登録日:2022/06/26 Sun 12:54:07
更新日:2024/11/17 Sun 08:20:20
所要時間:約 6 分で読めます
ケロニアはウルトラシリーズに登場する怪獣。
初登場は『
ウルトラマン』の第31話「来たのは誰だ」。
【スペック】
別名:吸血植物
身長:2m~50m
体重:80kg~1万t
【概要】
全身を緑の葉っぱの塊で覆われた人型の植物怪人。左右非対称で頭が尖っているのが特徴。
元は20年も前に
科学特捜隊隊員にして植物学者の後藤二郎博士に南米アマゾンの奥地で発見された新種の植物。
原種は50cmほどの大きさをした青緑色のキノコか藻に似た形態をしている。
一種の
食虫植物で動物の血液を栄養源にしており、
ミロガンダのように獲物を求めて自立移動することもできた。
植物故に非常に燃えやすいというのが最大の
弱点で、
火や高熱は大の苦手。
その吸血植物が20年という歳月を経て突如として急速に進化を遂げたのが現在の形態。
進化したケロニアは植物とは思えない高等生物と化し、知能は
人間以上となって独自の技術力によって円盤を開発するまでになっていた。
幼年期ですら上記と同じままだが発芽してからたったの一日で成熟して3メートル以上にまで急成長するほど。
人間に擬態したり
巨大化する能力の他、進化の過程で体内で
電気を生み出す能力も会得し、これを利用して自ら開発した専用の通信機といった装置を動かすことができる。
最大の武器はこの電気を利用して目から放つ怪光線で、通常は獲物を麻痺させる程度だが巨大化すると
戦車をも破壊できるほど格段に威力が向上する。
全身に電気を帯びて
バリアの役目を果たしているためか
ウルトラマンの
スペシウム光線すら通用しない。
火や高熱が苦手なのは相変わらずだがこれまた進化によって強力な
念力まで会得し、眼力だけで火を鎮火してしまう。
【本編での活躍】
科学特捜隊ボリビア支部に20年間、特派員として働いていたゴトウ隊員が日本支部に来日する。
少年時代にボリビアで父を亡くして見習い隊員から正隊員になったという経歴を持つ彼だが、実はケロニアの一体が化けたものだった。
人間の血が最も自分達の栄養源に適していることを認めたケロニアはついに
地球征服の野望を企てるようになったのである
手始めに
日本へと潜入し、持参していた幼体のケロニアを高良市にばら撒き繁殖させていた。
しかし、言動があまりにおかしいことからイデ隊員達に怪しまれ、アポなしで来日してきて身体検査を行う暇がなかったためムラマツキャップにも怪しまれるようになる。
(通常、海外支部の隊員が来訪する際はスーパーガンの光線で身体検査を行う)
不審者として決定打となったのはフジ隊員と交わした「科特隊本部のビルは何でできているか?」という会話だった。
フジ隊員は「鉄筋コンクリート製」と答えたがゴトウは「その鉄筋の中に特殊合金が加えてある」と付け加える。
科特隊本部のビルはあらゆる熱線・光線を防ぐ特殊合金でできているが、重大な機密事項を軽々しく口にしたことでついに不審人物としてマークされるようになった。
その後、調査のためにゴトウが泊まる一室に侵入したフジ隊員はクローゼットに潜んでいたケロニアに襲われてしまう。気絶させるだけで血を吸わないとは紳士である
現場検証をする
ハヤタ達はゴトウを上手い具合に外へ連れ出し、その隙にゴトウの荷物を調べると中からケロニアの幼体を発見。
その一部を採取すると後藤次郎博士の
弟子である植物学者・二宮博士によって分析され、ケロニアが進化していることが発覚する。
ついにケロニアとしての本性を現したゴトウは二宮博士の研究室へ忍び込み、彼を殺害しようとするが尾行してきたハヤタ達によって阻止される。
追い詰められたケロニアは巨大化し街を破壊して防衛隊と交戦するが、同時にケロニアの仲間達が世界各地に円盤群・エアシップを繰り出してついに本格的な全面攻撃を開始していた。
ハヤタはウルトラマンに
変身して巨大化したケロニアと対決し、キャップ達は
ジェットビートルでケロニアのエアシップを迎え撃つために出撃する。
しかし、圧倒的な物量で攻めてくるケロニアのエアシップはいくら撃墜してもキリがない。
「ネコの手も借りたいってのに、ハヤタは何をしてるんだ」
ウルトラマンの側もケロニアの怪光線を白刃取りするなど互角に戦うが、スペシウム光線が通じないために苦戦を強いられてしまう。
そこで繰り出したウルトラアタック光線を心臓に撃ち込むと、ケロニアは膝をついてダウン。
さらにウルトラ念力によって木っ端微塵に爆破して吹き飛ばすのだった。
ケロニアのエアシップ群もスペシウム光線の連射で残さず全滅させられ、高良市に繁殖したケロニアの幼体もアラシ達によって焼却処分される。
残ったケロニアの一部は細かく砕くとよく燃えると大変に評判で、近隣住民からは「燃料にくれ」という声が殺到し嬉々として持ち帰ったという……。
そんなことして、大丈夫なのだろうか……?
【ケロニアの謎】
このケロニアが登場するエピソードは多くの謎を残しており、ファンからは語り草になっている。
本編ではケロニアが化けたゴトウ隊員の素性や安否などについては「ゴトウは存命でケロニアが化けた」とも「ゴトウを殺害してすり替わった」等と曖昧になっている。
しかし、脚本では二宮博士から「
後藤博士の息子は幼少期に熱病で死亡した」と語られている。
だが本編のハヤタ曰く「
ゴトウ隊員の顔写真もリストも経歴もちゃんとデータとしてある」と語っていることがより一層謎を深めている。
本編で二宮博士は「先生の息子と偽るあのゴトウは一体……」と語り、キャップ達がゴトウの身元を調べようとしてボリビア支部が音信不通になっているという描写がある。
これらの状況から推察し脚本の内容からも辻褄を合わせると、
- 後藤博士の息子は二宮博士の言うように少年時代に本当に亡くなっているのは事実。
- グリーンモンスの例から後藤博士もケロニアを研究して何らかの実験を行った結果、異常進化するきっかけを作ってしまった。
- 後藤博士の息子に化けたケロニアは20年間、ボリビア支部に潜伏し暗躍していた(ここで一応、正規の経歴を作る)。
- ボリビア支部はケロニア達によって乗っ取られ、全滅してしまった(音信不通なのはそのため)。
- ゴトウ隊員の経歴はボリビア支部を乗っ取ったケロニア達によって捏造されたもの。
- 完全に占領したボリビア支部の設備などを利用してエアシップを開発した。
等といったことが色々と考察されている。
帯番組『ウルトラファイト』の新撮分にも登場。こちらでの名義は「ケロニヤ」。
漫画『ウルトラファイト番外地』のキャラクターファイルでも指摘されている通り、セブン含む登場キャラクターの中でも極めて地味な存在である事は否めず、
それもあってか同漫画では若干だが活躍が水増しされている。唐沢なをきのお気に入り
【余談】
●デザイン担当の成田亨氏曰く「葉っぱを集めた怪獣」との事で、左右非対称なところがこだわりらしい。
●『
ウルトラマンメビウス』の第40話は当初、脚本担当の朱川湊人氏がケロニアを再登場を希望していたが、番組の方針でお流れになり、新怪獣の植物怪獣ソリチュラが登場することになった。
●二宮博士を演じたのは次作『
ウルトラセブン』でキリヤマ隊長を演じることになる中山昭二氏。氏は後に『
80』でも別役で出演している。
●ケロニアの人間体を演じたのは前作『
ウルトラQ』でも
トドラの回に登場した殺人犯を演じた桐野洋雄氏。
今回のケロニアは当時のちびっ子達にとても強い印象と
トラウマを残したようで、別作品に出演しているのを見かけられると「ケロニアだ」と呼ばれたという。
●着ぐるみは後に『戦え!マイティジャック』に登場する巨大ミイラに改造された。
ちなみに2006年頃になって円谷プロの怪獣倉庫から『ウルトラファイト』版ケロニヤの頭部のみが発見された事が、唐沢なをきの漫画『ウルトラファイト番外地』単行本のコラムで触れられている。
●大伴昌司監修の書籍『ウルトラ怪獣入門』のコーナー「ウルトラ怪獣名勝負」ではザザーンと対決。
足に絡み付かれてヘドロの海の中へ引きずり込まれ、毒液を出すヒレで全身を締め付けられるも、苦しみつつも頭のレーダーを働かせてザザーンの目と口を探し、破壊光線を放った結果、ザザーンがヘドロに戻って(何故?)勝利した。
追記・修正はケロニアを燃やしてからお願いします。
- 平成セブンにも植物由来の新人類がいたし、一応地球人類と言えなくはない。 -- 名無しさん (2022-06-26 13:55:07)
- 植物設定の割にアグレッシブ杉。 -- 名無しさん (2022-06-26 14:06:15)
- ラストの〆での二宮博士のセリフは考えさせられるものがあるなあ -- 名無しさん (2022-06-26 14:08:46)
- ゼットンの火球も窓を割っただけじゃなくて、特殊合金の壁を貫通しているからすごいんだ。 -- 名無しさん (2022-06-26 14:28:40)
- あれ、ムラマツ隊長役の人もウルトラQやAにそれぞれ別の人で登場していたはずだけど -- 名無しさん (2022-06-26 15:15:06)
- ウルトラファイトに登場した時の名前はケロニ「ヤ」なので -- 名無しさん (2022-06-26 15:48:58)
- 初代だけで言っても科特隊の面子は大体他の役でも出演してるし、「別人役で三回出演」が特記するほど珍しいかと言うと微妙なところ -- 名無しさん (2022-06-26 16:53:08)
- ウルトラアタック光線はどんな技なのか公式の設定が錯綜しており、謎の技。1.スペシウム光線よりも強力な光線 2.高熱に特化した光線 3.動きを止めて念力でとどめを刺す光線 4.火力を一点に集中させた光線 と資料によって記述が分かれている。劇中描写は3っぽいが、銀河伝説では念力なしでアントラーを撃破しているので1か4っぽい。超闘士激伝では4、マウンテンピーナッツでは3を採用。ゲームでは2でスペシウム光線より威力は低い火属性の技となっていることが多い。 -- 名無しさん (2022-06-26 17:20:35)
- 「燃料にくれ」ってあんたら…… -- 名無しさん (2022-06-26 17:21:28)
- ↑3バキシム役の子とか何回も出てるよねあの子 -- 名無しさん (2022-06-26 17:45:00)
- ウルトラファイトのほうが印象深い -- 名無しさん (2022-06-26 18:54:34)
- 初代の怪獣の中でも割とやっつけデザインな方 -- 名無しさん (2022-06-26 19:15:50)
- 同じ地球生まれでも新興勢力だからかノンマルトや地底人が遠い昔に地上を追われたのと違って地上が根拠地の知的生命体。科学力は博士やボリビア支部のものを学習したと考えれば確かに辻褄が合うけど、現代にリブートされたらカブトのワームみたいに擬態した人間の知能と記憶を奪える背乗り怪物になりそう -- 名無しさん (2022-06-26 20:12:25)
- 異星人じゃない地球の植物が高い知能得てるってところに不気味さを感じるのかもしれない -- 名無しさん (2022-06-26 21:57:17)
- 洋服タンスの中からケロニアとしての本性を顕にしたゴトウが出てくるシーンが子供の頃怖くて実家の洋服タンスをしばらく直視できなくなった。あそこからも出てくるんじゃないかと思って -- 名無しさん (2022-06-26 21:59:22)
- 考察から更に考察すると、後藤博士が死んだ息子の代わりに異常発達したケロニアを育てていたら裏切りを受けた、って可能性もありそうだね -- 名無しさん (2022-06-26 22:02:41)
- 脚本と本編の描写を切り離して考えたらゴトウ自体が後藤二郎博士とは無関係な存在で捏造された架空の存在とも解釈できる -- 名無しさん (2022-06-26 22:32:55)
- バイオハザードのクローゼットから出てくるゾンビの元ネタだよねケロニア。 -- 名無しさん (2022-06-27 00:28:51)
- 一見地味でやっつけに見えるデザインだけど体表の葉っぱを一枚一枚作ってるので手間はかかってるだろうな -- 名無しさん (2022-06-27 08:42:09)
- ファイナルファンタジー14「蒼天のイシュガルド」での追加エリアの一つ「ドラヴァニア雲海」で発生するfateでこれのオマージュがあったんだよな。吸血植物を退治する「来たのは誰だ」って内容のやつが。 -- 名無しさん (2022-06-28 01:15:10)
- かなりウルトラマンとの戦闘シーンが見ごたえある怪獣。すごいアグレッシブ -- 名無しさん (2022-06-28 01:23:06)
- ホラー演出に加えて第一期では珍しい人型の植物怪獣なのも印象に残りやすい。 -- 名無しさん (2022-06-28 14:11:14)
- 見た目だけなら幼稚園児がクレヨンで殴り書きしたみたいなデザインなのに… -- 名無しさん (2022-06-28 23:27:52)
- そんなことして大丈夫なのだろうか<まぁM78ワールドの方々は『タロウ』でも人間を操るキノコの怪獣が倒された後に大量繁殖したマツタケを喜々として躊躇なく食べるような人達だし…… -- 名無しさん (2022-11-21 15:30:20)
- 怪獣サイズの時はどことなく愛嬌を感じるデザイン。人間サイズの時は夢に出そうなくらい不気味。微妙な造形の差やホラーよりの演出のせいかな。 -- 名無しさん (2023-02-23 14:54:59)
- スマスマのアルトラマンというコントでも本編映像使って出てた。しかし、なにゆえにケロニア? -- 名無しさん (2023-08-18 00:00:07)
最終更新:2024年11月17日 08:20