逃げ上手の若君

登録日:2021/02/05 Fri 22:34:19
更新日:2025/04/28 Mon 23:24:41
所要時間:約 108 分で読めます






勇敢な討死

潔い自害

戦いと死こそが武士の名誉


その少年は

逃げる事で英雄となり

生きる事で伝説となった


『逃げ上手の若君』とは、『週刊少年ジャンプ』で2021年8号から連載されている漫画作品である。
略称は『逃げ若』など。
作者は魔人探偵脳噛ネウロ』『暗殺教室でおなじみの松井優征。


●目次

【概要】

ジャンルとしては歴史もの。『ジャンプ』では『影武者徳川家康』以来18年ぶりとなるであろう、史実上の人物・事件を下敷きとしたストーリー。
時代としては鎌倉時代末期(1333年)から室町時代(1392年)にかけての、所謂「南北朝時代」と呼ばれる辺り。
確かに激動の時代ではある……が、メジャーどころの鎌倉・戦国・幕末ほどクローズアップされることは少ない、良くも悪くも地味というか微妙な時期。それでもその前後の時代、元寇後・弘安徳政~嘉元の乱の鎌倉時代後期、南北朝統一後~信長台頭前夜の室町時代中・後期に比べればはるかにマシだが。太平記あるし。
しかしだからこそその分、作者・読者共に既存の人物像に縛られずに楽しむことができ、歴史に詳しい人ならあの事件をどう描くのかという楽しみがあり、そうでない人ならば新鮮な気持ちで読めると思われる。

歴史ものと言うからには、お堅い内容や難しい言葉が出てくるのだろうかと思わせるが、そこは流石の松井優征先生。
氏の得意とする一筋縄ではいかないキャラクター、特にメインの人物である諏訪頼重の強烈過ぎる個性や、700年先を余裕で突き抜ける現代時事ネタやイメージ、たとえ表現を容赦なくブチ込むフリーダムでカオスなスタイル。
それでいてギャグをギャグで済ませず綺麗にまとめ上げた作りで、ギャグとシリアスとグロテスクが混ざり合った独特の世界観を醸し出している。

その分『暗殺教室』では抑えられていた『魔人探偵脳噛ネウロ』のような怪奇描写は全開で、作画崩壊に見えてしまうコマ*1も少なくない。
基本的な設定考証はしっかりと行われているが、漫画としてのエンタメ性を重視して敢えて南北朝時代になかった要素を混ぜているといった感じ。
独特の濃いキャラ付けで、歴史物にありがちな似たような名前がいっぱい出てきてキャラを覚えづらいという難所をうまく捌いていると言えよう。
時代が時代だけに殺人・裏切りがポンポン描写されるため、『魔人探偵脳噛ネウロ』寄りの癖の強い作風であることだけは注記しておきたい(掲載誌が掲載誌なので直接的な表現こそないが、強姦などを想起させる描写もある)。

滑り出しは軒並み順調といった所で、連載開始と同時にメインの登場人物である「北条時行」「諏訪頼重」が検索ランキングで急上昇した。
尚、史実ものであるが故に深く検索し過ぎるとネタバレになるであろうことや、頼重のほうは同姓同名の戦国武将がいることに注意。
教科書レベルの知識で既に察しが付くとか言っちゃダメ。

少年漫画としては珍しく同時代の史料や軍記物を参考にした作劇で、基本的には大元の歴史の流れに忠実かつ、史書の記述や最新の研究に則った人物造形が成されている。
もちろん、漫画としての見栄えの重視のために、日本史の大きな流れに影響がない範囲で意図的にフィクション要素を盛り込んでいる部分もあるが。漫画的には勝てそうな流れを物理的に踏みつぶして本来は負け戦となる歴史を修正したこともある
また、
  • 歴史考証:NHK大河ドラマ平清盛』のほか、『センゴク』『新九郎、奔る!』といった漫画作品の監修も担当したり『林先生の今でしょ講座』などテレビ番組でも活躍する歴史学者本郷和人
  • 諏訪監修:伝説のカルト鬱エロゲー『さよならを教えてのライターで、現在は諏訪信仰研究会の事務局長を務める石埜三千穂
が携わっている。
両先生は、本編の前後に組まれたコラムコーナー『解説上手の若君』で、その週のストーリーに連動した「史実で〇〇はどうなっていたか」という歴史解説も執筆されている。あとたまに漫画本編にも出てくる

他には作中に登場する甲冑は途中から株式会社メルタに委託し、3DCGモデリングを製作してもらって作画に落とし込んでいる。これによって、週刊連載漫画としては異例の作画量である鎧姿のキャラクターを仕上げることが可能となった。
こうした拘りの甲冑モデリングは、連載準備段階から第4話までの原稿料くらいの私費を投じて依頼しているという。
また、鬼紹介の文字には書家の前田鎌利、単行本装丁には日本画家の朝倉隆文を起用するなど、異業種のクリエイターと積極的にコラボレーションしていくスタイルを取っている。

なお今回の単行本のキャラ解説はソシャゲ風パラメーター表記。各種パラメーターの他保有スキル、保有武装が設定されている。


テレビアニメ

2023年3月20日にアニメ化が決定したことが発表された。
2024年7月6日より放送を開始し、放送前の同年6月23日には北条ゆかりの地である鶴岡八幡宮にて先行上映も行われた。

アニメ制作はCloverWorks。監督は『ワンダーエッグ・プライオリティ』副監督の山崎雄太、シリーズ構成に『その着せ替え人形は恋をする』の冨田頼子、キャラクターデザインに『劇場版ポケットモンスター ココ』総作画監督の西谷泰史。

深夜アニメの時間帯ながら、OPやED映像の背景が単色で歌詞テロップもついていたり、90年代初期までのセル画アニメを思わせる懐かしの演出が含まれている。
特に縁どり無しの白文字テロップは、一昔前の大河ドラマや教育アニメを思わせる演出となっており、歴史アニメとして独特の風格すら漂わせている。

一方で、漫画では一コマ程度でさらっと流されていたパロディがこのためだけに作られたCGも駆使してよりガッツリ描かれることになり、違う意味で危険なネタも見どころの一つとなっている。
原作になかったパロディ演出も充実しており、のっけから逃げ若版の足利党が「歴史学習まんが」になっていたりとアニメスタッフ側も結構ハッチャけている。
またこうした絵面の面白さを重視したパロディだけでなく、焼かれた鎌倉の街を背景に泣き叫ぶ赤子を抱いて茫然とする母親の描写が、大河ドラマ『太平記』における鎌倉滅亡のオマージュになっていたりするなどの細やかなパロディも。
この演出には歴史クラスタも沸いたが、なんせ鎌倉幕府滅亡から南北朝あたりを描いた映像化作品は1991年のNHK大河ドラマ『太平記』以来、実に33年ぶりという超氷河期状態だったため……

アニメ第4話で弓の速度を例える際に、同等の速度(160km/h)を出す京成電鉄のスカイライナーが登場。これを記念して同年8月からは京成の主要駅で記念切符(ライナー引換券)を筆頭としたグッズも発売され、登場人物が京成の制服を着たイラストも新たに書き起こされた。
鎌倉関係ないよねとか言ってはいけない

パロディ以外のアニメーション表現としても、鬼ごっこの鬼がクセの強い松井優征作画を前面に押し出してスゴ味を出したかと思えば、そこから逃げる時行はアニメ『平家物語』を思わせる絵巻風の柔らかな作画に切り替わったりと多様な映像表現でメリハリを利かせている。
歴史考証の行き届いた美麗な鎌倉や諏訪大社の背景や、細かい装備品の数々も好評。
また、取材協力として弓馬術礼法小笠原教場の名がクレジットされているのは、正に歴史が現在にまで至る流れそのものであることを感じ取れるだろう。
なお小笠原流はモーションキャプチャにも協力しており、犬追物における3DCGは実際の小笠原流弓術の作法に則った動きをしている。

作中の細かな歴史知識や聞き慣れない用語もテロップのほか、ナレーションでも解説してくれており、そちらの担当は松田颯水
なお、松田は1話目で惨殺されてしまった時行の幼馴染・摂津清子役も兼任している。

なお、連載作品が3作連続でアニメ化というのは、大御所クラスの漫画家でもそうそう見られない記録であり、「週刊少年ジャンプで初連載作品から別作品3作連続10巻以上の長期連載達成」という週刊少年ジャンプ史上初の快挙も成し遂げている。

第2期の製作も決定している。

主題歌

  • OP:「プランA」
DISH//による1クール目のオープニングテーマ
和太鼓や琴、笏拍子、果ては法螺貝など和楽器をふんだんに使いつつ、軽快でアップテンポな和ロックテイストのメロディと、「歴史」「逃げるが勝ち」をテーマにした歌詞が特徴。
「どことなく銀魂っぽい」という感想も散見されるがそれもその筈、編曲を担当した新井弘毅氏は「桃源郷エイリアン」を歌ったserial TV dramaの元メンバーにして作曲担当だった為である。

  • ED:「鎌倉STYLE」
ぼっちぼろまるによる1クール目のエンディングテーマ
ED映像は逃若党や諏訪大社の面々のほか、足利党や小笠原陣営、五大院に至るまで、本編での殺し合いが嘘のように仲良くバスに乗りお花見に向かう楽しげなものになっている。
なお逃若党ら子供達は最後の集合カットを除いて学生服を着た現パロなのに対して大人達はいつも通りの和装だが、何故か唯一尊氏のみDJに扮してノリノリでリズムを刻んでいた
ちなみに冒頭で映る墓碑は信濃は大鹿村に実在する「伝北条時行墓」


【あらすじ】

鎌倉と室町の歴史の狭間で、誰にも物語られたことのない逃げる英雄がいた――。
その名は北条時行。足利高氏によって鎌倉幕府を打倒され、家族も地位も失った少年は、地の果てまで逃げ延び復讐を遂げられるか!
(『週刊少年ジャンプ』公式サイトより抜粋)


【登場人物】

CV表記は「アニメ版/ボイスコミック版」とする。一つの場合はアニメ版キャスト。

時行の仲間たち「逃若党(ちょうじゃとう)

逃若党の詳細は時行の項目を参照。

  • 北条(ほうじょう)時行(ときゆき)長寿丸(ちょうじゅまる)
CV:結川あさき/大塚琴美
+ ◆ステータス
レアリティ
(1333年)
☆☆☆☆ SSR
能力 南北朝適正
武力 6 蛮性 11
知力 27 忠義 80
政治 4 混沌 48
統率 12 革新 22
魅力 41 逃隠 89
レアリティ
(1335年)
☆☆☆☆☆ UR
能力 南北朝適正
武力 34 蛮性 18
知力 47 忠義 80
政治 32 混沌 52
統率 38 革新 34
魅力 69 逃隠 93

得宗・北条高時の次男坊にして、この作品の主人公。
平穏な鎌倉の街を愛し、戦や政を嫌う優しい少年。
一方で逃げることについては並々ならぬ執念と才能を持ち、その気になれば家臣の目を2日はごまかせる程である。
「とにかく戦ってなんぼ、負けるぐらいなら死ね」と言わんばかりの鎌倉武士の価値観からは腑抜けも良いところで、北条家の没落も目に見えている時期なだけあって誰からも期待されていない日陰者。
彼自身「お飾りの王に知力も武力も無用」「ただ大好きな鎌倉の街で生きていければそれでいい」と達観、いや諦観しているふしさえあった。
……だが、足利高氏による裏切りと鎌倉幕府の滅亡、父と兄の死、そして自らも死の淵の淵に立たされたことで才能が開花。
頼重から、今はとにかく逃げ延び、やがて痺れを切らした(たかうじ)が討って出た所を狙う「鬼ごっこ」による天下奪還を持ち掛けられたことで、彼の戦が始まる。
詳細は個別項目を参照。


  • 諏訪(すわ)(しずく)
CV:矢野妃菜喜/高木遥香
レアリティ
(1334年)
☆☆ R
能力 南北朝適正
武力 2 蛮性 5
知力 45 忠義 96
政治 38 混沌 26
統率 49 革新 41
魅力 62 逃隠 28

諏訪大社の長・諏訪頼重の娘であり、巫女。
一党でのポジションは執事で出会った時点で、既に頼重の仕事を補佐する立場にいる。

  • 祢津(ねづ) 弧次郎(こじろう)
CV:日野まり/佐藤恵
レアリティ
(1335年)
N
能力 南北朝適正
武力 63 蛮性 90
知力 37 忠義 95
政治 5 混沌 59
統率 61 革新 31
魅力 42 逃隠 43

祢津氏の血縁者で、時行救出の際に頼重が連れてきた部下で刀を振るう小柄な少年。
天性の逃げ上手で「当たらなければどうということはない」を地で行く反面攻め手はサッパリな時行の「刀」となって敵を攻め立て、攻撃のチャンスを作り出すのが主な役回り。

  • 望月(もちづき) 亜也子(あやこ)
CV:鈴代紗弓/綾瀬みゆう
レアリティ
(1335年)
N
能力 南北朝適正
武力 58 蛮性 86
知力 32 忠義 92
政治 7 混沌 78
統率 19 革新 42
魅力 68 逃隠 35

望月氏の庶子で、時行救出の際に頼重が連れてきた部下で薙刀使いの少女。
一党での役職は便女(びんじょ)*2
時行や雫とあまり変わらない年齢らしいのだが、自分でも「デカ娘」と自虐するほど頭一つ背が高く、バスケットボールぐらいの大きさの岩石を片手でブン投げる並外れた膂力と身体能力の持ち主。綺麗な顔立ち・背丈から齢10歳ながらも成人女性に見間違えられたほど。
戦では弧次郎ともども主君の「刀」として好機を作りだすのが役目。

  • 風間(かざま)玄蕃(げんば)
CV:悠木碧
レアリティ
(1334年)
N
能力 南北朝適正
武力 11 蛮性 75
知力 39 忠義 18
政治 2 混沌 84
統率 4 革新 81
魅力 6 逃隠 79

頼重から時行に「邪道を知る家臣」「盗みの達人」としてスカウトを勧められた、信濃の桔梗が原に悪名を轟かせる盗賊の少年。
詳しい年齢は不明だが、逃若党の中で唯一飲酒している描写がある為、元服済みかつ時行達よりも年上な模様。
ビジュアルは常時狐の面を被った小生意気な少年。ただし素顔は未だ誰にも見せていない。
性格は筋金入りの女好きかつ守銭奴な俗物。

モデルは桔梗が原の民間伝承に登場する化け狐、「玄蕃丞狐」と思われる。

  • 吹雪(ふぶき)
CV:戸谷菊之介
レアリティ
(1335年)
N
能力 南北朝適正
武力 78 蛮性 76
知力 84 忠義 80
政治 82 混沌 72
統率 58 革新 87
魅力 50 逃隠 29

時行達『逃若党』の面々よりやや年嵩の少年(初登場時に10代半ばだろうか)。
武芸に長けた二刀流の使い手であると同時に戦術眼・育成能力に長ける優秀な指揮官ユニットであり、現在の逃若党の中では間違いなくぶっちぎりで最強の戦力。
特に優れた戦術眼で人の本質を見抜き、適正に合わせた策を授ける「教育」の能力に秀でており、親を失ったばかりの子供たちに戦い方を授けて何度も悪党を退ける戦果を発揮している。

  • (シイナ)
レアリティ
(1337年)
☆☆ R
能力 南北朝適正
武力 78 蛮性 96
知力 72 忠義 91
政治 17 混沌 46
統率 51 革新 85
魅力 72 逃隠 16

鎌倉近郊の農家の下女。
親指以外の指がすべて切り落とされており、手が不自由な代わりに脚を器用に使う。
正宗から足技の才能を見出されたことで、「脚に固定する刀」を受け取り、試し蹴り(・・)で鋭い一撃と、弧次郎が一目惚れするほどの可憐な笑顔を披露する。


諏訪大社

時行に忠誠を誓う親北条派の勢力。
諏訪明神を神とし、「諏訪神党」と呼ばれる一万にも上る武士の戦力を有する。
尊氏並びに小笠原郎党とは対立関係にあり、高時への忠義と恩から時行に協力している。
現在は時行が一人前の将として成長するまでの隠れ蓑としても機能していらが、時行が決起した際はそのまま時行の軍勢として鎌倉攻めに同行した。

  • 諏訪(すわ)頼重(よりしげ)
CV:中村悠一/鈴木将之
レアリティ
(1333年)
☆☆☆☆☆ UR
能力 南北朝適正
武力 76 蛮性 55
知力 88 忠義 93
政治 85 混沌 73
統率 71 革新 36
魅力 96 逃隠 38

信濃国(現在の長野県辺り)出身の諏訪大社を治める神官。
そして脳噛ネウロ」「殺せんせーに続く敵キャラにしか見えない味方。
前作の浅野學峯のようなシリアス適性と前々作のネウロのようなギャグ適性を持ち合わせているハイブリッドキャラ。
一見すると線の細い美男なのだが、一言でいえば「胡散臭さの権化」ともいうべき奇人で、感情が昂ると怪しすぎる邪悪な笑みを浮かべながら光り輝くという謎過ぎる体質の持ち主。似たようなオッサン、ネウロに居たよね?
ちなみに帽子の紐をいじると光量を調節できるらしい。
詳細は個別項目を参照。

余談ながら、南北朝時代の「こちらの」頼重とは別に、二百年後の戦国時代にも「諏訪頼重」という人物がいる。
武田信玄に滅ぼされたことでも有名。

  • 諏訪(すわ)盛高(もりたか)
CV:石黒史剛

頼重の配下の神官。
胡散臭さ漂う頼重とは対照的に生真面目な性格の人物。
博識な一面もあり、雫曰く「諏訪大社の解説名人」
有事には諏訪神党の武将として前線に赴く文武両道な一面を持つ。

原作でも鎌倉滅亡時に頼重が時行を迎えに行った時に地味に同行しているが、『太平記』でも時行を鎌倉から信濃へと連れ出し匿った人物として「諏訪盛高」の名前が残っている。
ただ『諏訪史料叢書』によるとこの盛高は頼重と同一人物とされている。

  • 諏訪(すわ)時継(ときつぐ)
CV:石黒史剛
レアリティ
(1335年)
☆☆☆☆ SSR
能力 南北朝適正
武力 81 蛮性 54
知力 79 忠義 95
政治 81 混沌 79
統率 23 革新 44
魅力 67 逃隠 97


諏訪神党の武将で頼重の息子。
線の細い美青年で、父・頼重よりはおとなしい草食系男子
一見すると「糸目の美青年」だが、実際は本当にいつも目を閉じている。なんでも、盲目であり目が機能していないらしい。代わりに、父譲りの神力でそこは補っている。

諏訪大社の次期後継者であり、後継者に相応しい頭脳や武勇、神力を有している。
……のだが出しゃばりな父親のインパクトが強すぎるあまり戦場で単騎になっても誰一人仲間が気がつかないレベルで影が薄い悲劇の男。
一応「盲目の剣士」という史実より盛った要素もあるにはあるのだが、「神力で視力を補っているため実質見えるも同然」「結局目が良いだけなので戦い方が地味「そもそも貞宗と能力が被っている」といった感じで玄蕃から酷評されており、やはり目立たない。
しかし影の薄さも半ば異能の域に踏み込んでおり、真正面から刀で攻撃しても相手側が時継の存在を認識できず不意打ちと勘違いする一幕もあった。暗殺者になった方が大成する気がする

何故か中先代の乱が進むごとに影がさらに薄くなっていき、身体についた返り血と汚れの方が目立っている始末だったが、それでも尊氏には通じず決死の暗殺に失敗して返り討ちに。
首を刺される致命傷を負うが神力の効果でしばらく持ちこたえ、勝長寿院で頼重らと語らった後、眠るように死亡した。
なお死亡直後に遺体は姿を消したが、実体としてはちゃんとそこにあるらしい。

そもそも史実の時継がそういう人だったようで、時継の個人としての逸話は残っていない。
本作の歴史考証監修の先生に「マジで何も無い」*4とまで言わしめる影の薄さである。

  • 諏訪(すわ)頼継(よりつぐ)
時継の息子。つまり、頼重の孫にあたる少年。
祖父・頼重と父・時継が逃若党の戦に参戦する(=戦死のリスクがある)事から、神職としての家督は彼がまとめて継いでいる。
一見すると愛らしい男の子といった風体だが、北条を失い頼重の元に転がり込んできた(&頼重に担ぎ上げられる)時行にめちゃくちゃ妬いており、子供らしからぬ顔芸をやりながら、あの手この手で時行を失墜させようとする。
時行の側には頼継の立場を乗っ取るつもりはさらさらない為、頼継が一方的に時行を敵視している状態にある。

  • (さかえ)(ほまれ)(ひかり)
CV:倉持若菜(栄)、三宅麻理恵(誉)、長妻樹里(光)

第4話で時行を取り囲んで可愛がっていた諏訪大社の巫女たち。この時点では名前は明かされなかったが後に判明。
  • 栄が「諏訪大社の母性担当」、麿眉で前髪を切りそろえている娘。かつて貞宗に耳を射られていた。
  • 誉が「諏訪大社のフェロモン担当」、紅を刺している時行に対して明らかに発情しながら「良い事しましょ……」などと囁いていた娘。
  • 光が「諏訪大社の豊かさ担当」、たれ目・ツインテール・巨乳な時行の頭に胸を乗せていた
全員非戦闘員ではあるが戦場でも裏方として支援に当たっており、また多対一の状況であれば戦力の一つに換算できるくらいに武の心得もある。
海野の妄想においても度々登場しており、密かに彼のバフの助けにもなっている。

名前の由来は何れも太平洋戦争時に旧日本軍で運用された中島飛行機製航空機用空冷エンジンと思われる。
因みに、栄・誉・光は帝国海軍に於ける呼称である。

  • 藤沢(ふじさわ)政頼(まさより)
中先代の責任を取って自害した諏訪頼重の後に諏訪大社の主となった男。
諏訪諸流の出身で本来ならば神の資格はなかったが、戦犯である諏訪の力を削ぐために建武政権の後押しを受けて就任したらしい。
額に神の字を入れている他は見るからに下劣そうな顔をしており、巫女を手籠めにしながら酒を飲むなど実際素行はよろしくない。
幼子の頼継も追放したばかりか命まで狙っていたようだが、諏訪との因縁深い小笠原貞宗によって討伐される。
その理由は建武政権に反旗を翻した足利政権がその人事を否定するためと、無力な幼子に恩を売って主に据えた方が都合が良いからとされる。


諏訪神党

  • 海野(うんの)幸康(ゆきやす)
CV:楠大典
レアリティ
(1335年)
☆☆☆ SR
能力 南北朝適正
武力 80 蛮性 80
知力 79 忠義 85
政治 75 混沌 69
統率 91 革新 34
魅力 83 逃隠 26


諏訪一族に忠誠を誓う「諏訪神党三大将」の1人。中軍大将。童貞。
隻眼で右頬に古傷の痕がある厳しい顔が特徴の渋カッコいい壮年の男。しかし童貞。
諏訪神党随一の武功を建てた鎌倉武者で、冷静沈着かつ気配りも上手い一見非の打ち所がない好漢。だが童貞。
実態は女性への免疫ゼロな上に生涯を通して一切の性的行為に及んだことすらない真性童貞である。
その内心滾る性欲や女性への興味を鋼の忠誠心で数十年間押し隠し筋肉と闘争心に集中させ数多の武功を挙げてきた歴戦の猛者。本人曰く「鎌倉武士は三十歳まで童貞を貫くと修羅となる」
その剣技は紙をばら撒き、その紙が地面に落ちる短時間で10人の武者を斬り殺せるほど。そして女子との軽いスキンシップの光景を妄想するだけで性欲を昂らせ、潜在能力を引き出して自己強化できる特技を持つ。
妄想バフの効果は絶大で、怒りで自己強化する渋川を相手取った時には「膝枕」「手を繋ぐ」といった浅い妄想で互角以上に渡り合っていた。
またもっと刺激の強い妄想をすればさらに潜在能力を開放できるらしいが、体に負担がかかるため多用できないらしい。

史実ではドマイナーだが、後に子孫が戦国時代で有名となった武田信玄や真田一族の祖となる割と重要人物。
子孫がいるってことは脱童貞してるじゃ……

  • 望月(もちづき)重信(しげのぶ)
「諏訪神党三大将」の1人。左軍大将。
頭に鉢巻、真ん中だけ剃り込んだヘンテコな髪型が特徴な大柄の巨漢。
亜也子の父であり、挨拶感覚で肋骨をへし折る勢いで抱きしめ合うぐらいに関係は良好。
性格は大らかかつ豪胆な性格。
意外にも切れ物な一面があり、国司軍迎撃戦では不利な籠城戦はさっさと諦めて撤退し、本隊との合流を急ぐ市河軍を背後から突く機動戦に転向、といった柔軟な戦法を展開する。
……が、その為に必要な味方勢力への連絡と調整はしてなかったりと実際は雑で大雑把。
その雑さから頼直が苦言を呈することもあるが、何だかんだでいい感じに自陣に有利に働くためそこまで問題になっていない。
なお、郎党は毎回雑な指示の下で動くことを強いられるため、異様に対応力が高くなっている。この妙な統率力の高さから「変幻自在」と謳われる。
戦場では刀以外にも戦場に落ちている岩や丸太を現地調達で拾って武器にするが、これはタダで入手できる以外にも敵の刀を効率的に破壊することができるためである。

史実ではドマイナーだが、後に戦国時代に忍者で有名な甲賀望月氏の先祖となる一族。

  • 祢津(ねづ)頼直(よりなお)
「諏訪神党三大将」の1人。右軍大将。
月のマークが印された頭巾が特徴の細身の男。
鷹を常に連れており、鷹の動きを駆使して広域の戦況を俯瞰して把握するずば抜けた指揮能力を持つ凄腕の鷹匠。
いわゆる軍師や指揮官ポジションなため、基本的に他の三大将のように甲冑を着て戦場に行くことはなく、本陣で諏訪陣営の作戦指揮を執る。
妹の忘れ形見の弧次郎には複雑な感情を抱いており、何かにつけて当たりが強いが、それでも捨てることも殺すこともなく影武者としての役割を与えている辺り、それなりの情はある模様*5
また、妹を妊娠させ、責任を取ることもなく、北条の威光を笠に握り潰した御内人には憎しみを抱いており、三大将の中でも特に北条のために動いているわけではない*6

史実だと3人の中ではあまり華々しい子孫がいない悲劇の人。一応家系は戦国時代でも生き抜いている。

  • 祢津(ねづ)小次郎(こじろう)
頼直の嫡男であり祢津家の跡目。次郎にとっては従兄にあたる。
容姿は弧次郎そっくりであり、信濃にいた頃の弧次郎の役割は彼の影武者であった。
もっとも弧次郎と違って黒髪のほか、表情もかなり穏やかであるため印象は大分異なるが。
「弧次郎にこんな清潔で上品ないとこいるはずねぇ そいつ偽物だ!」
「ゲロ吐かすぞゲンバ」
戦に出ることもままならぬ程に病弱だったため、弧次郎の役割は寝たきりの彼に代わって「祢津家次代当主・祢津次郎」の名を戦場に轟かせることにあった。
何かと当たりが強い実父とは対照的に弧次郎との仲は良好で、自分の代わりに危険な戦に出る弧次郎の身を案じる心根の優しい性格。
中先代の乱以降は弧次郎の活躍によって名が上がり、体調も多少回復したからか祢津家次代当主として表に出るようになった。
身体が弱いため戦闘はできないが鷹匠としての才は父同様に高く、索敵役として活躍する。

  • 浅田(あさだ)忠広(ただひろ)
CV:斉藤マサキ

諏訪の配下の一人。諏訪領の国境付近、浅田庄の領主。
逃若党、並びに吹雪からの要請で兵を率い、征蟻党を迎撃した。弓の腕と指揮能力はそれなりのもの。
平成時代辺りで探偵の追っかけやってる子孫が居そうな顔をしている。

  • 保科(ほしな)弥三郎(やさぶろう)
CV:稲田徹

諏訪神党の武将で、北信濃の川中島に居を構える*7
猫みたいな尖った細い髭が特徴的な男で、頼重から「義理堅く有能な男」と信頼厚い人物。
新任の国司である清原信濃守の暴虐に激怒し、領地こそが武士の命と考え、「たとえ勝ち目が無かろうが命を捨てても我らが意地を見せねばならぬ!!」「命のためなら死んで当然!!!」という考えのもと自分達に勝ち目がないことを理解しながらも義憤のまま自身の郎党と共に討死前提で挙兵し川中島に陣を立てた。
「小さな戦で死なせたくない」と言う頼重の意向の元、撤退を手伝うためにに遣わされた逃若党のことも一緒に死ぬ援軍程度にしか思わず、あまつさえ「貴方達の死に興味はない」とまで言った時行にキレて刀さえ向けたが、酔い覚ましにぶっかけた酒の匂いで酔っ払った時行のヒップアタックと共に「自分の死に酔ってるだけだ」という説教を受けたことで考えを改め、撤退戦に持ち込んだ。
頭に血が上りやすいが逆を言えば喝を入れさえすれば切り替えることが可能で、冷静になれば合理的な判断の元軍を指揮。乱戦の中でも返り血を顔に浴びることなく敵兵を処理できる優れた武芸を持つ。

中先代の乱の前哨戦では国司館を襲う諏訪本隊に対する陽動役として市河軍と対戦。
その後、国司館での戦いにも参戦して国司清原の首を落とす役割を果たして屈辱を晴らした。
そのまま正体を明かした時行にも御使い様時代にやらかした様々な無礼な振る舞いを思い起こして動揺し腹を切りかけながらも付き従い、庇番との連戦でも活躍して鎌倉奪還の助けとなった。
結局乱が失敗した際には責任を取って自害する頼重の命を受けて信濃へと帰還。
その後は所領を失い郎党共々浪人となっていたそうだが、頼継の意向により高遠に所領を持ち、大徳王寺城の戦いでは時行の「友」として助太刀に赴いた。


その後の保科家は徳川時代に大名家として2つ存在し、二代将軍・徳川(とくがわ)秀忠(ひでただ)の庶子・幸松(こうまつ)を養子に受け入れ、彼が元服して保科(ほしな)正之(まさゆき)を名乗り、最終的に陸奥会津23万石の大名家になり、四代将軍・徳川(とくがわ)家綱(いえつな)の後見人として幕政を指導する様になる。
正之の死後、松平の姓を使うようになり、陸奥会津松平家として幕末まで存続する。
もう一つが上総飯野保科家2万石で、正之の影響で家督が継げなくなった保科本家への詫び料である。

  • 四宮(しのみや)左衛門太郎(さえもんたろう)
CV:神尾晋一郎

諏訪神党の武将で保科の隣領を収める。保科とは昔馴染みの関係。
世界観が違う保科郎党とは対照的に線の細いひょろっとした相貌で、ブチ切れて血気盛んな保科郎党とは対照的に冷静な人物。
保科の人柄を「冷静な時は仕事も出来る良い奴」と評しており、時行達の保科郎党の撤退作戦に協力的な姿勢を見せている。
ひょろりとした優男のようだが、戦では優れた弓の腕前を持つ武人。

保科から郎党を一本化する提案をされるが、四宮党は草食系男子が多めなので保科党とはやや溝がある。

  • 犬甘(いぬかい)知光(ともみつ)
細眉に鋭い目をした武将。
信濃府中の深志で代官を務めていた。
1335年の北信濃の戦では「南」の深志砦を担当し、海野と共に守り抜くも「中」の戦で敗北したことで常岩と共に山奥に逃走。
中先代の乱以降は北条泰家とよくつるむようになる。

  • 常岩(とこいわ)宗家(むねいえ)
顎に無数のTの字の髭を蓄えた武将。というよりTがトレードマークなのか、頻繁に手でTの字を作る上に兜の前立てもT。
信濃最北部の北条庄の代官で、1335年の戦では望月と共に「北」の北条砦を担当。
防御の弱い砦を敢えて捨てる望月の策で市河軍を翻弄するも「中」の戦で敗北したことで犬甘と共に山奥に潜伏。
中先代の乱以降は北条泰家とよくつるむようになる。

  • 香坂(こうさか)高宗(たかむね)
遠江国で遭難していた逃若党の前に現れた諏訪神党所属の若武者。
髪の先に玉を付けており、山伏のような格好をしている。
なおこの玉は塩分を摂りすぎて髪から発生した塩の結晶らしい。
「早死にするぞ」
宗良親王を守護する井伊は長持ちしないと読み、その後に親王を匿うための秘密基地を造るため時行達に信濃に戻るよう誘いをかける。
伊那地方にある大河原に領地を持つ下級武士の出身だが、山の経営で金には困っていないらしく、それを元手にした一大博打に打って出る。
これらの行動は南朝への忠誠心からではなく、己の出世のためとあっけからんと語っており、その屈託のなさが逆に信用に足る好人物。
また、中先代の乱にも参加していたように時行への忠誠心自体は元々強く、遭難先も山勘で見つけ出したという。

子孫からは戦国時代に武田四天王の一人に数えられる高(香)坂弾正(春日虎綱)を輩出している。
また高宗の築いた大河原城を陥落させたのが武田の軍師である山本勘助と伝わっており、軍記物などでは高坂弾正との関わりも深い。
初登場時に彼が山本勘助を語源とする「山勘」という言葉*11をわざわざ使ったのはこの繋がりによるものと推測される。


鎌倉党

頼重が秘密裏に信濃に匿っていた、幕府滅亡に際して路頭に迷い、残党狩りから逃れた鎌倉武士達によって組織された集団。
出自故に全員北条家に対する忠義が篤く、幕府復興の日に向けて死に物狂いで鍛錬を積んでいたため戦闘力も高い。戦闘ではまだ未熟な面が残る逃若党をサポートして引っ張るなど、時行を頭とした第二の逃若党と言っても良い。
ただし、時行のことは信濃出立のギリギリまで諏訪大社の衛士・長寿丸と偽られていたため、主君にもかかわらず「全裸逃亡ド変態稚児」と認識しているなどナチュラルに無礼なところがある。

  • 三浦(みうら)八郎(はちろう)
党首を務める若武者。爽やかな見た目に違わず、快活で裏表のない気さくな兄ちゃん。
幕府滅亡後も北条家への忠義を誓う義理堅さを持ち、また匿ってくれた上に再興の道を用意してくれた頼重にも同様に恩義を感じている。だが、頼重に正体を隠していた時行を大将にするよう命じられた時にはこの世の終わりのような顔をしてやる気を失い、鎌倉党一同で鼻をほじっていた
しかし、時行の大胆で危険な作戦を率先して行う将器や、逃若党の強さに触れたことで奮起。やがて時行を大将として認めるようになる。
時行が正体を現した時はこれまでの無礼な振る舞いを思い起こして動揺し、真剣を鼻に突っ込み脳をほじって詫びようとしたが、全裸逃亡ド変態稚児時行の説得を受け、改めて忠誠を誓った。

その後も活躍を続け、鎌倉奪還後は庇番から寝返った兄の時明と行動を共にするようになる。
かつて放逐されたことから兄に対する心証は最悪で、さらなる裏切りをずっと危ぶんでいたものの、当の兄には軽くあしらわれている。
東海道を進む足利軍に対する防衛戦では高兄弟と今川頼国の連合軍と戦闘。頼国に撥ね飛ばされ、師泰によって殺されかかるも、すんでのところで時明に助けられ脱出。
道中、限界を悟った時明から鎌倉の時行への情報伝達と足利に預けた嫡男の世話を託される。
それでもあくまで北条の元での正義に拘ったが、時明から「個人の正義で守れるものはたかが知れる」と諭され、より大勢の軍を率いての再起を胸に疾走。
鎌倉党での最後の奉公として辻堂の戦いでの頼重救出作戦に尽力し、その後は時明の遺言通り足利方についた。

足利方となってからは師泰の配下となっており、兄の仇に顎で使われている事実を詰られる屈辱に耐え忍んでいる。
しかし、今でも北条に対する忠誠心は忘れておらず、戦場で時行と相まみえた時には戦うフリをしながら情報を流すなど、雌伏の時を過ごす。

三浦家は執権北条氏に代々仕えた家系であり、宗家が滅びた後も傍流が御内人として仕えている。
彼のモチーフは後に高一族の暗殺に関わる三浦八郎左衛門だろうか。

  • 三浦(みうら)時明(ときあき)
レアリティ
(1335年)
☆☆☆ SR
能力 南北朝適正
武力 87 蛮性 93
知力 64 忠義 14
政治 68 混沌 77
統率 89 革新 65
魅力 36 逃隠 80


関東庇番二番組に所属していた武将。三浦八郎の兄。
中先代の乱の鎌倉防衛戦では左翼に陣取っていた。
髪の毛を逆立てた巨漢で性格は短気で粗暴。「義理に欠けすぐ人を裏切る」と八郎に称されたように、幕府滅亡後はあっさり北条を見限り、親北条派の八郎を追放してまで足利についた。
将としては無類の強さを誇っており、純粋な戦の強さなら筆頭クラス。個の武力に加えて、片手間に兵を動かす用兵術が巧く、吹雪をして「将としての総合力が高い」「三大将の強い所を合わせたようだ」と言わしめるほど
しかし、足利一門ではなく頭も悪い(直義評)ため庇番での地位はそこまで高くない。その微妙な立場を狙った泰家の捨て身の調略に応じ、戦の最中に北条方へと寝返った。
鼻をほじっていた弟に対して、こちらは耳をほじるのが癖らしい。

鎌倉奪還後も八郎から裏切りを危惧されていたが、実際のところ時明の裏切り癖は全て家を守るための苦肉の策。
本心では先祖の代からの裏切りと、それに対する罵倒の負の連鎖に疲弊している。
そのため、裏切りを非難するどころか、人質を取ることも忌避して逆に嫡男を足利家に預けるよう命じる時行の優しさ*12には感服し、密かに忠誠を誓っていた。

名越高邦を倒して進軍する高兄弟と今川頼国の軍を相手に八郎と共に迎え撃つが、伏兵を天狗衆に潰されたことで挟撃に失敗。
単身立ち向かうも師泰に片腕を奪われる重傷を負ったため、八郎を連れて辛くも逃亡した。
尚、師泰には惨敗したものの、
  • 片腕を切り落とされて激痛を味わっているにもかかわらず、撤退して鎌倉に戦況を報告すべきと冷静に判断
  • 殺されそうになっている八郎の窮地を救い出す
  • 手綱を握らずに八郎を後ろに乗せた上で戦場を全力疾走する馬術
  • 馬に乗りながら残った片腕で刀を握り、追手や迫りくる矢の雨をすべて叩き落し、戦場からの離脱に成功
など、敗れて尚、化け物としか言いようがない武力と才能の数々を見せつけた。
しかし、出血多量の死に体だったため長くは逃げられず、道中の海岸に転がっていた壷の中に隠れ、情報の伝達と足利方につかせた嫡男の世話を八郎に託す。
そして、壷の中で明日生きることに希望を持ちながら静かに目を閉じた。


北条家の人々

  • 北条(ほうじょう)高時(たかとき)
CV:田所陽向/林祐樹

北条一族本家の現当主(得宗)にして鎌倉幕府の先々代執権(作中では鎌倉幕府総帥と表記)。
一応は武士のトップに立つ人物のはずなのだが、その表情には生気がなく、周囲の有力者・自身の直臣たる御内人から言われるがままに動くだけの傀儡。
まあそもそも北条家も初代将軍源頼朝の姻戚から将軍を傀儡にして一族で要職を独占・執権政治を行っていたので、ある意味では因果が巡ったと言える。
ただ、傀儡としての身の上には思うところがあったのか、時行達には「父のようにはなるな」と言い聞かせる側面もあった。
親子としての情もそれなりにあり、足利高氏の謀反に際しては(時代が時代だから、血を残すという目的もあったと思われるが)「幼子を自分と一緒に死なせるのは忍びない」という理由で2人の子を家臣に託し自刃した。


  • 北条(ほうじょう)邦時(くにとき)
CV:寺崎裕香/矢部仁美

高時の長男で時行の腹違いの兄。
側室の子であり、正室の時行*13とは少し複雑な関係だが、二人とも次期執権の座を面倒くさいと感じていたので仲は非常に良好。
北条家を逃げ上手の家系と笑いながらも、時行に対してはその中でも一味違うと称し、頼重の予言を「少し分かる」として信じた。
後に高氏の謀反に巻き込まれ、父が身柄を託した伯父に売り飛ばされて斬首される。

史実では彼こそが嫡子として扱われていたとされる書状があり、邦時の名も当時征夷大将軍として下向していた守邦親王の邦の字を偏諱で頂いているので、後継者は彼であったと考えられている。

  • 北条(ほうじょう)泰家(やすいえ)
レアリティ
(1335年)
☆☆☆ SR
能力 南北朝適正
武力 64 蛮性 57
知力 86 忠義 45
政治 79 混沌 90
統率 70 革新 38
魅力 67 逃隠 91


高時の実弟であり、時行の叔父にあたる鎌倉幕府の重鎮。
幕府滅亡に際しては頼重と通じて時行の保護を手引きした後、自身も新田方の負傷兵に変装して鎌倉を脱出し東北へ逃走*14という、鎌倉武士らしからぬ生き意地を発揮したこの時代屈指の寝技師。
その後は北条家再興を夢見て方々で旧幕府派を扇動、蜂起と敗走を繰り返しながら諏訪へと流れ、時行と再会する。

面長で額が広く、何より額に本音が文字で浮かび上がるという謎の体質の持ち主。
その為調子の良いことを口にしながら、欲や野心が丸見えで隠し事が苦手。ついでに黙っていても「うるさい」と言われる。
……というのはその実本人も自覚しており、本気の嘘をつく時はきっちり下準備を整えた上で、プライドすらもぶん投げた有無を言わさぬゴリ押しや巧みな弁舌で乗り切ろうとする「凄み」を隠し持っている。
基本的にバイタリティに溢れた人物なので、普段は額に「やるぞ」の文字が浮かぶ。
そして真に謀略を企む際は額の文字すら消える二面性も持つ。
この体質は泰家を知る者は熟知しており、「泰家が顔に出る時は嘘はない」と判断する者もいる。

また、なんだかんだで口がうまいことも事実であり、味方武将を巧みに焚きつけて奮起させたり、敵陣に一人乗り込んでは敵将を揺さぶり、巧みに説得したりとかなり曲者じみた活躍も見せる。
時行はそういった側面も含めて彼を尊敬しており、生存本能の強さをはじめ実父・高時以上に影響を受けている模様。

鎌倉奪還後は昔取った杵柄で政治に邁進。その優秀さを見せつけるが、すぐさま尊氏に鎌倉を再奪還されてしまう。
その後、すれ違いから頼重と衝突した時行を諭し、実の叔父の立場から温かい言葉をかけた後、犬甘・常岩を連れてまた臆面もなく何処かへと逃げ去っていった。

その後も不屈の闘志で転戦していたようで、まず信濃で犬甘・常岩と共に挙兵するも小笠原貞宗に阻まれ失敗。続いて鎌倉で挙兵したところ斯波家長を前に敗れ去り、その身柄を捕らえられた。
杉本城の戦いにおいては、家長が時行軍の判断力と戦意を奪うための「秘密兵器」として捕らえた泰家を活用。
長く拷問され続けたことで全身傷だらけでやつれ、髪の毛も色落ち、額に文字が浮かばなくなった悲惨な姿を吊るされて晒し者にされた。

逃若党や顕家の奮戦によって何とか救出され、帝暗殺未遂の罪も不問にされたことで療養に励むも、長い監禁生活で心臓を患ったことで従軍も困難な状態となってしまう。
それでも諦めの悪さ故に無理をし続けるが、その姿を見て「戦いの人生から解放したい」と願う時行によって実母の覚海尼に引き会わされる。
そして、実の母親からの一喝を受けたことで動揺し、時行から意志を引き継ぐ旨を伝えられたことで遂に闘志が砕かれる。
その際、額の「やるぞ」の文字も砕けて、長年心の奥底に秘めていた本音が浮かび上がった。

恐かった 死にたくなかった
降りたかった 逃げたかった

やっと休める

かくして不屈の男の戦いはやっと終わりを迎え、伊豆で母親と共に静かな余生を送ることとなった。
文献は彼の最期を伝えていない。

  • “鬼母”覚海尼(かくかいに)
高時と泰家の実母。時行にとっては祖母にあたり、現在では足利家の保護のもと、伊豆は円成寺の尼を務めて北条の菩提を弔っている。
中先代の乱の後、伊豆に逃げ延びた時行を匿った。もはや数少ない一族の生き残りである時行の身を案じている心優しき老女で、彼に戦いをやめて穏やかに暮らすことを提案している。
しかし、既に強い意志を宿して尊氏への挑戦を目指す時行にはすげなく断られ、その過酷な運命を涙ながらに詠っている。
高僧・夢想疎石とも親しく、後醍醐天皇とのパイプ役も務めた。

本編では既に一族を喪い失意の中で静かに生きる老婆でしかないが、全盛期は幕府で強い発言力を持ち、高時や泰家が霞む程のゴリゴリの女傑
牙が抜かれたかのように見えた現在でも奥底に全盛期の激情は隠し持っており、自らの限界を悟らず無理を続けようとする我が子泰家に対して鬼の形相で一喝して諭している。
そのため、味方側の人物にも関わらず例外的に南北朝鬼ごっこの鬼の異名持ち

  • 長崎(ながさき)円喜(えんき)
CV:高岡瓶々
レアリティ ☆☆☆☆ SSR
武力 31
知力 85
政治 83
統率 65
魅力 42
  • 長崎(ながさき)高資(たかすけ)
CV:草野峻平
レアリティ ☆☆☆☆ SSR
武力 45
知力 75
政治 55
統率 51
魅力 29

単行本10巻で急に解説されたモブネームドキャラ。登場は第1話。
厳密には北条家の人間ではなく、北条家重臣「御内人」の親子。
老いている方が円喜で中年の方が高資。
北条家をもしのぐ権力を擁しており、泰家や覚海尼とドロドロの権力闘争を繰り広げている。
全盛期には北条高時を傀儡として、親子揃って鎌倉幕府を裏で牛耳っていた。
しかし、鎌倉幕府滅亡時には親子ともに自害している。
権謀術数に長けるが故に、表向きは野心を隠して温厚に振る舞っていたらしく、時行にとっての「強かな陪臣」のモデルケースとして回想されている。


その他の友好勢力

中先代の乱での鎌倉奪還後に時行に付き従った諸勢力。
幕府滅亡後、各地に潜伏していた名越流、大仏流、極楽寺流といった北条一族が主だが、中には三浦時明のように関東庇番から寝返った者もいる。
大部分は顔見せ程度のモブで、名越高邦のみがネームドとして登場した。
中先代の乱が20日天下に終わった後は再び散り散りとなったが、逃若党の潜伏先である伊豆へと再集結。新たに加わった伊豆武士と共に時行の主力軍として転戦していくことになる。

  • 名越(なごえ)高邦(たかくに)
北条の名門、名越の武将にして、足利高氏の反乱にて戦死した名越高家(北条高家)の息子。
第101話にて時行の軍に弟と6000騎の兵を率いて合流する。
父・高家の戦死時の年齢は不明であるが、『太平記』の記述からまだ若い武将だったと推測され、
そこからの逆算で本作では時行とほぼ同年齢の美少年として描かれている。松井先生の性癖
幼いながらもその立ち振る舞いは凛々しく、当時としては珍しい優れた槍の使い手でもある。
「幼い貴公子」という時行と同じ属性に加えてこちらは武芸にも秀でているため、玄蕃からは「坊より主役」だの「名越が活躍したら大将の座を乗っ取られる」だのと称され、時行はショックを受けた。
ついでにもしかしたら内紛が見られるかもとワクワクする雫と亜也子に「内紛は鎌倉名所じゃないからね!?」とツッコミを入れた

鎌倉大仏殿を兵士達の宿舎代わりにしていたが、突如発生した嵐による大仏殿の倒壊で温存させていた兵に多数の死傷者を出し、
それでも進軍を開始した足利軍を遠江に配置した4つの砦で迎え撃つべく出撃する。

……が、完敗
素通り同然に蹴散らされた様で、再登場時には今川頼国の薙刀に括り付けられた首となっていたというナレ死に近いというかそれ以上にひどい最期を遂げた。

因みに、彼が伴っていた弟は幼少故に命までは取られず、後に今川氏の養子となった名越高範*15
本作においても史実同様の流れとなり、名越の名は守られたことが三浦八郎によって語られた。
高範の家系は「那古野」を名乗り、後に出雲阿国の付き人で槍の名人として名高い名古屋山三郎を輩出している。

  • 長崎(ながさき)駿河四郎(するがしろう)
鎌倉幕府重臣の子で、穏やかな表情の優男。
覚海尼と共に伊豆に逃げ延びた時行一行を匿っている。
まだ若く見えるが3年連続で3人の子供を作っており、子供全員の名前を記した着物を羽織るなど子煩悩。
本来なら中先代の乱にも駆け付ける予定だったが、子供が産まれたばかりだったので泣く泣く見送ったとのこと。
1337年以降はもう悔いは残したくないとして、時行軍に同行している。
戦闘では伊豆北条党の先陣を切って突撃するなど勇猛果敢。
だが同時に子供のことを思い出してその名前を泣き叫びながら戦うため端から見たら相当不気味。逃若党はその戦闘スタイルを「子煩悩殺法」と呼んでいる。
しかもこの号泣、不随意のクセとかではなく本人が自覚ずくでやっているらしく、思い出すエピソードを替えて思考をコントロールする事で瞬時に平常心と最大限の号泣とを切り替えられるなど無駄に器用な芸当もこなしている。

  • 南条(なんじょう)()
駿河四郎同様に鎌倉幕府重臣の子で、吊り上がった眉と目を持つ精悍そうな若武者。
石津の戦いごろから前に出るようになり、弧次郎の見立てでは伊豆北条党で駿河四郎に次ぐNo.2。
しかし、出自としては諏訪の比重の方が大きい弧次郎を御内人の子として認め、戦力も十分として副将の役割を譲るなど、他者の実力を素直に認める謙虚な性格。

名前は不明だが、幕府重臣である工藤一族の派生「伊豆南条氏」出身の将で間違いないと思われる。
工藤一族で北条時行の配下となると駿河四郎と並び立つ忠臣とされる「工藤二郎」がそれに当たると思われるが……


足利家

時行の宿敵・足利尊氏が率いる武家集団。
尊氏本人が自分には勿体無いほど心が清そうには見えないほどの悪人面が多くて、智勇に秀でていると言わしめた配下で構成されている郎党から成る。

後醍醐天皇に仕えながらも密かに天下を狙っており、1336年には後醍醐天皇と対立。光明天皇を担ぎ上げて「北朝」を樹立している。

  • “縺溘°縺?§鬼”足利(あしかが)高氏(たかうじ)/足利尊氏
CV:小西克幸/野澤英義
+ ◆ステータス
レアリティ
(1334年)
☆☆☆☆☆ UR
能力 南北朝適正
武力 93 蛮性 85
知力 92 忠義
政治 71 混沌 97
統率 98 革新 95
魅力 100 逃隠 91
  • 解放された足利尊氏
レアリティ
(1336年)
☆☆☆☆☆ UR
能力 南北朝適正
武力 95 蛮性 88
知力 91 忠義 0100
政治 69 混沌 99
統率 99 革新 98
魅力 100 逃隠 97

「鬼神」と謳われる鎌倉一の武士。家臣や市井からの信頼も厚い高潔な人物。
……だったのだが、その裏で先帝・後醍醐天皇と通じ、鎌倉幕府へと反旗を翻した。
後に室町幕府を作り上げる足利尊氏その人にして、この作品のラスボスに相当するであろう人物。
冒頭では、時行に柔和な笑みを浮かべながら抱き上げる心優しい人物として描かれていたが、わずか一月足らずで鎌倉を焦土とし、北条家とそれに与する者たちを皆死に至らしめた姿は一変して恐怖の象徴として描かれており、時行の心に影を落としている。
詳細は個別項目を参照。

  • “金鬼”足利(あしかが)直義(ただよし)
CV:古川慎
レアリティ
(1335年)
☆☆☆☆☆ UR
能力 南北朝適正
武力 68 蛮性 33
知力 99 忠義 100
政治 99 混沌 48
統率 73 革新 37
魅力 84 逃隠 65

尊氏の実弟にして右腕の政務官。
背中に「天知神知我知子知」と書かれた着物を身に付ける。
兄同様に端正な容姿だが、実は目元が対極になっている(直義は吊り目、垂れ眉尻。尊氏は垂れ目、吊り眉尻)。
能力も性質も兄と正反対だが兄弟仲はすこぶる良い。一方で日を追うごとに人間離れしていく尊氏に対して畏怖の念を強くしているが……
詳細は個別項目を参照。

  • 足利(あしかが)義詮(よしあきら)
足利尊氏の嫡男。焦った時の尊氏と瓜二つな顔つきをしている。
鎌倉倒幕時に僅か3歳だったものの新田義貞に預けられ、尊氏の代理として出陣したように足利方の象徴的総大将。
怪物めいたわけのわからなさを見せてくる父親と比べて、戦術の有効性以上に自身の面目を優先するよう求めたり良くも悪くも俗物。
斯波家長からも「凡庸な幼子」とバッサリ評されている。ただし、この評価が成された1337年時点で7歳ということは念頭に置かれたし。
実際その後家長は遺言にて「凡庸ではあるが暗愚ではない」ともフォローしており、恩を売れば必ず忘れることはないと評していた。

  • 足利(あしかが)直冬(ただふゆ)
足利尊氏と側室との間に産まれた実子。髷をバッサリ斬り落とした後の尊氏と瓜二つな顔つきをしている明るい少年。
尊氏が鎌倉幕府に反旗を翻した際は東勝寺で修業していた小坊主で、鎌倉幕府滅亡の顛末を見届けている。
そのため、実は第1話から既に登場していた*16
いずれ父・尊氏に仕えて名を轟かせたいと考える一方でいざ逢った時拒絶されることへの恐怖に苦悩。
1337年に時行と邂逅し、幾度も尊氏に立ち向かう時行の闘志がどこから生まれるのか疑問視し、「戦場で死ぬのが怖くないんですか?」と尋ね、その後の時行との問答で勇気づけられ父・尊氏と会う決心を新たにした。

この時元服していないため彼の父親が尊氏であることは時行は一切知らないのだが、家族と父親に深い思い入れを持つ時行は、彼を勇気づける際「拒絶するならその程度の父」「そんな男は無責任で身勝手な人格破綻者だ!」とボロカスに言っていた。

その後は決心通り文武に励んで力を蓄え、元服後は尊氏の元に参陣。
尊氏も最初は普通に受け入れかけていたのだが、憎き宿敵である時行の臭いを嗅ぎ取り凄まじい顔芸で拒絶
流石に見かねた直義に名と官位を与えられ、そのまま彼の養子となった。
武力に優れるが気分屋で、それでいて茶目っ気に溢れた気質のため常に人を惹き付けるなど、皮肉なことに拒絶された父親の遺伝子を強く受け継いでいる。
武力不足の直義派では貴重な大戦力となるが、それ故に対立する師直派からは疎まれ、そしてそのことが面白くない尊氏の顔芸が酷くなる一方と、足利政権の中で早速居場所を失ってしまう。
もっとも直冬本人は尊氏に認められることを呆れ半分で諦めており、代わりに直義を「義父上」と呼んで彼を支えることに尽力している。

史実では後に足利直義の養子となり、戦場で勇猛に戦った男。
後に父・尊氏と対立し、尊氏から「凶徒」と蛇蝎のように憎悪されながら父と骨肉の争いを繰り広げて南北朝時代を激化させたと伝えられている。


(こうの)一族

代々足利家に仕える執事を輩出する一族。*17
政治・武力両面で優れた力を発揮して足利を支える。

  • “青鬼”(こうの)師直(もろなお)
CV:宮内敦士
レアリティ
(1335年)
☆☆☆☆ SSR
能力 南北朝適正
武力 90 蛮性 96
知力 86 忠義 93
政治 92 混沌 98
統率 97 革新 100
魅力 73 逃隠 43

足利家執事にして尊氏配下の中でも最強の将。
見た目は目の下に隈のある陰気な無表情の武士。長髪を結わずにそのまま垂らしている。
尊氏が幼少の頃から仕えている臣下で、京都の幕府軍討伐にも参加。「完璧執事」と評されるほどに尊氏からの信頼も厚く、尊氏郎党の指揮も任されている。
詳細は個別項目を参照。

  • “赤鬼”(こうの)師泰(もろやす)
CV:山口りゅう
レアリティ
(1335年)
☆☆☆☆ SSR
能力 南北朝適正
武力 90 蛮性 95
知力 47 忠義 79
政治 38 混沌 93
統率 88 革新 86
魅力 49 逃隠 39


師直の実弟。
怜悧な見た目の兄とは対照的に、凶悪な面構えをした見るからに豪快な荒武者風の男。

性格は面構えに違わず好戦的で、兄に負けず劣らずのサディスト。
三浦八郎を「飼い犬」と蔑み、自分が兄の仇だとアピールしながら太刀持ちに従えてニヤニヤとあくどい笑みでいびって楽しむ悪辣さは兄以上。
「正々堂々は鎌倉幕府の時代まで」として一騎打ちを旧時代の戦術と見下しており、卑怯上等の戦術で混沌の戦況を御せる者ことを新時代の名将だと定義する兄譲りの合理主義思想も見せている。
護良親王の反乱の際には誰よりも先んじて鎮圧に臨もうとするほど好戦的だが、師直らと共に政務関係の談義にも加わるなど決して野卑なだけの人物ではない。

戦場では黒い炎のような絵がデザインされた鎧を着用して分厚い刃の偃月薙刀で武装。
他の師直派の諸将を「半端」と看做すだけあって戦闘能力は群を抜いて優れており、豪傑三浦時明を相手に何もさせないままに片腕を奪い、武器・甲冑ごと体を両断せしめる威力を持つ。
更に師直の軍略を深く理解した上で暴れ回る教養の高さも併せ持つ。

師直同様に『太平記』では横暴なエピソードが目立つ悪役として描かれる。
また史料によっては師直の兄とされるなど、兄弟関係があやふやだったりする。

  • (こうの)師冬(もろふゆ)
師直の猶子*18
実の叔父の子だが、師直は義理で結んだ猶子と割り切っており関係性は非常にドライ。
中先代の乱での相模川の戦いが初陣だったが敢えなく戦死。

  • (こうの)重茂(しげもち)
師直・師泰の実弟。
顔の各パーツは兄にそっくりだが、表情が穏やかなので印象は大分異なる。
野心はそれなりにあるものの気質は控えめ。兄2人のことを「オラつきすぎ」と評しており、温度差を感じている。
青野原の戦いでは2番くじを引いて時行軍にあたるものの「必死そうで嫌だなあ」として、陣の交代を申し出た小笠原貞宗に相手を譲っている。

  • (こうの)師世(もろよ)
師泰の嫡子。師泰をそのまま若くしたような容貌。
政権では筆仕事を主にしていたようだが、実は武を隠しており、二刀流の薙刀で桃井と亜也子を吹き飛ばす膂力を持つ。師泰曰く「秘密兵器」
師世自身も強い野心を持つが、親世代と違って足利家に対する忠誠心は皆無であり、次代の執権として足利将軍家を傀儡にしようと目論んでいる。


関東庇番(ひさしばん)

荒廃した鎌倉に赴任した直義が結成した街の復興と治安維持を担う組織。
コロコロ支配者の変わる鎌倉に必要なのは若さと勢いという直義の計算のもと、多くは20代の若き足利一門によって構成されている。
メンバーの詳細は個別項目を参照。

  • “阿修羅鬼”渋川(しぶかわ)義季(よしすえ)
レアリティ
(1335年)
☆☆☆ SR
能力 南北朝適正
武力 86 蛮性 78
知力 75 忠義 99
政治 69 混沌 51
統率 83 革新 45
魅力 70 逃隠 17

一番組筆頭で直義の義弟。
大きな3本の白髪ラインが入ったオールバックの見た目に違わず、真面目で渋い堅物。
戦闘では長すぎて自分一人では抜けないレベルの長さの野太刀千里薙(せんりなぎ)を片手で軽々扱い、一振りで複数の兵を屠る膂力を持つ。
「自身の思い描く理想の武士像」を重んじているが、それを相手にも勝手に押し付け、少しでも外れた行動を取るとブチギレて戦闘力が高まる。

  • 岩松(いわまつ)経家(つねいえ)
レアリティ
(1335年)
☆☆☆ SR
能力 南北朝適正
武力 84 蛮性 89
知力 47 忠義 72
政治 43 混沌 71
統率 68 革新 52
魅力 76 逃隠 58

二番組筆頭でサーファーのような容貌をした浅黒い男。
サーフボード…のような鞘に入れた斬月斬馬刀の如き大太刀艶喰(つやずき)を携えており、相手の武器を一方的に破壊する戦い方をする。
強欲かつ病的なまでの女狂いで、攻め込んだ敵地から女性を見境なく略奪する。

  • 一色(いっしき)頼行(よりゆき)
四番組筆頭。
下睫毛に頭に巻いた手ぬぐいが特徴的な美形。

  • 石塔(いしどう)範家(のりいえ)
レアリティ
(1335年)
☆☆☆ SR
能力 南北朝適正
武力 80 蛮性 73
知力 77 忠義 95
政治 43 混沌 70
統率 38 革新 93
魅力 49 逃隠 7

五番組筆頭。常に眉根を寄せた武人らしい容貌の男。
ごく普通の出で立ちで敵に「強者」と畏怖されることを重んじており、実際令和風の萌え絵美少女キャラ「白拍子天女鶴子ちゃん」が胴に描かれている痛甲冑を平然と身に付ける強者。
脳内の彼女を高めるごとに自分自身も成長して身に付けた「理想的な太刀筋」で敵を圧倒する。

  • “馬頭鬼”今川(いまがわ)範満(のりみつ)
レアリティ
(1335年)
☆☆☆ SR
能力 南北朝適正
武力 63 蛮性 92
知力 18 忠義 77
政治 21 混沌 93
統率 11 革新 89
魅力 39 逃隠 67

寄騎。何故か馬の面を常に被っているツッコミ待ちの男。
「うまだいすき」など何故か片言でしか喋らず不気味だが、見た目や言動に違わず馬の扱いに長けた猛将。


関東足利一門(直義派)

関東庇番無き後に斯波家長が率いる関東各国を統治する足利武将達。「関東足利党」、「関東鎌倉府」、「直義党」とも。
京都で怪しげな西国武士と繋がり、直義を含む元庇番衆や関東武士を軽んじ始めた高師直一派に対抗するために立ち上げた親直義派閥
配下には家長の息が掛かっており、師直一派からは冷遇されている。

  • “復讐鬼”斯波(しば)孫二郎(まごじろう)斯波(しば)家長(いえなが)
レアリティ
(1337年)
☆☆☆☆ SSR
能力 南北朝適正
武力 70 蛮性 56
知力 96 忠義 81
政治 96 混沌 73
統率 70 革新 45
魅力 81 逃隠 49

元関東庇番寄騎。敵方に現れた松井先生の性癖美少年にして期待の新星。
年嵩の庇番衆をも言葉巧みに操る知恵を持つ軍師的な存在で、直義からは既に自分をも凌駕する才を持つと見込まれている。
生意気で打たれ弱い側面もあるが、覚悟と将来性を持ち合わせた麒麟児。
中先代の乱から2年後の1337年では元服して斯波家長を名乗り、17歳ながら「北朝奥州総大将兼関東執事」という肩書きを授かり、関東足利一門を束ねるリーダーとなっている。
また、北畠顕家とはライバル関係にある。
詳細は個別項目を参照。

  • 上杉(うえすぎ)憲顕(のりあき)
レアリティ
(1337年)
☆☆☆ SR
能力 南北朝適正
武力 41 蛮性 21
知力 88 忠義 71
政治 93 混沌 94
統率 37 革新 77
魅力 72 逃隠 90

元関東庇番二番組副頭。
白黒反転した両目に尖った耳というまるで悪魔かダークエルフかといった容貌の男。
庇番随一の学術知識を有する知恵者だが、祖父の代まで貴族だったことから武士の生態を理解できない。
そのため、武士を解き明かし「学識と理論で最強の武士を造る」ことを命題に掲げ、日夜非道な人体実験を試みているマッドサイエンティスト。
1337年からは「北朝関東府副執事」となり家長の補佐を担っていたが、彼の死後は関東足利一門を束ねる役割を任されている。
詳細は個別項目を参照。

  • 吉良(きら)満義(みつよし)
元関東庇番六番組筆頭。斥候やサポートを中心に活躍するいぶし銀。
斥候の際は草を纏っているが、本当に雑草が大好物な草食系武士
草を食べる際は文末にw(くさ)を生やすなどテンションがおかしくなる。草に草生やすな

  • 桃井(もものい)直常(ただつね)
家長の配下。
ドクロの装飾をあちこちに施し、兜の前立て部分を切り取ってまで突っ張らせたリーゼントが特徴的な武士。というかヤンキー
見た目通りに直情型だが頑強さを武器にした持久戦が得意な武士。
当初は亜也子に惚れていたが、現在はその一途な想いを主君の直義への忠誠心に変えてその護衛役となっている。
詳細は斯波家長の項目を参照。

  • 細川(ほそかわ)顕氏(あきうじ)
足利の血を引く足利一族の家臣。肥満体の男。
名前が判明したのは1338年の天王寺の戦いの時だが、登場自体は早く5話目には既に心清く智勇に秀でた郎党として顔見せを果たしており、その後も政務談義の席や尊氏の自害を止める役割として度々登場している。
河内での楠木残党との戦に手間取ったことで師直に叱責されており、以降は足利一族とは思えぬ程の高圧的な態度で見下されている。
その待遇に不満を持ち、天王寺の戦いでは師直の命令を無視して独断専行するものの、顕家軍の圧倒的武力の前にあっさり敗北して捕らえられる。
そして顕家評で「弱将」「内紛の火種にでもなれば儲けもの」としてチ×コに「御」と百回刻まれた上で解放された。
解放後は師直からの仕打ちが度を超えて酷くなり、面と向かって「豚」と罵倒されながら苛め抜かれている。
ただ、師直曰く顕氏は「鬱憤が頂点に達した時だけ良い仕事をする」らしく、上記の仕打ちも顕氏の本領を発揮させるためのケツ叩きの一環らしい。
度重なるそのパワハラに耐え兼ねたのか、石津の戦い以降は直義派に転向している。


師直派

朝廷や寺社といった従来の権威を軽んじる高師直に賛同する足利党の武将達。
京都で西国武士と繋がり、自らの武力に飽かして増長したいわゆる婆娑羅の集まり。
支持する師直と同じく武力に基づく徹底的な実力主義者の集まりで、将軍の弟である直義ですら「戦が弱い」の一点で表立って嘲笑する。
当然直義派閥とは政敵であり、日に日に亀裂が深まっている。

  • “羅刹鬼”土岐(とき)頼遠(よりとお)
レアリティ
(1338年)
☆☆☆☆ SSR
能力 南北朝適正
武力 100 蛮性 98
知力 62 忠義 50
政治 42 混沌 90
統率 90 革新 77
魅力 26 逃隠 59

美濃国(岐阜県)に陣取る、目測3m以上はある巨体を誇る人知を超えた武人。
牙を模したような兜や面頬に鎧で全身を武装したその威容はロボットをも思わせ並列に並ばせた二頭分の馬に跨るなど正に規格外。
詳細は個別項目を参照。

  • 畠山(はたけやま)高国(たかくに)
足利一族では斯波に次ぐ名門である畠山家嫡流の家臣。心清き郎党の中では相対的にまだ普通の顔。
顕氏と同じく5話目には既に心清く智勇に秀でた郎党として登場し、以降も度々顔見せを果たしていたのだが、1338年の石津の戦いでよりにもよって投石が顔面に直撃した瞬間にフルネームが判明した
高師直一派の一員でもあり、しばしば直義も含む関東足利党を軽視する振る舞いを見せるなど増長している。

  • 仁木(にっき)義長(よしなが)
普段から凄まじい釣り目、釣り口の顔芸をしている足利一族の家臣。
見た目に違わず「ヒョウっ!」「ヒャハハハと笑い叫びながら敵を血祭りにあげる蛮族猛者であり「残虐さ日本一の狂戦士」と称えられる。
一応、5話目から心清く智勇に秀でた郎党としても紹介されたように、時勢を正しく理解して政務談義に関わるなど根っからの蛮人ではない。
まあ表情は据え置きだからギャップが物凄いけど……
多々良浜の戦いでは鎧から馬まで血に染め上げ、血を見ることを喜びとしているが、マジモンの殺戮嗜好者である結城宗広の前ではドン引きして素朴な顔になっている。やっぱり顔芸はキャラ付けで素の性格は理性的なんじゃ……

  • 薬師寺(やくしじ)公義(きんよし)
関東在住の師直派武将。長い顎髭を三つ編みにしている。
上杉憲顕の政敵であり、打出浜の戦いでは関東から参戦。
憲顕からの評価は「厄介な歴戦の強敵」と高く、実際雫の策を前にしても動揺することがなかったが、率いる兵は別であり統率が取れなくなったことで敗走した。


その他郎党

  • 岩松(いわまつ)四郎(しろう)
岩松経家の兄。上野国の武士で、進軍する時行軍を蕪川で待ち構えた。
猫のように6本束になった髭や猫耳を模した烏帽子が特徴的で、戦場でも猫を連れて可愛がる無類の猫好き。だが、時に感情の昂ぶりのままに猫の首を絞めてしまうなど扱いは明らかに雑。
関東庇番に選ばれた弟へのコンプレックスもあり、いち早く時行軍を止めて弟に成り代わって出世しようと息巻くが、想定を遥かに上回る軍勢を前にして戦意喪失。
猫を人質にする奇行を経て、猫を奪われた挙句、海野・望月両将に吹き飛ばされて敗北した。

  • “牛頭鬼”今川(いまがわ)頼国(よりくに)
今川範満の兄で、こちらは牛の面を被っている。もはや何も言うまい
弟以上に無口で、何を考えて牛面を被っているのかすらわからない。
高兄弟と共に鎌倉に向かって出陣し、小夜の中山で名越高邦を討ち取る。
その後、相模川で逃若党をはじめとする北条軍相手に先鋒として突撃。
川の流れを受け付けない異常密集陣形「馬筏」で渡河したり、「馬鎧」で弓矢を跳ね除けるなど弟同様に馬の運用に長ける。
しかし、庇番衆との戦いを経て成長を重ねた逃若党に戦術の悉くを突破され、亜也子の四方獣によって打ち殺された。
だが何よりも範満のような狂的なまでの馬への執着心のなさから、弧次郎から「庇番衆より格落ち」と明言されるなど、扱いとしては完全にかませ牛であった。

ちなみに頼国に牛関連の逸話は皆無。
京都で貰った「松風」という名馬に乗っていたなど馬に関わる話はあるが、その他は「相模川を渡河中に馬ごと討たれた」というのが史書に残る全てである。
ぶっちゃけ弟が馬頭鬼だから、その対として牛頭鬼になっただけな可能性が高い。

  • 赤松(あかまつ)
111話で登場した足利一門の武将。
○の中に「心」の文字がある独特のデザインの鎧を身に着ける凶悪な風貌の禿頭の男。
京都から撤退する足利軍を追う新田・楠木の連合軍への対処の為、4000の兵を預けられて尊氏から新田・楠木軍の足止めの任を与えられた。
以後もちょくちょく登場しており、湊川の戦いの戦いでは尊氏軍のメンバーの1人として同行している。

フルネームは不明だが、名前や鎧のデザイン、登場のタイミングなどから赤松(あかまつ)円心(えんしん)ではないかと推察されている。
また、師直の派閥にも○の中に「貞」の文字のある似たような鎧を付けた武将がおり、そちらは円心の次男の「赤松貞範(さだのり)」と思われる。

  • 饗庭(あえば)命鶴丸(みょうづるまる)
尊氏の寵童。
容姿はどことなく時行に似たツインテールの美少年。時行よりやや生意気そうな顔つき。
舞が得意らしく、よく尊氏と連れ立って田楽祭に混ざりに行く。


天狗衆(てんぐしゅう)

神速の体術と潜入技術を兼ね備えた足利直属の忍者軍団。高師直が創設し、全国各地に潜伏しては反乱の予兆などをいち早く伝える役割を果たしている。

  • 「夏の四」
諏訪に潜伏している天狗衆のリーダー格。
常に天狗面で顔を隠した細身の男で、感情を表に出さない鉄面皮。
最も術に優れているとされ、プロ意識も非常に高い。そのため、玄蕃の技を手品呼ばわりして見下している。
また諜報技術のほか戦闘技術にも優れており、特に小刀を用いた戦いに絶対の自信を持つ。さらに隠れ身の術と併用した奇襲技も披露した。
反乱の可能性が最も高い諏訪で諜報活動を行っていたものの、玄蕃によって発見され報告されてしまう。
その後も監視を継続し、頼重の反乱の準備に制限をかけていたものの、その間に時行が京都に潜伏していたこともあり反乱の「真の目的」を誤認。1335年の諏訪と小笠原の総力戦に対して「反乱の標的は小笠原」という誤報を京都に届けてしまう。

その後、口封じと監視役の排除のために動いた時継と玄蕃と交戦。暗器による牽制や猛毒を付与した小刀でプレッシャーを与えながらの戦いは、武に特化した時継を相手に防戦一方にまで追い込む。
しかし、隠れ身の勝負に移ってなお影が薄い時継が発する凄みに焦った結果、玄蕃の変装と新兵器*20に惑わされ捕らえられてしまう。
その後、時行の名乗りを聞いたことで、自身が誤報を発信したことに気付かされ、完全に面目を潰された。
以降も情報を引き出すため、囚われの身のまま6日間飲まず食わず戦場を連れ回される。
その状態でもなお口を割らなかったため、玄蕃に屁を嗅がされ汚物を至近距離でぶらぶらされる辱めを受けつつ仲間になるよう誘われる。


小笠原郎党

足利派の信濃勢力。
領土が諏訪に隣接しているため度々諏訪の領土を奪おうと画策している。

  • “千里眼鬼”小笠原(おがさわら)貞宗(さだむね)
CV:青山穣
レアリティ
(1333年)
☆☆☆☆ SSR
能力 南北朝適正
武力 90 蛮性 87
知力 73 忠義 72
政治 67 混沌 64
統率 69 革新 55
魅力 80 逃隠 41

尊氏に仕える信濃守護。
妙にギョロついた大きな眼の男で、他人に顔を寄せる際も目がとにかく近い。また、松井先生のアレンジとして、着物にはダーツの的のような模様が入っている。

尊氏に対する忠誠心こそ本物だが、敵対する諏訪勢力に対しては非常に高圧的に接する陰険で高慢な性格。
信濃で多大な力を持つ頼重、そして逃若党と火花を散らしあの手この手で諏訪領の簒奪を目論む諏訪大社及び逃若党にとっては一番近くの小癪な敵に当たる。
……のだが、時行に大恥をかかされた翌日にも友達の家に遊びに来た現代の小学生のように手を振りながら笑顔でやってくるシリアスもギャグもいける稀有な存在となり、今では助房共々ライバル枠を兼ねた準レギュラー枠になった。
ルパン一味に対する銭形のとっつぁんポジション。
彼とその配下の詳細は個別項目を参照。


足利の協力者

  • 佐々木(ささき)道誉(どうよ)
西国随一の実力者であり尊氏の盟友。
派手な法衣に身を包んだ元祖婆娑羅(ばさら)*21にして教養人で稀代の腹黒策士。
婆娑羅ブームの仕掛け人らしい派手な身なりに反して、表情が全く読めない…というか
デフォルトで顔が真っ黒状態の人物。
初登場時には意味深に顔を隠していたが、日光に照らされても顔は物理的に黒いまま
この漫画、顔面が異常な人が多すぎる…
尊氏曰く「疑り深い人間ほど真っ黒に見える」とのことだが、実の娘にさえ「肚の底が見えない」と言われている
何事か企みながら万葉集を引用する教養の高さや、宮仕えの女性と関係を持ってパイプを作り朝廷の蔵を無断で漁る暗躍っぷりは実際底知れず、1万騎もの諏訪軍兵士を戦わずして降伏させた尊氏の魔性のカリスマを「流石は尊氏殿の御人徳よ」と軽く流すなど胆力も凄まじい。
一方で、魅摩を娶ると言い出した時行に「名門佐々木に釣り合わん」と反対を示すも、「必死に父上の機嫌を取ってきたにわか坊主」「鎌倉幕府が健在だったらお前は泣いて喜んでいた」と切り返され、本質的には長い物には巻かれるタイプでもあることを指摘されている。

物語中でも常に暗躍し続けており、清原信濃守に朝廷の蔵で発見した大量の弩を持たせたり、中先代の乱の首謀者が時行と判明した時には面識があるとして似顔絵を描き手配書を発行した。
果ては鎌倉幕府滅亡時に、新田義貞の進軍を魅摩の神力による潮の干潮を利用して影から操っていた*22
時行の鎌倉奪還後にはまたしても魅摩を連れて密かに鎌倉に潜入。魅摩の神力を操る力で大仏殿を倒壊させて北条軍に大損害を与えた。
中先代の乱以後も魅摩と一緒に尊氏軍の将の1人として振舞っており、偽装降伏しておいて油断した敵軍に奇襲を仕掛けたり、湊川の戦いの戦いでは錦の御旗対策として光明天皇から授かった2つ目の錦の御旗を掲げたりと存在感を示している。

  • 佐々木(ささき)魅摩(みま)
佐々木道誉の1人娘。
ビジュアルは露出多めの着物を着たツインテールの婆娑羅…というよりメスガキ。なお父との仲は良好。多分…
取り巻きの美女軍団と共に京都で賭場を仕切っており、賭け双六では神力*23を駆使することで負け知らずを誇る。
風貌に違わず非常に生意気で、誇り高く純朴な存在を汚すことを趣味にしている…のだが若干初心。
また、一度認めた相手には開けっ広げに好意を示し、時行の真面目さも「一周廻って逆に婆娑羅」と気に入っている。
しかし、相手が諜者だった場合、たとえそれが好意を持った相手だとしても平然と「殺す」と返答する二面性は親譲りと言える。

神力の総量は雫にも勝る。とはいえ、力としては微力なようで、平時は専らサイコロの確率操作などに利用している。
しかし、水や空気の一粒ずつに力を孕ませることで潮を引かせたり、大仏殿を倒壊させる程に風の勢いを増大させるなど自然現象も合わせることで絶大な威力を発揮させている。
作中では暴風を自在に操り、木片等を矢のように敵に向けて飛ばすなど能力バトル漫画さながらの芸当も見せている。
ただし、あまり使いすぎると体への負担が大きいのか血涙や鼻血を流す描写も見られる。

本来なら足利・北朝方に属するが、時行との出会いを皮切りに、紆余曲折と複雑な愛憎模様を経た後、逃若党に参加することとなった
以降の活躍は こちら を参照。

モチーフは佐々木道誉晩年の書状で、領地を譲られている記述のある謎の存在「ミま」と思われる。
史実での「ミま」の正体は道誉の妻「北」や、孫の「六郎左衛門高久」と諸説ある。

  • 小山(おやま)秀朝(ひでとも)
足利派武将。作中では特に言及されていないが下野国の守護。
中先代の乱の鎌倉防衛戦では、吉良の案内によって後方から奇襲を仕掛けるが、救援に駆け付けた倍の敵勢力と三大将相手では流石に分が悪かったようで敗北。
戦闘描写は省かれたものの、重信相手に深手を負わせて「しぶとかった」と賞賛されるなど実力は相当なものだったらしい。
小山自身も武士の意地を示せたことに満足したまま死亡した。


その他の鬼

  • “賽の鬼”五大院(ごだいいん)宗繁(むねしげ)
CV:伊丸岡篤
レアリティ
(1333年)
☆☆☆ SR
能力 南北朝適正
武力 72 蛮性 76
知力 37 忠義 3
政治 24 混沌 75
統率 37 革新 29
魅力 15 逃隠 66


主人公・時行の腹違いの兄である邦時……の母を妹に持つ(つまり邦時の叔父)、高時の家臣。
邦時の護衛を務めており、高氏の謀反に際しても彼を守るよう命じられたのだが、あろうことか懸賞金目当てにその邦時を秒で敵の新田義貞に売るという、フィクションの悪党もビックリのクズぶりを発揮し(※史実)、日本史上屈指の鬼畜武将として名を残した男*24
しかも彼が出世できたのも邦時の叔父という立場を利用したからだというから相当である。

流石の新田方からもドン引きされ、褒美も持たされずに追い出された(※史実ではあまりの不忠っぷりに新田義貞が処刑を決めたのを知って逃げ出した)が、「側室の子じゃ手柄として弱すぎた」と甥と妹のせいにする等クズぶりは止まらず、正室の子である時行を狙う。
――と、テンプレ小悪党としての完成度があまりにも高い反面、剣士としては背後からの不意打ちを振り向きもせずに防ぎ切り、そこにあった木を一瞬でズタズタに出来るぐらいには強く、護衛を任されたのは決してコネや重臣の立場だけではなかったと言い切れる自信と実力を持ち合わせる。
裏切りを事前に知らされた時行は、自分を庇うふりをして近づいてくるだろうという頼重の予測をもとに待ち伏せ。
時行の「振り出し」と宗繁の「上がり」を賭けた勝負となる。

一見、乱世の戦を描いた本作でなら「裏切り」はまだ弁明できそうに見える(実際、足利尊氏と彼についていった武将たちが北条家にやった行為も「裏切り」である)が、当時の日本では「武士道」という道徳概念を重要視していた上に裏切りにはきっちりとした作法が存在しており、それを無視すると宗繁のように双方から総スカンを食らった挙句村八分も同然の扱いを受けるのである。*25
というか単純に考えて、元主君を手ひどく裏切った挙句その子を拉致ってそれをダシに媚びてきたような男を本当に信用できるのかという話である。まっとうな判断力のある人間なら、「もし俺がピンチになったら、コイツ今度は俺の子を拉致って敵に寝返るんじゃ?」と疑ってかかるはずだし。

実際、史実でも邦時への裏切りが広く知られたことで全方位から信用を失い、誰の助けも得られず野垂れ死にしたとされている。*26
ぶっちゃけ全体的に史実より扱いが良い気がしないでもない

  • “牛鬼”牡丹
CV:近藤浩徳

諏訪の山中で遭遇した、人肉の味を覚えた巨大猪
大きな牙や顔面の突起など普通のイノシシとは異なる、魔獣のような存在として描かれる。
雫曰く、絶滅危惧の古代生物*27の最後の一頭と思われるとのこと。

分厚い皮を持ち、矢も刀もまるで効かない化物だが、結党直後の逃若党の連携で、諏訪名物の天然黒曜石に刺し貫かれ、死亡。
後に雫の祈りと、諏訪明神こと頼重の胃袋に収まった影響か、常人には不可視の信濃の守護獣として転入してきた。


南朝派武将

  • 新田(にった)義貞(よしさだ)
レアリティ
(1335年)
☆☆☆☆☆ UR
能力 南北朝適正
武力 91 蛮性 99
知力 忠義 67
政治 35 混沌 41
統率 97 革新 34
魅力 58 逃隠 73

尊氏と共に鎌倉幕府倒幕に力を尽くした東国武士。
ちょっと浅黒い肌にあご髭が特徴のワイルド系イケメン。ただし頭の横に「?」「!?」マークが具現化する脳筋天然キャラ。
なお、この「?」は実際に頭の横に浮かんでいるようで劇中人物たちにも視認可能。コマや吹き出しに隠されていてわかりづらいが、常時「?」は浮かんでいる。
時行にとっては一族の直接的な仇にあたるが、史実に即するならば時代のうねりは彼らを再び数奇な縁で結び付けることになる。
詳細は個別項目を参照。

  • 新田(にった)徳寿丸(とくじゅまる)/新田義興(よしおき)
レアリティ
(1338年)
☆☆☆ SR
能力 南北朝適正
武力 52 蛮性 82
知力 忠義 62
政治 0 混沌 84
統率 55 革新 32
魅力 36 逃隠 59

新田義貞の三男*28。浅黒い肌に鋭い目つき、何より宙に浮かぶ「?」など父親に瓜二つ。
1337年時点で10歳未満でありながら配下と共に北畠軍に従軍している。
何もわかっていないというよりも純粋無垢さが際立つ性格で、因縁のある時行相手でも「中先代殿」と呼び慕い抱きついている。
時行も当初は仇敵の息子に尊敬されていることを心中では複雑に思っていたが、何やかんやで共に行動したり彼の事を気にかけている。

後の闘将・新田義興であり、時行とは長い付き合いの盟友となる。
作中でも1338年の石津の戦い後の恩賞として後醍醐天皇から「新田の家を“興”す者」として官位と共に一字賜り元服・改名した。

  • 楠木(くすのき)正成(まさしげ)
レアリティ
(1335年)
☆☆☆☆☆ UR
能力 南北朝適正
武力 88 蛮性 90
知力 98 忠義 100
政治 61 混沌 100
統率 99 革新 94
魅力 95 逃隠 100

後醍醐天皇の天下取りの原動力となった大英雄。三木一草*29の一人に数えられる。
「日本開闢以来の名将」「軍神」と称される程に軍略に長け、鎌倉の大軍相手に僅かな手勢で何度も撃破を繰り返した日本一の合戦上手である。
その本質は合戦に際して「生存」に最も重きを置く逃げ上手であり、時行も「通じ合うものを抑えきれない」と感じている。
詳細は個別項目を参照。

  • 楠木(くすのき)正行(まさつら)
楠木正成の長男で幼名は多聞丸。
正成を凛々しくしたような顔つきで髪の毛を真ん中で分けている。
癖が少なく折り目正しい性格ではあるが、父親よりも母親似で激昂しやすく、気性の荒さが表情に出やすい傾向にある。
正成はその性質を危ぶみ「命を大事にしてくれるように」という願いを込めて逃げ上手である時行から一字取った元服名を与えている。
このように正成から話をよく聞かされたことで時行に対しては好意的で、楠木党の地である河内に逗留した際も親身になって対応してくれた。
1347年に遂に挙兵した成長した姿で登場。
直義派の武将を悉く蹴散らすなど、凄まじい武勇を見せた。
しかし父の願いも虚しく、僅か2ページで高師直に敗れ、弟の正時と刺し違えて自害。
あまりに生き急ぎすぎな英雄の最期だった。

  • 楠木(くすのき)正時(まさとき)
楠木正成の次男で幼名は次郎。
兄の正行と似た容貌でこちらは前髪を垂らしている。
兄同様に気性が激しく、正成より時行から「時」の字を取った元服名を授けられている。
正行と共に挙兵するが、生き急ぎの運命も共にすることになった。

  • 名和(なわ)長年(ながとし)
後醍醐天皇の寵臣である壮年の武士で三木一草の一人。官位は伯耆守。
主に罪人の捕縛の任にあたっており、謀反の疑いをかけられた護良親王や西園寺公宗を捕えている。
公宗に「栄華は長続きしない」と予言されるが、その1年後の第二次京都戦でその予言が事実であったと認めながら戦死した。

  • 結城(ゆうき)親光(ちかみつ)
後醍醐天皇の寵臣の武士で三木一草の一人。糸目の老人。
名和長年と共に西園寺公宗の捕縛に赴いた。
その後、本編での出番はなかったが、史実では箱根・竹ノ下の戦い後に企てた尊氏暗殺に失敗して死亡している。

  • 菊池(きくち)武敏(たけとし)
九州の帝派武将。
九州に逃げ延び多々良浜に上陸する三百騎余りの尊氏軍を相手に、三万の軍で立ち塞がった。
中先代の乱以降の連戦で兵を失い続け、京都での戦で敗走してきた尊氏を相手に余裕を見せるが、「序盤は直義が大奮闘し、砂嵐などの神の加護が多数あったため行動を阻まれ、最後に本陣にいた尊氏が出陣すると敵は皆降伏か逃亡して何か勝ってた。(要約)」とナレーションされたように、尊氏の発する魔のカリスマの前にあっさりと軍勢が瓦解し僅か5ページで敗北。
彼本人は戦死したのか逃げ延びたのか洗脳されたのかは定かではないが、史実では生き延びて自領に帰還している。

  • 岸和田(きしわだ)治氏(はるうじ)
石津の戦いに参戦していた南朝派武将。
顕家が乗って出陣していた山車を「豪壮で雅で格好ええわあ」と目を見張り、領内でこんな祭をしてみたいと溢していた。
これこそが後の大阪は岸和田名物「だんじり祭り」の発祥……というワケではない*30
なお外見のモデルは岸和田出身の元プロ野球選手・清原和博をモデルにした漫画『かっとばせ!キヨハラくん』のキヨハラくんから。

  • 井伊(いい)()
遭難して遠江国に辿り着いた宗良親王の元へ駆け付けた地元武士。ビジュアルは顔が物理的に非常にデカいオッサン。しかも可変式
親王のことは領地の井伊谷(いいのや)で守っていたことがあるため彼からの信頼も篤く、側近中の側近を自称する。
顔と同じくらい態度もデカく、時行らに指揮下に入るよう誘いをかけるが、断れば朝敵認定も仄めかすなどかなり強引かつ一方的。
しかし、香坂高宗から井伊谷は長く保たないと進言を受けた時行にすげなく断られた。

名前を名乗っていないが恐らくこの時期に宗良親王を井伊谷に迎えた領主「井伊行直(ゆきなお)」と思われる*31
高宗の読み通り井伊谷はその後足利方の猛攻を受けて陥落。井伊家は降伏して足利一門の今川家の傘下に付き、それが戦国時代まで続く井伊家の苦難に繋がっていく。


朝廷勢力

  • 後醍醐(ごだいご)天皇
CV:小松史法

先代天皇*32。御簾越しでの出番がほとんど。
というか御簾越しからでも見えるくらいに眼を爛々と物理的に輝かせていたり、怒りを抱くと御簾にも青筋が浮かぶなど、ほぼ御簾と一体化している。
政権を鎌倉幕府から朝廷に取り戻すべくいろいろと活動していた日本史上でも一二を争うアグレッシブ天皇であり、高氏を引き込んで遂に討幕を為した。第5話の時点で天皇に返り咲いたようで、高氏に偏諱を与えている。
……と、最初期でこそ尊氏にも劣らない底知れぬ人物として描かれたが、最近では
『○○』
「ははぁっ!!」「帝が『○○』と仰せだ!」
という周囲の貴族とのやり取りが天丼化し、大体のことを一言で片づけてしまうキャラが定着しつつある。

……が、物語が進むと戦意を喪って戻ってきた清原に対して気概を語って奮起させるなど、後醍醐天皇もまた比類なき覇気とカリスマを備えた英雄という側面が再び強調されるようになる。
人物像としては「時代を変革しようとする気概を持つ者」をこよなく愛する人物であり、元々下級貴族だった清原信濃守の野心を目ざとく見抜いて国司に選ぶなど、家柄・実績を持たない者であろうと取り立てることを躊躇わない考え方を持つ。
鳴り物入りで始まった「建武の新政」も、露骨な身内贔屓と実情に即さない政策の問題点が露呈して武士の間で不評だが、中には足利政権が参考にする先進的な政策も含まれる。
道誉は後醍醐天皇を「無駄に能力が高すぎて、凡人や無能の気持ちがわからない」と分析しており、彼と民の両方を理解できる賢臣がいれば真の英雄になれると評する。

加えて精神力も高く、尊氏の神の如きカリスマ性にも洗脳されることなく、征夷大将軍の地位に固執する尊氏を不審がって「野心を持たず出陣せよ」と釘を刺したうえで時行討伐を命じるなど、尊氏に踊らされるままでは終わらない傑物としての側面も描かれた。

正成によると現在の逃げる事を辞めた帝は「御簾に隠れてご自身を大きく見せる」ほどに弱体化した姿だという。
回想で描かれた素顔は教科書に載っている髭面の肖像画そっくりであり、本来なら会うことも許されない低い身分である正成が恐縮して震えているところに飛び下り、対等な立場で夢を語って忠義を誓わせる奔放なカリスマ性を魅せていた。
帝の政策には不満を持ち、時に痛烈に批判もしている北畠顕家も「あのお方に褒められると無性に嬉しい」と心からの笑顔を見せており、やり方さえ正しければ名君になると信奉されている。

当初は尊氏を信頼していたが、中先代の乱を切っ掛けに尊氏と軋轢が生じ、1336年に起きた尊氏の挙兵と北朝の立ち上げによって王の座からは追い落され軟禁される。
だが、不屈の覇気を以て100㎞先にある吉野に逃亡。自らを王とする「南朝」を立ち上げ尊氏と対立した。

史書に基づけば、後に時行は打倒足利のために彼と組むことになるのだが、果たして――。

  • 護良(もりよし)親王(しんのう)
CV:鈴木崚汰
レアリティ
(1335年)
☆☆☆☆☆ UR
能力 南北朝適正
武力 83 蛮性 89
知力 84 忠義 71
政治 65 混沌 82
統率 90 革新 70
魅力 92 逃隠 88


当時の征夷大将軍。
後醍醐天皇の皇子として、鎌倉幕府打倒の指揮を執った尊氏と並ぶ政権奪取の功労者。
鮮やかな紫色の瞳と髪を持つ作中屈指のイケメンにして、父譲りの利発聡明さとカリスマ性、武芸兵法すら修めた文武両道を体現する主人公と言わんばかりの華やかな経歴を持つ異色の皇子。
尊氏の存在を危険視して暗殺者や刺客を送り続けたが悉く失敗。結果父である後醍醐天皇に切り捨てられ、たった二ヶ月で将軍職を解任される憂き目となった。
劇中では第15話で登場して華々しく活躍するかと思いきやその回で尊氏に惨敗してそのまま失墜するという不遇な扱いを受ける羽目になった哀しき皇子。
第37話で再登場するも、謀反の罪をでっち上げられて鎌倉に幽閉され、さらに尊氏の中に眠る「鬼」をかいま見て怯えるなど不遇な扱いは継続中。

一応罪人扱いとはいえ皇族であるため、牢の中でも自由に書を読むことができ世話係もつけられるなど扱いは丁重。
しかし、中先代の乱で鎌倉防衛が失敗すると
  • 「足利を見限った帝が再び親王を重用する可能性」
  • 「鎌倉を奪った時行に正当性を主張するための神輿に担がれる」
ことを危惧した足利党によって命を狙われることになる。
なお、冷静沈着な直義も流石に前代未聞の皇族殺しに関しては緊張を隠せず、冷や汗を流していたが「太陽が二つあるのは不自然な気がする」という尊氏の後押しという名の命令を受けて実行に踏み切った。
親王も事前に暗殺の兆しを感じ取ったのか、刺客の淵辺にねちっこくその不忠ぶりを指摘して激昂させ、振り下ろされた刃を歯で受け止めて睨みつけるなど格の高い抵抗を見せるが*33、控えていた鎧武者の数を見て抵抗を断念。
「誇り高い父の子に相応しく潔い死を迎えよう」と覚悟を決めて座を正し「尊氏はいずれ自分の中の鬼に食い殺される」と予言した上で暗殺された。
父と道を違えたことを残念に思いながらも、それでも父を恨むどころか「同じ夢を見るのがたまらなく楽しかった」と述懐。
父の力になる者の到来を望みながらその悲劇の生涯を終えた。

第1回人気投票では時行、頼重に次ぐまさかの第3位。
出番はたった3話のみ。それも主人公である時行とは直接絡まない物語上は蚊帳の外の人物としては異例の人気であり、多くの読者を驚かせた。その短い間に残した鮮烈な悲劇性がインパクトに残ったのだろうか?*34

  • 坊門(ぼうもん)清忠(きよただ)
CV:越後屋コースケ
レアリティ ☆☆☆ SR
武力 10
知力 79
政治 65
統率 21
魅力 19

単行本10巻で急に解説されたモブネームドキャラ。登場は5話。
鯰髭みたいな髭をした中年の公家。
帝の忠実なイエスマンらしいが「忠実なだけで実力は疑問符」と酷評気味。
楠木正成の書いた奥義書の編集担当でもあったようで、その下書きの中でも度々名前が登場する。
「企画が弱い」と指摘してはしょっちゅう没にしているらしく、正成から嫌われているが、その愚痴を下書きに記したり、締め切りを破ってくる正成にもだいぶ問題がある。
九州で謎の逆転勝ちをおさめ、攻め上がってくる尊氏に対する正成の「帝を京都から逃がす迎撃策」に対しても同じ調子で没を言い渡しており、正成に内心ブチギレられている。
とはいえ「帝が短期間で2度も逃げることは威信の低下に繋がる」という主張にも一理あり*35、何より後醍醐天皇自らが逃げることを否定してしまっていた。

  • 千種(ちくさ)忠顕(ただあき)
レアリティ ☆☆☆☆ SSR
武力 31
知力 61
政治 40
統率 46
魅力 49

単行本10巻で急に解説されたモブネームドキャラ。登場は5話。三木一草の一人。
丸い鼻をした小太りの公家。名有りで再登場した際には出家しており、よく見ると髪の毛を剃っている。
帝の政権で甘い汁を吸って栄華を極めているが、一応戦闘もできるらしい。戦闘時には派手な鎧を身に纏いキラキラ輝いている。
第二次京都戦で逃げる帝の殿を務め、意気揚々と足利軍に立ち向かったが、師泰のよそ見をしながらの薙刀一突きで首を吹き飛ばされて死亡した。

  • “火車鬼”清原信濃守(きよはらしなののかみ)
CV:勝杏里
レアリティ
(1335年)
☆☆☆☆ SSR
能力 南北朝適正
武力 19 蛮性 70
知力 80 忠義 37
政治 39 混沌 46
統率 20 革新 86
魅力 4 逃隠 21

後醍醐天皇の命を受け信濃に派遣された新任の国司。貞宗の上司に当たる朝廷の貴族。
胡散臭さ満点な平安貴族メイクをした痩身の男だが、本性は諏訪の土地を「糞田舎」と吐き捨て、自身が統治する土地を「麻呂世界」と呼ぶ腐りきったアンチ北条派の悪徳国司。
その非道っぷりから、保科からは「貞宗以下の鬼畜生」と唾棄されており、保科郎党の挙兵と反乱のきっかけとなった。
詳細は個別項目を参照。

  • 西園寺(さいおんじ)公宗(きんむね)
大納言の位に位置する公家。
水玉模様の烏帽子を被り、顎が首とくっ付いて見えるような変わった風貌の男性。
北条氏と代々深い関係を築いており、鎌倉と京のパイプ役としてかつては絶大な権勢を誇っていた。
京都での泰家の後ろ盾を務めている北条陣営の協力者。幕府滅亡後、北条家と近かったことで後醍醐天皇に冷遇されたことを不満に思っており、泰家と結託して別荘に招いた帝を落とし穴に嵌めて殺す計画を立てる。
なお、雫は「この計画を続けるとこの場所に金ぴかのお寺が建つ」と予言するが、実際に金閣寺が建ったのは西園寺家の所領内であるため予言は当たっている
問題は暗殺計画が失敗したことで没収された領地に、足利家が建てたということだが……

頼重の未来視でも失敗する可能性が高いとされた暗殺計画だが、実際に弟による密告によって兵に囲まれ失敗に終わる。
事前に逃げる準備をしていた泰家に一緒に逃げるよう説得されるが「野蛮人と一緒にするな!」「私なりに責任を取るので貴方は野蛮な戦いを続けなさい」と彼なりの激励をかけて拒絶。泰家も公宗の矜持に敬意を払いながら退出した。
その後、雫の予言した「金ぴかのお寺」を見たかったと溢しながらも、身柄を捕らえに来た結城親光と名和長年に対して「三木一草」と蔑み、取り調べに対しても一切口を割らないなど、気位の高さと義理堅さを貫き通して処刑されたことが語られた。


南朝側

  • 義良(のりよし)親王
後醍醐天皇の七男で南朝奥州方面の象徴的な総大将。父親似の垂れ目。
1337年時点で9歳と幼いが顔つきは聡明で、ついこの間まで朝敵だった時行に対しても堂々とした態度で帰順を認めるなど威厳がある。
後の後村上天皇であり、鎧を着て戦場を駈けた最後の天皇となる。

  • 宗良(むねよし)親王
後醍醐天皇の四男。
父親の面影を残す美男子で、烏帽子からはみ出た毛先がカールした2本の前髪が特徴。
石津の戦いの後の再編成では関東に渡る筈だったが、途中遭難して遠江国へと辿り着く。
線は細いものの、遭難後に身を守るために自ら刀を持って戦ったりと武の心得もあるらしい。
また、これだけの不幸に遭っても「和歌のネタになる」と語る豪胆さは正に父親譲り。
時行に対しても気安く、救援に駆け付けた井伊にも親しみをもって接するなど、武士への偏見や差別意識のなさも父親や他の兄弟と同様。

  • 四条(しじょう)大納言(だいなごん)
般若坂へと進軍する北畠軍に向けて後醍醐天皇が派遣した貴族。
権威と地位に胡坐をかいて威張り散らす典型的貴族であり「中納言の顕家が強いのだから大納言の自分はもっと強い」という無茶苦茶な理論を振りかざす。
また、別の中納言と少納言の貴族を追い納言してお供に連れており、大中小合わせて極大納言(きょくだいなごん)を名乗っている。
顕家も内心苦々しく「御ボコりたい」と思っているが、一応位は上なので渋々従っている。
実際ロクに弓も引けないほどに非力かつ戦術も甘いが出しゃばりで、そのくせ戦場ではすぐに取り乱すなど絵に描いたような無能である。
彼が引き連れてきたのもほとんどが同レベルの公家であり、北畠軍全体を失望させた。

「一目でポンコツだとわかる顔」とまで評される外見のモデルはプランジネット朝第3代イングランド国王ジョン欠地王。「英国史上最も無能な王」と悪名高く、彼以降にジョンを名乗る王は存在しないほど*36

南北朝時代に四条家出身で大納言の官職に就いた人物には四条(しじょう)隆資(たかすけ)がいるが、隆資が大納言となったのは般若坂の戦いの10年後の1348年なので本作の極大納言とは厳密には異なる。
また史実の隆資は武官としても優秀で、武家に対しても公平で奥ゆかしい貴族と伝わっており、無能とは正反対の人物像である。

北畠家
奥州は陸奥国へと派遣された公家。
見るからに野蛮そうないで立ちの奥州武士が主戦力で、中にはアイヌらしき兵も見られる。また全員体は絶対に洗わない
その上の将は顕家同様に戦う公家から元御家人といった常識人(まとも)な者から、変態に至るまで充実している。(変態が複数いなかったためしがない)
伊勢にも拠点を持っており、顕家軍が西上した際にはそちらに逗留もしている。

  • 北畠(きたばたけ)顕家(あきいえ)
+ ◆ステータス
レアリティ
(1337年)
☆☆☆☆☆ UR
能力 南北朝適正
武力 89 蛮性 82
知力 90 忠義 97
政治 91 混沌 91
統率 97 革新 87
魅力 96 逃隠 30
レアリティ
(1338年)
☆☆☆☆☆ UR
能力 南北朝適正
武力 91 蛮性 84
知力 91 忠義 99
政治 93 混沌 90
統率 98 革新 89
魅力 97 逃隠 0

「鎮守府大将軍」を豪語し、奥州の守りを固めている若き貴族。1336年時点では19歳。
華奢な体躯と長い長髪を一纏めに束ねた中性的な風貌の端正なイケメン
「規格外貴族」「傑出した文武に美まで備えた南朝最強の貴公子」と解説されるだけあり、最強の公家。
戦う公家が増えた南北朝時代で武士を超える武力を持つ唯一無二の公家であり化物。
彼と彼の配下については個別項目を参照

  • 北畠(きたばたけ)親房(ちかふさ)
顕家の父。頭に華やかな布をターバンのように巻き付けたイケオジ。
顕家同様南朝に属しており、こちらは顕家が鎮守府大将軍となった後は帰京し、後醍醐天皇に付き従い献策を行っている。
武士のことを「東夷」と呼び蔑む差別意識は顕家と変わらず。
特に帝を前に意見した時行のことは童蒙(どうもう)*37と呼んで目を光らせている。
一方で帝から無理難題を押し付けられた時行に対して、高圧的な態度のまま然り気なく助言をするなど厳しさの中に垣間見える優しさも息子同様。
軍事作戦の合間に武士に短期集中のスパルタで学問を叩き込むというように、せっかちで教えたがりの性分は時行をして「間違いなく顕家卿の父君」と言わしめた。
時行から顕家の最期の様子を伝えられた時には、目端を涙で潤ませながらも瞬時に拭って悲しみを悟らせないなど情に溢れながらも気丈な人物。


北朝側

  • 光明(こうみょう)天皇
後醍醐天皇の朝敵認定を解除するため、1336年に尊氏が擁立した新たな天皇。
元々後醍醐天皇と対立していた彼の擁立により尊氏は「北朝」を立ち上げ、結果日本で初めて2人の天皇が同時に存在する前代未聞の事態となり、「超絶面倒な時代」とナレーションで語られる南北朝時代が真の意味で幕を開けた。
なおこの前代未聞の行為について尊氏は「うん!これでもう朝敵じゃないな!」としか考えておらず、ナレーションにも「当の尊氏は知ったこっちゃなかった」と雑に処理された。

  • 光厳(こうごん)上皇()
光厳院。上記の光明天皇に譲位した北朝の名目上のトップ。
顎ヒゲの生えた理知的な顔立ちで、足利の傀儡ではあるものの、同時に錦の御旗を与えて足利の正統性を保証する立場でもある北朝政権の要。
本人としても傀儡に甘んじることなく政治に熱心に取り組み、民にも慕われた賢君だという。
しかし1342年、彼の乗る牛車の前を通りかかった土岐頼遠の「院ではない。犬の聞き違いだ」という横暴によって矢を射かけられ、さらに頼遠自身の怪力で牛車ごと木の上に投げ飛ばされる大不敬を受ける。

史実においても上記の土岐頼遠の乱暴狼藉のほか、数々の災難に遭っている不憫な院であり、彼の伝記のタイトルが『地獄を二度も見た天皇』な時点で察せられるだろう。
中でも最大の悲劇は、後年の南北朝からの正統な皇位を巡るゴタゴタの末、歴代天皇の座から除外されたことかもしれない。


市井の人々

  • 夢窓疎石(むそうそせき)
「夢窓国師」とも呼ばれる高僧。
禅の道では足利兄弟の師でもあり、直義とは仏教に関する対談を行った『夢中問答集』を出版している。
南朝北朝の両天皇とも伝手を持ち、時行の文書を後醍醐天皇に届ける役目を担った。

  • 吉田(よしだ)兼好(けんこう)
『徒然草』であまりに有名な兼好法師。各地の有力者とパイプを持っており、時行とは幕府滅亡前からの顔見知り。
和歌四天王にその名を連ね、鎌倉の支配者となった直義に招かれるほどの有名人なのだが、時行は面白い話をしてくれる怪しいお坊さん扱いして親しく接している。
僧でありながら色恋の道にも通じ、時行によると女好きらしい。

  • 五郎(ごろう)正宗(まさむね)
鎌倉のはずれに炉を構える刀鍛冶。工房が時行の逃げ場の一つになっていた縁から、「時坊」と呼んで親しんできた。
衣装こそいかにも鎌倉の鍛冶師といった所だが、顔中タトゥー&ピアスだらけというパンクな風貌をしている。
また顎の形が西洋剣の切っ先の様になっている。

後に『天下三作』の一人に数えられる正宗その人であり、吹雪から「武士なら誰もが憧れる名」「噂に名高い刀工の頂点」と言われ、弧次郎も当然のように知っている。
刀工としては一つの境地にたどり着いたことから、普通の刀では満足できず異形の武器を多数試作している他、
過去の失敗から依頼人の性格や適性に見合った武器を作成することにこだわりを見せるようになる。
そのため洞察力に優れており、一目で客の肉体の長所を見抜く眼力が養われている。
あくまで知人として時行を応援してはいるが、関東庇番の持つ武器もすべて彼の作であることから、
本質的には政治的なスタンスは持ち合わせていない生粋のクリエイター。
また、既婚者だが奥さんに出て行かれている(雫は「なんかわかる」と評した)。
どうやらライバル刀工の国行*38寝取られたらしく、彼の刀に対しても怒りを滲ませて対抗心を露わにしている。


比較的頻出する用語抜粋



余談

松井先生式の誇張、現代ネタがあちこち見える今作だが、週刊連載を維持するため鎧にはデフォルメを加えて簡略化している部分もあると単行本で語っている。
なので今作の描写を丸々鵜吞みにするのはあまりお勧めされず、作者本人も推奨していない点には注意が必要。
これまでの松井先生の漫画作品の中では、もっともアクが強い漫画なのである。





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最終更新:2025年04月28日 23:24

*1 敵キャラ・小笠原貞宗の顔などが顕著だが、あくまでもそういう作風なだけである。

*2 「様々な仕事のできる便利な侍女」という意味。いわば武装メイドであり、古くは巴御前が担った役目。18禁な意味は無い。

*3 群衆の中の人影の一つ。

*4 活躍が載った次の週の「解説上手の若君」では、自身の影の薄さを監修の先生に相談したが、名前が載っている古文書が3通しか残っていないことを告げられ「もっと頑張りましょう」と切って捨てられる一幕があった。

*5 当たりが強いと言っても、弧次郎が戦で成果を出さなかったり、無茶をしたことに対する叱責の範疇である。

*6 北条の治世は「“おおむね”善きもの」と評しているが、頼直のスタンスは一貫して「直接の主君である諏訪頼重の方針に従う」である。

*7 余談ではあるが、現在でも川中島の近くには保科の名が地名として残っている

*8 第1回人気投票やアニメ1期のクレジットでも同様の表記。

*9 三十郎の名前に反応していたため、一応確認自体はした模様。

*10 史実上では宗広に三十郎という名前の息子は確認できないため、本作の創作上の人物と思われる。

*11 語源は「山師の勘」とする説もある。鉱脈を探る山師が定着したのも15世紀末から16世紀にかけてとされるので、どのみち南北朝時代には存在しない不自然な言葉ではある。

*12 この時代では家を守るための保険として、敵対する両陣営に一族を分けることはよくあることだった。というか、諏訪頼重もちゃっかり同じことをやっている。

*13 この作品の描写では時行は正室の子であるようだが、史実では不明。

*14 史実。その際に2人の護衛を除く部下全員に切腹を命じて偽装工作するという徹底ぶり。

*15 名越兄弟の母親は今川氏の出身のため元々縁があった。

*16 燃え盛る東勝寺で北条高時以下、鎌倉幕府重臣が切腹して果てている中、お経を唱えている僧侶に混ざっている。尊氏によく似た特徴的な眉毛と、この頃の直冬は東勝寺で修業していた史実から、この時点で正体を見破っていた読者もいた。

*17 「高」は一般的な「苗字」ではなく「氏・姓の氏(「高階朝臣氏」の省略)」。藤原道長の「藤原氏」・平清盛の「平氏」などと同じく、読む際には姓と名前の間に「の」が入る。

*18 主に一族の結束強化のために実親子ではない二者が親子関係を結んだ際の子。養子とは異なり、基本的に家督や財産の相続・継承は行われない。

*19 そのうち「師夏」は師直の実子であり、後述の天狗衆のコードネームも含めて鑑みるに、本作の師直は季節由来の名前を好んでつける傾向にあるようだ。

*20 京都の市場で買ったてつはうと網を組み合わせた爆発物。

*21 権威を軽んじて、型破りな格好や行いをする者を指す。南北朝時代に誕生した気風であり、作中では「幕府を倒し京に入った武士達が今までに無い過激な服装でイキり始めた」「日本最初の武士が起こしたファッションブーム」と称される。前田慶次に代表されるかぶき者の原点とも。

*22 元ネタはいわゆる新田義貞の「稲村ヶ崎伝説」。詳細は義貞の項目にて

*23 作中では合戦で寺社仏閣を焼かれ、誰からも敬われなくなって彷徨っていた神仏の中身を受け入れて神力を手に入れる描写がある。

*24 作中の演出では「不忠度」「恥知らず度」などで「五つ星」の高評価を獲得し、1333年の鬼畜大賞堂々の受賞者となる。ただし「知名度」評価は最低点の「一つ星」。冒頭の作品解説に書かれている通り、この辺りの出来事は歴史の授業でもあまり語られないので知名度の低さに関しては当然かも知れない。

*25 特に鎌倉時代は武士の生活が御恩と奉公の関係で成り立っていた為、北条家に深い御恩がある宗繁が奉公の役目も果たさず裏切るのは完全アウトと言える。

*26 逆に言えば野垂れ死にしている所を発見された訳ではなく、何処にも匿われた記録が遺ってないので道端で野垂れ死にしたに違いない、という憶測でしかない。もしかすると何処かの落人村に辿り着き、そこで天寿を全うした可能性すらあるのだから。

*27 実際、顔の特徴などはイノシシというより約3720万~2840万年前にユーラシア大陸に生息していたものの絶滅した古代種「エンテロドン」に近しい。

*28 史実上では次男なのだが、これが本作の独自設定なのか誤植なのかどうか不明。単行本で修正される事は無かった

*29 建武の新政下で後醍醐天皇に重用された4人の寵臣、結城親光・名和伯耆守(長年)・楠木正成・千種忠顕の総称。「ユウ“キ”」「ホウ“キ”」「クスノ“キ”」「チ“クサ”」の名前に因んで付けられたのだが、4人ともあまり高貴な家の出ではないため「どこの草木とも知れない」という意味を孕んだ蔑称としてのニュアンスもある。

*30 だんじり祭りの発祥は諸説あるが南北朝時代から約400年後の1700年代であり、その頃の同地の統治者は岸和田氏ではない。

*31 遭難した宗良親王を迎えに来たのは「井伊道政・高顕」親子という説もあり「井伊谷宮」では宗良親王と共にこの2人が祀られている。ただし江戸時代に井伊氏が提出した家系図にはこの2人の名前がないため架空の人物とも、南朝関連のゴタゴタで井伊家が系図を書き換えた(そして南朝が正統化された明治維新後に井伊谷宮を建立する等して元に戻そうとした)とも言われており定かではない。その辺の事情も踏まえて名前が伏せられているのかもしれない。

*32 物語開始の2年前(1331年)に討幕を画策するも敗走(元弘の乱)、鎌倉幕府によって廃位されている。

*33 『太平記』に記された実際の逸話。むしろ原典だとそのまま刃を噛み折って格闘の末にようやく討ち取られたなど、さらに格が高い。

*34 史実上の人物であるため、逃げ若以前からの熱心な歴史ファンの投票も考えられる。8位の師直といい登場人物のほとんどが実在している本作の特異性も反映された投票結果だと言える。

*35 また、正成の策は「花の都を罠場に変える」という焦土作戦であり、数カ月前の第一次京都戦でも似たような策を披露しているため、都市機能の著しい低下を招くという側面でも難がある。

*36 もっとも近年では兄のリチャード獅子心王の無茶な外征のツケを払わされた面が注目されるなど同情的な見解もあり、王権に制限をかけるマグナ・カルタを(外圧によって無理矢理だが)制定したことが立憲君主制の基礎に繋がったことや、リヴァプールを発展させた業績で再評価もされている。

*37 「ものを知らない子供」を指す言葉。親房の著作である『神皇正統記』には「或童蒙」のために書いたとの記述があるため、そこから連想しての呼び名と思われる。

*38 恐らく山城伝に属する実在の刀工「来国行」と思われる。本作では長尾の太刀は国行作という設定。史実での正宗との関係は不明だが、山城伝の鋳造法には正宗が属する相州伝の方式が採用されているともされ、技術交流は行っていたと見られている。

*39 西暦にすると1318年頃から1368年頃までのおよそ半世紀

*40 但し巻22は室町時代頃に逸失しており、現存する中でも古い写本は実質39巻とし、比較的新しいものは前後の巻から内容を切り取り再編集したもので巻22を埋めている

*41 例えば坊門清忠が楠木正成の案をつっぱねたというエピソードは、初期の方の版では坊門の名前が載っておらず、後世に悪役として付け加えられたものと見做されている。