関東庇番(逃げ上手の若君)

登録日:2022/06/06 (火曜日) 13:48:00
更新日:2024/04/09 Tue 22:27:19
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鎌倉の民よ!諸君の平和は足利と庇番衆が必ず守る!

鎌倉に!(さかえ)あれ!!


関東庇番(ひさしばん)*1とは関東の治安維持を目的とされ、後醍醐天皇の皇子・成良親王を上に置く鎌倉府に配置された武士集団のこと。
本項目では、史実を参考に創作されている漫画作品『逃げ上手の若君』における本組織を開設する。


●目次

概要


荒廃した鎌倉に赴任した足利直義が結成した街の復興と治安維持を担う組織。
「コロコロ支配者の変わる鎌倉に必要なのは若さと勢い」という直義の計算のもと、多くは20代の若き足利一門によって構成されている。
疲弊した民の心を掴むことを第一に考えているため、お堅い直義も敢えて服装を自由にさせており、配下は奇抜な装いの者が目立つ。
実際民衆人気は高く、庇番衆が来る度に黄色い声が飛び交う……というより、ほぼ会いに行けるアイドル扱い
物販では足利手ぬぐいが売れまくり、参加費250万円の牛車ツアーも大盛況。なお、これらの売上も直義が管轄しており、収益は組織運営や軍費に充てられる。

一騎当千の強者揃いで「関東最強」を称しているが、同時に奇人・変人のオンパレードでもあり、直義曰く「足利家への強い忠誠心が様々な狂気となり武勇を増幅させている」とのこと。
直義としては資金稼ぎ以上に関東地方にいる豪族とのコネクションを深めるための手段でもあったようで、関東地方での地盤を築くのに役立てていた。


主な活動内容


  • 物販
アイドルグループの物販同様のグッズ売り出し。
特に売れているのは足利二つ引き紋の入った手ぬぐいで、いくつか色にバリエーションがある上に新色の開発やまとめ売りも行われている。
それどころか限定手ぬぐいの存在もあり、そちらは1枚2万5千円(五百文)の必勝祈願の札を メンバー全員分集めないと手に入らない という具合にアコギな商売射幸心を煽ってくる。


  • 推しの庇番衆の左手を握れる券
上記庇番物販の目玉商品。1枚十万円(二貫文)
現実の握手会同様に剥がし役がいるが、その役割は「信者がしつこく手を握り続けたり、メンバーの右手(利き手)を握った瞬間に手首から先を(物理的に)剥がす」といった具合にバイオレンス。


  • 庇番衆牛車旅
庇番メンバーと江ノ島半日旅を楽しめる催し。
道中で足利家の武勇伝を聞けたり、浜辺で海の幸を一緒に堪能したり、鎌倉彫の体験をすることができる。
参加費ひとり250万円(五十貫文)という法外な価格ではあるが、富裕層の女子は喜んで払うとされ、牛車一つ庇番衆1人に対して女子がすし詰め状態になる程に好評。
作中では女好きの岩松が大喜びな一方、妻帯者で真面目な渋川は「何故拙者が女に囲まれ牛車などに」と渋面で苦言を呈していた。

なお直義はこの牛車旅を、参加者の親である関東の富豪や公家とのパイプを作ることに繋げており、その在り方は現代の著名人による高額オンラインサロンに近しい
そう考えると、この強気な値段設定は法外なようでいて実は適切な値段設定なのかもしれない。

ところで、牛車旅のイメージ図には範満の姿も見えるのだが、彼は果たして上記ツアーの内容をこなせるのだろうか…?そもそも彼目当ての女子とは一体…



メンバー

一番組


“阿修羅鬼”渋川(しぶかわ)義季(よしすえ)


貴様は武士に非ず 外道の賊ゆえ成敗する!!

レアリティ
(1335年)
☆☆☆ SR
能力 南北朝適正
武勇 86 蛮性 78
知力 75 忠義 99
政治 69 混沌 51
統率 83 革新 45
魅力 70 逃隠 17


一番組筆頭。直義の義弟でもある。1334年時点で20歳。
大きな3本の白髪ラインが入ったオールバックな風貌。姉が直義に嫁いでおり、庇番衆の中でも特に足利家と縁深いエリートでもある。

見た目に違わず、性格は真面目で渋い堅物。
特に忠義と武士道を重んじており、忠義の末の行動であれば例え自身の命を狙ってくる敵であろうとも褒め称える度量の持ち主でもある。
中先代の乱がもたらす苦境をいち早く察するなど、直義に匹敵する頭脳を持ち合わせ、直義からは義弟としても腹心としても信頼されている。
クセの強い庇番衆のまとめ役も兼ねており、自らを「凡庸な常識人」と称するが、彼にとっての常識とは「武士たるもの忠義を尽くして正々堂々」という彼自身の理想である。
マーキング・パターンは「枝垂桜に足利二つ引紋」

戦闘では長すぎて自分一人では抜けないレベルの長さの大太刀千里薙(せんりなぎ)を片手で軽々扱い、一振りで複数の兵を屠る膂力を持つ。
孫二郎曰く岩松と合わせて「化物」
若さ故に戦闘技術の成長スピードも段違いで、技術で勝る海野が数分の立ち合いで対応されることを危惧して妄想の反動を度外視した短期決戦に持ち込もうとするほど。
そして最大の特徴は怒りが戦闘能力に直結すると同時に、「自身の思い描く理想の武士像」を勝手に相手に押し付け、相手がそこから外れた行いを少しでも見せるとブチギレて戦闘力が高まること。
理解不能な「芯」を持ち、それが侵害された(と感じる)ことで豹変するという意味では、前々作の犯人たちに近しい精神構造。
一度ブチ切れると怒りが完全に収まらない限り強化は永続。一見落ち着いているように見えても収まらない怒りは持ち越されてしまう。
加えて怒り狂っていても冷静に軍の統率・指揮も可能という厄介なバーサーカー傑物である。
自分を怒らせた敵は皆殺しにするが、味方に関しては例え策謀で怒りを焚きつけられたとしても「足利側が正義」という考えから斬り捨てたりはしないなど融通はそれなりに効くらしい。

なお生来の性格は強固な正義心と優しさを持った好青年。
直義から「足利一門随一の武人」と称される武勇に反し、あまりの優しさから妻の家に連なる北条家*2に刃を向けることを良しとせず、1333年の北条氏掃討の際には誰も斬れずに逃げた「軟弱者」と蔑まれていた。
しかし、その武勇を惜しんだ直義は過剰なまでに渋川を厚遇することで「逃げ道」を無くし、彼の正義を「足利への恩」へと書き換え、戦にあたって怒りを武勇に使う“阿修羅鬼”が誕生した。

作中では中先代の乱の先陣として久米川に布陣して時行の軍に対して正面迎撃の構えを示す。
そのまま一族再興のために立ち上がった時行の心がけを称賛し、一切の邪心無く年端もいかぬ時行に一騎討ちを申し込む無体を行った*3
当然のことながら拒否され、代わりに先走った弧次郎(と援護に回った望月軍)が向かうが、これを「我が賞賛を裏切った」と勝手に解釈。激情のままにこれを迎撃した。
その後、怒りを一端収納して退却する時行軍を冷静に追って女影原へ進撃。海野との自己強化王決定戦一騎討ちを征して全兵殲滅の命を下すが、乱戦の隙をついて接近した時行に再度一騎討ちを申し込まれ怒りのままにこれを承諾。
時行をして「事前に戦いを見てなければ躱せなかった」という太刀筋を見せるが、海野からの連戦と逃げ続ける時行の渾身の煽りによって怒りを極限まで引き出されたことで疲労。
力を使い果たし剣速と威力が落ちたことで実力が五分となった弧次郎との一騎討ちを受けざるを得ない状況に追い込まれる。

弧次郎との一騎討ちでは、限界疲労時の戦いとして蹴りと大太刀を融合させた新手の武術を編み出して対応。
味方からの横やりに激昂しかけるも、弧次郎の叱責を受けて「武士の戦」ではない個人同士の戦いに目覚める。
正義や武士をも放り出してどこか楽しげに戦いを続けたが、渋川の技に対応し切った弧次郎の剣技を前に敗北。致命傷を負った状態のまま弧次郎の武勇を称賛し、時行に「正義を貫くための苦痛」を忠告して息絶えた。
最期に見せた表情は「阿修羅」とは程遠い穏やかな青年の顔であった。

(…直義様 御恩を返せずご期待にも沿えず申し開きもございません)

(拙者は阿修羅になれませんでした)
(正義も武士も放り出し (わらべ)との勝負で満ち足りてしまう程の小物なのです)

(遺した家族をどうか 足利に 栄あれ)

史実では渋川家の当主であり、渋川家は足利一族の中でも特に高い家格を誇った名門。
上記の通り足利家とは縁深く、本編でもちらっと登場した娘の幸子は後に尊氏の実子で室町幕府二代将軍義詮の正室となり、かの三代将軍義満の養育を担って足利家を支え、義満に厚遇された重要な女傑である。


二番組


岩松(いわまつ)経家(つねいえ)


女女女ァ! 一人残らず俺のモンだ!!

レアリティ
(1335年)
☆☆☆ SR
能力 南北朝適正
武勇 84 蛮性 89
知力 47 忠義 72
政治 43 混沌 71
統率 68 革新 52
魅力 76 逃隠 58


二番組筆頭。年齢不詳。
目元にマスク、猫耳っぽいデザインの烏帽子、日焼けした胸元を大きくはだけさせたアロハシャツのような着物を羽織り、手にはサーフボード…のような鞘に入れた斬月斬馬刀の如き大太刀艶喰(つやずき)を携えた武士。
…というかサーファーだ!これ!!
マーキング・パターンは「椿+足利二つ引on新田一つ引」

粗暴な態度に加え、「良い波と女は迷わず乗るべし!」と嘯くように事あるごとにアロハポーズを決めるチャラさだが、その本性は病的な女狂い。
「全国の女を(ほしいまま)にする」という野望を掲げる強欲な性欲で、攻め込んだ敵地から女性を見境なく誘拐することを積極的に試みるほど。鎌倉攻めで北条郎党を殺戮した際には奪った北条側の妻や娘を老若問わず自身の妾にして手に入れている。
一方、政治にはそこまで関心がなく、平時は専ら女と酒に溺れているため、生真面目な直義には嫌われており「政治の中枢には絶対に入れない」と釘を刺されている。
しかし、戦の際には自由行動を許されており、岩松自身も適性を活かしてくれる直義に忠義を誓っている。
なお、岩松家は新田家の傍流であり、鎌倉攻めの際には義貞に付き従っていたが滅亡後は見限り、足利の傘下に入った模様。

規格外の大きさの愛刀を片手で振り回す武力は本物。
愛刀・艶喰は当たれば一撃必殺な上、生半可な強度の武器では防御と同時に破壊されてしまうという厄介な特性を持つ。
渋川とは正反対の性格ながら仲は良好で、戦闘になれば息の合った連携を見せて敵を殲滅する。

中先代の乱においても孫二郎に唆される形ではあるが、女を手に入れるため前線から離脱して雫らが陣取る後方の非戦闘地帯を強襲。
諏訪軍全体に混乱をもたらすが、不審な動きをしていた岩松兵を見咎めなんとなくで後退してきた望月重信と交戦。
艶喰を用いた武器破壊で重信を苦しめるも、鎧を着込んだ岩松兵の死体二つを盾にされ戦線が膠着。雫率いる巫女衆の思わぬ反撃や、吹雪によって部下を殲滅されるなど徐々に劣勢に陥っていく。
しかし土壇場で「女を奪う」という当初の予定を変更。
鞘飛ばしによる不意打ちから巫女衆を皆殺しにして戦況をひっくり返そうと試みるも、重信の戦いぶりを見て強度計算を済ませた吹雪の兜二領を用いた防御により阻止される。
そのまま動きが止まった隙を狙った重信の背中からの一突きを受けて致命傷を負う。
だがそれでも笑みを絶やさず「まず()れよ。遺言なんぞ死んだ後で喚いてやる」と嘯き、胸を刀で刺し貫かれても尚、最期まで自らの強欲を恥じることなく前のめりに倒れ伏した。

全国の女を(ほしいまま)にする
そんな夢を見れるのは乱世だけ そんな夢を見れる勢力は足利だけだ

良い夢見れたぜ あばよ

史実では漫画同様新田一族の出。だが当主だった経家が戦死したため家は弱体化。
一応江戸時代まで家柄は残ったらしいが、無駄に格式が高かったせいで常に参勤交代を強いられ貧乏暮らしを余儀なくされたという。
なお財政を維持するため岩松家の当主は代々猫の絵を描いていたとか。なお当主が描く猫の絵はネズミ除けとして庶民に人気があったらしい。


上杉(うえすぎ)憲顕(のりあき)


いやはや 武士を「造る」のは難しい

レアリティ
(1337年)
☆☆☆ SR
能力 南北朝適正
武勇 44 蛮性 21
知力 84 忠義 71
政治 93 混沌 94
統率 36 革新 77
魅力 70 逃隠 90


二番組副頭。1334年時点で28歳。
白黒反転した両目に尖った耳というまるで悪魔かダークエルフかといった容貌の男。容姿に限れば庇番衆の中でも馬を除いて特に人間離れしている。
見た目に反して「恐ろしい」が口癖であり、態度も謙虚。
庇番随一の学術知識を有する知恵者であるが「祖父の代まで貴族だった軟弱者」と自虐して、常に屈強な兵を複数侍らせるなど慎重さが窺える。
とはいえ、本人も談笑しながら襲い掛かる兵を口から串刺しにして殺す程度に強い。

性格が控えめだからか、一部庇番衆の奇行にも引き気味なリアクションを取る苦労人……なワケはなく、その実はならず者を麻の実と天狗茸から精製した薬物を充満させた地下に閉じ込めては武士に造り変える実験を行っているマッドサイエンティスト
学問が生業の公家出身のため武士の思考を理解できず、だからこそ武士を解き明かすために「学識と理論で最強の武士を造る」ことを命題にしている。
先祖代々運営している教育機関の足利学校に研究施設を増設したらしく、そこで日夜非人道的な人体実験や改造を行っている模様。
実は征蟻党の腐乱はこの施設の脱走者。
成果物の一つである「人造武士」脳手術と薬物投与によって痛みも疲れも感じない上に、技術移植した変化する太刀筋を用いる厄介な兵士となっている。

そんな非道な行いから当初は孫二郎から罵られたこともあったが、庇番衆の面々への仲間意識はきっちりとあり、単なる人でなしのマッドサイエンティストなわけではない。
実際庇番衆の面々が討死したことへの憤りは憶えており、静かな顔で諏訪陣営への敵討ちを目論んでいた。

中先代の乱から2年後の1337年では「北朝関東府副執事」となり、斯波家長の補佐を担っている。

史実では後の初代関東管領。
戦国期に長尾景虎(上杉謙信)を養子とした上杉憲政の先祖である。


長尾(ながお)景忠(かげただ)


没落した長尾家を この景忠が再興する
鬼に魂を売ろうとも 上杉様の実験動物となろうとも!!

北条氏との勢力争いに敗れ宝治合戦で族滅させられた長尾家の生き残りの家系の男。
貧民になり果てていたところを憲顕に囚われて実験の材料にされていた。
麻の実と天狗茸を精製した薬物が充満した部屋に監禁されながらも、意識をハッキリと保った状態で受け答えする強靭な精神力の持ち主。憲顕曰く「誰か知らぬが良素材」

その実力は本物で、中先代の乱では本調子ではないにもかかわらず、やせ細った体を筋力増強剤で補い、自前の精神力と武士としての技量で渋川をくだした弧次郎相手に善戦。保科の渾身の一刀をも紙一重で躱すなどの活躍を見せた。
内臓が飛び出る寸前の重傷を負ってなお好戦的で異常な戦闘意欲を燃やすも、将来性を買った憲顕に制止され正式に仕官を認められた。

1337年以降は上杉家執事となっており、憲顕のドーピングと鍛錬の結果なのか、捕らえられた時よりも遥かに体が大きく精強な姿になっていた。

史実では憲顕に仕えた腹心であり、没落した長尾家を立て直した一族中興の祖。直接の子孫は関東各地で、弟の子孫は越後に渡って代々守護代を務めた。
そして越後守護代の家系から後に長尾景虎という軍神が造り上げられ……


三浦(みうら)時明(ときあき)


牙を剥け三浦の闘犬ども! 俺の拳が指す方向を噛み砕け!

鎌倉党の三浦八郎の兄。
元は北条方だが、幕府滅亡後はあっさり見限り、親北条派の八郎を追放してまで足利についた。
将としては無類の強さを誇っており、純粋な戦の強さなら筆頭クラスだが、足利一門ではなく頭も悪い(直義評)ため庇番での地位はそこまで高くない。
その微妙な立場を狙った泰家の捨て身の調略に応じ、戦の最中に北条方へと寝返った。
詳細は 鎌倉党の項目 を参照。


四番組


一色(いっしき)頼行(よりゆき)


推しの庇番衆の札を買って応援しよう! 全員分揃えると限定手ぬぐいが貰えるぞ!

四番組筆頭。
下睫毛に頭に巻いた手ぬぐいが特徴的な美形。
アイドル路線での売り出しをされている一員なのか、メンバー全員分を揃えると限定手ぬぐいが貰えるアコギな商売必勝祈願の札の宣伝をしていた。
女性人気は高く、彼の結婚が発表された翌日の牛車ツアーは地獄だったという……

中先代の乱以降は直義側近の武将として活躍。九州落ちや湊川の戦いで直義と共に奮戦している。
史実通りであればこのあと九州に戻り、九州探題となった弟と共に統治に務めて1337年に戦死している。



五番組


石塔(いしどう)範家(のりいえ)


俺は岩松殿とは考えが違う
教えてやろう 脳内にいる女こそが男を強者(つわもの)に育てる事を

レアリティ
(1335年)
☆☆☆ SR
能力 南北朝適正
武勇 80 蛮性 73
知力 77 忠義 95
政治 43 混沌 70
統率 38 革新 93
魅力 49 逃隠 7


五番組筆頭。
常に眉根を寄せた武人らしい容貌。ごく普通の出で立ちで武器も常識的なサイズの太刀に大鎧。
…がその大鎧は、令和風の萌え絵美少女キャラ「白拍子天女鶴子ちゃん」が胴に描かれている痛鎧であった。
「「「「「こいつ強者だ!!」」」」」
しかもこの鶴子ちゃん、元ネタは特に存在しない範家の一次創作である。
マーキング・パターンは「痛鎧ラッピング」

堅物に見えるが、内心は敵に「強者」と畏怖されることや「現実を越えた理想の武士」になることを重んじる情熱家。
範家は彼女のことを大真面目に「俺の理想の女神」と語り、「現実に縛られれば現実を超えた理想の豪傑にはなれない」「脳内の女神には進化の限界がなく、彼女に惚れて成長するこの俺にも限界がない」という持論から脳内の嫁を隠すこともなければ、戦場でも痛鎧を身に纏うことも一切の躊躇もしていない真の強者である。
「現実の女には一切の興味がない」と断言する一方で鶴子ちゃんの魅力と設定をより高めるための興味は旺盛。
気になる相手の女子がいればその女性の属性や特徴を戦場のど真ん中であろうと徹底的に質問しまくって鶴子ちゃんの設定の参考にする几帳面な一面を持つ。
そして自分の嗜好に寄り添い否定することなく丸ごと認めてくれた直義への忠誠度は凄まじく、鶴子ちゃんへの愛情と同レベルかそれ以上に重い鋼の忠誠心を擁している。

そして筆頭らしく武力もハイレベル。
大規模な合戦の只中ながら痛甲冑に一切の傷も汚れも付けることなく戦えており、「理想的な太刀筋」と評される美麗な剣技によって単騎で多数の敵を相手取り圧倒することができる。


中先代の乱では前線を離れて後陣に奇襲を仕掛けた岩松の護衛として自軍を率いて同行。重信の指示を受けた亜也子と望月軍との戦闘にもつれ込む。
多対一という状況にもかかわらず、亜也子の属性を聴き出すべく質問攻めにしながら戦うという舐めプ余裕を見せながら圧倒。
しかし、臨機応変な望月軍によって自軍の兵から引き離され、亜也子のなりふり構わない猛攻により地面に叩きつけられる形で落馬。
「一瞬でも亜也子の不器用な愛に魅せられた」ことが敗因と語り、亜也子の雫に対する嫉妬心まで見抜いて指摘。その上で降伏を選ばず、突きつけられた刃を自らの手で首に押し当てて自害した。

さらばだ娘… 俺の首を手柄に主君との恋模様進めるがいい

(理想を叶えることが幸福ではない)
(理想を追う時間そのものが幸福だった)

死の間際とて何一つ悔いることがなかったその死に様は紛れもなく「強者」であった。

なお、鶴子ちゃんの原型は実は現実の人間
経緯は不明だが、諏訪で名も知らぬ女性の神々しい舞を目にし、それを理想として追い続けた結果の産物だった。


六番組


吉良(きら)満義(みつよし)


草美味いでござるwww これは良い草www

六番組筆頭。
草のような眉毛にしゃくれ顎の男でアイドル路線での売り出しは無理と判断されたのか鎌倉から離れて信濃方面での監視と斥候を担当している。
初登場時は信濃での斥候帰りだったため、ギリースーツめいて草を纏った格好をしていたが、本当に雑草が大好物な草食系武士。そのため、兵糧も持たずに草だけを食べて敵を追跡できる。
草を食べる際は文末にw(くさ)を生やすなどテンションがおかしくなる。草に草生やすな
ただし戦場が苛烈になり劣勢に追いやられるなどして余裕がなくなった場合は流石に草を生やす余裕はなくなる。

時行が名乗りを上げる場面を確認し、徹夜で鎌倉に駆け付けて変事を報告。
その後も戦場に潜伏し続け、孫二郎を護衛して脱出、小山秀朝と共に北条軍を背後から奇襲といぶし銀の活躍を見せる。


寄騎


寄騎とはアシスタント的な役割のこと。
庇番には所属しておらず、外部からの助っ人要員だと思われる。

“復讐鬼”斯波(しば)孫二郎(まごじろう)斯波(しば)家長(いえなが)


最強の二人をそれとなく誘導して…戦全体の絵図を描くのが僕の役目さ

敵方に現れた松井先生の性癖美少年にして期待の新星。
初登場時(1334年)で13歳とまだ年若いが、年嵩の庇番衆にも頼りにされる程に軍略と戦局を読む目に長けた麒麟児。
渋川や岩松を相手に臆せず軽口を叩く生意気な側面があるが、心からその武力を信頼している。特に渋川の武は「理想像」として尊敬しており、彼の信頼を裏切る策を通した際には片腕を犠牲にすることも厭わない覚悟を見せるほど。

戦場では軍師として立ち回り、扱い難い気質の庇番の面々を言葉巧みに操る知恵を持つ。
軍師としての才は頼重も驚嘆するほどだが、経験不足故に裏をかかれると脆く、筆頭三将死亡の報を受けた際は狼狽して戦場でへたり込むレベルにショックを受けていた。
直義は孫二郎を既に自分をも凌駕する才を持つと見込んでおり、育成枠としてことさらに重用している。

中先代の乱から2年後の1337年では元服済み。
斯波(しば)家長(いえなが)を名乗り、17歳ながら「北朝奥州総大将兼関東執事」という肩書きを授かり、北畠顕家とライバル関係にある。

戦装束には中先代の乱で散った仲間の意匠を取り入れており、
  • 渋川の鉢金
  • 石塔鶴子ちゃんの鉢巻*4
  • 岩松の目庇(まびさし)*5
  • 範満の馬の尾型の髪飾り
を継承して身に付けている。石塔の痛鎧は継承されなかった。というか石塔はこの鉢巻を一度も身に付けたことないし……*6
他にも顕家の首を「仲間の三周忌の供物」にしようと目論んだり、時行の生存を確認するなり怒気を孕んだ顔に豹変するなど、庇番に対する仲間意識と仇への復讐心は未だに強固。
しかし、すぐにその感情を抑えつけ、わざと時行に対して喚き散らして取り乱す“演技”をして次の策への布石とするなど、精神的な成長が目覚ましい。

メンタル面以外でも、元々高かった戦局を読む鋭い洞察力が完全に覚醒。
敵や仲間の感情や行動どころか、背後にある政治的な動きや対立構造まで読み切り、何年も後の盤面に効いてくる策を先んじて打つ「未来視」の領域に到達している。
あまりに先の枝分かれした未来まで読み切っているからか、性格も半ばドライになっており、自らの死すら予測した上で策に組み込み、後のことを遺された仲間に託すことすら平然と行っている。
かつて孫二郎の時代に直義は「才は私を凌駕する」としながら「このまま大人になれば凡将で終わる」と評して一皮剥けるよう促していたが、中先代の乱での連敗を経て家長を名乗り劇的に成長を遂げてからは、憲顕に「数十手先の盤面を見通す冷徹な目」「齢十七で直義様を超えたやも」と評されるように、名実共に直義を凌駕する存在に成ったとも言える。

戦闘においては、かつて憧れた正しく強い豪傑である庇番の面々が、時行の逃げ上手の戦法に翻弄されて敗北した教訓を活かし、逃げ切られる前に仕留める「速攻」に特化したスタイルを取る。
正宗に新たに作らせた刀疾風蜂(はやてばち)は、刀身や鍔に無数のハニカム状の孔が開けられ、太刀の長さはそのままに軽量化したもの。
家長はそれをフェンシングの要領で使用することで、時行が「速すぎて躱せない」と称するほどの片手高速突きを見せている。
また刀を右手一本で使う技の特性上、左手が空くのだが、そちらには鎧から外した大袖を盾のように持ち扱うことで、攻守ともに隙を消した完璧な武術を編み出した。

また、中先代の乱の後に鎌倉の防衛に失敗した直義をはじめとした関東の足利一門を露骨に見下し、佐々木道誉をはじめとした怪しげな西国武士とつるんで贅沢や陰謀に走りだした高師直一派を危険視。
足利の天下が盤石になる遠くない未来に内紛が起こり、清廉実直な直義が排除されることまで予測したことで、関東足利党を師直一派に対抗できるほどの勢力にまで強化しようと励みだす。
そのためには、尊氏の実子で若干7歳の義詮すら「凡庸な幼子」と見做して利用することも辞さない冷酷さも垣間見せ「尊氏様の子を我々に依存させ関東武士に都合のいい傀儡とする」ことを基本方針としている。

元服後は前述通り北畠顕家との戦闘に明け暮れており、1336年に尊氏を九州にまで追い落として帰路につく顕家に対して気取られることなく奇襲を敢行。
巧みな指揮でひと月もの間、足止めを食らわせ、その後も奥州武士を巧みに操って本拠地を奪うなどして散々に苦しめている。
顕家もその戦法を「小賢しく陰湿で爺臭い」と嫌いながらも、「余を苦しめた好敵手」として認めている。

そして1337年の利根川の戦いで、顕家軍に密かに合流していた時行の加勢により仇敵の生存を確認。
利根川の戦い自体は外様兵を盾にする形で程々に退却。その際、閃いた策として時行を前に喚き散らす演技をして後々の布石にしている。
そのまま、誰にも悟られぬ速さで杉本寺を跡形もなく要塞化した杉本城へと入城。籠城戦の構えを見せる。
さらに顕家が水源を絶って包囲戦に持ち込むことや兵糧に余裕がないことをも見通して、憲顕による毒ガス攻撃で水場を守る北畠兵を壊滅させ、損害の大きい力攻めによる短期決戦にもつれ込ませることに成功した。

そして迎えた杉本城の戦いにおいても、
  1. 利根川の戦いの演技で「顕家は時行を先頭にして正面階段から力攻めをする」形へと誘導
  2. 桃井直常を投入して時行軍の隊列を大きく乱す
  3. 密かに捕えていた北条泰家を「秘密兵器」として晒して人質にすることで、時行軍の判断力と戦意を奪う
  4. 長尾景忠を投入して先鋒の時行軍を瞬時に崩壊させる
といった具合に、幾十にも策を張り巡らせることで時行軍の戦列を乱し、時行の殺害と顕家への王手をかける寸前にまで持ち込んだ。

しかし、シイナの参戦や、顕家と逃若党の忍者コンビの連携による泰家の奪還、敵方に新田・伊達軍が合流するという想定外の邪魔が入ったことで目標達成には及ばないと瞬時に判断。
撤退させた憲顕に関東足利党のまとめ役と今後の政争を託し、自らは師直からの非難を避けるための責任取りと義詮に多大な貸しを与えるため戦死する道を選ぶ。

時行との最期の戦いに臨むにあたり、挑発のため自らの利根川での演技を誇って煽るが、時行からは「あれが策かもしれないとは感じていた」「例え策でも涙と怒りは本物だった」として自身が演じて隠してきた思いを看破されてしまう。
さらに顕家からも、総大将としての覚悟を受け止められ、勝てば家長の求める終戦条件を認めるという時行との一騎打ちを提案される。
自らの思いと向き合うための決闘に応じる構えを見せた時行、感情のままに全力で戦うことを望む顕家の言葉を受け、家長もかつて関東庇番の仲間と共に若さのまま好きに生きようとした初心を思い出す。
それでもなお顕家を「脳筋貴族め」と笑い、「復讐の鬼でも演じてやるか!」と再び怒気を孕んだ表情で時行と対峙。
しかし、研ぎ澄まされた未来視は、突如降ってきた雪すら予測の範疇とする達観の境地に到達。
冷静沈着かつ穏やかな表情に立ち戻りながら、心の内の“若さ”という炎を滾らせ仲間達の復讐に臨む。

渋川殿 岩松殿 石塔殿 今川殿
仇の首を喜んでくれるかな


一騎打ちでは、疾風蜂による徹底した時行メタによって終始優位に進めるが、途中から皆の思いや背負った宿命を力に替え「鬼丸」の効力を使いこなし始めた時行に対応され、常にキープしていた上段を奪われてしまう。
有利な上段を取りながら背を向けた時行の奇策に対しても動じず、忍び寄っての高速の暗殺を狙うも、時行の新必殺技「千眼白刃」を前に全ての想定を飛び越えられ、そのまま喉を貫かれる。
命が失われるその刹那、家長の未来視は今までで最も遥か遠くの平和の続く未来、あるいは存在しない記憶とでも言うべき光景すら見せ……

なあ…時行
いつの時代を生きるのが幸せだ?
何歳で死ぬのが幸せだ?

僕は今だ 十七だ

平和の続く未来、何者かになれたかもしれないif、若くして死ぬことへの憐み……それら全てを家長は突っぱね、自らの「今」を謳歌して散った。


“馬頭鬼”今川(いまがわ)範満(のりみつ)


うま だいすき


レアリティ
(1335年)
☆☆☆ SR
能力 南北朝適正
武力 63 蛮性 92
知力 18 忠義 77
政治 21 混沌 93
統率 11 革新 89
魅力 39 逃隠 67


ビックリする程に馬面…というか、まんま顔が馬。正確には馬の面を被った男*7なのだが、何故そんな恰好なのか誰も知らない。
明らかなツッコミ待ち状態なのだが、寡黙でツッコミを許さない雰囲気の人のため、誰も聞くに聞けず詳細不明なまま恐れられている。
マーキング・パターンは「蹄」

言動も「うまだいすき」など何故か片言でしか喋らずどこか不気味。
初登場時にも他の庇番衆同様にいたのだが、真正面から見た顔しか映っていないので読者の誰も人間とは思ってもいなかった
そんな見た目に違わず当然馬好きで、領内でも大量に馬を飼育して慈しんでいる……のだが、食べることも同様に好んでおり、合戦前には山積みの馬刺しを食らうなどやはり狂気的*8。戦の最中でも使い潰した馬にそのまま噛み付いて生肉を貪るレベルの狂気を見せる。

本作においても出陣時に足を鞍に結び付けるものの、同時に馬の心臓部分を蹴り上げて無理矢理活性化。限界を超えた馬の機動力で戦場をランダムに跳び回り、進路上の敵を殺すだけのMAP兵器と化す。
さらに範満はこの戦法を駄馬で行っており、駄馬の能力を限界を超えて引き出し、命尽きるまで使い潰した後は別の駄馬で同じことを繰り返す。そのため、戦場に馬がいる限り無限に暴走し続けることが可能。
戦法上、馬を乗り換える際に隙ができるのが弱点なのだが、今川党の練度であればF1めいたピットボックスでわずか15秒での換装が可能であり弱点として機能していない。
憲顕はその戦いぶりを見て「病気の域」と評している。
さらに奥の手として千段巻部分に注射針の付いた筒が備わった異形の薙刀の針を馬の脳に刺し、そこから新皮質を経口で吸い取ることで理性を破壊。
潜在能力を抑えるものを消す一瞬だけ、かつての愛馬「瑪瑙」に匹敵する超加速を引き出すことができる。

その実態は、高い乗馬技術や馬の素質を見抜く眼力を持ちながらも、武人としてはあまりに繊細過ぎた一人の狂人。
素顔は眉の太い優しげな風貌の男で、自らが才能を見出し「生涯の宝石」と称した愛馬・瑪瑙と共に十年間戦場を駆けていた。
しかし瑪瑙を射殺されたことで立ち直れずに心を病み、何度も自殺未遂を繰り返すほどに憔悴。その才能を惜しんだ直義に「駄馬の命を削って潜在能力を引き出し『死んでも哀しくない使い捨ての瑪瑙』に変える」という策を唆され狂気に囚われることとなった。

しかし、数多くの駄馬を使い捨てる内に罪悪感にも囚われだしており、中先代の乱で時行を追い詰めた際には涎と共に涙を流している。
その後、吹雪によって致命傷を負わされてからは完全に正気に戻り「何故次の原石を探さなかったのか」と後悔の念に苛まれた。
そして、これ以上自身の狂気の犠牲者が出ないよう、家臣団に「生きて我が首を持ち帰り馬の餌にしろ」と遺言を残してこの世を去った。

もう二度と会えないな瑪瑙
お前は極楽
俺は地獄だ

なお今川家に伝わる『難太平記』によると、中先代の乱の際に範満は大病を患っていたにもかかわらず、愛馬に足を結び付けて文字通り人馬一体となって戦場を駆け抜けた記述があるため、彼の顔が馬である理由はそれだと思われる。
子孫は勿論、戦国大名として有名な駿河今川氏。


組織としての末路


将来の足利一族を支え得る若き精鋭の集まりと言っても良かったが、上記の通り中先代の乱の各種合戦により多くの武将が討死を遂げ、事実上組織としては壊滅した。

だが全てが終わったかと言われればそうではなく、足利直義が予見した通り斯波家長が頭角を表し、1337年の段階で家長は関東を治める新たなトップとして台頭。北条時行と敵対することになる。


余談


作中では三番組は影も形もなかったが『建武記』によると筆頭は吉良貞家
奥州(武蔵)吉良氏の出身で、六番組筆頭の吉良満義(三河吉良氏)とは別系統の一族だった。

また、泰家によると三浦時明以外にも鎌倉奪還後に「天野」と「伊東」も北条方についたとのことだが、それぞれ四番組の「天野貞村」と五番組の「伊東祐持」だろうか。

史実における関東庇番は建武の新政における関東統治の役割を担う重要職だったものの、結成してすぐに起きた中先代の乱で筆頭の半分が戦死。
その後、建武の新政も崩壊したことで自然消滅するなど非常に短命の組織だった。
そのため、中先代の乱で戦死したメンバーの大部分の詳細はわかっていない
例えば石塔範家に関しては『建武記』にかろうじて名前が確認されるのみで、それ以外に史料がないため中先代の乱で「推定戦死」と見做されている。

庇番の壊滅後も足利家の層は厚く、京都から攻め上がった尊氏本隊によって中先代の乱が鎮圧された事実が何よりそのことを物語っている。
しかし、ここで有望な将来の中堅層がごっそり抜け落ちたことは、足利政権の基盤の揺らぎの一つに繋がっていく。
足利家にとって関東庇番の壊滅は将来的な大打撃だったと言えるだろう。




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最終更新:2024年04月09日 22:27

*1 劇中では「関東庇番衆」とも表記される

*2 渋川の妻は佐介流北条氏の出身。

*3 岩松曰く「相手が世界最強でも同じ事を言う」とのこと。

*4 鉢金の柄が同じ模様になっている。

*5 兜の鉢から出っ張って額を覆っている部分を意味するが、この場合はアイマスクを指している。

*6 継承のイメージ図においても、石塔ではなく鶴子ちゃんから手渡されている。

*7 より正確を記すと、宴会とかでよく見る馬の頭部をかたどった「覆面」ではなく、馬の顔面のみをかたどり自分の顔だけを覆う「お面・仮面」に近い。真横から見れば人間の頭部から馬の顔面が伸びたような状態で、ただ馬の覆面をスッポリ被るよりも奇怪に見えるかもしれない。

*8 仏教の影響で当時の日本では肉食は忌避される傾向にあったが、諏訪大明神が狩りの神であるように暗黙の了解的に肉も食べられていた。しかし、それでも食べるのは猪や鹿などの狩猟肉であり、馬のような家畜を食用とするのは正気の沙汰ではないとされる。