/06/26 Sun 12:54:07
更新日:2023/08/18 Fri 00:00:07
所要時間:約 6 分で読めます





ケロニアはウルトラシリーズに登場する怪獣。
初登場は『ウルトラマン』の第31話「来たのは誰だ」。


【スペック】

別名:吸血植物
身長:2m~50m
体重:80kg~1万t


【概要】

全身を緑の葉っぱの塊で覆われた人型の植物怪人。左右非対称で頭が尖っているのが特徴。

元は20年も前に科学特捜隊隊員にして植物学者の後藤二郎博士に南米アマゾンの奥地で発見された新種の植物。
原種は50cmほどの大きさをした青緑色のキノコか藻に似た形態をしている。
一種の食虫植物で動物の血液を栄養源にしており、ミロガンダのように獲物を求めて自立移動することもできた。
植物故に非常に燃えやすいというのが最大の弱点で、や高熱は大の苦手。

その吸血植物が20年という歳月を経て突如として急速に進化を遂げたのが現在の形態。
進化したケロニアは植物とは思えない高等生物と化し、知能は人間以上となって独自の技術力によって円盤を開発するまでになっていた。
幼年期ですら上記と同じままだが発芽してからたったの一日で成熟して3メートル以上にまで急成長するほど。

人間に擬態したり巨大化する能力の他、進化の過程で体内で電気を生み出す能力も会得し、これを利用して自ら開発した専用の通信機といった装置を動かすことができる。
最大の武器はこの電気を利用して目から放つ怪光線で、通常は獲物を麻痺させる程度だが巨大化すると戦車をも破壊できるほど格段に威力が向上する。
全身に電気を帯びてバリアの役目を果たしているためかウルトラマンスペシウム光線すら通用しない。

火や高熱が苦手なのは相変わらずだがこれまた進化によって強力な念力まで会得し、眼力だけで火を鎮火してしまう。


【本編での活躍】

科学特捜隊ボリビア支部に20年間、特派員として働いていたゴトウ隊員が日本支部に来日する。
少年時代にボリビアで父を亡くして見習い隊員から正隊員になったという経歴を持つ彼だが、実はケロニアの一体が化けたものだった。

人間の血が最も自分達の栄養源に適していることを認めたケロニアはついに地球征服の野望を企てるようになったのである
手始めに日本へと潜入し、持参していた幼体のケロニアを高良市にばら撒き繁殖させていた。

しかし、言動があまりにおかしいことからイデ隊員達に怪しまれ、アポなしで来日してきて身体検査を行う暇がなかったためムラマツキャップにも怪しまれるようになる。
(通常、海外支部の隊員が来訪する際はスーパーガンの光線で身体検査を行う)

不審者として決定打となったのはフジ隊員と交わした「科特隊本部のビルは何でできているか?」という会話だった。
フジ隊員は「鉄筋コンクリート製」と答えたがゴトウは「その鉄筋の中に特殊合金が加えてある」と付け加える。

科特隊本部のビルはあらゆる熱線・光線を防ぐ特殊合金でできているが、重大な機密事項を軽々しく口にしたことでついに不審人物としてマークされるようになった。
その後、調査のためにゴトウが泊まる一室に侵入したフジ隊員はクローゼットに潜んでいたケロニアに襲われてしまう。気絶させるだけで血を吸わないとは紳士である

現場検証をするハヤタ達はゴトウを上手い具合に外へ連れ出し、その隙にゴトウの荷物を調べると中からケロニアの幼体を発見。
その一部を採取すると後藤次郎博士の弟子である植物学者・二宮博士によって分析され、ケロニアが進化していることが発覚する。

ついにケロニアとしての本性を現したゴトウは二宮博士の研究室へ忍び込み、彼を殺害しようとするが尾行してきたハヤタ達によって阻止される。
追い詰められたケロニアは巨大化し街を破壊して防衛隊と交戦するが、同時にケロニアの仲間達が世界各地に円盤群・エアシップを繰り出してついに本格的な全面攻撃を開始していた。

ハヤタはウルトラマン変身して巨大化したケロニアと対決し、キャップ達はジェットビートルでケロニアのエアシップを迎え撃つために出撃する。
しかし、圧倒的な物量で攻めてくるケロニアのエアシップはいくら撃墜してもキリがない。
「ネコの手も借りたいってのに、ハヤタは何をしてるんだ」

ウルトラマンの側もケロニアの怪光線を白刃取りするなど互角に戦うが、スペシウム光線が通じないために苦戦を強いられてしまう。
そこで繰り出したウルトラアタック光線を心臓に撃ち込むと、ケロニアは膝をついてダウン。
さらにウルトラ念力によって木っ端微塵に爆破して吹き飛ばすのだった。
ケロニアのエアシップ群もスペシウム光線の連射で残さず全滅させられ、高良市に繁殖したケロニアの幼体もアラシ達によって焼却処分される。

残ったケロニアの一部は細かく砕くとよく燃えると大変に評判で、近隣住民からは「燃料にくれ」という声が殺到し嬉々として持ち帰ったという……。
そんなことして、大丈夫なのだろうか……?


【ケロニアの謎】

このケロニアが登場するエピソードは多くの謎を残しており、ファンからは語り草になっている。
本編ではケロニアが化けたゴトウ隊員の素性や安否などについては「ゴトウは存命でケロニアが化けた」とも「ゴトウを殺害してすり替わった」等と曖昧になっている。

しかし、脚本では二宮博士から「後藤博士の息子は幼少期に熱病で死亡した」と語られている。
だが本編のハヤタ曰く「ゴトウ隊員の顔写真もリストも経歴もちゃんとデータとしてある」と語っていることがより一層謎を深めている。

本編で二宮博士は「先生の息子と偽るあのゴトウは一体……」と語り、キャップ達がゴトウの身元を調べようとしてボリビア支部が音信不通になっているという描写がある。

これらの状況から推察し脚本の内容からも辻褄を合わせると、
  • 後藤博士の息子は二宮博士の言うように少年時代に本当に亡くなっているのは事実。
  • グリーンモンスの例から後藤博士もケロニアを研究して何らかの実験を行った結果、異常進化するきっかけを作ってしまった。
  • 後藤博士の息子に化けたケロニアは20年間、ボリビア支部に潜伏し暗躍していた(ここで一応、正規の経歴を作る)。
  • ボリビア支部はケロニア達によって乗っ取られ、全滅してしまった(音信不通なのはそのため)。
  • ゴトウ隊員の経歴はボリビア支部を乗っ取ったケロニア達によって捏造されたもの。
  • 完全に占領したボリビア支部の設備などを利用してエアシップを開発した。
等といったことが色々と考察されている。


ウルトラファイト】での活躍

帯番組『ウルトラファイト』の新撮分にも登場。こちらでの名義は「ケロニ」。
漫画『ウルトラファイト番外地』のキャラクターファイルでも指摘されている通り、セブン含む登場キャラクターの中でも極めて地味な存在である事は否めず、
それもあってか同漫画では若干だが活躍が水増しされている。唐沢なをきのお気に入り


【余談】

●デザイン担当の成田亨氏曰く「葉っぱを集めた怪獣」との事で、左右非対称なところが拘りらしい。

●『ウルトラマンメビウス』の第40話は当初、脚本の朱川湊人がケロニアを再登場させることを希望していたが、第1期シリーズの怪獣はなるべく外すという方針という理由によってお流れになり、新怪獣の植物怪獣ソリチュラが登場することになった。

●二宮博士を演じたのは次作『ウルトラセブン』でキリヤマ隊長を演じることになる中山昭二氏。氏は後に『80』でも別役で出演している。

●ケロニアの人間体を演じたのは前作『ウルトラQ』でもトドラの回に登場した殺人犯を演じた桐野洋雄氏。
今回のケロニアは当時のちびっ子達にとても強い印象とトラウマを残したようで、別作品に出演しているのを見かけられると「ケロニアだ」と呼ばれたという。

●着ぐるみは後に『戦え!マイティジャック』に登場する巨大ミイラに改造された。
ちなみに2006年頃になって円谷プロの怪獣倉庫から『ウルトラファイト』版ケロニヤの頭部のみが発見された事が、唐沢なをきの漫画『ウルトラファイト番外地』単行本のコラムで触れられている。

●ソフビは『ウルトラマンX』放送時にガシャポンで展開されたガシャポンウルトラヒーロー500&ウルトラ怪獣500第1弾で発売され、ウルトラの母*1ミラーナイトドロボンといった面々と共にラインナップされた。


追記・修正はケロニアを燃やしてからお願いします。

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最終更新:2023年08月18日 00:00

*1 封入率が非常に低く、1~2体しか入っていないレアアソートだった