北条時行(逃げ上手の若君)

登録日:2023/06/06 Tue 13:19:00
更新日:2024/09/11 Wed 18:21:43
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よしっ 逃げよう!!


北条(ほうじょう)時行(ときゆき)とは、鎌倉時代末期から南北朝時代の武将。
本項目では、史実を元に創作されている漫画作品『逃げ上手の若君』における キャラクターとしての北条時行 を扱う。

CV:結川あさき/大塚琴美*1


●目次



ステータス


レアリティ
(1333年)
☆☆☆☆ SSR
能力 南北朝適正
武力 6 蛮性 11
知力 27 忠義 80
政治 4 混沌 48
統率 12 革新 22
魅力 41 逃隠 89
レアリティ
(1335年)
☆☆☆☆☆ UR
能力 南北朝適正
武力 34 蛮性 18
知力 47 忠義 80
政治 32 混沌 52
統率 38 革新 34
魅力 69 逃隠 93

  • 技能:逃げ上手
逃走・回避・潜伏の複合技能

  • 備考:好物 鯛の刺身
幸福値30%上昇

  • コメント
今日から一文無しになりました。宜しくお願いします!



概要


北条一族本家の現当主(得宗)・北条高時の次男坊にして、この作品の主人公。1333年時点で僅か8歳
見た目としては『ネウロ』の石垣筍系の顔だが、「あどけない中に色気も感じさせる、中性的な美少年」という松井先生の性癖得意とする造形。

北条家の跡取りながらも北条家の没落も目に見えている時期なだけあって誰からも期待されていない日陰者。
彼自身「お飾りの王に知力も武力も無用」「ただ大好きな鎌倉の街で生きていければそれでいい」と達観、いや諦観しているふしさえあった。
……だが、足利高氏による裏切りと鎌倉幕府の滅亡、父と兄の死、そして自らも死の淵の淵に立たされたことで才能が開花。
諏訪頼重から、今はとにかく逃げ延び、やがて痺れを切らした(たかうじ)が討って出た所を狙う「鬼ごっこ」による天下奪還を持ち掛けられたことで、彼の戦が始まる。
崩壊する鎌倉から逃げ延びた時行は頼重の庇護の元、長寿丸(ちょうじゅまる)の名で諏訪に潜伏。
逆襲の機を窺いながら「逃げる戦」に必要となる経験を積み、己と郎党の力を蓄えていくことになる。

マーキング・パターンは「三つ鱗」
北条家の家紋であり、▲が三つ重なった形をしている。現代風にざっくり言えばトライフォース柄。
諏訪では身元を隠すためにこれを変形させた「風車柄」の意匠を使用している他、中先代の乱の後においても風車柄と三つ鱗を重ねた六芒星のような図柄を用いている。


人物


平穏な鎌倉の街を愛し、戦や政を嫌う優しい少年。
一方で逃げることについては並々ならぬ執念と才能を持ち、その気になれば家臣の目を2日はごまかせる程である。
「とにかく戦ってなんぼ、負けるぐらいなら死ね」と言わんばかりの鎌倉武士の価値観からは腑抜けも良いところのまさしく異端児。
ただしただ臆病なヘタレではなく、逃げはするが敵から目をそらさず、戦を放棄するつもりはさらさらない、勇敢な気概も併せ持つ。
そして部下や人の命を何より大切に想っているのも特徴であり、仲間や自軍の武士たちの死を憂い、優しすぎる余り部下の自己犠牲的な死すらも否定する心優しさを保っている。

なお生まれ育ちのせいか価値観がどこかおかしく、召し抱えようとした協力者から条件として大金を要求された時も、
「旗揚げからの生粋の功臣なら『国』を要求してもおかしくないのに金で済ませてくれるとは何という無欲!」と予想外のベクトルで揺らぐなど、この作品らしく一筋縄ではいかない主人公。
更には危険に身を置くと生存本能が刺激され興奮してしまうアカン性癖の持ち主。自覚はないが、死にかけた時は顔が火照っている。
おかげで仲間の鎌倉武士からは「全裸逃亡ド変態稚児」という酷すぎるあだ名をつけられている。

中先代の乱後の1337年時点では伊豆に潜伏するも、未知の地での潜伏生活での不安・窮屈・恐怖・支援してくる人々への感謝の情が入り混じった結果興奮するなど変態性に磨きが掛かった。


能力


一見腑抜けにも見える逃げ癖こそが彼を英雄たらしめる力の片鱗で、頼重から「生存本能の怪物」とまで称される才能の持ち主。
崖から敵陣ど真ん中に落とされてもアクロバティックな立ち回りですべての攻撃を掻い潜ってそのまま崖を飛び上る等、逃げる為ならそこいらの武士(というか大体の人類)では相手にならない程の身体能力を隠し持っている。

ただ、稀代の逃げ上手である反面攻めは不得手。
刀を振っても相手が引くほどのへっぴり腰で擬音語までも珍妙。大鎧を着込めば重すぎて全く動けない位には筋力も貧弱なレベルである。
頼重は矯正したら逃げの才能がつぶれるとして当人が興味を示す弓の訓練を重視していた。


  • パルティアンショット
決まりっスね 若の得意技は「押し捻り」だ
ふふふ 未来ではもっと少年心をくすぐる通称で呼ばれるようだ

頼重命名。日本的に言えば「押し捻り」
付かず離れずの距離を保ちながら逃げつつ身体をひねって後方の敵を弓で射抜く騎射戦術。
紀元前の中東国家パルティア考案の技術だが時行は本能で会得した。

  • 鬼心仏刀(きしんふっとう)
慈悲の刃で始まれど 終わる頃には地獄絵図
乱世の鬼を誅するは 鬼か仏か「鬼心仏刀」

吹雪から伝授して貰った逃げながら戦う術。
吹雪曰く「この世で最も優しく慈悲深くこの世で最も残酷な剣」
具体的には相手の攻撃を受け流しながら見切って内小手を斬り出血させた後、そのまま止血の暇を与えない程度にチマチマ内小手を狙いつつ超スピードで付かず離れず逃げ続ける。
結果相手は止血することもできずゆっくりと血を流し続け最後は失血死により倒れ伏す。
なお一部読者からはどくどく+かげぶんしん戦法」と例えられた。主人公の必殺技か?これが…
名称の由来は「見た目には情け容赦がないようだが、実は相手の為を思う行為」を意味する「鬼手仏心」か。「見た目はしょぼいが、実は情け容赦のない行為」と見事に意味が反転しているが。

  • ヒップアタック(仮称)
そ…その手があったか!天性の逃げ筋で敵の方へ逃げて尻で攻撃!
我が君にしかできない新必殺技だ!

天性の逃げ筋で敵の方へ逃げて尻で攻撃する技。
潔い死に酔う保科への憤りと、かぶせられた酒で酔った勢いから生まれた新必殺技
吹雪は絶賛したものの「エビみてーだな」「かっこ悪ぅ」と郎党からの評判は概ね不評。
逃げて生きる時行の覚悟と連続の尻攻撃によって保科の頭を冷やすことに成功したが、顔を紅潮させたいたいけな美少年が、屈強な武者のうるさい顔に連続で尻を当てる絵面はかなりシュール。

  • 背面回避
馬鹿な…逃げ上手は重々承知だが
背中に目までついているというのか!?

戦闘中に敵に背を向けた状態で攻撃を避け続ける技。
いくら逃げ上手と言えども、背中に目がついてない限りそんな芸当が出来るはずもない。不可解な動きを見せて敵の動揺を誘い、守りを崩すことを目的とした逃げ技である。
そのタネは逃げ役とは別にもう一人、敵の動きを見てサインを出す指示役を用意することにある。そのためタネに気付かれると脆く、指示役が指示を出した瞬間に反対をつけば簡単に刺されてしまう。
しかし、この技は「二牙白刃」を決めるための下準備に過ぎず……

  • 二牙(にが)白刃(びゃくじん)
自分が刀の柄となり狙いを定め 我が君が刃となって敵を貫く
二人合わせて一本の刀 二牙白刃!!!!

瘴奸との再戦に備えて吹雪が伝授した瘴奸を殺すことだけに特化した技。
背面回避のからくりに気付いた瘴奸が指示役を注視し、時行から意識が離れた隙をついて指示役が本気で時行を刺突。この攻撃を背面に避けた時行が、勢いそのままに逃げた先にいる瘴奸の喉を貫く回避不能の奇襲技
上記の保科に対するヒップアタックに着想を得た吹雪が必殺技にまで昇華させた。
意識の外からの攻撃という意味では前作のクラップスタナーに近しいが、この技は敵に戦術を読み解かせるほど回避が難しくなり、正に瘴奸のような理詰めの武将ほどドツボにハマりやすい性能となっている。

名称の由来はおそらく仏教用語の「二河白道」。
左右を怒りの火の河と貪欲の水の河に挟まれ、さらに背後から追っ手が迫る状態でも、一心に祈り続ければ二河の間から極楽浄土に伸びる白道を進むことができるという教え。

  • 背伸乗り
あの変わった乗馬方法か!
あれはとても怖くて楽しかった!

吹雪から伝授された乗馬方法。
大人用の馬の背中に立ち上がって乗馬し、全身で馬の動きを制御して走らせる。
本来であれば、子供用の馬を殺された際の緊急手段だが、大人用の名馬に軽量の子供が乗ることで段違いのスピードを出せる副次的効果があり、今川範満との鬼ごっこに活用した。
当然、乗り方としては危険極まりない上、旋回時に大回りとなり速度が保てなくなるなどの弱点はあるものの、当の時行は「とても怖くて楽しい」発情嬉々として語っている。


逃若兵法

時行の人生経験や記憶を元に組み合わせて編み出した独自のものから、楠木正成から託された奥義書に記されたものに、軍師の吹雪から伝授されたものまで多数。
およそ常識に囚われない新鮮な発想によるものが多く、敵の虚を突くことに長けている。

  • 火焔御柱(かえんおんばしら)の計
私が瘴奸を破る手がかりは…
信濃で過ごした濃密な二年間の記憶の中にある

崖下を通る敵の軍勢に向かって燃える丸太に兵士を乗せ、そのまま崖から滑り落ちて突っ込む奇襲の策。
いくら弓や落石などに慣れた兵と言えど、火のついた丸太までは流石に咄嗟に判断して回避することは不可能であるため混乱は必至。
さらに複数の火と丸太によって狭い山道ごと軍が分断され、丸太上の兵士に地の利を取られるなど、瘴奸をして「こんな一手を決められては逆転は不可能」とまで言わしめた。

時行は、太古から続く信濃の奇祭「御柱祭」のうち、山から切り出した巨大な丸太の上に乗って崖から100m先まで滑り落ちる「木落とし」から着想を得てこの策を立案。
そこに木曽義仲が倶利伽羅峠の戦いで行った「火牛の計」も参考にして組み合わせたものとなっている。
さらに瘴奸の通る経路は道に詳しい雫が予測し、瘴奸が狙うであろう頼重に敢えてその道を通ってもらうことで進路を誘導。
あとは御柱の扱いに慣れている諏訪大社の氏子に丸太の準備や、兵たちへの乗り方を指南してもらうことで急ピッチで策の準備を整えた。
なお、命の危機に興奮する変態時行や、やんちゃな弧次郎以外のメンバーは崖上の御柱を前にして漏れなくドン引きしている。

瘴奸は余所者であるが故に「御柱祭」のことを知らず、また知識に富むが故に「火牛の計」が作り話であることを知っていたため*2、見事に常識の外の一撃として決められてしまった。

  • 偽旗の計(仮称)
ゲンバ 敵軍を欺きなんとか渋川に近づけないか?
…そういう事なら「目には目を」だ

敵の旗印を掲げて伝令と偽り、敵陣ど真ん中の大将に接近する策。
正成の奥義書に記されていた策であり、正成にとっては「ごくごく普通に使う手」とか。
また、正成は疑われないコツとして「自分の正義を強く信じて歩を進めること」と記している。

  • 士気獲競馬(しきどりけいば)の計
やっぱり私の軍師は最高だ!

今川範満との戦の際に、無茶振りされた吹雪が急遽閃いた士気を高めるための策。
望月家の駿馬を時行が背伸乗りで走らせることで、範満を超える速度を実現。
暴走する範満の常に前を走りながら、範満の接近に対する注意喚起と味方の鼓舞を同時に行うことが可能となった。
さらに縁起物の髪を下ろさせ貝殻粉や金粉をまぶしたその姿は皆の目を引き、広い戦場を逃げ回ることでより一層味方の士気を上げることにも繋げている。

また、戦場のところどころに派手な服を着た兵を置いて目印とした加速装置や、替え馬のポイントを設置。
範満は常に北条軍付近を走っているため、共闘する上杉軍の助けも受けづらく、一方的に妨害を受けるため、時行との駆け比べは常に不利な状況を強いられる。
加えて、乱戦の最中に玄蕃を暗躍させ、足利方に現在の競馬よろしく賭けを提案して集中力を乱し、範満の馬替え場を潰す破壊工作を施すことで勝ち確の状況を作り上げた。

仮に範満が時行を追い詰めたとしても、仕留めるために速度を緩めた隙を逆に突き、
競馬の進路の真ん中に潜んだ吹雪が最短で討てる準備を整える保険も用意するなど、急拵えの策にもかかわらず万全の構えとなっている。

  • 辻堂(つじどう)の戦いでの策
この戦の主がこの戦に決まりを定める
時行を殺せば尊氏の勝ち 逃がせば全てお前の敗けとする!

辻堂の戦いで足利軍に追い詰められた頼重を救出するための策。
その前の戦いで離反した吹雪に替わって軍師となった雫が考案した。

まず楠木正成の奥義書に従い、大将である時行自ら刀も鎧も全て捨てた超軽装状態で敵陣ド真ん中に出現。
手にする鈴の音に合わせた「鬼さんこちら手の鳴る方へ♪」の歌で挑発しながら足利の大軍の中を逃走し、戦場中の注目を時行一人に集めることで、頼重救出の隙を作り出す。
この際の時行は体に油を塗っているため、例え素手で捕らえようとしても滑って拘束しづらく、また密集地帯で逃げ回るため味方同士での相討ちを恐れる余り足利軍はまともに攻撃することも困難な状態となっている。

逃走を続けるうち徐々に歌を止めていき、鈴の音のみを規則正しく二発ずつ叩き続ける状況を展開することで、視界の悪い大軍の敵はやがて目ではなく、鈴の音だけで時行を探すようになっていく。
そして、全員が鈴の音に集中し始め、一発目の鈴で振り返り、二発目で襲おうと戦場が静まり返ったその瞬間、鈴の代わりに玄蕃が所持していたてつはうを空中で爆破
緊張状態で喰らう予想外の大音量と閃光という凄みを前にしては、いかなる猛者の大軍と言えども怯んで動きを止めざるを得なくなり、その隙を突いた鎌倉党の突撃で包囲網を切り拓いた。


装備

  • 北条家重代宝刀「鬼丸(おにまる)
貴方様の宿命の鬼退治のお供に

中先代の乱敗北の折、敗戦の将の責を背負って自害する頼重から時行へ与えられた北条高時の形見というべき日本刀
刀の鍔部分がシウマイのように革で包まれた「革包太刀(かわつつみのたち)」という様式*3
そして「背負った宿命が重いほど刀が軽くなり切れ味が増す」という性質を持つ。
自分から攻めるのに向かない非力の時行が五大院宗繁の首を断てたのもこの宝刀の特性の恩恵によるものであり、後の鬼退治の助けとなるべく時行に与えられた。

当初は鬼丸自体の重量を持て余し気味で巧く扱うことができなかったが、斯波家長との一騎打ちの中で覚醒。
先祖代々の思い、諏訪頼重の思い、今現在抱える家臣の思いを乗せることで体感では軽くなるものの、重量自体はそのままという不可思議な力を発揮して家長を翻弄した。
ただし時行自身の腕力が増したわけではないため、翌日には酷い筋肉痛になるという妖刀さながらの反動もある。
玄蕃曰く「皆の思いがこもった刀持って超気合入った!」というプラシーボ効果のようなもので、ここ一番の敵に対してのみのとっておきとして使われる。

史実では鬼丸国綱(おにまるくにつな)とも呼ばれ、天下五剣の一つに数えられる由緒正しき名刀である。
一説には鎌倉滅亡の折の戦利品として新田義貞の手に渡ったとされるが、『太平記』では時行の手に渡って信濃に落ちのびたとされるのでそちらの説に則ったのだと思われる*4


逃若党(ちょうじゃとう)


時行が率いる郎党達。
人数も少なく、雫・弧次郎・亜也子の3人は時行と同年齢と極めて若いのが特徴。後で入った玄蕃・吹雪も未成年程度の年齢でしかなく年齢のアベレージは非常に低い。
同年代或いは近しい年齢の者達の集まり故に時行との関係性も皆友人同士のように気さくな仲である。

1337年では伊豆に隠れ忍んでいた北条勢力「伊豆北条党」と合流。全員伊豆北条党の一員として活躍中。


諏訪(すわ)(しずく)


弱者を犠牲に大きく肥った貴方達より
弱者を守れと私達に命じた兄様の方が…武士の器はずっと大きい

CV:矢野妃菜喜/高木遥香

レアリティ
(1334年)
☆☆ R
能力 南北朝適正
武力 2 蛮性 5
知力 45 忠義 96
政治 38 混沌 26
統率 49 革新 41
魅力 62 逃隠 28


諏訪大社の長・諏訪頼重の娘であり巫女。
一党でのポジションは執事*5で出会った時点で、既に頼重の仕事を補佐する立場にいる。
マーキング・パターンは「梶の葉」

どこか浮世離れしたミステリアスな少女で、父に対しても「未来は見えるが祈祷は適当」「インチキはインチキだから」とバッサリ言い、
攻め込んできた貞宗に対して正面から「その目玉ヘビにあげて丸呑みするか観察したい」と満面の笑みで言い切るなど、大人しそうな見た目に反して意外と毒舌家。
なのだが、一応頼重の予言に対してはそれなりに信頼している模様。
また、逃若党の経理を一手に担っていることもあってお金には厳しく、守銭奴な側面もある。
時行の事は便宜上「兄様」と呼び、全幅の信頼を置いている。
因みに家族として扱われると照れてフニャる。それどころか家族愛以上の想いも抱いているが、時行には知られないよう普段は平然を装っている。

戦では基本他の巫女達と共に裏方でのサポートが基本。とはいえ全く戦えない訳ではなく、いざという時は吹き矢を駆使して離れた間合いから小さな棘の矢を飛ばし敵の集中を削ぐこともある。
なにより年齢に似合わず聡明で、戦では時に頼重の名代として諏訪軍の陣地で献策を行い、時行や諏訪陣営を支える場合もある。

1335年、頼重が自害する直前に予知の力を継承されてからは、彼同様にあやふやな未来を見通すことも可能になった。
相変わらず力としては不安定で永遠に続く無間地獄作画手間などのどうでもよい情報が見えることの方が多いが……
吹雪が去った後の逃若党における軍師ポジションとしてのプレッシャーもあり、春日顕国の元で軍略を勉強しながらも不安を感じることもしばしば。
しかし、高師直から内心で春日顕国に匹敵する軍師と見做されるなど、着実に後任軍師として成長を遂げている。



祢津(ねづ) 弧次郎(こじろう)


逃若党の孤次郎!その首と威勢貰い受ける!
オラァ!!

CV:日野まり/佐藤恵

レアリティ
(1335年)
N
能力 南北朝適正
武力 63 蛮性 90
知力 37 忠義 95
政治 5 混沌 59
統率 61 革新 31
魅力 42 逃隠 43


逃若党副将。
祢津氏の血縁者で、時行救出の際に頼重が連れてきた部下で刀を振るう小柄な少年。
薄い青紫色の短髪とつり目が特徴。
マーキング・パターンは「梶の葉・月・茨」

上流階級の子としての品性を身に着けている時行とは対照的に、年相応にヤンチャ坊主。
言うなれば鎌倉武士界期待の新人といったところで、弱冠9歳で川中島での国司軍との戦で共に戦った保科郎党の面々から孫みたいに猫可愛がりされている。
郎党の中では貴重な常識人でもあり、大体天然でボケをかます時行や吹雪のツッコミ役に回りがち。
幼くとも武士としての勇猛さも身に付けており、主君である時行に対して下に見るような行動を取る者や非道な所業をするような者には敵味方問わず敵意を向けることが多々ある。

一方で、一族の中では本物の跡取りである祢津"小"次郎の影武者といった所であり、扱いは良いとは言い難い部分がある。
が、小次郎のほうが病弱な反面穏やかな人柄ということもあって両者間の関係は良好。
弧次郎の出自は、当主・頼直の妹が北条に近い御内人*6に乱暴されて産まれた子供。
母親は弧次郎を産むと同時に亡くなったため、祢津家にとっては厄介な出自の孤児扱い。
頼直も弧次郎に対して複雑な感情を抱いており、身内でありながら当たりがきついが、弧次郎自身は「厄介な出自にもかかわらず居場所を与えてくれた恩がある」として感謝している。
影武者ということもあってか、頼直の指示で合戦の際はバンダナを頭に巻くようになる。

戦では天性の逃げ上手で「当たらなければどうということはない」を地で行く反面攻め手はサッパリな時行の「刀」となって敵を攻め立て、攻撃のチャンスを作り出すのが主な役回り。
まだ子供ながらも武勇に優れそこいらの武士よりは強いが、当初は歴戦の「鬼」に対してはまだ一歩劣るレベルだったが、戦に参加して行く形でメキメキとその武勇を高めている。
川中島の初陣以後も郎党として最前線で活躍。
数多の豪傑達と命のやり取りを経て日々成長を重ねているが、流石に年齢からくる経験不足で苦戦したり、敵の力量や引き時を見誤ったりすることもままある。

1337年以降は吹雪が抜けたこともあり、逃若党内で随一の剣豪としてさらに頭角を現す。
上杉家の長尾景忠とは度々戦場で相まみえるなど、ライバル関係を築き上げている。
当初は屈指の豪傑と化した長尾相手に後れを取っていたものの、正宗作の新兵装鐵柳(くろがねのやなぎ)の装備や打倒長尾のための過酷な鍛錬によって遂に強化(ブレイク)
顔に傷をつけながらも長尾を撃破し、かつて吹雪ですら翻弄された人造武士の大軍を一瞬で薙ぎ払うなど「取るに足らない小勢力の超人的な豪傑」へと覚醒した。

モデルは『太平記』において足利尊氏をあわやという場面まで追い詰めた「武勇すぐれたる者」祢津小次郎と思われる。
この一場面にのみ登場する無名の豪傑であり、顔には刀傷を付けていたとされる。



望月(もちづき) 亜也子(あやこ)


私も…ポロリやってみたい!!

CV:鈴代紗弓/綾瀬みゆう

レアリティ
(1335年)
N
能力 南北朝適正
武力 58 蛮性 86
知力 32 忠義 92
政治 7 混沌 78
統率 19 革新 42
魅力 68 逃隠 35


望月氏の庶子で、時行救出の際に頼重が連れてきた部下で薙刀使いの少女。
一党での役職は便女(びんじょ)*8
時行や雫とあまり変わらない年齢らしいのだが、自分でも「デカ娘」と自虐するほど頭一つ背が高く、綺麗な顔立ち・背丈から齢10歳ながらも成人女性に見間違えられたほど。
マーキング・パターンは「九曜」

賑やかな振る舞いの似合う大らかで明るい性格で、郎党のムードメーカー的存在。
かの女性武将・巴御前に憧れており、巴御前のような女武将になりたいと夢見て日々鍛えている。
目標は巴御前のように怪力だけで人間の首を引き千切ること。本人曰く「ポロリ」。その目標を叶えるため、日々人形を使って首をもぎ取る練習までしている。
また武芸だけでなく田楽を一人で演奏して盛り上げるなど音楽センスにも優れており、その才と恵まれた容姿は時行からも「平和な世なら皆の憧れ(≒アイドル)になれる」と評されている。
彼女も雫同様時行に対して恋愛感情を抱いているが雫とは違って隠そうとはしておらず、将来は雫共々側室として時行と結ばれることを夢見ている。

戦では弧次郎ともども主君の「刀」として好機を作りだすのが役目。
8歳の頃からバスケットボールぐらいの大きさの岩石を片手でブン投げる並外れた膂力と体幹の強さ、身体能力の持ち主な一方で、力任せかつ主を守ること以外考えていない戦い方をたびたび指摘されている。
特に正宗からは「薙刀は近いうちにへし折る」とまで言われ、代わりの武器として角に刀を仕込んだ正宗版メイスともいうべき新武器四方獣(よものけだもの)を作成してもらっている。
中先代の乱の段階では実力をしっかりと付け、諏訪陣営の武将の1人として弧次郎と共に戦場で奮戦。1337年の12歳の段階では少女ながら足利軍の武将達と正面から渡り合い武勲を上げる程の強さを得た。



風間(かざま)玄蕃(げんば)


殺し合いならいざ知らず 化かし合いでお堅い武士に負けるかよ

CV:悠木碧

レアリティ
(1334年)
N
能力 南北朝適正
武力 11 蛮性 75
知力 39 忠義 18
政治 2 混沌 84
統率 4 革新 81
魅力 6 逃隠 79


頼重から時行に「邪道を知る家臣」「盗みの達人」としてスカウトを勧められた、信濃の桔梗が原に悪名を轟かせる盗賊の少年。
詳しい年齢は不明だが、逃若党の中で唯一飲酒している描写がある為、元服済みかつ時行達よりも年上な模様。
ビジュアルは常時狐の面を被った小生意気な少年。ただし普段からお面のくせにやたらと表情豊かにコロコロと面の表情が変わる。
素顔は未だ誰にも見せていなかったが、夏との火薬作りの際に見せた素顔はヤンチャ風の美少年。
マーキング・パターンは「惑帯に惑菊綴」

性格は筋金入りの女好きかつ守銭奴な俗物
契約反故などにより自分を裏切った相手には徹底的に陰湿な嫌がらせを仕掛けるため凄まじく嫌われており、
その嫌われぶりたるや、名前を聞いただけで視界に入る家という家が全部一斉に戸締りして引きこもる程。
程よく時行と距離を置いてるので逃若党では冷静なツッコミ役もよくやっており、非常識な行動を取る時行達に対して辛辣なツッコミをすることも多い。
「敵に回すと厄介だが、味方になれば頼もしい」を体現する人物な一方で、日常では一度タガが外れると
  • 酒に酔った勢いで諏訪大社の巫女達の尻を触りまくった挙句、下半身を露出させ、身体能力の高さに物を言わせて暴れ回る
  • 女の色気に釣られてギャンブルに手を出した結果全財産と身ぐるみ全てを奪われた挙句、負けのショックで昇天する
等の超絶下品な姿や情けない姿を見せることもある。
普段はギャグ要員に片足突っ込んでいるのだが、思考停止している人間に対してはシリアスに侮蔑の感情を向け、思考停止で上司の横暴を受け入れる土岐党の雑兵を見た際は嫌悪の感情を隠そうともしなかった。

父は諏訪家の支流にあたるとされる元武士だが、主人の 為にと研鑽を重ねてきた技を「卑怯」と腐された上に盗みの嫌疑をかけられて追放・没落の憂き目にあっており、
息子である玄蕃に名と面と技、そして「忠誠や信用などという不確かな物より、目先の銭だけを信じろ」という教えを授けた。
そういった境遇の為、正反対の生まれと「ほぼすべての武士からの裏切り」の経験を持つ時行に高額報酬を吹っ掛けたり、裏切る可能性を示してみたりと揺さぶりをかけるが、
時行の君主の子であったが故のぶっ飛んだ金銭感覚と、「疑うことはあっても、自分からは裏切りはしない」とまで言い切る真っすぐさ、
そして自分の悪ふざけのせいで時行に怪我を負わせてしまった負い目の借りを返すべく依頼を完遂した後*10
父とのもう一つの約束「もし心の底から仕えたい主が現れたなら、来世でまで仕えてでも報酬は取れ」を果たすべく、時行の出世払いで国一つという条件で「逃若党」と契約を交わし郎党に加わる。


変装の名手で特殊な秘伝の粘土で作られている狐の面と小道具・環境を組み合わせてあらゆる人間へと変装できるのが特徴。
その正体は南北朝時代から現れたとされる、諜報や破壊等の妨害に特化した工作員忍者の先駆け。
戦闘能力はぶっちゃけすばしっこいだけが取り柄の小兵だが、奇襲や破壊工作といった化かし合いの領域ならば貞宗・助房の面白合体おっさんコンビさえも翻弄。
  • 木で眠っていた鳥を叩き起こして羽ばたきの騒音で助房の耳を封殺。
  • 暗闇に乗じた素早い動きで迫りつつ、変装の技術で助房に化けて貞宗の一瞬の虚を突き弓の弦を切断。
  • 小笠原の弓が破壊されたので近寄って攻撃するしかなくなった助房の行動を先読みして目潰し
  • 重要書類が保管されている倉に火種を撒いておき、ミスディレクションのように炎上を開始した蔵に気を取られた瞬間に離脱。
といった視覚を欺く数々の幻術を武器に、化け物二人を相手に無傷の完封勝利を収めるという大金星を上げた。
加えて過去に嫌がらせの道具としてあらゆるうんこを利用していたことからうんこに関してはやたら詳しいうんこのスペシャリスト。
火薬の硫黄の匂いから火薬にうんこが深く関わっていると直感で見抜いて試行錯誤と研究の末に独力で火薬製造に漕ぎ着けたことに始まり、うんこを見ただけで何を食べたのか・男女どちらが排泄したのか・生後何日なのか理解できるほどに熟知している。

モデルは桔梗が原の民間伝承に登場する化け狐、「玄蕃丞狐」と思われる。



吹雪(ふぶき)


(この王子が隠した魅力の全てを引き出し 天下の舞台へ行ってみよう)

CV:戸谷菊之介

レアリティ
(1335年)
N
能力 南北朝適正
武力 78 蛮性 76
知力 84 忠義 80
政治 82 混沌 72
統率 58 革新 87
魅力 50 逃隠 29


上記の面々よりやや年嵩の少年(初登場時で10代半ばだろうか)。
薄い青色の髪をした涼しげな表情の美少年。
ある村で子供を率いたゲリラ戦術で征蟻党の兵を撃退し追い返していたが逃若党との共闘を経て逃若党の仲間入りを果たした。
マーキング・パターンは「雪」

一人称は「自分」
性格は冷静沈着。剣技・指揮能力に秀でた優秀な人物だが、その能力に驕ることなく謙虚に振舞い、悪党に襲われた村の幼子達を見捨てられない義理堅さと人の好さを持つ。
普段は非常に聡明なのだが、代わりに燃費が悪いのかとにかくよく食う健啖家の腹ペコキャラ。
健啖家過ぎて諏訪大社とも面識がある上、食事が絡むと思考回路が途端にポンコツ化するのも特徴。
  • 陣地とした村の兵糧を3日で食い尽くす
  • 飯粒を使って軍議をし出す
  • 諏訪大社側に付けば白米も食べられることに気づかず、雫から伝えられて「マジで!?極楽かね!?」と驚愕する
  • 頼重から渡された小遣いを無計画な買い食いで速攻で使い果たして金欠になる
など普段の利発聡明さやクールさが嘘のように減退してギャグキャラ化するため、「こいつほんと冴えてんのか抜けてんのかよくわからん」とは孤次郎の談。
よく食べる理由として「寒いから」と言うように名前に反して寒がりらしい。
食べるほかにも「誰にも価値を見出されないものに価値を見出した時に冷めた体に温かさを取り戻す」と語っている。

戦闘面では武芸に長けた二刀流の使い手であると同時に戦術眼・育成能力に長ける優秀な指揮官ユニットであり、現在の逃若党の中では間違いなくぶっちぎりの最高戦力。
特に優れた戦術眼で人の本質を見抜き、適正に合わせた策を授ける「教育」の能力に秀でており、親を失ったばかりの子供たちに戦い方を授けて何度も悪党を退ける戦果を発揮している。
逃若党内でも剣の腕がへっぽこな時行に対して敵に合わせた剣術をその都度授けたり、忍の技は専門外としながらも玄蕃の技の問題点を的確に示したりと教師の役割を果たしている。
しかも、まだ本気を見せているわけではないらしく、玄蕃や征蟻党の腐乱に「引き出しをまだ隠し持っている」と言われるようにその実力は底知れない。
川中島の戦いでは助房が国司から離れた瞬間を狙って単騎駆けを行って国司を急襲するも命までは取らず、長期的な戦略も考えて「無能の敵将は殺さず生かしておくべき」とあえて見逃して敵陣に厄介な爆弾を残し進軍を妨害する策も講じている。

一方、京都では暗殺が不可能と言われた尊氏の暗殺を進言して失敗。時行を危険に晒したことで意気消沈するなど、足利絡みになると短慮になる側面も描写された。
その後望月重信には「頭でっかちのきらいがある」と指摘され、彼に同行することで大雑把すぎる結果論戦法は参考にできなかったものの環境を利用した臨機応変な戦い方も学んでいる。
だが何より最大の欠点として空腹になると戦場であろうと力が抜けて碌に戦えなくなる。
本人曰く「おなかが減って力が出ない」とのことで、あまりにしょうもない弱点がよりにもよって戦場の真っ只中で発覚したことで弧次郎から「さてはポンコツだなテメー!!」とツッコまれた。
空腹を解除するために饅頭などを口にぶち込む必要があるが、空腹が一定ラインを超えると凶暴性と攻撃性が増しバーサーカーに片足を突っ込んだ状態と化す。

その素性は足利方の下級武士の子
足利学校で文武を学んでおり、足利首脳陣も遠目程度だが見る機会があり、顔の判別がついていた。
息子の出世に病的に執着していた父親から「天下人を作れるほどの才」を持たせるために鍛錬と称した虐待を受けていた過去を持つ。
吹雪はそんな過酷な生活に耐え切れなくなり、ある雪の日に父親を殺害して出奔。以降、天下を支える目標を捨てきれないまま、仕官のために彷徨い続ける。
過去のトラウマから足利学校の名前を聞くだけで塞ぎ込み、時行に仕えた後も信頼を失うことを恐れて素性を隠し続けていた。
この過去を明かした後も信頼を無くすどころか、無茶振りをした上で初めて自分で見出した郎党としてますます信頼を寄せる時行を前に心が溶かされ、密かに涙を流しながら忠誠を誓っている。



(シイナ)


は…恥ずかしい格好ではございますが
これで また戦える…!

レアリティ
(1337年)
☆☆ R
能力 南北朝適正
武力 78 蛮性 96
知力 72 忠義 91
政治 17 混沌 46
統率 51 革新 85
魅力 72 逃隠 16


鎌倉近郊の農家の下女。
親指以外の指がすべて切り落とされており、手が不自由な代わりに脚を器用に使う。
かつては北条派の武将に仕えた女武者で、男の武士に勝るとも劣らぬ武勇を誇り、鎌倉幕府滅亡に際しても「旦那様」に潔く腹を切らせるために奮戦するが敗北。
指を失う重傷を負った上に「旦那様」の死体を執拗に辱められたことで虚無に囚われてしまう。
武具を握れない身体となって尚、戦場に魂を惹かれ、再び戦場に赴きたいという気持ちから「逃げること」が出来ず、無気力に生き永らえてきたが、偶然出会った時行から伝説の刀工である正宗を紹介される。
マーキング・パターンは「正宗の元妻の服(高級品)」

正宗から足技の才能を見出されたことで、「脚に固定する刀」を受け取り、試し蹴り(・・)で鋭い一撃と、弧次郎が一目惚れするほどの可憐な笑顔を披露。
この時鋏も使えなかったために2年間伸び放題だった髪もついでに雫に散発してもらい、髪型は貞子の如き超ロングヘアから尼削ぎ(ショートボブ)に、欠けた指に代わり鉄の爪が付いた小手も身に着ける。
……が、試作型であることを理由に刀を取り上げられ、調整の為に時間が必要であると告げられたために逃若党の正式な加入は見送りとなった。

そして、1337年の杉本城の戦いで窮地に陥った時行を助ける形で参戦。
脚に固定した刀得物體(えものがたち)を用いて、先ほどまで弧次郎が苦戦していた豪傑長尾景忠相手に善戦。スタミナ切れから早々に戦線離脱したものの、時行軍の立て直しと泰家救出作戦の準備を立てるまでの時間稼ぎには十分であり、時行も功労賞と明言している。
逃若党での役割はここぞという場面で投入する短期決戦専門の切り札であり、サポートには時行のお節介もあって弧次郎が回ることが多い。

性格は基本的にはおしとやかかつ、新たな主君と定めた時行以外の逃若党メンバー相手にも「新参者」として敬語で接するなど上下関係を重視する忠義者。
ただし、貞淑な顔に似合わず破壊力が大好きな戦闘狂なため、大量の武器等を目にした際には全身を使って発情。戦場でも顔を赤らめながら敵兵を嬉々として殺傷する、時行に次ぐかなりの変態キャラ。
一応戦闘に関わらなければ落ち着いた大人の女性として振舞っており、時行を支えるために陰ながら血の滲む鍛錬を重ねる孤次郎を優しく影から見守りつつ彼を支えることも多い。
しかし過去の境遇から自分の体を犠牲にすることに微塵も疑問を持たず、米と引き換えに体を要求された際には「乱世の倣い」として笑顔で応えようとするなど危うい部分も。
その自己犠牲の精神は、逃若党の「命(自分)を大事にする方針」と徹底的にソリが合わず、上記の行動を止められた際にはハイライトの消えた目で心底不思議そうに疑念を抱くなど根本から価値観が異なっている描写がある。

因みに、「秕(しいな)」とは「殻だけで実の無い穀物」、転じて「中身の無い、役に立たないカス」を意味する。
およそ人名に相応しい漢字ではなく、おそらくは指を失った自分を卑下して後から名乗った名前と思われる。



(なつ)


(与えられた技は全て極めたのに 何故今こんなにも無力なのか!)

額に紅葉のような刺青を入れたくノ一
足利党が擁する忍者集団「天狗衆」の1人「夏の四」の中の人
名前は玄蕃に聞かれて咄嗟に名乗ったもののため、本名かどうかは不明。
性格は良くも悪くも生真面目。
腹芸のできないタイプの直情的で純情な一面があり、火薬作りの際にデリカシー皆無の玄蕃の要求に顔を真っ赤にしてキレていた。

生真面目ゆえに訓練で培った技量は師直にも一級品と認められたほどだが、応用が効かないためか臨機応変さには欠ける。
師直は(天狗衆全体を通しての評価だが)大局的な思考や複雑な判断はできないと酷評している。
おまけに「夏の四」だった頃の高い実力は身に纏っていた「天狗躯体」ありきのもので、彼女自身は非戦闘員の玄蕃にすら歯が立たないほどに弱い。
その出自は生まれてすぐに買われた孤児であり、師直への忠義もその恩と天狗衆となるために施された過酷な折檻による思考停止の産物に過ぎない。

中先代の乱での敗北と諜報の失敗から2年、その勃発を許した責から時行の首を狙っていたが尾行されていることも玄蕃にバレており、「密告する気がない(された所で逃げる準備も万端だが)」ことを見越して泳がされていた。
その上で、玄蕃から「てつはう」を再現するための協力を持ちかけられ、潜伏地である伊豆の村落で火薬造りのため玄蕃と一緒にウンコを掻き集める作業に従事。
キレ散らかした村人に追われるなどの災難には遭ったが無事硝石を発見し、その中でウンコ塗れの玄蕃の素顔を見て顔を赤らめ目が[[ハート]]になる一幕を挟みつつ深まった絆を期に玄蕃の勧誘に応じて逃若党の新メンバーに就任した。

なお、彼女がかつて戦った天狗衆であることは玄蕃を含めてバレておらず、逃若党内での彼女は「玄蕃の押しかけ弟子になった正体不明のくノ一」という認識。
玄蕃に絆されたとはいえ、未だに醜態を払拭するだけの手土産を持って師直の元へと帰参することも考えているため、逃若党には潜伏の立場を取っている。
ただしその怪しさは既に見破られており、亜也子の見立てでは「可愛い殺気を放ってる」とのことだが、玄蕃が監視役として傍にいる以上は問題ないと静観されている。

潜伏中という立場から仲間内で気を許すことを良しとせず、逃若党内で唯一時行のことを呼び捨てにする程に尖った態度を見せるが、性格は結構チョロい
特に修行時代や天狗としての活動期間の苛酷な食生活の反動か、ご飯絡みになると途端に意地汚くなり「生臭く嫌いだ」と宣っていた海産物を前に即オチ2コマするレベル。
また、泰家奪還の際に敵中ど真ん中を磔台に跨り、位置エネルギーを使って滑り落ちた際には高揚した表情を浮かべているなど結構なスリルジャンキー。
逃若党内でグルメとスリルを楽しんでいる内に、足利を絶対とする思考回路にも揺らぎが生じ始める。

それでも生来の生真面目さと長年の思考停止という名の忠義は拭い難く、青野原の戦いの後に顕家軍の内部情報とてつはうの製法を土産に師直の下に投降。
しかし、実は出会ってすぐにその正体を天狗衆だと見抜いていた玄蕃に先回りされ化けられメスガキ煽りやエグい脱糞癖を見せつけるという人権侵害レベルの醜態を勝手に晒されたことで師直からの信用を完全に失わされてしまう。
酷い環境ではあったものの帰るべき家族とでも言うべき場所を失い絶望する夏だったが、玄蕃から逃若党で過ごした経験が楽しかった事実を突き付けられ「家族なんて今から新規で作れんだよ」と諭されたことで思考停止から完全解放。

以降はこれまで培ってきた天狗衆独自の技術と、新たに考え出した策を織り交ぜた機動力特化の忍びとして逃若党で正式に活動することになる。
また、策の一環とは言え師直の前で悪口を言い放つなど、彼に対する恩や洗脳からも完全に解き放たれているが、報復のためとかではなく怖い元上司の前で堂々と悪口を言うこと自体にドキドキして興奮している様子を見るに、どんどん現主君に似てきているような……

モデルは玄蕃丞狐の仲間として伝わる「横手ヶ崎のお夏狐」か。



余談:史書に残る北条時行について


鎌倉時代、鎌倉幕府の中心人物として権力を握り続けた北条氏の末裔…ではあるのだが、
はっきり言えば、日本史の本流から少しずれたところで何やかやしていた鎌倉末期~南北朝時代初期のマイナーな人物・武将で、
本作の第一話解説からして「日本史の教科書にあっても一行くらいの記述」「テストが終われば忘れる程度」とか書かれているくらいにはマイナー。



追記修正は逃げながらよろしくお願いします

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最終更新:2024年09月11日 18:21

*1 CV表記は「アニメ版/ボイスコミック版」とする。一つの場合はアニメ版キャスト。

*2 平地の多い中華であればともかく、山ばかりの信濃(倶利伽羅峠)で牛を使った策は不可能だという。

*3 鞘と刀身の隙間から雨水が入って錆びるのを防ぐ効果がある。

*4 もっとも『太平記』においても、中先代の乱が失敗に終わり、諏訪一族が勝長寿院で自害した際に用意した時行の偽装死体が鬼丸を所持しており、結局それも義貞に献上されたと記述されているため、逃げ若での設定とは若干異なるのだが……

*5 現代日本で喩えると事務次官や大臣補佐官的な役職。一般的に「執事」でイメージされる「バトラー」「スチュワード」とは異なる。

*6 北条氏直属の家臣。絶大な権力を誇り、末期には北条宗家を凌駕する者もいたほど。なお、祢津家の主君である諏訪家も御内人である。

*7 「手抜緒」とも。実際に刀の尻についている刀装であり、手と刀を繋ぐことで実戦で刀が滑り落ちることを防ぐ役割を持つ。

*8 「様々な仕事のできる便利な侍女」という意味。いわば武装メイドであり、古くは巴御前が担った役目。18禁な意味は無い。

*9 「話すこともできないそこらにいる獣ですら、ああ何と感動的だろうか。親が子を思う気持ちは」といったような意味。

*10 目に見えない恩なら無視出来るが、目に見える傷など作られたら無視できないという彼なりの矜持

*11 厳密には上下反転した「凶」の文字が正式名称

*12 もっともこの手の人物にはよくある話である。