激闘!クラッシュギアTURBO

登録日:2011/11/07(月) 00:18:34
更新日:2024/03/14 Thu 22:15:38
所要時間:約 7 分で読めます




激闘!クラッシュギアTURBOは、2001年~2003年にかけてテレビ朝日系列で放送されたテレビアニメ。
後継として『クラッシュギアNitro』がある。

バンダイから発売された同名の子供向け玩具「クラッシュギア」を題材としたホビーアニメ。

「クラッシュギア」とは4輪駆動の車型のプラモデルであり、電池とモーターで走行する。
機体前方*1にはホイールと連動して動く武器を装備しており、リングと呼ばれる競技場の中に投げ入れて戦わせる。

相手のクラッシュギアを転倒させるか、リングの外に弾き出せば勝利となる。

制作があのガンダム勇者シリーズなどのロボットアニメ、バトルスピリッツで有名なサンライズだけあって、演出が非常に派手でカッコイイ。

CGがふんだんに使われたギアファイトシーンは大変迫力がある。互いのギアが広大なリングを縦横無尽に駆け、走り、跳び、ぶつかり、そして弾ける。

機体が火花を散らしながら激しくスピンし、回転によって竜巻が起き、ジャンプすれば空中を矢のように飛び、閃光とともに突撃するなどこれでもかと言わんばかりの激しい戦いが繰り広げられる。

ベイブレードの聖獣のような神秘的な力は一切ないのだが、各ファイターの必殺技では鳥、龍、虎などの姿がリングに出現する。明らかにおかしいが、安直なツッコミを許さないだけの迫力があり、見ていればいつの間にか引き込まれてしまうだろう。

また通常シーンのカットもよく動き、各ファイターごとに特徴のあるスローイングシーンが見られる。投げ入れたギアがスローモーションで様々な視点から映されつつリングに飛び込んでいく演出などもカッコイイ。

ちょっと某GEARっぽいのはご愛敬。ていうかスタッフが一緒である。

朝七時から放送されたとは思えないような非常に重厚な人間ドラマも特徴。第1話で主人公の所属するクラブチームが解散同然に陥るのに始まり、これでもかという言うほどの苦難が次々と襲い来る。しかし逆境から立ち上がり困難を乗り越える様も丁寧に描かれおり、王道を往きながら非常に見応えがある。主人公の兄であり世界でもトップレベルのギアファイターであった真理野ユウヤの死が様々な人物に影響を与え、各々のドラマが展開されていく。

主人公も仲間も未熟さを持つ少年であり、ギアの腕前だけではなくその心の成長も丁寧に描かれている。


漫画版はコミックボンボンにて、松本久志により描かれた。『小さな巨人ミクロマン』で見せた精密な作画は健在。

続編の「クラッシュギアNitro」は一応世界観が連続しているが、TURBOのキャラはファンサービスで背景に描かれた程度で正式には登場していない。
本当に話が続いているとするとコウヤがガルダフェニックスを手放して怪しい中古屋に売ってしまった上、
新たな主人公に買われてたった3話分のかませ犬にされてしまうというすさまじく後味の悪い話になってしまうのだが…。

◆ストーリー

落ちこぼれのギアファイター・真理野コウヤは、四年前に不慮の事故で命を落とした天才ギアファイター真理野ユウヤの弟。

兄が所属していた強豪「トビタクラブ」に自分も所属していたが、兄の死後主要メンバーが抜けたクラブは弱体化が著しかった。

そんな中、兄のチームメイトでクラブでの先輩であった万願寺タケシがクラブメンバーの大半を率いて脱退してしまう。1人残されたコウヤは万願寺に戻るよう頭を下げて懇願するも聞き入れてもらえず。

心に火のついたコウヤは万願寺に勝負を挑むのだった。

◆登場人物

真理野コウヤ
CV:松元恵
主人公。11歳の小学5年生。トビタクラブに所属。
根は素直でひたむきな性格の持ち主なのだが、序盤は捻くれた面と無気力さが目立ち、そのくせ後先を考えないお調子者でもあった。「イーグルの高いスペックに頼り切って勝ちを拾う」「必殺技を編み出して連勝した途端増長する」という、ホビーアニメ主人公としてはかなり問題のある人物だったため「ゆとり主人公」「クソガキ」呼ばわりされることも。

これは尊敬していた偉大なギアファイターである兄ユウヤの死が心に大きな影を落としていることが原因。わずか11歳の少年が大切な肉親を失っては無気力に陥るのも仕方のない面はあるだろう。

彼に対しては誇りを持っている反面、強いコンプレックスも抱いており、ギアファイトを通じて兄と向き合っていくこととなる。中盤にかけて兄の存在を乗り越えギアファイトへの情熱に目覚めると、本来の熱い性格が表に出始める。自分の実力が劣ることを理解し、兄の残した手がかりを基に自ら努力して仲間と共に特訓を重ね、遂に必殺技を会得する。

前半の愛機は兄ユウヤの専用機として開発された『ガルダイーグル』。
物語中盤以降はガルダイーグルが破損してしまったため、その後継機『ガルダフェニックス』を替わって使用する。

このガルダフェニックス、VTシャーシに対応させたこと以外はイーグルと全く同じスペックという珍しい後継機である。
(イーグルは既に完成されたギアであるため。むしろキョウスケがネジの一本までイーグルを「再現」して作られた)

必殺技であるシャイニングソードブレイカーに憧れ、リアルにクラッシュギアを投げて親に怒られた人はきっと多いはず。


織座ジロウ
CV:天田真人(現四反田マイケル)
第2話で加入したトビタクラブのメンバー。12歳の小学6年生。
甘いものは苦手だが、アンパンだけは大好きであり一度に30個も平らげるほど。

大柄な体格であり、OPではコウヤを担いで走っている。やがては兄を亡くしたコウヤの兄貴分のようになっていく。気のいい性格でぶっきら棒なキョウスケに人付き合いを教えたことも。

かつてはリトルリーグで活躍しており将来有望といわれたが、肩を壊してしまい断念。クラッシュギアは野球をやめた後に始めた。トビタクラブのメンバーになっても肩の不調はしばらく続き、その克服が序盤のドラマを形成した。

万願寺マイティギアズの滝ヒロオミはリトルリーグ時代にバッテリーを組んでいた親友。

愛機はガルダイーグルと同じ製作者によって作られた『レイジングブル』⇒『レイジングブリット』
必殺技はスピンによって竜巻を起こす「ハリケーンクラッシャー」。


迅キョウスケ
CV:坂本千夏
トビタクラブ3人目のメンバーで、世界最高のギアの整備士『ギアマスター』の称号を持つ。12歳の小学生6年生。

普段は工房にこもって独自のギアの開発に打ち込んでいる。薄暗い場所にいることが多いため日差しが苦手であり、外出の時は帽子をかぶる。

かつてクロウドとはチームグリフォンに所属する仲間だったが、ある事件がきっかけで仲違いを起こしていた。良かれと思って行った行為が受け入れられず、人間不信に陥ってしまう。

人付き合いに難があり、歯に衣着せぬ発言で反感を買ってしまうことがしばしば見られた。トビタクラブのメンバーさえも信じられなくなることもあったが、それでも自分を信用してくれるコウヤの友情に触れ、少しずつ心境が変化していく。

ファイターとしてもメカニックとしても腕は本物で、原型があったとはいえ主人公の愛機であるガルダフェニックスを制作した。

後にアジアカップで出会った四星虎団(スーシンフートァン)の蘭芳(ランファン)に一目ぼれ。彼女との関わり、そして決別を経て運命に立ち向かうことを学ぶ。

愛機は自作である『ディノスパルタン』⇒『ディノファランクス』


丸目クロウド
CV:進藤尚美
トビタクラブ4人目のメンバーで、元々はキョウスケと同じチームであるグリフォンに所属していた。12歳の小学6年生。

剣道を嗜んでおり、普段は道場で竹刀を振るっている。その実力たるや木の棒で怒り狂った蜂を叩き落すほど。また、1000分の1ミリだけ欠けた歯車を駆動音だけで見抜くなど、尋常ならざる聴力を持つ。

キョウスケをグリフォンに誘ったのは彼であり、グリフォン時代は良いパートナー同士だった。だが、ある一件で関係がこじれてしまい、お互いにギアファイターをやめていた。

正々堂々とした戦いをよしとしており、キョウスケの仲違いの原因も制御チップを内蔵するというキョウスケの改造によるものだった*2。しかし、そこには勝つための執念が希薄であり、何かを言い訳にして本気で勝負を挑むことから逃げてしまうという弱さが内包されていた。

万願寺マイティギアズのエディ小林との戦いを経て、そうした自分の弱さと向き合いやがて乗り越えていく。

愛機は『シューティングミラージュ』⇒『シューティングファントム』
日本人とロシア人のクォーターで、出生地がフランスと、なかなか特殊なルーツの持ち主。


万願寺タケシ
CV:笹沼晃(現笹沼尭羅)
全編通してコウヤのライバル。13歳の中学1年生……なのだが、ガタイが良いためあまりそうは見えない。
元トビタクラブの主要メンバーで、ユウヤの死後リーダー格としてクラブを引っ張っていた。

第1話で、突如コウヤ以外のメンバー全員を引き抜く形で離反。たった1人残されたコウヤは万願寺を敵視し、その打倒を最大の目的とする。

自らが結成した『万願寺ドリームス』を率いて、世界大会を目指す。
作中では何度かコウヤと対戦するが、その度に圧倒的な実力でコウヤを捩伏せる等、巨大な壁として立ちふさがる。


愛機は初期が『轟月』。途中から実家である万願寺グループが800億かけて制作した『鎧輝』を使用する。

後者はVTシャーシを世界で初めて実用化させた機体である。バッテリーボックスをスライドさせることで重心バランスを大きく変化させることでダッシュとスピンそれぞれについて驚異的な性能を発揮させるというもの。

後にギアゴッドによりその800億は完全に無駄なものにされてしまった……と思われる事が多いが、
実際にはこの800億という費用は万願寺グループの宇宙開発事業にかかったもので、鎧輝に採用された技術と素材はその副産物であるとのこと。


華野カオル
CV:神田朱未
本作のヒロイン。コウヤと同級生の11歳・小学5年生。
コウヤから恐れられるほど勝ち気で、少々強引なところも見られるお転婆な少女。

トビタクラブのマネージャーを務め、普段はPCで情報収集を行う。クラブを支えようとする気持ちは本物であり、汚れながらもクラブのリングを一生懸命掃除したり、大規模な選手権に出るべくポイントを貯められる大会を探したりしていた。コウヤが落ち込んだ時も親戚のいる北海道に誘ったりなどメンタルのケアもしている。


飛田リリカ
CV:根谷美智子
トビタクラブのオーナー代理を務める本作の真ヒロイン。
とても落ち着きのある性格で、時に優しく、時に厳しくコウヤたちを見守る。
本人が自覚していなかったメンバーの心の弱さを見抜くなど、洞察力も優れている。

外見も内面もハッキリいってとても15歳には思えない

4年前はクラブマネージャーとしてユウヤたちをサポートしていた。11歳のリリカさんマジかわいい。また、ユウヤに思いを寄せていた。

コウヤが荒れてしまった時には彼女自身もどうすればいいか悩むなどの苦難もあったが、やがては立派な監督に成長する。


真理野ユウヤ
CV:野島健児
コウヤの兄で、初代アジアチャンピオン。享年11。
「幻の世界チャンピオン」と呼ばれ、現在でも知らぬ者はいないとされるほどの伝説のギアファイター。第1回ワールドカップで決勝戦に向かう途中、事故により急死する。このことは主人公をはじめ、多くの人々に影響を及ぼした。

愛機は自身がアレックスとともに設計・制作した『ガルダイーグル』。
作中では回想に出てくるほか、コウヤの試合中に霊体?としてしばしば登場する。



◆世界観

  • クラッシュギア

ミニ四駆と同じ4WDの車型玩具だが、作中では熊を追い払ったりする等とても玩具とは思えない。
ぶっちゃけ各キャラの必殺技が人間に当たれば、文字通りの意味になってしまうだろう。
また、販促アニメらしく音声認識機能を備えているが、これは本物の玩具の初期設定がラジコン操作であったことによる。
この音声認識機能の発展型なのかAIによるある程度の自律行動を可能とする技術も確立しているが、流石にこれを許すと色々問題があるらしくAI搭載は公式試合においては禁則事項とされている。

この話では販促アニメなので当たり前だが熱狂的な人気と社会からの関心を集めており、国際協会である『GFA』(Gear Fight Associationの略、ジーファと読む。作中設定ではクラッシュギア第壱號、カイザバーン誕生から3年後に設立された、とのこと)を中心に世界統一ルールの下で大会等を行っている。
その熱中度はキョウスケの「クラッシュギアは趣味じゃない、オレの人生だ」の言葉に集約されている。

クラッシュギアを用いてファイトする少年・少女たちをギアファイターと呼ぶ。なお、入門書によるとギアファイターに必要なのは『強靭な体力』『ゆるぎない精神力』『作戦を練る知力』とのこと。

ギアのモデルは、ギアマスター作成の『ギアマスターオリジナルモデル』、ギアファイター・メカニックが制作した『オリジナルモデル』、市販品の改造である『マスプロダクションモデル』、市販された汎用型の全4種類に分類される。

またタイプも決まっており、車体がファイト中に回転するスピンに特化した『スピンタイプ』。突進力に重点を置いた『ダッシュタイプ』。それらの中間の性能を持つ『ノーマルタイプ』の計3種に分けられる。

ギアによって元々どのタイプなのかは違うが、セッティングで変更できる。
その為ファイトの合間に相手に合わせて戦型を変更するなど、戦略に深みを持たせていた。
しかし、物語の中盤以降VTシステムなるものが登場。詳しくは後述する。


  • VTシステム/VTシャーシ

Variable Transmutesシステム。

クラッシュギアのバッテリー部分がファイト中に可動する事でギア全体の重量バランスを変化させ、スピン・ダッシュ性能を飛躍的に上昇させるシステム。
バッテリーボックスを前方に移動させることでダッシュ力が上がり、後方に移動させると強烈なスピンを生み出せるようになる。これによりファイト中にスピンタイプ・ダッシュタイプの変更が可能となり、戦術に幅が出るようになった。
タイプの切り替えはファイターの意思で瞬時に行われる。

昔から何人ものギアマスターが挑戦してきたが、重量部をスライドさせると言う構造上、シャーシの接合部の強度問題で実現は不可能とされていた。

しかし万願寺が10年の構想と800億かけて、これの開発に成功。
キョウスケもそのデータを盗む形で、ガルダフェニックスを完成させた。

万願寺は希少金属マンガニウムを用いて、キョウスケはリアウエポンを付けることによる前後バランスの改善で完成した。

だが、後に『GFA』のオフィシャルサイトにVTシステム設計図が掲載。
一説にはギアの生みの親である『ギアゴッド』が制作したとされ、万願寺やキョウスケのような特殊な素材や複雑な構造を用いずに、実現させている。

ギアゴッドすげぇ。

リアルのクラッシュギアのキットも、後期のものはすべてVTシャーシとなった。

だが、そっちはボディカバーと電池を外し、ネジ止めされたバッテリーボックスを手動で組み換えなければならないという、アニメとは程遠い仕様である。
後に、手動でボックスを動かせるMVTシャーシが発売された。どっちにしろアニメとは(ry


  • ギアゴッド

文字通り、クラッシュギアの存在その物を生み出した、全てのクラッシュギアにとっての創造神と言える人物。

カイザバーンを創り上げた後、クラッシュギアの普及に尽力して技術と広報の両面において多大な功績を残すが、開発動機と全く相いれないGFAのショービジネス路線と、それに熱狂する世の中に失望して姿を消した。

その後、ドイツのあるギアファイターとの邂逅と彼の情熱に触れたことで立ち直り、その人物との共作でブリッツフォーゲルを生み出して復帰。
正体を隠したまま、その後は散発的に世界中に高度かつ実用化が容易な優れた技術を公開していた。
実は最新作2台と共に劇中に登場しており、コウヤは正体を知らぬまま親交を結んでいる。

その技術力は相当先の未来の領域であり、時系列上完全な旧式であったカイザバーンが劇場版で猛威を振るい、最新作であるアークキャバリアーとボルトグレネードが異常なほどの高性能を発揮したことからもうかがえる。


◆主題歌

OP「CRUSH GEAR FIGHT!!」
歌:JAM Project

ED「愛だよねっ!!~ギアをつなごう~」
歌:JAM Project

2曲ともJAMプロが手掛けている。前者は心が燃えてくるような熱い曲に、後者は傷ついたファイターを励ますような優しさの感じられる曲に仕上がっている。アニメは知らなくとも曲は知っているという方も多いのではないだろうか。

作詞・作曲にもJAMプロが関わっており、OPを影山ヒロノブが、EDを松本梨香がそれぞれ作詞している。

また、初期の楽曲ということもあり水木一郎も参加している。



審判「携帯電話、set up!追記・修正、Ready Go?!」

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  • 前番組との凄まじい温度差

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最終更新:2024年03月14日 22:15

*1 機体によっては後方にも

*2 物語開始時点ではすでにルール違反だが、キョウスケがこれを行った1年前の時点では違反ではなかった。